(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2種類の変性スチレンブタジエンゴムおよびブタジエンゴムからなるジエン系ゴム100質量部にシリカを70〜150質量部およびオイルを配合し、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシランを前記シリカの質量に対し5〜15質量%配合してなり、前記ジエン系ゴム中、前記2種類の変性スチレンブタジエンゴムを合計で75質量%以上100質量%未満、前記ブタジエンゴムを0質量%を超え25質量%以下含有し、前記ジエン系ゴムに含まれる油展成分および前記オイルを含むオイル成分の合計が、前記シリカを含むフィラーの質量の合計の25〜45質量%であり、示差走査熱量計を用いて10℃/分の昇温速度で測定し中点法で算出したガラス転移温度が−50℃以下であるタイヤ用ゴム組成物により成形されてなることを特徴とする空気入りタイヤ。
前記2種類の変性スチレンブタジエンゴムの重量平均分子量が、いずれも40万以上であり、かつ前記2種類の変性スチレンブタジエンゴムのガラス転移温度の差が20℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
請求項1〜4のいずれかに記載された空気入りタイヤであって、前記タイヤ用ゴム組成物により成形されたトレッド部を有することを特徴とするオールシーズン向けの空気入りタイヤ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の空気入りタイヤは、トレッド部を成形するゴム組成物が、2種類の変性スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムからなるジエン系ゴム100質量部にシリカを70〜150質量部及びオイルを配合し、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシランをシリカ質量の5〜15質量%配合し、前記ジエン系ゴムが前記2種類の変性スチレンブタジエンゴムを合計で75質量%以上100質量%未満、前記ブタジエンゴムを0質量%を超え25質量%以下含有し、前記オイルを含むオイル成分の合計が、前記シリカを含むフィラーの質量合計の25〜45質量%で、そのガラス転移温度が−50℃以下であることを特徴とする。
【0013】
ジエン系ゴムは、2種類の変性スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムとからなる。ブタジエンゴムは、通常タイヤ用ゴム組成物に用いられるものであれば特に制限されるものではない。ブタジエンゴムは、ガラス転移温度が低いため、タイヤ用ゴム組成物に配合することにより、雪上性能を改良することができる。しかし、ブタジエンゴムを配合するとシリカの分散性が悪化する虞があり、これによりドライグリップ性能、ウェットグリップ性能および低転がり抵抗性が十分に改良されないことがある。これに対し、本発明の構成にすることにより、ブタジエンゴムの存在下でもシリカの分散性を良好にし、ドライグリップ性能、ウェットグリップ性能、低転がり抵抗性および雪上性能のバランスを優れたものにすることができる。
【0014】
ブタジエンゴムの含有量は、ジエン系ゴム100質量%中、0質量%を超え25質量%以下、好ましくは6〜23質量%、より好ましくは10〜21質量%である。ブタジエンゴムを含有しないと、雪上性能を十分に改良することができない。ブタジエンゴムが25質量%を超えると、ドライグリップ性能が低下する。
【0015】
ジエン系ゴムは、2種類の変性スチレンブタジエンゴムを含有する。2種類の変性スチレンブタジエンゴムとは、変性基の種類、変性率、スチレンブタジエンゴムの種類(重合法、触媒、スチレン含有量、ビニル含有量、分子量等)から選ばれる少なくとも1つが互いに異なるものをいう。好ましくは、変性基の種類およびスチレンブタジエンゴムの種類が互いに異なる2種類の変性スチレンブタジエンゴムがよい。
【0016】
変性基の種類は、特に限定されるものではないが、例えばエポキシ基、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シリル基、アルコキシシリル基、アミド基、オキシシリル基、シラノール基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、カルボニル基、アルデヒド基、等が挙げられる。好ましくは、アルコキシシリル基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シリル基、アミノシリル基、グリシジル基、等がよい。また2種類の変性スチレンブタジエンゴムは、少なくとも1つがヒドロキシ基を有するとよい。ヒドロキシ基を有するスチレンブタジエンゴムを含有することにより、シリカの分散性をより優れたものにすることができる。
【0017】
2種類の変性スチレンブタジエンゴムは、重量平均分子量が、それぞれ40万以上であると好ましく、42万〜140万がより好ましい。変性スチレンブタジエンゴムの重量平均分子量をいずれも40万以上にすることにより、転がり抵抗をより小さくすることができ好ましい。また耐摩耗性を高くすることができる。変性スチレンブタジエンゴムの重量平均分子量は、重合条件等により増減することができる。変性スチレンブタジエンゴムの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により標準ポリスチレン換算値として得ることができる。
【0018】
2種類の変性スチレンブタジエンゴムは、ガラス転移温度が互いに異なり、2つのガラス転移温度の差が、好ましくは20℃以上、より好ましくは25℃〜50℃であるとよい。変性スチレンブタジエンゴムのガラス転移温度の差を20℃以上にすることにより、雪上性能を向上させることができる。変性スチレンブタジエンゴムのガラス転移温度は、スチレン量、ビニル量、重量平均分子量、等を変更することにより、調節することができる。変性スチレンブタジエンゴムのガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて10℃/分の昇温速度で測定し、中点法にて算出することができる。なお、変性スチレンブタジエンゴムが油展成分を含むとき、油展成分を除いた或いは油展成分を添加する前の変性スチレンブタジエンゴムのガラス転移温度を求めるものとする。
【0019】
2種類の変性スチレンブタジエンゴムにおいて、変性基の種類とガラス転移温度の組み合わせは特に制限されるものではない。例えば、アルコキシシリル基を有するスチレンブタジエンゴムのガラス転移温度を、アルコキシシリル基以外の変性基を有するスチレンブタジエンゴムのガラス転移温度よりも、低くすることが好ましく、これによりシリカの分散性をより優れたものにすることができる。
【0020】
2種類の変性スチレンブタジエンゴムの含有量の合計は、ジエン系ゴム100質量%中、75質量%以上100質量%未満、好ましくは76〜92質量%、より好ましくは77〜90質量%である。2種類の変性スチレンブタジエンゴムの合計が、75質量%未満であると、シリカの分散性を十分に改良することができない。ジエン系ゴムが2種類の変性スチレンブタジエンゴムだけで組成されると、雪上性能を十分に改良することができない。
【0021】
2種類の変性スチレンブタジエンゴムの含有量について、互いの質量比は特に制限されるものではないが、ガラス転移温度が高い方の変性スチレンブタジエンゴムの含有量(M1質量部)とガラス転移温度が低い方の変性スチレンブタジエンゴムの含有量(M2質量部)との比(M1/M2)が、好ましくは25/75〜75/25、より好ましくは40/60〜60/40であるとよい。2種類の変性スチレンブタジエンゴムの含有量の質量比(M1/M2)をこのような範囲内にすることにより、シリカの分散性をより優れたものにすることができる。
【0022】
タイヤ用ゴム組成物において、ジエン系ゴムは、2種類の変性スチレンブタジエンゴムおよびブタジエンゴムの合計で100質量%になるものとする。ただし、本発明の空気入りタイヤは、その混合工程、成形工程におけるリサイクルを禁止するものではない。例えばゴム組成物からなる未加硫シートを使用し成形ドラム上の所定の位置に巻きつけることによりトレッド部をグリーン成形するとき、未加硫シートを巻きつける前後に切り落とされた未加硫シートの小片が工程間リサイクルされるときがある。このとき、未加硫シートの小片は、本発明の目的に反しない限り、タイヤ用ゴム組成物の調製時に配合してもよい。タイヤ用ゴム組成物において、未加硫シートの小片に含まれる他のジエン系ゴム(例えば天然ゴムや未変性のスチレンブタジエンゴム)が、ジエン系ゴム100質量%中、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下であればよい。
【0023】
タイヤ用ゴム組成物はシリカが配合される。シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらを単独または2種以上を組合わせて使用してもよい。またシリカの表面をシランカップリング剤により表面処理が施された表面処理シリカを使用してもよい。
【0024】
シリカのCTAB吸着比表面積は、特に制限されるものではないが、好ましくは140〜300m
2/g、より好ましくは160〜260m
2/gであるとよい。シリカのCTAB吸着比表面積を140m
2/g以上にすることにより、ゴム組成物のウェットグリップ性能を確保することができる。またシリカのCTAB吸着比表面積を300m
2/g以下にすることにより、ドライグリップ性能、ウェットグリップ性能および低転がり抵抗性を良好にすることができる。本明細書において、シリカのCTAB吸着比表面積は、ISO 5794により測定された値とする。
【0025】
シリカは、好ましくはCTAB吸着比表面積が異なる2種類のシリカを用いることができる。2種類のシリカはCTAB吸着比表面積が異なり、そのCTAB吸着比表面積の差は、好ましくは20m
2/g以上、より好ましくは25〜50m
2/gであるとよい。CTAB吸着比表面積の差を20m
2/g以上にすることにより、シリカの分散性をより良好にすることができる。
【0026】
CTAB吸着比表面積が小さい方のシリカは、CTAB吸着比表面積が、好ましくは140m
2/g以上180m
2/g未満、より好ましくは150〜175m
2/gであるとよい。一方、CTAB吸着比表面積が大きい方のシリカは、CTAB吸着比表面積が180m
2/g以上250m
2/g以下、より好ましくは190〜240m
2/gであるとよい。2種類のシリカのCTAB吸着比表面積をこのような範囲にすることにより、転がり抵抗をより小さくし、ウェットグリップ性能を向上することができる。
【0027】
シリカは、ジエン系ゴム100質量部に対し70〜150質量部、好ましくは80〜140質量部配合する。シリカの配合量を70質量部以上にすることにより、ドライグリップ性能、ウェットグリップ性能および低転がり抵抗性を改良することができる。またシリカの配合量を150質量部以下にすることにより、シリカの分散性を良好にすることができる。
【0028】
タイヤ用ゴム組成物は、シリカ以外の他の充填剤を配合することができる。他の充填材として、例えばカーボンブラック、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸カルシウムを挙げることができ、なかでもカーボンブラックが好ましい。これら他の充填剤は単独または2種以上を組合わせて使用してもよい。
【0029】
タイヤ用ゴム組成物は、シランカップリング剤として、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシランを配合することにより、シリカの分散性を良好にする。3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシランは、シリカの質量に対し5〜15質量%、好ましくは6〜14質量%配合する。5質量%以上配合することにより、シリカの分散を改良することができる。また15質量%以下配合することにより、シランカップリング剤同士の縮合を抑制し、所望の硬度や強度を有するゴム組成物を得ることができる。
【0030】
タイヤ用ゴム組成物は、オイルを配合する。オイルとして、天然オイル、合成オイル、可塑剤などゴム組成物の調製時に添加されるオイルが例示される。またジエン系ゴムが含有する油展成分もオイルである。タイヤ用ゴム組成物は、
ジエン系ゴムに含まれる油展成分および調製時に添加されるオイルを含むオイル成分の合計を、シリカを含むフィラーの質量の合計に対し決めるものとする。すなわち
、オイル成分の合計は、シリカを含むフィラーの質量の合計の25〜45質量%、好ましくは27〜43質量%である。オイル成分の合計が25質量%未満であると、雪上性能が低下する。また45質量%を超えると、ドライグリップ性能が低下し、更に操縦安定性が不足する虞がある。
【0031】
タイヤ用ゴム組成物は、ガラス転移温度が−50℃以下、好ましくは−50〜−65℃である。タイヤ用ゴム組成物のガラス転移温度が−50℃より高いと、雪上性能が低下する。タイヤ用ゴム組成物のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて10℃/分の昇温速度で測定し、中点法にて算出す
る。
【0032】
タイヤ用ゴム組成物は、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、液状ポリマー、テルペン系樹脂、熱硬化性樹脂などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲内で配合することができる。またかかる添加剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0033】
本発明の空気入りタイヤは、上述したタイヤ用ゴム組成物により、例えばトレッド部、サイド部を成形されてなり、ドライグリップ性能、ウェットグリップ性能、低転がり抵抗性および雪上性能において高次元の優れたバランスを有する。好ましくは空気入りタイヤ
オールシーズン向けの空気入りタイヤとして優れた性能を有し、特に、そのトレッド部をタイヤ用ゴム組成物により成形するとよい。その空気入りタイヤは、ドライグリップ性能、ウェットグリップ性能、低転がり抵抗性および雪上性能に優れたオールシーズン向けの空気入りタイヤとして非常に高性能なタイヤである。
【0034】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0035】
表3に示す配合剤を共通配合とし、表1,2に示す配合からなるタイヤ用ゴム組成物(実施例1〜10、標準例、比較例1〜7)を、硫黄および加硫促進剤を除く成分を、1.7Lの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練りした後、ミキサーから放出して室温冷却した。これを1.7Lの密閉式バンバリーミキサーに投入し、硫黄および加硫促進剤を加えて混合することにより、タイヤ用ゴム組成物を調製した。なお表1の変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR−2)の欄に、製品の配合量に加え、括弧内に油展成分を除く正味の変性SBRの配合量を記載した。また表3に記載した配合剤の配合量は、表1,2に記載したジエン系ゴム100質量部に対する質量部で示した。
【0036】
得られたタイヤ用ゴム組成物を所定の金型を使用し160℃で20分間プレス加硫して加硫試験片を作製し、そのガラス転移温度を示差走査熱量計(DSC)を用いて10℃/分の昇温速度で測定し、中点法にて算出し、表1,2に示した。
【0037】
上記で得られたタイヤ用ゴム組成物をトレッドゴムに使用した18種類の空気入りラジアルタイヤ(タイヤサイズ195/65R15)を加硫成形し、以下に示す試験方法でドライグリップ性能、ウェットグリップ性能、雪上性能、操縦安定性および転がり抵抗性を測定した。
【0038】
ドライグリップ性能
上記で得られた空気入りタイヤを標準リムに組み付け、空気圧250kPaを充填し、試験車両に装着した。試験車両を比較的凸凹の少ない乾燥路面上を走行させ、初速100km/時で制動をかけたときの制動距離を測定した。得られた結果は、それぞれの逆数を算出し、標準例の値を100にする指数として表1,2の「ドライグリップ性能」の欄に記載した。この指数が大きいほど制動距離が短く、指数が102以上であればドライグリップ性能が優れることを意味する。
【0039】
ウェットグリップ性能
上記で得られた空気入りタイヤを標準リムに組み付け、空気圧250kPaを充填し、試験車両に装着した。試験車両を比較的凸凹の少ない湿潤路面上を走行させ、初速100km/時で制動をかけたときの制動距離を測定した。得られた結果は、それぞれの逆数を算出し、標準例の値を100にする指数として表1,2の「ウェットグリップ性能」の欄に記載した。この指数が大きいほど制動距離が短く、指数が102以上であればウェットグリップ性能が優れることを意味する。
【0040】
雪上性能
上記で得られた空気入りタイヤを標準リムに組み付け、空気圧250kPaを充填し、試験車両に装着した。試験車両を圧雪路面上を走行させ、初速40km/時で制動をかけたときの制動距離を測定した。得られた結果は、それぞれの逆数を算出し、標準例の値を100にする指数として表1,2の「雪上性能」の欄に記載した。この指数が大きいほど制動距離が短く、指数が102以上であれば雪上性能が優れることを意味する。
【0041】
操縦安定性
上記で得られた空気入りタイヤを標準リムに組み付け、空気圧250kPaを充填し、試験車両に装着した。試験車両を比較的凸凹の少ない乾燥路面上を走行させ、ハンドルをきったときの応答性を5段階の評点をつけて官能評価した。得られた結果は、表1,2の「操縦安定性」の欄に記載した。この評点が大きいほど操縦安定性が優れることを意味する。評点は4以上であるとよい。
【0042】
転がり抵抗
上記で得られた空気入りタイヤを標準リムに組み付け、空気圧210kPaを充填し、ドラム径1707mmで、JIS D4230に準拠する室内ドラム試験機にかけて、試験荷重4.82kN、速度80km/時の抵抗力を測定し、転がり抵抗とした。得られた結果は、標準例の値を100にする指数として表1,2の「転がり抵抗」の欄に記載した。この指数が小さいほど転がり抵抗が小さく、指数が98以下であれば低転がり抵抗性が優れることを意味する。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
表3において、使用した原材料の種類は、以下の通りである。
・変性SBR−1:変性スチレンブタジエンゴム、日本ゼオン社製NS612、変性基がヒドロキシ基、スチレン量15%、ビニル量31%、重量平均分子量44万、ガラス転移温度−61℃
・変性SBR−2:変性スチレンブタジエンゴム、旭化成社製TUFDENE E581、変性基がヒドロキシ基、スチレン量36%、ビニル量38%、重量平均分子量126万、ガラス転移温度−34℃
・変性SBR−3:変性スチレンブタジエンゴム、日本ゼオン社製NS116R、変性基がアミノ基、スチレン量22%、ビニル量63%、重量平均分子量39万、ガラス転移温度−23℃
・BR:ブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol BR1220、ガラス転移温度−106℃
・NR:天然ゴム、STR20、ガラス転移温度−70℃
・カーボンブラック:THAI TOKAI CARBON社製N−134
・シリカ−1:EVONIK社製9000GR、CTAB吸着比表面積が200m
2/g
・シリカ−2:EVONIK社製ULTRASIL 7000GR、CTAB吸着比表面積が158m
2/g
・カップリング剤−1:スルフィド系シランカップリング剤、Evonik Degussa社製Si69、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
・カップリング剤−2:Evonik Degussa社製NXTシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン
・アロマオイル:H&Rケミカル社製VIVATEC 500
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸
・老化防止剤−1:Solutia Europe社製SANTOFLEX 6PPD
・老化防止剤−2:NOCIL LIMITED社製PILNOX TDQ
・硫黄:鶴見化学工業社製金華印油入微粒硫黄(硫黄の含有量95.24質量%)
・加硫促進剤−1:大内新興化学工業社製ノクセラーCZ-G(CZ)
・加硫促進剤−2:住友化学社製ソクシノールD−G(DPG)
【0047】
表1,2から明らかなように実施例1〜10のゴム組成物により得られた空気入りタイヤは、ドライグリップ性能、ウェットグリップ性能、雪上性能、操縦安定性および低転がり抵抗性に優れることが確認された。
【0048】
比較例1で得られた空気入りタイヤは、2種類の変性スチレンブタジエンゴムの合計が75質量%未満、ブタジエンゴムを25質量%を超えて含有するので、ドライグリップ性能および操縦安定性が劣る。
比較例2の空気入りタイヤは、タイヤ用ゴム組成物のガラス転移温度が−50℃より高いので、雪上性能が劣る。
比較例3の空気入りタイヤは、シリカの配合量が70質量部未満であるので、転がり抵抗が大きい。
比較例4の空気入りタイヤは、シリカを含むフィラーの質量の合計に対するオイル成分の合計の比(表中、「比(オイル/フィラー)」が、25質量%より小さいので、雪上性能が劣る。
比較例5の空気入りタイヤは、シリカを含むフィラーの質量の合計に対するオイル成分の合計の比(表中、「比(オイル/フィラー)」が、45質量%より大きいので、ドライグリップ性能および操縦安定性が劣る。
比較例6の空気入りタイヤは、ブタジエンゴムを含有しないので、雪上性能が劣る。
比較例7の空気入りタイヤは、2種類の変性スチレンブタジエンゴムの合計が75質量%未満、天然ゴムを8質量%含有するので、操縦安定性が劣る。