特許第6687208号(P6687208)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6687208
(24)【登録日】2020年4月6日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】袋入りパンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A21D 8/02 20060101AFI20200413BHJP
   A21D 15/04 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   A21D8/02
   A21D15/04
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-143819(P2019-143819)
(22)【出願日】2019年8月5日
【審査請求日】2019年8月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516042192
【氏名又は名称】菅内 峰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】菅内 峰雄
【審査官】 宮岡 真衣
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06060088(US,A)
【文献】 米国特許第08597702(US,B1)
【文献】 特開2018−143149(JP,A)
【文献】 特開2015−015916(JP,A)
【文献】 特開2005−269971(JP,A)
【文献】 特開平08−242754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21D 2/00−17/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
日経テレコン
FSTA/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を捏ねてパン生地を作製する作製工程と、
食型内の四隅を含む内面を覆う領域に、パルプを90〜100%含む吸収シートを敷き、当該吸収シートの上から食型の中に前記パン生地を入れて成形する成形工程と、
前記成形工程を終えた前記パン生地を発酵させる発酵工程と、
前記発酵工程を終えた発酵後の前記パン生地を、前記パン生地の中心部の温度である芯温を115〜125℃として3〜5分間保つことを条件として焼成する焼成工程と、
前記焼成工程を終えて得られたパンを、中心部の温度である中心温度を予め定められた30〜40℃の温度に保った状態で、前記吸収シートにより包み込んで包装し、脱酸素剤とともに袋内に真空密封する密封工程と、
前記密封工程の後、前記袋内に真空密封されたパンを前記袋ごと72〜87℃の温度で50〜60分間加熱することによって、前記密封工程で処理された前記袋内の前記パンを殺菌する殺菌工程と、を含む袋入りパンの製造方法。
【請求項2】
前記作製工程は、
小麦粉の添加量の合計を100重量部としたときに、原料の配合比率(%)を、小麦粉の添加量が小麦粉100重量部に対して70重量部、イーストの添加量が小麦粉100重量部に対して3重量部、水の添加量が小麦粉100重量部に対して40重量部として、捏上温度20〜30℃とする中種生地の生地作製工程と、
前記中種生地の生地作製工程で作製した前記中種生地を、温度20〜30℃及び湿度75〜85%の醗酵室内に2時間おくことによって発酵させる中種発酵工程と、
前記中種発酵工程で中種発酵後の前記中種生地に、残余の使用原料である小麦粉、グラニュー糖、コーンスターチ、液糖、フードスターチ、塩、プルラン、調味パウダー、及び水を、小麦粉100重量部に対して、小麦粉の添加量が30重量部、グラニュー糖の添加量が30重量部、コーンスターチの添加量が15重量部、液糖の添加量が17重量部、フードスターチの添加量が10重量部、塩の添加量が1.5重量部、プルランの添加量が1重量部、水の添加量が10重量部として、本捏する本捏工程と、
前記本捏工程を終えた本捏生地に、残余の使用原料であるショートニング及びマーガリンを、小麦粉100重量部に対して、ショートニングの添加量が25重量部、マーガリンの添加量が12重量部として、本捏仕込みを行う本捏仕込み工程と、
前記本捏仕込み工程を終えた前記本捏生地を25〜35分間寝かして前記パン生地とする寝かし工程と、を有する請求項1に記載の袋入りパンの製造方法。
【請求項3】
前記殺菌工程後に、前記袋を冷却して袋入りパンを製造する袋冷却工程を更に含み、当該袋冷却工程は、前記加熱後の袋を15〜25分、水冷するものである請求項1又は請求項2に記載の袋入りパンの製造方法。
【請求項4】
前記密封工程で使用する袋は、アルミパウチである請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の袋入りパンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンを袋内に密封した袋入りパンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
長期保存が可能なパンの製造方法として、例えば、下記特許文献1に示される袋入りパンの製造方法が知られている。この袋入りパンの製造方法は、パンを、パルプを90〜100%含む吸収シートを脱酸素剤とともに袋内に真空密封する密封工程と、密封工程後に当該袋を加熱することによって当該袋内のパンに含まれる水分を蒸発させて、当該袋内に発生した水蒸気を吸収シートに吸収させる再焼成工程と、再焼成工程後に当該袋を冷却する袋冷却工程と、を含むものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−143149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に開示された袋入りパンの製造方法によれば、パンの長期保存を実現しつつ、パンの風合いを従来よりも向上させることが可能になる。しかしながら、長期保存可能なパンとしての柔らかさには更なる改良が望まれている。なお、ここでの風合いとは、パンの形状、柔らかさ、食感、味、及び、香りなどを総合したパン全体の感じをいう。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、パンの柔らかさを保ちつつ、安全性を高めてパンの長期保存を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係る袋入りパンの製造方法は、材料を捏ねてパン生地を作製する作製工程と、食型内の四隅を含む内面を覆う領域に、パルプを90〜100%含む吸収シートを敷き、当該吸収シートの上から食型の中に前記パン生地を入れて成形する成形工程と、前記成形工程を終えた前記パン生地を発酵させる発酵工程と、前記発酵工程を終えた発酵後の前記パン生地を、前記パン生地の中心部の温度である芯温を115〜125℃として3〜5分間保つことを条件として焼成する焼成工程と、前記焼成工程を終えて得られたパンを、中心部の温度である中心温度を予め定められた30〜40℃の温度に保った状態で、前記吸収シートにより包み込んで包装し、脱酸素剤とともに袋内に真空密封する密封工程と、前記密封工程の後、前記袋を70〜90℃の温度で50〜60分間加熱することによって前記袋内の前記パンを殺菌する殺菌工程と、を含むものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パンの柔らかさを保ちつつ、安全性を高めてパンの長期保存をすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る袋入りパンの製造方法を示すフローチャートである。
図2】(A)は食型内に吸収シートを敷いた状態を示す斜視図、(B)は吸収シートの上から食型の中にパン生地を入れて成形する様子を示す斜視図である。
図3】吸収シートにより包み込まれた状態のパンを示す斜視図である。
図4】(A)は第11工程を経て製造された袋入りパンの斜視図、(B)は(A)中のA−A線の矢視断面図であって、アルミパウチの内部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る袋入りパンの製造方法について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る袋入りパンの製造方法を示すフローチャートである。本実施形態に係る袋入りパンの製造方法は、例えば、第1工程〜第13工程までで構成されている。本実施形態では、中種生地作製工程(第1工程)、中種発酵工程(第2工程)、本捏工程(第3工程及び第4工程)、フロアタイム(第5工程)、及び本捏生地の分割工程(第6工程)、成形工程(第7工程)、本捏発酵工程(第8工程)、及び本捏生地焼成工程(第9工程)を順に行うことによってパンが製造され、その後、密封工程(第10工程)、及び高温長時間殺菌工程(第11工程)、及び袋冷却工程(第12工程)を順に行うことによって袋入りパンが製造され、袋詰めされたパンが保存工程(第13工程)によって保存される。なお、本製造方法に使用する原料の配合比率(%)の一例を以下の表1に示す。
【表1】
【0010】
本製造は中種方式により行う。上記表1の使用原料のうち、下記の表2に示すもののみを事前にミキシングすることで、小麦粉の発酵を促進し、焼成後のパンの劣化防止や食味向上を図る。表2に示す原料を先に混ぜて発酵させ、下記の表3に示す材料をこれに追加して更に混ぜる。このようにして表2に示す原料と表3に示す原料を合わせたものが上記表1に示すものとなる。なお、各表に示す配合比率は、最適な値を示すものであり、これに限定されるものではない。各配合比率としては、5%前後の範囲内の値を適用可能である。また、特許請求の範囲に示す各配合比率も、上記範囲内の値を含むものとする。
【0011】
初めに、第1工程では、使用原料の一部である小麦粉、イースト、及び水(下記表2に示す)を混捏して中種生地を作製する。例えば、この混捏は、低速で3分間及び高速で3分間のミキシングにより行われる。第1工程で使用する原料の配合比率(%)を以下の表2に示す。表2に示すように、第1工程におけるイーストの添加量は、小麦粉100重量部に対して3重量部であり、水の添加量は、小麦粉100重量部に対して40重量部である。また、第1工程は、中種生地の捏上温度が20〜30℃、より好ましくは26℃となるように行われる。
【表2】
【0012】
次に、第2工程では、第1工程で作製した中種生地を発酵させる。この第2工程は、中種生地を温度20〜30℃(より好ましくは26℃)とし、湿度75〜85%(より好ましくは80%)の醗酵室内に2時間おくことによって行う。
【0013】
次に、第3工程では、第2工程で中種発酵後の中種生地に残余の使用原料である小麦粉、グラニュー糖、コーンスターチ、液糖、デンプン老化防止用のフードスターチMM−3(商品名)、塩、プルラン、調味パウダー(例えばAIP−5272)、及び水(下記表3に示す)を添加して本捏する。例えば、この混捏は、低速で3分間及び高速で5分間のミキシングにより行われる。この第3工程で使用する原料の配合比率(%)を以下の表3に示す。表3に示すように、この第3工程におけるグラニュー糖の添加量は、小麦粉100重量部に対して30重量部であり、水の添加量は、小麦粉100重量部に対して10重量部となっている。また、糖分であるグラニュー糖及び液糖の添加量は、小麦粉100重量部に対して合計47重量部であり、パンの旨みを引き出す目安となる35重量部以上の値に維持する。
【表3】
【0014】
次に、第4工程では、第3工程で本捏後の本捏生地に残余の使用原料であるショートニング、及びマーガリンを更に添加して本捏する。例えば、この混捏は、低速で3分間及び高速で7分間のミキシングにより行われる。この第4工程で使用する原料の配合比率(%)を以下の表4に示す。表4に示すように、第4工程におけるショートニングの添加量は、小麦粉100重量部に対して25重量部であり、マーガリンの添加量は、小麦粉100重量部に対して12重量部である。この第4工程では、油脂であるショートニング及びマーガリンの添加量は、小麦粉100重量部に対して合計37重量部であり、パンの旨みを引き出す目安となる37重量部以上の値に維持する。また、この第4工程は、中種生地の捏上温度が28℃〜30℃の範囲内に収まるように行う。
【表4】
【0015】
次に、第5工程では、フロアタイム(本捏生地のねかし)を25〜35分(好ましくは30分)行う。
【0016】
その後、第6工程では、本捏生地を略同じ大きさのものに切り分けて分割する。この第6工程では、本捏生地を例えば120グラムにカットし、ロール状に成型する。このとき、ロール状の本捏生地の長さは例えば16cmとされる。以上、第1工程〜第6工程までが、材料を捏ねてパン生地を作製する作製工程をなす。第1工程〜第6工程を終えた本捏生地が、以降の工程で用いるパン生地である。
【0017】
次に、第7工程として成形工程を行う。成形工程では、図2(A)に例を示すように、食型5内の四隅を含む内面を覆う領域に、パルプを90〜100%含む吸収シート6を敷き、図2(B)に例を示すように、当該吸収シート6の上から食型5の中にパン生地7を入れて成形する。
【0018】
続いて、第8工程では、第7工程を終えたパン生地7を、上記吸収シート6が敷かれた上記の食型5に入れた状態で、温度25〜35℃(好ましくは30℃)及び湿度75〜85%(好ましくは80%)の発酵室内に40分〜60分おくことによって、当該パン生地7を発酵させる。
【0019】
その後、第9工程では、第8工程で発酵後のパン生地7を焼成する。この第9工程は、パン生地7の中心部の温度である芯温を115〜125℃(好ましくは120℃)として3〜5分間(好ましくは4分間)保つことを条件として焼成し、これによりパン生地7に含まれる土壌菌を滅菌可能にすることが好適である。この焼成は、例えば、本捏生地を温度180〜190℃(好ましくは185℃)の釜内に16〜20分(好ましくは18分)おくことによって行う。
【0020】
更に次の第10工程としての密封工程では、第9工程での焼成を終えて得られたパン2を、中心部の温度である中心温度を30〜40℃の温度、好ましくは35℃以上40℃以下の温度に保った状態で、上記食型5から吸収シート6と共に取り出し、図3に例を示すように、吸収シート6により包み込んで包装する。図3に示す状態から更にパン2の全体を覆って吸収シート6により閉じた状態にする。これにより、パン2の周面の全面が覆われる。このように包装したパン2を脱酸素剤とともに袋内に真空密封する。例えば、第9工程での焼成を終えて得られたパン2を、例えば酸化鉄(化学式FeO)からなる脱酸素剤とともにアルミパウチ内に真空密封する。このアルミパウチは、例えば、日光を遮断可能な4層構造を有している。例えば、アルミパウチ内において、脱酸素剤は吸収シート6の外側に配置する。当該アルミパウチは、包装されたパン2を内包した状態でヒートシールにて完全に密封される。
【0021】
図4(A)(B)は、第10工程を経て製造された袋入りパン1を示す図である。図4(A)は、当該袋入りパン1の斜視図である。図4(B)は、図4(A)中のA−A線の矢視断面図であって、アルミパウチ4の内部を示す図である。なお、図4(B)では脱酸素剤の図示を省略している。すなわち、袋入りパン1は、アルミパウチ4と、上記吸収シート6に包み込まれた状態で当該アルミパウチ4内に真空密封されたパン2とを有している。図4(B)に示すように、パン2の全周面に吸収シート6が接触している。
【0022】
このように密封することで、当該脱酸素剤にアルミパウチ4内の酸素が吸収されて、アルミパウチ4内の空気が窒素で置換されるので、アルミパウチ4の中が窒素で充満した状態となる。そのため、本実施形態では、アルミパウチ4内に窒素を充填する作業を伴うことなく、アルミパウチ4内を脱酸素状態で維持できる。
【0023】
次の第11工程としての殺菌工程では、上記の袋入りパン1を、アルミパウチ4の袋ごと70〜90℃(好ましくは72〜87℃。更に好ましくは80℃)の温度で50〜60分間加熱する。これにより、当該袋内のパン2を殺菌する。この殺菌処理により、アルミパウチ4内の雑菌(一般生菌。例えばノロウィルス等)を取り除く。この第11工程により、アルミパウチ4に密封された状態のパン2に対して、第9工程での焼成に加えて、上記殺菌処理により2度目の焼成を行うことになる。この2度目の焼成により、上記殺菌処理と共に、アルミパウチ4に密封された状態のパン2に十分な焦げ目を付けることが可能になる。すなわち、パン2の素材についての上記配合は、このような2度の焼成を行っても、出来上がるパン2の組成や風味に問題を生じさせないものとされている。
【0024】
第11工程において上記のようにアルミパウチ4の袋ごと加熱することにより、更に、アルミパウチ内のパン2に含まれる水分が蒸発し、アルミパウチ4内に発生した水蒸気が吸収シート6に吸収するという作用がある。
【0025】
次に、第12工程では、第11工程で加熱後の袋入りパン1を冷却する。この第12工程では、袋入りパン1を袋ごと15〜25分(好ましくは20分)の間、水冷(水温は常温(例えば10〜35℃))する。当該水冷による急速な冷却により、アルミパウチ4内のパン2の組成を安定させる。
【0026】
上記の第11工程においては、アルミパウチ4内にパン2及び吸収シート6を入れた状態で、袋入りパン1が高温加熱されることになる。そのため、第11工程では、滅菌処理中のアルミパウチ4の内部でパン2に含まれる水分が蒸気となり、パン2と水分とが分離する。そして、第12工程における冷却処理によってアルミパウチ4内の温度が低下することで液化した水分は吸収シート6に一旦吸収される。
【0027】
そして、第13工程では、第12工程を終えた袋入りパン1を保存する。第13工程までを経た袋入りパン1は、温度状態に応じて、アルミパウチ4の袋内で、吸収シート6に吸収された水分が、当該吸収シート6の面積に亘る広い範囲でパン2側に移動し、或いは、パン2から吸収シート6に移動する。パン2は、イーストを用いた発酵食品であるので、水分が吸収シート6から再びパン2に戻るときには、パン2内の小さな気泡に当該水分が充満されていき、水分をパン2の全体に亘って効率よく染み渡らせることができる。このパン2及び吸収シート6間における水分の移動により、パン2が含有する水分量が一定に保たれ、袋内のパン2の柔らかさが保たれる。
【0028】
また、本実施形態の袋入りパン1はアルミパウチ4による包装によって、アルミパウチ4内が無菌状態に保たれるので、最低3年の長期間にわたってパン2の保存が可能である。
【0029】
このように、本実施形態では、パン2の柔らかさを保ちつつ、安全性を高めてパンの長期保存することが可能になる。本実施形態では、特に、第9工程での焼成を終えて得られたパン2を、第10工程において、中心温度を30〜40℃の温度、このましくは35℃以上40℃以下の高温に保った状態で、吸収シート6により包み込んで包装して脱酸素剤とともに袋内に真空密封する処理と、このように袋内に真空密封されたパン2を、第11工程において、袋入りパン1を袋ごと70〜90℃(好ましくは72〜87℃)の温度で50〜60分間加熱する処理とを組み合わせて行うことによって、これらの処理を行わない工程を経て製造されたパンよりも確実に殺菌を行った上で、柔らかいパンを製造することを可能としている。
【0030】
なお、図1乃至図4を用いて上記各実施形態に示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明の構成及び処理はこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0031】
1 袋入りパン
2 パン
4 アルミパウチ
5 食型
6 吸収シート
7 パン生地
【要約】
【課題】パンの長期保存を実現しつつ、パンの柔らかさを従来よりも向上可能にする。
【解決手段】材料を捏ねてパン生地を作製する作製工程と、食型内の四隅を含む内面を覆う領域にパルプを含む吸収シートを敷き、当該吸収シートの上から食型の中にパン生地を入れて成形する成形工程と、成形工程を終えたパン生地を発酵させる発酵工程と、発酵工程を終えた発酵後のパン生地を、温度180〜190℃の釜内に15〜25分おくことによって焼成する焼成工程と、焼成工程を終えて得られたパンを、中心部の温度である中心温度を予め定められた30〜40℃の温度に保った状態で、吸収シートにより包み込んで包装し、脱酸素剤とともに袋内に真空密封する密封工程と、密封工程の後、袋を70〜90℃の温度で50〜60分間加熱することによって袋内の前記パンを殺菌する殺菌工程と、により袋入りパンを製造する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4