【文献】
辻村 清也,加納 健司,酵素バイオ電池の最近の展開,GS Yuasa Technical Report,2008年12月25日,第5巻,第2号,第1−6頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
イオン透過性および電子供与体不浸透性の障壁であって、前記緩衝材をアノードコンパートメントおよびカソードコンパートメントへと分離し、これにより前記電子供与体集団が前記カソードに接触することを予防する、障壁をさらに備える、請求項1に記載のボルタセル。
前記第1微生物種は、第1バンドにおいて電磁放射によって励起され、前記緩衝材の少なくとも1つの他の種の微生物は、第2バンドにおいて電磁放射によって励起され、前記第1バンドおよび前記第2バンドはオーバーラップしない、
請求項5に記載のボルタセル。
前記電子サイフォンの集団は、前記緩衝材内において集合体を形成し、前記集合体は、前記電子供与体集団から電子を前記アノードへ伝導させるように構成される、請求項1に記載のボルタセル。
動作中、前記電子供与体集団によって生成される電子は、前記電子供与体集団から前記構造までの前記電子の移動イベントを通して、1又は複数の前記電子サイフォンによって吸い上げられる
請求項1に記載のボルタセル。
前記電子サイフォンの集団の少なくとも一部の電子サイフォンは、前記電子供与体から該ボルタセルの電流コレクタまでの電子伝導経路において、ノードまたは経路要素として機能するように構成される
請求項1に記載のボルタセル。
(a)電子供与体集団が内部に与えられるイオン伝導性媒体を有する緩衝材であって、前記電子供与体集団は、第1主要代謝経路を有する第1微生物種及び第2主要代謝経路を有する第2微生物種を含み、前記第1主要代謝経路は前記第2主要代謝経路の基質として機能する代謝廃棄物を生成する緩衝材と、
(b)前記緩衝材の前記電子供与体集団を少なくとも部分的に有する容器と、
(c)前記電子供与体集団から電子を受け取り、電子を外部回路または負荷に与えるように構成されたアノードと、
(d)カソードと、
を備え、
前記アノード及び前記カソードの少なくとも1つは金属を含む、
ボルタセル。
【発明を実施するための形態】
【0046】
[定義]
他に定義されていない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的な用語は、当業者によって共通して理解されるものと同じ意味を有している。本明細書に含まれる複数の用語を含む様々な科学的辞書が、当業者には周知であり、利用可能である。説明される含有量と同様または同等の任意の方法および物質は、開示される実施形態の実施に役立つ。
【0047】
直ぐ下に定義される複数の用語は、本明細書を参照することによってより十分に理解される。定義は、特定の実施形態のみを説明し、本明細書において説明される複雑な概念を理解することにおいての援助をするべく与えられる。それらは、本開示の全範囲を限定するように意図されていない。具体的に、特定の組成、システム、設計、手法、プロトコル、および/または説明される試薬は、これらが当業者によって用いられる条件に依存して変動し得ることから、本開示は、それらに限定されないことは理解されるべきである。
【0048】
本明細書および添付の複数の請求項において用いられるように、「1つの」および「当該」等の単数形態は、内容および文脈が他に指図しない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「1つのセル」と呼ぶことは、2または3以上のようなセルの組み合わせを含む。他に示されない限り、「または」という接続詞は、ブール論理演算子としてそれの正しい意味で用いられ、代替においての複数の特性の選択(AまたはBであって、Aの選択はBとは相互排他的である)および接続詞においての複数の特性の選択(AまたはBであって、AおよびBの両方が選択される)の両方を同時に包含する。
【0049】
「集光アンテナ」は、光エネルギーによって励起されることが可能である生化学的または化学的構造である。対象となる、光はアンテナを、これらが電気または電気化学的エネルギーを生成することを可能にする状態に励起し得る。場合により、光合成微生物は集光アンテナを含む。
【0050】
「電子供与体」は、放射線(例えば、光)からのエネルギーの変換を含むプロセス、化学コンポーネント、機械的操作、または他のプロセスの一部として電子を供与するコンポーネントである。本開示において、電子供与体の例は、光合成および非光合成微生物、集光アンテナ、および色素を含む。
【0051】
「光合成微生物」は、増殖および代謝プロセスのために光エネルギーを使用する微生物細胞である。そのような微生物は、通常、光エネルギーおよび電子伝達コンポーネントを利用することが可能な複数の集光アンテナを含み、それらは細胞膜および/または膜陥入および/または膜小胞および/または細胞器官に埋め込まれてよい。
【0052】
「色素」は、通常波長選択的吸収を介して光エネルギーによって励起されることが可能である任意の組成である。色素は、1つの集光アンテナまたはそのコンポーネントである。色素は、合成的または生物学的に生成され得る。
【0053】
「非光合成微生物」は、光エネルギーを増殖および代謝プロセスのために必要としない微生物細胞である。そのような微生物は、電子伝達コンポーネントを含んでよく、これらは、細胞膜および/または膜陥入および/または膜小胞および/または細胞器官において埋め込まれてよい。
【0054】
「電子サイフォン」は、集光アンテナから電子を取り除き、電子をボルタセルの電流コレクタ(場合により電極としての役割を果たす)へ直接または間接的に伝達するように構成された小構造である。特定の実施形態において、サイフォンは、電子伝達構造(例えば、その面)に取り付けられた1または複数の電子受容素子(例えば、電子配位部分)を含む。電子伝達構造は、単一の原子の厚さ(例えば、グラフェン基質)であってよく、または複数の原子の厚さであってよい。
【0055】
「電子サイフォン基質」は、互いにかなり重複し得る複数の電子サイフォンの集積物である。いくつかの実施形態において、電子サイフォン基質は、複数の個々の電子サイフォンに及ぶ伝導性経路を提供する。いくつかの実施形態において、基質は、ボルタセルの電流コレクタから基質が複数の生物学的ベースの電子生成構造に接触する緩衝材へとかなり延びる伝導性経路を提供する。いくつかの実装において、電子サイフォン基質は、電子サイフォンの配列構成である。
【0056】
「電子伝導性材料」は、電子伝導性材料の電子の1つの位置から他の位置への移動を可能にする材料である。電子伝導性材料は、電子的に伝導性または半導性であってよい。それは、正孔を伝導させ得る。いくつかの実施形態において、電子サイフォンの電子伝達構造は、電子伝導性材料を含む。
【0057】
前書きおよび背景 光合成微生物および植物は、およそ40―80%の光吸収で光エネルギーをエネルギーの他の利用可能な形態へと変換することにおいて依然として最も効率的である。光合成生物によるエネルギー受信の平均割合は、全体的に130テラワットであり、それは人類文明の現在の電力消費能力よりもおよそ6倍大きいと推定される(Nealson、1999;Whitmarsh 1999、Steger 2005、エネルギー情報局、2006)。光合成微生物は、集光性色素およびアンテナシステムまたは反応中心をそれらの膜に含み、光子によって供給されるエネルギーを利用する。電子キャリアは、電子伝達鎖を介して励起電子を連続的に渡し、同時に、膜の全域のプロトン分離の組織的な取り組みを促し、電位エネルギーを生成する。
【0058】
非酸素型および酸素型の2種類の光合成がある。非酸素発生型光合成は、歴史的に酸素発生型光合成に先立ち、酸素を生成しないと考えられている。酸素発生型光合成は、植物およびシアノバクテリアに生じ、H
2Oを光合成栄養のために電子供与体として使用する。非酸素発生型光合成は、水素、硫黄および複数の特定の化合物を光合成栄養のための電子供与体として利用し得る。
【0059】
最大の光利用の実証された能力は、海面の下ほぼ1マイルで、これらの微生物に最小限の光が到達する複数の深海熱通気孔に存在する緑色硫黄細菌において特定されている。これらの微生物は、非酸素発生型光合成において残留光のほぼ100%を利用できる。
【0060】
利用可能なエネルギーを生成するための光合成微生物の使用は、主に、バイオ燃料生成に焦点を合わせてきている。
【0061】
本明細書で開示されているのは、微生物に基づく電気を生成する、より低いエネルギー製造プロセスを有するセルであって、光から電気への高い変換レートを生成し、レギュレータを有し、現在の太陽セル技術に比べてより少ない地理的制限を有する。セルは、地形、気候、季節、構造的な必要性等の条件に対応するようにカスタマイズ可能であってよい。特定の実施形態において、セルは、1または複数の集光アンテナ集団を有し、以下の特徴、すなわち電子伝導特性を有する電子サイフォン、光結合システム、および感知および調節フィードバック特性を有するレギュレータのうち1または複数をオプションで含む。いくつかの設計において、セルは、光の存在なしでの電気生成能力を有する。いくつかの実装において、セルは、ソーラーパネルに配備される。
【0062】
1つの形態において、ボルタセルは、緩衝系、微生物細胞集団、伝導性電子サイフォン集団および電流コレクタ(例えば、ワイヤ)を含む容器を含む。
【0063】
特定の実施形態において、ボルタセルは、緩衝系、微生物細胞集団、電子サイフォン集団および電流コレクタを含む容器を含有する。他の実施形態において、ボルタセルは、緩衝系、微生物細胞集団、伝導性電子サイフォン基質、およびワイヤ(電流コレクタの例)を含む容器を含有する。他の実施形態において、ボルタセルは、緩衝系、微生物細胞集団、伝導性電子サイフォン基質、および電流コレクタを含む容器を含有する。いくつかの態様において、ボルタセルは、集光アンテナ集団、緩衝系、電子サイフォン集団、伝導性電子サイフォン基質、ミラーシステムおよびレギュレータシステムを含む容器を含有する。電子サイフォン集団および電子サイフォン基質は、物理的に異なる構造であってよく、その集団は、電子供与体とのドッキングを容易にする機能グループおよびその集団から電子を電極まで伝達するように設計された基質を含んでいる。集団のサイフォンは、微生物と共に動き回ってよい一方で、母材のサイフォンが固定された位置を有してよい。いくつかの態様において、ボルタセルは、集光アンテナ集団、緩衝系、配列された電子サイフォン集団、電子伝導性材料、ミラーシステムおよびレギュレータシステムを含む容器を含有してよい。さらなる他の態様において、ボルタセルは、微生物集団、緩衝系、電子サイフォン集団、レギュレータシステムおよび電荷貯蔵デバイスを含む容器を含有してよい。
【0064】
図1Aは、1または複数の微生物集団が存在する流体をそれの内部109に維持する格納容器107を有するエネルギー変換セル105を概略的に表現する。セル105は、また、容器107の上部に嵌め合わせられた覆う要素131を含む。要素131は、微生物集団が応答する波長範囲においての放射に透明である。オプションで、セル105は、領域109の微生物および/または他の電子供与体が透水性障壁111の反対側のコンパートメント113へと通過することを防ぐべく、容器107内に配置されているイオン透水性障壁111を含む。透水性障壁111はオプションであって、場合により、単一の溶液だけが容器107内に与えられることは理解されるべきである。
【0065】
セル105は、コンパートメント109において、および存在する場合、オプションでコンパートメント113においてイオン伝導性の流体によって、電子的に互いに離されているアノード115およびカソード117を含む。動作の間、コンパートメント109において(複数の)微生物集団は、アノード115で収集される電子を生成する。これらの電子は、回路結合カソード117およびアノード115において負荷119を通って流れることによって機能する。コンパートメント113が用いられる場合、それは個別の微生物集団を含んでよい。いくつかの実装において、コンパートメント113の複数の微生物は、カソード117にプロトンまたは他の正荷電種を供与する。流体109および113の微生物は、異なるメカニズムによってエネルギーを変換する。様々な実施形態において、少なくともコンパートメント109内の微生物は、光栄養性である。
【0066】
特定の実施形態において、流体工学システム121は、容器107に結合されており、オプションでコンパートメント109および113のための複数の個別のポートを有する。流体工学システム121は、複数のコンパートメント109および/または113に対して補給用の流体を維持するための貯留層、1または複数のポンプ、1または複数の圧力ゲージ、複数の質量流量メーター、複数のバッフル、および同様のもの等、様々な要素を含んでよい。流体工学システム121は、新規の緩衝溶液および/または微生物をセル105に対して与えてよい。それは、また、様々な制御化学物質の1または複数をこれらの流体に供給してよい。そのような制御化学物質は、酸、塩基、塩類、栄養物、染料および同様のものを含んでよい。
【0067】
セル105は、また、流体システム121を制御するコントローラ125と連動してよい。コントローラ125は、1または複数の他の機能を有してよい。例えば、それは、回路結合アノード115、カソード117、流体工学システム121、および/またはコンパートメント109および113に夫々与えられているセンサ127および129等の様々なコンポーネントシステムからの入力を受信してよい。複数のセンサは、セル105のための関連する動作パラメータの1または複数のいずれを監視してもよい。そのような複数のパラメータの例は、温度、化学特性(例えば、コンポーネント濃度およびpH)、光学特性(例えば、不透明性)、電気特性(例えば、イオン伝導性)、および同様のものを含む。
【0068】
図1Bは、セル105の変化形を表現する。具体的に、図は、アノードプレート137、カソードプレート139、およびプレート137とプレート139との間スペーサ143によって定義されているコンパートメント141を有する代替のセル135を描写する。コンパートメント141内にはイオン伝導性媒体がある。アノードプレート137は、プレートの2つの側の間でのイオン伝送を許容する半透性材を含むかまたはそれから形成されているが、微生物または微生物コンポーネントの通過は可能にしない。アノードプレート137の上部に与えられているのは、集光アンテナを含む光栄養微生物の集団145である。
【0069】
図1Cは、セル105の他の変化形を描写する。具体的に、図は、第3コンパートメント151によって第2のコンパートメント149に接続されている第1コンパートメント147を表現する。コンパートメント147内にあるのは、電子的伝導性であり、イオン伝導性であってよい第1電極153である。有機感光性電子発生器145の層は、電極153の上部に配置されている。電子発生器は、集光アンテナ、および、場合によっては電子サイフォンも同様に含んでよい。層145は、光栄養微生物の集団、微生物膜結合型の光化学系、光化学系を含んでいる小胞、および/または他の感光性有機電子発生器を含んでよい。コンパートメント149内にあるのは、電極153の逆極性を有し、電子的伝導性であってオプションでイオン伝導性である第2の電極155である。コンパートメント151は、コンパートメント147とコンパートメント149との間のイオン伝送を許容するが、層145に存在する光栄養微生物、微生物膜コンポーネント等がコンパートメント147からコンパートメント149へ拡散することを可能にしない半透性材を含んでよい。微生物集団145から採取された電子は、コンパートメント147の電極153に移動させられ、それは次に、接続された導電素子157(例えば、ワイヤ)を通過する。第2導電素子159は、電極155に接続される。
【0070】
図1Dは、セル105の変化形を表現する。具体的に、図は、光栄養微生物および/または集光アンテナを含んでいる微生物膜コンポーネント集団を含む層145と直接接触する
図1Cの実施形態に関して説明された第1電極153を含む分けられたコンパートメント161を表現する。コンパートメント161は、また、
図1Cの実施形態において説明されているように、そのセル全体にわたってイオン交換を可能にするが、集光アンテナ145が電極155を囲む空間へと拡散することを抑制する半透性障壁163によって隔てられている逆極性の第2の電極155を含む。電子は、第1電極153へ流れ、次に導電素子157を通って回路へと流れる。複ロトンまたは正孔等の正荷電種は、導電素子159によって第2の電極155の中を通って流れてよい。同じ効果を有するので、電子は、第1電極153に電気的に接続されている負荷から電極155へと流れてよい。
【0071】
光変換システムは、電子サイフォンに直接隣接して配置されているアノードを含み、サイフォンから電子を収集し、アノードおよびカソードを含む回路において電流を生成してよい。回路は、配電網または他のシステムのための変換モジュールに結合されてよい。
【0072】
1つの形態において、開示される微生物エネルギー変換セルは、緩衝系、集光アンテナ集団、および伝導性電子サイフォン集団を含有する容器を含む。現在の開示のいくつかの態様において、セルは、集光アンテナ集団、緩衝材、伝導性電子サイフォン集団、ミラーシステムおよびレギュレータシステムを含有する容器を含み得る。
【0073】
いくつかの実施形態において、光変換システムは、集光アンテナコンポーネント集団および抑制された複雑性とコストでの電気への光変換の効率改善のために、改良された伝導性電子サイフォンを有する。
【0074】
複数の特定の実施形態において、光変換システムは、微生物由来集光アンテナ集団を囲む緩衝電解質溶液を含み、集団は、複数の集光アンテナをコンポーネント毎に有し、コンポーネント集団は、紫外線および遠赤色光を含む幅広い波長範囲に及んで光を採取する能力を有し、散光を含み、複数の強度の範囲に及んで光を採取できる。集団は、光合成および非光合成微生物の混合物を含む1または複数の微生物種、微生物由来の膜コンポーネント、あるいは集光アンテナコンポーネントおよび電子キャリアコンポーネントを含有する小胞を含み得る。
【0075】
いくつかの実施形態において、集光アンテナ集団は、集光性色素または電子キャリア分子および反応中心を含む光化学系を含有する。これらの要素は、以下、
図5に関してさらに説明される。いくつかの実装において、集光アンテナ集団は、様々な異なる集光性色素および光化学系を含有し、同様の電子キャリア分子を有してよい。開示される実施形態の集光アンテナ集団の個別のコンポーネントの例は、表1および2に提示されている。
【0076】
光変換システムは、電子スカベンジ作用および伝導性および/または半導体の特性を幅広い温度範囲で有する複数の電子サイフォンを含んでよい。電子サイフォンは、伝導性および半導体に本質的に改良されてよく、電子伝導特性を維持する様式で改良される。以下においてより十分に説明されるように、電子サイフォンは、個別のまたは多重ナノロッド、ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノ粒子、ナノネットワーク、ナノファイバ、量子ドット、デンドリマー、ナノクラスタ、ナノ結晶、またはナノコンポジットであり得、炭素、ケイ素、金属、合金またはコロイドを含有し得る。さらに、開示される実施形態の個別の電子サイフォンは、1から900nmまでの長さに及び、マルチマーは、0.9から4μmまでの長さに及ぶ。いくつかの実施形態において、微生物自体は、過剰電子を放出ための天然のメカニズムを与えるべく電子サイフォンを生成した。
【0077】
図5は、使用されている電子サイフォンの例を表現する。この例において、単一壁を持つカーボンナノチューブ505は、生物学的に対応する電子サイフォンを生成するべく、HClによって活性化され、洗浄され化学的架橋によってエルアルギニンを用いて改良された。改良されたカーボンナノチューブ505は、集光性色素および電子キャリアコンポーネントをそれらの膜に含有する微生物集団と混合された。
【0078】
光化学系は、
図5に示されるように動作してよい。いくつかの実施形態において、光化学系は、生体の細胞膜において存在する。いくつかの実施形態において、光化学系は、生体由来の膜において存在するが、もはやその生物の一部ではない。他の実施形態において、光化学系は、合成ミセル構造に組み込まれる。そのような複数の構造は、溶媒の油または脂質を界面活性剤とともに超音波分解する等、当該分野において周知の複数の技術によって作成され得る。結果として生じるミセル構造は、光化学系の要求されるコンポーネントでスパイクされ得る。そのようなコンポーネントは、通常、分子クロロフィルa、集光性色素、及び電子間輸送分子等の反応中心を含む。特定の色素分子は、集光性色素および電子間輸送分子の両方として機能してよい。
【0079】
光が微生物膜において集光性色素に当たると、励起電子は、膜において電子キャリアコンポーネント(
図5の複数のアンテナアクセサリ色素)電子をこの場合は改良されたカーボンナノチューブである端子電子受容体に渡す電子輸送コンポーネントの方向に渡される。結果として微生物膜から電子サイフォンへの電子流が生じる。電子流は、次に、微生物の集団からの電流の流れを最大化するべく金属プレートまたはワイヤ等の隣接するアノードによって利用され得る。(1つの電極で)セルの一部分の正味の電子は、セルの別の部分(異なる電極で)とは著しく異なる場合、電流が生成され得る。
【0080】
電子は、光化学系からアノードへ様々な手段によって流れてよい。場合により、微生物は、アノードに直接皮膜または他の付随的な構造として取り付けられる。そのようの場合において、光化学系によって生成される電子は、直接光化学系からアノードへ移動する。他の場合において、光化学系は、溶液中のおよび電子サイフォンからの電子流と結びついておらず、電子は、溶液の媒体物によって捕捉され輸送され得る。同様の実施形態において、電子は、伝導性ネットワークに供給され、アノードを微生物または溶液に複数の要素を含有する他の光化学系にリンクさせる。そのようなシステムは、例えば電子サイフォンからアノードまでのリンケージを維持するべく、ナノ構造ネットワーク経路または他の配置であってよい。特定の実施形態において、光化学系は、集光アンテナに相当する。
【0081】
光化学系は、開示される実施形態に関し電子の源として頻繁に説明される一方、電子を生成する非光合成型生化学的プロセスが、光化学系の代わりに、またはそれに加えて用いられてもよい。従って、適切な場合、光化学系および類似する用語の参照は、エネルギー変換セルにおいてアノードへの供与が可能な電子を生成する代謝および他の生化学的システムを含むと見なされてよい。
【0082】
ボルタセルのための容器および関連するハードウェア。
それの基本的な実施形態において、ボルタセルの重要な機能は、光合成微生物および光合成微生物膜の集団を用いて電流を生成するべく、光子を採取し、セル内に含まれる励起電子を利用することである。セルは、微生物エネルギー変換セル培地および微生物集団のための漏れ防止容器またはハウジングを含んでよい。いくつかの実施形態において、微生物エネルギー変換セルは、さらに、電極、センサ、半透性障壁、イオン性伝導性材料、ワイヤおよび同様のものを含む。
【0083】
通常、セルは、外部の放射を受け入れ、その中のエネルギーを微生物膜の集光アンテナの励起電子に変換し、且つ微生物の各膜内の電子伝達鎖によって生成されて生じた高エネルギー電子の利用のための伝導性材料を与えるように設計されるべきである。
【0084】
開示される実施形態の微生物エネルギー変換セルは、環境に対して完全なアクセスを有し、摂氏−20度から摂氏65度までに及ぶ温度、および完全な晴れから、曇りまたは霧で覆われるに及ぶ天気においての光子変換を可能にする様式で構築され得る。開示される実施形態の微生物エネルギー変換セルは、また、ポータブルであり得、ユーザによって決定されるように、環境に対して変化し得るアクセスを有し得る。
【0085】
特定の実施形態において、容器は、高温(例えば、およそ50Cまたはそれより高い)およびおよそ50Paからおよそ10kPa、およそ500Paからおよそ3kPa、およそ800Paからおよそ1.5kPaの内部圧力(大気圧を越える)に耐えることができる。いくつかの実施形態は、自然の生息環境が深海通気孔等の高圧環境である微生物を利用することに留意されたい。
【0086】
いくつかの実施形態において、セルは、未使用の緩衝材または他の溶液のシステムへの流れがなく、大気気体交換への露出がないクローズドシステムである。複数の他の実施形態において、それは、例えば、管類、複数のバルブおよび複数のポートのシステムを含有する半クローズドシステムであって、未使用の緩衝材、制御要素、新規の微生物アンテナ集団および/または大気気体をそのシステムの中へ許可する。ポートは、大気微生物汚染物質による上記システムの汚染を防ぐべく、0.22umフィルタを含む。他の態様において、ポートは、より大きな大気微生物汚染物質による上記システムの汚染を防ぐべく、0.45umフィルタを含む。
【0087】
さらに他の実施形態において、セルは、環境に対して完全なアクセスを持つオープンシステムである。場合によっては、オープンシステムは、池、湖、川、貯水池、ストリームまたは他の開水域等の水域である。オープンシステムは、また、管類、バルブおよびポートのシステムを含有し、内在する新規の微生物アンテナ集団の循環をオープンシステム微生物エネルギー変換セルの中へ許容する。
【0088】
図2は、浸水可能な開放システムの例を提示する。要素807および811は、アノードおよびカソードである。要素813はイオン性伝導を可能にするが、微生物の伝達をブロックする半透性障壁である。要素813は、抗菌性コーティング(例えば、銀)であり得る。805および809は、アノードおよびカソードからの伝導性の導線である。要素801は、回路の一部、機械的支持構造の一部、またはその両方である。
【0089】
ボルタセルと隣接する容器は、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリウレタン等のポリマ、ガラス、金属、またはそれらの組み合わせを例として含む多数の物質のいずれかで形成されてよい。様々な実施形態において、容器材料は、気体および液体不浸透性材料である。
【0090】
容器は、最も外側の層および1または複数の内側層を含有する多層ユニットを含んでよい。外側の層は、環境に対する保護を提供するべく、クリアなプラスチック、ガラス、金属または他の材料を含んでよい。いくつかの実施形態において、容器は、電磁放射の様々なスペクトル波長の通路を可能にする最も外側の層を有する。いくつかの実施形態において、最も外側の層は、光エネルギーのほとんどのスペクトル波長に対して浸透可能であってよい。いくつかの実施形態において、容器の一部分は、光エネルギーのほとんどのスペクトル波長に不浸透性であってよい最も外側の層を含有し、容器の第2の部分は、光エネルギーのほとんどのスペクトル波長に対して浸透可能であってよい最も外側の層を含有する。
【0091】
いくつかの実施形態において、微生物エネルギー変換セルの外側境界を定義する容器は固い。固い筐体は、およそ1.3GPa超の剛性を持つガラスまたはポリマを含有し得、立方体、直方体、球体、柱体、円筒、円錐、錐台、ピラミッドまたはプリズムに似た形状を有する。筐体の壁の厚みは、およそ1mmから20cmまでの範囲にわたり得る。壁の厚みがおよそ5mmから25mmまでに及ぶ筐体が好ましい。
【0092】
容器体積、形状、および寸法は、容器が存在するエネルギー変換システムの全体構造を補完するべく選択されてよい。いくつかの実施形態において、容器体積は、およそ0.0000001m
3からおよそ3m
3、およそ0.000001m
3からおよそ2m
3、およそ0.0001m
3からおよそ1.5m
3、およそ0.01m
3からおよそ1m
3、またはおよそ0.1m
3からおよそ0.5m
3までの範囲であってよい。
【0093】
容器は、部品成型、射出成型、押出、レーザエッチング、粘着、半田付け、コーキング、および他の適切な技術を含む標準方法で製造されてよい。
【0094】
いくつかの実施形態において、微生物エネルギー変換セルの外側境界を定義する容器は、電気的絶縁特性を有するフレームである。本開示のいくつかの態様において、フレームに入れられた筐体は、熱絶縁特性を有し、泡状物質で充填されている。開示される実施形態のフレームは、ファイバーガラス、アルミニウム、ステンレス鋼、グラファイト、ポリカーボネート、カーボンファイバ、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、メタアラミド重合体、またはコポリアミドを含む。
【0095】
他の実施形態において、微生物エネルギー変換セルの外側境界を定義する筐体は、フレキシブルである。フレキシブルな筐体の複数の例は、剛性がおよそ1.2GPa未満であって非結晶形状を有し、または立方体、直方体、球体、柱体、円筒、円錐、錐台、ピラミッドまたはプリズムに似た形状を有する1または複数のクリアなポリマを含む。適切なポリマの例は、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、メタアラミド重合体、またはコポリアミドを含む。筐体の壁の厚みは、例えば、およそ0.5mmから25mmまでの範囲にわたり得る。いくつかの実施形態において、筐体は、およそ1mmから10mmに及ぶ壁の厚みを有する。
【0096】
いくつかの実施形態において、ウィンドウは、エネルギー変換セルへの光子エネルギー浸透のための微生物エネルギー変換セルに含まれている。ウィンドウは、およそ100nmと1060nmとの間における範囲の光に対して透過性であってよく、ガラス、結晶複合材料および、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン、ポリ(スチレンスルホン酸塩)、ポリ(4,4−ジオクチルシクロペンタジチオフェンまたは他の透明なポリマ等のポリマを含み得る。特定の実施形態において、ウィンドウは、およそ1mmから30cmの厚さであり得る。場合によっては、ウィンドウは、およそ5mmから25mmの厚さに及ぶ。
【0097】
いくつかの実施形態において、ガスケットまたは密封材は、微生物エネルギー変換セルに含まれ、セルのフレームとウィンドウとの間およびセルの筐体とポートまたは管類との間の漏れ防止密封を提供するように用いられ得る。適切なガスケットまたは密封は、耐UVのシリコーン、キュア・イン・プレイス(cure in place)の樹脂、エチレン‐プロピレンジエン、閉じられたセルニトリル、または他の耐UVガスケットもしくは密封材を含んでよい。
【0098】
一例において、含有チャンバは、近接する射出成形重合体の側壁およびバッキングユニットに嵌め合わせられている耐UVガスケットに並列して置かれているガラスパネルを含む。近接する射出成形重合体の側壁およびバッキングユニットは、流体のための流入口および/または流出口および/または0.22umフィルタ気体交換ポート、およびソーラーパネルの交流変換器への直流の集中的な流れのために電気配線に接続されている、嵌合された電子流導管プレートを有する。
【0099】
別の例において、容器形状は、中空ポリマチューブである。いくつかの実施形態において、容器は、円筒、長方形、正方系、球体、柱状物体、または面状物体として加工されている。いくつかの実施形態において、容器は、発酵槽、増殖チャンバまたは他のセル培養装置として設計されている。
【0100】
特定の実施形態において、セルシステムは、ハウジングフレーム、光変換システムアダプタ、ACアダプタおよび電気コードを含む。いくつかの実施形態において、システムは、光変換システムのアレイを収容できる。他の実施形態において、ソーラーパネルは、ハウジングフレームが光変換システムの除去および置き換えを可能にすることができるような様式で製造され得る。本明細書で開示されるようなセルは、機能的役割を果たすことができ、専用の外部電気負荷(例えば、グリッド)へ電流を提供するべくソーラーパネルにおいて用いられ得る一方、本開示の複数の他の態様は、デバイスに電流を提供するべくポータブルな光セルを使用する。
【0101】
いくつかの実施形態において、セルハウジングは、固いシステムであって、放射エネルギー受け入れ役割に加えて構造的役割を提供する。
【0102】
特定の実施形態において、ボルタセルは、構造的および機能的役割において用いられ得、自動車および航空機において、フード、天盤、サンルーフ、ムーンルーフ、トランク、フレーム、ウィング、ウィンドウまたはその他として用いられ得る。さらに、セルは、建物において壁、壁カーテン、天盤、ウィンドウ、ドア、歩道、テラス、車路、デッキ、フェンスまたはその他として用いられ得る。
【0103】
他の実施形態において、セルハウジングは、エネルギー変換役割に加えて物理的役割を提供してよいフレキシブルなシステムである。フレキシブルな微生物エネルギー変換セルに対する使用の例は、オーニング、帆、カバー、タープ、クローク、ケープ等の格納式要素、およびブランケット、バイザー、傘、パラソル、ファンおよび衣類等の折畳み式要素である。
【0104】
半透性障壁
本開示のいくつかの態様において、いくつかまたは全ての微生物細胞集団は、容器内の半透性障壁によって遮られる。いくつかの実施形態において、いくつかまたは全ての集光アンテナ集団は、半透性障壁によって少なくとも部分的に定義されるコンパートメントに含まれる。いくつかの実施形態において、微生物細胞集団および別個の集光アンテナ集団の混合物が、半透性障壁によって定義されるコンパートメントに含まれてもよい。いくつかの実施形態において、電子サイフォン集団および微生物細胞集団の混合物が、半透性障壁によって定義されるコンパートメントに含まれてもよい。いくつかの実施形態において、電子サイフォン集団、微生物細胞集団および別個の集光アンテナ集団の混合物が、半透性障壁によって含まれている。いくつかの実施形態において、半透性障壁は、電子的に伝導性である。いくつかの例において、半透性障壁は、半透性障壁に含まれる電子伝導性材料を含有する。いくつかの実施形態において、電子サイフォン集団、微生物細胞集団、および別個の集光アンテナ集団の混合物は、第1半透性障壁に含まれ、電子伝導性材料は、第2半透性障壁に含まれている。
【0105】
障壁が電子的に伝導性である特定の実施形態において、それは、ボルタセルの電極(アノードまたはカソード)に電気接触する。いくつかの実装において、接触は、複数の電子サイフォンのネットワークを介して成される。
【0106】
いくつかの実施形態において、半透性障壁は、容器の一部分にあってよい。いくつかの実施形態において、半透性障壁は、容器の複数の部分において存在してよい。半透性障壁は、ボルタセルコンポーネントの含有、分離(例えば、ボルタセルのアノードおよびカソードコンパートメント)、容器内の極性等を与えてよい。
【0107】
容器内の含有は、ボルタセルのコンポーネントと境界を取ることによって達成され得る。いくつかの実施形態において、容器内の含有は、また、ボルタセルのコンポーネントの混合物と境界を取ることによって達成され得る。いくつかの実施形態において、半透性障壁は、電子採取集団、ボルタセルの複数の電子供与体等を含有してよい。いくつかの実施形態において、半透性障壁は、1または複数の電子受容体、電子伝導性材料、またはボルタセルの他のコンポーネントを含有してよい。いくつかの実施形態において、半透性障壁は、電子採取集団および電子サイフォン集団を含有するように用いられる。いくつかの実施形態において、半透性障壁は、電子供与体集団を含有するように用いられる。いくつかの実施形態において、半透性障壁は、電子供与体集団および電子サイフォン集団を含有するように用いられる。いくつかの実施形態において、半透性障壁は、電子受容体集団を含有するように用いられる。いくつかの実施形態において、半透性障壁は、電子供与体集団を含有するように用いられ、第2半透性障壁は、電子受容体集団を含有するように用いられる。
【0108】
ボルタセル内の複数のコンポーネントの分離は、専門の機能の複数のサブコンパートメントを生成するべく1または2以上の半透性障壁を用いることによって達成され得る。1つのコンパートメント‐電子供与体コンパートメント‐において、ボルタセルの離されたコンポーネントは、光エネルギーまたは化学エネルギーを自由電子へと変換してよい。他のコンパートメントにおいて、ボルタセルの離されたコンポーネントは、電子供与体コンパートメントからの電流の電子をボルタセルのための電流コレクタへ伝導させてよい。
【0109】
容器内の分離は、電気的、化学的、浸透性、化学浸透性、化学電気的、または他のメカニズムによってなされてよい。2以上の半透性障壁は、強められた極性を持つ容器を生成するべく各容器において用いられてよい。容器内の2以上の半透性障壁の配置は、並列または直列にあってよく、その分離は、容器の一部分において、あるいは容器の一面においてセットアップされてよい。いくつかの実施形態において、電子生成集団を含有する複数の半透性障壁の並列配置が生成されてよい。いくつかの実施形態において、電子受取体集団を含有する複数の半透性障壁の並列配置が生成されてよい。いくつかの実施形態において、電子供与体集団を含有する半透性障壁の配置は、電子受取体集団を含有する半透性障壁と直列に接続されてよい。いくつかの設計において、単極または双極構成の複数のマルチ電極型ボルタセルが用いられてよい。バイポーラ型ボルタセルにおいて、セルは、サンドイッチ構造において積み重ねられていることから、1つのセルの負のプレートは次のセルの正のプレートになる。電極は、2つの直列結合された電気化学的セルによって、電極の一方側が1つのセルのアノードとして動作し、他の側が次のセルのカソードとして動作するような方法で共有されている。共通電極のアノードおよびカソード部分は、セル間のイオンの流れを許可せず、区画および直列接続の両方として機能する電子伝導プレートまたは膜によって離される。
【0110】
電子受取体微生物の複数の例は、ロドソイドモナス属、ジオバクター属、アシディチオバチルス属、シュワネラ属、およびタイプIVの複数の線毛を持つ他の複数の微生物または複数の電子受容外膜コンポーネントを含み(Reguera他(2006年)、Leang他(2010年)、Richter他(2012年))、それの全体が本明細書に参照として組み込まれている。複数の電子供与微生物の複数の例は、デスルフォバクター属、デスルフォビブリオ属、シントロフォバクター属、デスルフォトマクルム属、デスルフォスポロミュサ属、デスルフォスポロシヌス属、サーモデスルホビブリオ属、サーモデスルフォバクテリア門、サーモデスルフォビウム属、カルディヴィルガ属、プロテウス属、シュードモナス属、サルモネラ属、スルフロスピリラム種、バチルス属、デスルフォミクロビウム属、パイロバキュラム属、クリシオゲネス門等を含む。
【0111】
複数の半透性障壁は、単一層を有してよい材料を含有してよく、または積層板等の2以上の層を有してよい。いくつかの実施形態において、半透性障壁は、微細孔を含む。一定の実装において、半透性障壁の微細孔は、およそ0.45um未満、およそ0.22um未満、およそ0.1um未満、またはおよそ0.5nm未満の細孔径サイズを有してよい。半透性障壁は、膜、フィルタ、フィルム、こし器、サイズ排除基質、またはそのようなものを含有してよい。半透性障壁は、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ニトロセルロース、ナイロンまたは他等だがそれらに限定されない合成ポリマや、リグニン、ボール紙、紙、シリカナノ粒子等の天然ポリマから成されてよい。電子伝導性材料を含有する半透性障壁は、ボルタセルに用いられてよく、その場合、障壁は、電流コレクタとして機能してよく、またはそうでない場合は、アノードまたはカソードを補ってよい。いくつかの実施形態において、半透性障壁は非伝導性である。いくつかの実施形態において、緩衝材は、障壁が拡散を許可し、場合によってはイオンの伝導を許可する箇所で、その障壁を湿らす。半透性障壁は、また、リグニン、ポリ塩化ビニル、PVDF、ニトロセルロースまたは他を含有してよい。障壁は、用途に適切な厚さを有してよい。それは、ボルタセル内で高いイオン伝導性を維持するべきであり、セルの内部体積の大部分を占有するべきでない。いくつかの例において、障壁は、およそ2.5mmもしくはそれ未満、およそ200umもしくはそれ未満、およそ50umもしくはそれ未満、またはおよそ750nmもしくはそれ未満、またはおよそ200nmもしくはそれ未満の厚さを有する。場合により、障壁の厚さは、およそ1nmからおよそ0.35nmまで薄くてもよい。
【0112】
電流コレクタのための電子伝導性材料 電子伝導性材料は、金属、半金属、コロイド、複合物、ケイ素、または伝導性または半伝導性の特性を有する他の材料の複数のタイプを含んでよい。電子伝導性材料は、平面形態、メッシュ形態、剛毛形態、ウェブ形態、層状形態、小さな斑点で覆われた形態、メッシュ形態、または改善された電子伝導に対して増加した表面積を有する他の形態を含んでよい。
【0113】
いくつかの実施形態において、ボルタセルは、2以上のタイプの電子伝導性材料を含有してよい。いくつかの実施形態において、ボルタセルは、複数のタイプの電子伝導性材料を含んでよく、各材料のタイプは、異なる電子受容ポテンシャルを有する。異なる電極は、生物学的または生化学エネルギー変換を容易にし得る内在的に異なる電気化学ポテンシャルを有してよい。陽性電位での電極は、微生物の特定のタイプの電子供与活性度を強化してよい。
【0114】
電子伝導性材料は、半透性障壁に含まれていてよい。いくつかの実施形態において、ボルタセルは、半透性障壁に含まれている電子伝導性材料を含んでよい。いくつかの実施形態において、ボルタセルは、複数の電子伝導性材料を含有してよく、各電子伝導性材料は、半透性障壁に含まれている。
【0115】
電子伝導性材料は、ボルタセルにおける電流コレクタとして機能してよい。いくつかの実施形態において、電流コレクタは、ボルタセルのコンパートメントへと延びているワイヤまたは複数のワイヤが相互接続されたグループとして実装される。いくつかの実施形態において、電流コレクタは、少なくともおよそ0.2、または少なくともおよそ0.5、または少なくともおよそ0.7、または少なくともおよそ0.9の多孔性を有する多孔質材である。いくつかの実施形態において、電流コレクタは、ボルタセルにおいてチャンバ(例えば、半透性膜によってカソードから離されたアノードチャンバ)のかなりの部分を占有する。例として、電流コレクタは、チャンバ体積の少なくともおよそ20%、またはチャンバ体積の少なくともおよそ50%、または少なくともチャンバ体積のおよそ70%、または少なくともチャンバ体積のおよそ90%を占有してよい。
【0116】
ボルタセルの実例構築
ボルタセルの設計。
本実施形態において、ボルタセルは、容器、電流コレクタまたは電気端子(例えば、ワイヤの形態においての)、第1電極、第2の電極、微生物、および緩衝系を含む。1つの実装において、容器はガラスから作成され、電流コレクタは銅ワイヤを含有し、第1電極は、酸化物(例えば、酸化銅または二酸化ケイ素)等のコーティングを含有し、修飾電極は金属を含有する。例として、改良は、伝導性金属メッシュおよび/または量子ドットの追加であってよい。微生物は、水性微生物の不均一集団であってよく、その大部分は、光合成が可能であってよい。緩衝系は、塩類、無機物、糖類、アミノ酸、アンモニウム塩類、および水を含有する。
【0117】
フレキシブルなボルタセルの設計
ボルタセルは、フレキシブル容器を含んでよく、並びにワイヤ、電極、修飾電極、微生物および緩衝材等の他のコンポーネントも含んでよい。容器は、フレキシブルプラスチック管類で作成され、通常動作の間、両方の端部で閉鎖される。例として、ワイヤは銅ワイヤであってよい。電極は、動作において、標準の水素電極に対しておよそ+0.8からおよそ+1.5Vまでに及ぶ特性電位を有する金属線を含んでよい。他に記述がない限り、本明細書において列挙されている全ての電極電圧は、標準の水素電極に対する。金属線は、直径およそ0.2umの細孔径を有する半透性膜の薄い円周コーティングを有する。修飾電極は、およそ−3.3からおよそ+0.55Vまでに及ぶ特性電位を有する金属線を含み、改良は伝導性ナノワイヤおよび/または量子ドットである。微生物は、複数の水性微生物の不均一集団であって、その大部分は光合成が可能であってよい。緩衝材は、塩類、無機物、糖類、アミノ酸、アンモニウム塩類、および水を含む。
【0118】
高表面積ボルタセルの設計。
ボルタセルは、容器、ワイヤ、電極、修飾電極、微生物および緩衝系を含んでよい。一例において、容器はガラスで成され、およそ1フィートの長さ×およそ1フィートの幅広さ×およそ0.34フィートの高さの寸法を有する。ワイヤは銅ワイヤである。電極は、二酸化ケイ素を含む。修飾電極は、メッシュ金属で成され、改良は、伝導性ナノチューブおよび/または量子ドットである。微生物は、複数の水性微生物の不均一集団であって、その大部分は光合成が可能である。緩衝系は、塩類、無機物、糖類、アミノ酸、アンモニウム塩類、および水を含有する。
【0119】
移動する水域において固定されたボルタセルの設計。
浸水可能なボルタセルは、容器、ワイヤ、電極、修飾電極、微生物および緩衝系を含んでよい。容器は、浸水可能なセルによって生成された電気的エネルギーに対するストレージを提供し得る、および/または浸水可能なセルの微生物または他の特性を活性化し得るバッテリーを収容する金属ボックスで作成されている。ワイヤは、銅ワイヤである。電極は金属で作成されている。修飾電極は、グラファイトを含有する。改良は、伝導性ナノチューブおよび量子ドットであって、複数の色素の混合物で事前に被覆されている。微生物は、複数の水性微生物の不均一集団を含み、その精密な組成は地形および水深さに依存している。緩衝系は海水である。ボルタセルの水域に浸されている部分は、電極、修飾電極、およびワイヤを含む。ボルタセルの地上にある部分は、容器、ワイヤ、およびオプションのバッテリーを含む。
【0120】
集光アンテナ。
いくつかの実施形態において、集光アンテナコンポーネント集団は、(i)光子吸収能力を持つ1または複数の分子を有し、(ii)光の存在下で光吸収分子または隣接する分子の1または複数の電子の励起をもたらすことができ、(iii)励起電子は移動され得、または(iv)励起電子からのエネルギーが移動され得る、複数のコンポーネントの集団として特徴付けられてよい。以下により十分に説明されるように、集光アンテナコンポーネントの集団は以下、光合成微生物、光合成微生物から得られる膜、光合成微生物から得られる膜小胞、脂質および複数の集光アンテナの高分子複合体、リポソーム複合型の組換え集光タンパク質、ミセル、逆ミセル、単一層またはリポソーム、ミセル、逆ミセル、単一層または他で複合された光合成微生物から得られる他の複数の集光アンテナのうち1または複数を含んでよい。
【0121】
集光アンテナ集団は、電子供与体おして機能してよく、および/または光エネルギーを吸収することが可能な生化学的および化学的種を含有してよい。集光アンテナ集団は、合成および/または自然に発生する色素、集光性複合体、光化学系、光合成反応中心、カロチノイド、クロロフィル、クロロゾーム、ポルフィリン、クロリン、バクテリオクロリンおよびその他であってよく、またはそれらを含んでよい。集光アンテナ集団は、組換えタンパク質、光合成生物からの膜標本、光合成生物からのエキソソーム標本、破砕および凍結乾燥された光合成生物、集光アンテナ集団を含有するリポソームの複合体およびその他を含有してよい。
【0122】
いくつかの実施形態において、集光アンテナ集団は、同種集団を含有する。いくつかの実施形態において、集光アンテナ集団は、不均一集団を含有する。いくつかの実施形態において、ボルタセルは、複数の集光アンテナの不均一集団を含有する。いくつかの実施形態において、ボルタセルは、複数の集光アンテナの同種集団を含有する。
【0123】
ボルタセルにおける集光アンテナ集団の配置は、使用に基づいて変動してよい。例として、アンテナ集団は、溶液、堆積層、2以上の層、例えば電流コレクタ上のコーティングにおいて配置されてよく、電子サイフォンの表面と共役し、電子伝導性材料の表面と共役し、ワイヤネットワークまたはその他等の電流コレクタと共役してよい。アンテナ集団は、電子伝導サイフォンと電子伝導性材料との間に(例えば、伝導経路におけるリンクとして)配置されてよく、電子伝導サイフォンを持つ交互の層において配置されてよく、電子伝導性材料を持つ交互の層において配置されてよく、電子伝導サイフォンおよび電子伝導性材料を持つ交互の層において配置されてよい。いくつかの実施形態において、集光アンテナ集団は、容器の最も外側の表面の近辺に配置されてよい。他の実施形態において、集光アンテナ集団は、容器の一部分内に含まれてよい。本開示のいくつかの態様において、集光アンテナ集団は、およそ0.45um未満、およそ0.22um未満、およそ0.1um未満、またはおよそ0.5nm未満の細孔径を持つ半透性障壁に含まれてよい。いくつかの実施形態において、半透性膜は、電子伝導性材料を含有してよい。いくつかの実施形態において、半透性膜は、緩衝材に完全にまたは部分的に浸される。
【0124】
例として、集光アンテナ集団は、mg:mg湿重量比率(集光アンテナ集団mg:微生物細胞集団mg)で微生物細胞集団と混合されてよく、およそ0.0000001:1、およそ0.000001:1、およそ0.00001:1、およそ0.0001:1、およびこれらの例のうちいずれか2つの間の全ての範囲で混合されてよい。
【0125】
集光アンテナは光子を受け入れ、そうすることで、電子を、それらを伝達するまたはそれらのエネルギーを伝達するのに利用可能である状態または複数の状態に励起する。場合により、移動は、酸化還元媒体物または他の電子トランスポーターへの供与によって生じる。集光アンテナは、それらの放射エネルギーを電気的エネルギーに変換することにおいての効率によって特徴付けられる。効率は、波長、温度等の関数である。
【0126】
集光アンテナは、光変換システムが用いられる環境状況を表す温度で、最適集光効率を有するように選択され得る。好ましい発明の有機体は、摂氏−20から100度までに及ぶ温度(表2)で集光性能力を有する。
【0127】
アンテナ集団は、光の異なる波長で複数の集光効率を有し得る。特定の実施形態において、集光アンテナコンポーネント集団は、紫外線、可視光および遠赤色光を同時に採取できる。いくつかの実施形態において、異なる集団は、励起波長の複数の異なるバンドを有する。特定の設計において、ボルタセルは、2つの異なる集団を含有し、各々は、はっきりと異なる励起バンドを持ち、バンドは実質的に重複しない。言い換えれば、各バンドの波長の大部分は、重複しない。
【0128】
集光アンテナは、上記の機能を有する化合物を含む。それらはさらに、そのような化合物を維持する媒体を含有する。そのような媒体の例は、複合体、超分子集合体、小胞、細胞器官、微生物等を含む。
【0129】
通常、集光アンテナ化合物は、有機物質であるか、またはそれらを含有する。多くの実施形態において、それらの分子構造は、1または複数の金属イオンがその中に組み込まれた、環状有機物である。金属イオンは、亜鉛、カドミウム、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、マンガン、マグネシウム、鉄、白金、銅、ロジウム、オスミウム、イリジウムおよび同様のものを含む。
【0130】
集光アンテナコンポーネント集団は、集光性リポソームと混合して、複数の光合成微生物から調製された複数の集光膜を含有してよい。
【0131】
集光アンテナは、光合成微生物、光合成微生物から得られる膜、光合成微生物から得られる膜小胞、脂質および集光アンテナの高分子複合体、リポソームで複合された組換え集光タンパク質、ミセル、逆ミセル、単一層またはその他に含まれてよく、集光アンテナは、リポソームと複合された光合成微生物、ミセル、逆ミセル、単一層等から得られる。
【0132】
集光アンテナの適合された組成は、気候に対応する光セルを生成するべく、はっきりと異なる波長励起スペクトルおよび複数の増殖条件を有する異なる集光アンテナの複数の混合比によって生成され得る。集光アンテナの集団を生成するための選択基準は、波長励起スペクトル、好熱性、好塩性、嫌気性プロファイル、栄養要求条件、および異なる集光アンテナとの互換性を含む。集光アンテナの対応する分類の例は、例えばジオバクター属、クロロビウム種、シュワネラ属等の対応する栄養および増殖条件、例えばチタンホワイト、酸化チタン(ナノチューブ、ナノリボン等)、マンガンバイオレット、クロムグリーン等の単量体および高分子金属ベースの複数の色素、例えばイエローオーカー、ローシェンナ、ウルトラマリン等の無機色素、および、例えばクロロフィル、カロチノイド、アントシアニン、ベタライン等の複数の生物色素の発散波長励起スペクトルを持つ光合成微生物を含む。
【0133】
ボルタセルに用いる微生物の選択は、セルの電力、耐久性および容器の必要条件を前提とする。いくつか例において、複数の微生物は、ユニットからの電流のボーラス(bolus)を周期的に提供するそれらの能力に関して選択されてよい。そのように、これらの微生物は、電子をそれらの細胞コンポーネントにおいて保存する能力を最適に有し、従って複数の電子シンク特性を有するであろう。これらの微生物は、普通は、線毛、小線維、鞭毛等の付属器官を有し、あるいはまた、形状がフィラメント状であってもよい。複数の線毛、複数の小線毛、複数の鞭毛および複数の同様の構造等の複数の付属器官を持つ複数の適切な微生物の複数の例は、ナイセリア属、エシェリキア属、エイケネラ属、コリネバクテリウム属、ロドスピリルム属、ロドバクター属、アクワスピリルム属、シュードモナス属、ピレルラ属、ネンジュモ属、ヘリコバクター属、ジオバクター属、エンテロバクター属、フォトバクテリウム属、ブルセラ属、ボレリア属、アゾアルカス属、双鞭藻類、ゾーザンテラ属、アゾトバクター属、パラバサリア属、エロモナス属、テルモコックス属、メタノピュルス属、テルモプラズマ属、パイロコッカス属、メタノコッカス属、デスルフロコッカス属、メタノクレウス属、アーケオグロブス属、チオバチルス属、シネココッカス属、スピリルム属、スフェロチルス属、ルミノバクター属、ロゼオバクター属等を含む。フィラメント状微生物の例は、デスルフロコッカス属、ストレプトミセス属、スピルリナ類、ボルティセラ種、スフェロチルス種、黄緑藻類、プロピオニバクテリウム属、ネンジュモ属、レプトスリックス属、フランキア属、プレウロカプサ属、クロロフレクサス属、ベギアトア属、アナベナ属、ウスチラゴ属、マグネトスピリルム属等である。
【0134】
微生物は、上記複数の微生物が、保存された電子のボルタセルが仲介する取り出しの次に生存可能であるように選択される。微生物細胞において解放された電子貯蔵コンポーネントは、電流の次のボーラスがボルタセルによって要求されるまで時間と共に再度追加される。強固な電子貯蔵容量を適切に有する微生物の例は、ロドシュードモナス・パルストリス、ムーレラ・サーモアセチカおよび同様のものである。周期性の時間枠は、一日に一度、3日に一度、7日に一度、2週間に一度、1カ月に一度またはその他であってよい。選択された微生物の新陳代謝率は、電流がボルタセルによって引き出され得る周波数を決定するであろう。
【0135】
他の例において、微生物は、ボルタセルから相当に一定のレベルの電流を提供する能力に対して選択されてよい。そのような微生物の例は、ナイセリア属、エシェリキア属、ロドスピリルム属、ロドバクター属、アクワスピリルム属、ロドソイドモナス属、ピレルラ属、ネンジュモ属、ジオバクター属、エンテロバクター属、フォトバクテリウム属、アゾアルカス属、パラバサリア類、ズーザンテラ属、アゾトバクター属、エロモナス属、テルモコックス属、メタノピュルス種、テルモプラズマ属、パイロコッカス属、メタノコッカス属、デスルフロコッカス属、メタノクレウス属、アーケオグロブス属、チオバチルス属、シネココッカス属、スピリルム属、スフェロチルス種、ルミノバクター属、ロゼオバクター属、デスルフロコッカス属、スピルリナ類、ボルティセラ種、スフェロチルス種、黄緑藻類、プロピオニバクテリウム属、ネンジュモ属、レプトスリックス属、フランキア属、プレウロカプサ、クロロフレクサスアナベナ属、ウスチラゴ属、マグネトスピリルム属類、および同様のものを含む。そのように、これらの微生物は、多様な代謝経路レパトリーを最適に有し、それらが、化学的および/または光源の多様なセットから自由電子を生成することを可能にするであろう。さらに、微生物は、自由電子が生成される比較的一定の割合(他の殆どの微生物と比べて)を有するであろう。微生物は、それらがボルタセルによる継続的な電流の取り出しに続いて生存可能であるように選択される。そのような微生物の複数の例は、いくつかの光合成従属栄養生物およびいくつかの化学合成従属栄養生物を含む。
【0136】
他の例において、微生物は、それらの耐久性に対して選択されてよい。そのような微生物の複数の例は、ロドスピリルム属、ロドバクター属、アクワスピリルム属、ロドソイドモナス属、ネンジュモ属、ジオバクター属、エンテロバクター属、メタノコッカス属、デスルフロコッカス属、チオバチルス属、シネココッカス属、スピリルム属、ロゼオバクター属、デスルフロコッカス属、スピルリナ類、アナベナ属および同様のものを含む。耐久性のある微生物は、持続される様式において、ボルタセルでの複数の条件に耐える能力を有するとして定義される。耐久性のある微生物の選択を考慮に入れる複数のバリアブル(variables)は、代謝ロバスト性(例えば、2又は3以上の代謝経路を有する)、遺伝子ロバスト性(環境ストレスの間に突然変異する能力、すなわちDNAポリメラーゼまたはRNAポリメラーゼにおける非校正/非編集能力)、環境ロバスト性(複数の変動する環境状況、すなわち温度、光、圧力等のもとで時間と共に代謝的に活性化する能力、)および集団ロバスト性(他の微生物種と共にコミュニティにおいて、栄養物等に関して負かされずに共存する能力)を含む。
【0137】
いくつかの例において、微生物集団の1または複数のサブセットのレベルを維持するべく、栄養物の急増が必要であってよい。周期的に要求される栄養物の複数の例は、リン酸塩、硫黄、硫化水素、硫酸塩、硝酸塩、酢酸、CO2、O2、アンモニア、H2、Fe2+、Mg2+、Mn2+、Co2+、およびそれらの塩類またはその他を含む。他の例において、微生物集団の1または複数のサブセットのレベルを維持するべく、廃棄物中和の急上昇が必要であってよい。周期的に要求される廃棄物中和コンポーネントの複数の例は、HCl、NaOH、重炭酸水素ナトリウム、重炭酸カルシウム、キレート剤、CO2、O2またはその他を含む。
【0138】
ボルタセルにおいて自立している微生物集団に関し、微生物がそれらの好ましい代謝基質使用またはそれらの好ましい代謝廃棄物に基づいて選択されてよい。複数の選択された微生物の対合は、相補的代謝に基づいてよい。いくつかの例において、1つのタイプの優勢代謝を有する微生物は、優勢代謝の第2のタイプを有する他の微生物に対する基質として機能する代謝廃棄物を生成(またはそうでない場合はいくつかの栄養要求条件を満たす)してよいことから、1つの微生物サブセットは第2の微生物サブセットと共生すると言える。複数の微生物種のそのような対は、場合により、相補的であると言える。他の例において、ボルタセルは、代謝の2または3以上のサブセットがその他と共生的な態様で相互作用している微生物の多様な集団を含有できる。微生物集団の代謝バランスは、自立したボルタセルを提供するように設計されまたは調整され得る。
【0139】
しばしば、緩衝材において2より多くの微生物は、それらの複数の主要代謝経路によって特徴付けられ得、それは、微生物が、複数の代謝経路を有してよいという事実の主な原因となるが、複数の経路のうち1つは、時間のいかなる時点においても、他の経路よりも代謝の割合を占める。主要代謝経路にフォーカスし、特定の実施形態においては、相補的な微生物が、ある程度、互いに逆である主要代謝経路を有する。例えば、1つの生物は、特定のN、C、S、またはP含有化合物を主に酸化してよく、相補的な生物は、第1生物によって生成された酸化されたN、C、S,またはP含有化合物を主に還元する。勿論、どの生物も、もっぱら酸化のみを、または還元のみをするのではなく、むしろいくつかの化合物を酸化し、その他複数を還元する。相補的な微生物の対合は、主要代謝経路の基質および廃棄物にフォーカスする。理想的には、ある生物の廃棄物は、酸化されたN、C、S、またはP含有化合物であって、それは、別の生物の基質である。代わりに、第2生物が、酸化化合物を還元し、第1生物の基質を生成する。特定の実施形態において、緩衝材の相補的な微生物は、共に、緩衝材の微生物含有量の少なくともおよそ50%、または緩衝材の微生物含有量の少なくともおよそ70%、または緩衝材の微生物含有量の少なくともおよそ90%を形成する。特定の実施形態において、相補的な微生物の主要代謝経路は、呼吸経路である。上記の議論は、2つの相補的な微生物にフォーカスする一方、その概念は、必然的に3または4以上の相補的な微生物にまで広がる。場合によっては、2または3以上の微生物は、同じ主要代謝経路を共有するか、または同様の主要代謝経路を有する。他の場合において、緩衝材の3または4以上の相補的な微生物の各々は、異なる主要代謝経路を有するが、集合的に基質の純消費または廃棄物の生成をほとんどしないか、または全くしない。例えば、第1の微生物は、化合物Aを消費し、化合物Bを生成する一方、第2の微生物は化合物Bを消費し、化合物Cを生成するし、第3の微生物は、化合物Cを消費し化合物Aを生成する。
【0140】
自立した集団がボルタセルにおいて一度確立されると、複数の環境状況(日光、温度等)ボルタセルによる電子流の取り出しのタイミングおよびレート並びに微生物細胞密度入力は、共生を維持するべく制御され得る。微生物の選択は、代謝回転がほとんどなく持続される「恒常的な」集団を生成することを支援するが、様々な入力および出力の制御もまた、調整を必要とするであろう。バランスを維持することを支援するべく、ボルタセルにおいてのセンサおよびのフィードバックループの使用によってそのような調整が使用されてよい。
【0141】
微生物がまた、それらの在来の環境に基づいて選択され得る。海水域およびそれらの下層の堆積物は、生物圏の最大部分を構成する。それらは我々の惑星において生物地球化学的に循環するための鍵であって、海洋型微生物コミュニティの組成、それらの代謝ポテンシャルおよび活性度ならびにそれらの環境との相互作用は、十分に理解されていない。古典的な培養に基づくアプローチを補う分子およびゲノミクスに基づく方法によって、真光層に生息するプランクトンのコミュニティを調査するための相当な努力が充てられている。実際に、種の多様性およびゲノム多様性を年代順に記録するべく、表層海水域が、リボソームRNA遺伝子の小さなサブユニット(SSU rRNA)の増幅、クローニングおよび配列決定に基づく微生物多様性の先駆的な調査に対して環境の選択となっている。しかしながら、異なる水塊は、異なる物理化学的特性に恵まれている。そのような差は、近場の海岸において特に重要であり、沿岸の入力および局地的特性によってはるかにより影響を受ける。例えば、地中海の水域は、開放された海洋水域とは非常に異なっており、これは、メタゲノムのレベルで反射されるようである。地理的位置は、従って、特定の地理的環境において用いるためのボルタセルに対して微生物を選択するための選択的基準として用いられ得る。例えば、地熱性通気孔、溝、半塩水流域、半塩水堆積物、池、塩水池、氷河水、海洋性堆積物、イエローストーン酸プール等である。
【0142】
文献に堤示されている実験の微生物燃料セルにおいて、炭素源は、持続システムを生成することにおいてコストのハードルを提示する。例えば、糖発酵生物を微生物燃料セルおよび/または発酵システムに対して使用することは、結局法外なコストをもたらし、スケールアップのために現実的でない。従って、特定の実施形態において、ボルタセルおよび関連する緩衝材は、酵母等の発酵性生物と実質的に含んでいない。いくつかの実施形態において、複数のボルタセルには、複数のグルコース発酵性生物等の複数の糖発酵性生物は実質的にない。
【0143】
化学合成微生物と組み合わされた集光性光栄養微生物の選択および使用は、ボルタセルにおいて長続きする電流の生成のためのより持続する集団を与える。多くの光栄養生物において、光の1光子は、1―3個(微生物種による)の自由電子を生成し、廃棄物は、CO
2、O
2、他の気体類、無機分子、有機炭素源および廃棄物としての他の分子である。これらの廃棄物は、化学合成微生物によって複数のエネルギー源として用いられ得る。
【0144】
化学合成生物の間にはかなりの多様性があり、何百もの化合物において確認されたエネルギー源は、気体類から金属類、無機化合物、有機化合物までに及ぶ。これらの化学作用からの結合エネルギーのブレークダウンおよび異化作用プロセスの間の自由電子の生成は、変動する。範囲の複数の例は、開始する分子毎に1から6より多い自由電子を含み、代謝廃棄物は、CO
2、O
2、他の気体類、有機炭素化合物、無機分子、および廃棄物としての他の分子である。これらの廃棄物は、集団において他の化学合成生物によって用いられ得、または集団においていくつかの光合成従属栄養生物によって用いられ得る。
【0145】
電子供与体としての発酵性基質、発酵産物および複雑有機質との鉄イオン還元に対する可能性が調査されている。例えば、淡水および半塩水部位からの水堆積物においてさえ、微生物は電子流能力を実証しており、特に、以下のグルコースおよびヘマタイトとの濃縮を実証している。これらの例において、鉄還元は、ボルタセルにおいて化学合成生物によって用いられてよい、電子流および累積された発酵産物のための小規模な経路であった。グルコース濃縮物においてヘマタイトに対する無定形の鉄のオキシ水酸化物の置換は、発酵産物がまた、化学合成生物による付随の鉄還元と共に代謝され得ることから、鉄還元を50倍増加させることがさらに示されている。酢酸塩、水素、プロピオン酸塩、ブチラート、エタノール、メタノール、およびトリメチルアミンは、また、堆積物で植菌された濃縮物において無定形の鉄のオキシ水酸化物の還元を刺激することが示されているが、複数の実験室条件のもとにおいて植菌または熱殺菌された対照実験では示されていない。第二鉄の追加は、堆積物におけるメタン生成を抑制し得る。第二鉄の様々な形態によるメタン生成の抑制の度合は、酢酸塩の化学合成生物的代謝に対する電子受容体としてのこれらの鉄化合物の有効性に関して示されている。酢酸塩または水素の集団への追加は、第二鉄によるメタン生成の抑制を軽減し得る。無定形の鉄のオキシ水酸化物で補助される堆積物のメタンへと進む等価電子の減少は、第一鉄において等価電子の対応する増加によって補われ得る。従って、鉄還元は、堆積有機質に対するメタン生成食物連鎖に勝ることができる。従って、無定形の鉄のオキシ水酸化物が嫌気性堆積物において利用可能である場合、および/またはボルタセルに用いにおいての使用に選択される場合、有機質から電子の第二鉄への移動は、有機質の分解のための主要な経路であり得、電子サイフォンまたは他の最終電子受容体ひいてはボルタセルに対する電子流生成の源によって遮られ得る。
【0146】
別の例において、気体または冷水湧出帯は、メタンで濃縮されており、堆積物から出てくるバブルとして直接見られ得る。または、それは、微生物による硫酸還元が表面のすぐ下で生じる強い酸化還元活性度の領域を露わにする複数の暗い斑点の存在によって間接的に検出され得る。これらの斑点は、しばしば、共生細菌および硫化物酸化をする細菌の複数のマット(mat)に関連する可能性がある複数のシボグリヌム科多毛類および双殻類によってコロニーが作られる。ボルタセルは、硫酸還元およびメタン生成淡水堆積緩衝系を均衡化する複数の共生微生物の集団を有し得る。硫酸塩還元細菌の複数の例は、デスルフォバクター属、デスルフォコッカス属、デスルフォビブリオ属、エリスロバクター属、サーモトガ属、パイロバキュラム属、ロゼオバクター属、ロドフェラックス属、ペロバクター属、カルボキシドサーマス属、ローソニア属、メタノコッカス属、サーモデスルフォバクテリウム属、デスルフロモナス属、およびその他を含む。メタン細菌の複数の例は、メタノコッカス属、メタノクレウス属、メタノフォリス属、メタノピュルス種、メタノサルチナ属、メタノスファエラ属、メタノサーモバクター属、および同様のものを含む。
【0147】
さらに別の例において、細菌多様性の高い堆積物において最も豊富な複数のグループであるガンマ‐プロテオバクテリアは、Iグループのクレンアーキオータ門/タウムアーキオータ門を含有する古細菌のプランクトンの部分と混合され得、Iグループ(例えば、ドゥボスケリダ(Duboscquellida)からのユリアーキオータ門およびIIグループ(例えば、シンディニウム目)アルベオラータおよびラジオゾア門が支配するプランクトン、並びにオピストコンタ属および複数のアルベオラータ、堆積緩衝系と混合され得る。
【0148】
望ましい代謝、細胞生理学、遺伝子、増殖条件、新陳代謝率および互換性が選択され得る多くの他の例が存在し得る。
【0149】
実験室に基づく微生物燃料セルの多くの研究は、グリセロール冷凍ストックから栽培化した菌株(domesticated strains)を有する純粋な微生物培養を使用する一方、そのような菌株は、本明細書で開示されるようないくつかのボルタセルに対して適切でなくてよい。特定の実施形態において、ボルタセルは、それらの自然状態において存在する環境微生物を使用する。標準の微生物学的技法を用いて隔離され培養される微生物は、「適応性」を失っていることが示されており、すなわち、それらは、実験室条件のもとでそれらがもはや必要としない複数の遺伝子を失う。本明細書に用いられるように、「自然状態」という用語は、微生物が実験室または工場の微生物となる前にそれらの自然環境において見出されるような複数の遺伝子型を有する微生物を指す。そのように、自然状態の微生物は、それらの実験室または工場の同等物より適応性を有する傾向がある。例として、環境堆積物はボルタセルに置かれる。いくつかの例において、環境堆積物は、ボルタセルにおいて配置される前に第2環境試料と混合される。この方法の目標は、最適な電流生成のためにボルタセルの自然状態微生物適切性を最大化するべく可能な限り多くの天然に見られる遺伝子を維持することである。自然状態の微生物を実験室で培養された微生物よりも好んで用いることの第2の利点は、それらの外部のストレス要因に耐える能力、および実験室で培養された微生物に比べてより高いストレス耐久性である。より高い遺伝子個体数および増加した遺伝子レパトリーを持つ開始集団を有することの利点は、良好な自立した集団がボルタセルにおいて生成されるより多くのチャンスを可能にすることである。それは、実験室で培養された微生物にとってより小さなゲノムから新たな遺伝子を自発的に生成することは、既存の遺伝子においての多少なりとも有益な突然変異を選択するよりもはるかに難しいからである。
【0150】
ボルタセルに用いられる環境分離株および環境集団に対し、環境試料実験が、生化学的および/または代謝経路に関与することが知られている望ましい化学作用および/または望ましい遺伝子の存在を識別するべく、スペクトロスコピー、質量分光解析、遺伝子配列決定および他の複数の方法等、従来の方法を用いて実行され得る。
【0151】
例えば、特定の酵素経路に関して特徴的であると見なされる特定の遺伝子およびそれらのそれぞれのタンパク質生産物を探すことができ、その結果特定の代謝能力を探すことができる。これらは、アンモニアモノキシゲナーゼAmoA、AmoBおよびAmoCサブユニット(硝化)、4−ヒドロキシブチリル・デヒドラターゼ(3−ヒドロキシプロピオン酸/4−ヒドロキシブチラート経路によるCO
2固化)、異化的亜硫酸還元酵素DsrAおよびDsrBサブユニット(硫酸塩呼吸)、異化的亜硝酸塩還元酵素サブユニットNirKおよびNirS(硝酸塩呼吸)、ニトロゲナーゼサブユニットNifHおよびNifD(窒素固定)、一酸化炭素脱水素酵素CoxLMSサブユニット(CO酸化)、RuBisCO(CO
2固化)、スルファターゼ(スルホン酸化したヘテロ多糖類の劣化)、ヒドロキシルアミン・オキシドレダクターゼHAO(アナモックス)、メチルコエンザイムA還元酵素(メタンの嫌気性酸化)およびC−Pリアーゼ(ホスホン酸塩利用)を含んだ。所望される遺伝子に関すの環境試料の選択的分析は、ボルタセルに用いるための集団において複数の微生物の望ましい組成を判断するための一方法である。
【0152】
複数の古細菌amo遺伝子は、プランクトンに豊富であり、マルマラプランクトンのタウムアーキオータ門がアンモニア酸化細菌であることを示唆する。硫酸還元、一酸化炭素酸化、アナモックスおよびスルファターゼに含まれる複数の遺伝子が、堆積物において大きな比率を示していた。ゲノム漸増分析は、アルテロモナスマクレオディイの「表面生態型」、ペラジバクター・ユビークおよびニトロソプミルス・マリティムスは、1000mの深さのプランクトンでより高く表されたことを示した。
【0153】
無酸素堆積物において、硫酸還元は、より深い堆積層におけるメタン生成古細菌の活性度に概ね伴う。マルマラ海の局在的な領域において存在しているもの等、冷水湧出帯環境において、いくつかの硫酸還元細菌は、嫌気性メタン酸化を実行している古細菌に共生的に関連している。メタン代謝の古細菌の特性である、メタン生成の最終段階に触媒作用を及ぼし、逆メタン生成においてもまた役割を有すると思われるメチル補酵素M還元酵素の存在を探すことができる。メタノサルチナ属バーケリ(McrABCDG)からメチル補酵素Mの複数のサブユニットをコードし、培養されていない古細菌からメタンの嫌気性酸化(McrABG)に含まれるニッケルタンパク質のそれらをコードする遺伝子は、選択されたメタゲノムに対するシードとして用いられてきた。しかしながら、対象物は検出されなかった。これは、Ma29は冷水湧出帯活性度によって強く影響を受けない「通常の」底部堆積物に対応するという事実、およびそれが堆積コア、従ってメタン生成層の上部の表面から収集されたという事実の両方に一致する。
【0154】
プランクトミケスは、堆積物において比較的豊富であり、アナモックス反応の鍵酵素の1つである、ヒドロキシルアミン・オキシドレダクターゼをコードするKuenenia stuttgartensis遺伝子のアナモックス活性が生じていることを示す遺伝子の存在を決定することができる。このマーカおよび他の同様のマーカが、多数の酸化還元酵素を含有する試料を、ボルタセルにおいて電子サイフォンによってアクセスされることが可能であって良い電子キャリア源として識別するべく用いられ得る。
【0155】
スルファターゼは、R.balticaのゲノムにおいて豊富であり、一般に、海洋型プランクトミケス門は、多数のこれらの酵素を有し、海洋型プランクトミケス門はそれらの酵素を、硫酸化ヘテロ多糖類の初期の分解のために用いられ得たことから、これらの豊富な海洋性化合物を再利用することにおいて、重要な役割を有する。これらのマーカは、生物学的に役立つ硫黄源をボルタセルにおいて他のサブセットに対して生成するための手段を与え得る、硫酸リサイクラーを決定するべく用いられ得る。
【0156】
ホスホン酸塩化合物の使用は、最近、P欠乏面海水域において、並びにPがより豊富の深水域においても同様に、リンの重要な源として提案されている。既知の遺伝子ではあるがまた、ホスホン酸塩利用に関して新規な経路でもあるものは、複数の機能的スクリーニングから導かれるような複数のメタゲノムのピコプランクトン・ライブラリーにおいて豊富である。これらのマーカは、試料の微生物によるホスホン酸塩の使用を決定するべく用いられ得、それは、生物学的に役立つリン酸塩源をボルタセルにおいて他のサブセットに対して生成するための手段を与え得る。
【0157】
COのCO
2への酸化は、かなり万能性が高く豊富なロゼオバクタークレードの複数のメンバーをとりわけ含む多くの海洋型細菌において、代替または補助的なエネルギー源として広がっている。一酸化炭素デヒドロゲナーゼ遺伝子は、地中海の深水域において高い相対的個体数で検出され、それは、深海微生物が、COを酸化することによって表面バクテリオプランクトンによって示されるものに類似した無機従属栄養性(lithoheterotrophy)の形態を実行してよいことを示唆した。深水域においてCO酸化の可能な役割は、CO源がその深さでは不明であって、且つ一酸化炭素脱水素酵素もまた中央炭素代謝のいくつかの経路において、例えば酢酸生成メタン細菌において含まれることから、批判されている。しかしながら、地中海において実際のところかなり広範囲である海嶺および海底火山領域にまで関連する熱水活動は、むしろ深海においてCO源を構成する可能性が非常に高い。さらに、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ遺伝子を含有するメタゲノムのフォスミドの配列決定は、それらがCO酸化細菌の典型的な構造を有するクラスタにおいて編成されていることを示している。その結果、CO酸化に基づく無機従属栄養性は、実際は深海においてもまた自由エネルギーを取得するのに役立つ戦略であってよい。これは、ボルタセルにおいて利用され得、CO酸化を用いる選択された微生物が電子サイフォンを還元し得る。
【0158】
アンモニウムモノキシゲナーゼは、硝化の第1段階においての鍵酵素である。タウムアーキオータ門は、古細菌のamoA遺伝子が細菌のamoA遺伝子に対し優性を示すことによって示唆されるように、土および海域でアンモニアを亜硝酸塩へ酸化することにおける主要な要因である。しかしながら、全ての深海のタウムアーキオータ門が、AmoAを有しているわけではなく、それは、多くの深海古細菌が化学独立栄養性アンモニア酸化菌ではないことを示唆する。Amo遺伝子は、従って、酸化微生物のマーカとして用いられ得、それは、ボルタセルの相乗作用を駆動するべく、そのボルタセルのサブコンパートメントにおいて用いられてよい。
【0159】
さらに、Ma101タウムアーキオータ門は、Iグループの古細菌において独立栄養性CO
2固化のための3−ヒドロキシプロピオン酸/4−ヒドロキシブチラート経路の鍵酵素である、4−ヒドロキシブチリル・デヒドラターゼのための遺伝子を有し得ることから、化学独立栄養性であると思われる。このC固化経路に加えて、試料の多数の微生物がRuBisCOの大きなサブユニット(rbcL)を含有し、CO
2固化のためのより従来型のカルヴィン回路の存在を示してよい。これらの微生物は、ボルタセルにおいて付加的な微生物サブセットのための栄養物を生成するべくボルタセルにおいて用いられ得る。
【0160】
別の例において、ゲノミクスおよび遺伝子配列決定は、ボルタセルに用いるための複数の対応する微生物を識別し得る。環境分離株から作成された遺伝子ライブラリからの複数のリボソームDNA(rDNA)配列の系統発生学的分析を利用する数多くの研究から、多くのデルタ・プロテオバクテリアは硫酸還元脱スルホン・バクテリア科の系統に属するが、培養微生物を持たないいくつかの系統にも属し、それは、それらのいくつかが硫酸塩還元菌でもあることを示唆する。プランクトンのデルタ‐プロテオバクテリアの複数のrDNA配列の中で、いくつかが、培養されていないグループSAR324から識別されている。同じ試料における硫酸還元のための複数の遺伝子の共起は、SAR324が硫酸塩を還元することが可能であることを示唆する。実際に、メタゲノムのクローンでの特定の代謝遺伝子の存在および酸素欠乏水域においてこのグループの相対存在量は、SAR324が嫌気性または微好気性生物に対応し得ることを示唆した。本明細書で詳細に記述される情報および方法を用いることに対する利点は、電流生成のためのボルタセルにおいてのデスルフォバクター科およびSAR324微生物の選択および使用を包含する。
【0161】
複数の微生物例。
特定の実施形態において、集光アンテナコンポーネント集団は、光合成微生物の集団であって、光合成微生物は、非酸素発生型光合成を実行し得る。特定の実施形態において、集光アンテナコンポーネント集団は、酸素発生型光合成微生物の集団である。さらに他の実施形態において、集光アンテナコンポーネント集団は酸素および非酸素発生型光合成微生物の混合物である。光合成微生物は、1つの種であってよいが、また多種であってもよい。開示される実施形態と共に使用するための、そのような微生物および集光アンテナの例は、表1に列挙されている。
【0162】
微生物細胞集団は、電子供与体として機能してよい。微生物細胞集団は、生存能力のある、または生存能力の無い光合成微生物、非光合成微生物、または光合成微生物と非光合成微生物との組み合わせを含んでよい。微生物細胞集団は、光合成微生物を0―100%含んでもよい。いくつかの実施形態において、微生物細胞集団は、光合成微生物をおよそ35―80%含んでもよい。いくつかの実施形態において、微生物細胞集団は、非光合成微生物をほぼおよそ100%含んでもよい。光合成微生物は、用いられる場合、異種の種および/または菌株の集団であってよい。他の実施形態において、光合成微生物集団は、均一種または均一菌株を含んでよい。非光合成微生物は、存在する場合、不均一の種および/または菌株の集団を含んでよい。他の実施形態において、非光合成微生物は、均一種または均一菌株を含んでよい。
【0163】
いくつかの実施形態において、微生物細胞集団の組成は、異なる微生物種、異なる環境分離株、異なる環境試料、または他の、各種、分離株、環境試料がはっきりと異なる(複数の)スペクトル波長吸光度と所望される気候と最適に対応し得る増殖条件とを有するものの混合比によって生成されてよい。微生物の集団を生成するための複数の選択基準は、波長励起スペクトル、好熱性、好塩性、嫌気性プロファイル、栄養要求条件、互換性およびその他を含む。いくつかの実施形態において、ボルタセルは、これらの基準のいずれか1または複数に関して互いに補完する複数の異なる微生物種または菌株を含む。例えば、2つの種が、同様の好熱性および好塩性を有してもよいが、複数の異なる栄養要求性を有してもよい。
【0164】
光エネルギーを電気的エネルギーに変換するべく用いられるボルタセルは、光合成微生物および非光合成微生物の組み合わせを含む微生物細胞集団を含んでよく、組み合わせにおいて、光合成微生物は、非光合成微生物よりも、およそ1.5:1の比率で数が多く、光合成微生物は、非光合成微生物よりも、およそ3:1の比率で数が多く、光合成微生物は、非光合成微生物よりも、およそ5:1の比率で数が多く、光合成微生物は、非光合成微生物よりもおよそ500:1の比率で数が多く、光合成微生物は、非光合成微生物よりも、およそ5,000,000:1の比率で数が多く、または、上記の複数の値のうちいずれか2つの間で変動する。いくつかの実装において、光合成微生物は、非光合成微生物よりもおよそ1.5:1からおよそ100:1までの比率で数が多い。ボルタセルは、細胞エネルギーを電気的エネルギーに変換するのに用いられてよく、複数の非光合成微生物の組み合わせを含む微生物細胞集団を含んでもよい。ボルタセルは、柔軟な様式で光エネルギーを電気的エネルギーに時々変換する、および細胞エネルギーを電気的エネルギーに時々変換するのに用いられてよく、複数の非光合成微生物および複数の光合成微生物の組み合わせを含んでいる微生物細胞集団を含む。
【0165】
ボルタセルにおいて、微生物細胞集団の配置は、使用に基づいて変動してよい。微生物細胞は、溶液において、堆積層において、2以上の層において、コーティングにおいて、電子サイフォンの表面に共役で、電子伝導性材料の表面に共役で、ワイヤまたは他の電流コレクタに共役で、あるいはその他において、配置されてよい。微生物細胞は、電子伝導サイフォンと他の電子伝導性材料(サイフォンの一部であってよい)との間に配置されてよく、電子伝導サイフォンがある交互の層において配置されてもよく、電子伝導性材料がある交互の層において配置されてもよく、電子伝導サイフォンおよび電子伝導性材料がある交互の層において配置されてもよい。いくつかの実施形態において、微生物細胞集団は、容器の最も外側の表面の近くに配置されてよい。他の実施形態において、微生物細胞集団は、容器の一部内に含まれてよい。
【0166】
本開示のいくつかの態様において、微生物細胞集団は、ボルタセルの複数の層において配置されてよく、複数の層は、複数の同様の光吸収波長範囲選択性を有する複数の微生物を含んでよい。いくつかの例において、最も外側の容器の層に関して複数の層の順序は、赤外線吸収の微生物、次に赤色光吸収微生物、次にオレンジ光吸収微生物、次に黄色光吸収微生物、次に緑色光吸収微生物、次に、青色光吸収微生物、次にインディゴ光吸収微生物、次に紫の光吸収微生物、次に紫外線吸収微生物であってよく、または電磁スペクトルに沿っている他の周波数進行であってよい。より一般的に、他のカスケードする波長配置が、集光アンテナ、微生物、および緩衝材の放射吸収特性に対して使用されてもよい。
【0167】
微生物の多様性は、電子を電極に供与することができ、または電極から電子を受け入れることができ、本明細書にそれの全体が参照として組み込まれる。場合によっては、人工的な電子移動の促進は必要でない。シェワネラ・オネイデンシスは、主に、可溶性電子シャトルとして機能するフラビンを介して電極と相互作用する。ゲオバクター・スルフレドゥセンスは、電気的に電極と外側面のC型シトクロムを介して接触する。Gサルフレドゥセンスは、また、合成伝導性ポリマにおいて以前説明されたものと同様の金属のような伝導性を有する微生物ナノワイヤとして知られる線毛に沿った長距離の電子伝達も可能である。線毛ネットワークは、Gサルフレドゥセンス・バイオフィルムに伝導性を授与し、それは、スーパーキャパシタおよびトランジスタ機能性を持って伝導性ポリマとして機能する。ジオバクター・サルフレドゥセンスが電子を比較的厚い(>50ミクロン)バイオフィルムを通って、唯一の電子受容体としての機能を果たす電極へ移動させるメカニズムが、最近調査されている。電子受容体としてグラファイト電極を持つ流入システム、または同じグラファイト面であるが唯一の電子受容体としてフマル酸エステルを持つ面上のいずれかにおいて増殖されるジオバクター・サルフレドゥセンスのバイオフィルムは、電流を生成することが実証されている。伝導性微生物および/またはそれらのナノワイヤは、いくつかの潜在的な実際的応用を有するが、付加的な基本的研究が合理的な最適化に必要であるだろう。微生物と電極との間のより効率的な電子移動のための複数の電子サイフォンデバイスが説明される。また、ボルタセルのための複数の電子サイフォンデバイスが説明される。最後に、水用のボルタセルが説明される。
【0168】
リポソームの例。
集光アンテナ分子(表2のもの等)を有する集光性リポソームの集団。
【0169】
リポソームのコンポーネントの例は、ホスファチジルコリンのステアロイルおよびジステアロイルのタイプ、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロールおよびコレステロールのパルミトイルおよびジパルミトイルの複数のタイプを含む。ホスファチジルグリセロールおよび/またはコレステロールは、強化された温度安定性を与えるべくリポソームに加えられ得る。
【0170】
集団は、複数の集光アンテナリポソームの混合物、ジステアロイル・ホスファチジルコリン:ジステアロイル・ホスファチジルグリセロール:コレステロールを10:8:2の比率で含有するリポソーム、バクテリオクロロフィルa、バクテリオクロロフィルb、バクテリオクロロフィルc、バクテリオクロロフィルd、スピリロキサンチン類、プロテオロドプシン、クロロフィルaおよびクロロフィルbの混合物を含有する集光アンテナを含む。
【0171】
集団は、1:1の比率の複数の調製された膜およびリポソームを含有し得る。最も好ましくは、集団は、1:10の比率の調製された膜およびリポソームを含む。
【0172】
集光性リポソームで混合された光合成微生物の集団において、光合成微生物が、酸素および/または非酸素発生型光合成を実行することができる。
【0173】
集光アンテナ‐様々な例。
例示的な生物およびそれらのそれぞれの集光アンテナが表1において列挙されている。
[表1] 微生物由来の集光アンテナコンポーネントの例。
【表1】
【表2】
[表2] アンテナおよび集光能力
【表3】
【表4】
【表5】
【0174】
[集光アンテナの源]。
自然発生源。
集光アンテナコンポーネント集団は、天然または人工の池、従来の実験室条件のもとで培養媒体を持つ大規模な増殖カラム体、スケーリングアップされた製造条件、および太陽光パネルベッドから培養され採取され得る。
【0175】
開示される実施形態の微生物および微生物誘導体は、定義された複数の培地での培養、自然環境においての培養、およびソーラーパネルファームにおいての培養を含む標準の微生物学的方法によって、1または複数の地理的位置および1または複数の気候から隔離され得る。
【0176】
エネルギー変換セルの調製。
集光アンテナコンポーネント集団は、光合成微生物から得られる集光アンテナを持つ膜を含んでよい。膜は、超音波処理、油圧押圧、圧力押圧、酵素、低張バスまたは他の従来の機械的または化学機械的な方法によって微生物から調製され得る。膜は、複数の開示される実施形態の電解質の緩衝液に加える前に、非イオン性界面活性剤等の緩衝化された溶媒および酸化防止剤混合物と混合され得る。膜は、酸素および/または非酸素発生型光合成が可能な1または光合成微生物種から調製され得る。膜は、複数の特定の光合成微生物から別々に調製され得、集光能力を光の波長範囲に及んで可能にするべく所望される比率で混合され得る。
【0177】
複数の自然に発生源の複数の変異型
開示される複数の実施形態と共に使用するための微生物および微生物誘導体は、また、1または複数の微生物変異型を、強められた集光に対して増加された集光アンテナレベルおよび増加された集光能力で生成するべく、遺伝子工学によって生成され得る。
【0178】
集光アンテナコンポーネントは、さらに、単位面積膜毎の集光アンテナコンポーネントの数が増加された1または複数の遺伝子学的に調節された光合成微生物種を含む。遺伝子学的に調節された微生物は、微生物の集団において集光アンテナの生成を増加させるべく、遺伝子発現を高めるように誘導され得る。増加された遺伝子発現を誘導するための複数の方法は、トランスポゾンによる遺伝子ノックイン、プラスミドDNAによる導入遺伝子のDNA組み換え、マイクロRNA、遺伝子活性化RNA、共役およびファージ形質導入を促進するための供与体セルとの共培養を含むがそれらに限定されない。
【0179】
集光アンテナ‐緩衝材のための培地 緩衝系は、液体、ゲルまたはペースト形態にあってよく、特定の実施形態では、塩類、緩衝剤、栄養物、増粘剤および1または複数の他のコンポーネントを含有してよい。いくつかの実施形態において、緩衝系は、また、色素または同様に単純な複光アンテナを含んでよい。複数の特定の実施形態において、緩衝材は、電子供与体、還元剤、塩、アミノ酸、pH緩衝剤、炭素源、窒素源、硫黄源、酸素源、複数の微量金属、ビタミン補因子、または前述の2または3以上のいずれかの組み合わせを含む。一般に、緩衝材組成は時間と共に、集光アンテナ集団の維持を支持する。さらに、緩衝材は、1または複数の気候においてクローズドシステムの集光アンテナ集団の維持を支持してよい。
【0180】
塩類は、およそ10ピコグラム/Lからおよそ30グラム/L、およそ10マイクログラム/Lからおよそ500ミリグラム/L、およそ50マイクログラム/Lからおよそ50ミリグラム/L、およそ15マイクログラム/Lからおよそ5ミリグラム/Lまでに及ぶ複数の濃度において存在してよい。いくつかの実施形態において、塩類は、例えばイオン伝導性レベル、栄養物レベル等の所望される電解質特性を促進する複数の濃度で存在する。いくつかの実施形態において、塩類は、それらの高いイオン伝導性に対して選択される。
【0181】
用いられてよい塩類の複数の例は、塩化アルミニウム、フッ化アルミニウム、アンモニア、重炭酸アンモニウム、クロム酸アンモニウム、塩化アンモニウム、重クロム酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫化アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、ホウ酸、五フッ化臭素、塩化カドミウム、硝酸カドミウム、セレン化カドミウム、硫酸カドミウム、硫化カドミウム、塩化カルシウム、クロム酸カルシウム、カルシウムシアナミド、フッ化カルシウム、炭酸、塩化クロム、硫酸クロム、塩化クロム、酸化クロム、硫酸クロム、炭酸コバルト、塩化コバルト、硫酸コバルト、塩化銅、酸化銅、硫化銅、炭酸銅、硝酸銅、塩化水素、フッ化水素、硫化水素、ヨウ酸、塩化鉄、酸化鉄、硝酸鉄、チオシアン酸鉄、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、酸化マンガン、硫酸マンガン、塩化マンガン、フッ化マンガン、リン酸マンガン、炭酸ニッケル、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、水酸化ニッケル、酸化ニッケル、硝酸、過塩素酸、五臭化リン、五フッ化リン、五硫化二リン、三臭化リン、三フッ化リン、三ヨウ化リン、塩化白金、フッ化カリウムアルミニウム、ホウ酸カリウム、臭化カリウム、塩化カリウムカルシウム、硝酸カリウム、過塩素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、硫酸カリウム、硫化カリウム、硝酸カリウム、クロム酸銀、硝酸銀、酸化銀、硫酸銀、硫化銀、アルミン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、重炭酸水素ナトリウム、水硫化ナトリウム、水酸化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、亜マンガン酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、過ヨウ素酸ナトリウム、過硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫化ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、二酸化硫黄、硫酸、塩化スズ、塩化チタン、炭酸ウラニル、臭化亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、ヨウ化亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、硫化亜鉛等を含む。
【0182】
緩衝材の栄養物は、生産状態において微生物集団を維持するように選択される。複数の例として、栄養コンポーネントは、硝酸塩類、亜硝酸塩類、アンモニア、硫酸、亜硫酸、リン酸、炭酸、アミノ酸類、糖類、ビタミン類、無機物、金属類および微生物増殖および代謝を支持する他のコンポーネントの全てまたはいくつかを含んでよい。栄養濃度は、およそ30ピコグラム/Lからおよそ300グラム/L、およそ1マイクログラム/Lからおよそ500ミリグラム/L、およそ50マイクログラム/Lからおよそ30ミリグラム/L、および15マイクログラム/Lからおよそ5ミリグラム/Lまでに及んでよい。
【0183】
色素は、用いられる場合、電子供与体であってよく、および/または他の役割を与えてよい。それらは、波長特有の光を吸収し、吸収されていない波長で光を反射または伝達する。色素は、光エネルギー受信を高めてよく、容器内において周囲環境に光を反射させてよく、隣接する集光アンテナに光を反射させてよく、隣接する微生物に光を反射させてよく、容器内の周囲環境に光を送信してよく、隣接する集光アンテナに光を送信してよく、隣接する微生物に光を送信してよく、光の1または複数の波長範囲を差し引いて(フィルタリング)よく、および/または他の役割を果たしてよい。例として、色素は、例えばカドミウム、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、鉄、チタン、亜鉛、銅を含有する色素等、例えばカーボンブラック、アイボリーブラック等の炭素ベースの色素等、クレイアース色素、ウルトラマリン色素、例えばインディゴ、インディアンレッド、チリアンパープル等の生物学的有機色素、および他の生物学的および合成色素等の金属色素であってよい。いくつかの実施形態において、色素は、緩衝系には存在しなくてもよい。いくつかの実施形態において、色素は、緩衝系のおよそ5%からおよそ90%重量/体積(w/v)、およそ15%からおよそ70%(w/v)、およそ25%からおよそ60%(w/v)、およそ35$からおよそ50%(w/v)に及ぶ複数の濃度において存在してよい。
【0184】
緩衝材は、栄養物を含んでよく、そうでない場合は廃棄物として扱われてよい。一つのそのような例は、廃水である。廃水において炭素を含有する化合物は、複子を生成するべく微生物に用いられてよい。
【0185】
電子サイフォン。
電子サイフォンは、他の要素から電子を受け入れ、そのような電子を伝導および/または半導体の構造によって伝達する電子受容部分を含んでよい。電子サイフォンは、1または複数のそのような電子受容部分を有してよく、1または複数の電子を同時に受容することが可能であってよい。複数の特定の実施形態において、電子サイフォンは、膜を含有する電子供与体から電子を効率的に吸い上げるための膜ドッキング部位を含み、それは、自由なエンティティ、または、例えば集光アンテナ、微生物、電子キャリアタンパク質、および微生物、膜コンポーネント、小胞、葉緑体、ミトコンドリアまたは他の膜においてまたはそれに近接して並べられた他の部分等、別の構造の一部であってよい。より一般的に、電子サイフォンは、任意の形態の電子供与体にドッキングするかまたは単純接触することを容易にする部分を含んでよい。
【0186】
複数の電子サイフォンの複数のコンポーネントは、1または複数の電子キャリアタンパク質、ポリマ、複合物、炭素の合金および混合物、炭素、ケイ素、金属類、コロイド、セラミック、銅、亜鉛、グラファイト、ステンレス鋼、酸化チタン、色素、集光アンテナ、葉緑体類、ミトコンドリア、電子キャリア分子、他の電子受取体分子、およびこれらの任意の組み合わせを含む材料で作成されてよい。いくつかの背景において、電子サイフォンは、電子受容体および電子供与体の両方として見られてよい。それらは、緩衝材において供与体から電子をボルタセルの電流コレクタの方向に向ける。いくつかの実施形態において、電子サイフォンは、初期の電子供与体と電流コレクタとの間の電子リレーシステムとして機能する。電子サイフォン構造物質の例は、炭素、電子キャリアタンパク質、ポリマ、複合物、炭素の合金および混合物、シリカ、金属類、色素、銅、亜鉛、ステンレス鋼、酸化チタンおよび同様のものを含む。
【0187】
電子サイフォンは、非結晶、結晶、または部分的に結晶である複数の構造を含んでよい。構造は、単一の原子の厚さまたは複数の原子の厚さを有してよい。いくつかの実施形態において、電子サイフォンは、単一の形態を有する一方、他の実施形態において、それらは組み合わされ、場合によりそれらは複合体へと組み合される。電子サイフォンは、チューブ、ワイヤ、スパイラル、剛毛、プレート、削りくず、ドット、粒子、球体、薄板、膜、メッシュ、ウェブ、ネットワークおよび同様のもののような形状にあってよい。電子サイフォンフォーマットは、これらの2または3以上が混合された集団を含んでよい。さらに、各電子サイフォンは、1または複数のワイヤ、糸状のもの、ファイバ、チューブ、ドット、プレート、粒子または1または複数のカーボンポリマ、金属、半金属、コロイドまたは電子伝達が可能な他の構造体を含有する他の要素を含んでよい。電子サイフォンの集団は、チューブ、ワイヤ、粒子、ドット、ファイバ、プレート、ネットワークまたは他の集団を含んでよい。
【0188】
電子サイフォンは、例えばアレイ、基質、懸濁液、1または複数の層、ポリマ等の上部構造においてグループ化されてよい。ボルタセルの例えば緩衝材等の他の要素を持ち、サイフォンは、例えばゲル、コポリマ、ペースト、半固体、および任意の他の規則正しいまたはランダム配置等の多くのタイプの構造を想定してよい。
【0189】
電子サイフォンは、それらの役割(例えば、電子をセルにおいて伝導させる、および/または供与体から電子を受容する)に適切なサイズを有する。場合により、それらは、電子供与体と接触面するように形成される。いくつかの実施形態において、サイフォンは、細胞サイズの単位であり、または例えば数十ミクロンからナノメートルのスケールまで等、より小さい。いくつかの実装において、サイフォンは、およそ1―20nm(例えば、およそ4―5nm)の平均直径、およびおよそ10―50μm(例えば、およそ30μm)の平均の長さを有する。このサイズのサイフォンは、微生物の外部面において配置され得る。合成サイフォンを用いる一定の実装において、サイフォンは、およそ2―10nmの直径を有してよい。そのようなサイフォンの集合体は、およそ50―100nmの寸法を有してよい。合成サイフォンの複数の例は、4―5nmの直径および30−80μmの長さを有する組換えpilAポリマを含む。合成サイフォンの複数の他の例は、量子ドット、量子ワイヤ、量子井戸、ナノチューブ、ナノワイヤ、および同様のものを含む。電子サイフォンは、通常、ナノメートル単位の寸法を有するが、例えばマイクロメートルおよびミリメートル等の他のサイズスケールが使用されてもよい。
【0190】
電子伝導ナノ構造に用いられ得る例示的構造は、ナノ粒子、ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノファイバ、量子ドット、デンドリマー、ナノクラスタ、ナノ結晶、およびナノコンポジットを含む。構造は、電子キャリアタンパク質、ポリマ、複合体、炭素(例えば、フラーレン)、ケイ素、金属(例えば、銅)合金(例えば、ステンレス鋼)、セラミック、酸化チタン等を含む様々な物質のいずれからも作成され得る。
【0191】
電子サイフォンは、均一または不均一な組成を有してよい。純粋に均一な実施形態において、電子搬送コンポーネントおよび電子受容要素は、サイフォンを介して密に混合される。不均一な電子サイフォンの例として、構造は、伝導性ロッドを支持基質として含み、電子受容部分およびドッキング部分で均一に被覆されている。別の例において、ドッキングおよび/または電子受容部分は、伝導性基質の一方の側または領域において局在化されてよい。そのようなサイフォン構造は、例えば強磁性ロッドを電子受容部分および/またはドッキング部分を加える間に共通の方向において(サイフォン支持構造のコレクション)を整列させるプロセス等、方向特定の処理メカニズムによって生成されてよい。
【0192】
電子サイフォンは、1または複数のコンポーネントサブユニットを含んでよく、これによってコンポーネントサブユニットが電子供与体と組み合わされる。いくつかの実施形態において、電子サイフォンサブユニットは、電子供与体に接続される。いくつかの実施形態において、電子サイフォンサブユニットは、基質または他の集合体へと接続され、電子供与体に接続される。いくつかの実施形態において、電子サイフォンサブユニットは、電子供与体に個々に接続され、それらの組み合わせは、次に、他の電子サイフォンに接続されてよい。説明されたように、電子サイフォンは、サイフォンの別の構造で受け入れられるかまた配位される電子を伝達するための伝導性または半伝導性材料を含んでよい。電子サイフォンは、電子供与体の存在のもとで、1または複数の電子を同時に受け入れ、配位してよい。電子サイフォンは、電子受容体の存在のもとで、1または複数の電子を供与してよい。
【0193】
電子サイフォンが1または複数の電子を受け入れ配位させる傾向は、部分的には、供与体から電子を受け取るための複数の電子受容部分または配位部分に要求される電位エネルギーによって決定され得る。電子サイフォンの電子適合部分は、電子供与体より小さい全体的な陰性を有してよい。電子サイフォンは、電子供与体より小さい全体的な陰性を含んでよく、電子受容体より大きい全体的な陰性を含んでよい。電子適合部分の複数の例は、アルギニン、リジン、ポリアルギニン、ポリリジン、アンモニウム、テトラブチルアンモニウム、キノン類、ユビキノン類、ビフェニル類、2,2´‐ビピリジン類、アゾ基グループ、アミングループ、NO
2グループ、CNグループ、ナフタルイミド、(60)フラーレン類、ポリチオフェン類、テルピリジン、イミドグループ、ポリイミドグループ、それらの誘導体または他を含む。
【0194】
電子適合部分は、電子サイフォンの他のコンポーネントと様々な結合化学作用によって共役であり、電子サイフォンと電子適合部分との間において共有結合を与えてよい。
【0195】
電子サイフォンは、微生物またはそれらが接触面を取る膜にドッキングするが、穴を開けない(またはそうでない場合、溶解させない)ように設計されてよい。サイフォンは、代謝的にまたは光合成で生成される電子を吸い上げる良性の付属器官として動作してよい。電子サイフォンは、結合部分を含んでよい。結合部分は、電子供与体または電子供与体を含有する種に対して親和性を有してよい。結合部分の複数の例は、複数の抗体およびそれらのコンポーネント(例えば、F(ab)およびF(ab´)2フラグメント)、タンパク質ドメイン、コレステロール、ホスホイノシチド、リン脂質類、脂質A、リポ多糖体、リポアラビノマンナン、リポタイコ酸、ピリン、PilAおよび同様のものを含む。特定の実施形態において、結合部分は、共有結合の形成を可能にするべく、1または複数の表面残基で電子サイフォンに共役である。
【0196】
特定の実施形態において、膜とドッキングするべく、サイフォンは、疎水性部分を有してよい。しかしながら、全体のサイフォン構造は、この構造が膜に穴を開けさせることから、疎水性であるべきでない。従って、特定の実施形態において、サイフォン構造の一部分は疎水性であって、別の部分は疎水性でない。いくつかの実装において、サイフォン構造の非疎水性部分は、正または負のいずれかに荷電される。正電荷は、膜における電子伝達コンポーネントから電子をサイフォンへ引き付けるべく使用されてよい。
【0197】
基部サイフォン構造が親水性(例えば、金属サイフォン構造)である場合、正の電荷にされる必要ない。その代わりに、膜ドッキングを容易にするべく、一部分が疎水性にされてもよい。基部サイフォン構造が疎水性(例えば、炭素サイフォン構造)である場合、それを疎水性にするための処理は必要ない。その代わりに、それは、一部分を正で荷電するように処理されてもよい。
【0198】
特定の実施形態において、電子サイフォン基部構造は、中性緩衝材において全体に正の電荷を与えるように処理される。これは、サイフォンが疎水性である場合に適切であり得る。疎水性サイフォン物質の複数の例は、炭素(例えば、炭素ナノ構造)、疎水性アクリル、アミド類、イミド類、炭酸塩類、ジエン類、エステル類、エーテル類、フッ化炭素類、オレフィン類、スチレン類、ビニルアセタール類、塩化ビニル類、塩化ビニリデン類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ケトン類、ビニルピリジンポリマ類、およびビニルピロリドンポリマ類を含む。電子サイフォン物質は、ACタイプのシトクロム、アルギニン、ポリアルギニン、リシン、ポリリシン、プロタミン類、ヒストン類、鉄(III)、鉄硫黄クラスタおよび同様のものに共有結合して共役であってよく、電子サイフォン物質において、それらの表面は、例えばカドミウム、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、マンガン、マグネシウム、鉄、白金、銅、ロジウム、オスミウム、イリジウムおよび同様のもの等の複数の金属部分を持ってよい。さらに、電子サイフォン物質において、それらの表面は、(i)全体に正の電荷、(ii)電子結合能力、および(iii)従来型の合成伝導性材料(例えば、カーボンナノチューブ)の毒性効果を中和する能力を有する他の電子結合コンポーネントで改良されてよい。合成電子伝導性材料の改良は、伝導性材料と正電荷電子結合部分との間の求核攻撃および共有結合形成を伴うクリック化学および化学的架橋を含む複数の従来の化学共役技法によって実行され得る。他の方法は、光架橋としてもまた知られる、伝導性材料と正で荷電された電子結合部分との間に形成される共有結合を生成するための求核剤の活性化を誘導するべく、UV照射の使用を含み得る。一般的に、改良は、サイフォン構造の一部分のみ(例えば、それの端部の部分だけ)をカバーする。
【0199】
すでに述べたように、電子サイフォンは、電子キャリアコンポーネントを含有する微生物、微生物膜、小胞、または他の膜誘導体と相互作用することを容易にするべく、疎水性部分を有し得る。基部素材が疎水性でない場合、改良が、疎水性部分を生成しなければいけない。そのような疎水性部分は、例えばコレステロール、グリセロール‐エーテル脂質類を含有するイソプレン鎖、シクロプロパン類およびシクロヘキサン類または、例えば脂質A等のグリセロール‐エステル脂質類、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリンおよびホスファチジルグリセロール等のステロール類の共有結合の共役によって生成され得る。疎水性処理を必要としてよい物質の複数の例は、金属ナノ構造、半金属、コロイド、複数の複合体、ナノ構造、例えば多糖類等の親水性ポリマ、ポリアミン類、プロテオグリカン類、抗体および同様のものを含む。
【0200】
一例において、1または複数の電子供与体に対して電子サイフォン活性および/または接続性を可能にする生物学的および生化学的部分の結合は、酸活性化を介して達成され、カルボジイミド、アミド化、1−エチル‐3‐(3−ジメチルアミノプロピル)塩酸カルボジイミド、N‐ヒドロキシスクシンイミドまたは他の追加がそれに続く。
【0201】
いくつかの態様において、微生物細胞集団は、電子サイフォン集団と混合される。いくつかの実施形態において、微生物細胞集団は、およそ1:1の比率、およそ1:2の比率、およそ1:3の比率、およそ1:4の比率、およそ1:5の比率、およそ1:6の比率、およそ1:7の比率、1:10の比率、およびおよそ1:30の比率で電子サイフォン集団と混合されてよい。
【0202】
いくつかの実施形態において、集光アンテナ集団は、電子サイフォン集団と混合されてよい。いくつかの実施形態において、集光アンテナ集団は、およそ1:0.5の比率、およそ1:1の比率、およそ1:2の比率、およそ1:3の比率、およそ1:4の比率で電子サイフォン集団と混合されてよい。
【0203】
いくつかの実施形態において、電子サイフォン集団は、微生物細胞集団と混合されてよく、集光アンテナ集団と混合されてもよい。集光アンテナ集団は、微生物細胞集団の吸収パターンを補完する波長範囲の光を吸収する人工的および/または自然に発生するアンテナを含んでよい。いくつかの実施形態において、電子サイフォン集団は、微生物細胞集団と混合されてよく、集光アンテナ集団と、およそ0.5:1:1の比率、およそ1:1:1の比率、およそ2:1:1の比率、およそ3:1:1の比率、およそ4:1:1の比率、およそ5:1:1の比率、およそ6:1:1の比率、およそ10:1:1の比率、およそ15:1:1の比率、およそ30:1:1の比率、およそ40:1:1の比率、およそ0.5:1:2の比率、およそ1:1:2の比率、およそ2:1:2の比率、およそ3:1:2の比率、およそ4:1:2の比率、およそ5:1:2の比率、およそ6:1:2の比率、およそ10:1:2の比率、およそ15:1:2の比率、およそ30:1:2の比率、およそ40:1:2の比率、およそ0.5:1:3の比率、およそ1:1:3の比率、およそ2:1:3の比率、およそ3:1:3の比率、およそ4:1:3の比率、およそ5:1:3の比率、およそ6:1:3の比率、およそ10:1:3の比率、およそ15:1:3の比率、およそ30:1:3の比率、およそ40:1:3の比率、およそ0.5:1:4の比率、およそ1:1:4の比率、およそ2:1:4の比率、およそ3:1:4の比率、およそ4:1:4の比率、およそ5:1:4の比率、およそ6:1:4の比率、およそ10:1:4の比率、およそ15:1:4の比率、およそ30:1:4の比率、およそ40:1:4の比率、およそ0.5:1:5の比率、およそ1:1:5の比率、およそ2:1:5の比率、およそ3:1:5の比率、およそ4:1:5の比率、およそ5:1:5の比率、およそ6:1:5の比率、およそ10:1:5の比率、およそ15:1:5の比率、およそ30:1:5の比率、およそ40:1:5の比率、およそ1:1:6の比率、およそ2:1:6の比率、およそ3:1:6の比率、およそ4:1:6の比率、およそ5:1:6の比率、およそ6:1:6の比率、およそ10:1:6の比率、およそ15:1:6の比率、およそ30:1:6の比率、およそ40:1:6の比率、およそ2:1:7の比率、およそ3:1:7の比率、およそ4:1:7の比率、およそ5:1:7の比率、およそ6:1:7の比率、およそ10:1:7の比率、およそ15:1:7の比率、およそ30:1:7の比率、およそ40:1:7の比率、およそ2:1:8の比率、およそ3:1:8の比率、およそ4:1:8の比率、およそ5:1:8の比率、およそ6:1:8の比率、およそ10:1:8の比率、およそ15:1:8の比率、およそ30:1:8の比率、およそ40:1:8の比率、およそ2:1:9の比率、およそ3:1:9の比率、およそ4:1:9の比率、およそ5:1:9の比率、およそ6:1:9の比率、およそ10:1:9の比率、およそ15:1:9の比率、およそ30:1:9の比率、およそ40:1:9の比率、およそ2:1:10の比率、およそ3:1:10の比率、およそ4:1:10の比率、およそ5:1:10の比率、およそ6:1:10の比率、およそ10:1:10の比率、およそ15:1:10の比率、およそ30:1:10の比率、およそ40:1:10の比率、およびおよそ40:1:20までの比率で混合されてよい。
【0204】
電子サイフォンは、開示される実施形態の集光アンテナコンポーネントに直接隣接して配置されてよい。さらに、開示される実施形態の電子サイフォンは、集光アンテナコンポーネント集団の光子介在励起によって生成される自由電子のスカベンジ作用のために、電子キャリアコンポーネントに直接隣接して配置され得る。電子サイフォンは、微生物の表面、微生物由来の膜コンポーネントまたは小胞に沿って、埋め込まれた集光アンテナコンポーネントと共に配置され得る。
【0205】
上記の処理は、電子サイフォンを、直接隣接して配置される場合(すなわち、ドッキングされている、埋められているまたは固定されている(例えば、抗体‐抗原免疫複合体)またはその他)、微生物または微生物由来の膜コンポーネントの感光性を維持する様式で改良する。さらに、微生物の代謝活性および微生物膜においての電子キャリアコンポーネントの電子伝達能力が、そのような複数の電子サイフォンがドッキングされる場合に保存されてもよい。
【0206】
さらに、ナノスケールのユニットを渡る方向性のある電子流を可能にするべく、集光アンテナコンポーネントから直接、電子スカベンジ作用のためにバイオセーフに改良されたナノ構造ユニットが開示される。さらに、改良されたナノスケールコンポーネントの集団を渡る方向性のある電子流を可能にするべく、集光アンテナコンポーネント集団から直接、電子スカベンジ作用のためにバイオセーフに改良されたナノスケールのユニットの集団が開示される。
【0207】
いくつかの実施形態において、電子サイフォンは、1または複数の集光アンテナを有する微生物膜に接触することが可能な、正電荷を持つ電子受容体分子に(例えば、共有結合で)結合された電気的に伝導性または半導体の物質を含んでよい。開示される実施形態の正電荷を持つ電子受容体分子は、アルギニン、リジン、ポリアルギニン、ポリリジン、熱的に安定な電子キャリアタンパク質またはそれらの誘導体、または他を含んでよい。
【0208】
容器は、改良された伝導性ナノスケールコンポーネントの層と並列され、電子流導管プレートと並列され、絶縁射出成形重合体の側壁およびバッキングユニットと並列されたガラスパネルと並列された集光アンテナコンポーネント集団の層を生成する様式において製造され得る。改良された伝導性ナノスケールコンポーネントは、散布、ローリングおよび印刷することによって、電子流導管プレートに加えることができる。いくつかの実施形態において、事前に混合された溶液の添加は、集光アンテナコンポーネント集団および改良された伝導性ナノスケールコンポーネントを含み、ここで、溶液は、光変換システムの電子流導管プレートに直接向けられる開示される実施形態のpH緩衝化された電解質溶液である。
【0209】
実施形態の光変換システムは、大きな温度範囲に耐えるように構築され、最小の屈折特性での光浸透性が最適化された強化ガラストッププレート(
図3、1002)と、ガラストップの周りに漏れ防止密封材を生成し電解質の緩衝液(1004)の損失を防ぐための1または複数の耐UVガスケット(1003)と、光吸収効率を最大化するようにある方向における集光アンテナコンポーネント集団(1005)であって、光子励起される電子のスカベンジ作用および集光アンテナ集団から離れて伝導性バックプレート(例えば、電流コレクタ)の方向への注ぎ込みを最大化するように伝導性ナノ材料(1006)の層と並列されており、伝導性バックプレートは次に、電流を外部回路(1007)へ向ける、集光アンテナコンポーネント集団、とを含む。表わされる実施形態において、光変換システムの大部分は、電解質緩衝溶液、絶縁壁内に含まれる集光アンテナコンポーネント集団および伝導性ナノスケールコンポーネントへのアクセスを可能にするための1または複数のアクセスポートを含む、射出成形重合体絶縁の側壁およびバッキングフレーム(1008)の筐体を有する。
【0210】
さらに、本明細書において提示されるのは、集光アンテナ分子においての光媒介の電子励起から、ナノスケールコンポーネントの集光アンテナコンポーネント集団(2003)に対する直接的な接触を通して生成される励起電子をスカベンジ(scavenge)するための複数のバイオセーフに改良されたナノスケールコンポーネント(
図4、2002)の使用である。
【0211】
いくつかの実施形態において、微生物は、過剰電子(光合成でまたは代謝的に生成される)を除くべく、電子伝導ナノ構造を有するように選択されるか、またはそれらの形成するように誘導されてよい。そのような構造は、微生物の解剖学的拡張である。そのような構造は、小線毛、線毛、分泌システム(タイプI、II、III、およびIV)ならびにエキソソーム類であり得る。そのような構造の組成は、タンパク質、プロテオグリカン、リポソーム、リポ多糖体を含み得る。特定の実施形態において、そのような微生物ナノ構造は、電子的に伝導性のアノードまたはアノードに取り付けられた伝導性ネットワークに直接結合する。構造は、光への露出(レンズを通して、増加された強度)、栄養物への露出または遺伝子工学的アプローチを通して解剖学的な伸展を生成することに含まれる遺伝子産物をコードする遺伝子の上方調節を追加することによって誘導され得る。
【0212】
電子サイフォン母材。
いくつかの実施形態において、ボルタセルは、1または複数の電子サイフォン母材を含んでよい。母材は、ネットワークまたはポリマの中に配置された電子サイフォンサブユニットのアレイを含んでよい。ネットワークまたは高分子母材は、複数のサブユニットの共有結合を通して、およびサブユニットの静電相互作用を通して製造されてよい。
【0213】
いくつかの実施形態において、微生物細胞集団は、電子サイフォン母材と直接共役している。いくつかの実施形態において、微生物細胞集団は、電子サイフォン母材へと直接吸収される。いくつかの実施形態において、集光アンテナ集団は、電子サイフォン母材と直接共役している。いくつかの実施形態において、集光アンテナ集団は、直接電子サイフォン母材に吸収される。いくつかの実施形態において、微生物細胞集団および集光アンテナ集団は、電子サイフォン母材に直接共役している。いくつかの実施形態において、微生物細胞集団および集光アンテナ集団は、電子サイフォン母材に吸収される。
【0214】
いくつかの実施形態において、付加的な電子伝導性材料は、電子サイフォン母材に直接共役している。いくつかの実施形態において、電子伝導性材料は、電子サイフォン母材に直接吸収される。いくつかの実施形態において、電子伝導性材料は、半透性障壁によって電子サイフォン母材から離される。
【0215】
電子サイフォンおよびボルタセル配置。
配置1.電子サイフォンおよび電子供与体集団配置。
いくつか例において、ボルタセルにおいて電子供与体集団のメンバーから生じる電子は、ボルタセルへの光子エネルギー通過によってより高いエネルギー状態へと励起されてよい。いくつかの例において、ボルタセルにおいて電子供与体集団のメンバーから生じるの電子は、生化学的反応における共有結合エネルギーの加水分解によって生成されてよい。いくつかの例において、電子供与体集団は、複数の集光アンテナを含んでよい。いくつかの例において、電子供与体集団は、複数の色素を含んでよい。いくつかの例において、電子供与体集団は、複数の微生物細胞を含んでよい。電子供与体集団のメンバー(
図6、601から611)から生じる(複数の)電子が、電子サイフォン集団(
図6、612)のメンバーによって捕捉されてよい。電子サイフォン集団は、電子をボルタセルの電流コレクタまたは電子的に伝導性の部分の方向に向かわせ、それは、電子を外部負荷に提供する。電子供与体集団から捕捉される電子は、ある方向に流れる(
図6、613)。電流としてもまた呼ばれる電子流の方向は、ボルタセル内で自発的に生成される電位差によって、ボルタセル内で確立されてよく、任意に、ボルタセル内に極性を確立する外部のデバイスによって促進化されてよい。電流の方向は、部分的には、ボルタセルにおいて電子サイフォン集団の配置によって生成されてよい。電流の方向は、ボルタセルを渡って加えられる電位によってさらに影響を受けてよい。電子サイフォンは、様々な電子サイフォンが第2電子サイフォンに直接的に接続してよく、第1電子サイフォンが電子供与体から電子を受け入れてよく、第2電子サイフォンが第2電子サイフォンに接続されてよい様式において配置されてよい。
【0216】
配置2.電子サイフォンおよび微生物細胞集団の第2配置。
いくつかの例において、複数の電子サイフォンの混合物(
図7、706)および電子供与体集団の複数のメンバーの混合物(
図7、701から705)の単純な配置は、ボルタセルにおいて置かれてよい。電子供与体集団の電子供与体は、微生物、色素、集光アンテナまたは他を含んでよい。電子サイフォン集団の電子サイフォンは、伝導性ナノ粒子、伝導性ナノワイヤ、伝導性ナノチューブ、伝導性メッシュ、伝導性プレートおよび/または他の要素を含んでよい。電子供与体によって生成される電子は、電子の供与体からサイフォンまでの(また中間電子受取体もあってよい)移動イベントを通して、電子サイフォンによって吸い上げられてよい。電子サイフォンは、様々な電子サイフォンが1または複数の電子供与体と並列して配置されてよい様式において配置されてよい。電子サイフォンは、1または複数の電子サイフォンが、1または複数の電子供与体に直接接続し、電子供与体から電子を受け入れてよい様式で配置されてよい。1または複数の電子供与体は、供与体からボルタセルの電流コレクタまでの電子伝導経路において、ノードまたは経路要素として機能する。
【0217】
配置3.いくつかの電子サイフォンの配置。
いくつかの例において、炭素のポリマ(
図8(A‐C))は、電子サイフォンにおいての伝導性材料であってよい。炭素ポリマのこの形態は、薄板、膜、メッシュ、プレート、ファイバ、チューブ、ワイヤ、ドット、粒子または他を含んでよい。いくつかの例において、電子サイフォンは、ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノファイバ、ナノ粒子または他を含んでよい(
図8(A)、802)。いくつかの例において、電子サイフォンは、中空チューブ、ワイヤ、小線毛、ファイバ、編組または他を含んでよい(
図8(B))。いくつかの例において、電子サイフォンは、ドット、ナノ粒子、ミクロ粒子、球、楕円体、多面体、中空多面体または他を含んでよい(
図8のC)。電子サイフォンの改良は、例えば酸活性化等の従来の活性化技法を用いて成されてよく、それは、電子サイフォンの1または複数の残留物において反応性化学部分を生成し得る。付加的な改良が、NHS、スルホ‐NHS、EDC、BMPHまたは他のリンカーの存在のもとで生成されてよい。
【0218】
配置4.電子サイフォンの変更されたアレイ。
電子サイフォンは、本質において伝導性または半伝導性であってよく、アレイの一端部から他端部までの電子の進行を促進する様式で配置されてよい。電子サイフォンの配置は、例えばファンデルワールス力等の自然の特性によって操作されてよく、あるいは、例えば電子サイフォンのアレイへの共有結合等の合成手段によって操作されてもよい。一例において、電子サイフォンの均質のコレクション(
図9(A)、903)が配列されてよく、ここで、電子サイフォン(901)は、アレイ(903)の第2電子サイフォンと接触してもよい。特定の実施形態において、電子サイフォンは、アレイにおいて隣接する電子サイフォンの間でのリンケージを促進し、電子の伝達を促進し、電子供与体のドッキングを促進し、電子伝導性材料または他のためのドッキング部位として機能するための改良(902)を含む。場合により、リンケージは、およそ0から2オングストロームの単位である。別の例において、電子サイフォンの不均一のアレイ(
図9(B)、905)は、不均一な電子供与体集団から電子の有効な受け入れおよび移動を促進する電子サイフォンのアレイを生成するべく、はっきりと異なる電子サイフォン特性を有する電子サイフォンタイプ(901)が、異なる電子サイフォン特性を有する第2電子サイフォンタイプ(904)と組み合わされてよい様式において配列されてよい。複数のアレイのこれらのタイプは、様々な機能を果たし、様々な改良の存在に依存してよい。いくつかの例において、改良は、例えば正に荷電されたアミノ酸、カチオン性脂質、カチオンまたは他等であるがそれらに限定されない正電荷部分と例えば、疎水性化学物質、両性イオンまたは他等であるがそれらに限定されない中性の荷電部分と、例えばニトロン、1,2‐双極子、1,3‐双極子、アミン、酸化物類または他等の双極性分子と、例えば抗体、レセプター、リガンド、NAD+、NADP+、FAD、FMN、FeSクラスタ、ヘム、補酵素Qまたは他等の結合分子と、例えば酸素展開の複合体、酸化還元酵素または他等の酵素との直接的な共役を含んでよい。
【0219】
配置5.代謝プロセスから生成される電子を捉えるための電子サイフォンの使用。
イオンの膜を渡る動きは、(i)イオンを含む化学種の確立された濃度勾配によって引生じる拡散力、および(ii)カチオン(例えば、プロトン(H
+))は、電位を拡散させ、アニオン(例えば、OH
−)は反対方向に拡散する傾向がある電位勾配によって生じる静電力の2つの要因に依存する。これらの2つの勾配をまとめて、電気化学的勾配として表わしてよい。生体セルおよびリポソームにおいて、脂質層は、イオン通路に対する障壁として動作してよい。電位エネルギーは、脂質層を渡って電気化学的差の蓄積の結果として生じてよく、このエネルギーは使用のため保存されてよい。生体細胞膜において、プロトンは、アクティブな伝達様式で流れ、膜を渡ってpHおよび電荷差をセットアップする。それは、膜を隔てたプロトンおよび電圧勾配の組み合わせとして保存される電位エネルギー(プロトン濃度および電位の差)の測定として説明され得る。電気勾配は、(プロトンH
+が、塩化物Cl
−等の対イオン無しで移動する場合)膜を隔てた電荷分離の結果である。生体システムにおいて、電気化学的勾配は、しばしば、プロトン駆動力(PMF)として機能する。
【0220】
いくつかの例において、電子供与体は、微生物細胞である。普通微生物細胞である、PMFは、微生物細胞膜において電子伝達鎖によって生成され(
図5)、それは、プロトンポンプとして動作し、酸化電子キャリア(
図10のA、1004)を生成する還元電子キャリアの酸化イベントから電子のエネルギーを用いて(
図5)プロトン(水素イオン、
図10のA、1006)を、膜を横断して周囲環境に汲み出し(
図10のA、環境電子、1009、環境、1007)、エネルギー反応のセル(1002)の中に微生物細胞(1008)に再び入ってよい別個の電子(1005)を生成するべく膜を隔てて電荷を分離する。
【0221】
いくつかの例において、電子供与体はミトコンドリアであり、電子伝達鎖によってリリースさえるエネルギーは、ミトコンドリアマトリックスからのプロトンをミトコンドリアの膜間の空間に移動させるべく用いられる。プロトンをミトコンドリアから移すことにより、正荷電のプロトンのより低い濃度をその内側に形成し、膜の内側においてわずかに負の電荷を結果として生じる。電位勾配はおよそ−170mVである。ミトコンドリアにおいて、PMFは、ほぼ完全に、電気コンポーネントから成っているが、葉緑体類において、PMFは、プロトンH
+の電荷がCl
−および他のアニオンの動きによって中性化されることから、ほとんどpH勾配で成る。いずれの場合においても、PMFは、ATPを形成するためのATP合成酵素に対しておよそ50kJ/molでなければいけない。
【0222】
一例において、電子サイフォン(
図10のB、1010)は、電子伝達鎖をホストする膜(
図10のB、1001)の外面と接触してよい。電子伝達鎖は、生化学的および/または光化学的反応から電子およびプロトンが、還元電子キャリア(
図10のB、1003)によって供給され、それらは、膜の電子伝達鎖のメンバーによって酸化(1004)されてよい。電子(1005)のプロトン(1006)からの分離は、膜内の様式で生じてよい。プロトンは、従来の様式で環境(1007)へと放出される(1009)。電子(1011)は、電子サイフォン(1010)が膜(1001)の隣にあり得るか、それに接触し得るか、それに共有結合によって結合され得るか、または膜内に埋め込まれ得る場合、電子サイフォンによって捕捉され得る。
【0223】
配置6.リポソームから生成される電子を捉えるための電子サイフォンの使用。
色素、集光アンテナ、および夫々(
図11のA、1103および1104)リポソームの内側およびリポソーム膜(
図11のA、1101)における電子伝達鎖の複数のコンポーネントにある複数の還元および酸化電子キャリア等の複数の集光化学物質を含有する集光性リポソームは、電子供与体として機能してよい。光エネルギーの捕捉および後に続く高エネルギー電子の形態へのエネルギー転換は、電子が電子キャリアによって捕捉されることを可能にしてよく(
図11のA、1103)、それは、次に、その電子を電子伝達鎖へ移動し(
図11のA、1101)、酸化電子キャリアを再生成する(
図11のA、1104)。電子伝達鎖の化学物質は、プロトン(
図11のA、1106)および電子(
図11のA、1105)を分離することが可能であってよい。これらの条件のもとで、リポソームは、電子を環境に伝送しなくてよく(
図11のA、1108)、電子は小胞内に向けられるであろう。電子サイフォンの存在のもとで(
図11のB、1110)、電子伝達鎖を含むリポソーム膜の外面と接触してよい(
図11のB、1101)。電子サイフォンは、電子伝達鎖において電子の経路を方向転換するのに用いられてよく、電子の捕捉を促進してよい(
図11のB、1111)。
【0224】
配置7.ボルタセルの側面図。
この例において、ボルタセルは、容器の1または複数の表面において電子伝導性材料(1202)を含む容器(
図12、1201)を含む。容器は、さらに、電子伝導性材料(1202)と1または複数の電子供与体(1206)に接触することが可能な異なる電子伝導性材料との間の判別可能な障壁として機能するための半透性膜(1203)を含む。2オングストロームから50cmまでに及ぶ空間(1207)は、半透性膜(1202)と電流コレクタ(1204)との間に存在してよい。電子的に伝導性の特性は、膜(1202)から電流コレクタ(1204)への電子の伝導を可能にするべく、空間(1207)へと入り込む。緩衝材または他のイオン伝導性培地が空間に存在してもよい。容器は、さらに、電子供与体と接触してもよく、緩衝系(1208)と接触してもよい電子サイフォン(1205)の配置を含む。
【0225】
配置8.ボルタセルチューブ。
一例において、フレキシブルな透明チューブ(
図13、1301)は、膜を隔てて化学電気ポテンシャルを生成するべく、電子供与体集団(1305)から半透性膜(1303)によって離されてもよい電子伝導性材料(1304)を含有するボルタセル(1302)を含んでよい。この実施形態において、チューブは、ボルタセル容器として機能し、流れる緩衝溶液のための導管として機能する。管状容器は、覆われてよく、またはそうでない場合はボルタセルに関連する棒の形状または他の構造に適合されてよい。
【0226】
配置9.ボルタセルピラー。
この例において、複数のボルタセル(
図14、1402)は、電子伝導ベース(1401)において配置される。ボルタセルは、各々、透明容器を含み、各容器はピラーまたは他の鉛直構造にある。各容器は、電子伝導性材料(1403)を囲む電子サイフォン配置(1405)と混合される電子供与体集団(1406)を含んでよい。膜を隔てて化学電気ポテンシャルを促進するべく、電子伝導性材料(1403)を囲んで半透性膜(1404)があってよい。
【0227】
配置10.ボルタセルにおける回路接続の配置。
一例において、ボルタセルは、電子伝導性材料(またカソードとしても呼ばれる)(
図15、1503)を含んでよい。カソードは、電子伝導ワイヤリード(1507)に接続されてよい。カソードは、第2電子伝導性材料(アノードとして呼ばれる)(1501)の間に電荷分離を生成するべく、半透性膜(1502)によって被覆されてよい。この例において、電子サイフォン集団(1505)は、アノード(1501)に接触するように配置されてよく、供与体集団から電子を採取し、アノードへ電子を伝送するべく、電子供与体集団(1504)との接触面として機能してよい。電子は次に、第2伝導性ワイヤ(1506)へと、最終的にグリッドへと進行してよい。
【0228】
配置11.平行な様式においての電子サイフォンにおける電子供与体の配置。
一例において、電子供与体(
図16、1605)は、電子サイフォン配置(1601)でドッキング(1606)されてよい。ドッキングは、共有結合形成、親和性媒介の相互作用(例えば、抗体‐リガンド駆動の親和性、疎水性‐疎水性相互作用、または他)、または他を含んでよい。電子供与体(1605)からの電子流は、供与体から電子サイフォン(1601)へ、ボルタセルの伝導性電子材料の方向へと進んでよい。
【0229】
一例において、2以上の電子供与体(1605および1607)は、電子サイフォン配置(1602)にドッキングされてよい。ドッキングは、1または複数の様式(1606および1605)によって媒介されてよい。電子流は、各電子供与体から電子サイフォン配置(1602)へと、ボルタセルの伝導性電子材料の方向に生じてよい。
【0230】
一例において、2以上のドッキング部位(1610)が、電子供与体(1609)と電子サイフォン配置(1603)との間に存在してよい。電子流は、電子供与体から2以上のドッキング部位を介して電子サイフォン配置へ生じてよい。
【0231】
一例において、2以上の電子供与体は、電子サイフォン配置(1604)でドッキングされてよい。この例において、電子供与体(1611および1612)は、2以上の方法によってドッキングされてよく、電子を同時に並行する様式で同じ電子サイフォン配置に移動してよく、電子流は、電子サイフォン配置において一方向(1613)にある。
【0232】
電子サイフォン配置の表面に沿って2以上の地点で電子供与体のドッキングされた配置は、増加した電子採取を可能し、増加した電子流(また電流として知られる)を生じさせ得る。この例は、増加した電流を生成するための回路において用いられる並列要素の設計を説明する。
【0233】
配置12.複数のボルタセルの直列配置。
複数のボルタセルの直列配置は、電圧および電流を不釣り合いに増加させ得る。この配置において、パネル(
図17、1701)は、様々なボルタセル(1702)を含んでよく、各々はカソードワイヤ(1706)およびアノードワイヤ(1705)を有し、それをカソード(1704)およびアノード(1703)のグリッドに夫々接続する。パネルは、カソードおよびアノードのアレイを含んでよく、マスタカソードワイヤ(1707)およびマスタアノードワイヤ(1708)に夫々接続されてよい。
【0234】
配置13.ボルタパネルおよびバッテリー。
この配置において、ボルタパネル(
図18、1801)は、グリッド(1804)に接続されてよく、ワイヤ(1803)を通ってバッテリー(1802)にもまた接続されてよい。いくつかの例において、バッテリーは、外部の極性生成媒体としての役割を果たし、ボルタパネルの極性は、ボルタパネルへと通じるバッテリーの正および負の電極によって決定されてよい。加えられたポテンシャルは、特定の微生物、集光アンテナまたはボルタセルの他のコンポーネントの活性度を活性化または強化してよい。いくつかの例において、ボルタパネルから生成される過度な出力は、バッテリーに保存されてよい。
【0235】
配置14‐浸水可能なボルタセル。
水由来の電気に対する浸水可能なボルタデバイスは、負荷を介して接続された2つの電極を含んでよく、浸される場合、異なる電気化学ポテンシャルを有する。いくつかの例において、デバイスは、水体において完全に浸されてよい。複数の他の例において、デバイスの一部分が、水体に浸されてよい。複数の水体の例は、プール、池、湖、ストリーム、川、港、海洋または人工の水路を含んでよい。
【0236】
いくつかの実施形態において、水体においての発電のためのボルタセルは2つの電極を含み、1つの電極は、微生物が電極に接触することを防ぐが、イオンが通ることを許容するべく、電極を囲んで半透性膜を有する。膜は、全体で中性またはわずかな電荷を有してよく、電子および/または周囲の培地の複数のアニオンを1つの電極から反発してよい。膜は、また、およそ0.22umより小さいまたはそれに等しい孔直径も有してよい。膜材料の例は、ポリプロピレン、ナイロン、シリカ、または他を含む。膜は、電極の表面に直接取り付けられてよく、または電極を囲むケージにあってもよい。
【0237】
電極は、固体または半固体の形態を含んでよく、プレート、メッシュ、格子、剛毛、泡状物質、クラスタ、乳剤類または他として構造化されてよい。電極表面は、平坦であってよく、小さな斑点で覆われていてよく、曲線的であってよく、円周であってよく、非対称またはその他であってよい。
【0238】
いくつかの実施形態において、電極は、およそ10オングストロームからおよそ10mmの距離を複数の電極間で有する、空間的に離される様式で、配置されてよい。他の実施形態において、電極は、およそ10mmからおよそ0.5mの空間を複数の電極間で有する、空間的に離される様式で配置されてよい。さらに他の実施形態において、電極は、およそ0.5mからおよそ2mまで空間的に離されてよい。いくつかの実施形態において、電極は、静止面に固定されてよい。他の実施形態において、電極は、ワイヤまたは他の伝導性材料によって繋がれてよく、水性の環境において可動であってよい。
【0239】
他の形態において、1つの電極は、電子サイフォンの集団に接触する。場合により、複数の電子サイフォンは、共有結合性、静電のまたは他の力によって電極に取り付けられる。電子サイフォンは、電極表面に取り付けられる、または表面上に直接配置される前に集合で配置されてよい。いくつかの実施形態において、電子サイフォンは、電極表面上に被覆されてよい。コーティングは、一定間隔でまたは一定でない間隔で堆積されてよい。複数の電子サイフォンコーティングは、連続的に加えられてよく、電子サイフォンの第1層が加えられ、異なる電子サイフォンの第2層が加えられてよい。いくつかの実施形態において、電極表面は改良される。いくつかの実施形態において、電極表面は改良される。電極は、電子サイフォン取り付け前に、最初に処理されてよい。処理は、酸処理、熱処理、酸化化学処理または他を含んでよい。いくつかの実施形態において、電極表面は、およそ1―500mM HCl、過塩素酸、ギ酸、酢酸または他で処理されてよい。いくつかの実施形態において、電極表面は、熱で処理されてよい。他の実施形態において、電極表面は、過酸化水素、超酸化物、水酸化塩基類、および他の電極表面の酸化が可能な化学物質で処理されてよい。所望される処理は、電極の電気的伝導能力を中断しない。
【0240】
電極表面処理の一つの目的は、電子サイフォンの取り付けのための反応基を生成することである。電子サイフォンの取り付けに対応し得る電極表面においての反応基の例は、−OH、−SH、−S=O、エポキシド類、−COOH、C=O、−H、−NH、−NHS、−NH2、−NH3、アジド類、フルオロベンゼン類、イミド類等を含む。いくつかの実施形態において、電子サイフォンの処理された電極表面への取り付けは、ファンデルワールス力、静電力または共有結合を通して生じてよい。いくつかの他の実施形態において、取り付けは、結合および複数の力の組み合わせによって円滑化されてよい。電極表面の以下の処理、電極表面の第2処理が実行され、必要に応じて複数の共有結合部分を生成してよく、共有結合によって電子サイフォン付着をさらに容易にしてよい。
【0241】
電子サイフォンは、芳香族アミノ酸類、ベンゼン類、正電荷のアミノ酸類、フェノール化合物、芳香族化合物、鉄硫黄クラスタ、カロチノイド類、色素、タンパク質類、タンパク質フィラメント等を含んでよい。電子サイフォンは、また、grapheme、炭素、金属、半金属、複合物、コロイドまたは他を含む構造化された配置も含んでよい。いくつかの例において、複数の電子サイフォンは、改良されてよい。電子サイフォンの改良は、1または複数の追加の電子サイフォンの取り付けを含んでよい。いくつかの例において、電子サイフォンに対する改良は、ボルタセルにおいてそれらを配置する前に生じてよい。他の例において、電子サイフォン改良は、ボルタセルにおけるそれらの配置に続いて生じてよい。
【0242】
一例において、電子サイフォンの事前の配置の一部分は、芳香族アミノ酸類、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシンまたは他で活性化され改良されてよい。別の例において、電子サイフォンの事前の配置の一部分は、色素で活性化され改良されてよい。別の例において、電子サイフォンの事前の配置の一部分は、PilA、C型シトクロム、OmcZ等で活性化され改良されてよい。
【0243】
電子サイフォンで改良された電極は、複数の微生物を含有する水体から電子を採取してよい。複数の電極の水中への出現は、測定可能な電流を生成し得る。増加した電流は、電子サイフォンで改良された電極と共に生成されてよい。電子サイフォンの使用は、(i)それらは電極の表面積を増加させてよく、(ii)それらは、水体において微生物に接触する部位を提供してよく、(iii)それらは、電子採取の部位を提供してよく、(iv)それらは、動的流体と接触面を取る三次元の面を提供してよく、(v)それらは、機械的な力が加えられる場合に衝撃の固体表面として機能してよい、または他等、複数の目的を果たす。
【0244】
微生物を含む動く水体は、微生物表面と電極との間で衝突頻度を増加させてよい。電子サイフォンを含む電極は、さらに、表面積を増やしてよいことから、微生物と電極との間で生じ得る衝突の数を増加させる。電極における電子サイフォンの最適な数、配置および組成は、水性微生物の膜から電極の面への電子移動をさらに増加させてよい。移動する水体の例は、海洋域、湖、池、ストリーム、および川、ならびにダム、高架橋、送水路、運河または他等の人工水路を含む。
【0245】
一例において、ボルタセルは、2つの電極を含み、そのうち1つは半透性膜で被覆されており、その膜は、(微生物が電極に接触することを避けるべく)およそ0.2μmの排除限界を有する。他の電極は、電子サイフォンで被覆されてよい。電極を含むボルタセルの一部分は、水性の環境に浸される。水性微生物の電極との相互作用は、受動的であるか、または円滑化されてよい。微生物膜から電極への電子移動は、波の作用等の外部の物理的力が加えられる場合に増加され得るレートで生じてよい。微生物表面に加えられる力は、電極における電子サイフォンによって捕捉されてよい追加の電子を取り除いてよい。一例において、ボルタセルは、複数の電極を含み、それのサブセットは、半透性膜で被覆される。それの他のサブセットは、電子サイフォンで改良されてよい。
【0246】
外部の放射を方向付けるための光コンポーネント。
ミラー、レンズ、フィルタ、屈折素子、または他の幾何的光学コンポーネントが、ボルタセルの容器において配置されてよく、またはその容器の外部に配置されて光エネルギーを容器へと反射させるかまたは集中させてよい。いくつかの実施形態において、ミラーは、光合成微生物細胞集団を含有するボルタセルに用いられてよい。ミラーは、光を反射させるかまたは集中させることが可能な反射面を含んでよい。光起電特性を持つボルタセルは、最大の光受容能力のために光を方向付け、光をフォーカスするための2以上のミラーおよび2以上のレンズを含んでよい。
【0247】
レギュレータ。
ボルタセルは、ボルタセルの1または複数の特徴に影響を与えるべく制御コンポーネントを含むレギュレータサブシステムを含んでよい。いくつかの実施形態において、レギュレータサブシステムは、以下の複数の特徴、電子伝導速度、イオン伝導速度、光偏光、還元剤濃度、酸化剤濃度、炭素源濃度、窒素濃度、リン濃度、硫黄濃度、痕跡ミネラル濃度、補因子濃度、キレート剤濃度、pH、電子サイフォン、集光アンテナ濃度、および/または他のボルタセルパラメータの1または複数に影響を及ぼすように用いられる。レギュレータサブシステムは、また、1または複数の特徴を定期的または周期的ベースで、ボルタセルへ/から解放するか、または結合させてよい。レギュレータは、感知された条件に応答して、1または複数の特徴をボルタセルへ/から解放するか、または結合させ、ボルタセル内の1または複数の条件に対する1または複数のフィードバック応答として機能してよい。結合させるまたは解放するための特徴の複数の例は、酸または水素イオン、塩基またはヒドロキシルイオン、または微生物代謝を抑制または強化する他の種を含む。いくつかの実施形態において、レギュレータは、例えば、数分、数時間、数日、または数週間の周期的なベースにおいて、1または複数の種を放出またはスカベンジする。
【0248】
いくつかの実施形態において、レギュレータサブシステムは、1または複数のレギュレータコンポーネントを含んでよい。レギュレータコンポーネントは、以下の、センサ、ポンプ、インジェクタ、容器、またはフィードバックシステムにおける他のコンポーネントの1または複数を含んでよい。レギュレータは、電力、電流、電圧、抵抗、pH、還元電位、酸化電位、栄養物濃度、廃棄物濃度、光学密度、屈折率、吸光度、光度、温度、粘性、イオン性強度、および同様のものを含むがそれらに限定されないボルタセルの1または複数の特徴を監視してよい。
【0249】
いくつかの実施形態において、レギュレータサブシステムは、1または複数のセンサを含んでよい。センサは、緩衝材、微生物集団の生産物、集光アンテナ集団の生産物、および/またはボルタセルの伝導性端子電子受容体集団の生産物の条件を監視してよい。センサが実行し得る感知の例は、pH、還元剤濃度、酸化剤濃度、酸化還元電位、電圧、電流、抵抗、電力出力、電流、粘性、混濁度、気体濃度、圧力、温度、アミノ酸濃度、ミネラル濃度、炭素濃度、気体濃度または他を含んでよいがそれらに限定されなくてよい。いくつかの実装において、レギュレータサブシステムは、ボルタセルにおいて複数のパラメータを自動的に調節するフィードバックシステムとして実装されるであろう。いくつかの実装において、レギュレータシステムは、セルパラメータが感知された場合、通知またはアラームを提供する。そのような通知またはアラームは、プロセス管理者またはボルタセルの動作を監視する、および/または補正する責任のある他の人による観察のための計算システムにおいて示されてよい。
【0250】
例
例1
光変換システムは、好熱性光合成混合微生物集団を集光アンテナコンポーネント集団として含む。
【0251】
混合微生物集団が、光変換システムに用いるための集光アンテナコンポーネント集団として、本明細書において提示される。混合微生物集団は、光変換システムにおいて最適なシナジーを有する、クロマチウム属を一部分、クロロフレクサス属を一部分、ロゼイフレクサス属を一部分、およびポルフィロバクター属を一部分だけ含む。複数の微生物は、標準の技法を用いて別々に培養され、次に緩衝電解質溶液においての希釈の前に複数のストック濃度へと混合され、それは、調製された光変換システムに試料インレットポートを介して投与する準備が整っている。
【0252】
クロマチウム属は、光合成細菌属クロマチウムに属し、それは、複数の環境に生息し得る。クロマチウムテピダムの種は、高いG‐Cグラム陰性の棒形状の光合成好熱性細菌である。この生物は、摂氏48−50度の最適な温度で、光独立栄養で成長し、硫化物を電子供与体として使用する。上記細菌は、生物の膜部分に位置しているバクテリオクロロフィルa
pおよびカロチノイドロドビブリンおよびスピリロキサンチン類を合成する。
【0253】
クロロフレクサス属は、緑色非硫黄性細菌の複数のメンバーである。クロロフレクサスオーランティアカスは、摂氏54−57度の最適な成長温度を持つフィラメント状の好熱性酸素非発生型の光従属栄養細菌であるが、摂氏70度越える複数の温度で成長し得る。さらに、C.オーランティアカスは、必要な場合、酸素の存在のもとで生き残ることができ、無機炭素を固定させることができる。C.オーランティアカスは、生物の膜部分に位置しているバクテリオクロロフィルaおよびバクテリオクロロフィルcを合成する。
【0254】
ロゼイフレクサス属は、光合成緑色非硫黄性の細菌の複数のメンバーである。ロゼイフレクサス属は、非分岐の多細胞フィラメント状好熱細菌であり、最適な成長温度は、摂氏45―55度に及ぶ範囲にある。多くのロゼイフレクサス属は、バクテリオロドプシン類およびバクテリオクロロフィルa、ガンマカロチン誘導体を光色素として、それらの膜部分において合成する。
【0255】
ポルフィロバクターテピダリウス(porphyrobacter tepidarius)は、適度に好熱性好気性従属栄養性であり、摂氏40から48度の最適な成長温度を有し、複数の有機炭素源を成長に使用する光合成細菌である。上記細菌は、OHベータカロテン硫酸誘導体、ノストキサンチン(nostozanthin)およびバクテリオルビキサンチナールを光吸収色素として合成する。
【0256】
例2
集光アンテナコンポーネント集団として緑色硫黄細菌から隔離されたFenna−Matthews−Olson色素タンパク質複合体を含む膜を含む光変換システム
【0257】
光合成微生物は、それらの膜において構造的タンパク質と並列された複数の色素のネットワークを使用し、供与体分子から電子を生成し採取するべく光エネルギーを使用する。殆どの微生物において、電子が色素タンパク質複合体を通って移動することからエネルギーが失われる。緑色硫黄細菌において、システム(Fenna−Matthews−Olson複合体と称される)を介した電子通路の効率は高く、電子移動プロセスにおいてエネルギーはほとんど失われない。
【0258】
標準方法(Wahlund,1991 Buttner, 1992)によって嫌気性条件のもとで培養された緑色硫黄細菌から調製された膜を含む光変換システムが、本明細書において提示される。膜は、次に、無酸素条件のもとで加圧型細胞破壊装置(French press)によって調製され、膜に関連する色素および構造的タンパク質複合体の集光性の性質を保持する。復元された膜含有量は、次に、緩衝電解質溶液と混合され、次に、調製された光変換システムに試料インレットポートを介して投与される。
【0259】
例3
改良された単一壁のカーボンナノチューブを伝導性ナノスケールコンポーネントとして含む光変換システム
【0260】
シトクロム複合体(Cyt c)は、シトクロムcタンパク質ファミリーに属する小さいヘムタンパク質(100−104アミノ酸)である。シトクロムcは、大腸菌(E.coli)において良好に過剰に発現させられており、従来の精製方法(Jeng,2002)によって精製された非常に溶けやすいタンパク質である。シトクロムcは、普通、哺乳類のミトコンドリア膜、植物および多くの微生物の重要なコンポーネントである。シトクロムcは、電子伝達鎖の本質的なコンポーネントであることから、かなりの酸化還元ポテンシャル(0.246ボルト)および電子伝達能力を有する。
【0261】
本明細書において、集光アンテナコンポーネント集団からの電子スカベンジ作用のためのバイオセーフな接触面を生成するべく、組換えシトクロムcと非対称に官能化(functionalized)された複数の単一壁のカーボンナノチューブ(SWNT)を含む光変換システムが、提示される。複数のSWNTは、ジアゾニウム塩類をSWNTの一部分に散布し、カルボン酸部分を生成することによって、官能化のために調製される。EDCは、次に、SWNTに加えられ、−COOH部分を活性化し、スルホ‐NHSの存在において安定化する。スルホ‐NHSは、次に、シトクロムcの面リジン残基における主要なアミンによって、消滅の前に(Lerner,2013からの方法に基づいて)置き換えられる。SWNTのシトクロムc官能化のための最大の電子スカベンジ作用活性度に対する条件は、SWNT特有の活性部位とシトクロムcの1−2リジン残基との間で共有結合を生成し、残りのリジン残基を電子結合特性を調整するように保持することにある。
【0262】
シトクロムc官能化されたSWNTのむき出しの端部は、SWNTのシトクロムcが濃縮された端部が集光アンテナコンポーネント集団と直接相互作用することを可能にするべく、シトクロムcが濃縮された端部が外側に面している方向を有することを可能にする様式において、バックプレートに直接加えられる。
【0263】
例4
電流を通すために用いられる合成の伝導性および/または半導電性材料は、生体細胞に好ましくなくてもよい。
図19の例において、汽水性の水源から隔離された光合成および非光合成微生物の集団は、イオン緩衝システムと混合されて、次に、取り外し可能な蓋があるクリアなポリエチレン容器の中へ導入された。容器の内側に置かれていたのは、伝導性銅プレートおよび熱処理された伝導性酸化銅プレートであって、各プレートの面は互いに平行であり、微生物集団/緩衝系に関して鉛直に配置されていた。両方の伝導性金属プレートの複数の部分が、微生物集団/緩衝系(0.25インチ)において浸され、残りの部分は空気に露出された。微生物集団の容器への導入の直後のセルによって生成された電圧および電流の測定値は、時間0で0であった。セルは、次に、一定の白色光に露出され、電圧および電流の量は、1時間まで一定間隔で測定され、電圧計および電流計によって15分毎に測定された。1時間で、改良されていない合成カーボンナノチューブが変換セルに加えられ、電流および電圧においての低下が、変換セルの緩衝材の面上の溶解微生物破片屑の発生と同時に測定された。この例は、改良されたナノチューブが生物学的に安全な電子サイフォンを供給するために必要であることを示唆する。
【0264】
例5
さらに、
図20において、汽水性の水源から隔離された光合成および非光合成微生物の集団が、イオン緩衝システムと混合され、次に、取り外し可能な蓋があるクリアなポリエチレン容器の中へ導入された。容器の内側に置かれたのは、伝導性銅プレートおよび熱処理された伝導性酸化銅プレートであって、各プレートの面は、互いに平行であり、微生物集団/緩衝系に関して鉛直に配置された。両方の伝導性金属プレートの複数の部分が微生物集団/緩衝系に浸され(0.25インチ)、残りの部分は空気に露出された。微生物集団の容器への導入の直後にセルによって生成された電圧および電流の測定が、時間0で表される。セルは、次に、一定の白色光に露出され、電圧および電流の量が一定間隔で測定された。4時間で、生物学的に対応するエルアルギニン改良の複数の単一壁のカーボンナノチューブは、エネルギー変換セルにおいて微生物集団に導入され(701)、検出可能な電圧および電流の顕著な増加をもたらした。5時間で、光が消され(703)、結果として変換セルによって生成される電力が減少したが、夜間の数時間を過ぎて基準レベルに戻らず、エネルギー変換セルが非光合成微生物代謝から電力を生成したことを示唆した。
【0265】
前述のものは、理解を容易にするべくいくらか詳細に説明されたが、複数の説明された実施形態は、例示的であると見なされるが、限定しているとはみなされない。特定の変更および改良が、添付の請求項の範囲内で実施され得ることは、当業者にとって明らかであるだろう。