特許第6687148号(P6687148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6687148
(24)【登録日】2020年4月6日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】シャシダイナモメータの送風ダクト
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/007 20060101AFI20200413BHJP
【FI】
   G01M17/007 A
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-94924(P2019-94924)
(22)【出願日】2019年5月21日
【審査請求日】2020年1月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】高橋 利道
(72)【発明者】
【氏名】山口 直人
【審査官】 山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4772059(JP,B2)
【文献】 実開平03−095946(JP,U)
【文献】 特開2000−275136(JP,A)
【文献】 米国特許第3926043(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/007
G01M 9/00 − 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形断面の流路を構成するように底壁と頂部壁と一対の側壁とを備え、送風ファンの吐出部に設けられるとともに、先端開口が車両前面に向かって配置されるダクト本体と、
上記一対の側壁の各々に少なくとも1つずつ設けられた上下方向に細長く開口した窓部と、
上記窓部を上下方向に並んだ複数の区画に仮想的に区分するように、該窓部の側縁に沿って等ピッチで設けられた複数のプレート取付部と、
上記複数の区画の中の1つあるいはいくつかの区画を覆う大きさを有し、車両拘束部材に対応した高さ位置において上記プレート取付部を介して上記窓部に着脱可能に取り付けられるとともに、上記車両拘束部材が通過する開口部をそれぞれ備えた剛性を有する内側プレートおよび外側プレートと、
上記内側プレートと上記外側プレートとの間に挟み込んで支持され、上記開口部よりも小さな拘束部材通過孔を有するとともに、該拘束部材通過孔の開口縁から外周側へ1つあるいは複数の切り込みが形成された弾性シート部材と、
上記複数の区画の中の1つあるいはいくつかの区画を覆う大きさを有し、上記内側プレートおよび上記外側プレートが位置する区画以外の区画に対して上記プレート取付部を介して着脱可能に取り付けられるカバープレートと、
を備えてなるシャシダイナモメータの送風ダクト。
【請求項2】
上記カバープレートとして、1つの区画を覆う大きさのカバープレートと、複数の区画を覆う大きさのカバープレートと、を含み、1つの窓部に対して両者が組み合わされて用いられる、請求項1に記載のシャシダイナモメータの送風ダクト。
【請求項3】
複数の弾性シート部材が積層されて上記内側プレートと上記外側プレートとの間に挟み込まれており、これら複数の弾性シート部材は、各々の切り込みの位置が互いに異なっている、請求項1または2に記載のシャシダイナモメータの送風ダクト。
【請求項4】
上記プレート取付部は、上記窓部の側縁に形成されたねじ孔からなり、上記内側プレート、上記外側プレートあるいは上記カバープレートを貫通したねじが上記ねじ孔に螺合する、請求項1〜3のいずれかに記載のシャシダイナモメータの送風ダクト。
【請求項5】
上記窓部の上流側側縁に沿って、上記流路内へ斜めに突出したフラッパをさらに備えている、請求項1〜4のいずれかに記載のシャシダイナモメータの送風ダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、台上での車両の走行試験を行うシャシダイナモメータにおいて、送風ファンで生成した冷却風(換言すれば走行風)を車両前面に案内する送風ダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
車輪をローラに載せた状態で車両の走行試験を行うシャシダイナモメータにおいては、車両走行風を模した冷却風を送風ファンによって車両前面に供給する必要がある。この送風ファンによる冷却風を安定的に与えるためには、ラジエータを備える車両前面に比較的に近い位置に冷却風の吐出口を配置することが好ましい。しかしながら、シャシダイナモメータ上に載せられた車両の前方には、車両を拘束するためのチェーンやベルト等の車両拘束部材が位置するので、これら車両拘束部材と送風ダクトとの干渉が生じ、結果的に、冷却風の吐出口を車両に近付けて配置することが困難となっている。
【0003】
特許文献1は、このような車両拘束部材と送風ダクトとの干渉の問題に対処するために、送風ダクトの側壁に多数のスリットを開口形成しておき、いずれかのスリットを通して車両拘束用のベルトを斜めに配置する構成を開示している。ベルトが通過しない不要なスリットは、上方からスライドさせて取り付けられる細長いプレートによって塞がれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4772059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ベルト等の車両拘束部材は一般に車両の牽引フックを利用して該牽引フックから水平もしくは水平に近い角度で延びるように配置されるが、この車両拘束部材が配置される高さ位置は、車種毎に異なるものとなる。また、ベルト等の車両拘束部材は、車両の加速や減速に伴って主に上下に振動する。そのため、特許文献1では、各スリットがベルトの寸法に比較して上下に大きなものとなっており、ベルトとスリットとの間の隙間を通して比較的多量の空気の漏洩が生じる。
【0006】
換言すれば、特許文献1は、不要なスリットを塞ぐことを開示するのみで、ベルトが通過する1つのスリットにおいて実質的に不要な開口領域を塞ぐことは開示していない。
【0007】
このように送風ダクトの側壁を通して空気の漏洩が生じると、一般に矩形をなす吐出口から出る冷却風の風速分布が不均一となり、シャシダイナモメータによる車両試験の精度の上で好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るシャシダイナモメータの送風ダクトは、
矩形断面の流路を構成するように底壁と頂部壁と一対の側壁とを備え、送風ファンの吐出部に設けられるとともに、先端開口が車両前面に向かって配置されるダクト本体と、
上記一対の側壁の各々に少なくとも1つずつ設けられた上下方向に細長く開口した窓部と、
上記窓部を上下方向に並んだ複数の区画に仮想的に区分するように、該窓部の側縁に沿って等ピッチで設けられた複数のプレート取付部と、
上記複数の区画の中の1つあるいはいくつかの区画を覆う大きさを有し、車両拘束部材に対応した高さ位置において上記プレート取付部を介して上記窓部に着脱可能に取り付けられるとともに、上記車両拘束部材が通過する開口部をそれぞれ備えた剛性を有する内側プレートおよび外側プレートと、
上記内側プレートと上記外側プレートとの間に挟み込んで支持され、上記開口部よりも小さな拘束部材通過孔を有するとともに、該拘束部材通過孔の開口縁から外周側へ1つあるいは複数の切り込みが形成された弾性シート部材と、
上記複数の区画の中の1つあるいはいくつかの区画を覆う大きさを有し、上記内側プレートおよび上記外側プレートが位置する区画以外の区画に対して上記プレート取付部を介して着脱可能に取り付けられるカバープレートと、
を備えて構成されている。
【0009】
この送風ダクトにおいては、車種毎に異なる車両拘束部材の高さ位置に応じて、内側プレートおよび外側プレートが弾性シート部材を挟み込んだ状態で窓部の適宜な高さ位置に取り付けられる。内側プレートと弾性シート部材と外側プレートとが重ねられた状態では、内側プレートおよび外側プレートの開口部の中にさらに小さな弾性シート部材の拘束部材通過孔が位置する。チェーンやベルト等の車両拘束部材は、この拘束部材通過孔を通して配置される。
【0010】
車両拘束部材は、走行試験中に振動するが、切り込みを備えた弾性シート部材が車両拘束部材の移動を許容する。換言すれば、弾性シート部材は、車両拘束部材の振動を許容しつつ車両拘束部材周囲の隙間を塞ぐ。
【0011】
弾性シート部材を挟み込んだ内側プレートおよび外側プレートは、窓部の仮想的に区分された複数の区画の中の1つあるいはいくつかの区画を覆い、残りの部分は、1つあるいはいくつかの区画を覆う大きさを有するカバープレートを取り付けることによって塞がれる。これにより、拘束部材通過孔と車両拘束部材との間に生じる僅かな隙間以外は、窓部の全体が塞がれる。従って、送風時の空気の漏洩は少ない。
【0012】
車両拘束部材の高さ位置の変更(換言すれば試験車両の入れ替え)に対しては、弾性シート部材を挟み込んだ内側プレートおよび外側プレートとカバープレートとの窓部内での上下の配置を変更することによって、容易に対処できる。
【0013】
この発明の好ましい一つの態様では、上記カバープレートとして、1つの区画を覆う大きさのカバープレートと、複数の区画を覆う大きさのカバープレートと、を含み、1つの窓部に対して両者が組み合わされて用いられる。このように大きさが異なるカバープレートを組み合わせて用いることで、拘束部材通過孔の高さ位置を複数段階に変更可能としつつ、カバープレートの総数の削減つまりカバープレートの脱着作業の軽減が図れる。
【0014】
また、この発明の好ましい一つの態様では、複数の弾性シート部材が積層されて上記内側プレートと上記外側プレートとの間に挟み込まれており、これら複数の弾性シート部材は、各々の切り込みの位置が互いに異なっている。この構成では、車両拘束部材が拘束部材通過孔に対し相対的に移動したときに、異なる位置に切り込みを有する複数の弾性シート部材が重なっていることで、車両拘束部材の周囲に生じる隙間が小さくなる。
【0015】
また、この発明の好ましい一つの態様では、上記プレート取付部は、上記窓部の側縁に形成されたねじ孔からなり、上記内側プレート、上記外側プレートあるいは上記カバープレートを貫通したねじが上記ねじ孔に螺合する。このようなプレート取付部では、ダクト本体の外側から任意の位置のプレート(内側プレート、外側プレート、カバープレート)を脱着できる。従って、車両拘束部材の高さ位置の変更に対して、一部のプレートの交換のみで対応が可能である。
【0016】
また、この発明の一つの態様では、上記窓部の上流側側縁に沿って、上記流路内へ斜めに突出したフラッパをさらに備えている。このフラッパによって、上流側から側壁の内壁面に沿って流れてきた空気流が内側へ案内され、従って、拘束部材通過孔を通して漏洩する空気流が少なくなる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、切り込みを有する拘束部材通過孔が設けられた弾性シート部材によって車両拘束部材周囲の開口面が覆われるため、走行試験中の車両拘束部材の振動を許容しつつ空気の漏洩を最小限に抑制することができる。
【0018】
また、車両拘束部材の高さ位置の変更に対して、弾性シート部材を挟み込んだ内側プレートおよび外側プレートとカバープレートとの入れ替えないし配置の変更によって容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】送風ダクトが用いられるシャシダイナモメータの平面図。
図2】送風装置の側面図。
図3】ダクト本体の側面図。
図4】ダクト本体の正面図。
図5】ダクト本体の平面図。
図6】チェーン用プレートセットを窓部に取り付けた状態を示す断面図。
図7】内側プレート、外側プレートおよびカバープレートの側面図と上面図を並べて示した図。
図8】積層したチェーン用プレートセットを外側から見た側面図。
図9】チェーン用プレートセットの高さを段階的に変更した説明図。
図10】拘束部材通過孔の径が大きな2つの弾性シート部材の側面図。
図11】長方形の拘束部材通過孔を有する2つの弾性シート部材の側面図。
図12】長方形の拘束部材通過孔と十字形の切り込みを有する弾性シート部材の側面図。
図13】楕円形の開口部および拘束部材通過孔を備えたプレートセットを示す説明図。
図14】正方形の開口部を有する内側ないし外側プレートの側面図。
図15】フラッパを備えた実施例を示す図6と同様の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1は、この発明に係る送風ダクト1を備えたシャシダイナモメータ全体の構成を示している。このシャシダイナモメータは、試験に供される車両2の前輪および後輪がそれぞれ載せられる4つのローラ3を備えており、車両2の車体を拘束した状態でローラ3の上で走行試験を行うものである。ローラ3の大部分は、ピットカバー4の下側に位置し、各ローラ3の周面の一部のみがピットカバー4の4箇所において露出している。
【0022】
試験中の車両2は、複数の車両拘束部材例えば4本のチェーン5(5A,5B,5C,5D)によってピットカバー4上の所定位置に拘束される。これらのチェーン5は、一端が車体の牽引フック(図示せず)を利用して車体に結合され、かつ他端が垂直に起立した堅固なポール6(6A,6B,6C,6D)に結合される。具体的には、車両2後部を拘束する2本のチェーン5C,5Dは、車体後部に左右に離れて位置する一対の牽引フックから水平面に沿って左右に拡がるように延び、車両2の後方に配置されたポール6C,6Dにそれぞれ結合される。車両2前部を拘束する2本のチェーン5A,5Bは、車体前部中央付近に位置する1つの牽引フックから水平面に沿って左右に拡がるように延び、車両2の前方に配置されたポール6A,6Bにそれぞれ結合される。なお、以下での説明における「前」、「後」、「左」、「右」の語は、基本的に、ピットカバー4上に載せられる車両2の前後左右に沿って用いることとする。
【0023】
各々のポール6の下端の基部は、4つのローラ3の外側を通るように設けられた前後方向に延びる一対のガイドレール7に支持されており、かつこのガイドレール7に沿って前後方向に位置調整可能となっている。このポール6の前後位置調整によって、各チェーン5の角度(前後方向に対する傾斜角度)が調整される。なお、走行試験に際しては、各チェーン5の角度に基づき、前後方向に沿った分力が所定の値となるように、各チェーン5の張力が管理される。また、各ポール6におけるチェーン5端部の取付高さ位置は、各チェーン5が水平となるように、つまり牽引フックの高さ位置と等しくなるように、調整が可能である。
【0024】
車両2は、基本的には、前方および後方のチェーン5(5A,5B,5C,5D)によって適宜な張力で前後方向に引っ張ることによってシャシダイナモメータ上に拘束される。
【0025】
車両2の後部においては、さらに、左右の牽引フックからそれぞれ後方へ飛び出し防止用チェーン8が延びている。この飛び出し防止用チェーン8の先端は、床面のフック(図示せず)に結合されている。このフックは、左右方向に沿ったガイドレール9にそれぞれ支持されており、左右に位置調整が可能である。一対の飛び出し防止用チェーン8は、万一の車両2の前方への移動を防止している。
【0026】
車両2の前部においては、チェーン5(5A,5B)に加えて、横振れ防止用チェーン10(10A,10B)が設けられている。横振れ防止用チェーン10は、一端が車体前部の牽引フックに結合され、水平面に沿って延びて、他端がそれぞれポール11(11A,11B)に結合されている。ポール11は、チェーン5用のポール6と同じガイドレール7に支持されており、前後位置調整が可能である。これらの横振れ防止用チェーン10は、チェーン5に比較して車両2の左右方向に近い角度で設けられており、車体前部の左右方向の移動を規制している。
【0027】
シャシダイナモメータの前方には、ピットカバー4上の車両2に対向するように位置する送風装置15が設けられている。図2は、送風装置15の側面図である。図1図2に示すように、送風装置15は、車輪16を有する基台17と、この基台17の上に上下動可能に支持された平面視で四角い枠状をなすベッド18と、このベッド18に支持された渦巻形のケーシング19を有する送風ファン20と、この送風ファン20をベルト21を介して駆動する電動モータ22と、を主体として構成されている。送風ファン20は、ケーシング19の一方の端面から軸方向に吸い込んだ空気を遠心方向へ送り出す形式のものであり、ケーシング19は、図示せぬインペラを収容した円筒部19aと、この円筒部19aから接線方向へ延びる直線部19bと、を有する。直線部19bは、矩形断面を有し、かつ先端が車両2へ向かって延びている。そして、送風ファン20の吐出部となる直線部19bの先端に、この発明に係る送風ダクト1が接続されている。図2に示すように、直線部19bおよび送風ダクト1は、基本的に水平に延びている。
【0028】
図1に示すように、上記送風装置15は、車輪16が左右一対のガイドレール24に沿って案内されることで、前後方向に位置調整が可能となっている。従って、送風ダクト1先端の開口(後述の吐出口37)が車種に応じた最適位置となるように、送風装置15の前後方向位置が設定される。また、車両2前端の空気取り入れ口やラジエータの高さ位置も車種によって異なるので、前述したようにベッド18とともに送風ファン20を上下動させることで、送風ダクト1の先端開口(吐出口37)の高さ位置の調整が可能である。
【0029】
ここで、図1に示すように、本実施例では、車両2の前部において牽引フックから右側へ延びるチェーン5Aが送風ダクト1の一部(後述する右側の側壁33)と干渉する位置関係にある。
【0030】
次に、図3図5を参照して送風ダクト1について説明する。送風ダクト1は、鋼板を溶接等により組み合わせてなるダクト本体101を主体としている。図3は、ダクト本体101を左側から見た側面図、図4は、ダクト本体101を車両2側から見た正面図、図5は、ダクト本体101を上方から見た平面図、である。
【0031】
ダクト本体101は、四角い筒状をなしており、それぞれ鋼板からなる底壁31と頂部壁32と一対の側壁33とを有し、矩形断面の流路を構成している。図示例では、流れ方向に沿った各部において同一の断面形状を有する。換言すれば、流路の断面形状は変化せず、送風ダクト1の全長に亘って一定である。なお、本発明においては、必ずしも流路断面形状が一定である必要はない。
【0032】
ダクト本体101の前側の端部つまり送風装置15のケーシング19の先端に接続される端部には、断面がU字形ないしJ字形をなすように4つの壁(底壁31、頂部壁32、側壁33)の端縁を折り返してなるフレーム状の取付フランジ部34が形成されている。この取付フランジ部34の周縁の複数箇所には、ダクト本体101(つまり送風ダクト1)をケーシング19に固定するためのフック35が設けられている。これらのフック35に対応して、ケーシング19の先端縁に図示せぬトグルクランプが配置されており、このトグルクランプの締結によって送風ダクト1がケーシング19の先端に固定される構成となっている。
【0033】
ダクト本体101の後側の端部には、流れ方向と直交する面に沿った出口側フランジ部36が設けられており、送風ダクト1の先端開口つまり吐出口37の周囲をこの出口側フランジ部36が囲っている。吐出口37は、図4に示すように、上下方向寸法に比較して左右方向寸法が大きな長方形状をなしている。
【0034】
ダクト本体101の底壁31には、計4箇所に、ブラケット38を介してキャスタ39が取り付けられている。ケーシング19から取り外された状態では、このキャスタ39によって送風ダクト1を床面上で容易に移動させることができる。なお、送風装置15のケーシング19に送風ダクト1が取り付けられた状態では、キャスタ39は床面から離れている(図2参照)。つまり、ケーシング19とともに送風ダクト1は上下位置調整が可能である。
【0035】
頂部壁32には、ケーシング19から取り外された状態で送風ダクト1を床面上で移動させる際などに用いる一対の取っ手40が設けられている。
【0036】
一対の側壁33の各々には、図3に示すように、前後2つの窓部42が開口形成されている。つまり、ダクト本体101は、計4つの窓部42を備えている。4つの窓部42は、いずれも基本的に同一の構成を有している。図3は、左側の側壁33を示しているが、右側の側壁33にも、これと対称をなすように前後2つの窓部42が開口している。
【0037】
各々の窓部42は、上下方向に細長く延びた長方形状をなしており、上端は側壁33の上縁近くに達し、かつ下端は側壁33の下縁近くに達している。換言すれば、ダクト本体101の強度確保の上で必要な上縁および下縁を残して側壁33の上下方向のほぼ全体に亘って窓部42が開口している。
【0038】
窓部42の前側および後側の側縁の各々には、細長い帯状の金属板からなるリテーナ43が取り付けられている。窓部42を前後に挟むように設けられた一対のリテーナ43には、プレート取付部として、複数のねじ孔45が上下方向に等ピッチで並んで配置されている。一実施例では、上下方向に8個のねじ孔45が並んでいる。つまり、一実施例においては、窓部42が上下方向に並んだ8個の区画に仮想的に区分され、各区画に1つずつ(前後で2つずつ)ねじ孔45が配置されている。
【0039】
上記窓部42は、使用状態においては、図7に示す内側プレート51、外側プレート52、カバープレート53,54を含む四角形の金属製のプレートをタイル状に並べることによって塞がれている。従って、送風ダクト1は、ダクト本体101と、内側プレート51、外側プレート52、カバープレート53,54を含んで構成されている。なお、図7は、内側プレート51等の各部材の正面図と上面図とを上下に並べて示している。
【0040】
図7(d),(e)に示すように、カバープレート53,54は、単純に窓部42の開口面を覆うものであり、両側縁に後述する取付ねじ66が貫通する貫通孔55を備えている。また、リテーナ43と重なる両側縁の板厚に比べて窓部42の開口幅に対応した中央部は相対的に厚く、内側へ膨らんだ厚肉部53a,54aとなっている。この厚肉部53a,54aと両側縁の薄肉部との段差は、側壁33の板厚とリテーナ43の板厚との和に相当し、従って、窓部42に取り付けた状態において、側壁33の内壁面と厚肉部53a,54aの内側面とが同一平面として連続するようになっている(図6参照)。
【0041】
ここで、カバープレート53とカバープレート54とは、上下方向の寸法が異なっている。カバープレート53は、窓部42の8個の区画の中の1つの区画を覆う大きさを有し、カバープレート54は、2つの区画を覆う大きさを有する。また、これに対応して、カバープレート53は、前後の側縁に1つずつ貫通孔55を有し、カバープレート54は、前後の側縁に2つずつ貫通孔55を有している。これらの大きさの異なるカバープレート53,54は、後述するように、適宜に組み合わせて用いられる。
【0042】
内側プレート51(図7(a))と外側プレート52(図7(f))は、内側プレート51が内側に、外側プレート52が外側にそれぞれ位置するようにして重ね合わせて用いられるものである。これらの内側プレート51および外側プレート52は、一実施例では、窓部42の8個の区画の中の2つの区画を覆う大きさを有しており、各々の中央に、円形の開口部57,58を備えている。一実施例では、内側プレート51の開口部57と外側プレート52の開口部58は等しい大きさを有する。但し、本発明では、2つの開口部57,58の大きさや形が互いに異なっていてもよい。図示例では、試験中のチェーン5の振動を考慮して、プレート51,52の大きさの中でできるだけ大きな径の円として開口部57,58が設けられている。
【0043】
内側プレート51は、カバープレート53,54と同様に、側壁33の内壁面と同一平面を呈するように厚肉部51aを有しており、開口部57は、この厚肉部51aに開口している。また、前後の側縁には、それぞれ2つずつ取付ねじ66用の貫通孔55を有している。
【0044】
外側プレート52は、厚肉部を具備しない一定の板厚のプレートであり、前後の側縁にそれぞれ2つずつ貫通孔55を有している。
【0045】
内側プレート51と外側プレート52の間には、図7(b),(c)に示す弾性シート部材61,62が挟み込まれている。弾性シート部材61,62は、例えば数mm程度の厚さを有するゴムシートからなり、内側プレート51と外側プレート52とに重ねて取り付けるために、やはり側縁に2つずつ貫通孔55を有している。なお、図示例では、弾性シート部材61,62は内側プレート51や外側プレート52と同じ大きさの外形を有しているが、弾性シート部材61,62を僅かに小さく形成することも可能である。これらの弾性シート部材61,62は、中央に円形の拘束部材通過孔63を有し、さらに、該拘束部材通過孔63の開口縁から外周側へ放射状に複数の切り込み64が形成されている。図示例では、120°毎に3つの切り込み64が形成されている。この切り込み64によって3つに切り離されたゴムシートからなる各切片は、外力により容易に変形する一方で、ゴムシートの弾性によって平坦な初期形状に復帰しようとする。なお、図から容易に理解できるように、弾性シート部材61と弾性シート部材62は、部品としては同一のものであり、単に上下を反転した形となっている。ここで、拘束部材通過孔63は、チェーン5の通過に必要な最小限の大きさに設定されている。また、切り込み64の形成範囲(最外周端の位置)は、内側プレート51および外側プレート52の開口部57,58の円よりも内周側にある。
【0046】
図6は、内側プレート51と弾性シート部材61,62と外側プレート52とを重ねて側壁33に取り付けた状態を示す断面図である。図示するように、内側プレート51と弾性シート部材61,62と外側プレート52とを貫通する取付ねじ66によって、これらが積層した状態でもって窓部42を塞ぐように取り付けられている。可撓性を有する弾性シート部材61,62は、剛性を有する内側プレート51と外側プレート52との間に挟まれることによって支持されている。取付ねじ66は、手指での回転操作が可能なように摘み部66aを備えている。
【0047】
また図8は、内側プレート51と弾性シート部材61,62と外側プレート52とを重ねたもの(以下では、便宜上、チェーン用プレートセット100と呼ぶ)を外側から見た図を示している。図示するように、内側プレート51および外側プレート52の開口部57,58の内周側に拘束部材通過孔63および切り込み64が位置する。そして、弾性シート部材61の切り込み64と弾性シート部材62の切り込み64とは互いに重ならない角度位置に配置されている。
【0048】
このように拘束部材通過孔63を備えたチェーン用プレートセット100は、側壁33における2つの窓部42の中のいずれか1箇所に配置される。つまり、前述したように、車両拘束部材であるチェーン5が側壁33を横切る位置にチェーン用プレートセット100が配置され、他の区画は、カバープレート53,54によって塞がれる。
【0049】
図1に示した例では、右側の側壁33とチェーン5(5A)とが干渉するので、右側の側壁33のいずれかの窓部42の対応する位置にチェーン用プレートセット100が配置される。他の部分は、いずれもカバープレート53,54によって塞がれる。
【0050】
図8から明らかなように、拘束部材通過孔63を通過しているチェーン5が仮に振動したとすると、切り込み64によって切り離されている弾性シート部材61,62の各切片が容易に変形し、チェーン5の振動・変位を許容する。弾性シート部材61,62の各部は、チェーン5に追従して変形するので、チェーン5の周囲に生じる隙間(空気の漏洩が生じる隙間)は小さい。特に図示例では、切り込み64の位置が合致しない2枚の弾性シート部材61,62が重ねられているので、チェーン5の変位により弾性シート部材61,62の一方に生じた隙間が弾性シート部材61,62の他方で覆われる形となり、空気の漏洩が生じる隙間は非常に小さなものとなる。
【0051】
なお、本発明においては、必ずしも2枚の弾性シート部材61,62に限定されるものではなく、いずれか1枚のみの弾性シート部材を用いてもよく、3枚以上の弾性シート部材を重ねて用いてもよい。
【0052】
上下方向に長く形成された窓部42の中でのチェーン用プレートセット100の位置は、車種毎に異なるものとなるチェーン5の高さ位置に応じて適宜に変更することができる。
【0053】
図9は、チェーン5の高さ変化に対するチェーン用プレートセット100とカバープレート53,54の配置の例を示している。ここでは、2つのカバープレート53と2つのカバープレート54の組み合わせが用いられている。図9(a)では、窓部42の中の最も低い位置にチェーン用プレートセット100が位置し、残りの区画をカバープレート53,54が塞いでいる。図9(g)では、窓部42の中の最も高い位置にチェーン用プレートセット100が位置し、残りの区画をカバープレート53,54が塞いでいる。図9(b)〜(f)では、チェーン用プレートセット100の位置が徐々に上方に位置している。この図9から理解できるように、図示例ではチェーン用プレートセット100が2つの区画を覆う大きさを有しているが、カバープレート53,54として1つの区画に対応するカバープレート53を含むことで、拘束部材通過孔63の高さ位置を7段階に変更することができる。仮に、カバープレートが全てチェーン用プレートセット100と同じ大きさ(つまり2つの区画に対応する大きさ)であるとすると、拘束部材通過孔63の高さ位置は4段階にしか変化させることができない。
【0054】
一方、仮に全てのカバープレートがカバープレート53のように1つの区画に対応した大きさであるとすると、カバープレートの総数が多くなり、脱着作業が煩雑となる。
【0055】
チェーン用プレートセット100およびカバープレート53,54は、送風ダクト1の外側から取付ねじ66を介して脱着できるので、いずれも、他のカバープレート53,54等を取り外すことなく入れ替えることが可能である。例えば、図9のいずれかの態様から他の態様に変更する際には、一部のカバープレート53,54を取り外し、チェーン用プレートセット100を移動した後に、空いた箇所にカバープレート53,54を取り付ければよい。つまり一部のカバープレート53,54の脱着のみで済み、位置変更が不要なカバープレート53,54は脱着作業が不要である。
【0056】
従って、シャシダイナモメータにおける試験対象となる車両2の入れ替え(車種の変更)に対して容易に対応することができ、かつ、どのような車種であっても窓部42を通した空気流の漏洩を最小限のものとすることができる。
【0057】
このように空気流の漏洩が少ないことで、吐出口37における流速分布がより均一となる。
【0058】
また、窓部42においては、カバープレート53,54の厚肉部53a,54aならびに内側プレート51の厚肉部51aの存在によって、空気流が流れる内壁面の凹凸が最小限のものとなっている。従って、窓部42による流れの乱れが少ない。このことも流速分布の均一化の上で有利となる。
【0059】
開口部57,58や拘束部材通過孔63の形状や大きさは、上記実施例に限定されるものではなく、種々の形状や大きさが可能である。
【0060】
例えば、図10は、比較的太い車両拘束部材に適用するように、拘束部材通過孔63の径を大きくした弾性シート部材61,62を示している。この弾性シート部材61,62は、前述したように2枚重ねて使用してもよく、いずれかを単独で使用してもよい。
【0061】
また、図11は、車両拘束部材として偏平断面形状を有するベルトを用いた場合に好適な弾性シート部材61,62の一例を示している。この実施例の弾性シート部材61,62は、ベルトの通過に適するように、長方形の拘束部材通過孔63を有している。そして、弾性シート部材61には上下方向に沿った切り込み64が形成され、弾性シート部材62には前後方向に沿った切り込み64が形成されている。これらの弾性シート部材61,62は、例えば重ねて使用される。なお、プレートセットを構成する内側プレート51と外側プレート52の開口部57,58は、前述した実施例と同様に円形であってもよく、あるいは上下に細長い長方形としてもよい。
【0062】
図12は、長方形の拘束部材通過孔63を有する1つの弾性シート部材61に上下方向および前後方向に沿った切り込み64を形成した例を示している。つまり、十字形に切り込み64が設けられている。この弾性シート部材61は、やはり1枚で使用できるほか、複数枚重ねて使用してもよい。勿論、切り込み64の位置が異なる他の弾性シート部材と重ねて使用することもできる。
【0063】
また、図13の例は、内側プレート51および外側プレート52の開口部57,58ならびに弾性シート部材61,62の拘束部材通過孔63を楕円形としたものである。
【0064】
内側プレート51および外側プレート52は、この例では、窓部42の8個の区画の中の3つの区画を覆う大きさを有し、上下方向に長い楕円形の開口部57,58を備えている。前後の側縁の各々には、窓部42側のねじ孔45のピッチに対応したピッチでもって3個の貫通孔55が並んで形成されている。
【0065】
弾性シート部材61は、内側プレート51および外側プレート52と同じ大きさつまり窓部42の8個の区画の中の3つの区画を覆う大きさを有し、かつ側縁には、3個ずつ貫通孔55が並んでいる。この弾性シート部材61には、上下方向に長い楕円形の拘束部材通過孔63が貫通形成されており、かつこの拘束部材通過孔63の開口縁から上下方向に一対の切り込み64が形成されている。拘束部材通過孔63は、内側プレート51および外側プレート52の開口部57,58に比較して細い(つまり偏平な)楕円をなしている。
【0066】
この弾性シート部材61に重ねて用いられる弾性シート部材62は、窓部42の8個の区画の中の2つの区画を覆う大きさを有している。なお、弾性シート部材61の楕円形の拘束部材通過孔63の長径は、2つの区画に相当する大きさの弾性シート部材62によって覆われ得る大きさに設定されている。この弾性シート部材62には、前後方向に細長い楕円形の拘束部材通過孔63が貫通形成されており、かつこの拘束部材通過孔63の開口縁から前後方向に一対の切り込み64が形成されている。弾性シート部材62の拘束部材通過孔63の短径(つまり上下方向寸法)は、弾性シート部材61の拘束部材通過孔63の短径(つまり前後方向寸法)と概ね等しい。
【0067】
従って、2つの弾性シート部材61,62を重ねた状態では、概ね円形の開口が形成されることとなる。
【0068】
また、弾性シート部材62の側縁の各々には、窓部42のねじ孔45のピッチの半分のピッチでもって3個の貫通孔55が並んで配置されている。これにより、弾性シート部材62は、弾性シート部材61の中央の高さ位置に重ねて配置できるほか、上方に片寄った位置および下方に片寄った位置のそれぞれに配置できる。つまり、内側プレート51および外側プレート52の開口部57,58の中で、実質的な拘束部材通過孔63の開口位置を上下に片寄らせることが可能となる。
【0069】
図14は、内側プレート51および外側プレート52の開口部57,58を、45°傾いた正方形とした例を示している。なお、図示例では、図7に示した円形の拘束部材通過孔63を有する弾性シート部材61,62と組み合わされる。
【0070】
次に、図15は、ダクト本体101の窓部42の上流側側縁に沿って、流路内に斜めに突出したフラッパ71を付加した実施例を示している。フラッパ71は、例えば帯状金属板を適宜な傾斜角に折り曲げて形成されており、側壁33の内壁面に溶接等により取り付けられている。このようにフラッパ71を備えた実施例では、窓部42の上流側の直前位置でフラッパ71によって空気流が内側へ案内されるので、窓部42(特に拘束部材通過孔63とチェーン5との間の隙間)を通して漏洩する空気流がさらに少なくなる。
【0071】
フラッパ71は、拘束部材通過孔63をチェーン5が通過している状態において、仮にチェーン5が振動したとしても干渉が生じない大きさ(つまり窓部42内への張り出し量)ならびに角度に設定されている。なお、図示は省略するが、フラッパ71をいわゆるヒンジ状に構成し、その傾斜角を任意に変更できるようにしてもよい。
【0072】
以上、この発明の一実施例を説明したが、この発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0073】
例えば、内側プレート51、外側プレート52およびカバープレート53,54としては、剛性を有する材質であればよく、例えば硬質剛性樹脂などから形成することもできる。
【0074】
また、図示例ではダクト本体101の前後2箇所に窓部42を備えているが、必要に応じてさらに多数の窓部42を形成することも可能である。
【0075】
また、図示例では送風ファン20のケーシング19とは別の部品として送風ダクト1(ダクト本体101)が構成されているが、渦巻形をなすケーシング19の先端部分をダクト本体として窓部42を形成した構成であってもよい。つまり、本発明の送風ダクトは、送風ファンの一部として構成することが可能である。
【0076】
また、車両拘束部材としては上述したチェーン5やベルトに限らず、棒状の車両拘束部材を用いる場合であっても本発明は同様に適用することが可能である。
【0077】
また、カバープレート53,54やプレートセット100を固定する手段としては、上述のねじ孔45および取付ねじ66に限らず、例えばバックル状のクランプなど簡単に着脱できる機構を適宜に利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1…送風ダクト
2…車両
5(5A,5B,5C,5D)…チェーン
15…送風装置
20…送風ファン
31…底壁
32…頂部壁
33…側壁
37…吐出口
42…窓部
45…ねじ孔
51…内側プレート
52…外側プレート
53,54…カバープレート
51a,53a,54a…厚肉部
61,62…弾性シート部材
63…拘束部材通過孔
64…切り込み
71…フラッパ
100…チェーン用プレートセット
101…ダクト本体
【要約】
【課題】送風ダクトの側壁を貫通する車両拘束部材と側壁との間の隙間による空気流の漏洩を少なくし、吐出口での流速分布の均一化を図る。
【解決手段】シャシダイナモメータに設けられる送風装置のダクト本体は、矩形断面の流路を構成するように底壁と頂部壁と一対の側壁とを有する。チェーン等の車両拘束部材の通過が可能なように側壁にそれぞれ上下に長い窓部が開口している。窓部は、いくつかのカバープレートとチェーン用プレートセットをタイル状に並べることで閉塞される。チェーン用プレートセットは、開口部57,58を有する内側プレート51と外側プレート52との間に、拘束部材通過孔63と切り込み64を有する弾性シート部材61,62を挟んで重ねることで構成される。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15