(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3アンテナは、前記基板の前記第1面側にヌル点を有するとともに、前記第2面側にピークを有するように、前記調整回路によって前記指向性の分布が調整されることにより、前記指向性が前記基板の前記第2面側を向くように調整される、請求項1記載の無線通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の無線通信装置を適用した実施の形態について説明する。
【0010】
<実施の形態>
図1は、実施の形態の無線通信装置を含む電子機器10を示す斜視図である。本実施の形態では、
図1に示すようにXYZ座標系を用いて説明する。以下で示す他の図面においても、共通のXYZ座標系を用いる。また、XY平面視を平面視と称す。
【0011】
電子機器10は、一例として、スマートフォン端末機、又は、携帯電話端末機である。電子機器10は、音声通話を行う機能を有する機器であればよい。
【0012】
電子機器10は、筐体11の一方の面(Z軸正方向側の面)側に配置されるタッチパネル12とディスプレイパネル13を有する。タッチパネル12は、ディスプレイパネル13よりもZ軸正方向側(表面側)に配設される。ディスプレイパネル13には、GUI(Graphic User Interface)による様々なボタン又はスライダー等が表示される。
【0013】
また、電子機器10は、筐体11の一方の面(Z軸正方向側の面)側に配置されるスピーカ14とマイク15を含む。電子機器10のスピーカ14とマイク15を利用して音声通話を行う利用者は、スピーカ14を耳に当て、マイク15を口の近くに配置する。
【0014】
図2は、実施の形態の無線通信装置100を示す図である。
【0015】
無線通信装置100は、基板50、メインアンテナ110、サブアンテナ120、WLANアンテナ130、スイッチ140、整合回路150、調整回路160、及び制御部170を含む。以下では、メインアンテナ110、サブアンテナ120、WLANアンテナ130に給電する電源を交流の記号で示す。
【0016】
基板50は、筐体11(
図1参照)の内部に配設されており、一例として、FR4(Flame Retardant type4)規格の配線基板である。基板50は、グランドプレーン51を有する。グランドプレーン51は、基板50のZ軸正方向側の面に設けられているため、破線で示す。なお、グランドプレーン51は、基板50のZ軸負方向側の面に設けられていてもよく、また、基板50の内層面に設けられていてもよい。
【0017】
基板50のZ軸負方向側の面には、メインアンテナ110、サブアンテナ120、WLANアンテナ130、スイッチ140、整合回路150、及び調整回路160が設けられている。
【0018】
メインアンテナ110は、基板50のZ軸負方向側の面のうちのY軸負方向側の端部に設けられている。メインアンテナ110は、音声通話の通信、及び、データ通信のいずれかに用いられる第1アンテナの一例である。利用者がスピーカ14とマイク15(
図1参照)を利用して音声通話を行う際には、電子機器10が利用者の頭部の側部に配置されるので、頭部へのSAR(Specific Absorption Rate:比吸収率)の影響を低く抑えるために、メインアンテナ110は、マイク15に近い側に配置される。
【0019】
メインアンテナ110は、T字型のアンテナであり、給電部111からY軸負方向に伸延し、分岐部112で分岐して、端部113及び114までX軸正方向及びX軸負方向に伸延している。給電部111は、平面視でグランドプレーン51のY軸負方向側の端辺の近傍に位置する。端部113及び114は、それぞれ、基板50のX軸正方向及びX軸負方向側の端辺の近傍に位置する。
【0020】
分岐部112から端部114までの長さは、分岐部112から端部113までの長さよりも長い。給電部111から分岐部112を経て端部114に至るまでのL字型の部分は、共振周波数がf1のモノポールアンテナとして機能する。f1は、一例として、800MHzである。
【0021】
給電部111から分岐部112を経て端部113に至るまでのL字型の部分は、共振周波数がf2のモノポールアンテナとして機能する。f2は、一例として、2GHzである。f1とf2のどちらを利用するかは、基地局側で決定される。
【0022】
メインアンテナ110は、音声通話の通信と、データを送信する通信を行う際には、単独で通信を行う。一例として、メインアンテナ110は、音声通話の通信と、データを送信する通信を行う際には、WCDMA(登録商標)(Wideband Code Division Multiple Access:3G(Generation))−SISO(Single‐Input‐Single‐Output)方式による通信を行う。
【0023】
また、メインアンテナ110は、データを受信する通信を行う際には、サブアンテナ120と協働して、LTE(Long Term Evolution)−MIMO(Multi‐Input Multi‐Output)方式で通信(データ受信)を行う。
【0024】
サブアンテナ120は、基板50のZ軸負方向側の面のうちのY軸正方向側の端部に設けられている。サブアンテナ120は、データ通信のうちの受信(データ受信)専用に用いられる第2アンテナの一例である。サブアンテナ120は、メインアンテナ110と協働して、LTE−MIMO方式で通信(データ受信)を行う。サブアンテナ120は、基板50のY軸方向において、メインアンテナ110とは反対側に配置される。
【0025】
サブアンテナ120は、T字型のアンテナであり、給電部121からY軸正方向に伸延し、分岐部122で分岐して、端部123及び124までX軸正方向及びX軸負方向に伸延している。給電部121は、平面視でグランドプレーン51のY軸正方向側の端辺の近傍に位置する。端部123及び124は、それぞれ、基板50のX軸正方向及びX軸負方向側の端辺の近傍に位置する。
【0026】
分岐部122から端部124までの長さは、分岐部122から端部123までの長さよりも長い。給電部121から分岐部122を経て端部124に至るまでのL字型の部分は、共振周波数がf1のモノポールアンテナとして機能する。f1は、一例として、800MHzである。
【0027】
給電部121から分岐部122を経て端部123に至るまでのL字型の部分は、共振周波数がf2のモノポールアンテナとして機能する。f2は、一例として、2GHzである。f1とf2のどちらを利用するかは、基地局側で決定される。
【0028】
WLANアンテナ130は、L字型のモノポールアンテナであり、第3アンテナの一例である。WLANアンテナ130は、WLAN(Wireless Local Area Network)の通信方式でデータ通信(送信及び受信)を行うアンテナである。WLANアンテナ130の通信周波数は、メインアンテナ110及び120の通信周波数f1及びf2とは異なるf3である。f3は、一例として、5GHzである。
【0029】
WLANアンテナ130は、給電部131からY軸正方向に伸延し、折り曲げ部132でX軸負方向側に折り曲げられて、端部133までX軸負方向に伸延している。給電部131は、平面視でグランドプレーン51のY軸正方向側の端辺の近傍に位置する。また、折り曲げ部132と端部133との間の区間は、所定間隔(例えば、5mm)を隔ててサブアンテナ120の分岐部122と端部124との間の区間と並行である。端部133は、基板50のX軸負方向側の端辺の近傍に位置する。
【0030】
スイッチ140は、3つの端子141、142、143を有するスイッチであり、端子141の接続先を端子142又は143のいずれか一方に切り替える。スイッチ140の切り替えは、制御部170によって行われる。端子141は第1端子の一例であり、端子142は第2端子の一例であり、端子143は第3端子の一例である。
【0031】
端子141は給電部121に接続され、端子142は、整合回路150に接続され、端子143は、調整回路160に接続される。このため、給電部121の接続先は、スイッチ140によって整合回路150又は調整回路160のいずれか一方に切り替えられる。
【0032】
整合回路150は、サブアンテナ120がデータ受信を行う際に、スイッチ140によってサブアンテナ120と接続され、サブアンテナ120の通信周波数をf1及びf2に整合させる。サブアンテナ120は、通信周波数f1及びf2で通信するときは、WLANアンテナ130とは結合していない。
【0033】
調整回路160は、WLANアンテナ130がデータ通信を行う際に、スイッチ140がサブアンテナ120と調整回路160とを接続すると、サブアンテナ120がWLANアンテナ130と共振するようにサブアンテナ120のインピーダンスを調整するとともに、WLANアンテナ130の指向性がZ軸負方向側を向くように調整する。
【0034】
調整回路160は、インダクタンス又はキャパシタンスを含み、スイッチ140によってサブアンテナ120と接続されると、サブアンテナ120の共振周波数をWLANアンテナ130の通信周波数f3にあわせる。このようにサブアンテナ120の共振周波数が調整回路160によってf3に調整されることにより、サブアンテナ120とWLANアンテナ130が結合して指向性を制御できるようになる。なお、サブアンテナ120の共振周波数を通信周波数f3にあわせるには、サブアンテナ120の共振周波数の基本波と高調波のどちらを通信周波数f3に合わせてもよい。このため、例えば、サブアンテナ120の高調波のうちの1つの周波数を5GHzに低下させることにより、サブアンテナ120とWLANアンテナ130を共振させることができる。
【0035】
また、Z軸負方向側とは、電子機器10(
図1参照)のスピーカ14及びマイク15が存在する側とは反対側である。すなわち、電子機器10のタッチパネル12及びディスプレイパネル13が存在する側とは反対側(電子機器10の裏側)である。
【0036】
サブアンテナ120及びWLANアンテナ130の指向性がZ軸負方向側を向くとは、サブアンテナ120及びWLANアンテナ130の指向性の分布がZ軸負方向側に偏ること、又は、サブアンテナ120及びWLANアンテナ130の指向性がZ軸正方向側にヌル点を有することである。なお、指向性の分布の調整については後述する。
【0037】
制御部170は、一例として、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)によって実現される。例えば、制御部170は、電子機器10の高周波無線通信を制御するCPUの機能の一部として実現される。
【0038】
このため、制御部170には、無線通信装置100が音声通話を行うモードを表す信号と、LTE−MIMO方式でデータ通信を行うモードを表す信号とが入力される。制御部170は、これらの信号に基づいて、スイッチ140を切り替える。
【0039】
制御部170は、サブアンテナ120がデータ受信を行う際に、端子141と142を接続する。これにより、サブアンテナ120と整合回路150とが接続される。また、制御部170は、WLANアンテナ130がデータ通信を行う際に、端子141と143を接続する。これにより、サブアンテナ120と調整回路160とが接続される。
【0040】
図3は、無線通信装置100で音声通話及びWLAN方式によるデータ通信を行う場合の動作を説明する図である。
図3(A)には、無線通信装置100におけるスイッチ140の接続状態を示し、
図3(B)には、利用者が左手に電子機器10を持ってスピーカ14を左耳に当てた状態で、通話するとともにWLAN方式でデータ通信を行っている状態を示す。なお、
図3(B)では、電子機器10、無線通信装置100、メインアンテナ110、サブアンテナ120、WLANアンテナ130を概略的に示す。
【0041】
音声通話は、メインアンテナ110による通信によって行われる。また、WLAN方式でデータ通信を行う際には、
図3(A)に示すように、スイッチ140はサブアンテナ120の給電部121と調整回路160とを接続してサブアンテナ120をWLANアンテナ130の通信周波数f3で共振させて指向性を制御する。このため、
図3(B)に示すように、WLANアンテナ130の指向性は(サブアンテナ120及び調整回路160を利用して)、楕円及び矢印で示すように、電子機器10の裏側を向くように調整されるので、頭部へのSARの影響は軽減される。
【0042】
ここで、メインアンテナ110による音声通話の通信を行うときには、頭部の下方(口よりも下の部分)に電波が放射される程度であることから、SARの影響は軽減されており、問題にはならない。なお、これは、メインアンテナ110を利用して音声通話の通信のみを行っているときも同様である。
【0043】
図4は、無線通信装置100でLTE−MIMO方式でデータ通信を行う場合の動作を説明する図である。
図4(A)には、無線通信装置100におけるスイッチ140の接続状態を示し、
図4(B)には、利用者が左手に電子機器10を持って、メインアンテナ110及び120を利用してLTE−MIMO方式でデータ通信を行っている状態を示す。
図4(B)では、利用者は音声通話を行っていないので、電子機器10は耳に当てられておらず、頭部から離れて利用者の眼前(手元)にある。
【0044】
LTE−MIMO方式でデータ通信を行う際には、
図4(A)に示すように、スイッチ140はサブアンテナ120の給電部121と整合回路150とを接続する。これにより、サブアンテナ120は、共振周波数f1、f2で通信可能な状態になる。LTE−MIMO方式でデータ通信は、メインアンテナ110及びサブアンテナ120によって実現される。
【0045】
利用者が電子機器10を手に持ってLTE−MIMO方式及びWLAN方式の複数の通信方式でデータ通信を行っている状態では、メインアンテナ110及びWLANアンテナ130から電波が放射されるが、電子機器10が人体から離れているため、SARの影響は、問題にならない程度である。
【0046】
図5は、無線通信装置100の電磁界シミュレーションで用いたシミュレーションモデルを示す図である。
図6は、サブアンテナ120及びWLANアンテナ130の一部と、スイッチ140、整合回路150、調整回路160、及び整合回路180とを示す図である。
図6は、
図5に示すシミュレーションモデルのサブアンテナ120及びWLANアンテナ130の一部を拡大した図に、スイッチ140、整合回路150、調整回路160、及び整合回路180を書き足した図である。
【0047】
整合回路180は、WLANアンテナ130のインピーダンス整合をとるための回路であり、キャパシタ又はインダクタ等を含む。
図2乃至
図4では整合回路180を示していないが、
図5に示すように、WLANアンテナ130の給電部131とグランドプレーン51Aとの間に整合回路180を適宜挿入すればよい。
【0048】
図5には、グランドプレーン51A、サブアンテナ120、WLANアンテナ130、及び調整回路160を示す。グランドプレーン51Aは、X軸方向の幅が50mm、Y軸方向の長さが100mmの導電体である。
図5に示すシミュレーションモデルでは、グランドプレーン51Aは、XZ平面に平行な平板状の導体である。調整回路160は、グランドプレーン51Aと、サブアンテナ120との間に設けられている。
【0049】
図6に示すように、WLANアンテナ130の給電部131と折り曲げ部132との間の長さは5mmである。サブアンテナ120の分岐部122と端部124との間の区間と、WLANアンテナ130の折り曲げ部132と端部133との間の区間とがX軸方向に並行に伸延する区間の長さは13mmである。このため、WLANアンテナ130の長さは18mmである。端部124は、端部133よりもX軸負方向側に位置する。
【0050】
また、サブアンテナ120の分岐部122と端部124との間の区間と、WLANアンテナ130の折り曲げ部132と端部133との間の区間とのY軸方向の間隔は、5mmである。
【0051】
調整回路160はインダクタで構成し、スイッチ140によってサブアンテナ120と接続されると、サブアンテナ120の高調波のうちの1つの周波数を5GHzに低下させる
以上のようなシミュレーションモデルを用いて、スイッチ140でサブアンテナ120と調整回路160とを接続した状態で、WLANアンテナ130の指向性を求めたところ、
図7に示すような指向性を得た。
【0052】
図7は、シミュレーションモデルで得た指向性を示す図である。
図7には、スイッチ140でサブアンテナ120と調整回路160とを接続した状態におけるWLANアンテナ130の指向性を破線で示す。
【0053】
また、比較用に、スイッチ140でサブアンテナ120と整合回路150とを接続した状態におけるWLANアンテナ130の指向性を実線で示す。スイッチ140でサブアンテナ120と整合回路150とを接続した状態では、サブアンテナ120とWLANアンテナ130とは共振していない。
【0054】
図7に示すように、比較用に実線で示す指向性は、YZ平面でほぼ均等になっている。これに対して、破線で示す指向性は、実線で示す指向性よりもZ軸負方向側で利得が大きくなっており、Z軸正方向側にヌル点を有する。このため、WLANアンテナ130の指向性がZ軸負方向側を向いていることが確認できた。
【0055】
以上、実施の形態によれば、WLANアンテナ130がデータ通信を行う際に、スイッチ140がサブアンテナ120と調整回路160とを接続し、サブアンテナ120がWLANアンテナ130と共振するようにサブアンテナ120のインピーダンスを調整するとともに、WLANアンテナ130の指向性がZ軸負方向側を向くように調整する。
【0056】
このため、無線通信装置100が、メインアンテナ110で音声通話のデータ通信を行っているときに、WLANアンテナ130でWLAN方式によるデータ通信を行っても、WLANアンテナ130の指向性が無線通信装置100の裏側(頭部から離れる方向)を向くように切り替えられるので、SARを低減することができる。
【0057】
従って、複数のアンテナが同時に放射する場合におけるSARを低減できる無線通信装置100を提供することができる。
【0058】
また、従来は、SARを低減するために出力を落とすことが行われているケースがあるが、このような手法でSARを低減しても、放射特性が低下するため、問題の本質的な解決には至っていない。
【0059】
このようなケースに対して、実施の形態1の無線通信装置100は、WLANアンテナ130の指向性が無線通信装置100の裏側を向くように切り替えるので、出力を低下させることなく、SARを低減することができる。
【0060】
以上で説明したメインアンテナ110、サブアンテナ120、及びWLANアンテナ130の通信周波数は、一例であり、上述以外の通信周波数において通信する場合でも、メインアンテナ110、サブアンテナ120、及びWLANアンテナ130の各部の寸法等を変更することによって、対応可能である。
【0061】
なお、以上では、第3アンテナの一例としてWLANアンテナ130を示したが、WLANアンテナ130をWLAN以外の通信方式のアンテナとして用いてもよい。
【0062】
また、
図6に示すサブアンテナ120とWLANアンテナ130の寸法は、一例である。サブアンテナ120の分岐部122と端部124との間の区間と、WLANアンテナ130の折り曲げ部132と端部133との間の区間とがX軸方向に並行に伸延する区間の長さは、13mmに限られない。WLANアンテナ130の通信周波数f3における波長をλ
3とすると、並行に伸延する区間の長さは、例えば、λ
3×(2/3)以上、λ
3×(4/5)以下程度であればよい。また、並行に伸延する区間のY軸方向における間隔は、λ
3×(1/4)以上、λ
3×(1/3)以下程度であればよい。
【0063】
以上では、無線通信装置100がメインアンテナ110を含む形態について説明したが、メインアンテナ110を含まない装置を無線通信装置100として捉えてもよい。
【0064】
また、以上では、調整回路160がインダクタを含み、サブアンテナ120の高調波のうちの1つの周波数を5GHzに低下させて、サブアンテナ120とWLANアンテナ130が共振するようにする形態について説明した。
【0065】
しかしながら、調整回路160がサブアンテナ120の共振周波数を調整して、WLANアンテナ130の共振周波数と等しくなるようにしてもよい。このような場合に、調整回路160は、インダクタ又はキャパシタを含み、サブアンテナ120の共振周波数を適宜調整できるようにすればよい。
【0066】
以上、本発明の例示的な実施の形態の無線通信装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
無線通信装置であって、
前記無線通信装置が音声通話を行う際に、人体側を向く第1面と、前記第1面とは反対の第2面とを有する基板と、
前記基板の第1端側に配設され、音声通話の通信、及び、データ通信のいずれかに用いられる、第1アンテナと、
前記基板の前記第1端とは反対の第2端側に配設され、データ通信に用いられる第2アンテナと、
前記第2アンテナの近傍に配置され、前記第2アンテナとは異なる通信方式によるデータ通信に用いられる第3アンテナと、
前記第2アンテナの給電点に接続される第1端子と、前記第1端子に切り替え的に接続される第2端子及び第3端子とを有するスイッチと、
前記第2端子に接続される整合回路であって、前記第2アンテナがデータ通信を行う際に前記スイッチが前記第1端子と前記第2端子とを接続すると、前記第2アンテナの共振周波数を前記第3アンテナの共振周波数とは異なる共振周波数に設定する、整合回路と、
前記第3端子に接続される調整回路であって、前記第3アンテナがデータ通信を行う際に前記スイッチが前記第1端子と前記第3端子とを接続すると、前記第2アンテナが前記第3アンテナと共振するように前記第2アンテナのインピーダンスを調整するとともに、前記第3アンテナの指向性が前記基板の前記第2面側を向くように調整する調整回路と
を含む、無線通信装置。
(付記2)
前記第3アンテナは、前記基板の前記第1面側にヌル点を有するとともに、前記第2面側にピークを有するように、前記調整回路によって前記指向性の分布が調整されることにより、前記指向性が前記基板の前記第2面側を向くように調整される、付記1記載の無線通信装置。
(付記3)
前記調整回路は、インダクタを有し、
前記第2アンテナは、前記インダクタによって前記インピーダンスが調整されることによって、前記第2アンテナの共振周波数の高調波の周波数が低下して前記第3アンテナの周波数と等しくされることによって、前記第3アンテナと共振する、付記1又は2記載の無線通信装置。
(付記4)
前記第2アンテナと前記第3アンテナは、所定の間隔で並列に配置される区間を有する、付記1乃至3のいずれか一項記載の無線通信装置。
(付記5)
前記第1アンテナと前記第2アンテナは、データ通信を行うときに、MIMOアンテナを構築する、付記1乃至4のいずれか一項記載の無線通信装置。
(付記6)
前記第3アンテナは、無線LAN用のアンテナである、付記1乃至5のいずれか一項記載の無線通信装置。
(付記7)
無線通信装置であって、
前記無線通信装置が音声通話を行う際に、人体側を向く第1面と、前記第1面とは反対の第2面とを有する基板と、
前記基板に配設され、データ通信に用いられる第1アンテナと、
前記第1アンテナの近傍に配置され、前記第1アンテナとは異なる通信方式によるデータ通信に用いられる第2アンテナと、
前記第1アンテナの給電点に接続される第1端子と、前記第1端子に切り替え的に接続される第2端子及び第3端子とを有するスイッチと、
前記第2端子に接続される整合回路であって、前記第1アンテナがデータ通信を行う際に前記スイッチが前記第1端子と前記第2端子とを接続すると、前記第1アンテナの共振周波数を前記第2アンテナの共振周波数とは異なる共振周波数に設定する、整合回路と、
前記第3端子に接続される調整回路であって、前記第2アンテナがデータ通信を行う際に前記スイッチが前記第1端子と前記第3端子とを接続すると、前記第1アンテナの共振周波数を前記第2アンテナの共振周波数と等しくなるように調整するとともに、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナの指向性が前記基板の前記第2面側を向くように調整する調整回路と
を含む、無線通信装置。