(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表面処理層を有する表面における水の接触角が、100度以上であり、および、動摩擦係数が0.1〜0.5の範囲にある、請求項1〜10のいずれか1項に記載の電子機器。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下において、本開示の電子機器について説明する。
【0008】
一の態様において、本開示の電子機器は、少なくとも表面の一部における水の接触角が、100度以上であり、および、動摩擦係数が0.1〜0.5の範囲にあることが好ましい。
【0009】
このような表面を有することにより、上記電子機器は、撥水性、撥油性、防汚性(例えば、指紋などの汚れの付着を防止する)を有するのみならず、滑り性を抑制することができる。さらに、上記物品は、耐加水分解性、紫外線(UV)耐久性、耐ケミカル性、高い摩擦耐久性、耐熱性、防湿性等を有し得する。
【0010】
上記水の接触角は、電子機器の少なくとも表面の一部における水の静的接触角をいい、水2μLにて21℃、65%湿度の環境下で測定した数値をいう。上記水の接触角は、100度以上であることが好ましく、110度以上であることがより好ましい。
【0011】
上記動摩擦係数とは、ASTM D4917に準拠して測定した値をいう。上記動摩擦係数は、0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましく、0.5以下であることが好ましく、0.4以下であることがより好ましい。上記動摩擦係数は、例えば、0.1〜0.5の範囲にあってもよく、0.15〜0.35の範囲にあってもよい。
【0012】
より好ましくは、本開示の電子機器は、少なくとも表面の一部における水の接触角が、110度以上であり、および、動摩擦係数が0.15〜0.35の範囲にある。水の接触角、および動摩擦係数は、上記と同意義である。
【0013】
上記少なくとも表面の一部における、n−ヘキサデカンの接触角は、50度以上であることが好ましく、60度以上であることがより好ましい。上記n−ヘキサデカンの接触角とは、電子機器の少なくとも表面の一部におけるn−ヘキサデカンの静的接触角をいい、水2μLにて21℃、65%湿度の環境下で測定した数値をいう。
【0014】
上記少なくとも表面の一部における、水の接触角(紫外線照射前の表面における水の接触角)に対する、310nmの紫外線を照射照度0.63W/m
2で96時間照射後の表面における水の接触角の割合(UVの積算照射時間96時間後の接触角の値/UV照射時間0時間の接触角の値)は、78%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、83%以上であることがさらに好ましく、85%以上であることが特に好ましい。水の接触角の測定方法は、上記のとおりである。
【0015】
一の態様において、本開示の電子機器は、少なくとも表面の一部に、後述するフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物(以下において、「PFPE含有シラン化合物」と称することがある)より形成された層(以下、「表面処理層」ともいう)を有する。上記PFPE含有シラン化合物は、フルオロ(ポリ)エーテル基が分岐構造を有する。すなわち、本開示の電子機器の表面の一部は、基材と、該基材の表面にPFPE含有シラン化合物より形成された表面処理層を有する。PFPE含有シラン化合物より形成された表面処理層は、電子機器の最外層に設けられることが好ましい。
【0016】
基材は、例えば、ガラス、樹脂(天然または合成樹脂、例えば一般的なプラスチック材料であってよく、板状、フィルム、その他の形態であってよい)、金属(アルミニウム、銅、鉄等の金属単体または合金等の複合体であってよい)、セラミックス、半導体(シリコン、ゲルマニウム等)、繊維(織物、不織布等)、毛皮、皮革、木材、陶磁器、石材等、建築部材等、任意の適切な材料で構成され得る。
【0017】
上記ガラスとしては、サファイアガラス、ソーダライムガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、クリスタルガラス、石英ガラスが好ましく、化学強化したソーダライムガラス、化学強化したアルカリアルミノケイ酸塩ガラス、および化学結合したホウ珪酸ガラスが特に好ましい。
上記樹脂としては、塩化ビニール樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエンおよびスチレンの共重合体樹脂)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ナイロン、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、およびシリコーンゴムが好ましい。
【0018】
かかる基材は、少なくともその表面部分が、水酸基を元々有する材料から成るものであってよい。かかる材料としては、ガラスが挙げられ、また、表面に自然酸化膜または熱酸化膜が形成される金属(特に卑金属)、セラミックス、半導体等が挙げられる。樹脂等のように、水酸基を有していても十分でない場合や、水酸基を元々有していない場合には、基材に何らかの前処理を施すことにより、基材の表面に水酸基を導入したり、増加させたりすることができる。かかる前処理の例としては、プラズマ処理(例えばコロナ放電)や、イオンビーム照射が挙げられる。プラズマ処理は、基材表面に水酸基を導入または増加させ得ると共に、基材表面を清浄化する(異物等を除去する)ためにも好適に利用され得る。また、かかる前処理の別の例としては、炭素−炭素不飽和結合基を有する界面吸着剤をLB法(ラングミュア−ブロジェット法)や化学吸着法等によって、基材表面に予め単分子膜の形態で形成し、その後、酸素や窒素等を含む雰囲気下にて不飽和結合を開裂する方法が挙げられる。
【0019】
一の態様において、かかる基材としては、少なくともその表面部分が、別の反応性基、例えばSi−H基を1つ以上有するシリコーン化合物や、アルコキシシランを含む材料から成るものであってもよい。
【0020】
表面処理層は、かかる基材の表面に、例えば、PFPE含有シラン化合物であって、フルオロ(ポリ)エーテル基に分岐構造を有するPFPE含有シラン化合物を含む表面処理組成物より形成された膜を形成し、この膜を必要に応じて後処理することにより形成される。
【0021】
上記表面処理組成物の膜形成は、表面処理組成物を基材の表面に対して、該表面を被覆するように適用することによって実施できる。被覆方法としては、特に限定されない。例えば、湿潤被覆法および乾燥被覆法を挙げることができる。
【0022】
湿潤被覆法の例としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティングおよび類似の方法が挙げられる。
【0023】
乾燥被覆法の例としては、蒸着(通常、真空蒸着)、スパッタリング、CVDおよび類似の方法が挙げられる。蒸着法(通常、真空蒸着法)の具体例としては、抵抗加熱、電子ビーム、マイクロ波等を用いた高周波加熱、イオンビームおよび類似の方法が挙げられる。CVD方法の具体例としては、プラズマ−CVD、光学CVD、熱CVDおよび類似の方法が挙げられる。
【0024】
更に、常圧プラズマ法による被覆も可能である。
【0025】
膜形成は、表面処理組成物が、加水分解および脱水縮合のための触媒と共に膜中に存在するように実施することが好ましい。簡便には、湿潤被覆法による場合、表面処理組成物を溶媒で希釈した後、基材表面に適用する直前に、表面処理組成物の希釈液に触媒を添加してよい。乾燥被覆法による場合には、触媒添加した表面処理組成物をそのまま蒸着(通常、真空蒸着)処理するか、あるいは鉄や銅などの金属多孔体に、触媒添加した表面処理組成物を含浸させたペレット状物質を用いて蒸着(通常、真空蒸着)処理をしてもよい。
【0026】
触媒には、任意の適切な酸または塩基を使用できる。酸触媒としては、例えば、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸などを使用できる。また、塩基触媒としては、例えばアンモニア、有機アミン類などを使用できる。
【0027】
次に、必要に応じて、膜を後処理する。この後処理は、特に限定されないが、例えば、水分供給および乾燥加熱を逐次的に、または同時に実施するものであってよい。
【0028】
上記のようにして基材表面に表面処理組成物の膜を形成した後、この膜(以下、「前駆体膜」とも言う)に水分を供給する。水分の供給方法は、特に限定されず、例えば、前駆体膜(および基材)と周囲雰囲気との温度差による結露や、水蒸気(スチーム)の吹付けなどの方法を使用してよい。
【0029】
水分の供給は、例えば0〜250℃、好ましくは60℃以上、さらに好ましくは100℃以上で実施し得、好ましくは180℃以下、さらに好ましくは150℃以下の雰囲気下にて実施し得る。このような温度範囲において水分を供給することにより、加水分解を進行させることが可能である。このときの圧力は特に限定されないが、簡便には常圧とし得る。
【0030】
次に、該前駆体膜を該基材の表面で、60℃を超える乾燥雰囲気下にて加熱する。乾燥加熱方法は、特に限定されず、前駆体膜を基材と共に、60℃を超え、好ましくは100℃を超える温度であって、例えば250℃以下、好ましくは180℃以下の温度で、かつ不飽和水蒸気圧の雰囲気下に配置すればよい。このときの圧力は特に限定されないが、簡便には常圧とし得る。
【0031】
上記の水分供給および乾燥加熱は、過熱水蒸気を用いることにより連続的に実施してもよい。
【0032】
以上のようにして後処理が実施され得る。かかる後処理は、摩擦耐久性を一層向上させるために実施され得るが、物品を製造するのに必須でないことに留意されたい。例えば、表面処理組成物を基材表面に適用した後、そのまま静置しておくだけでもよい。
【0033】
上記のようにして、基材の表面に、表面処理組成物の膜に由来する層である表面処理層が形成される。これにより得られる表面処理組成物に由来する層は、良好な紫外線耐久性、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、耐ケミカル性、耐加水分解性、滑り性の抑制効果、高い摩擦耐久性、耐熱性、防湿性などを有し得る。
【0034】
以下において、本開示の電子機器について、より詳細に説明する。
【0035】
一の態様において、上記電子機器は、電池駆動が可能な電子機器であり、具体的には充電式の電池(あるいは、電池を含む電池パック)により駆動し得る機器であり、好ましくは上記電池を内蔵している機器である。上記充電式の電池としては、通常用い得るものを用いることができる。
【0036】
本態様において、上記電子機器としては、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等の携帯情報端末;電子辞書、携帯用音楽プレーヤー、音声レコーダーおよび再生機(ICレコーダー)、時計等を挙げることができる。
【0037】
本態様において、好ましくは、上記電子機器は、ワイヤレスで充電可能な機器である。ここで、「ワイヤレスで充電可能」とは、送電側(例えば充電台)と受電側(電子機器)とがケーブルを用いずに充電可能なことをいう。
【0038】
本態様において、上記電子機器は、ハウジングを有し、該ハウジングの内部に、電池(電池パック)、基板等、通常、該電子機器において使用される構成を有する。上記ハウジングは、通常、上記電子機器で設けられ得る構成(例えば、ディスプレイ、タッチパネル、電源スイッチなど)を有することができる。
【0039】
本態様において、上記ハウジングの形状は、特に限定されず、通常使用される形状(例えば、一部に平面を有する形状)とすることができる。
【0040】
本態様において、上記ハウジングを構成する材料としては、例えば、基材として上述した材料を用いることができる。
【0041】
上記電子機器は、上記ハウジングの少なくとも表面の一部に、後述するPFPE含有シラン化合物より形成された表面処理層を有することが好ましい。該PFPE含有シラン化合物は、フルオロポリエーテル基に分岐構造を有する。
【0042】
上記表面処理層を有することにより、本態様の電子機器の表面は、良好な紫外線耐久性、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、耐ケミカル性、耐加水分解性、滑り性の抑制効果、高い摩擦耐久性、耐熱性、防湿性などを奏し得る。特に、本態様の電子機器では、上記表面処理層と接触する面(例えば、机の表面、充電台の充電面など)と、上記表面処理層との位置がずれることを防止し得る。すなわち、本態様の電子機器では、何らかの外力(例えば、重力、振動など)により上記表面処理層と接触する面と上記表面処理層との相対的な位置が変動することを防止し得る。例えば、上記電子機器を机、充電台などの上に戴置した場合に、上記電子機器と机、充電台などとの位置がずれることを防止し得、上記電子機器をより安定に戴置し得る。上記ハウジングには、滑りを防止するための凹凸形状、あるいはゴムシートなどを設ける必要はない。
【0043】
本態様において、上記PFPE含有シラン化合物より形成された表面処理層は、上記ハウジングの全域に設けられてもよいし、その一部に設けられてもよい。
【0044】
本態様において、上記PFPE含有シラン化合物より形成された表面処理層は、電子機器の充電の際に、充電台と接触する面に設けられることが好ましい。該表面処理層は、上記充電台と接触する面の全域に設けられてもよいし、その一部に設けられてもよい。充電台の充電面と、上記PFPE含有シラン化合物より形成された表面処理層との位置がずれにくいことにより、該電子機器の充電をより効率的に行うことができ、また該電子機器をより安定に戴置し得る。
【0045】
一の態様において、上記電子機器は、携帯電話、またはスマートフォンなどの通信機器である。本態様では、着信を通知するための振動などにより上記電子機器に外力が付与された場合であっても、上記PFPE含有シラン化合物より形成された表面処理層を有することにより、該表面処理層と、該表面処理層と接触する面(例えば、机の表面、充電台の充電面など)との位置のずれが生じにくくなる。すなわち、机、充電台などの上に、上記電子機器を戴置した場合に、上記電子機器の位置がずれることを抑制し得、上記電子機器をより安定に戴置し得る。
【0046】
上記PFPE含有シラン化合物より形成された表面処理層の厚みは特に限定されないが、例えば、1〜50nm、より好ましくは1〜30nm、特に好ましくは1〜15nmの範囲であることが好ましい。このような厚みの表面処理層を有することにより、本態様の電子機器は、より良好な紫外線耐久性、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、耐ケミカル性、耐加水分解性、滑り性の抑制効果、高い摩擦耐久性、耐熱性、防湿性等を奏し得る。
【0047】
一の態様において、上記ハウジングは、第1の主面(表面)および該第1の主面に対向する第2の主面(裏面)を有する。
本態様において、上記第1の主面には、ディスプレイ、または、タッチパネルなどの表示用部分または操作用部分が設けられることが好ましい。上記ディスプレイ、タッチパネル等は、通常使用し得るものを用いることができる。
本態様において、上記第2の主面は、上記電子機器の充電に際し、充電台と接触する面である。上記第2の主面上に、後述するPFPE含有シラン化合物より形成された表面処理層が位置する。上記PFPE含有シラン化合物より形成された表面処理層は、上記第2の主面の全域に形成されていてもよいし、一部に形成されていてもよい。
即ち、上記ハウジングは、第1の主面と、該第1の主面に対向する第2の主面とを有し、前記第2の主面上に、前記表面処理層を有する。上記表面処理層は、上記第2の主面の最外層に位置することが好ましい。
本態様において、上記電子機器としては、例えば、携帯電話、スマートフォンなどの通信機器を挙げることができる。
【0048】
一の態様において、上記電子機器は、充電台である。上記充電台は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等の携帯情報端末;電子辞書、携帯用音楽レコーダー、音声レコーダーおよび再生機、時計等の電池駆動が可能な電子機器を充電するために用いることができる。
【0049】
上記充電台は、その表面に充電面(電子機器の充電が可能な面)を有する。上記充電台は、通常充電台が有し得る構成、例えば、電源コンセント、基板などをさらに有し得る。これらの構成については特に限定されず、通常用い得るものを用いることができる。
【0050】
一の態様において、上記充電台は、充電式の電池により駆動し得る機器であってもよい。
【0051】
上記充電台の形状は特に限定されない。
【0052】
上記充電面は、上記充電台の表面全域に設けられていてもよいし、その一部のみに設けられていてもよい。
【0053】
上記充電面の表面形状は、特に限定されず、例えば、円形状、楕円状、矩形状、多角形状等を挙げることができる。
【0054】
上記充電面の大きさは、電子機器の充電が可能な大きさであれば特に限定されない。1の充電面に対して、複数の電子機器を戴置して充電することも可能である。また、充電台の表面に、複数の充電面を設けてもよい。
【0055】
上記充電面は、平滑な面であることが好ましい。ここで、平滑とは、通常充電面として用い得る程度の平滑性であればよい。
【0056】
上記充電台は、充電面を上面として設置し、かつ、充電面を略水平状態に設置できることが好ましい。なお、略水平状態とは、厳密な意味での水平状態だけではなく、若干の傾斜を許容する状態であり、例えば、3度程度の傾斜が存在してもよく、具体的には、1度程度の傾斜が存在してもよい。
【0057】
上記充電台において、電子機器の充電は、ワイヤレスで行われることが好ましい。すなわち、電子機器は、上記充電台上(充電面上)に戴置されることにより、充電され得る。充電方式は、通常用い得る方法を用いることができ、特に限定されないが、例えば、電磁誘導方式、電解結合方式、磁界共鳴方式などを挙げることができる。
【0058】
一の態様において、上記充電面に、PFPE含有シラン化合物より形成された表面処理層が位置する。このような表面処理層を有することにより、上記充電面は、より良好な紫外線耐久性、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、耐ケミカル性、耐加水分解性、滑り性の抑制効果、高い摩擦耐久性、耐熱性、防湿性を奏し得る。上記PFPE含有シラン化合物より形成された表面処理層を有することにより、上記充電台は、充電面に戴置された電子機器の位置がずれることを防止し得る。すなわち、上記充電台は、電子機器をより安定に戴置でき、さらに、上記電池駆動が可能な機器の充電をより効率的に行うことができる。上記充電面には、該充電面上に戴置される電子機器の滑りを防止するための凹凸形状、あるいはゴムシートなどを設ける必要はない。
【0059】
本態様において、上記充電台は、基材と、該基材の表面に上記PFPE含有シラン化合物より形成された表面処理層とを有する。本態様において、基材としては、上記に記載した基材を用いることができ、塩化ビニール樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、およびシリコーンゴムよりなる群より選ばれる少なくとも1を用いることが好ましく、ポリカーボネート、ポリエチレン、およびシリコーンゴムよりなる群より選ばれる少なくとも1を用いることがより好ましい。
【0060】
本態様において、上記PFPE含有シラン化合物より形成された表面処理層の厚みは特に限定されないが、例えば、1〜50nm、より好ましくは1〜30nm、特に好ましくは1〜15nmの範囲であることが好ましい。
【0061】
以下において、本開示のセット機器について説明する。
【0062】
本開示のセット機器は、電子機器と充電台とを有する。上記電子機器および上記充電台の少なくとも1が、少なくとも表面の一部にPFPE含有シラン化合物より形成される表面処理層を有する。PFPE含有シラン化合物については後述する。上記電子機器は、充電台により、充電され得る機器である。上記電子機器は、電池駆動が可能である。
【0063】
即ち、電子機器が、第1の主面と、該第1の主面に対向する第2の主面とを有し、充電
台が、該電子機器の充電のときに、該電子機器を設置(または戴置)する面(充電面)を有し、前記電子機器の第1の主面、前記電子機器の第2の主面、および、充電
台の充電面の少なくとも1つに、PFPE含有シラン化合物より形成される表面処理層が位置する。ここで、電子機器の第2の主面は、電子機器の充電時に、充電
台の充電面と接触する面である。好ましくは、電子機器の第2の主面、および、充電
台の充電面の少なくとも1つに、表面処理層が位置する。電子機器の第2の主面、および、充電
台の充電面の双方に、PFPE含有シラン化合物より形成される表面処理層が位置してもよい。
【0064】
上記表面処理層は、電子機器の第1の主面、第2の主面、または、充電
台の充電面の全域に設けられてもよいし、その一部に設けられてもよい。
【0065】
上記表面処理層は、電子機器の第2の主面、または、充電
台の充電面の全域に設けられてもよいし、その一部に設けられてもよい。
【0066】
一の態様において、電子機器は、少なくとも表面の一部にPFPE含有シラン化合物より形成された表面処理層を有する本開示の電子機器である。
【0067】
上記態様において、上記表面処理層は、電子機器の第1の主面および第2の主面の少なくとも1に位置することが好ましく、第2の主面に位置することがより好ましい。ここで、前記第2の主面は、充電
台で該電子機器を充電するときに、充電
台の充電面と接触する面である。
【0068】
一の態様において、充電台は、少なくとも充電面の一部にPFPE含有シラン化合物より形成された表面処理層を有する本開示の充電台である。
【0069】
一の態様において、電子機器が、少なくとも表面の一部にPFPE含有シラン化合物より形成された表面処理層を有する本開示の電子機器であり、充電台が、少なくとも充電面の一部にPFPE含有シラン化合物より形成された表面処理層を有する本開示の充電台である。本態様では、電子機器および充電台がともに、より良好な摩擦耐久性、紫外線耐久性、撥水性、撥油性、耐加水分解性、滑り性の抑制効果、防湿性等を奏し得る。本態様では、電池駆動が可能な電子機器および充電台の位置ずれが特に生じにくい。
【0070】
一の態様において、本開示のセット機器は、電子機器と充電台とを有し、上記電池駆動が可能な電子機器および上記充電台の少なくとも1の表面処理層を有する表面における水の接触角が、100度以上であり、および、動摩擦係数が0.1〜0.5の範囲にある。水の接触角、および動摩擦係数の測定方法は、上記と同意義である。
【0071】
本態様において、上記水の接触角は、100度以上であることが好ましく、110度以上であることがより好ましい。
【0072】
本態様において、上記動摩擦係数は、例えば、0.1〜0.5の範囲にあってもよく、0.15〜0.35の範囲にあってもよい。
【0073】
本態様において、より好ましくは、上記水の接触角が、110度以上であり、および、動摩擦係数が0.15〜0.35の範囲にある。
【0074】
本態様において、上記表面における、水の接触角に対する、310nmの紫外線を照射照度0.63W/m
2で96時間照射後の表面における水の接触角の割合(UVの積算照射時間96時間後の接触角の値/UV照射時間0時間の接触角の値)は、78%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、83%以上であることがさらに好ましく、85%以上であることが特に好ましい。なお、水の接触角の測定方法は、上記のとおりである。
【0075】
本態様において、上記表面における、上記n−ヘキサデカンの接触角は、50度以上であることが好ましく、60度以上であることがより好ましい。n−ヘキサデカンの接触角の測定方法は、上記と同様に行うことができる。
【0076】
(PFPE含有シラン化合物)
以下において、PFPE含有シラン化合物について説明する。該PFPE含有シラン化合物は、フルオロポリエーテル部分に分岐構造を有する。表面処理層は、該PTFE含有シラン化合物より形成される。
【0077】
本明細書において用いられる場合、「2〜10価の有機基」とは、炭素を含有する2〜10価の基を意味する。かかる2〜10価の有機基としては、特に限定されないが、炭化水素基からさらに1〜9個の水素原子を脱離させた2〜10価の基が挙げられる。2価の有機基としては、特に限定されるものではないが、炭化水素基からさらに1個の水素原子を脱離させた2価の基が挙げられる。
【0078】
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」とは、炭素および水素を含む基であって、分子から1個の水素原子を脱離させた基を意味する。かかる炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい、炭素原子数1〜20の炭化水素基、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。上記「脂肪族炭化水素基」は、直鎖状、分枝鎖状または環状のいずれであってもよく、飽和または不飽和のいずれであってもよい。また、炭化水素基は、1つまたはそれ以上の環構造を含んでいてもよい。尚、かかる炭化水素基は、その末端または分子鎖中に、1つまたはそれ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有していてもよい。
【0079】
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子;1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、C
2−6アルキニル基、C
3−10シクロアルキル基、C
3−10不飽和シクロアルキル基、5〜10員のヘテロシクリル基、5〜10員の不飽和ヘテロシクリル基、C
6−10アリール基および5〜10員のヘテロアリール基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。
【0080】
本明細書において、アルキル基およびフェニル基は、特記しない限り、非置換であっても、置換されていてもよい。かかる基の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基およびC
2−6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。
【0081】
本明細書において、アルキレン基とは、−(C
δH
2δ)−構造を有する基であり、特に記載がなければ置換または非置換であってよく、直鎖状または分枝鎖状であってもよい。
【0082】
以下、フルオロポリエーテル部分に分岐構造を有するPFPE含有シラン化合物について説明する。
【0085】
上記式中、Rfは、各出現において独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素原子数1〜16のアルキル基を表す。
【0086】
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素原子数1〜16のアルキル基における「炭素原子数1〜16のアルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖の炭素原子数1〜6、特に炭素原子数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは直鎖の炭素原子数1〜3のアルキル基である。
【0087】
上記Rfは、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されている炭素原子数1〜16のアルキル基であり、より好ましくはCF
2H−C
1−15フルオロアルキレン基またはC
1−16パーフルオロアルキル基であり、さらに好ましくはC
1−16パーフルオロアルキル基である。
【0088】
該炭素原子数1〜16のパーフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖の炭素原子数1〜6、特に炭素原子数1〜3のパーフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖の炭素原子数1〜3のパーフルオロアルキル基、具体的には−CF
3、−CF
2CF
3、または−CF
2CF
2CF
3である。
【0089】
上記式中、PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、式:
−(OC
6F
12)
a−(OC
5F
10)
b−(OC
4F
8)
c−(OC
3X
F6)
d−(OC
2F
4)
e−(OCF
2)
f−、
で表され、かつ、少なくとも1の分岐構造を有する基、または、式:
−(R
16−R
17)
j1−
で表される基である。各記号については、それぞれ後述する。
【0090】
一の態様において、上記式中、PFPEは、各出現において独立して、
−(OC
6F
12)
a−(OC
5F
10)
b−(OC
4F
8)
c−(OC
3X
F6)
d−(OC
2F
4)
e−(OCF
2)
f−
で表される基であり、かつ、PFPE中に少なくとも1の分岐構造を有する。すなわち、上記PFPEは、少なくとも1のCF
3末端(具体的には、−CF
3、−C
2F
5等、より具体的には−CF
3)を有する。なお、式(A1)において、上記PFPEは、上記式の左末端の酸素原子がRf基に結合し、右末端の炭素原子がX
1基に結合する。このような構造のPFPEを有することにより、PFPE含有シラン化合物(あるいは、PFPE含有シラン化合物を含む表面処理剤)を用いて形成された層(例えば表面処理層)の紫外線耐久性、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、耐ケミカル性、耐加水分解性、滑り性の抑制効果、高い摩擦耐久性、耐熱性、防湿性等がより良好になり得る。本態様は、特に、滑り性の抑制効果、高い摩擦耐久性の観点から、特に有用である。
【0091】
X
Fは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり、好ましくは水素原子またはフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
【0092】
上記式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1である。好ましくは、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0以上100以下の整数である。好ましくは、a、b、c、d、eおよびfの和は5以上であり、より好ましくは10以上である。好ましくは、a、b、c、d、eおよびfの和は200以下であり、より好ましくは100以下であり、例えば10以上200以下であり、より具体的には10以上100以下である。また、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。
【0093】
PFPE構造は、分岐構造を少なくとも5有することが好ましく、10有することがより好ましく、20有することが特に好ましい。
【0094】
PFPE構造中、繰り返し単位数の合計数(例えば、上記a、b、c、d、eおよびfの和)100に対して、分岐構造を有する繰り返し単位の数は40以上であることが好ましく、60以上であることがより好ましく、80以上であることが特に好ましい。PFPE構造中、繰り返し単位数の合計数100に対して、分岐構造を有する繰り返し単位の数は100以下であってもよく、例えば90以下であってもよい。
【0095】
PFPE構造中、繰り返し単位数の合計数100に対して、分岐構造を有する繰り返し単位の数は、40〜100の範囲にあることが好ましく、60〜100の範囲にあることがより好ましく、80〜100の範囲にあることが特に好ましい。
【0096】
上記分岐構造における分岐鎖としては、例えばCF
3を挙げることができる。
【0097】
分岐構造を有する繰り返し単位としては、例えば、−(OC
6F
12)−としては、−(OCF(CF
3)CF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF(CF
3)CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF(CF
3)CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF(CF
3)CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF(CF
3))−等を挙げることができる。−(OC
5F
10)−としては、−(OCF(CF
3)CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF(CF
3)CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF(CF
3)CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF(CF
3))−等を挙げることができる。−(OC
4F
8)−としては、−(OCF(CF
3)CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF(CF
3)CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF(CF
3))−、−(OC(CF
3)
2CF
2)−、−(OCF
2C(CF
3)
2)−、−(OCF(CF
3)CF(CF
3))−、−(OCF(C
2F
5)CF
2)−および−(OCF
2CF(C
2F
5))−を挙げることができる。−(OC
3F
6)−(即ち、上記式中、X
Fはフッ素原子である)としては、−(OCF(CF
3)CF
2)−および−(OCF
2CF(CF
3))−を挙げることができる。−(OC
2F
4)−としては、−(OCF(CF
3))−を挙げることができる。
【0098】
上記PFPEは、分岐構造を有する繰り返し単位とともに、直鎖状の繰り返し単位を含み得る。直鎖状の繰り返し単位としては、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2)−を挙げることができる。
【0099】
好ましくは、上記PFPE中、繰り返し単位−(OC
6F
12)−、−(OC
5F
10)−、−(OC
4F
8)−、および−(OC
3F
6)−が分岐構造を有する。
【0100】
より好ましくは、上記PFPEは、分岐構造の繰り返し単位OC
6F
12、OC
5F
10、OC
4F
8、およびOC
3F
6からなる。
【0101】
一の態様において、上記PFPEは、−(OC
3F
6)
d−(式中、dは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)であり、PFPE中に少なくとも1の分岐構造を有する。
【0102】
本態様において、PFPEは、さらに、直鎖状の繰り返し単位−(OCF
2CF
2CF
2)−を含んでいてもよい。
【0103】
上記態様において、上記PFPEは、分岐構造の繰り返し単位OC
3F
6からなることが好ましい。上記PFPEは、式:−(OCF
2CF(CF
3))
dで表されることがより好ましい。上記式中、dは1以上200以下であり、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である。
【0104】
別の態様において、PFPEは、−(OC
4F
8)
c−(OC
3F
6)
d−(OC
2F
4)
e−(OCF
2)
f−(式中、cおよびdは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、eおよびfは、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、c、d、eおよびfの和は少なくとも5以上、好ましくは10以上であり、添字c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である)であり、PFPE中に少なくとも1の分岐構造を有する。
【0105】
さらに別の態様において、PFPEは、−(R
6−R
7)
j−で表される基であり、PFPE中少なくとも1の分岐構造を有する。式中、R
6は、OCF
2またはOC
2F
4であり、好ましくはOC
2F
4である。式中、R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10およびOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせである。好ましくは、R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6およびOC
4F
8から選択される基であるか、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10およびOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせであり、より好ましくは、OC
3F
6、およびOC
4F
8から選択される基である。OC
2F
4、OC
3F
6およびOC
4F
8から独立して選択される2または3つの基の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば−OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
4F
8−、−OC
3F
6OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
3F
6−、−OC
3F
6OC
4F
8−、−OC
4F
8OC
4F
8−、−OC
4F
8OC
3F
6−、−OC
4F
8OC
2F
4−、−OC
2F
4OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
2F
4OC
4F
8−、−OC
2F
4OC
3F
6OC
2F
4−、−OC
2F
4OC
3F
6OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
4F
8OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
2F
4OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
3F
6OC
3F
6OC
2F
4−、および−OC
4F
8OC
2F
4OC
2F
4−等が挙げられる。上記jは、2以上、好ましくは3以上、より好ましくは5以上であり、100以下、好ましくは50以下の整数である。上記式中、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10およびOC
6F
12は、分岐構造を有することが好ましい。
【0106】
より好ましくは、上記態様において、PFPEは、分岐構造の繰り返し単位OC
6F
12、OC
5F
10、OC
4F
8、およびOC
3F
6からなる。
【0107】
一の態様において、PFPEは、−(R
16−R
17)
j1−で表される基である。式中、R
16は、OCF
2またはOC
2F
4であり、好ましくはOC
2F
4である。式中、R
17は、OC
2F
4、OC
3X
F6、OC
4F
8、OC
5F
10およびOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせである。X
Fは、上記と同意義であり、好ましくはフッ素原子である。好ましくは、R
17は、OC
2F
4、OC
3F
6およびOC
4F
8から選択される基であるか、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10およびOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせである。OC
2F
4、OC
3F
6およびOC
4F
8から独立して選択される2または3つの基の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば−OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
4F
8−、−OC
3F
6OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
3F
6−、−OC
3F
6OC
4F
8−、−OC
4F
8OC
4F
8−、−OC
4F
8OC
3F
6−、−OC
4F
8OC
2F
4−、−OC
2F
4OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
2F
4OC
4F
8−、−OC
2F
4OC
3F
6OC
2F
4−、−OC
2F
4OC
3F
6OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
4F
8OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
2F
4OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
3F
6OC
3F
6OC
2F
4−、および−OC
4F
8OC
2F
4OC
2F
4−等が挙げられる。上記j1は、好ましくは、2〜100の整数であり;より好ましくは3以上、さらに好ましくは5以上であり;より好ましくは50以下の整数である。上記式中、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10およびOC
6F
12は、直鎖または分枝鎖のいずれであってもよく、好ましくは直鎖である。この態様において、PFPEは、好ましくは、−(OC
2F
4−OC
3F
6)
j1−または−(OC
2F
4−OC
4F
8)
j1−である。このようなPFPE構造を有することにより、PFPE含有シラン化合物(あるいは、PFPE含有シラン化合物を含む表面処理剤)を用いて形成された層(例えば表面処理層)の紫外線耐久性、耐熱性、耐加水分解性、撥水性、撥油性、摩擦耐久性、滑り抑制効果、防湿性がより良好になり得る。
【0108】
上記式中、R
13は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。
【0109】
本明細書において用いられる場合、「加水分解可能な基」とは、加水分解反応を受け得る基を意味し、すなわち、加水分解反応により、化合物の主骨格から脱離し得る基を意味する。加水分解可能な基の例としては、−OR、−OCOR、−O−N=CR
2、−NR
2、−NHR、ハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換の炭素原子数1〜4のアルキル基を示す)などが挙げられ、好ましくは−OR(即ち、アルコキシ基)である。Rの例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。水酸基は、特に限定されないが、加水分解可能な基が加水分解して生じたものであってよい。
【0110】
上記式中、R
14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜22のアルキル基、好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。
【0111】
上記式中、R
11は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子は、好ましくはヨウ素原子、塩素原子またはフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
【0112】
上記式中、R
12は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。低級アルキル基は、好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
【0113】
上記式中、nは、(−SiR
13nR
143−n)単位毎に独立して、0〜3の整数であり、好ましくは1〜3であり、より好ましくは3である。ただし、式(A1)または(A2)中、少なくとも1のnが1以上である。言い換えると、式(A1)、および(A2)において、SiR
13が少なくとも1存在する。このような構成を有することにより、PFPE含有シラン化合物は、良好な紫外線耐久性、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、耐熱性、高い摩擦耐久性、耐加水分解性、耐ケミカル性、防湿性等を有する表面処理層を形成し得る。
【0114】
好ましい態様において、式(A1)または(A2)中、少なくとも2つのnが1以上である。言い換えると、式(A1)、および(A2)において、SiR
13が少なくとも2存在する。このような構成を有することにより、PFPE含有シラン化合物は、より良好な紫外線耐久性、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、耐熱性、高い摩擦耐久性、耐加水分解性、耐ケミカル性、防湿性等、特に、良好な紫外線耐久性、高い摩擦耐久性、耐ケミカル性等を有する表面処理層を形成し得る。
【0115】
好ましくは、式(A1)、および(A2)において、nが2または3であり、より好ましくはnが3である。言い換えると、式(A1)、および(A2)において、Si原子は、好ましくは−SiR
132R
14または−SiR
133として存在し、より好ましくは−SiR
133として存在する。
【0116】
上記式中、X
1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表す。当該X
1は、式(A1)および(A2)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性等を提供するフルオロポリエーテル部(即ち、Rf−PFPE部または−PFPE−部)と、基材との結合能を提供するシラン部(即ち、αを付して括弧でくくられた基)とを連結するリンカーと解される。従って、当該X
1は、式(A1)および(A2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、単結合であってもよく、いずれの有機基であってもよい。。本明細書において、X
1として記載している基において、記載の左側がPFPEで表される基に、右側がαを付して括弧でくくられた基に、それぞれ結合する。
【0117】
上記式中のαは、1〜9の整数であり、α’は、1〜9の整数である。これらαおよびα’は、X
1の価数に応じて変化し得る。式(A1)において、αおよびα’の和は、X
1の価数と同じである。例えば、X
1が10価の有機基である場合、αおよびα’の和は10であり、例えばαが9かつα’が1、αが5かつα’が5、またはαが1かつα’が9となり得る。また、X
1が2価の有機基である場合、αおよびα’は1である。式(A2)において、αはX
1の価数の値から1を引いた値である。
【0118】
一の態様において、X
1は、各出現においてそれぞれ独立して、−CON(R
34)−、C
1−6のアルキレン基、またはOR
35を含む2〜10価の有機基である。
上記R
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC
1−6アルキル基、好ましくは、水素原子、またはC
1−6アルキル基、より好ましくは、水素原子、またはメチル基、さらに好ましくは、水素原子である。
上記R
35は、C
1−6アルキレン基であり、好ましくは、C
1−3アルキレン基である。
【0119】
一の態様において、上記X
1は、例えば、下記式:
−(R
31)
p’−(X
a)
q’−
[式中:
R
31は、単結合、1以上のフッ素原子により置換されていてもよい−(CH
2)
s’−またはo−、m−もしくはp−フェニレン基を表し、好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよい−(CH
2)
s’−であり、
s’は、1〜20の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜3の整数、さらにより好ましくは1または2であり、
X
aは、−(X
b)
l’−を表し、
X
bは、各出現においてそれぞれ独立して、−O−、−(OR
35)
n4−、−S−、o−、m−もしくはp−フェニレン基、−C(O)O−、−Si(R
33)
2−、−(Si(R
33)
2O)
m’−Si(R
33)
2−、−CON(R
34)−、−O−CON(R
34)−、−N(R
34)−および−(CH
2)
n’−からなる群から選択される基を表し、
R
33は、各出現においてそれぞれ独立して、フェニル基、C
1−6アルキル基またはC
1−6アルコキシ基を表し、好ましくはフェニル基またはC
1−6アルキル基であり、より好ましくはメチル基であり、
R
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC
1−6アルキル基、好ましくは、水素原子、またはC
1−6アルキル基、より好ましくは、水素原子、またはメチル基、さらに好ましくは、水素原子を表し、
R
35は、各出現においてそれぞれ独立して、C
1−6のアルキレン基であり、好ましくは、C
1−3のアルキレン基であり、
n4は、各出現において、それぞれ独立して、1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1であり、
m’は、各出現において、それぞれ独立して、1〜100の整数、好ましくは1〜20の整数であり、
n’は、各出現において、それぞれ独立して、1〜20の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜3の整数であり、
l’は、1〜10の整数、好ましくは1〜5の整数、より好ましくは1〜3の整数であり、
p’は、0または1であり、
q’は、0または1であり、
ここに、p’およびq’の少なくとも一方は1であり、p’またはq’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である]
で表される2価の基が挙げられる。ここに、R
31およびX
a(典型的にはR
31およびX
aの水素原子)は、フッ素原子、C
1−3アルキル基およびC
1−3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0120】
一の態様において、l’は、1である。
【0121】
好ましくは、上記X
1は、−(R
31)
p’−(X
a)
q’−R
32−である。R
32は、単結合、−(CH
2)
t’−またはo−、m−もしくはp−フェニレン基を表し、好ましくは−(CH
2)
t’−である。t’は、1〜20の整数、好ましくは2〜6の整数、より好ましくは2〜3の整数である。ここに、R
32(典型的にはR
32の水素原子)は、フッ素原子、C
1−3アルキル基およびC
1−3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0122】
上記X
1の例としては、特に限定するものではないが、以下の構造を挙げることができる。
−X
10−CON(R
34)−X
11−、
−X
10−(OR
35)
n4−X
11−、
C
1−6アルキレン基(好ましくはプロピレン基)。
X
1が上記のような構造であることにより、PFPE含有シラン化合物より形成される層の耐加水分解性、摩擦耐久性、耐ケミカル性、防湿性等がより良好になる。
【0123】
上記X
10は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基であり、好ましくは、単結合、−O−R
36−O−、−R
36−、または、o−、m−、もしくはp−フェニレン基、より好ましくは、単結合、−O−R
36−O−、または−R
36−である。
【0124】
上記R
36は、1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−3アルキレン基、さらに好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−2アルキレン基である。上記アルキレン基は、直鎖状でもよく、分岐構造を有していてもよい。
【0125】
一の態様において、上記X
10における、1以上のフッ素原子により置換されていてもよいアルキレン基は、例えば、C
1−3パーフルオロアルキレン基、1以上のフッ素原子により置換されているC
1−3フルオロアルキレン基、または、置換基を有しないC
1−3アルキレン基、より具体的にはC
1−2パーフルオロアルキレン基、1以上のフッ素原子により置換されているC
1−2フルオロアルキレン基、または、置換基を有しないC
1−2アルキレン基である。
【0126】
上記X
11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子、または2価の有機基であり、好ましくは、単結合、酸素原子、または1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基である。
【0127】
一の態様において、X
11は、好ましくは、単結合、または1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、より好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−6アルキレン基であり、さらに好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−3アルキレン基であり、特に好ましくは、置換基を有しないC
1−3アルキレン基である。
【0128】
上記X
11における、1以上のフッ素原子により置換されていてもよいアルキレン基は、好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−6アルキレン基、より好ましくは、1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−3アルキレン基である。上記アルキレン基は、直鎖状でもよく、分岐構造を有していてもよい。
【0129】
より好ましくは、上記X
11における、1以上のフッ素原子により置換されていてもよいアルキレン基は、好ましくは置換基を有しないC
1−6アルキレン基、より好ましくは、置換基を有しないC
1−3アルキレン基である。
【0130】
上記R
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC
1−6アルキル基、好ましくは、水素原子、またはC
1−6アルキル基、より好ましくは、水素原子、またはメチル基、さらに好ましくは、水素原子を表し、
上記R
35は、各出現においてそれぞれ独立して、C
1−6アルキレン基であり、好ましくは、C
1−3アルキレン基である。
上記n4は、各出現においてそれぞれ独立して、1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1である。
【0131】
一の態様において、X
1は、
−X
10−CON(R
34)−X
11−、または
C
1−6アルキレン基(好ましくはプロピレン基)
である。
上記式中:
R
34は、上記と同意義であり、好ましくは、水素原子、またはC
1−6アルキル基、より好ましくは、水素原子、またはメチル基、より好ましくは、水素原子であり;
X
10は、上記と同意義であり、好ましくは、単結合、−R
36−または、o−、m−、もしくはp−フェニレン基であり、より好ましくは単結合、または−R
36−であり、さらに好ましくは単結合であり;
R
36は、上記と同意義であり、好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、より好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−3アルキレン基、さらに好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−2アルキレン基であり;
X
11は、上記と同意義であり、好ましくは、単結合、または1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、より好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−6アルキレン基であり、さらに好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−3アルキレン基であり、特に好ましくは、置換基を有しないC
1−3アルキレン基である。
【0132】
上記態様において、特に好ましくは、X
1は、−X
10−CON(R
34)−X
11−である。上記式中、R
34、X
10、およびX
11は上記と同意義である。
【0133】
上記態様において、上記X
10は単結合であり、かつ、上記X
11はC
1−3アルキレン基であることが特に好ましく、X
11は置換基を有しないC
1−3アルキレン基であることがさらに好ましい。
【0134】
一の態様において、上記X
10は単結合であり、かつ、上記X
11はC
1−3アルキレン基、好ましくは、X
11は置換基を有しないC
1−3アルキレン基である。
【0135】
上記X
1の具体的な例としては、例えば:
−CH
2OCH
2−、
−CH
2O(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3−、
−CH
2O(CH
2)
6−、
−CF
2−CH
2OCH
2−、
−CF
2−CH
2O(CH
2)
2−、
−CF
2−CH
2O(CH
2)
3−、
−CF
2−CH
2O(CH
2)
6−、
−O−CFHCF
2−O−CH
2OCH
2−、
−O−CFHCF
2−O−CH
2O(CH
2)
2−、
−O−CFHCF
2−O−CH
2O(CH
2)
3−、
−O−CFHCF
2−O−CH
2O(CH
2)
6−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−C(O)NH−CH
2−、
−CH
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
4−、
−(CH
2)
5−、
−(CH
2)
6−、
−CF
2−、
−(CF
2)
2−、
−CF
2−CH
2−、
−CF
2−(CH
2)
2−、
−CF
2−(CH
2)
3−、
−CF
2−(CH
2)
4−、
−CF
2−(CH
2)
5−、
−CF
2−(CH
2)
6−、
−CONH−、
−CONH−CH
2−、
−CONH−(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3−、
−CONH−(CH
2)
6−、
−CF
2−CONH−、
−CF
2−CONH−CH
2−、
−CF
2−CONH−(CH
2)
2−、
−CF
2−CONH−(CH
2)
3−、
−CF
2−CONH−(CH
2)
6−、
−O−CFHCF
2−O−CONH−、
−O−CFHCF
2−O−CONH−CH
2−、
−O−CFHCF
2−O−CONH−(CH
2)
2−、
−O−CFHCF
2−O−CONH−(CH
2)
3−、
−O−CFHCF
2−O−CONH−(CH
2)
6−、
−CON(CH
3)−、
−CON(CH
3)−CH
2−、
−CON(CH
3)−(CH
2)
2−、
−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CON(CH
3)−(CH
2)
6−、
−CON(CH
3)−C
6H
4−、
−CON(Ph)−(CH
2)
3−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CON(Ph)−(CH
2)
6−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CF
2−CON(CH
3)−、
−CF
2−CON(CH
3)−CH
2−、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
2−、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(CH
3)−C
6H
4−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
3−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
6−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CH
2−CON(CH
3)−CH
2−、
−CH
2−CON(CH
3)−(CH
2)
2−、
−CH
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
6−、
−OCH
2−、
−O(CH
2)
3−、
−OCFHCF
2−、
−O−CFHCF
2−O−、
−O−CFHCF
2−O−CH
2−、
−O−CFHCF
2−O−(CH
2)
2−、
−O−CFHCF
2−O−(CH
2)
3−、
−O−CFHCF
2−O−(CH
2)
6−、
−O−CFHCF
2−O−C
6H
4−、
または
【化4】
などが挙げられる。
【0136】
より好ましいX
1としては、
−O−CFHCF
2−O−CONH−、
−O−CFHCF
2−O−CONH−CH
2−、
−O−CFHCF
2−O−CONH−(CH
2)
2−、
−O−CFHCF
2−O−CONH−(CH
2)
3−、
−O−CFHCF
2−O−CONH−(CH
2)
6−、
−CONH−、
−CONH−CH
2−、
−CONH−(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3−、
−CONH−(CH
2)
6−、
−CF
2−CONH−、
−CF
2−CONH−CH
2−、
−CF
2−CONH−(CH
2)
2−、
−CF
2−CONH−(CH
2)
3−、
−CF
2−CONH−(CH
2)
6−、
−O−CFHCF
2−O−CH
2OCH
2−、
−O−CFHCF
2−O−CH
2O(CH
2)
2−、
−O−CFHCF
2−O−CH
2O(CH
2)
3−、
−O−CFHCF
2−O−CH
2O(CH
2)
6−、
−CH
2OCH
2−、
−CH
2O(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3−、
−CH
2O(CH
2)
6−、
−CF
2−CH
2OCH
2−、
−CF
2−CH
2O(CH
2)
2−、
−CF
2−CH
2O(CH
2)
3−、
−CF
2−CH
2O(CH
2)
6−、
−O−CFHCF
2−O−、
−O−CFHCF
2−O−(CH
2)
2−、
−O−CFHCF
2−O−(CH
2)
3−、
−O−CFHCF
2−O−(CH
2)
6−、
−CH
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
6−
−CF
2−、
−(CF
2)
2−、
−CF
2−CH
2−、
−CF
2−(CH
2)
2−、
−CF
2−(CH
2)
3−、
−CF
2−(CH
2)
6−、
などを挙げることができる。
【0137】
さらに別の態様において、X
1基の例として、下記の基が挙げられる:
【化5】
[式中、
R
41は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、またはC
1−6アルコキシ基、好ましくはメチル基であり;
各X
1基において、Tのうち任意のいくつかは、分子主鎖のPFPEに結合する以下の基:
−CH
2O(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3−、
−CF
2O(CH
2)
3−、
−CH
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
4−、
−CONH−(CH
2)
3−、
−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CON(Ph)−(CH
2)
3−(式中、Phはフェニルを意味する)、または
【化6】
[式中、R
42は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−6のアルキル基またはC
1−6のアルコキシ基、好ましくはメチル基またはメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。]
であり、別のTのいくつかは、分子主鎖のPFPEと反対の基に結合する−(CH
2)
n”−(n”は2〜6の整数)であり、存在する場合、残りのTは、それぞれ独立して、メチル基、フェニル基、C
1−6アルコキシ基またはラジカル捕捉基もしくは紫外線吸収基であり得る。
【0138】
ラジカル捕捉基は、光照射で生じるラジカルを捕捉できるものであれば特に限定されないが、例えばベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、安息香酸エステル類、サリチル酸フェニル類、クロトン酸類、マロン酸エステル類、オルガノアクリレート類、ヒンダードアミン類、ヒンダードフェノール類、またはトリアジン類の残基が挙げられる。
【0139】
紫外線吸収基は、紫外線を吸収できるものであれば特に限定されないが、例えばベンゾトリアゾール類、ヒドロキシベンゾフェノン類、置換および未置換安息香酸もしくはサリチル酸化合物のエステル類、アクリレートまたはアルコキシシンナメート類、オキサミド類、オキサニリド類、ベンゾキサジノン類、ベンゾキサゾール類の残基が挙げられる。
【0140】
好ましい態様において、好ましいラジカル捕捉基または紫外線吸収基としては、
【化7】
が挙げられる。
【0141】
この態様において、X
1(および、下記するX
3およびX
5)は、3〜10価の有機基であり得る。
【0142】
上記式中、X
2は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表す。X
2は、好ましくは、炭素原子数1〜20のアルキレン基であり、より好ましくは、−(CH
2)
u−(式中、uは、0〜2の整数である)である。
【0143】
上記式中、tは、それぞれ独立して、2〜10の整数である。好ましい態様において、tは2〜6の整数である。
【0144】
好ましい態様において、式(A1)および(A2)において、
PFPEは、それぞれ独立して、式:
−(OCF(CF
3)CF
2)
d−
(式中、dは、dは1以上200以下であり、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である。)で表される基であり;
X
1は、各出現においてそれぞれ独立して、
−X
f−X
10−CON(R
34)−X
11−、
−X
f−X
10−(OR
35)
n4−X
11−、または
−X
f−C
1−6アルキレン基(好ましくはプロピレン基)
で表される基であり;
X
fは、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、または炭素原子数1〜6のアルキレン基、好ましくは、単結合、または炭素原子数1〜4のアルキレン基、より好ましくは、単結合、または炭素原子数1〜2のアルキレン基(例えばメチレン基)であり、X
f中の水素原子は、フッ素原子、C
1−3アルキル基およびC
1−3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよく、好ましくは置換されており;
X
10は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、−O−R
36−O−、−R
36−、または、o−、m−、もしくはp−フェニレン基、好ましくは、単結合、−O−R
36−O−、または−R
36−であり、より好ましくは単結合、または−R
36−であり、さらに好ましくは単結合であり;
R
36は、1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−3アルキレン基、さらに好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−2アルキレン基であり、R
36における上記アルキレン基は、直鎖状でもよく、分岐構造を有していてもよく;
R
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC
1−6アルキル基、好ましくは、水素原子、またはC
1−6アルキル基、より好ましくは、水素原子、またはメチル基、さらに好ましくは、水素原子であり;
R
35は、各出現においてそれぞれ独立して、C
1−6アルキレン基であり、好ましくは、C
1−3アルキレン基であり;
n4は、各出現においてそれぞれ独立して、1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1であり;
X
11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子、または1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−6アルキレン基であり、より好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−3アルキレン基であり、特に好ましくは、置換基を有しないC
1−3アルキレン基であり;
X
2は、−(CH
2)
u−であり;
uは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数である。
【0145】
好ましい態様において、式(A1)および(A2)で示される化合物は、下記式(A1’)および(A2’):
【化8】
[式中:
PFPEは、それぞれ独立して、式:
−(OCF(CF
3)CF
2)
d−
(式中、dは、0以上200以下の整数である。)
で表される基であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素原子数1〜16のアルキル基を表し;
R
13は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
R
14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜22のアルキル基を表し;
R
11は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し;
R
12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
nは、2または3であり、好ましくは3であり;
X
1は、各出現においてそれぞれ独立して、−X
10−CONH−X
11−、−X
10−(OR
35)
n4−X
11−(R
35は、C
1−3アルキレン基;n4は、1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数、より好ましくは1)、またはC
1−6アルキレン基(好ましくはプロピレン基)であり;
X
10は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、−O−R
36−O−、または−R
36−であり;
R
36は、1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−3アルキレン基であり;
X
11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子、またはC
1−3アルキレン基であり;
X
2は、−(CH
2)
u−であり;
uは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
tは、各出現においてそれぞれ独立して、2〜10の整数である。]
で表される化合物である。
【0146】
別の態様において、式(A1)および(A2)で示される化合物は、下記式(A1’)および(A2’):
【化9】
[式中:
PFPEは、それぞれ独立して、式:
−(R
16−R
17)
j1−
(式中、R
16は、OCF
2またはOC
2F
4であり、
R
17は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10およびOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせであり、
j1は、2〜100の整数である)
で表される基であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素原子数1〜16のアルキル基を表し;
R
13は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
R
14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜22のアルキル基を表し;
R
11は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し;
R
12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
nは、2または3であり、好ましくは3であり;
X
1は、各出現においてそれぞれ独立して、−X
10−CONH−X
11−、−X
10−(OR
35)
n4−X
11−(R
35は、C
1−3アルキレン基)、またはC
1−6アルキレン基(好ましくはプロピレン基)であり;
X
10は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、−O−R
36−O−、または−R
36−であり;
R
36は、1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−3アルキレン基であり;
X
11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子、またはC
1−3アルキレン基であり;
X
2は、−(CH
2)
u−であり;
uは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
tは、各出現においてそれぞれ独立して、2〜10の整数である。]
で表される化合物である。
【0147】
別の好ましい態様において、式(A1)および(A2)で示される化合物は、上記式(A1’)および(A2’)で表され;
PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、−(R
16−R
17)
j1−で表される基であり;
R
16は、OCF
2またはOC
2F
4であり;
R
17は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10およびOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせであり;
j1は、2〜100の整数であり;
Rf、X
1、X
2、R
11〜R
14、n、t、α、およびα’は上記と同意義である。
【0148】
上記式(A1)および(A2)で表される化合物の数平均分子量は、特に限定されないが、例えば1,000〜40,000、好ましくは1,000〜32,000、より好ましくは1,000〜20,000、さらにより好ましくは1,000〜12,000であり得る。上記数平均分子量は、
19F−NMRと
1H−NMRにより測定される値とする。
【0149】
一の態様において、上記式(A1)および(A2)で表される化合物の数平均分子量は、1,000〜8,000であり、好ましくは、1,000〜4,000である。このような数平均分子量を有することにより、上記化合物(あるいは、上記化合物を含む表面処理剤)を用いて形成された層(例えば表面処理層)は、特に良好な、滑り抑制効果、耐摩耗性等を有する。
【0150】
一の態様において、上記式(A1)および(A2)で表される化合物の重量平均分子量Mwは3000以上6000未満であり、上記化合物の分子量分布(Mw/Mn)は、1.2以下である。重量平均分子量、分子量分布は、例えば、GPC(ゲル濾過クロマトグラフィー)測定に基づいて求められる。
【0151】
好ましい態様において、式(A1)および(A2)で示される化合物は、式(A1)で表される化合物であり、式(A1’)で表される化合物であることがより好ましい。
【0152】
一の態様において、上記式(A1)および(A2)で表される化合物は、例えば、Rf−PFPE−部分に対応するフルオロポリエーテル誘導体を原料として、末端に水酸基を導入した後、例えば末端にハロゲン化アルキルを有する化合物とWilliamson反応に付すこと等により得ることができる。
【0153】
式(B1)および(B2):
【化10】
【0154】
上記式(B1)および(B2)中、RfおよびPFPEは、上記式(A1)および(A2)に関する記載と同意義である。ただし、「式(A1)」は「式(B1)」に、「X
1基」は「X
3基」に、それぞれ読み替えるものとする。
【0155】
上記式中、X
3は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表す。当該X
3は、式(B1)および(B2)で表される化合物において、主に良好な紫外線耐久性、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、耐ケミカル性、耐加水分解性、滑り性の抑制効果、高い摩擦耐久性、耐熱性、防湿性等を提供するフルオロポリエーテル部(即ち、Rf−PFPE部または−PFPE−部)と、基材との結合能を提供するシラン部(具体的には、−SiR
ak1R
bl1R
cm1基)とを連結するリンカーと解される。従って、当該X
3は、式(B1)および(B2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、単結合であってもよく、いずれの有機基であってもよい。本明細書において、X
3として記載している構造において、記載の左側がPFPEで表される基に、右側がβを付して括弧でくくられた基に、それぞれ結合する。
【0156】
上記式中のβは、1〜9の整数であり、β’は、1〜9の整数である。これらβおよびβ’は、X
3の価数に応じて変化し得る。式(B1)において、βおよびβ’の和は、X
3の価数と同じである。例えば、X
3が10価の有機基である場合、βおよびβ’の和は10であり、例えばβが9かつβ’が1、βが5かつβ’が5、またはβが1かつβ’が9となり得る。また、X
3が2価の有機基である場合、βおよびβ’は1である。式(B2)において、βはX
3の価数の値から1を引いた値である。
【0157】
上記X
3は、好ましくは2〜7価、より好ましくは2〜4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0158】
一の態様において、X
3は2〜4価の有機基であり、βは1〜3であり、β’は1である。
【0159】
別の態様において、X
3は2価の有機基であり、βは1であり、β’は1である。この場合、式(B1)および(B2)は、下記式(B1’)および(B2’)で表される。
【化11】
【0160】
上記X
3の例としては、特に限定するものではないが、例えば、X
1に関して記載したものと同様のものが挙げられる。
【0161】
中でも、好ましいX
3としては、
−X
10−CON(R
34)−X
11−、
−X
10−(OR
35)
n4−X
11−、
C
1−6アルキレン基(好ましくはプロピレン基)等を挙げることができる。上記式中、R
34、R
35、X
10、X
11およびn4は上記と同意義である。
【0162】
特に好ましいX
3は、具体的には、
−O−CFHCF
2−O−CONH−、
−O−CFHCF
2−O−CONH−CH
2−、
−O−CFHCF
2−O−CONH−(CH
2)
2−、
−O−CFHCF
2−O−CONH−(CH
2)
3−、
−O−CFHCF
2−O−CONH−(CH
2)
6−、
−CONH−、
−CONH−CH
2−、
−CONH−(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3−、
−CONH−(CH
2)
6−、
−CF
2CONH−、
−CF
2CONHCH
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
3−、
−CF
2CONH(CH
2)
6−、
−O−CFHCF
2−O−CH
2OCH
2−、
−O−CFHCF
2−O−CH
2O(CH
2)
2−、
−O−CFHCF
2−O−CH
2O(CH
2)
3−、
−O−CFHCF
2−O−CH
2O(CH
2)
6−、
−CH
2OCH
2−、
−CH
2O(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3−、
−CH
2O(CH
2)
6−、
−CF
2−CH
2−O−CH
2−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
2−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
3−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
6−、
−O−CFHCF
2−O−、
−O−CFHCF
2−O−(CH
2)
2−、
−O−CFHCF
2−O−(CH
2)
3−、
−O−CFHCF
2−O−(CH
2)
6−、
−CH
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
6−、
−CF
2−、
−(CF
2)
2−、
−CF
2−CH
2−、
−CF
2−(CH
2)
2−、
−CF
2−(CH
2)
3−、
−CF
2−(CH
2)
4−、
−CF
2−(CH
2)
5−、
−CF
2−(CH
2)
6−
などを挙げることができる。
【0163】
好ましい態様において、X
3は、
−X
10−CON(R
34)−X
11−、または
C
1−6アルキレン基(好ましくはプロピレン基)
である。
上記式中:
R
34は、上記と同意義であり、好ましくは、水素原子、またはC
1−6アルキル基、より好ましくは、水素原子、またはメチル基、より好ましくは、水素原子であり;
X
10は、上記と同意義であり、好ましくは、単結合、−R
36−または、o−、m−、もしくはp−フェニレン基であり、より好ましくは単結合、または−R
36−であり、さらに好ましくは単結合であり;
R
36は、上記と同意義であり、好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、より好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−3アルキレン基、さらに好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−2アルキレン基であり;
X
11は、上記と同意義であり、好ましくは、単結合、または1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、より好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−6アルキレン基であり、さらに好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−3アルキレン基であり、特に好ましくは、置換基を有しないC
1−3アルキレン基である。
【0164】
上記態様において、特に好ましくは、X
3は、−X
10−CON(R
34)−X
11−である。上記式中、R
34、X
10、およびX
11は上記と同意義である。
【0165】
上記態様において、上記X
10は単結合であり、かつ、上記X
11はC
1−3アルキレン基であることが特に好ましく、X
11は置換基を有しないC
1−3アルキレン基であることがさらに好ましい。
【0166】
一の態様において、X
3の例としては、特に限定するものではないが、以下の構造を挙げることができる。
−X
f−X
10−CON(R
34)−X
11−、
−X
f−X
10−(OR
35)
n4−X
11−、
−X
f−C
1−6アルキレン基(好ましくはプロピレン基)
式中、X
f、X
10、R
34、X
11、R
35、およびn4は、上記と同意義である。
【0167】
上記式中、R
aは、各出現においてそれぞれ独立して、−Z
3−SiR
71p1R
72q1R
73r1を表す。
【0168】
式中、Z
3は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表す。
【0169】
上記Z
3は、好ましくは、2価の有機基であり、式(B1)または式(B2)における分子主鎖の末端のSi原子(R
aが結合しているSi原子)とシロキサン結合を形成するものを含まない。
【0170】
上記Z
3は、好ましくは、C
1−6アルキレン基、−(CH
2)
g−O−(CH
2)
h−(式中、gは、1〜6の整数であり、hは、1〜6の整数である)または、−フェニレン−(CH
2)
i−(式中、iは、0〜6の整数である)であり、より好ましくはC
1−3アルキレン基である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、およびC
2−6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。紫外線耐久性が特に良好な観点からは、上記Z
3は、より好ましくは、直鎖状または分枝鎖状のアルキレン基であり、さらに好ましくは直鎖状のアルキレン基である。上記Z
3のアルキレン基を構成する炭素原子数は、好ましくは1〜6の範囲にあり、より好ましくは1〜3の範囲にある。なお、アルキレン基については上記のとおりである。
【0171】
一の態様において、Z
3は、C
1−6アルキレン基または−フェニレン−(CH
2)
i−であり得る。Z
3が上記の基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。式中、iは、0〜6の整数である。
【0172】
上記態様において、好ましくは、上記Z
3は、C
1−6アルキレン基であり、より好ましくは、C
1−3アルキレン基である。
【0173】
一の態様において、
上記X
3は、−X
10−CON(R
34)−X
11−、またはC
1−6アルキレン基(好ましくはプロピレン基)であることが好ましく、−X
10−CON(R
34)−X
11−であることがより好ましく;および
上記Z
3は、C
1−6アルキレン基または−フェニレン−(CH
2)
i−であることが好ましく、C
1−6アルキレン基であることがより好ましく、C
1−3アルキレン基であることがさらに好ましい
R
34、X
10、X
11およびiは上記と同意義である。
【0174】
一の態様において、
上記X
3は、好ましくは−X
10−CON(R
34)−X
11−、またはC
1−6アルキレン基(好ましくはプロピレン基)であり、より好ましくは−X
10−CON(R
34)−X
11−であり;および
上記Z
3は、好ましくはC
1−6アルキレン基または−フェニレン−(CH
2)
i−であり、より好ましくはC
1−6アルキレン基であり、さらに好ましくは、C
1−3アルキレン基である。
上記式中:
R
34は、水素原子、またはC
1−6アルキル基、好ましくは、水素原子、またはメチル基、より好ましくは、水素原子であり;
X
10は、単結合、−R
36−または、o−、m−、もしくはp−フェニレン基であり、好ましくは単結合、または−R
36−であり、より好ましくは単結合であり;
R
36は、1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−3アルキレン基、より好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−2アルキレン基であり;
X
11は、単結合、または1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−6アルキレン基であり、より好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−3アルキレン基であり、特に好ましくは、置換基を有しないC
1−3アルキレン基であり;
iは、0〜6の整数である。
【0175】
上記態様において、上記X
10は単結合であり、かつ、上記X
11はC
1−3アルキレン基であることが特に好ましく、X
11は置換基を有しないC
1−3アルキレン基であることがさらに好ましい。上記X
3は、−X
10−CON(R
34)−X
11−であることがより好ましい。
【0176】
一の態様において、
X
3は、−X
f−X
10−(OR
35)
n4−X
11−で表される基であり;
Z
3は、C
1−6アルキレン基であり、さらに好ましくは、C
1−3アルキレン基である。式中、X
f、X
10、X
11、R
35、およびn4は、上記と同意義である。
【0177】
式中、R
71は、各出現においてそれぞれ独立して、R
a’を表す。R
a’は、R
aと同意義である。
【0178】
R
a中、Z
3基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個である。即ち、上記R
aにおいて、R
71が少なくとも1つ存在する場合、R
a中にZ
3基を介して直鎖状に連結されるSi原子が2個以上存在するが、かかるZ
3基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数は最大で5個である。なお、「R
a中のZ
3基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」とは、R
a中において直鎖状に連結される−Z
3−Si−の繰り返し数と等しくなる。
【0179】
例えば、下記にR
a中においてZ
3基を介してSi原子が連結された一例を示す。
【化12】
【0180】
上記式において、*は、主鎖のSiに結合する部位を意味し、…は、Z
3Si以外の所定の基が結合していること、即ち、Si原子の3本の結合手がすべて…である場合、Z
3Siの繰り返しの終了箇所を意味する。また、Siの右肩の数字は、*から数えたZ
3基を介して直鎖状に連結されたSiの出現数を意味する。即ち、Si
2でZ
3Si繰り返しが終了している鎖は「R
a中のZ
3基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」が2個であり、同様に、Si
3、Si
4およびSi
5でZ
3Si繰り返しが終了している鎖は、それぞれ、「R
a中のZ
3基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」が3、4および5個である。なお、上記の式から明らかなように、R
a中には、Z
3Si鎖が複数存在するが、これらはすべて同じ長さである必要はなく、それぞれ任意の長さであってもよい。
【0181】
好ましい態様において、下記に示すように、「R
a中のZ
3基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」は、すべての鎖において、1個(左式)または2個(右式)である。
【化13】
【0182】
一の態様において、R
a中のZ
3基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数は1個または2個、好ましくは1個である。
【0183】
式中、R
72は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。「加水分解可能な基」は、上記と同意義である。
【0184】
好ましくは、R
72は、加水分解可能な基であり、より好ましくは、−OR(式中、Rは、置換または非置換のC
1−3アルキル基、より好ましくはメチル基を表す)である。
【0185】
式中、R
73は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0186】
一の態様において、R
73は、低級アルキル基である。低級アルキル基は、上記と同意義である。
【0187】
式中、p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数である。ただし、(−Z
3−SiR
71p1R
72q1R
73r1)毎において、p1、q1およびr1の和は3であり、かつ、式(B1)および(B2)において、少なくとも1のq1が1〜3の整数であり、すなわち、少なくとも1つのR
72が存在する。このような構成を有することにより、上記PFPE含有シラン化合物は、基材表面等に良好に結合可能な表面処理層を形成し得る。また、このような構成を有することにより、PFPE含有シラン化合物は、良好な紫外線耐久性、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、耐熱性、高い摩擦耐久性、耐加水分解性、耐ケミカル性、防湿性等を有する表面処理層を形成し得る。
【0188】
好ましい態様において、式(B1)および(B2)において、水酸基または加水分解可能な基に結合したSi原子が少なくとも2存在する。すなわち、式(B1)および(B2)において、−SiR
72および/または−SiR
bが少なくとも2存在する。このような構成を有することにより、上記PFPE含有シラン化合物は、基材表面等により良好に結合可能な表面処理層を形成し得る。また、このような構成を有することにより、PFPE含有シラン化合物は、より良好な紫外線耐久性、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、耐熱性、高い摩擦耐久性、耐加水分解性、耐ケミカル性、防湿性等、特に、良好な紫外線耐久性、高い摩擦耐久性、耐ケミカル性等を有する表面処理層を形成し得る。
【0189】
好ましくは、式(B1)および(B2)において、−SiR
722(具体的には、−SiR
722R
73または−SiR
723)または−SiR
b2(具体的には、−SiR
aR
b2、−SiR
b2R
c、または−SiR
b3)が存在する。
【0190】
好ましい態様において、R
a中の末端のR
a’(R
a’が存在しない場合、R
a)において、上記q1は、好ましくは2または3であり、より好ましくは3である。
【0191】
好ましい態様において、R
aの末端部の少なくとも1つは、−Si(−Z
3−SiR
72q1R
73r1)
2(具体的には、−Si(−Z
3−SiR
72q1R
73r1)
2R
73)または−Si(−Z
3−SiR
72q1R
73r1)
3、好ましくは−Si(−Z
3−SiR
72q1R
73r1)
3であり得る。ここで、q1は1以上の整数であり、好ましくは、q1は2または3である。ここで、q1とr1の和は3である。式中、(−Z
3−SiR
72q1R
73r1)の単位は、好ましくは(−Z
3−SiR
723)である。さらに好ましい態様において、R
aの末端部は、すべて−Si(−Z
3−SiR
72q1R
73r1)
3、好ましくは−Si(−Z
3−SiR
723)
3であり得る。
【0192】
上記式中、R
bは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。
【0193】
上記R
bは、好ましくは、水酸基、−OR、−OCOR、−O−N=C(R)
2、−N(R)
2、−NHR、ハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換の炭素原子数1〜4のアルキル基を示す)であり、より好ましくは−ORである。Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。水酸基は、特に限定されないが、加水分解可能な基が加水分解して生じたものであってよい。より好ましくは、R
bは、−OR(式中、Rは、置換または非置換のC
1−3アルキル基、より好ましくはメチル基を表す)である。
【0194】
上記式中、R
cは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0195】
式中、k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数である。ただし、(SiR
ak1R
bl1R
cm1)毎において、k1、l1およびm1の和は、3である。
【0196】
一の態様において、k1は、1〜3であることが好ましく、2または3であることがより好ましく、3であることが特に好ましい。本態様において、q1は1〜3であり、2または3であることが好ましく、3であることがより好ましい。
【0197】
一の態様において、k1は、1〜3の整数であり、かつ、q1は、2または3であることが好ましく、k1は、2または3であり、かつ、q1は、2または3であることがより好ましく、k1は、3であり、かつ、q1は、2または3であることがさらに好ましい。
【0198】
一の態様において、k1は、1〜3の整数であり、かつ、q1は、3であることが好ましく、k1は、2または3であり、かつ、q1は、3であることがより好ましく、k1は、3であり、かつ、q1は、3であることがさらに好ましい。
【0199】
一の態様において、k1は、1〜3の整数であり、Z
3は、2価の有機基である。好ましくは、上記Z
3は、式(B1)または式(B2)における分子主鎖の末端のSi原子(R
aが結合しているSi原子)とシロキサン結合を形成するものを含まない。より好ましくは、上記Z
3は、好ましくは、C
1−6アルキレン基、−(CH
2)
g−O−(CH
2)
h−(式中、gは、1〜6の整数であり、hは、1〜6の整数である)または、−フェニレン−(CH
2)
i−(式中、iは、0〜6の整数である)であり、より好ましくはC
1−3アルキレン基である。
【0200】
好ましい式(B1)で表されるPFPE含有シラン化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。以下において、Rfは上記と同意義であり、dは5〜40である。
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
d−OCF(CF
3)−CH
2CH
2CH
2−Si(CH
2CH
2SiCH
3(OCH
3)
2)
3、
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
d−OCF(CF
3)−CH
2CH
2CH
2−Si(CH
2CH
2CH
2SiCH
3(OCH
3)
2)
3、
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
d−OCF(CF
3)−CH
2OCH
2CH
2CH
2−Si(CH
2CH
2SiCH
3(OCH
3)
2)
3、
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
d−OCF(CF
3)−CH
2OCH
2CH
2CH
2−Si(CH
2CH
2CH
2SiCH
3(OCH
3)
2)
3、
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
d−OCF(CF
3)−CONH−CH
2−Si(CH
2CH
2SiCH
3(OCH
3)
2)
3、
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
d−OCF(CF
3)−CONH−CH
2−Si(CH
2CH
2CH
2SiCH
3(OCH
3)
2)
3、
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
d−OCF(CF
3)−CONH−CH
2CH
2CH
2−Si(CH
2CH
2SiCH
3(OCH
3)
2)
3、
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
d−OCF(CF
3)−CONH−CH
2CH
2CH
2−Si(CH
2CH
2CH
2SiCH
3(OCH
3)
2)
3、
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
d−OCF(CF
3)−CH
2CH
2CH
2−Si(CH
2CH
2Si(OCH
3)
3、
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
d−OCF(CF
3)−CH
2CH
2CH
2−Si(CH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)
3、
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
d−OCF(CF
3)−CH
2OCH
2CH
2CH
2−Si(CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)
3、
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
d−OCF(CF
3)−CH
2OCH
2CH
2CH
2−Si(CH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)
3、
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
d−OCF(CF
3)−CONH−CH
2−Si(CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)
3、
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
d−OCF(CF
3)−CONH−CH
2−Si(CH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)
3、
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
d−OCF(CF
3)−CONH−CH
2CH
2CH
2−Si(CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)
3、
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
d−OCF(CF
3)−CONH−CH
2CH
2CH
2−Si(CH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)
3
【0201】
上記式(B1)および(B2)で表される化合物の数平均分子量は、特に限定されないが、例えば、5×10
2〜1×10
5の数平均分子量を有し得る。かかる範囲のなかでも、1,000〜30,000、より好ましくは1,000〜12,000、さらに好ましくは1,000〜6,000の数平均分子量を有することが好ましい。なお、本開示において、数平均分子量は、
19F−NMRにより測定される値とする。
【0202】
好ましい態様において、式(B1)および(B2)において、
PFPEは、それぞれ独立して、式:
−(OCF(CF
3)CF
2)
d−
(式中、dは、dは1以上200以下であり、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である。)で表される基であり;
X
3は、各出現においてそれぞれ独立して、−X
f−X
10−CON(R
34)−X
11−、−X
f−X
10−(OR
35)
n4−X
11−、または、−X
f−C
1−6アルキレン基(好ましくはプロピレン基)であり、好ましくは、−X
f−X
10−CON(R
34)−X
11−であり;
X
fは、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、または炭素原子数1〜6のアルキレン基、好ましくは、単結合、または炭素原子数1〜4のアルキレン基、より好ましくは、単結合、または炭素原子数1〜2のアルキレン基(例えばメチレン基)であり、X
f中の水素原子は、フッ素原子、C
1−3アルキル基およびC
1−3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよく、好ましくは置換されており;
X
10は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、−O−R
36−O−、−R
36−、または、o−、m−、もしくはp−フェニレン基、好ましくは、単結合、−O−R
36−O−、または−R
36−であり、より好ましくは単結合、または−R
36−であり、さらに好ましくは単結合であり;
R
36は、1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−3アルキレン基、さらに好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−2アルキレン基であり、R
36における上記アルキレン基は、直鎖状でもよく、分岐構造を有していてもよく;
X
11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子、または1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−6アルキレン基であり、より好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−3アルキレン基であり、特に好ましくは、置換基を有しないC
1−3アルキレン基であり;
R
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC
1−6アルキル基、好ましくは、水素原子、またはC
1−6アルキル基、より好ましくは、水素原子、またはメチル基、さらに好ましくは、水素原子であり;
R
35は、各出現においてそれぞれ独立して、C
1−6アルキレン基であり、好ましくは、C
1−3アルキレン基であり;
n4は、各出現においてそれぞれ独立して、1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1であり;
Z
3は、好ましくはC
1−6アルキレン基または−フェニレン−(CH
2)
i−であり、より好ましくはC
1−6アルキレン基であり、さらに好ましくは、C
1−3アルキレン基であり;
iは、0〜6の整数である。
【0203】
一の態様において、上記式(B1)および(B2)で表される化合物の数平均分子量は、1,000〜8,000であり、好ましくは、1,000〜4,000である。このような数平均分子量を有することにより、上記化合物(あるいは、上記化合物を含む表面処理剤)を用いて形成された層(例えば表面処理層)が滑り抑制効果、摩擦耐久性等がより良好になり得る。
【0204】
好ましい態様において、式(B1)および(B2)で示される化合物は、式(B1)で表される化合物である。
【0205】
一の態様において、上記式(B1)および(B2)で表される化合物は、例えば、Rf−PFPE−部分に対応するフルオロポリエーテル誘導体を原料として、末端に水酸基を導入した後、末端に不飽和結合を有する基を導入し、この不飽和結合を有する基とハロゲン原子を有するシリル誘導体とを反応させ、さらにこのシリル基に末端に水酸基、次いで不飽和結合を有する基を導入し、最後に導入した不飽和結合を有する基とシリル誘導体とを反応させることにより得ることができる。例えば、国際公開第2014/069592号に記載のように合成することができる。
【0206】
式(C1)および(C2):
【化14】
【0207】
上記式(C1)および(C2)中、RfおよびPFPEは、上記式(A1)および(A2)に関する記載と同意義である。ただし、「式(A1)」は「式(C1)」に、「X
1基」は「X
5基」に、それぞれ読み替えるものとする。
【0208】
上記式中、X
5は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表す。当該X
5は、式(C1)および(C2)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性等を提供するフルオロポリエーテル部(即ち、Rf−PFPE部または−PFPE−部)と、基材との結合能を提供する部(即ち、γを付して括弧でくくられた基)とを連結するリンカーと解される。従って、当該X
5は、式(C1)および(C2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、単結合であってもよく、いずれの有機基であってもよい。本明細書において、X
5として記載している基において、記載の左側がPFPEで表される基に、右側がγを付して括弧でくくられた基に、それぞれ結合する。
【0209】
上記式中、γは1〜9の整数であり、γ’は1〜9の整数である。これらγおよびγ’は、X
5の価数に応じて変化し得る。式(C1)においては、γおよびγ’の和は、X
5の価数と同じである。例えば、X
5が10価の有機基である場合、γおよびγ’の和は10であり、例えばγが9かつγ’が1、γが5かつγ’が5、またはγが1かつγ’が9となり得る。また、X
5が2価の有機基である場合、γおよびγ’は1である。式(C2)においては、γはX
5の価数の値から1を引いた値である。
【0210】
上記X
5は、好ましくは2〜7価、より好ましくは2〜4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0211】
一の態様において、X
5は2〜4価の有機基であり、γは1〜3であり、γ’は1である。
【0212】
別の態様において、X
5は2価の有機基であり、γは1であり、γ’は1である。この場合、式(C1)および(C2)は、下記式(C1’)および(C2’)で表される。
【化15】
【0213】
上記X
5の例としては、特に限定するものではないが、例えば、X
1に関して記載したものと同様のものが挙げられる。
【0214】
中でも、好ましいX
5は、
−X
10−CON(R
34)−X
11−、
−X
10−(OR
35)
n4−X
11−、
C
1−6アルキレン基(好ましくはプロピレン基)等を挙げることができる。上記式中、R
34、R
35、X
10、X
11およびn4は上記と同意義である。
【0215】
一の態様において、X
5は単結合である。
【0216】
一の態様において、X
5の例としては、特に限定するものではないが、以下の構造を挙げることができる。
−X
f−X
10−CON(R
34)−X
11−、
−X
f−X
10−(OR
35)
n4−X
11−、
−X
f−C
1−6アルキレン基(好ましくはプロピレン基)
式中、X
f、X
10、R
34、X
11、R
35、およびn4は、上記と同意義である。
【0217】
上記の中でも特に好ましいX
5としては、
単結合、
−O−CFHCF
2−O−CONH−、
−O−CFHCF
2−O−CONH−CH
2−、
−O−CFHCF
2−O−CONH−(CH
2)
2−、
−O−CFHCF
2−O−CONH−(CH
2)
3−、
−O−CFHCF
2−O−CONH−(CH
2)
6−、
−CONH−、
−CONH−CH
2−、
−CONH−(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3−、
−CONH−(CH
2)
6−、
−CF
2−CONH−、
−CF
2−CONH−CH
2−、
−CF
2−CONH−(CH
2)
2−、
−CF
2−CONH−(CH
2)
3−、
−CF
2−CONH−(CH
2)
6−、
−O−CFHCF
2−O−CH
2OCH
2−、
−O−CFHCF
2−O−CH
2O(CH
2)
2−、
−O−CFHCF
2−O−CH
2O(CH
2)
3−、
−O−CFHCF
2−O−CH
2O(CH
2)
6−、
−CH
2OCH
2−、
−CH
2O(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3−、
−CH
2O(CH
2)
6−、
−CF
2−CH
2OCH
2−、
−CF
2−CH
2O(CH
2)
2−、
−CF
2−CH
2O(CH
2)
3−、
−CF
2−CH
2O(CH
2)
6−、
−O−CFHCF
2−O−、
−O−CFHCF
2−O−(CH
2)
2−、
−O−CFHCF
2−O−(CH
2)
3−、
−O−CFHCF
2−O−(CH
2)
6−、
−CH
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
6−
−CF
2−、
−(CF
2)
2−、
−CF
2−CH
2−、
−CF
2−(CH
2)
2−、
−CF
2−(CH
2)
3−、
−CF
2−(CH
2)
4−、
−CF
2−(CH
2)
5−、
−CF
2−(CH
2)
6−、
などを挙げることができる。
【0218】
好ましい態様において、X
5は、
−X
10−CON(R
34)−X
11−、または
C
1−6アルキレン基(好ましくはプロピレン基)
である。
上記式中:
R
34は、上記と同意義であり、好ましくは、水素原子、またはC
1−6アルキル基、より好ましくは、水素原子、またはメチル基、より好ましくは、水素原子であり;
X
10は、上記と同意義であり、好ましくは単結合、−R
36−または、o−、m−、もしくはp−フェニレン基であり、より好ましくは単結合、または−R
36−であり、さらに好ましくは単結合であり;
R
36は、上記と同意義であり、好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、より好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−3アルキレン基、さらに好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−2アルキレン基であり;
X
11は、上記と同意義であり、好ましくは、単結合、または1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、より好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−6アルキレン基であり、さらに好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−3アルキレン基であり、特に好ましくは、置換基を有しないC
1−3アルキレン基である。
【0219】
上記態様において、特に好ましくは、X
5は、−X
10−CON(R
34)−X
11−である。上記式中、R
34、X
10、およびX
11は上記と同意義である。
【0220】
上記態様において、上記X
10は単結合であり、かつ、上記X
11はC
1−3アルキレン基であることが特に好ましく、X
11は置換基を有しないC
1−3アルキレン基であることがさらに好ましい。
【0221】
上記式中、R
dは、各出現においてそれぞれ独立して、−Z
4−CR
81p2R
82q2R
83r2を表す。
【0222】
式中、Z
4は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表す。
【0223】
上記Z
4は、好ましくは、C
1−6アルキレン基、−(CH
2)
g−O−(CH
2)
h−(式中、gは、0〜6の整数、例えば1〜6の整数であり、hは、0〜6の整数、例えば1〜6の整数である)または、−フェニレン−(CH
2)
i−(式中、iは、0〜6の整数である)であり、より好ましくはC
1−3アルキレン基である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、およびC
2−6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0224】
式中、R
81は、各出現においてそれぞれ独立して、R
d’を表す。R
d’は、R
dと同意義である。
【0225】
R
d中、Z
4基を介して直鎖状に連結されるCは最大で5個である。即ち、上記R
dにおいて、R
81が少なくとも1つ存在する場合、R
d中にZ
4基を介して直鎖状に連結されるC原子が2個以上存在するが、かかるZ
4基を介して直鎖状に連結されるC原子の数は最大で5個である。なお、「R
d中のZ
4基を介して直鎖状に連結されるC原子の数」とは、R
d中において直鎖状に連結される−Z
4−C−の繰り返し数と等しくなる。
【0226】
好ましい態様において、下記に示すように、「R
d中のZ
4基を介して直鎖状に連結されるC原子の数」は、すべての鎖において、1個(左式)または2個(右式)である。
【化16】
【0227】
一の態様において、R
dのZ
4基を介して直鎖状に連結されるC原子の数は1個または2個、好ましくは1個である。
【0228】
式中、R
82は、各出現においてそれぞれ独立して、−Y−SiR
85n2R
863−n2を表す。
【0229】
Yは、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表す。
【0230】
好ましい態様において、Yは、C
1−6アルキレン基、−(CH
2)
g’−O−(CH
2)
h’−(式中、g’は、0〜6の整数、例えば1〜6の整数であり、h’は、0〜6の整数、例えば1〜6の整数である)または、−フェニレン−(CH
2)
i’−(式中、i’は、0〜6の整数である)である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、およびC
2−6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0231】
一の態様において、Yは、C
1−6アルキレン基または−フェニレン−(CH
2)
i’−であり得る。Yが上記の基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。式中、i’は、0〜6の整数である。
【0232】
好ましくは、上記Yは、C
1−6アルキレン基であり、より好ましくは、C
2−3アルキレン基である。
【0233】
一の態様において、
上記X
5は、−X
10−CON(R
34)−X
11−、またはC
1−6アルキレン基(好ましくはプロピレン基)であることが好ましく、−X
10−CON(R
34)−X
11−であることがより好ましく;および
上記Yは、C
1−6アルキレン基または−フェニレン−(CH
2)
i’−であることが好ましく、C
1−6アルキレン基であることがより好ましい。
R
34、X
10、X
11およびi’は上記と同意義である。
【0234】
一の態様において、
上記X
5は、好ましくは−X
10−CON(R
34)−X
11−、またはC
1−6アルキレン基(好ましくはプロピレン基)であり、より好ましくは−X
10−CON(R
34)−X
11−であり;および
上記Yは、好ましくはC
1−6アルキレン基または−フェニレン−(CH
2)
i’−であり、より好ましくはC
1−6アルキレン基であり、さらに好ましくは、C
2−3アルキレン基である。
上記式中:
R
34は、水素原子、またはC
1−6アルキル基、好ましくは、水素原子、またはメチル基、より好ましくは、水素原子であり;
X
10は、単結合、−R
36−または、o−、m−、もしくはp−フェニレン基であり、好ましくは単結合、または−R
36−であり、より好ましくは単結合であり;
R
36は、1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−3アルキレン基、より好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−2アルキレン基であり;
X
11は、単結合、または1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−6アルキレン基であり、より好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−3アルキレン基であり、特に好ましくは、置換基を有しないC
1−3アルキレン基であり;
i’は、0〜6の整数である。
【0235】
上記態様において、上記X
10は単結合であり、かつ、上記X
11はC
1−3アルキレン基であることが特に好ましく、X
11は置換基を有しないC
1−3アルキレン基であることがさらに好ましい。さらに好ましくは、上記X
5は、−X
10−CON(R
34)−X
11−である。
【0236】
上記R
85は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。「加水分解可能な基」は、上記と同意義である。
【0237】
好ましくは、R
85は、−OR(式中、Rは、置換または非置換のC
1−3アルキル基、より好ましくはエチル基またはメチル基、特にメチル基を表す)である。
【0238】
上記R
86は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0239】
上記n2は、(−Y−SiR
85n2R
863−n2)単位毎に独立して、0〜3の整数を表し、好ましくは1〜3の整数、より好ましくは2または3、特に好ましくは3である。
【0240】
上記R
83は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または低級アルキル基を表し、好ましくは、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0241】
式中、p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数である。ただし、(−Z
4−CR
81p2R
82q2R
83r2)毎において、p2、q2およびr2の和は3である。
【0242】
上記式中、R
eは、各出現においてそれぞれ独立して、−Y−SiR
85n2R
863−n2を表す。ここに、Y、R
85、R
86およびn2は、上記R
82における記載と同意義である。
【0243】
上記式中、R
fは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または低級アルキル基を表し、好ましくは、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0244】
式中、k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数である。ただし、k2、l2およびm2の和は3である。
【0245】
式(C1)および(C2)において、−Y−SiR
85で表される基が少なくとも1存在する。このような構成を有することにより、PFPE含有シラン化合物は、良好な紫外線耐久性、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、耐熱性、高い摩擦耐久性、耐加水分解性、耐ケミカル性、防湿性等を有する表面処理層を形成し得る。
【0246】
好ましい態様において、上記式(C1)および(C2)において、−Y−SiR
85で表される基が2以上存在する。具体的には、−Y−SiR
85n2R
863−n2で表される基(n2が1〜3の整数)が2以上存在する。好ましくは、上記式(C1)および(C2)において、n2が2以上である−Y−SiR
85n2R
863−n2で表される基が少なくとも2存在する。すなわち、好ましくは、上記式(C1)および(C2)において、−Y−SiR
852R
86で表される基、または−Y−SiR
853で表される基が少なくとも2存在する。このような構成を有することにより、PFPE含有シラン化合物は、より良好な紫外線耐久性、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、耐熱性、高い摩擦耐久性、耐加水分解性、耐ケミカル性、防湿性等、特に、良好な紫外線耐久性、高い摩擦耐久性、耐ケミカル性等を有する表面処理層を形成し得る。
【0247】
一の態様において、上記式(C1)および(C2)中、n2は1〜3の整数であり、および、少なくとも1つのq2は2または3であるか、あるいは、少なくとも1つのl2は2または3であることが好ましい。即ち、式中、少なくとも2つの−Y−SiR
85n2R
863−n2基が存在することが好ましい。
【0248】
上記式(C1)および(C2)において、(−Y−SiR
85n2R
863−n2)の単位は、好ましくは(−Y−SiR
852R
86)または(−Y−SiR
853)、より好ましくは(−Y−SiR
853)である。
【0249】
好ましい態様において、R
d中の末端のR
d’(R
d’が存在しない場合、R
d)において、上記q2は、好ましくは2以上、例えば2または3であり、より好ましくは3である。本態様において、より好ましくは、q2は、2以上、例えば2または3であり、かつ、n2は、2または3の整数、さらに好ましくは、q2は、2以上、例えば2または3であり、かつ、n2は、3、特に好ましくは、q2は、3であり、かつ、n2は、3である。
【0250】
好ましい態様において、R
dの末端部の少なくとも1つは、−C(−Y−SiR
85n2R
863−n2)
2(具体的には、−C(−Y−SiR
85n2R
863−n2)
2R
83)または−C(−Y−SiR
85n2R
863−n2)
3であり、好ましくは−C(−Y−SiR
85n2R
863−n2)
3であり得る。式中、(−Y−SiR
85n2R
863−n2)の単位は、(−Y−SiR
852R
86)または(−Y−SiR
853)であり、好ましくは(−Y−SiR
853)である。さらに好ましい態様において、R
dの末端部は、すべて−C(−Y−SiR
85n2R
863−n2)
3、かつ、n2は2または3の整数、好ましくは−C(−Y−SiR
853)
3であり得る。
【0251】
より好ましい態様において、(CR
dk2R
el2R
fm2)で表される基の末端は、C(−Y−SiR
85n2R
863−n2)
2R
83、C(−Y−SiR
85n2R
863−n2)
2R
fまたはC(−Y−SiR
85n2R
863−n2)
3、好ましくは、C(−Y−SiR
85n2R
863−n2)
2R
fまたはC(−Y−SiR
85n2R
863−n2)
3、より好ましくはC(−Y−SiR
85n2R
863−n2)
3である。ここで、n2は1〜3の整数である。式中、(−Y−SiR
85n2R
863−n2)の単位は、好ましくは(−Y−SiR
853)である。さらに好ましい態様において、上記基の末端部は、すべて−C(−Y−SiR
85n2R
863−n2)
3、好ましくは−C(−Y−SiR
853)
3であり得る。
【0252】
一の態様において、R
eが1〜3存在し(すなわち、l2は、1〜3の整数)、好ましくはR
eが2または3存在し(すなわち、l2は、2または3)、より好ましくはR
eが3存在する(すなわち、l2は、3)。本態様において、n2は2または3、好ましくは3である。より好ましくは、l2は2または3、かつ、n2は2または3、さらに好ましくは、l2は3、かつ、n2は3である。
【0253】
一の態様において、R
eが1〜3存在し(すなわち、l2は、1〜3の整数)、好ましくはR
eが2または3存在し(すなわち、l2は、2または3)、より好ましくはR
eが3存在する(すなわち、l2は、3)。本態様において、該R
eは、(−Y−SiR
852R
86)または(−Y−SiR
853)であり、好ましくは、(−Y−SiR
853)である。より好ましくは、l2は2または3、かつ、R
eは(−Y−SiR
852R
86)または(−Y−SiR
853)、さらに好ましくは、l2は3、かつ、R
eは(−Y−SiR
853)である。
【0254】
一の態様において、少なくとも1つのk2は、2または3であり、好ましくは3である。本態様において、R
d中の末端のR
d’(R
d’が存在しない場合、R
d)において、R
82が2以上存在し(すなわち、q2は、2以上)、例えばR
82が2または3存在し(すなわち、q2は、2または3)、かつ、該R
82は、(−Y−SiR
852R
86)または(−Y−SiR
853)であり、好ましくは、(−Y−SiR
853)である。より好ましくは、R
82が3存在し(すなわち、q2は、3)、かつ、該R
82は、(−Y−SiR
852R
86)または(−Y−SiR
853)であり、特に好ましくは、R
82が3存在し(すなわち、q2は、3)、かつ、該R
82は、(−Y−SiR
853)である。
【0255】
一の態様において、k2は2または3であり、好ましくは3である。本態様において、R
d中の末端のR
d’(R
d’が存在しない場合、R
d)において、R
82は、2または3存在し、かつ、該R
82は、(−Y−SiR
852R
86)または(−Y−SiR
853)である。より好ましくは、R
82は、2または3存在し、かつ、該R
82は、(−Y−SiR
853)、特に好ましくは、R
82は、3存在し、かつ、該R
82は、(−Y−SiR
853)である。
【0256】
好ましい式(C1)で表されるPFPE含有シラン化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。以下において、Rfは上記と同意義であり(例えば、CF
3CF
2CF
2)、dは5〜40である。
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
dOCF(CF
3)CONHCH
2C(CH
3)(CH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)
2、
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
dOCF(CF
3)CONHCH
2C(CH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)
3、
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
dOCF(CF
3)CH
2OCH
2C(CH
3)(CH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)
2、
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
dOCF(CF
3)CH
2OCH
2C(CH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)
3、
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
dOCF(CF
3)CH
2OCH
2C(CH
3)(CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)
2、
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
dOCF(CF
3)CH
2OCH
2C(CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)
3、
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
dOCF(CF
3)−CH
2CH
2CH
2−C(CH
3)(CH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)
2、
Rf−(OCF(CF
3)CF
2)
dOCF(CF
3)−CH
2CH
2CH
2−C(CH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3)
3
【0257】
上記式(C1)および(C2)で表される化合物の数平均分子量は、特に限定されないが、例えば、5×10
2〜1×10
5の数平均分子量を有し得る。かかる範囲のなかでも、1,000〜30,000、より好ましくは1,000〜12,000、さらに好ましくは1,000〜6,000の数平均分子量を有することが好ましい。なお、本開示において、数平均分子量は、
19F−NMRにより測定される値とする。
【0258】
一の態様において、上記式(C1)および(C2)で表される化合物の数平均分子量は、1,000〜8,000であり、好ましくは、1,000〜4,000である。このような数平均分子量を有することにより、上記化合物(あるいは、上記化合物を含む表面処理剤)を用いて形成された層(例えば表面処理層)が、滑り抑制効果、耐摩耗性等がより良好になり得る。
【0259】
一の態様において、
PFPEは、それぞれ独立して、式:
−(OCF(CF
3)CF
2)
d−
(式中、dは1以上200以下であり、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である。)で表される基であり;
X
5は、単結合、−X
f−X
10−CON(R
34)−X
11−、−X
f−X
10−(OR
35)
n4−X
11−、または、−X
f−C
1−6アルキレン基(好ましくはプロピレン基)であり;
X
fは、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、または炭素原子数1〜6のアルキレン基、好ましくは、単結合、または炭素原子数1〜4のアルキレン基、より好ましくは、単結合、または炭素原子数1〜2のアルキレン基(例えばメチレン基)であり、X
f中の水素原子は、フッ素原子、C
1−3アルキル基およびC
1−3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよく、好ましくは置換されており;
X
10は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、−O−R
36−O−、−R
36−、または、o−、m−、もしくはp−フェニレン基、好ましくは、単結合、−O−R
36−O−、または−R
36−であり、より好ましくは単結合、または−R
36−であり、さらに好ましくは単結合であり;
R
36は、1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−3アルキレン基、さらに好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−2アルキレン基であり、R
36における上記アルキレン基は、直鎖状でもよく、分岐構造を有していてもよく;
X
11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子、または1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−6アルキレン基であり、より好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−3アルキレン基であり、特に好ましくは、置換基を有しないC
1−3アルキレン基であり;
R
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC
1−6アルキル基、好ましくは、水素原子、またはC
1−6アルキル基、より好ましくは、水素原子、またはメチル基、さらに好ましくは、水素原子であり;
R
35は、各出現においてそれぞれ独立して、C
1−6アルキレン基であり、好ましくは、C
1−3アルキレン基であり;
n4は、各出現においてそれぞれ独立して、1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1であり;
Yは、各出現においてそれぞれ独立して、−(CH
2)
g’−O−(CH
2)
h’−(式中、g’は、0〜6の整数、h’は、0〜6の整数、例えば1〜6の整数である)、または、C
1−6アルキレン基(好ましくはC
2−3アルキレン基)であり;
l2は3;
n2は3である。
【0260】
上記態様において、g’は0であってもよい。
【0261】
一の態様において、
PFPEは、それぞれ独立して、式:
−(OCF(CF
3)CF
2)
d−
(式中、dは1以上200以下であり、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である。)で表される基であり;
X
5は、単結合であり;
Yは各出現においてそれぞれ独立して、−(CH
2)
g’−O−(CH
2)
h’−(式中、g’は、0〜6の整数、例えばg’は0、h’は、0〜6の整数、例えば1〜6の整数である)、または、C
1−6アルキレン基(好ましくはC
2−3アルキレン基)であり;
l2は3;
n2は3である。
【0262】
好ましい態様において、式(C1)および(C2)において、
PFPEは、それぞれ独立して、式:
−(OCF(CF
3)CF
2)
d−
(式中、dは1以上200以下であり、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である。)で表される基であり;
X
5は、各出現においてそれぞれ独立して、−X
f−X
10−CON(R
34)−X
11−、−X
f−X
10−(OR
35)
n4−X
11−、または、−X
f−C
1−6アルキレン基(好ましくはプロピレン基)であり、好ましくは、−X
f−X
10−CON(R
34)−X
11−であり;
X
fは、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、または炭素原子数1〜6のアルキレン基、好ましくは、単結合、または炭素原子数1〜4のアルキレン基、より好ましくは、単結合、または炭素原子数1〜2のアルキレン基(例えばメチレン基)であり、X
f中の水素原子は、フッ素原子、C
1−3アルキル基およびC
1−3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよく、好ましくは置換されており;
X
10は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、−O−R
36−O−、−R
36−、または、o−、m−、もしくはp−フェニレン基、好ましくは、単結合、−O−R
36−O−、または−R
36−であり、より好ましくは単結合、または−R
36−であり、さらに好ましくは単結合であり;
R
36は、1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−3アルキレン基、さらに好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−2アルキレン基であり、R
36における上記アルキレン基は、直鎖状でもよく、分岐構造を有していてもよく;
X
11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子、または1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−6アルキレン基であり、より好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−3アルキレン基であり、特に好ましくは、置換基を有しないC
1−3アルキレン基であり;
R
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC
1−6アルキル基、好ましくは、水素原子、またはC
1−6アルキル基、より好ましくは、水素原子、またはメチル基、さらに好ましくは、水素原子であり;
R
35は、各出現においてそれぞれ独立して、C
1−6アルキレン基であり、好ましくは、C
1−3アルキレン基であり;
n4は、各出現においてそれぞれ独立して、1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1であり;
Yは、C
1−6アルキレン基であり、好ましくは、C
2−3アルキレン基である。
【0263】
好ましい態様において、式(C1)および(C2)で示される化合物は、式(C1)で表される化合物である。
【0264】
一の態様において、式(C1)または式(C2)で表されるPFPE含有シラン化合物は、公知の方法を組み合わせることにより製造し得る。
【0265】
一の態様において、PFPE含有シラン化合物は、式(B1)、式(B2)、式(C1)または式(C2)で表される化合物である。
【0266】
上記態様において、式(B1)は、好ましくは下記式(B1”)で表される。
式(B1”)において:
Rfは、各出現において独立して、CF
2H−C
1−15フルオロアルキレン基またはC
1−16パーフルオロアルキル基であり、好ましくはC
1−16パーフルオロアルキル基であり;
PFPEは、−(OC
3F
6)
d−であり、かつ、PFPE中に少なくとも1の分岐構造を有し、好ましくは−(OCF
2CF(CF
3))
dであり
dは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり;
X
3は、−X
f−X
10−CON(R
34)−X
11−、−X
f−X
10−(OR
35)
n4−X
11−、または、−X
f−C
1−6アルキレン基(好ましくはプロピレン基)であり、好ましくは、−X
f−X
10−CON(R
34)−X
11−であり;
X
fは、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、または炭素原子数1〜6のアルキレン基、好ましくは、単結合、または炭素原子数1〜4のアルキレン基、より好ましくは、単結合、または炭素原子数1〜2のアルキレン基(例えばメチレン基)であり、X
f中の水素原子は、フッ素原子、C
1−3アルキル基およびC
1−3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよく、好ましくは置換されており;
X
10は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、−O−R
36−O−、−R
36−、または、o−、m−、もしくはp−フェニレン基、好ましくは、単結合、−O−R
36−O−、または−R
36−であり、より好ましくは単結合、または−R
36−であり、さらに好ましくは単結合であり;
R
36は、1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−3アルキレン基、さらに好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−2アルキレン基であり、R
36における上記アルキレン基は、直鎖状でもよく、分岐構造を有していてもよく;
X
11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子、または1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−6アルキレン基であり、より好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−3アルキレン基であり、特に好ましくは、置換基を有しないC
1−3アルキレン基であり;
R
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC
1−6アルキル基、好ましくは、水素原子、またはC
1−6アルキル基、より好ましくは、水素原子、またはメチル基、さらに好ましくは、水素原子であり;
R
35は、各出現においてそれぞれ独立して、C
1−6アルキレン基であり、好ましくは、C
1−3アルキレン基であり;
n4は、各出現においてそれぞれ独立して、1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1であり;
R
aは、各出現においてそれぞれ独立して、−Z
3−SiR
71p1R
72q1R
73r1を表し;
Z
3は、好ましくはC
1−6アルキレン基または−フェニレン−(CH
2)
i−であり、より好ましくはC
1−6アルキレン基であり、さらに好ましくは、C
1−3アルキレン基であり;
R
72は、加水分解可能な基であり、より好ましくは、−OR(式中、Rは、置換または非置換のC
1−3アルキル基、より好ましくはメチル基を表す)であり;
p1は0、q1は3、r1は、0であり;
k1が3であり、l1およびm1は0である。
【0267】
上記態様において、X
3は、−X
f−X
10−(OR
35)
n4−X
11−で表される基であってもよい。式中、X
f、X
10、X
11、R
35、およびn4は、上記と同意義である。
【0268】
上記態様において、式(B2)は、好ましくは下記式(B2”)で表される。
式(B2”)において、各記号は式(B1”)の記載と同意義である。
【0269】
上記態様において、式(C1)は、好ましくは下記式(C1”)で表される。
式(C1”)において;
Rfは、各出現において独立して、CF
2H−C
1−15フルオロアルキレン基またはC
1−16パーフルオロアルキル基であり、好ましくはC
1−16パーフルオロアルキル基であり;
PFPEは、−(OC
3F
6)
d−であり、かつ、PFPE中に少なくとも1の分岐構造を有し、好ましくは−(OCF
2CF(CF
3))
dであり;
dは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり;
X
5は、−X
f−X
10−CON(R
34)−X
11−、−X
f−X
10−(OR
35)
n4−X
11−、または、−X
f−C
1−6アルキレン基(好ましくはプロピレン基)であり、好ましくは、−X
f−X
10−CON(R
34)−X
11−であり;
X
fは、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、または炭素原子数1〜6のアルキレン基、好ましくは、単結合、または炭素原子数1〜4のアルキレン基、より好ましくは、単結合、または炭素原子数1〜2のアルキレン基(例えばメチレン基)であり、X
f中の水素原子は、フッ素原子、C
1−3アルキル基およびC
1−3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよく、好ましくは置換されており;
X
10は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、−O−R
36−O−、−R
36−、または、o−、m−、もしくはp−フェニレン基、好ましくは、単結合、−O−R
36−O−、または−R
36−であり、より好ましくは単結合、または−R
36−であり、さらに好ましくは単結合であり;
R
36は、1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−3アルキレン基、さらに好ましくは1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−2アルキレン基であり、R
36における上記アルキレン基は、直鎖状でもよく、分岐構造を有していてもよく;
X
11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子、または1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−20アルキレン基であり、好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−6アルキレン基であり、より好ましくは、単結合、または置換基を有しないC
1−3アルキレン基であり、特に好ましくは、置換基を有しないC
1−3アルキレン基であり;
R
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC
1−6アルキル基、好ましくは、水素原子、またはC
1−6アルキル基、より好ましくは、水素原子、またはメチル基、さらに好ましくは、水素原子であり;
R
35は、各出現においてそれぞれ独立して、C
1−6アルキレン基であり、好ましくは、C
1−3アルキレン基であり;
n4は、各出現においてそれぞれ独立して、1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1であり;
k2は、0、l2は、3、m2は、0であり;
R
eは、−Y−SiR
85n2R
863−n2で表され;
Yは、C
1−6アルキレン基であり、好ましくは、C
2−3アルキレン基であり;
R
85は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し、好ましくは、−OR(式中、Rは、置換または非置換のC
1−3アルキル基、より好ましくはエチル基またはメチル基、特にメチル基を表す)であり;
n2は、3である。
【0270】
上記態様において、式(C2)は、好ましくは下記式(C2”)で表される。
式(C2”)において、各記号は式(C1”)の記載と同意義である。
【0271】
一の態様において、上記PFPE含有シラン化合物は、式(C1)または式(C2)で表される化合物である。
【0272】
上記態様において、好ましくは、式(C1)で表される化合物は、上記式(C1”)で表される化合物であり、式(C2)で表される化合物は、上記式(C2”)で表される化合物である。
【0273】
好ましい態様において、PFPE含有シラン化合物は、式(B1)または(C1)で表される化合物である。
【0274】
より好ましくは、PFPE含有シラン化合物は、式(C1)で表される化合物である。
【0275】
上記態様において、好ましくは、式(C1)で表される化合物は、上記式(C1”)で表される化合物である。
【0276】
以下において、PFPE含有シラン化合物の製造に適した方法について、一例を示して説明するが、本開示の方法は、以下に限定されるものではない。
【0277】
一の態様において、式(C1)または(C2)で表されるPFPE含有シラン化合物の製造に適した方法であって、以下の工程を含む方法について説明する。
工程(3):式(c1−3)または式(c2−3)で表される化合物:
[式中:
Rfが、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素原子数1〜16のアルキル基を表し;
PFPEが、(−OCF(CF
3)CF
2−)
dで表され;
dが、2以上200以下の整数であり;
X
10は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基であり;
R
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはC
1−6アルキル基であり;
X
11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基であり;
Y
11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基である。]
を、
HSiM
’3
[式中:
M
’は、それぞれ独立して、ハロゲン原子またはC
1−6アルコキシ基である。]
および、所望により、
式:R
85iL’
[式中:
R
85は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
L’は、R
85と結合可能な基を表し;
iは、1〜3の整数である。]
で表される化合物、および/または
式:R
86’jL”
[式中:
R
86’は、C
1−22アルキル基を表し;
L”は、R
86’と結合可能な基を表し;
jは、1〜3の整数である。]
で表される化合物と反応させる工程。
【0278】
なお、−X
10−C(O)N(R
34)−X
11−が、式(C1)および(C2)のX
5に対応し、−Y
11−CH
2CH
2−が、式(C1)および(C2)のYに対応する。
【0279】
上記態様において、好ましくは、上記式(c1−3)または式(c2−3)で表される化合物は、下記工程(1)および(2)を含む方法により製造される。
工程(1):
式(c1−1)または式(c2−1):
Rf−PFPE−X
10−C(O)OH ・・・(c1−1)
HOC(O)−X
10−PFPE−X
10−C(O)OH ・・・(c2−1)
[式中:
Rf、PFPEおよびX
10は、上記と同意義である。]
で表される化合物を、SOM
2[式中:Mは、各出現においてそれぞれ独立して、塩素原子またはフッ素原子]と反応させて、式(c1−2)または式(c2−2):
【化17】
[式中:
Rf、PFPE、X
10、およびMは、上記と同意義である。]
で表される化合物を得る工程;
工程(2):
上記式(c1−2)または式(c2−2)で表される化合物を、
式:HN(R
34)−X
11−C(Y
11−CH=CH
2)
3
[式中、R
34、X
11およびY
11は、上記と同意義である。]
と反応させて、式(c1−3)または式(c2−3):
【化18】
[式中、Rf、PFPE、X
10、R
34、およびX
11は、上記と同意義である。]
で表される化合物を得る工程。
【0280】
以下において、上記の製造方法について、詳細に説明する。
【0281】
工程(1):
式(c1−1)または式(c2−1)中、Rfは上記と同意義である。
【0282】
式(c1−1)または式(c2−1)中、PFPEは、上記と同意義であり、式:−(OC
3F
6)
d−で表される基であることが好ましく、式:−(OCF(CF
3)CF
2)
d−で表される基であることがより好ましい。上記式中、dは1以上200以下であり、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である。
【0283】
式(c1−1)または式(c2−1)中、X
10は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基であり、好ましくは、単結合、または1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−6アルキレン基であり、より好ましくは、1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−3アルキレン基である。
【0284】
式(c1−1)または式(c2−1)で表される化合物は、市販されているか、または市販されている化合物から、当該技術分野における通常の技術を用いて製造することができる。
【0285】
工程(1)において用いられるSOM
2中、Mは、各出現においてそれぞれ独立して、塩素原子またはフッ素原子、好ましくは塩素原子である。該化合物は、市販されているか、または市販されている化合物から、当該技術分野における通常の技術を用いて製造することができる。
【0286】
工程(1)において用いられる、SOM
2の量は、上記式(c1−1)および/または式(c2−1)で表される化合物の末端COOH基(2種以上の化合物を用いる場合にはその合計、以下も同様)1モルに対して、1モル以上であることが好ましい。
【0287】
工程(1)の反応は、適当な触媒の存在下、適当な溶媒中で行われることが好ましい。
【0288】
適当な触媒としては、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)等を挙げることができる。
【0289】
適当な溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、パーフルオロブチルエチルエーテル、パーフルオロヘキシルメチルエーテル等を挙げることができる。
【0290】
かかる反応における反応温度は、特に限定されないが、通常、0〜150℃、好ましくは80〜100℃であり、反応時間は、特に限定されないが、通常、30〜600分、好ましくは60〜120分であり、反応圧力は、特に限定されないが、−0.2〜1MPa(ゲージ圧)であり、簡便には常圧である。
【0291】
工程(2):
工程(2)で用いられる化合物:HN(R
34)−X
11−C(Y
11−CH=CH
2)
3において、X
11は、単結合または2価の有機基であり、好ましくは、単結合、1以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1−6アルキレン基であり、より好ましくは、C
1−3アルキレン基である。
【0292】
上記式中、R
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC
1−6アルキル基、好ましくは水素原子、またはC
1−6アルキル基、より好ましくは水素原子またはメチル基、さらに好ましくは水素原子である。
【0293】
上記式中、Y
11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基である。Y
11は、好ましくは、炭素原子数1〜6のアルキレン基であり、より好ましくは、炭素原子数1〜3のアルキレン基である。
【0294】
工程(2)で用いられる化合物:HN(R
34)−X
11−C(Y
11−CH=CH
2)
3としては、具体的には、H
2NCH
2C(CH
2−CH=CH
2)
3、H
2NCH
2CH
2C(CH
2−CH=CH
2)
3、H
2NCH
2CH
2CH
2C(CH
2−CH=CH
2)
3等を挙げることができる。
【0295】
式:HN(R
34)−X
11−C(Y
11−CH=CH
2)
3で表される化合物の量は、上記式(c1−2)および/または式(c2−2)で表される化合物の末端−C(O)M基1モルに対して、1モル以上であることが好ましい。
【0296】
工程(2)の反応は、適当な触媒の存在下、適当な溶媒中で行われることが好ましい。
【0297】
適当な触媒としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等を挙げることができる。
【0298】
適当な溶媒とは、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であれば特に限定されるものではない。適当な溶媒としては、例えば、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、パーフルオロブチルエチルエーテル、パーフルオロヘキシルメチルエーテル等を挙げることができる。
【0299】
かかる反応における反応温度は、特に限定されないが、通常、0〜100℃、好ましくは0〜40℃であり、反応時間は、特に限定されないが、通常、30〜600分、好ましくは60〜120分であり、反応圧力は、特に限定されないが、−0.2〜1MPa(ゲージ圧)であり、簡便には常圧である。
【0300】
工程(3):
工程(3)において、式(c1−3)または式(c2−3)で表される化合物を、HSiM
’3および、所望により式:R
85iL’で表される化合物、および/または、式:R
86’jL”で表される化合物と反応させる。
【0301】
上記式(c1−3)または式(c2−3)で表される化合物は、工程(2)において得られたものであることが好ましい。
【0302】
工程(3)で用いる化合物:HSiM
’3中、M
’は、それぞれ独立して、ハロゲン原子またはC
1−6アルコキシ基であり、好ましくはハロゲン原子であり、より好ましくは、塩素原子である。
【0303】
工程(3)で用いる式:R
85iL’で表される化合物中、R
85は、式(C1)および(C2)の記載と同意義であり;L’は、R
85と結合可能な基を表し;iは、1〜3の整数である。
【0304】
工程(3)で用いる式:R
86’jL” で表される化合物中、R
86’は、C
1−22アルキル基であり;L”は、R
86’と結合可能な基を表し;jは、1〜3の整数である。
【0305】
上記L’およびL”で表される「R
85と結合可能な基」および「R
86’と結合可能な基」は、それぞれ、R
85およびR
86’に結合可能であり、上記の反応において、R
85およびR
86’が脱離できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、水素原子、リチウム、ナトリウム等が挙げられる。かかる「R
85と結合可能な基」および「R
86’と結合可能な基」は、複数のR
85またはR
86’基を有し得る基、例えば=CH
2、≡CHであってもよい。当業者であれば、反応させる化合物の種類、溶媒、温度等の条件に応じて、適当なR
85と結合可能な基およびR
86’と結合可能な基を選択することができる。
【0306】
工程(3)おいて用いられるHSiM
’3の量は、上記式(c1−3)および/または式(c2−3)で表される化合物の末端−CH=CH
2基1モルに対して、1モル以上であればよいが、好ましくは2モルである。
【0307】
工程(3)おいてR
85iL’で表される化合物を用いる場合、その使用量は、導入したいR
85基の量に応じて変化させることができ、このような量は、当業者であれば、適宜決定することができる。
【0308】
工程(3)おいてR
86’jL”で表される化合物を用いる場合、その使用量は、導入したいR
86’基の量に応じて変化させることができ、このような量は、当業者であれば、適宜決定することができる。
【0309】
工程(3)の反応においては、最初に、上記式(c1−3)および/または式(c2−3)で表される化合物の末端−CH=CH
2基とHSiM
’3が反応して、末端が−CH
2CH
2SiM
’3基に変換される。ついで、この末端−CH
2CH
2SiM
’3基と、R
85iL’で表される化合物および/またはR
86’jL”で表される化合物が反応して、M
’がR
85またはR
86’により置換される。なお、R
85iL’で表される化合物およびR
86’jL”で表される化合物は、同時または別個に反応させてもよい。
【0310】
しかしながら、本開示の一の態様においては、HSiM
’3、R
85iL’で表される化合物、およびR
86’jL”で表される化合物を、HSi(R
85i)(R
86’j)(この場合、i+jは3である)で表される化合物として用いることもできる。HSi(R
85i)(R
86’j)で表される化合物は、当業者であれば、当該技術分野における通常の技術を用いて製造することができる。
【0311】
別の態様において、工程(3)におけるR
85iL’で表される化合物および/またはR
86’jL”で表される化合物の使用量の合計を、上記式(c1−3)および/または式(c2−3)で表される化合物の末端−CH=CH
2基1モルに対して3モル以上とする。かかる態様によれば、工程(3)の反応において生じる末端−CH
2CH
2SiM
’3のM
’を、実質的にすべてR
85またはR
86’により置換することができる。
【0312】
工程(3)における反応は、適当な触媒の存在下、適当な溶媒中で行われることが好ましい。
【0313】
適当な触媒としては、Pt、Pd、Rh等を挙げることができる。上記触媒は、好ましくはPtである。かかる触媒は任意の形態、例えば錯体の形態であってもよい。
【0314】
適当な溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、パーフルオロブチルエチルエーテル、パーフルオロヘキシルメチルエーテル等が挙げられる。
【0315】
かかる反応における反応温度は、特に限定されないが、通常、0〜100℃、好ましくは50〜80℃であり、反応時間は、特に限定されないが、通常、30〜600分、好ましくは60〜240分であり、反応圧力は、特に限定されないが、−0.2〜1MPa(ゲージ圧)であり、簡便には常圧である。
【0316】
工程(3)の反応は、適当な転位防止剤の存在下で行われることが好ましい。
【0317】
適当な転位防止剤としては、特に限定されるものではないが、カルボン酸化合物が挙げられる。当該カルボン酸化合物は、(a)カルボン酸、(b)カルボン酸無水物、(c)シリル化カルボン酸、および/または(d)工程(3)の反応において上記のカルボン酸化合物(即ち、(a)、(b)または(c))を生成する物質を含み得る。これらのカルボン酸化合物は、1種のみで用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0318】
転位防止剤が(a)カルボン酸を含む場合に、カルボキシル基を有するいずれかのカルボン酸を用いてよい。適当なカルボン酸の例としては、特に限定されるものではないが、飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸、モノカルボン酸、およびジカルボン酸が挙げられる。適当なカルボン酸の具体例としては、特に限定されるものではないが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、ヘキサン酸、シクロヘキサン酸、ラウリン酸、およびステアリン酸などの飽和モノカルボン酸;シュウ酸およびアジピン酸などの飽和ジカルボン酸;安息香酸およびp−フタル酸などの芳香族カルボン酸;クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、p−クロロ安息香酸、およびトリメチルシリル酢酸などの、これらのカルボン酸の炭化水素基の炭素上の水素原子がハロゲン原子または有機シリル基で置換されているカルボン酸;アクリル酸、メタクリル酸、およびオレイン酸などの不飽和脂肪酸;カルボキシル基に加えて、ヒドロキシ基、カルボニル基、またはアミノ基を有する化合物、即ち、乳酸などのヒドロキシ酸、アセト酢酸などのケト酸、グリオキシル酸などのアルデヒド酸、およびグルタミン酸などのアミノ酸を含む。
【0319】
(b)カルボン酸無水物の例としては、特に限定されるものではないが、酢酸無水物、プロピオン酸無水物および安息香酸無水物が挙げられる。これらのカルボン酸無水物は、工程(3)の反応系において生じるものであってもよく、塩化アセチル、塩化ブチリル、塩化ベンゾイル、および他のカルボン酸ハロゲン化物;酢酸亜鉛、酢酸タリウムなどのカルボン酸金属塩;および、(2−ニトロベンジル)プロピオネートのような光または熱により分解されるカルボン酸エステルを含む。
【0320】
(c)シリル化カルボン酸の例としては、特に限定されるものではないが、トリメチルシリルホルメート、トリメチルシリルアセテート、トリエチルシリルプロピオネート、安息香酸トリメチルシリルおよびトリフルオロ酢酸トリメチルシリルのようなトリアルキルシリル化カルボン酸;および、ジメチルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジ−t−ブトキシジアセトキシシラン、およびシリコンテトラ安息香酸塩などのジ−、トリ−またはテトラカルボキシシリレートが挙げられる。
【0321】
転位防止剤は、特に限定されるものではないが、0.001〜20重量%、例えば0.01〜5重量%、または0.01〜1重量%の量で用いられる。当業者であれば、用いる転位防止剤の量は、反応させる化合物、試薬、溶媒、その他の条件に応じて適宜選択することができる。転位防止剤は、例えば、Dow Corning Corporation(Midland、MI)から市販されているDOW CORNING(登録商標)ETS900またはXIAMETER(登録商標)OFS−1579 Silaneとして市販されている。
【0322】
好ましい態様において、上記PFPEは、−(OCF(CF
3)CF
2)
d−(式中、dは1以上200以下であり、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)であり、上記製造方法は、工程(3)において式(c1−3)で表される化合物を反応させる。さらに好ましくは、上記製造方法は、工程(1)において、式(c1−1)で表される化合物から、式(c1−2)で表される化合物を製造し;工程(2)において、上記式(c1−2)で表される化合物から工程(c1−3)で表される化合物を製造し、および、工程(3)において式(c1−3)で表される化合物を反応させる。各工程における操作は上記のとおりである。
【0323】
一の態様において、本開示は、以下の工程(1)〜(3)を含むフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物の製造方法を提供する。
工程(1):
式(c1−1)または式(c2−1):
Rf−PFPE−X
10−C(O)OH ・・・(c1−1)
HOC(O)−X
10−PFPE−X
10−C(O)OH ・・・(c2−1)
[式中、Rf、PFPEおよびX
10は、上記と同意義である。]
で表される化合物を、SOM
2[式中、Mは、上記と同意義である。]と反応させて、式(c1−2)または式(c2−2):
【化19】
[式中:
Rf、PFPE、X
10、およびMは、上記と同意義である。]
で表される化合物を得る工程;
工程(2):
上記式(c1−2)または式(c2−2)で表される化合物を、
式:HN(R
34)−X
11−C(Y
11−CH=CH
2)
3
[式中、R
34、X
11およびY
11は、上記と同意義である。]
と反応させて、式(c1−3)または式(c2−3):
【化20】
[式中、Rf、PFPE、X
10、R
34、およびX
11は、上記と同意義である。];および、
工程(3):式(c1−3)または式(c2−3)で表される化合物:
を、
HSiM
’3
および、所望により、
式:R
85iL’
で表される化合物、および/または
式:R
86’jL”
で表される化合物と反応させる工程[式中:M
’、R
85、L’、i、R
86’、L”、およびjは上記と同意義である。]。
【0324】
また、本開示は、式(c1−2)または(c2−2):
【化21】
で表される化合物、すなわち上記製造方法における中間体を提供する。
【0325】
上記式中、Rf、PFPE、X
10、およびMは、上記と同意義である。
【0326】
好ましくは、上記中間体は、式(c1−2)で表される化合物である。
【0327】
さらに、本開示は、式(c1−3)または(c2−3):
【化22】
で表される化合物、すなわち上記製造方法における中間体を提供する。
【0328】
上記式中、Rf、PFPE、X
10、R
34、X
11、およびY
11は、上記と同意義である。
【0329】
好ましくは、上記中間体は、式(c1−3)で表される化合物である。
【0330】
(表面処理剤)
上記PFPE含有シラン化合物は、表面処理剤として用いることができる。
【0331】
上記表面処理剤は、良好な紫外線耐久性、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、耐ケミカル性、耐加水分解性、滑り性の抑制効果、高い摩擦耐久性、耐熱性、防湿性等を有する表面処理層の形成に寄与し得る。
【0332】
上記表面処理剤は、溶媒で希釈されていてもよい。このような溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば:
パーフルオロヘキサン、CF
3CF
2CHCl
2、CF
3CH
2CF
2CH
3、CF
3CHFCHFC
2F
5、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタン、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン((ゼオローラH(商品名)等)、C
4F
9OCH
3、C
4F
9OC
2H
5、CF
3CH
2OCF
2CHF
2、C
6F
13CH=CH
2、C
6F
13OCH
3、キシレンヘキサフルオリド、パーフルオロベンゼン、メチルペンタデカフルオロヘプチルケトン、トリフルオロエタノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、HCF
2CF
2CH
2OH、メチルトリフルオロメタンスルホネート、トリフルオロ酢酸およびCF
3O(CF
2CF
2O)
m1(CF
2O)
n1CF
2CF
3[式中、m1およびn1は、それぞれ独立して0以上1000以下の整数であり、m1またはn1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、但しm1およびn1の和は1以上である。]、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、1,2−ジクロロ−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、1,1,2−トリクロロ―3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンからなる群から選択されるフッ素原子含有溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で、または、2種以上の混合物として用いることができる。
【0333】
上記溶媒中に含まれる水分含有量は、20質量ppm以下であることが好ましい。上記水分含有量は、カールフィッシャー法を用いて測定することができる。このような水分含有量であることによって、表面処理剤の保存安定性が向上し得る。
【0334】
上記表面処理剤は、式(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)または(C2)で表されるPFPE含有シラン化合物に加え、他の成分を含んでいてもよい。かかる他の成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、含フッ素オイルとして理解され得る(非反応性の)フルオロポリエーテル化合物、好ましくはパーフルオロ(ポリ)エーテル化合物(以下、「含フッ素オイル」と言う)、シリコーンオイルとして理解され得る(非反応性の)シリコーン化合物(以下、「シリコーンオイル」と言う)、触媒、低級アルコール、遷移金属、ハロゲン化物イオン、分子構造内に非共有電子対を有する原子を含む化合物などが挙げられる。
【0335】
上記含フッ素オイルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の一般式(1)で表される化合物(パーフルオロ(ポリ)エーテル化合物)が挙げられる。
Rf
5−(OC
4F
8)
a’−(OC
3F
6)
b’−(OC
2F
4)
c’−(OCF
2)
d’−Rf
6 ・・・(1)
式中、Rf
5は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16アルキル基(好ましくは、C
1―16のパーフルオロアルキル基)を表し、Rf
6は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16アルキル基(好ましくは、C
1−16パーフルオロアルキル基)、フッ素原子または水素原子を表し、Rf
5およびRf
6は、より好ましくは、それぞれ独立して、C
1−3パーフルオロアルキル基である。
a’、b’、c’およびd’は、ポリマーの主骨格を構成するパーフルオロ(ポリ)エーテルの4種の繰り返し単位数をそれぞれ表し、互いに独立して0以上300以下の整数であって、a’、b’、c’およびd’の和は少なくとも1、好ましくは1〜300、より好ましくは20〜300である。添字a’、b’、c’またはd’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。上記繰り返し単位中に少なくとも1の分岐構造を有する。すなわち、上記繰り返し単位は、少なくとも1のCF
3末端(具体的には、−CF
3、−C
2F
5等、より具体的には−CF
3)を有する。分岐構造を有する繰り返し単位としては、−(OC
4F
8)−としては、−(OCF(CF
3)CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF(CF
3)CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF(CF
3))−、−(OC(CF
3)
2CF
2)−、−(OCF
2C(CF
3)
2)−、−(OCF(CF
3)CF(CF
3))−、−(OCF(C
2F
5)CF
2)−および−(OCF
2CF(C
2F
5))−;−(OC
3F
6)−としては、−(OCF(CF
3)CF
2)−および−(OCF
2CF(CF
3))−;−(OC
2F
4)−としては、−(OCF(CF
3))−を挙げることができる。
【0336】
上記一般式(1)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル化合物の例として、以下の一般式(1a)および(1b)のいずれかで示される化合物(1種または2種以上の混合物であってよい)が挙げられる。
Rf
5−(OCF(CF
3)CF
2)
b’’−Rf
6 ・・・(1a)
Rf
5−(OC
4F
8)
a’’−(OC
3F
6)
b’’−(OCF(CF
3))
c’’−(OCF
2)
d’’−Rf
6 ・・・(1b)
これら式中、Rf
5およびRf
6は上記の通りであり;式(1a)において、b’’は1以上100以下の整数であり;式(1b)において、a’’およびb’’は、それぞれ独立して1以上30以下の整数であり、c’’およびd’’はそれぞれ独立して1以上300以下の整数である。添字a’’、b’’、c’’、d’’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。−(OC
4F
8)−、−(OC
3F
6)−は分岐構造を有する。
【0337】
上記含フッ素オイルは、1,000〜30,000の数平均分子量を有していてよい。特に、式(1a)で表される化合物の数平均分子量は、2,000〜8,000であることが好ましい。かかる数平均分子量を有することにより、良好な摩擦耐久性を得ることができる。一の態様において、式(1b)で表される化合物の数平均分子量は、3,000〜8,000である。別の態様において、式(1b)で表される化合物の数平均分子量は、8,000〜30,000である。
【0338】
上記表面処理剤中、含フッ素オイルは、上記PFPE含有シラン化合物100質量部に対して、例えば0〜500質量部、好ましくは0〜100質量部、より好ましくは1〜50質量部、さらに好ましくは1〜5質量部で含まれ得る。
【0339】
また、別の観点から、含フッ素オイルは、一般式Rf’−F(式中、Rf’はC
5−16パーフルオロアルキル基である。)で表される化合物であってよい。また、クロロトリフルオロエチレンオリゴマーであってもよい。Rf’−Fで表される化合物およびクロロトリフルオロエチレンオリゴマーは、RfがC
1−16パーフルオロアルキル基である上記パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物と高い親和性が得られる点で好ましい。
【0340】
含フッ素オイルは、表面処理層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
【0341】
上記シリコーンオイルとしては、例えばシロキサン結合が2,000以下の直鎖状または環状のシリコーンオイルを用い得る。直鎖状のシリコーンオイルは、いわゆるストレートシリコーンオイルおよび変性シリコーンオイルであってよい。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイルを、アルキル、アラルキル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル、フルオロアルキル、アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコールなどにより変性したものが挙げられる。環状のシリコーンオイルは、例えば環状ジメチルシロキサンオイルなどが挙げられる。
【0342】
上記表面処理剤中、かかるシリコーンオイルは、上記PFPE含有シラン化合物100質量部(2種以上の場合にはこれらの合計、以下も同様)に対して、例えば0〜50質量部、好ましくは0〜5質量部で含まれ得る。
【0343】
シリコーンオイルは、表面処理層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
【0344】
上記触媒としては、酸(例えば酢酸、トリフルオロ酢酸等)、塩基(例えばアンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等)、遷移金属(例えばTi、Ni、Sn等)等が挙げられる。
【0345】
触媒は、上記含フッ素シラン化合物の加水分解および脱水縮合を促進し、表面処理層の形成を促進する。
【0346】
上記他の成分としての低級アルコールとしては、炭素数1〜6のアルコール化合物が挙げられる。
【0347】
上記遷移金属としては、白金、ルテニウム、ロジウム等が挙げられる。
【0348】
上記ハロゲン化物イオンとしては、塩化物イオン等が挙げられる。
【0349】
上記分子構造内に非共有電子対を有する原子を含む化合物しては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、アニリン、ピリジン、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラメチレンスルホキシド、メチルフェニルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド等を挙げられる。これらの化合物の中で、ジメチルスルホキシド、またはテトラメチレンスルホキシドを用いることが好ましい。
【0350】
他の成分としては、上記以外に、例えば、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン等も挙げられる。
【0351】
他の成分としては、上記以外に、例えば、フルオロ(ポリ)エーテル基およびカルボン酸基を分子構造内に有する化合物(E)を挙げることができる。上記化合物(E)において、フルオロ(ポリ)エーテル基は、少なくとも1のフッ素原子を含む。このような化合物(E)を含むことにより、ガラスとの反応が促進されるため、より短時間で表面処理層が形成され得る。
【0352】
上記化合物(E)としては、以下の式(E1)または(E2)で表される化合物を挙げることができ、具体的には、式(E1)で表される化合物である。
Rf
1−PFPE
1−X
f1−COOH …(E1)
HOOC−X
f1−PFPE
1−X
f1−COOH …(E2)
【0353】
式(E1)および(E2)において、
Rf
1は、各出現において独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素原子数1〜16のアルキル基を表す。
【0354】
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素原子数1〜16のアルキル基における「炭素原子数1〜16のアルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖の炭素原子数1〜6、特に炭素原子数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは直鎖の炭素原子数1〜3のアルキル基である。
【0355】
上記Rf
1は、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されている炭素原子数1〜16のアルキル基であり、より好ましくはCF
2H−C
1−15フルオロアルキレン基またはC
1−16パーフルオロアルキル基であり、さらに好ましくはC
1−16パーフルオロアルキル基である。
【0356】
該炭素原子数1〜16のパーフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖の炭素原子数1〜6、特に炭素原子数1〜3のパーフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖の炭素原子数1〜3のパーフルオロアルキル基、具体的には−CF
3、−CF
2CF
3、または−CF
2CF
2CF
3である。
【0357】
式(E1)および(E2)において、
PFPE
1は、各出現において独立して、
−(OC
6F
12)
a1−(OC
5F
10)
b1−(OC
4F
8)
c1−(OC
3X
F6)
d1−(OC
2F
4)
e1−(OCF
2)
f1−
で表される基であり、かつ、PFPE
1中に少なくとも1の分岐構造を有する。すなわち、上記PFPE
1は、少なくとも1のCF
3末端(具体的には、−CF
3、−C
2F
5等、より具体的には−CF
3)を有する。なお、式(E1)において、上記PFPE
1は、上記式の左末端の酸素原子がRf
1基に結合し、右末端の炭素原子がX
f1基に結合する。
【0358】
X
Fは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり、好ましくは水素原子またはフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
【0359】
上記式中、a1、b1、c1、d1、e1およびf1は、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a1、b1、c1、d1、e1およびf1の和は少なくとも1である。好ましくは、a1、b1、c1、d1、e1およびf1は、それぞれ独立して、0以上100以下の整数である。好ましくは、a1、b1、c1、d1、e1およびf1の和は5以上であり、より好ましくは10以上である。好ましくは、a1、b1、c1、d1、e1およびf1の和は200以下であり、より好ましくは100以下であり、例えば10以上200以下であり、より具体的には10以上100以下である。また、a1、b1、c1、d1、e1またはf1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。
【0360】
PFPE
1は、分岐構造を少なくとも5有することが好ましく、10有することがより好ましく、20有することが特に好ましい。
【0361】
PFPE
1の構造中、繰り返し単位数の合計数(例えば、上記a1、b1、c1、d1、e1およびf1の和)100に対して、分岐構造を有する繰り返し単位の数は40以上であることが好ましく、60以上であることがより好ましく、80以上であることが特に好ましい。PFPE
1の構造中、繰り返し単位数の合計数100に対して、分岐構造を有する繰り返し単位の数は100以下であってもよく、例えば90以下であってもよい。
【0362】
PFPE
1の構造中、繰り返し単位数の合計数100に対して、分岐構造を有する繰り返し単位の数は、40〜100の範囲にあることが好ましく、60〜100の範囲にあることがより好ましく、80〜100の範囲にあることが特に好ましい。
【0363】
上記分岐構造における分岐鎖としては、例えばCF
3を挙げることができる。
【0364】
分岐構造を有する繰り返し単位としては、例えば、−(OC
6F
12)−としては、−(OCF(CF
3)CF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF(CF
3)CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF(CF
3)CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF(CF
3)CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF(CF
3))−等を挙げることができる。−(OC
5F
10)−としては、−(OCF(CF
3)CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF(CF
3)CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF(CF
3)CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF(CF
3))−等を挙げることができる。−(OC
4F
8)−としては、−(OCF(CF
3)CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF(CF
3)CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF(CF
3))−、−(OC(CF
3)
2CF
2)−、−(OCF
2C(CF
3)
2)−、−(OCF(CF
3)CF(CF
3))−、−(OCF(C
2F
5)CF
2)−および−(OCF
2CF(C
2F
5))−を挙げることができる。−(OC
3F
6)−(即ち、上記式中、X
Fはフッ素原子である)としては、−(OCF(CF
3)CF
2)−および−(OCF
2CF(CF
3))−を挙げることができる。−(OC
2F
4)−としては、−(OCF(CF
3))−を挙げることができる。
【0365】
上記PFPE
1は、分岐構造を有する繰り返し単位とともに、直鎖状の繰り返し単位を含み得る。直鎖状の繰り返し単位としては、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2)−を挙げることができる。
【0366】
好ましくは、上記PFPE
1中、繰り返し単位−(OC
6F
12)−、−(OC
5F
10)−、−(OC
4F
8)−、および−(OC
3F
6)−が分岐構造を有する。
【0367】
より好ましくは、上記PFPE
1は、分岐構造の繰り返し単位OC
6F
12、OC
5F
10、OC
4F
8、およびOC
3F
6からなる。
【0368】
一の態様において、上記PFPE
1は、−(OC
3F
6)
d1−(式中、d1は1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)であり、PFPE
1中に少なくとも1の分岐構造を有する。
【0369】
本態様において、PFPE
1は、さらに、直鎖状の繰り返し単位−(OCF
2CF
2CF
2)−を含んでいてもよい。
【0370】
上記態様において、上記PFPE
1は、分岐構造の繰り返し単位OC
3F
6からなることが好ましい。上記PFPE
1は、式:−(OCF
2CF(CF
3))
d1で表されることがより好ましい。上記式中、d1は1以上200以下であり、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である。
【0371】
別の態様において、PFPE
1は、−(OC
4F
8)
c1−(OC
3F
6)
d1−(OC
2F
4)
e1−(OCF
2)
f1−(式中、c1およびd1は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、eおよびfは、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、c1、d1、e1およびf1の和は少なくとも5以上、好ましくは10以上であり、添字c1、d1、e1またはf1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である)であり、PFPE
1中に少なくとも1の分岐構造を有する。
【0372】
さらに別の態様において、PFPE
1は、−(R
61−R
62)
j1−で表される基であり、PFPE中少なくとも1の分岐構造を有する。式中、R
61は、OCF
2またはOC
2F
4であり、好ましくはOC
2F
4である。式中、R
62は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10およびOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせである。好ましくは、R
62は、OC
2F
4、OC
3F
6およびOC
4F
8から選択される基であるか、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10およびOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせであり、より好ましくは、OC
3F
6、およびOC
4F
8から選択される基である。OC
2F
4、OC
3F
6およびOC
4F
8から独立して選択される2または3つの基の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば−OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
4F
8−、−OC
3F
6OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
3F
6−、−OC
3F
6OC
4F
8−、−OC
4F
8OC
4F
8−、−OC
4F
8OC
3F
6−、−OC
4F
8OC
2F
4−、−OC
2F
4OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
2F
4OC
4F
8−、−OC
2F
4OC
3F
6OC
2F
4−、−OC
2F
4OC
3F
6OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
4F
8OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
2F
4OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
3F
6OC
3F
6OC
2F
4−、および−OC
4F
8OC
2F
4OC
2F
4−等が挙げられる。上記j1は、2以上、好ましくは3以上、より好ましくは5以上であり、100以下、好ましくは50以下の整数である。上記式中、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10およびOC
6F
12は、分岐構造を有することが好ましい。
【0373】
より好ましくは、上記態様において、PFPE
1は、分岐構造の繰り返し単位OC
6F
12、OC
5F
10、OC
4F
8、およびOC
3F
6からなる。
【0374】
式(E1)および(E2)において、
X
f1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、または炭素原子数1〜6のアルキレン基、好ましくは、単結合、または炭素原子数1〜4のアルキレン基、より好ましくは、単結合、または炭素原子数1〜2のアルキレン基(例えばメチレン基)である。X
f1中の水素原子は、フッ素原子、C
1−3アルキル基およびC
1−3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよく、好ましくは置換されている。X
f1は、直鎖状または分枝鎖状であってもよく、好ましくは直鎖状である。
【0375】
Rf
1およびPFPE
1は、表面処理剤に含まれるPFPE含有シラン化合物におけるRfまたはPFPEと、それぞれ同じ構造であることが好ましい。
【0376】
上記化合物(E)は、式(E1)で表される化合物であることが好ましい。
【0377】
上記表面処理剤において、本開示のPFPE含有シラン化合物と、上記式(E)で表される化合物との比率は、例えば、モル比で、PFPE含有シラン化合物:上記式(E)で表される化合物=99.9:0.1〜85.0:15.0であってもよく、99.9:0.1〜90.0:10.0であってもよく、99.9:0.1〜95.0:5.0であってもよい。
【0378】
一の態様において、上記表面処理剤は、上記他の成分である含フッ素オイル、シリコーンオイル、触媒、低級アルコール、遷移金属、ハロゲン化物イオン、分子構造内に非共有電子対を有する原子を含む化合物を含まない。
【0379】
一の態様において、上記表面処理剤は、式(B1)、式(B2)、式(C1)または式(C2)で表されるPFPE含有シラン化合物を含む。
【0380】
一の態様において、上記表面処理剤は、式(C1)または式(C2)で表されるPFPE含有シラン化合物を含む。
【0381】
一の態様において、上記表面処理剤は、式(C1)で表されるPFPE含有シラン化合物を含む。
【0382】
一の態様において、上記表面処理剤は、式(B1)または(C1)で表されるPFPE含有シラン化合物を含み、好ましくは(C1)で表されるPFPE含有シラン化合物を含む。
【0383】
一の態様において、上記表面処理剤は、式(C1)で表されるPFPE含有シラン化合物を含み、上記他の成分である、含フッ素オイルを含まない(例えば、含フッ素オイルの含有量が、表面処理剤100質量部に対して、1質量部以下であり、より具体的には、0質量部である)。
【0384】
上記表面処理剤は、多孔質物質、例えば多孔質のセラミック材料、金属繊維、例えばスチールウールを綿状に固めたものに含浸させて、ペレットとすることができる。当該ペレットは、例えば、真空蒸着に用いることができる。
【実施例】
【0385】
以下の実施例を通じてより具体的に説明するが、本開示はこれら実施例に限定されるものではない。
【0386】
(合成例1)
還流冷却器、温度計および撹拌機を取り付けた200mLの4つ口フラスコに、平均組成CF
3CF
2CF
2O[CF(CF
3)CF
2O]
22CF(CF
3)COOHで表されるパーフルオロポリエーテル変性カルボン酸体32g、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン16g、N,N−ジメチルホルムアミド0.13gおよび、塩化チオニル2.17gを仕込み、窒素気流下、90℃で1時間撹拌した。続いて、減圧下で揮発分を留去した後、16gの1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1.35gのトリエチルアミン、および1.73gのNH
2CH
2C(CH
2CH=CH
2)
3を仕込み、窒素気流下、室温で6時間撹拌した。続いて、パーフルオロヘキサン30g、アセトン10gおよび3mol/Lの塩酸20gを加えて30分撹拌し、その後、分液ロートを用いてパーフルオロヘキサン相を分取した。その後、分取したパーフルオロヘキサン相を濾過し、続いて減圧下で揮発分を留去することにより、末端にアリル基を有する下記式のパーフルオロポリエーテル基含有アリル化合物(A)29.6gを得た。
・パーフルオロポリエーテル基含有アリル化合物(A):
CF
3CF
2CF
2O[CF(CF
3)CF
2O]
22CF(CF
3)CONHCH
2C(CH
2CH=CH
2)
3
【0387】
(合成例2)
還流冷却器、温度計、撹拌機を取り付けた200mLの4つ口フラスコに、合成例1にて合成した末端にアリル基を有するパーフルオロポリエーテル基含有アリル化合物(A)29g、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン35mlおよびトリクロロシラン6.7gを仕込み、窒素気流下、5℃で30分間撹拌した。続いて、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.3ml加えた後、60℃まで昇温させ、この温度にて6時間撹拌した。その後、減圧下で揮発分を留去した。続いて、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン30mlを加えて、55℃で10分間撹拌した後に、メタノール0.73gとオルソギ酸トリメチル16.8gの混合溶液を加えて、この温度にて2時間撹拌した。その後、減圧下で揮発分を留去することにより、末端にトリメチルシリル基を有する下記のパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)30.1gを得た。
・パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)
CF
3CF
2CF
2O[CF(CF
3)CF
2O]
22CF(CF
3)CONHCH
2C[CH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3]
3
【0388】
(合成例3)
還流冷却器、温度計および撹拌機を取り付けた200mLの4つ口フラスコに、平均組成CF
3CF
2CF
2O[CF(CF
3)CF
2O]
28CF(CF
3)COOHで表されるパーフルオロポリエーテル変性カルボン酸体32g、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン16g、N,N−ジメチルホルムアミド0.10gおよび、塩化チオニル1.69gを仕込み、窒素気流下、90℃で1時間撹拌した。続いて、減圧下で揮発分を留去した後、16gの1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1.05gのトリエチルアミン、および1.36gのNH
2CH
2C(CH
2CH=CH
2)
3を仕込み、窒素気流下、室温で6時間撹拌した。続いて、パーフルオロヘキサン30g、アセトン10gおよび3mol/Lの塩酸20gを加えて30分撹拌し、その後、分液ロートを用いてパーフルオロヘキサン相を分取した。その後、分取したパーフルオロヘキサン相を濾過し、続いて減圧下で揮発分を留去することにより、末端にアリル基を有する下記式のパーフルオロポリエーテル基含有アリル化合物(C)29.2gを得た。
・パーフルオロポリエーテル基含有アリル化合物(C):
CF
3CF
2CF
2O[CF(CF
3)CF
2O]
28CF(CF
3)CONHCH
2C(CH
2CH=CH
2)
3
【0389】
(合成例4)
還流冷却器、温度計、および撹拌機を取り付けた200mLの4つ口フラスコに、合成例3にて合成した末端にアリル基を有するパーフルオロポリエーテル基含有アリル化合物(C)29g、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン35mlおよびトリクロロシラン5.2gを仕込み、窒素気流下、5℃で30分間撹拌した。続いて、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.23ml加えた後、60℃まで昇温させ、この温度にて6時間撹拌した。その後、減圧下で揮発分を留去した。続いて、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン30mlを加えて、55℃で10分間撹拌した後に、メタノール0.57gおよびオルソギ酸トリメチル13.1gの混合溶液を加えて、この温度にて2時間撹拌した。その後、減圧下で揮発分を留去することにより、末端にトリメチルシリル基を有する下記のパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(D)29.6gを得た。
・パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(D)
CF
3CF
2CF
2O[CF(CF
3)CF
2O]
28CF(CF
3)CONHCH
2C[CH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3]
3
【0390】
(合成例5)
還流冷却器、温度計および撹拌機を取り付けた200mLの4つ口フラスコに、平均組成CF
3CF
2CF
2O[CF(CF
3)CF
2O]
11CF(CF
3)COOHで表されるパーフルオロポリエーテル変性カルボン酸体32g、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン16g、N,N−ジメチルホルムアミド0.23gおよび、塩化チオニル3.81gを仕込み、窒素気流下、90℃で1時間撹拌した。続いて、減圧下で揮発分を留去した後、16gの1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2.43gのトリエチルアミン、および3.04gのNH
2CH
2C(CH
2CH=CH
2)
3を仕込み、窒素気流下、室温で6時間撹拌した。続いて、パーフルオロヘキサン30g、アセトン10gおよび3mol/Lの塩酸20gを加えて30分撹拌し、その後、分液ロートを用いてパーフルオロヘキサン相を分取した。その後、分取したパーフルオロヘキサン相を濾過し、続いて減圧下で揮発分を留去することにより、末端にアリル基を有する下記式のパーフルオロポリエーテル基含有アリル化合物(E)29.4gを得た。
・パーフルオロポリエーテル基含有アリル化合物(E):
CF
3CF
2CF
2O[CF(CF
3)CF
2O]
11CF(CF
3)CONHCH
2C(CH
2CH=CH
2)
3
【0391】
(合成例6)
還流冷却器、温度計、撹拌機を取り付けた200mLの4つ口フラスコに、合成例5にて合成した末端にアリル基を有するパーフルオロポリエーテル基含有アリル化合物(E)29g、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン29.0mlおよびトリクロロシラン11.8gを仕込み、窒素気流下、5℃で30分間撹拌した。続いて、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.8ml加えた後、60℃まで昇温させ、この温度にて6時間撹拌した。その後、減圧下で揮発分を留去した。続いて、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン29.0mlを加えて、55℃で10分間撹拌した後に、メタノール1.30gとオルソギ酸トリメチル29.2gの混合溶液を加えて、この温度にて2時間撹拌した。その後、減圧下で揮発分を留去することにより、末端にトリメチルシリル基を有する下記のパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(F)30.0を得た。
・パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(F)
CF
3CF
2CF
2O[CF(CF
3)CF
2O]
11CF(CF
3)CONHCH
2C[CH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3]
3
【0392】
(実施例1)
上記合成例2で得られた化合物(B)を、濃度20wt%になるように、ハイドロフルオロエーテル(スリーエム社製、ノベックHFE7200)に溶解させて、表面処理剤を調製した。
【0393】
(実施例2)
化合物(B)に代えて、上記合成例4で得られた化合物(D)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理剤を調製した。
【0394】
(実施例3)
化合物(B)に代えて、上記合成例6で得られた化合物(F)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理剤を調製した。
【0395】
(実施例4)
化合物(B)に代えて、下記化合物(G)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理剤を調製した。
・化合物(G)
CF
3CF
2CF
2O[CF(CF
3)CF
2O]
28CF(CF
3)CONHCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3
【0396】
(実施例5)
化合物(B)に代えて、化合物(H)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理剤を調製した。
・化合物(H)
CF
3CF
2CF
2O[CF(CF
3)CF
2O]
22CF(CF
3)CH
2OCH
2CH
2CH
2Si[CH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3]
3
【0397】
(実施例6)
化合物(B)に代えて、化合物(I)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理剤を調製した。
・化合物(I)
CF
3CF
2CF
2O[CF(CF
3)CF
2O]
22CF(CF
3)C[OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3][CH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3]
2
【0398】
(比較例1〜2)
化合物(B)に代えて、下記対照化合物1または2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理剤をそれぞれ調製した。
・対照化合物1
CF
3CF
2CF
2O(CF
2CF
2CF
2O)
30CF
2CF
2CONHCH
2C[CH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3]
3
・対照化合物2
CF
3O(CF
2CF
2O)
22(CF
2O)
23CF
2CONHCH
2C[CH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3]
3
【0399】
<評価>
実施例1〜6および比較例1、2で調製した表面処理剤を、それぞれ化学強化ガラス(コーニング社製、「ゴリラ」ガラス、厚さ0.7mm)上に真空蒸着した。真空蒸着の処理条件は、圧力3.0×10
−3Paとし、化学強化ガラス表面に5nmの二酸化ケイ素膜を形成し、続いて、化学強化ガラス1枚(55mm×100mm)あたり、表面処理剤4mg(即ち、化合物(B)、化合物(D)、化合物(F)、化合物(G)、化合物(H)、化合物(I)または対照化合物1、2を0.8mg含有)を蒸着させた。次に、蒸着膜付き化学強化ガラスを、温度150℃の雰囲気下で30分静置させた後、室温まで放冷させ、表面処理層を形成した。
【0400】
(撥水性の評価)
静的接触角の測定は、接触角測定装置(協和界面科学社製)を用いて行った。水の静的接触角の測定は、水2μLを用いて実施した。結果を以下の表に示す。
【0401】
【表1】
【0402】
(耐UV性評価)
上記で形成された表面処理層について、UV照射前後の水の静的接触角をそれぞれ測定した。UV照射は、UVB−313ランプ(Q−Lab社製、310nmにおいて放射照度0.63W/m
2)を用い、基材のブラックパネル温度は、63度で、ランプと表面処理層との距離を5cmとして行った。水の静的接触角の測定は、接触角測定装置(協和界面科学社製)を用いて、水2μLにて実施した。
【0403】
まず、初期評価として、表面処理層形成後、UV照射前に水の静的接触角を測定した(UV照射時間0時間)。その後、所定の時間UVを照射した後の表面処理層について、水の静的接触角をそれぞれ測定した。評価は、累積照射時間96時間まで行った。結果を表2に示す。また、UV照射時間0時間の接触角の値に対する、UVの積算照射時間96時間後の接触角の値の比率(UVの積算照射時間96時間後の接触角の値/UV照射時間0時間の接触角の値)を、表3に示す。
【0404】
【表2】
【0405】
【表3】
【0406】
・表面滑り性評価(動摩擦係数の測定)
上記で形成された、表面に表面処理層を有する基材について、表面性測定機(Labthink社製 FPT−1)を用いて、摩擦子として紙を使用し、ASTM D4917に準拠して、動摩擦係数(−)を測定した。
具体的には、表面処理層を有する基材を水平に配置し、摩擦子である紙(2cm×2cm)を表面処理層の表面の露出上面に接触させ、その上に200gfの荷重を付与した。その後、荷重を加えた状態で、摩擦子である紙を200mm/秒の速度で平行移動させて、動摩擦係数を測定した。結果を、以下の表に示す。
【0407】
【表4】
【0408】
上記のように、実施例1〜6の表面処理剤を用いることにより、動摩擦係数の高い表面処理層、即ち、表面における滑り性の抑制された表面処理層が得られた。