【実施例1】
【0012】
図1,
図2に示すように、本実施例の家具用脚受具は、木製の椅子や机等の家具を移動させる際に、その家具の脚1によって床面2が擦れることにより、床面2に傷がついたり騒音が発生することを防止するため、また、床面2上での家具の滑りをよくするために、家具の脚1の底面1aに組み立てて取り付けられるもので、その基本構造は、外面に雄ねじ11が切られた軸部12を備えた雄ねじ部材10と、家具の脚1の底面1aにねじ込むことによって軸部12が家具の脚1の底面1aに対して直角で下向きに突出した状態で雄ねじ部材10を家具の脚1の底面1aに固着する木ねじ20と、雄ねじ11に螺合する雌ねじ31が内面に切られた上部開放の凹部32を備え、雄ねじ部材10に着脱自在に取り付けられて床面2に接する雌ねじ部材30とを有して構成されている。なお、雄ねじ部材10を家具の脚1の底面1aに固着(締結)する固着(締結)具として、木ねじ20の代わりにタッピングネジを使用することも可能である。
【0013】
雄ねじ部材10は、断面形状が円形の軸部12の中心部に、木ねじ20の軸部21を挿通させるための円筒形の穴13と、木ねじ20の皿状の頭部22を埋め込むための円錐形の穴14とを設けている。また、軸部12の上端に、軸部12の直径よりも大きく、家具の脚1の平らな底面1よりも小さく、雌ねじ部材30の上面よりも小さい円板状の座部15を備え、座部15の上面(雄ねじ部材10の上面)を家具の脚1の底面1aに当接するようになっている。軸部12は座部15の下面の中心部から直角に垂下され、穴13が座部15の上面中心部に貫通されている。さらに、座部15の上面の中心部に開口された穴13の周囲に、雄ねじ部材10の仮止め及び回止めするために家具の脚1の底面1aに打ち込み可能な角錐形や円錐形の尖った針16を複数等角度間隔で突設している。そして、この雄ねじ部材10はABS樹脂を成形することにより形成されている。
【0014】
木ねじ20には、ステンス等の金属製のもので、一端が尖っている軸部21の他端に皿状の頭部22が設けられた一般的なものが使用されている。
【0015】
雌ねじ部材30は、略椀形の外形を有し、家具の脚1の底面1aに対向する上面の形状は、家具の脚1の底面1a略同じ大きさで家具の脚1の底面1aからはみ出さない円形の平坦面に形成され、床面2に接する底面の形状は、下向きに凸状な球面に形成されている。また、雌ねじ部材30の上面中央部には、雄ねじ部材10の全体を回転自在に収容する上部開放の収容凹部33を備えている。この収容凹部33は、座部15を回転自在に収容する円形な上部凹部34と、軸部12を回転自在に収容する円形の下部凹部としての凹部32とから構成され、軸部12の外面が対向する凹部32の内面に雌ねじ31が切られている。そして、この雌ねじ部材30は低摩擦係数(すべり性が良い)のフッ素樹脂、すなわち、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を成形することにより形成されている。なお、雌ねじ部材30の外形は、円柱形、角柱形、下窄まりの円錐台形や角錐台形等、床面2に接する底面が下向きに凸状な球面や放物面ではなく平坦面となる形状を採用することも可能である。
【0016】
次に、本実施例の家具用脚受具の家具の脚1の底面1aへの取り付けについて説明する。
【0017】
先ず、雄ねじ部材10の座部15の上面を家具の脚1の底面1aに対向させた状態で、雄ねじ部材10の軸部12の端面を金槌等で叩いて各針16を家具の脚1の底面1aに打ち込むことにより、雄ねじ部材10を家具の脚1の底面1aの中央部に仮止め状態で取り付ける。この際、雄ねじ部材10は雌ねじ部材30に比べて機械的強度が高く、軸部12を叩くので、また、各針16は軸部12を軽く叩くだけで家具の脚1の底面1aに打ち込むことができるので、樹脂製の雄ねじ部材10が破損するのを防止しながら、雄ねじ部材10を脚1の底面1aに仮止め状態で容易に取り付けることができる。
【0018】
次に、脚1の底面1aに仮止め状態で取り付けた雄ねじ部材10の中心部にある穴13,14を通して脚1の底面1aに、木ねじ20をねじ込むための下穴(木ねじ20の軸部21の直径の70%くらいの大きさの穴)を開ける。この下穴を開けるために本実施例の家具用脚受具には、先端部がドリル形状の図示しないタッピングねじ(スクリューねじ)が付属されている。このタッピングねじをドライバーで脚1の底面1aに仮止め状態で取り付けられた雄ねじ部材10の中心部にある穴13,14を通して脚1の底面1aにねじ込んだ後、取り外すことにより、脚1の底面1aに仮止め状態で取り付けた雄ねじ部材10の中心部にある穴13,14を通して脚1の底面1aに下穴を開けることができる。この際、下穴を脚1の底面1aの中心部に正確に開けることが非常に重要であるが、脚1の底面1aに仮止め状態で取り付けた雄ねじ部材10の中心部にある穴13,14を通して脚1の底面1aに下穴を開けるので、下穴を脚1の底面1aの中心部に正確に開けることができる。
【0019】
次に、脚1の底面1aに開けた下穴に木ねじ20をドライバーで脚1の底面1aに仮止め状態で取り付けた雄ねじ部材10の中心部にある穴13,14を通してねじ込み、木ねじ20の頭部22を雄ねじ部材10の中心部にある穴14に完全に埋め込むことにより、
図2に示すように、座部15の上面が家具の脚1の底面1aに当接し、軸部12が家具の脚1の底面1aに対して直角で下向きに突出した状態で雄ねじ部材10を家具の脚1の底面1aに固着する。この際、雄ねじ部材10は、脚1の底面1aに打ち込まれている各針16によって、木ねじ20の軸部21を中心に回転するのを阻止した状態で家具の脚1の底面1aに固着されている。
【0020】
次に、木ねじ20によって家具の脚1の底面1aに固着された雄ねじ部材10の座部15の下面及び軸部12の端面に雌ねじ部材30の上面の収容凹部33を対向させた状態で、雌ねじ部材30を手で回しながら雄ねじ部材10の雄ねじ11と雌ねじ部材30の雌ねじを螺合させて雌ねじ部材30の収容凹部33に雄ねじ部材10をねじ込んで行き、
図2に示すように、雄ねじ部材10を雌ねじ部材30の収容凹部33に完全に埋め込んで収容することにより、雄ねじ部材10に対して雌ねじ部材30を、雄ねじ部材10の軸部12の端面と雌ねじ部材30の凹部32の底面とが密着し、かつ、雄ねじ部材10の座部15の下面と雌ねじ部材30の上部凹部34(収容凹部33内の段面)の底面とが密着し、かつ、雌ねじ部材30の収容凹部33の周囲に残された円形リング状の上面と家具の脚1の底面1aとが密着した状態で螺合して着脱自在に取り付ける。これにより、本実施例の家具用脚受具は家具の脚1の底面1aに組み立てて取り付けることができる。
【0021】
以上のように、家具の脚1の底面1aに取り付けた本実施例の家具用脚受具は、PTFE製の雌ねじ部材30の下向きに凸状な球面に形成された底面を床面2に接触させて家具を床面2上で受け支えることにより、家具を移動させる際に、その家具の脚1によって床面2が擦れることにより、床面2に傷がついたり騒音が発生することを防止すると共に、床面2上での家具の滑り(移動)をよくすることができる。
【0022】
次に、本実施例の家具用脚受具の作用について説明する。
【0023】
以上のように、本実施例の家具用脚受具は、外面に雄ねじ11が切られた軸部12を備えた雄ねじ部材10と、家具の脚1の底面1aにねじ込むことによって軸部12が家具の脚1の底面1aに対して直角で下向きに突出した状態で雄ねじ部材10を家具の脚1の底面1aに固着する木ねじ20と、雄ねじ11に螺合する雌ねじ31が内面に切られた上部開放の凹部32を備え、雄ねじ部材10に着脱自在に取り付けられて床面2に接する雌ねじ部材30とを有して構成されており、この本実施例の家具用脚受具によれば、先ず、木ねじ20によって家具の脚1の底面1aに雄ねじ部材10を固着し、その後、雄ねじ部材10に対して雌ねじ部材30を螺合して着脱自在に取り付けることで、家具の脚1の底面1aに組み立てて取り付けることができるので、従来の一体型で打ち込み式の家具用脚受具に比べて家具の脚1の底面1aへの取り付けが容易になる。
【0024】
また、本実施例の家具用脚受具によれば、雄ねじ部材10を家具の脚1の底面1aに固着したまま雌ねじ部材30を交換することができるので、従来の一体型で打ち込み式の家具用脚受具に比べて長期間に亘って使用可能になる。ここで、雄ねじ部材10と雌ねじ部材30の使用時の荷重負荷に対する強度は、それぞれの構造上、凹部32を備える雌ねじ部材30よりも軸部12を備える雄ねじ部材10の方が高く破損し難いので、木ねじ20によって家具の脚1の底面1aに雌ねじ部材30を固着するのに比べて雄ねじ部材10を固着する方がより長期間に亘って使用可能になる。
【0025】
また、本実施例の家具用脚受具によれば、使用時に雄ねじ部材10の軸部12の端面と雌ねじ部材30の凹部32の底面とが密着しており、使用時の荷重負荷を雄ねじ部材10では雄ねじ11だけでなく軸部12の端面でも受けることができるので、雄ねじ部材10の雄ねじ11が破損し難く、より長期間に亘って使用可能になる。
【0026】
また、本実施例の家具用脚受具によれば、家具の脚1の底面1aへの取り付け時に雄ねじ部材10が雌ねじ部材30によって完全に包み込まれるので、雌ねじ部材30を交換しながら長期間に亘って使用することで、その使用期間はきれいな外観を維持することができる。