(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のシステムでは、気象予報データの精度に依存することなる。また、気象予報データの配信は、ある程度の時間(例えば、数時間)間隔をおいて更新されることが一般的である。従って、従来の予想システムでは、気象予報データの精度および配信の時間間隔によって発電量の予測精度が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、精度よく発電電力を予測することができる発電電力予測装置、サーバ、前記発電電力予測装置を実現するためのコンピュータプログラム及び発電電力予測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態に係る発電電力予測装置は、太陽光発電の発電予測データを提供する発電予測装置であって、複数の地点に設置された発電設備に係る時系列の実測発電電力を含む発電情報を取得する発電情報取得部と、前記複数の地点に係る気象情報を取得する気象情報取得部と、前記発電情報取得部で取得した発電情報及び前記気象情報取得部で取得した気象情報を記憶する記憶部と、予測対象地点及び予測対象時間を含む予測パラメータを決定する予測パラメータ決定部と、前記記憶部に記憶した発電情報及び気象情報並びに前記予測パラメータ決定部で決定した予測パラメータに基づいて、所定のニューラルネットワークモデルへの予測用入力データを生成する予測用入力データ生成部と、該予測用入力データ生成部で生成した予測用入力データ及び前記ニューラルネットワークモデルに基づいて、予測出力データを生成する予測出力データ生成部と、該予測出力データ生成部で生成した予測出力データに基づいて前記予測対象地点及び予測対象時間での予測発電電力を算出する予測発電電力算出部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の実施の形態に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、太陽光発電の発電予測データを提供させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、複数の地点に設置された発電設備に係る時系列の実測発電電力を含む発電情報を取得する発電情報取得部と、前記複数の地点に係る気象情報を取得する気象情報取得部と、取得した発電情報及び気象情報を記憶する記憶部と、予測対象地点及び予測対象時間を含む予測パラメータを決定する予測パラメータ決定部と、記憶した発電情報及び気象情報並びに決定した予測パラメータに基づいて、所定のニューラルネットワークモデルへの予測用入力データを生成する予測用入力データ生成部と、生成した予測用入力データ及び前記ニューラルネットワークモデルに基づいて、予測出力データを生成する予測出力データ生成部と、生成した予測出力データに基づいて前記予測対象地点及び予測対象時間での予測発電電力を算出する予測発電電力算出部として機能させることを特徴とする。
【0009】
本発明の実施の形態に係る発電電力予測方法は、太陽光発電の発電予測データを提供する発電予測方法であって、複数の地点に設置された発電設備に係る時系列の実測発電電力を含む発電情報を発電情報取得部が取得し、前記複数の地点に係る気象情報を気象情報取得部が取得し、取得された発電情報及び気象情報を記憶部に記憶し、予測対象地点及び予測対象時間を含む予測パラメータを予測パラメータ決定部が決定し、前記記憶部に記憶した発電情報及び気象情報並びに決定された予測パラメータに基づいて、所定のニューラルネットワークモデルへの予測用入力データを予測用入力データ生成部が生成し、生成された予測用入力データ及び前記ニューラルネットワークモデルに基づいて、予測出力データを予測出力データ生成部が生成し、生成された予測出力データに基づいて前記予測対象地点及び予測対象時間での予測発電電力を予測発電電力算出部が算出することを特徴とする。
【0010】
発電情報取得部は、複数の地点に設置された発電設備に係る時系列の実測発電電力を含む発電情報を取得する。発電情報には、実測発電電力の他に、例えば、発電設備に係る設備情報、発電設備の発電電力を計測する計測ユニットに係る計測ユニット情報、発電設備の位置情報を含めることができる。
【0011】
気象情報取得部は、複数の地点に係る気象情報を取得する。気象情報は、複数の地点それぞれにおいて時間経過とともに気象予報事業者などによって提供され、過去の実測の気象情報及び将来の気象情報の予報を含む。気象情報も、実測発電電力と同様の時系列データである。
【0012】
予測パラメータ決定部は、予測対象地点及び予測対象時間を含む予測パラメータを決定する。予測対象地点は、発電設備が設置された地点でもよく、発電設備が将来設置される地点でもよい。発電電力を予測する発電設備の位置が予測対象地点であり、どの時間での発電電力を予測するかを特定するのが予測対象時間である。
【0013】
予測用入力データ生成部は、記憶部に記憶した発電情報及び気象情報並びに予測パラメータ決定部で決定した予測パラメータに基づいて、所定のニューラルネットワークモデルへの予測用入力データを生成する。ニューラルネットワークは、入力層、出力層及び複数の中間層から構成されている。予測用入力データ生成部は、入力層のノードの数(入力層のサイズ)と同じサイズのベクトル形式の予測用入力データを生成する。
【0014】
予測出力データ生成部は、予測用入力データ生成部で生成した予測用入力データ及びニューラルネットワークモデルに基づいて、予測出力データを生成する。予測出力データ生成部は、ニューラルネットワークの出力層であり、出力層のノードの数(出力層のサイズ)と同じサイズのベクトル形式の予測出力データを生成する。
【0015】
予測発電電力算出部は、予測出力データ生成部で生成した予測出力データに基づいて予測対象地点及び予測対象時間での予測発電電力を算出する。例えば、出力層の数を1、2、…Nとし、予測出力データ生成部が生成する予測出力データを、y1、y2、…yNとする。予測発電電力算出部は、予測出力データy1、y2、…yk、…yNに基づいて予測発電電力を算出する。例えば、yk=1であり、他の予測出力データが0である場合、予測発電電力算出部は、ykに基づいて予測発電電力を算出する。
【0016】
上述のように、複数の地点における実測の発電電力の時系列データ及び実測の気象情報の時系列データを、ニューラルネットワークの予測用入力データとするので、任意の予測対象地点及び予測対象時間での発電電力を精度よく予測することができる。
【0017】
本発明の実施の形態に係る発電電力予測装置は、前記予測用入力データ生成部は、前記予測対象時間より前の所定の期間での各発電設備に係る時系列の実測発電電力及び各発電設備の位置情報を含む予測用入力データを生成することを特徴とする。
【0018】
予測用入力データ生成部は、予測対象時間より前の所定の期間での各発電設備に係る時系列の実測発電電力及び各発電設備の位置情報を含む予測用入力データを生成する。なお、時間は時点又は時間帯を意味する。時間を時系列的に単位時間(例えば、分)毎にt1、t2、t3、…と一義的に表すとする。例えば、予測対象時間をt1140とすると、予測対象時間t1140より前の所定の期間として、t1060〜t1090の如く、単位時間(例えば、分)80ステップ前から50ステップ前までの期間とすることができる。すなわち、予測用入力データは、時間t1060〜t1090での各発電設備に係る時系列の実測発電電力を含む。なお、期間の長さを長くすれば、予測用入力データのデータ数が増えるので、発電電力の予測精度は高くなる。
【0019】
上述の構成により、所定の期間での各発電設備での実測の発電電力の時系列データを用いて、当該所定の期間よりも後の予測対象時間における予測対象地点での発電電力を精度よく予測することができる。
【0020】
本発明の実施の形態に係る発電電力予測装置は、前記予測用入力データ生成部は、前記複数の地点に係る前記所定の期間での実測の気象情報を含む予測用入力データを生成することを特徴とする。
【0021】
予測用入力データ生成部は、複数の地点に係る所定の期間での実測の気象情報を含む予測用入力データを生成する。例えば、予測対象時間をt1140とすると、予測対象時間t1140より前の所定の期間として、t1060〜t1090の如く、単位時間(例えば、分)80ステップ前から50ステップ前までの期間とすることができる。すなわち、予測用入力データは、時間t1060〜t1090での実測の気象情報を含む。なお、期間の長さを長くすれば、予測用入力データのデータ数が増えるので、発電電力の予測精度は高くなる。
【0022】
上述の構成により、所定の期間での複数の地点での実測の気象情報の時系列データを用いて、当該所定の期間よりも後の予測対象時間における予測対象地点での発電電力を精度よく予測することができる。
【0023】
本発明の実施の形態に係る発電電力予測装置は、前記予測用入力データ生成部は、前記予測対象地点及び予測対象時間での予測の気象情報を含む予測用入力データを生成することを特徴とする。
【0024】
予測用入力データ生成部は、予測対象地点及び予測対象時間での予測の気象情報を含む予測用入力データを生成する。予測対象地点及び予測対象時間での予測の気象情報を予測用入力データに含めることにより、発電電力を精度よく予測することができる。
【0025】
本発明の実施の形態に係る発電電力予測装置は、前記予測出力データ生成部は、発電電力の範囲を複数の区分に分けた該区分毎に予測出力データを生成することを特徴とする。
【0026】
予測出力データ生成部は、発電電力の範囲を複数の区分に分けた当該区分毎に予測出力データを生成する。ニューラルネットワークの出力層のノード数をNとすると、発電電力の範囲をN個の区分に分ける。例えば、50kWの電力を50区分で分けた場合、1kW単位で0kWから50kWまでの発電電力を出力データとして扱うことができる。これにより、発電電力を区分単位で予測することができる。なお、発電電力の範囲は50kWに限定されるものではない。また、区分数も50に限定されない。
【0027】
本発明の実施の形態に係る発電電力予測装置は、前記予測発電電力算出部は、前記複数の区分毎に定められた代表値及び該区分毎に生成された予測出力データに基づいて予測発電電力を算出することを特徴とする。
【0028】
予測発電電力算出部は、複数の区分毎に定められた代表値及び区分毎に生成された予測出力データに基づいて予測発電電力を算出する。50kWの電力を50区分で分けた場合に、区分1を0kW以上1kW未満とし、区分2を2kW以上3kW未満とし、以下、同様に区分3…区分50の範囲を定める。代表値は、各区分での中央値とすることができる。例えば、区分1の中央値は0.5kWとし、区分2の中央値は1.5kWとし、以下同様に定めることができる。区分iの中央値をmiと表す。また、区分1の予測出力データをy1とし、区分2の予測出力データをy2とし、以下、同様に区分Nの予測出力データをyNとする。区分iの予測出力データをyiと表す。
【0029】
予測発電電力算出部は、W={Σ(yi×mi)}/Σyiという式で予測発電電力Wを算出する。例えば、区分20(範囲:19kW以上20kW未満、中央値:19.5kW)の予測出力データy20=1であり、他の予測出力データが全て0であるとすると、予測発電電力Wは19.5kWとなる。これにより、ニューラルネットワークの出力層から出力される出力データの強さ(区分毎の確率と解釈することができる)に応じた発電電力を算出することができる。
【0030】
本発明の実施の形態に係る発電電力予測装置は、学習対象地点及び学習対象時間を含む学習パラメータを決定する学習パラメータ決定部と、前記記憶部に記憶した発電情報及び気象情報並びに前記学習パラメータ決定部で決定した学習パラメータに基づいて、前記ニューラルネットワークモデルの学習用入力データを生成する学習用入力データ生成部と、前記学習パラメータ決定部で決定した学習パラメータに基づいて、前記ニューラルネットワークモデルの学習用出力データを生成する学習用出力データ生成部と、前記学習用入力データ生成部で生成した学習入力データ及び前記学習用出力データ生成部で生成した学習用出力データに基づいて前記ニューラルネットワークモデルの学習処理を行う学習処理部とを備えることを特徴とする。
【0031】
学習パラメータ決定部は、学習対象地点及び学習対象時間を含む学習パラメータを決定する。学習パラメータは、ニューラルネットワークの学習及び更新のために用いられる予測パラメータである。学習対象地点は、発電設備が設置された地点でもよく、発電設備が将来設置される地点でもよい。発電電力を予測する発電設備の位置が学習対象地点であり、どの時間での発電電力を予測するかを特定するのが学習対象時間である。
【0032】
学習用入力データ生成部は、記憶部に記憶した発電情報及び気象情報並びに学習パラメータ決定部で決定した学習パラメータに基づいて、ニューラルネットワークモデルの学習用入力データを生成する。学習用入力データは、ニューラルネットワークの学習及び更新のために用いられる入力データであり、学習用入力データ生成部は、入力層のノードの数(入力層のサイズ)と同じサイズのベクトル形式の学習用入力データを生成する。
【0033】
学習用出力データ生成部は、学習パラメータ決定部で決定した学習パラメータに基づいて、ニューラルネットワークモデルの学習用出力データを生成する。学習用出力データは、ニューラルネットワークの出力データとして期待される出力値の分布を定める。学習用出力データ生成部は、出力層のノードの数(出力層のサイズ)と同じサイズのベクトル形式の学習用出力データを生成する。
【0034】
学習処理部は、学習用入力データ生成部で生成した学習入力データ及び学習用出力データ生成部で生成した学習用出力データに基づいてニューラルネットワークモデルの学習処理を行う。学習入力データに基づいてニューラルネットワークが出力した出力データをy1、y2、…yNとする。また、ニューラルネットワークの出力データとして期待される出力値をz1、z2、…zNとする。学習処理部は、ニューラルネットワークが出力した出力データ及び期待される出力値を変数とする誤差関数によって誤差が最小となるように、ニューラルネットワークのノード間の結合の重みを最適化する。
【0035】
上述のように、複数の地点における実測の発電電力の時系列データ及び実測の気象情報の時系列データ並びに学習対象地点及び学習対象時間を含む学習パラメータを、ニューラルネットワークの学習用入力データとして用いてニューラルネットワークの学習及び更新を行うので、任意の予測対象地点及び予測対象時間での発電電力を精度よく予測することができる。
【0036】
本発明の実施の形態に係る発電電力予測装置は、前記学習用入力データ生成部は、前記学習対象時間より前の所定の期間での各発電設備に係る時系列の実測発電電力及び各発電設備の位置情報を含む学習用入力データを生成することを特徴とする。
【0037】
学習用入力データ生成部は、学習対象時間より前の所定の期間での各発電設備に係る時系列の実測発電電力及び各発電設備の位置情報を含む学習用入力データを生成する。例えば、学習対象時間をt110とすると、学習対象時間t110より前の所定の期間として、t30〜t60の如く、単位時間(例えば、分)80ステップ前から50ステップ前までの期間とすることができる。すなわち、学習用入力データは、時間t30〜t60での各発電設備に係る時系列の実測発電電力を含む。なお、期間の長さを長くすれば、学習用入力データのデータ数が増えるので、発電電力の予測精度は高くなる。
【0038】
上述の構成により、所定の期間での各発電設備での実測の発電電力の時系列データを用いて、当該所定の期間よりも後の予測対象時間における予測対象地点での発電電力を精度よく予測するためのニューラルネットワークの学習及び更新を行うことができる。
【0039】
本発明の実施の形態に係る発電電力予測装置は、前記学習用入力データ生成部は、前記複数の地点に係る前記所定の期間での実測の気象情報を含む学習用入力データを生成することを特徴とする。
【0040】
学習用入力データ生成部は、複数の地点に係る所定の期間での実測の気象情報を含む学習用入力データを生成する。例えば、学習対象時間をt110とすると、学習対象時間t110より前の所定の期間として、t30〜t60の如く、単位時間(例えば、分)80ステップ前から50ステップ前までの期間とすることができる。すなわち、学習用入力データは、時間t30〜t60での実測の気象情報を含む。なお、期間の長さを長くすれば、学習用入力データのデータ数が増えるので、発電電力の予測精度は高くなる。
【0041】
上述の構成により、所定の期間での複数の地点での実測の気象情報の時系列データを用いて、当該所定の期間よりも後の予測対象時間における予測対象地点での発電電力を精度よく予測するためのニューラルネットワークの学習及び更新を行うことができる。
【0042】
本発明の実施の形態に係る発電電力予測装置は、前記学習用入力データ生成部は、前記学習対象地点及び学習対象時間での実測の気象情報を含む学習用入力データを生成することを特徴とする。
【0043】
学習用入力データ生成部は、学習対象地点及び学習対象時間での実測の気象情報を含む学習用入力データを生成する。学習対象地点及び学習対象時間での実測の気象情報を学習用入力データに含めることにより、発電電力を精度よく予測するためのニューラルネットワークの学習及び更新を行うことができる。
【0044】
本発明の実施の形態に係る発電電力予測装置は、前記学習用出力データ生成部は、前記学習対象地点に近い地点に設置された発電設備に係る実測発電電力を含む学習用出力データを生成することを特徴とする。
【0045】
学習用出力データ生成部は、学習対象地点に近い地点に設置された発電設備に係る実測発電電力を含む学習用出力データを生成する。学習対象地点が、発電設備が設置された地点である場合には、学習対象地点を当該地点とすることができる。また、学習対象地点が、発電設備が設置された複数の地点のいずれとも離れている場合には、当該複数の地点のうち学習対象地点に最も近い地点を学習対象地点とすることができる。学習対象地点に近い地点に設置された発電設備に係る実測発電電力を学習用出力データに含めることにより、発電電力を精度よく予測するためのニューラルネットワークの学習及び更新を行うことができる。
【0046】
本発明の実施の形態に係る発電電力予測装置は、前記気象情報は、天気、天気の移り変わり、雲量及び日射の少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【0047】
気象情報は、天気、天気の移り変わり、雲量及び日射の少なくとも一つを含む。天気は、例えば、「晴」、「曇」、「晴時々曇」、「曇一時晴」などである。天気の移り変わりは、例えば、「晴後曇」、「曇後晴」などである。雲量は、空の全天に占める雲の割合である。日射は、例えば、単位面積あたりの日射強度(kW/m
2 )、単位時間・単位面積あたりの日射量(kWh/m
2 )などである。これにより、太陽光発電の発電電力の多少に影響を与える要因を考慮することができる。
【0048】
本発明の実施の形態に係る発電電力予測装置は、前記発電情報は、前記発電設備の定格発電容量を含むことを特徴とする。
【0049】
発電情報は、発電設備の定格発電容量を含む。定格発電容量は、発電出力の定格値である。これにより、発電設備の発電出力の定格値の大小に関わらず、発電電力を精度よく予測することができる。
【0050】
本発明の実施の形態に係るサーバは、太陽光発電に係る事業者から発電設備に係る発電データを取得する発電データ取得部と、該発電データ取得部で取得した発電データに基づいて、太陽光発電に関する第1情報を所定の第1価格条件で前記事業者のコンピュータへ出力する出力部と、前記事業者から前記第1価格条件よりも高額の第2価格条件での情報提供要求を受け付けた場合、本発明の実施の形態に係る発電予測装置による発電予測データを含む第2情報を、前記第2価格条件で前記事業者のコンピュータへ出力する出力部とを備えることを特徴とする。
【0051】
発電データ取得部は、太陽光発電に係る事業者から発電設備に係る発電データを取得する。事業者は、例えば、発電所事業者、あるいはO&M(Operation & Maintenance)事業者である。発電データは、事業者のコンピュータから取得することができる。
【0052】
出力部は、発電データ取得部で取得した発電データに基づいて、太陽光発電に関する第1情報を所定の第1価格条件で事業者のコンピュータへ出力する。第1情報は、例えば、カレンダー機能(例えば、保守点検のスケジュール、天気予報などを記載)に関する情報、保守点検管理機能(点検表の出力、保存、管理など)に関する情報または発電量の管理機能に関する情報などの基本サービスに係る情報を含む。第1価格条件は、例えば、無料とすることができる。
【0053】
出力部は、事業者から第1価格条件よりも高額の第2価格条件での情報提供要求を受け付けた場合、本実施の形態の発電予測装置による発電予測データを含む第2情報を、第2価格条件で事業者のコンピュータへ出力する。第2価格条件は、例えば、有料とすることができる。情報提供要求は、例えば、有料のオプション機能(インテリジェンス機能)を要求することを含む。
【0054】
上述の構成により、太陽光発電に係る事業者に対して太陽光発電に関する基本サービスを無償で提供しつつ、事業者から発電設備に係る発電データを取得することができ、発電設備に係る発電データを、いわゆるビッグデータとして収集することが可能になる。収集したビッグデータ(発電データ)を用いて発電予測装置のニューラルネットワークの学習及び更新を行うことができ、発電予測装置の発電電力の予測精度を高めることができる。さらに、有料オプションを使用したい事業者に対しては、機械学習によって精度が高められた発電予測に関するサービスを提供することができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、精度よく発電電力を予測することができる。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
図1は本実施の形態の発電所10及び発電監視システム20の構成の一例を示すブロック図である。発電所10と発電監視システム20との間はインターネットなどの通信回線30で接続されている。また、発電監視システム20と後述の発電予測装置との間もインターネットなどの通信回線31で接続されている。なお、
図1では、発電所10及び発電監視システム20をそれぞれ一つだけ図示しているが、発電所10及び発電監視システム20の数は一つに限定されない。また、一つの発電監視システム20が複数の発電所10と接続されている構成でもよい。
【0058】
発電所10は、発電設備としての太陽光発電所であり、太陽光発電パネル11、インバータ12、集電盤13、計測ユニット14及び通信ユニット15などを備える。インバータ12は、太陽光発電パネル11が出力する直流を交流に変換する。太陽光発電パネル11及びインバータ12は、複数の系統毎に設けられている。集電盤13は、各系統で得られた電力を集電する。計測ユニット14は、集電盤13で集められた発電電力情報などを計測し、数値または文字列に変換する。計測ユニット14が計測対象とする設備は、集電盤13の前段に配置されている太陽光発電パネル11及びインバータ12となる。各発電所10は、1台の計測ユニット14を備える。通信ユニット15は、計測ユニット14が出力する計測ユニット情報及び発電電力情報などの情報を発電監視システム20へ送信する。
【0059】
発電監視システム20は、通信部21、処理部22、データベース23、処理部24及び通信部25などを備える。通信部21は、発電所10の通信ユニット15が送信する情報を受信する。処理部22は、通信部21で受信した情報をデータベース23に登録する処理を行う。データベース23は、発電所の発電情報を記憶する。
【0060】
図2は発電所の発電情報の一例を示す説明図である。
図2の例では、二箇所の発電所の発電情報を例示している。
図2に示すように、発電情報は、時間情報、計測ユニット情報及び発電電力情報(実測発電電力)などで構成されている。発電情報は、時間情報、計測ユニット情報及び発電電力情報などを一定の時間ごとに定期または不定期に計測し記録した情報である。
【0061】
時間情報は、一義的に定まる時点または時間帯を示す数値または文字列である。例えば、文字列「2016年1月」(年月)、文字列「2016年5月23日午前」(日付および時間帯)、文字列「2016−05−23T11:00:01」(日付および秒単位時間)、または数値「16101」(2016年1月1日0時0分0秒を起点とした経過ミリ秒数)などを含む。
図2の例では、時間情報を符号t1、t2などで表す。
【0062】
計測ユニット情報は、計測ユニット14を一意に示す数値または文字列である。
図2の例では、計測ユニット情報を符号u1、u2などで表す。
【0063】
発電電力情報は、直流・交流の瞬時発電電力、発電電力量または発電電力の強さを示す数値または文字列である。例えば、数値「2」(パルス式電力量計の単位時間あたりのパルス数)、数値「15.0」(kW単位を出力する電力計における計測値)、数値「20.01」(kWh)、文字列「10kW未満」または文字列「10kWh以上20kWh未満」などを含む。
図2の例では、発電電力情報を符号p1−1、p1−2、p2−1、p2−2などで表す。
【0064】
処理部24は、データベース23から発電情報を読み出す。通信部25は処理部24が読み出した発電情報を発電予測装置へ送信する。
【0065】
図3は本実施の形態の発電予測装置50の構成の一例を示すブロック図である。発電予測装置50は、インターネットなどの通信回線を介して、複数の発電監視システム20、20、…、気象予報事業者40(正確には、気象予報事業者のサーバ等)に接続されている。
【0066】
図3に示すように、発電予測装置50は、通信部51、登録部52、記憶部としてのデータベース53、処理部54及び外部のサーバ等との通信を行う通信部55などを備える。また、処理部54は、入力データ生成部541、パラメータ決定部542、ニューラルネットワークモデル部543、予測発電電力算出部544、学習処理部545及び学習データ生成部546などを備える。
【0067】
データベース53は、発電情報53a、発電所詳細情報53bおよび気象状態情報53cなどを記憶する。発電情報53a、発電所詳細情報53bおよび気象状態情報53cの詳細は後述する。
【0068】
通信部51は、発電情報取得部としての機能を有し、複数の地点に設置された発電所10(発電設備)に係る時系列の実測発電電力を含む発電情報を取得する。また、通信部51は、気象情報取得部としての機能を有し、複数の地点に係る気象情報を取得する。
【0069】
登録部52は、通信部51が取得(受信)した各種の情報をデータベース53に登録する。
【0070】
図4は発電情報53aの一例を示す説明図である。
図4に示すように、発電情報は、発電所情報、時間情報、計測ユニット情報および発電電力情報などで構成される。発電情報は、発電所情報、時間情報、計測ユニット情報および発電電力情報などの情報を一定の時間ごとに定期・不定期に取得し記録した情報である。発電情報は、各発電監視システム20が送信した各発電所10の発電情報に発電所情報を付加した情報である。発電所情報は、発電所10を一意に示す数値または文字列である。
図4の例では、発電所情報を符号s1、s2などで表す。
【0071】
図5は発電所詳細情報53bの一例を示す説明図である。
図5に示すように、発電所詳細情報は、発電所情報、計測ユニット情報、設備情報および位置情報などで構成される。設備情報は、太陽光発電パネル11およびインバータ12などの設備に関する情報である。設備情報には、例えば、太陽光発電パネル11の台数、製造者、型式、定格容量及び定格容量合計並びにインバータ12の台数、製造者、型式、定格容量及び定格容量合計などの情報を含む。なお、設備情報を設備容量と設備種別値とに分けることもできる。設備情報は、設備を一意に示す数値または文字列である。
図5の例では、設備情報を符号e1、e2などで表す。
【0072】
位置情報は、発電所の位置を数値または文字列で表記した情報である。位置情報は、緯度及び経度で表記してもよく、あるいは市、郡または町などの地域を示す文字列で表記してもよい。
図5の例では、位置情報を符号l1、l2などで表す。
【0073】
図6は気象状態情報53cの一例を示す説明図である。
図6に示すように、気象状態情報53cは、位置情報、時間情報および気象情報などで構成される。気象情報は、特定の時間及び位置における気象を数値または文字列で表記した情報である。気象情報は、その位置が近い気象台や発電所10における天気、天気の移り変わり、雲量及び日射の少なくとも一つを含む。天気、天気の移り変わり、雲量及び日射などを纏めて気象とも称する。気象情報は、過去の実測の気象情報及び将来の気象情報の予報を含む。
【0074】
図6の例では、位置情報l1および時間情報t1における気象情報をw1−1で表している。同様に、位置情報l1および時間情報t2における気象情報をw1−2で表している。また、位置情報l2および時間情報t1における気象情報をw2−1で表している。同様に、位置情報l2および時間情報t2における気象情報をw2−2で表している。以下、具体例で説明する。
【0075】
図7は複数の発電所10が設置された位置での気象の時間的変化と各発電所10での発電電力との関係を模式的に示す説明図である。上段の図は複数の発電所の位置と気象の時間的変化の様子を示し、下段の図は発電電力の時間的推移の一例を示す。なお、便宜上、二つの発電所s1、s2(丸で囲まれた数字で示す)について説明する。二つの発電所s1、s2の位置をそれぞれl1、l2とする。
【0076】
上段の左側の図は、時間t1における気象の状態を示す、発電所s1の位置l1での気象をw1−1で示し、発電所s2の位置l2での気象をw2−1で示す。気象w1−1は「曇」であり、気象w2−1は「晴」である。
【0077】
上段の右側の図は、時間t1より後の時間t2における気象の状態を示す、発電所s1の位置l1での気象をw1−2で示し、発電所s2の位置l2での気象をw2−2で示す。気象w1−2は「晴時々曇」であり、気象w2−2は「曇一時晴」である。
【0078】
上段の図に示すように、時間t1においては、発電所s1の位置での気象は「曇」であるため、発電所s1の発電電力は時間t1およびその付近で低下している。また、時間t2においては、発電所s2の位置での気象は「曇一時晴」であるため、発電所s2の発電電力は時間t2およびその付近で低下している。
【0079】
上述のように、気象情報は、気象を示す文字列(例えば、「曇」、「晴」、「晴時々曇」および「曇一時晴」など)で表記することができる。また、気象情報は、気象を示すコード値で表記することもできる。例えば、「曇」、「晴」、「晴時々曇」および「曇一時晴」を、それぞれ「3」、「1」、「2」および「4」と表記することもできる。また、気象を、各発電所10で計測された日射強度の値により表記することもできる。例えば、「曇」、「晴」、「晴時々曇」および「曇一時晴」を、それぞれ「0.5」、「0.9」、「0.8」および「0.6」と表記することもできる。また、気象を、各気象台で観測された雲量(空の全天に占める雲の割合)の値(例えば、0〜10の11段階の整数値)により表記することもできる。雲量は、日射強度に反比例する値で示すこともでき、例えば、「曇」、「晴」、「晴時々曇」および「曇一時晴」を、それぞれ「5」、「1」、「2」および「4」と表記することもできる。
【0080】
気象情報は、計測ユニット14毎に同じ様式を与えることができるが、計測ユニット14毎に異なる様式を与えてもよい。例えば、計測ユニット情報がu1(位置情報がl1)の計測ユニット14に対しては、気象情報として3時間ごとの天気の観測値を与え、計測ユニット情報がu2(位置情報がl2)の計測ユニット14に対しては、気象情報として日射強度の計測値を与えることができる。
【0081】
パラメータ決定部542は、発電電力を予測する場合、予測パラメータ決定部として機能する。すなわち、パラメータ決定部542は、予測対象地点及び予測対象時間を含む予測パラメータを決定する。予測対象地点は、発電所10が設置された地点でもよく、発電所10が将来設置される地点でもよい。発電電力を予測する発電所10の位置が予測対象地点であり、どの時間での発電電力を予測するかを特定するのが予測対象時間である。
【0082】
また、パラメータ決定部542は、ニューラルネットワークモデル部543の学習及び更新を行う場合、学習パラメータ決定部として機能する。すなわち、パラメータ決定部542は、学習対象地点及び学習対象時間を含む学習パラメータを決定する。学習パラメータは、ニューラルネットワークモデル部543の学習及び更新のために用いられる予測パラメータである。学習対象地点は、発電所10が設置された地点でもよく、発電所10が将来設置される地点でもよい。発電電力を予測する発電所10の位置が学習対象地点であり、どの時間での発電電力を予測するかを特定するのが学習対象時間である。
【0083】
入力データ生成部541は、発電電力を予測する場合、予測用入力データ生成部として機能する。すなわち、入力データ生成部541は、データベース53に記憶した発電情報及び気象情報並びにパラメータ決定部542で決定した予測パラメータに基づいて、ニューラルネットワークモデル部543への予測用入力データを生成する。入力データ生成部541は、ニューラルネットワークモデル部543の入力層のノードの数(入力層のサイズ)と同じサイズのベクトル形式の予測用入力データを生成する。
【0084】
図8は本実施の形態のニューラルネットワークモデル部543の構成の一例を模式的に示す説明図である。
図8に示すように、ニューラルネットワークモデル部543は、入力層、出力層及び複数の中間層から構成されている。なお、
図8では、便宜上、2つ中間層を図示しているが、中間層の層数は2つに限定されず、3つ以上であってもよい。また、
図8の例では、便宜上、入力層のノードの数(層のサイズ)が5、中間層のノードの数が3、出力層のノードの数が4であるが、層のサイズは、
図8の例に限定されない。
【0085】
入力層、出力層及び中間層には、1つ又は複数のノード(ニューロン)が存在し、各層のノードは、前後の層に存在するノードと一方向に所望の重みで結合されている。入力層のノードの数(
図8の例では、便宜上5個だけ図示)と同数の成分を有するベクトルが、学習済のニューラルネットワークモデル部543の入力データとして与えられる。
図8では、入力データとして、実測値と予測パラメータとが図示されている。実測値には、例えば、前述の位置情報、設備情報、時間情報、気象情報および発電電力情報などが含まれる。また、予測パラメータには、位置情報、時間情報、気象情報および設備情報などが含まれる。
【0086】
入力層の各ノードに与えられたデータは、最初の中間層に入力して与えられると、重みおよび活性化関数を用いて中間層の出力が算出され、算出された値が次の中間層に与えられ、以下同様にして出力層の出力が求められるまで次々と後の層(下層)に伝達される。なお、ノードを結合する重みのすべては、後述の学習アルゴリズムによって計算される。
【0087】
ニューラルネットワークモデル部543の出力層は、予測出力データ生成部としの機能を有し、予測出力データを生成する。予測出力データは、出力層のノードの数(出力層のサイズ)と同じサイズの成分を有するベクトル形式のデータである。
【0088】
ニューラルネットワークモデル部543の出力層は、発電電力の範囲を複数の階級(区分とも称する)毎に予測出力データを生成する。ニューラルネットワークモデル部543の出力層のノード数をNとすると、発電電力の範囲をN個の区分に分ける。例えば、50kWの電力を50区分で分けた場合、1kW単位で0kWから50kWまでの発電電力を出力データとして扱うことができる。これにより、発電電力を階級(区分)単位で予測することができる。なお、発電電力の範囲は50kWに限定されるものではない。また、階級数も50に限定されない。
図8の例では、階級毎の出力値をy_i(i=1〜N)で表している。なお、階級の出力値は、出力の強さとも称され、各階級に分類される確率と解釈することができる。
【0089】
予測発電電力算出部544は、ニューラルネットワークモデル部543の出力層が出力する予測出力データに基づいて予測対象地点及び予測対象時間での予測発電電力を算出する。例えば、出力層の数を1、2、…Nとし、出力層が出力する予測出力データを、y1、y2、…yNとする。予測発電電力算出部544は、予測出力データy1、y2、…yk、…yNに基づいて予測発電電力を算出する。例えば、yk=1であり、他の予測出力データが0である場合、予測発電電力算出部544は、ykに基づいて予測発電電力を算出する。
【0090】
上述のように、複数の地点における実測の発電電力の時系列データ及び実測の気象情報の時系列データを、ニューラルネットワークモデル部543の予測用入力データとするので、所望の予測対象地点及び予測対象時間での発電電力を精度よく予測することができる。
【0091】
次に、本実施の形態の発電予測装置50の動作について説明する。最初に、ニューラルネットワークモデル部543の学習処理及び更新処理について説明し、次に発電予測装置50による発電電力の予測処理について説明する。
【0092】
図9は本実施の形態の発電予測装置50によるニューラルネットワークモデル部543の学習処理及び更新処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、以下では便宜上処理の主体を処理部54として説明する。処理部54は、各発電所10における発電電力情報及び気象情報をデータベース53から読み出す(S11)。なお、以下の説明では、データベース53から読み出した発電電力情報及び気象情報を実測データとも称する。
【0093】
図10は各発電所10における発電電力情報及び気象情報の一例を示す説明図である。
図10は、処理部54がステップS11で読み出した各発電所10における発電電力情報及び気象情報を示す。
図10の例では、符号s1〜s5の5箇所の発電所10それぞれが計測ユニットを1つずつ保有しており、時間t1からt120までの発電電力情報を120個記録している。なお、時間情報は、一義的に定められる。すなわち、時間tiは、時間t0を基点として、単位時間×iだけ経過した時間である。例えば、単位時間を分とし、基点の時間t0が2016年5月10日の12:00とすると、時間t1は2016年5月10日の12:01となり、時間t120は2016年5月10日の14:00となる。なお、
図10の例では、時間t1からt120までの120個の時間情報を示しているが、時間情報の数はもっと多くてもよい。単位時間を分とすると、1日は1440分であるので、1日に相当する時間情報は1440個となる。また、1年(365日)に相当する時間情報は525600個となる。また、気象は緩やかに変化するので、複数の連続する時間に亘って同じ気象(例えば、「晴」や「曇」など)となる場合がある。また、各発電所10における記録は欠損していてもよい。欠損している場合には、欠損していることを示す代替値を与えればよい。
【0094】
処理部54(パラメータ決定部542)は、学習用の予測パラメータを決定し(S12)学習用の予測対象位置及び予測対象時間における実測の気象情報を特定する(S13)。
【0095】
図11は学習用の予測パラメータの決定の様子を示す説明図である。
図11の例では、学習用の予測パラメータとして、予測対象時間t110、予測対象位置l2および予測対象設備情報e1を決定している。そして、予測対象時間t110および予測対象位置l2における気象情報w2−110をステップS11で読み出した実測データから特定する。
【0096】
処理部54は、学習用の予測パラメータに近い条件の発電所10の実測データを特定する(S14)。
【0097】
図12は学習用の予測パラメータに近い条件の発電所の実測データの一例を示す説明図である。
図12に示すように、学習用の予測パラメータの予測対象時間がt110、予測対象位置がl2、予測対象設備情報がe1であるので、条件が近い発電所として発電所s2の実測データが特定される。
【0098】
処理部54(学習データ生成部546)は、学習用の予測対象時間に基づいて学習用入力データを生成する(S15)。学習データ生成部546は、学習用入力データを生成する前処理として、発電所10及び計測ユニット14毎の発電電力情報及び気象情報を時系列1次元ベクトルに変形する。
【0099】
図13は発電所10及び計測ユニット14毎の発電電力情報及び気象情報の時系列1次元ベクトルの一例を示す説明図である。
図13に示す例では、発電所毎に、発電所情報、計測ユニット情報、時間t1からt120までの発電電力情報および時間t1からt120までの気象情報を成分とする1次元ベクトルに変形されている。
【0100】
図14は本実施の形態の発電予測装置50による学習用入力データの生成方法の一例を示す説明図である。学習用の入力データとしては、学習用の予測パラメータに近い条件の実測データを用意する。発電電力を予測する処理では、未来の時間に対して予測を行うので、学習用の入力データの時間情報は、予測対象時間よりも過去の時間情報に制限する。例えば、
図14に示すように、予測対象時間t110(
図11参照)に対して単位時間80から50ステップ前まで(予測対象時間がt110の場合、時間t30から時間t60まで)の実測データ(発電電力情報及び気象情報)を用意する。すなわち、時間t110における予測対象位置l2および予測対象設備情報e1の発電電力情報の予測を行うために、時間t30〜時間t60における各発電所の実測データを用いる。時間t30から時間t60までの期間は、一例であって、上述の例に限定されるものではない。また、上述の例では、予測対象時間t110に対して、当該期間(時間t30から時間t60まで)の最後の時間を時間t60としているが、当該時間t60も、どの程度先の時間での予測を行うかに応じて、適宜設定することができる。
【0101】
図15は本実施の形態の発電予測装置50が生成する学習用入力データの一例を示す説明図である。
図15に示すように、学習データ生成部546は、実測データおよび予測パラメータを1次元ベクトルに展開して、学習用の入力データを生成する。
【0102】
処理部54(学習データ生成部546)は、ステップS14で特定した実測データに基づいて学習用出力データを生成する(S16)。
【0103】
図16は本実施の形態の発電予測装置50が生成する学習用出力データの一例を示す説明図である。
図16に示すように、学習データ生成部546は、予測対象時間t110、予測対象位置l2および予測対象設備情報e1に近い発電所s2の発電電力情報を学習データとして採用する。
【0104】
図17は本実施の形態の発電予測装置50によるニューラルネットワークモデル部543の学習及び更新に用いる学習用データの関係を示す説明図である。
図17において、横軸は時間を示し、縦軸は実測データの集合体を示す。図中、符号s1〜s5で示す曲線は、5箇所の発電所10それぞれの実測データの集まりを表す(すなわち、発電電力情報及び気象情報などの実測データを纏めて一つの曲線で便宜上表している)。また、
図17において、細線の曲線は、存在する実測データ(実際に実測されて存在するデータ)を示し、太線の曲線は、存在する実測データのうち、学習用に使用するデータを示す。なお、
図17に示す曲線は、実測データが時間の経過とともに変化する様子を便宜的に示すものであり、実際の実測データの変化を示すものではない。
【0105】
発電電力の予測は未来の時間に対して行う。そこで、予め収集された過去の実測データの中から、まず、予測対象時間t110および予測対象位置l2を決定する。そして、予測対象時間t110よりもさらに過去の時間t30から時間t60までの間の実測データを学習用入力データとして採用する。この実測データには、時間t30からt60までの発電電力情報及び気象情報などが含まれる。また、発電電力の予測を行う場合には、予測時間での気象情報の予報(未来の気象情報)も入力データとして用いるので、予測対象時間t110および予測対象位置l2における気象情報(実測値)も学習用入力データとして採用する。さらに、予測対象時間t110および予測対象位置l2における発電電力情報は、発電電力の予測を行う場合には、予測値に相当するので、予測対象時間t110および予測対象位置l2における発電電力情報を学習用出力データとして採用する。
【0106】
学習処理及び更新処理を繰り返す場合には、例えば、以下の2通りの処理が考えられる。前日の実測データに基づいて当日の発電電力を予測するような場合には、第1の処理として、時間t30から時間t60までの実測データは変更せずに、予測対象時間t110だけ単位時間ずつ将来の方向へ変化させて処理を繰り返すことができる。また、当日の実測データに基づいて、当日の近い将来(例えば、30分後、1時間後、2時間後など)発電電力を予測するような場合には、第2の処理として、予測対象時間t110を単位時間ずつ将来の方向へ変化させるとともに、実測データの時間(t30、t60)も単位時間ずつ将来の方向へ変化させて処理を繰り返すことができる。
【0107】
処理部54(学習処理部545)は、ニューラルネットワークモデル部543の学習及び更新を行う(S17)。以下、学習アルゴリズムについて説明する。
【0108】
図18は本実施の形態のニューラルネットワークモデル部543の出力データの階級の一例を示す説明図である。
図18に示すように、1から50までの階級(i)に分け、階級1は電力範囲が0kW以上1kW未満であり、階級2は電力範囲が1kW以上2kW未満であり、以下同様に、階級50は電力範囲が49kW以上50kW未満である。また、各階級の代表値として中央値(m_i)を定める。例えば、階級1では、中央値は0.5kWである。これにより、1kW単位で0kWから50kWまでの発電電力を出力データとして扱うことができる。なお、発電所10の発電電力に応じて、電力範囲、階級の数などは適宜変更することができる。
【0109】
図19は本実施の形態のニューラルネットワークモデル部543の出力データの出力値の一例を示す説明図である。
図19に示すように、ニューラルネットワークモデル部543の出力データの出力値は、階級(i)毎にy_i(i=1…N)で表す。
【0110】
図20は本実施の形態のニューラルネットワークモデル部543の出力データとして期待される出力値の分布の一例を示す説明図である。出力データに期待される結果は、学習データが属する階級のみが出力される場合である。そこで、学習データが属する階級がjの場合、期待される出力値y_jのみ1とし、その他の階級の出力値を0とする。例えば、
図20に示すように、学習用出力データが1.8kWであった場合、当該学習用出力データは階級2に属するので、階級2の出力値z_2を1とし、その他の出力値を0とする。
【0111】
学習処理部545は、ニューラルネットワークモデル部543の出力値および期待される出力値を変数とする誤差関数により誤差を計算し、誤差逆伝搬法によって当該誤差が最小となるように、ニューラルネットワークモデル部543のノード間の結合の重みを最適化する。
【0112】
以下、具体例として、出力層の活性化関数にソフトマックス関数を用い、誤差関数に交差エントロピー関数を用いる場合について説明する。ニューラルネットワークモデル部543の出力値y_iは、式(1)で示すソフトマックス関数により求める。
【0114】
図21はソフトマックス関数の算出のための出力層の階層構造の一例を模式的に示す説明図である。ソフトマックス関数により、出力層の各階級の出力の強さは、各階級に分類される確率と解釈することができる。ソフトマックス関数により、出力層の各階級の出力の強さが0〜1の範囲に正規化され、各階級の出力の強さの合計が1となるからである。
【0115】
期待される出力値が得られる確率p(z|y)は、式(2)で表すことができる。なお、式(2)において、符号^は冪演算を示す。誤差関数として、式(3)に示すような、確率の対数値に-1を乗じた交差エントロピー関数E(y、z)を用いることで、確率を最大化することと、誤差を最小化することは、数学的に等価となる。^
【0116】
処理部54は、処理を終了するか否かを判定し(S18)、処理を終了しない場合(S18でNO)、学習用の予測パラメータを変更し(S19)、ステップS13以降の処理を続け、処理を終了する場合(S18でYES)、処理を終了する。
【0117】
このように、学習用の予測パラメータを変更し、学習用データの生成と、ニューラルネットワークモデル部543の学習及び更新を繰り返す。なお、複数の学習用の予測パラメータに対応する学習用データを予め作成し、ニューラルネットワークモデル部543の学習及び更新を一括して実施するミニバッチ法を用いることできる。
【0118】
前述のように、本実施の形態によれば、複数の地点における実測の発電電力の時系列データ及び実測の気象情報の時系列データ並びに学習対象地点及び学習対象時間を含む学習パラメータを、ニューラルネットワークモデル部543の学習用入力データとして用いてニューラルネットワークモデル部543の学習及び更新を行うので、任意の予測対象地点及び予測対象時間での発電電力を精度よく予測することができる。
【0119】
また、学習データ生成部546は、学習対象時間より前の所定の期間での各発電所10に係る時系列の実測発電電力及び各発電所10の位置情報を含む学習用入力データを生成する。例えば、学習対象時間をt110とすると、学習対象時間t110より前の所定の期間として、t30〜t60の如く、単位時間(例えば、分)80ステップ前から50ステップ前までの期間とすることができる。すなわち、学習用入力データは、時間t30〜t60での各発電所10に係る時系列の実測発電電力を含む。なお、期間の長さを長くすれば、学習用入力データのデータ数が増えるので、発電電力の予測精度は高くなる。
【0120】
上述の構成により、所定の期間での各発電所10での実測の発電電力の時系列データを用いて、当該所定の期間よりも後の予測対象時間における予測対象地点での発電電力を精度よく予測するためのニューラルネットワークモデル部543の学習及び更新を行うことができる。
【0121】
また、学習データ生成部546は、複数の地点に係る所定の期間での実測の気象情報を含む学習用入力データを生成する。例えば、学習対象時間をt110とすると、学習対象時間t110より前の所定の期間として、t30〜t60の如く、単位時間(例えば、分)80ステップ前から50ステップ前までの期間とすることができる。すなわち、学習用入力データは、時間t30〜t60での実測の気象情報を含む。なお、期間の長さを長くすれば、学習用入力データのデータ数が増えるので、発電電力の予測精度は高くなる。
【0122】
上述の構成により、所定の期間での複数の地点での実測の気象情報の時系列データを用いて、当該所定の期間よりも後の予測対象時間における予測対象地点での発電電力を精度よく予測するためのニューラルネットワークモデル部543の学習及び更新を行うことができる。
【0123】
また、学習データ生成部546は、学習対象地点及び学習対象時間での実測の気象情報を含む学習用入力データを生成する。学習対象地点及び学習対象時間での実測の気象情報を学習用入力データに含めることにより、発電電力を精度よく予測するためのニューラルネットワークモデル部543の学習及び更新を行うことができる。
【0124】
また、学習データ生成部546は、学習対象地点に近い地点に設置された発電所10に係る実測発電電力を含む学習用出力データを生成する。学習対象地点が、発電所10が設置された地点である場合には、学習対象地点を当該地点とすることができる。また、学習対象地点が、発電所10が設置された複数の地点のいずれとも離れている場合には、当該複数の地点のうち学習対象地点に最も近い地点を学習対象地点とすることができる。学習対象地点に近い地点に設置された発電所10に係る実測発電電力を学習用出力データに含めることにより、発電電力を精度よく予測するためのニューラルネットワークモデル部543の学習及び更新を行うことができる。
【0125】
次に発電予測装置50による発電電力の予測処理について説明する。
【0126】
図22は本実施の形態の発電予測装置50による発電電力の予測処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、以下では便宜上処理の主体を処理部54として説明する。処理部54は、各発電所10における発電電力情報及び気象情報をデータベース53から読み出す(S31)。
【0127】
図23は各発電所10における発電電力情報及び気象情報の一例を示す説明図である。
図23は、処理部54がステップS31で読み出した各発電所10における発電電力情報及び気象情報を示す。
図23の例では、符号s1〜s5の5箇所の発電所10それぞれが計測ユニットを1つずつ保有しており、時間t1001からt1120までの発電電力情報を120個記録している。学習段階と同様、時間tiは、時間t0を基点とし、単位時間×iだけ経過した時間である。なお、学習段階から時間が経過していることを示すために、
図23では、時間情報の最初の時間をt1001としている。
【0128】
処理部54は、予測パラメータを決定し(S32)、予測対象位置及び予測対象時間における気象情報の予報を取得する(S33)。
【0129】
図24は予測パラメータの決定の様子を示す説明図である。
図24の例では、予測パラメータとして、予測対象時間t1140、予測対象位置l2および予測対象設備情報e1を決定している。そして、予測対象時間t1140および予測対象位置l2における気象情報w2−1140(予報値)を取得する。
【0130】
処理部54(入力データ生成部541)は、予測対象時間に基づいて予測用入力データを生成する(S34)。入力データ生成部541は、予測用入力データを生成する前処理として、発電所10及び計測ユニット14毎の発電電力情報及び気象情報を時系列1次元ベクトルに変形する。
【0131】
図25は発電所10及び計測ユニット14毎の発電電力情報及び気象情報の時系列1次元ベクトルの一例を示す説明図である。
図25に示す例では、発電所毎に、発電所情報、計測ユニット情報、時間t1001からt1120までの発電電力情報および時間t1001からt1120までの気象情報を成分とする1次元ベクトルに変形されている。
【0132】
図26は本実施の形態の発電予測装置50による予測用入力データの生成方法の一例を示す説明図である。予測用の入力データとしては、予測パラメータに近い条件の実測データを用意する。例えば、
図26に示すように、予測対象時間t1140(
図24参照)に対して単位時間80から50ステップ前まで(予測対象時間がt1140の場合、時間t1060から時間t1090まで)の実測データ(発電電力情報及び気象情報)を用意する。すなわち、時間t1140における予測対象位置l2および予測対象設備情報e1の発電電力情報の予測を行うために、時間t1060〜時間t1090における各発電所10の実測データを用いる。時間t1060から時間t1090までの期間は、一例であって、上述の例に限定されるものではない。また、上述の例では、予測対象時間t1140に対して、当該期間(時間t1060から時間t1090まで)の最後の時間を時間t1090としているが、当該時間t1090も、どの程度先の時間での予測を行うかに応じて、適宜設定することができる。
【0133】
図27は本実施の形態の発電予測装置50が生成する予測用入力データの一例を示す説明図である。
図27に示すように、入力データ生成部541は、実測データおよび予測パラメータを1次元ベクトルに展開して、予測用入力データを生成する。
【0134】
図28は本実施の形態の発電予測装置50による発電電力の予測に用いる予測用データの関係を示す説明図である。
図28において、横軸は時間を示し、縦軸は実測データの集合体を示す。図中、符号s1〜s5で示す曲線は、5箇所の発電所10それぞれの実測データの集まりを表す(すなわち、発電電力情報及び気象情報などの実測データを纏めて一つの曲線で便宜上表している)。また、
図28において、細線の曲線は、存在する実測データ(実際に実測されて存在するデータ)を示し、太線の曲線は、存在する実測データのうち、学習用に使用するデータを示す。なお、
図28に示す曲線は、実測データが時間の経過とともに変化する様子を便宜的に示すものであり、実際の実測データの変化を示すものではない。
【0135】
現在の時間をt1120とする。実測データの収集処理には、処理に係るタイムラグが存在する。そのタイムラグを表すため、
図28では、各発電所10の実測データの最新の時間(細線で示す曲線の右端)が、ばらついているとともに、現在時間t1120まで到達していない。なお、時間t1090では、各発電所10の実測データは存在している。発電電力の予測は未来の時間に対して行う。まず、予測対象時間t1140および予測対象位置l2を決定する。そして、予測対象時間t1140よりも過去の時間t1060から時間t1090までの間の実測データを予測用入力データとして採用する。この実測データには、時間t1060からt1090までの発電電力情報及び気象情報などが含まれる。また、予測対象時間t1140および予測対象位置l2における気象情報の予報も予測用入力データとして採用する。予測用入力データを学習済のニューラルネットワークモデル部543の入力層に与えることにより、予測対象時間t1140および予測対象位置l2における予測発電電力を求めることができる。
【0136】
発電電力を予測する場合には、例えば、以下の2通りの処理が考えられる。前日の実測データに基づいて当日の発電電力を予測するような場合には、第1の処理として、時間t1060から時間t1090までの実測データは変更せずに、予測対象時間t1140だけ単位時間ずつ将来の方向へ変化させて処理を繰り返すことができる。また、当日の実測データに基づいて、当日の近い将来(例えば、30分後、1時間後、2時間後など)発電電力を予測するような場合には、第2の処理として、予測対象時間t1140を単位時間ずつ将来の方向へ変化させるとともに、実測データの時間(t1060及びt1090)も単位時間ずつ将来の方向へ変化させて処理を繰り返すことができる。
【0137】
処理部54は、予測出力データを生成する(S35)。
【0138】
図29は本実施の形態のニューラルネットワークモデル部543の出力データの出力値の一例を示す説明図である。
図29に示すように、ニューラルネットワークモデル部543の出力データの出力値は、階級(i)毎にy_i(i=1…N)で表す。
【0139】
処理部54(予測発電電力算出部544)は、予測発電電力を算出する(S36)。予測発電電力Wは、式(4)により算出することができる。
【0141】
予測発電電力算出部544は、複数の階級(区分)毎に定められた中央値(代表値)及び階級毎に生成された予測出力データに基づいて予測発電電力を算出する。例えば、階級10(範囲:9kW以上10kW未満、中央値:9.5kW)の予測出力データy10=1であり、他の予測出力データが全て0であるとすると、予測発電電力Wは9.5kWとなる。これにより、ニューラルネットワークモデル部543の出力層から出力される出力データの強さに応じた発電電力を算出することができる。
【0142】
なお、予測発電電力の算出方法は、前述の式(4)による方法に限定されない。例えば、階級(i)毎の出力値y_i(i=1…N)の中で、出力値が最大となる階級の代表値(例えば、中央値)を予測発電電力として算出することができる。
【0143】
また、階級(i)毎の出力値y_i(i=1…N)の中で、出力値が最大となる階級が二つ以上ある場合には、階級値が最も大きい(電力が最も大きい)方の階級の代表値(例えば、中央値)を予測発電電力として算出してもよく、あるいは、階級値が小さい(電力が小さい)方の階級の代表値(例えば、中央値)を予測発電電力として算出してもよい。階級値の大きい方を採用するか、小さい方を採用するかは、発電電力の予測の目的等に応じて適宜決定すればよい。
【0144】
処理部54は、処理を終了するか否かを判定し(S37)、処理を終了しない場合(S37でNO)、ステップS32以降の処理を続け、処理を終了する場合(S37でYES)、処理を終了する。
【0145】
上述のように、本実施の形態によれば、入力データ生成部541は、予測対象時間より前の所定の期間での各発電所10に係る時系列の実測発電電力及び各発電所10の位置情報を含む予測用入力データを生成する。例えば、予測対象時間をt1140とすると、予測対象時間t1140より前の所定の期間として、t1060〜t1090の如く、単位時間(例えば、分)80ステップ前から50ステップ前までの期間とすることができる。すなわち、予測用入力データは、時間t1060〜t1090での各発電所10に係る時系列の実測発電電力を含む。なお、期間の長さを長くすれば、予測用入力データのデータ数が増えるので、発電電力の予測精度は高くなる。
【0146】
上述の構成により、所定の期間での各発電所10での実測の発電電力の時系列データを用いて、当該所定の期間よりも後の予測対象時間における予測対象地点での発電電力を精度よく予測することができる。
【0147】
また、入力データ生成部541は、複数の地点に係る所定の期間での実測の気象情報を含む予測用入力データを生成する。例えば、予測対象時間をt1140とすると、予測対象時間t1140より前の所定の期間として、t1060〜t1090の如く、単位時間(例えば、分)80ステップ前から50ステップ前までの期間とすることができる。すなわち、予測用入力データは、時間t1060〜t1090での実測の気象情報を含む。なお、期間の長さを長くすれば、予測用入力データのデータ数が増えるので、発電電力の予測精度は高くなる。
【0148】
上述の構成により、所定の期間での複数の地点での実測の気象情報の時系列データを用いて、当該所定の期間よりも後の予測対象時間における予測対象地点での発電電力を精度よく予測することができる。
【0149】
また、入力データ生成部541は、予測対象地点及び予測対象時間での予測の気象情報を含む予測用入力データを生成する。予測対象地点及び予測対象時間での予測の気象情報を予測用入力データに含めることにより、発電電力を精度よく予測することができる。
【0150】
上述のように、気象情報は、天気、天気の移り変わり、雲量及び日射の少なくとも一つを含む。天気は、例えば、「晴」、「曇」、「晴時々曇」、「曇一時晴」などである。天気の移り変わりは、例えば、「晴後曇」、「曇後晴」などである。雲量は、空の全天に占める雲の割合である。日射は、例えば、単位面積あたりの日射強度(kW/m
2 )、単位時間・単位面積あたりの日射量(kWh/m
2 )などである。天気、天気の移り変わり、雲量及び日射などを纏めて気象とも称する。これにより、太陽光発電の発電電力の多少に影響を与える要因を考慮することができる。
【0151】
また、発電情報には、発電所の定格発電容量を含む。定格発電容量は、発電出力の定格値である。これにより、発電所の発電出力の定格値の大小に関わらず、発電電力を精度よく予測することができる。
【0152】
本実施の形態の発電予測装置50は、CPU(プロセッサ)、GPU(グラフィクス・プロセッシング・ユニット)、RAMなどを備えた汎用コンピュータを用いて実現することもできる。すなわち、
図9及び
図22に示すような、各処理の手順を定めたコンピュータプログラムをコンピュータに備えられたRAMにロードし、コンピュータプログラムをCPU(プロセッサ)で実行することにより、コンピュータ上で発電予測装置50を実現することができる。また、発電予測装置50は、一又は複数のサーバで構成することもできる。
【0153】
前述の本実施の形態では、単位時間を分として説明したが、単位時間は分に限定されるものではない。例えば、単位時間を、5分、10分、30分、1時間などにすることもできる。
【0154】
次に、本実施の形態の発電予測装置50を用いて発電所事業者又はO&M(Operation & Maintenance)事業者などへ所定のサービスを提供する方法について説明する。
【0155】
図30は本実施の形態のサーバ100の構成の一例を示すブロック図である。
図30に示すように、サーバ100は、インターネットなどの通信回線32を介して発電所事業者200及びO&M事業者300(具体的には、各事業者が保有するコンピュータ)に接続されている。また、サーバ100は、発電予測装置50に接続されている。
【0156】
サーバ100は、制御部101、通信部102、記憶部103、第1情報生成部104および第2情報生成部105などを備える。
【0157】
通信部102は、発電データ取得部としての機能を有し、太陽光発電に係る事業者(発電所事業者200又はO&M事業者300)から発電設備に係る発電データを取得する。発電データは、事業者のコンピュータから取得することができる。発電データは、例えば、
図2で例示した発電情報を含む。通信部102で取得した発電データは、記憶部103に記憶される。また、通信部102は、後述の第1情報及び第2情報を出力する出力部としての機能を有する。
【0158】
第1情報生成部104は、通信部102で取得した発電データ、すなわち記憶部103に記憶した発電データに基づいて、太陽光発電に関する第1情報を生成する。
【0159】
図31は太陽光発電に関する第1情報の第1例を示す説明図である。
図31に示すように、第1情報は、カレンダー機能(例えば、保守点検のスケジュール、天気予報などを記載)に関する情報である。
【0160】
図32は太陽光発電に関する第1情報の第2例を示す説明図である。
図32に示すように、第1情報は、保守点検管理機能(点検表の出力、保存、管理など)に関する情報である。
【0161】
図33は太陽光発電に関する第1情報の第3例を示す説明図である。
図33に示すように、第1情報は、発電量の管理機能に関する情報又は発電実績を提供するための情報である。
【0162】
第2情報生成部105は、本実施の形態の発電予測装置50による発電予測データを含む第2情報を生成する。
【0163】
次に、本実施の形態のサーバ100の動作について説明する。
図34は本実施の形態のサーバ100の処理手順の一例を示すフローチャートである。以下では便宜上、処理の主体を制御部101として説明する。制御部101は、発電所事業者200及び/又はO&M事業者300から発電設備に係る発電データを取得する(S51)。
【0164】
制御部101は、第1情報生成部104で生成した第1情報を所定の第1価格条件で発電所事業者200及び/又はO&M事業者300のコンピュータへ出力する(S52)。第1価格条件は、例えば、無料とすることができる。
【0165】
制御部101は、発電所事業者200又はO&M事業者300からオプション機能の要求の有無を判定する(S53)。オプション機能の要求は、例えば、第1価格条件よりも高額の第2価格条件での情報提供要求である。第2価格条件は、例えば、有料とすることができる。
【0166】
オプション機能の要求があった場合(S53でYES)、制御部101は、発電予測データを、第2価格条件で当該要求があった発電所事業者200又はO&M事業者300のコンピュータへ出力し(S54)、処理を終了する。オプション機能の要求がない場合(S53でNO)、制御部101は、ステップS54の処理を行うことなく、処理を終了する。
【0167】
上述の構成により、太陽光発電に係る事業者に対して太陽光発電に関する基本サービスを無償で提供しつつ、事業者から発電設備に係る発電データを取得することができ、発電設備に係る発電データを、いわゆるビッグデータとして収集することが可能になる。収集したビッグデータ(発電データ)を用いて発電予測装置50のニューラルネットワークの学習及び更新を行うことができ、発電予測装置50の発電電力の予測精度を高めることができる。さらに、有料オプションを使用したい事業者に対しては、機械学習によって精度が高められた発電予測に関するサービスを提供することができる。
【0168】
本明細書において、文字列は単なる文字の列に限定されない。設備情報を例に挙げて、以下に文字列の意義を説明する。
図35は本実施の形態の文字列の一例を示す説明図である。
図35において、上段の図は設備情報の一例を示し、下段の図は上段の図の設備情報に係る文字列の一例を示す。上段の図に示すように、設備情報e1は、太陽光発電パネル11の型式がa1、製造者がb1、定格容量が100、台数が6、定格容量合計が600であるとし、インバータ12の型式がa3、製造者がb1、定格容量が500、台数が1、定格容量合計が500とする。設備情報e2、e3も図に示すものとする。この場合、設備情報e1は、下段の図のような文字列で表すことができる。設備情報e2、e3も同様である。すなわち、
図35に示すように、文字列は、プログラムコードにおける定義文や構造文などのような形式であってよい。
【0169】
また、本実施の形態の発電予測装置50においては、設備情報、気象情報などの文字列の形式でデータベースに格納されている情報は、所定の変換規則に従って数値に変換され、変換された数値をニューラルネットワークモデル部543の入力層に入力することができる。なお、ニューラルネットワークモデル部543の入力層に入力されるデータは文字列であってもよい。次に、文字列から数値への変換について説明する。
【0170】
図36は本実施の形態の発電予測装置50による文字列から数値への変換の一例を示す説明図である。
図36において、上段の図は、文字列を数値に変換する変換表の一例である。
図36の上段の図に示すように、例えば、型式a1、a2、a3を、それぞれ1010、1020、1030(型式値と称する)に変換する。また、製造者b1、b2を、それぞれ101、102(製造者番号と称する)に変換する。
図36の下段の図は数値に変換された設備情報の例を示す。なお、
図36の下段の図に示す設備情報は、
図35に例示した文字列による設備情報を数値に変換したものである。
【0171】
本実施の形態において、例えば、
図14に例示した学習用の入力データの一次元ベクトル、及び
図26に例示した予測用の入力データの一次元ベクトルの要素の数を、例えば、Mとした場合、
図14及び
図26の例では、設備情報としての要素の数は一つであるが、
図14及び
図26に示す設備情報を、例えば、
図35に示すような10項目の一次元ベクトルの各要素とすることによって、M+9個の要素を持つ一元ベクトルに変換することができる。これにより、入力データ数が増えるので、発電電力の予測精度を高めることができる。
【0172】
図37は本実施の形態の数値変換の一例を示す説明図である。複数の項目に分割することができる情報については、その中から任意の項目を抽出し、抽出した項目の数値を所定の変換式によって変換し統合した値を、その情報の値とすることができる。例えば、
図37の左側の図に示すように、設備情報のインバータ定格容量合計を整数部とし、インバータ型式の型式値を10,000で除算した値を加算する変換式を用いた場合、設備情報の数値は、右側の図のように、一つの数値に変換することができる。右側の図に示すように、設備情報e1、e2の設備情報値は同じ値になるので、設備情報e1、e2は同じ設備であるとみなすことができる。