(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6687250
(24)【登録日】2020年4月6日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】映像表示部を備えた表示装置および映像表示部の表示測定方法
(51)【国際特許分類】
H04N 17/04 20060101AFI20200413BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
H04N17/04 C
G09G5/00 X
G09G5/00 550C
G09G5/00 550B
H04N17/04 500
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-545069(P2017-545069)
(86)(22)【出願日】2015年10月16日
(86)【国際出願番号】JP2015079331
(87)【国際公開番号】WO2017064810
(87)【国際公開日】20170420
【審査請求日】2018年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】300016765
【氏名又は名称】NECディスプレイソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】阿部 正敏
【審査官】
佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3101147(JP,U)
【文献】
特開平09−198007(JP,A)
【文献】
特開2002−325267(JP,A)
【文献】
特開昭64−006866(JP,A)
【文献】
特開2008−116737(JP,A)
【文献】
特開平10−111335(JP,A)
【文献】
特開平10−145697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 17/00
H04N 5/66
G09G 3/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像表示部と、
前記映像表示部による表示を測定する光学検出部と、
前記光学検出部による測定を行う測定開始時刻を受け付けると、前記測定開始時刻の第1の所定時間前に前記映像表示部の電源をオンとしてテストパターン表示によるエイジング処理を行い、前記測定開始時刻となると前記光学検出部に測定を行わせる制御部と、を有する表示装置であって、
前記制御部は、前記第1の所定時間前から前記測定開始時刻までの間に、測定を延期する旨の入力を確認すると、本来の表示特性の状態での利用を可能として、測定開始時刻を現在の測定開始時刻に第2の所定時間を加算したものとする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記制御部は、前記第1の所定時間前から前記測定開始時刻までの間に、測定を中止する旨の入力を確認すると、本来の表示特性の状態での利用を可能として、測定を中止する表示装置。
【請求項3】
映像表示部と、
前記映像表示部による表示を測定する光学検出部と、
前記光学検出部による測定を行う測定開始時刻を受け付けると、前記測定開始時刻の第1の所定時間前に前記映像表示部の電源をオンとしてテストパターン表示によるエイジング処理を行い、前記測定開始時刻となると前記光学検出部に測定を行わせる制御部と、を有する表示装置であって、
前記制御部は、前記第1の所定時間前から前記測定開始時刻までの間に、測定を中止する旨の入力を確認すると、本来の表示特性の状態での利用を可能として、測定を中止する表示装置。
【請求項4】
映像表示部と、
前記映像表示部による表示を測定する光学検出部と、
前記光学検出部による測定を行う測定開始時刻を受け付けると、前記測定開始時刻の第1の所定時間前に前記映像表示部の電源をオンとしてテストパターン表示によるエイジング処理を行い、前記測定開始時刻となると前記光学検出部に測定を行わせる制御部と、を有する表示装置であって、
前記制御部は、前記映像表示部の電源をオンとしてテストパターン表示によるエイジング処理を開始した後であって前記測定開始時刻までの間に、測定を延期する旨の入力を確認すると、本来の表示特性の状態での利用を可能として、測定開始時刻を現在の測定開始時刻に第2の所定時間を加算したものとする表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表示装置において、
前記制御部は、前記映像表示部の電源をオンとしてテストパターン表示によるエイジング処理を開始した後であって前記測定開始時刻までの間に、測定を中止する旨の入力を確認すると、本来の表示特性の状態での利用を可能として、測定を中止する表示装置。
【請求項6】
映像表示部と、
前記映像表示部による表示を測定する光学検出部と、
前記光学検出部による測定を行う測定開始時刻を受け付けると、前記測定開始時刻の第1の所定時間前に前記映像表示部の電源をオンとしてテストパターン表示によるエイジング処理を行い、前記測定開始時刻となると前記光学検出部に測定を行わせる制御部と、を有する表示装置であって、
前記制御部は、前記映像表示部の電源をオンとしてテストパターン表示によるエイジング処理を開始した後であって前記測定開始時刻までの間に、測定を中止する旨の入力を確認すると、本来の表示特性の状態での利用を可能として、測定を中止する表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の表示装置において、
電源スイッチを備え、
前記制御部は、前記映像表示部の電源をオンとしてテストパターン表示によるエイジング処理を開始した後であって前記測定開始時刻までの間に、前記電源スイッチの押下を確認すると、本来の表示特性の状態での利用を可能として、測定開始時刻を現在の測定開始時刻に第3の所定時間を加算したものとする表示装置。
【請求項8】
映像表示部と、
前記映像表示部による表示を測定する光学検出部と、
前記光学検出部による測定を行う測定開始時刻を受け付けると、前記測定開始時刻の第1の所定時間前に前記映像表示部の電源をオンとしてテストパターン表示によるエイジング処理を行い、前記測定開始時刻となると前記光学検出部に測定を行わせる制御部と、
電源スイッチと、を有する表示装置であって、
前記制御部は、前記映像表示部の電源をオンとしてテストパターン表示によるエイジング処理を開始した後であって前記測定開始時刻までの間に、前記電源スイッチの押下を確認すると、本来の表示特性の状態での利用を可能として、測定開始時刻を現在の測定開始時刻に第3の所定時間を加算したものとする表示装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の表示装置において、
電源スイッチを備え、
前記制御部は、前記測定開始時刻から前記測定が終了するまでの間は前記電源スイッチを無効とする表示装置。
【請求項10】
映像表示部と、
前記映像表示部による表示を測定する光学検出部と、
前記光学検出部による測定を行う測定開始時刻を受け付けると、前記測定開始時刻の第1の所定時間前に前記映像表示部の電源をオンとしてテストパターン表示によるエイジング処理を行い、前記測定開始時刻となると前記光学検出部に測定を行わせる制御部と、
電源スイッチと、を有する表示装置であって、
前記制御部は、前記第1の所定時間前から前記測定開始時刻までの間に、測定を延期する旨の入力または測定を中止する旨の入力を確認すると、本来の表示特性の状態での利用を可能とし、前記測定開始時刻から前記測定が終了するまでの間は前記電源スイッチを無効とする表示装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の表示装置において、
前記制御部は、前記測定の結果に応じて前記映像表示部の表示状態を調整する表示装置。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の表示装置において、
前記制御部は、複数の測定開始時刻を受け付け、前記複数の測定開始時刻のうち、最も速い測定開始時刻の前記第1の所定時間前に前記映像表示部の電源をオンとしてテストパターン表示によるエイジング処理を行い、前記最も速い測定開始時刻となると前記光学検出部に測定を行わせ、前記最も速い測定開始時刻以外の他の測定開始時刻については、該他の測定開始時刻の前記第1の所定時間前に開始されるエイジング処理および測定の一連の処理が、前記最も速い測定開始時刻に対して行われた前記エイジング処理および測定の一連の処理と重なるか否かを確認し、重なる場合は、前記他の測定開始時刻についての前記一連の処理を実施しない表示装置。
【請求項13】
映像表示部と、
前記映像表示部による表示を測定する光学検出部と、
前記光学検出部による測定を行う測定開始時刻を受け付けると、前記測定開始時刻の第1の所定時間前に前記映像表示部の電源をオンとしてテストパターン表示によるエイジング処理を行い、前記測定開始時刻となると前記光学検出部に測定を行わせる制御部と、を有する表示装置であって、
前記制御部は、
前記第1の所定時間前から前記測定開始時刻までの間に、測定を延期する旨の入力または測定を中止する旨の入力を確認すると、本来の表示特性の状態での利用を可能とし、
複数の測定開始時刻を受け付け、前記複数の測定開始時刻のうち、最も速い測定開始時刻の前記第1の所定時間前に前記エイジング処理を行い、前記最も速い測定開始時刻となると前記光学検出部に測定を行わせ、前記最も速い測定開始時刻以外の他の測定開始時刻については、該他の測定開始時刻の前記第1の所定時間前に開始されるエイジング処理および測定の一連の処理が、前記最も速い測定開始時刻に対して行われた前記エイジング処理および測定の一連の処理と重なるか否かを確認し、重なる場合は、前記他の測定開始時刻についての前記一連の処理を実施しない表示装置。
【請求項14】
映像表示部と、前記映像表示部による表示を測定する光学検出部と、制御部とを備えた表示装置で行われる映像表示部の表示測定方法であって、
前記制御部が、前記光学検出部による測定を行う測定開始時刻を受け付けると、前記測定開始時刻の第1の所定時間前に前記映像表示部の電源をオンとしてテストパターン表示によるエイジング処理を行い、前記測定開始時刻となると前記光学検出部に測定を行わせ、前記第1の所定時間前から前記測定開始時刻までの間に、測定を延期する旨の入力を確認すると、本来の表示特性の状態での利用を可能として、測定開始時刻を現在の測定開始時刻に第2の所定時間を加算したものとする映像表示部の表示測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関し、特に、表示される画像の輝度や色度を測定する機能を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療診断を行うシステムやグラフィックデザインを行うシステムなどで用いられる高輝度かつ高精細な表示装置では、輝度や色度を正しく安定して表示することが重要である。
特に、医療診断システムでは、表示装置が診断に適した表示状態にあることを定期的に確認する必要がある。表示装置の表示状態の確認は、表示装置に表示させたテストパターンを測定することにより行われる(例えば、特許文献1:特開2008−168044号公報参照)。
【0003】
測定では、
図11のように、表示装置1101の表示画面に測定パターン1102を表示させ、表示装置1101の表示画面上に配された光学センサ1103により表示されている測定パターン1101を測定し、結果を保存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−168044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図11に示したように、表示装置の測定は、表示装置1101の表示画面上に光学センサ1103を配置した状態で行われる。表示装置1101は、システムを構成する上位装置より供給される映像信号に応じた表示を行うが、表示画面上に光学センサ1103を配置した状態ではシステム利用者が表示を十分に確認することができず、システムを利用することができない。このため、表示装置の測定は、通常業務に差支えのないように、夜間などのシステムが使用されていないときに行われる。
一方、高輝度かつ高精細な表示装置では、十分あたためて安定させるためのエージングを行って、測定を行うことが必要となる。液晶表示装置の場合には、液晶パネルやバックライトなどは、電源投入直後には温度変化が激しく、輝度や色度が変化する要素となる。このような状態では、同じ映像を表示させていても輝度や色度が変化することがある。このため、測定を行う際には、事前に30分程度のエージングを行うことが望ましい。
【0006】
上述したように、測定はシステムが使用されていない時間帯に行われるが、このような時間帯にエージングを伴う長時間の作業に作業員が従事することは困難である。
また、通常システムが使用されていない時間帯であっても、使用されないことが保証されているわけではない。測定については確実かつ精度よく行うことが重要となる。
本発明は、輝度や色度が正しく安定して表示されているかを確認する測定を、確実かつ精度よく行う表示装置を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による表示装置は、映像表示部と、
前記映像表示部による表示を測定する光学検出部と、
前記光学検出部による測定を行う測定開始時刻を受け付けると、前記測定開始時刻の第1の所定時間前に前記映像表示部の電源をオンとし、前記測定開始時刻となると前記光学センサに測定を行わせる制御部と、を有する。
【0008】
本発明による映像表示部の表示測定方法は、映像表示部と、前記映像表示部による表示を測定する光学検出部と、制御部とを備えた表示装置で行われる映像表示部の表示測定方法であって、
前記制御 部が、前記光学検出部による測定を行う測定開始時刻を受け付けると、前記測定開始時刻の第1の所定時間前に前記映像表示部の電源をオンとし、前記測定開始時刻となると前記光学センサに測定を行わせる。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成を備える本発明の表示装置では、輝度や色度が正しく安定して表示されているかを確認する測定を、確実かつ精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明による表示装置の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示した実施形態で映像表示部103の一部に表示されるOSD画面を示す図である。
【
図3】
図1に示した実施形態の測定動作を示すフローチャートである。
【
図4】本発明による表示装置の第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図4に示した実施形態の動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図4に示した実施形態の動作を示すフローチャートである。
【
図7】複数のスケジュールが表示されたOSD画面を示す図である。
【
図8】複数のスケジュールが設定されたときの実施状態を示す図である。
【
図9】複数のスケジュールが設定されたときの実施状態を示す図である。
【
図10】複数のスケジュールが表示されたOSD画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明による表示装置の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
図1に示される表示装置100は、制御部である制御回路101、映像処理部である映像処理回路102、映像表示部103、テストパターン生成部であるテストパターン生成回路104、時計部である時計回路105、光学検出部である光学センサ106、記憶部である記憶回路107、およびインターフェース部であるインターフェース(I/F)回路108から構成されている。
【0012】
表示装置100は、上位装置とともに医療診断システムを構成するもので、上位装置からは映像信号および測定開始時刻を示す測定開始信号が入力される。映像信号は映像処理回路102に入力され、測定開始信号は制御回路101に入力される。I/F回路108は、システム利用者の入力を受け付ける入力部として表示装置100自体に設けられたもので、入力内容を示す信号を制御回路101へ出力する。なお、I/F回路108は、リモコンからの信号を受信する受信部を備えていてもよく、リモコンを介してシステム利用者の入力を受け付けるようにしてもよい。
【0013】
制御回路101は、時計回路105および記憶回路107と接続し、映像処理回路102およびテストパターン生成回路104へ制御信号を出力し、光学センサ106からの検出信号を入力する。
記憶回路107は制御回路101の動作プログラムを格納するもので、制御回路101は記憶回路107に格納されている動作プログラムに応じて制御動作を行う。また、記憶回路107は測定の結果を記憶する。
【0014】
テストパターン生成回路104は、制御回路101からのテストパターンを生成する旨を示すテストパターン制御信号を受け付けるとテストパターンを生成して映像処理回路102へ出力する。
映像処理回路102には上述した上位装置からの映像信号とテストパターン生成回路104からのテストパターンの他に、制御回路101からの映像制御信号が入力されている。
映像制御信号は、映像処理回路102に、映像表示部103に表示させる映像を指示するもので、映像処理回路102は映像制御信号の内容に応じて、入力された映像信号およびテストパターンを表示させ、また、OSD(オンスクリーンディスプレイ:On−screen display)を映像表示部103に表示させる内容の映像信号を生成して映像表示部103に出力する。
【0015】
映像表示部103は、映像処理回路102から出力された映像信号に応じて映像を表示する。映像表示部103は、表示素子である液晶パネルや液晶パネルに光を照射する光源等から構成される。また、映像表示部103は、自発光型の表示素子が用いられている場合、光源は不要となる。
光学センサ106は、
図11に示したように、映像表示部103の一部に表示されたテストパターンを測定し、結果を制御回路101へ出力する。
【0016】
時計回路105は時刻を示す時刻信号を制御回路101へ出力する。
図2は、本実施形態で映像表示部103の一部に表示されるOSD画面を示す図である。測定開始時刻は、システム利用者が上位装置に設定する。測定開始時刻が設定されると、上位装置は、表示装置に測定開始時刻を通知する。OSD画面に表示されている測定開始時刻は、上位装置から入力された測定開始信号が示す測定開始時刻に設定される。
【0017】
表示装置の表示状態の測定は、測定開始時刻になると開始される。制御回路101は時計回路105から現在の時刻を示す時刻信号が入力される。制御回路101は測定開始時刻になると光学センサ106に測定を開始させる。
図3は、本実施形態の測定動作を示すフローチャートである。以下に、
図1とともに
図3を参照して本実施形態の動作について説明する。
【0018】
制御回路101は、時計回路101からの時刻信号を確認することにより、測定開始時刻の第1の所定時間である30分(エージング時間)前の時刻になったかを確認する(ステップS301)。ステップS301にて測定開始時刻の30分前の時刻になったことが確認されると、映像表示部103の電源がオン状態にあるかを確認し(ステップS302)、映像表示部103の電源がオン状態にある場合にはステップS304へ移行し、映像表示部103の電源がオン状態となっていない場合にはオン状態として(ステップS303)ステップS304へ移行する。
【0019】
ステップS304では、テストパターンおよびOSDの表示が以下のように行われる。
制御回路101は、テストパターンを発生させる為にテストパターン制御信号をテストパターン生成回路104へ送り、テストパターンを生成させる。このテストパターンは映像処理回路102へ送られる。制御回路101は映像処理回路102に、テストパターンを映像表示部103へ出力させるとともに、OSDを表示させる映像制御信号を送る。これにより、映像表示部103へテストパターンとOSDを表示する信号が送られ、テストパターンおよびOSDが表示される。このように、入力映像信号が入っていなくとも、映像表示部103へ信号を入れて映すことが可能となり、映像表示部103をエージングすることが出来る。
【0020】
上記のOSDは測定を行うためのエージング中であること、測定の延期や中止が可能であることをシステム利用者に示すために表示するもので、以下が表示される。
「測定を中止する場合SW1を押してください」
「測定開始を延期する場合SW2を押してください」
スイッチSW1,SW2は、I/F回路108に設けられているが、上位装置に設けるものとしてもよい。
【0021】
ステップS304の後には、スイッチSW1,SW2の押下状態を監視することで、延期処理が入ったかの確認(ステップS305)、中止処理が入ったかの確認(ステップS307)、測定開始時刻になったかの確認(ステップS308)が行われる。ステップS305にてスイッチSW1が押下されたことが確認された場合には、測定開始時刻を現在の測定開始時刻に第2の所定時間である1時間加算したものとし(ステップS306)、ステップS301に戻って上記の動作を繰り返す。
【0022】
ステップS307にてスイッチSW2が押下されたことが確認された場合には、終了となる。
制御回路101は、時計回路101からの時刻信号により測定開始時刻となったことを確認すると、テストパターン(所定の画像)として表示される、白/黒/赤/緑/青や各色の中間調の色(所定の色および/または各色の中間調の色)の輝度や色度(輝度および/または色度)の測定を光学センサ106に行わせ(ステップS309)、光学センサ106より送られてきた測定結果を記憶回路107に保存して(ステップS310)終了する。
【0023】
なお、上述した実施形態では、測定開始時刻は上位装置から入力された測定開始信号に基づいて設定されたが、I/F回路108への測定開始時刻の入力に基づいて設定される構成としてもよい。例えば、システム利用者はI/F回路108を介して測定開始時刻の設定開始を入力する。制御回路101は測定開始時刻の入力を促すOSDを映像表示部103に表示させる。システム利用者はI/F回路108を介して測定開始時刻を入力する。I/F回路108は入力された測定開始時刻を示す測定開始信号を制御回路101へ出力する。制御回路101は、入力された測定開始信号に基づいて測定開始時刻を設定する。制御回路101は時計回路105からの時刻信号を用いてエージング開始時刻になるとエージングを開始し、測定開始時刻になると光学センサ106に測定を開始させる。
【0024】
また、上述した実施形態では、制御回路101は時計回路105からの時刻信号によりエージング開始時刻や測定開始時刻の確認を行うものとして説明したが、制御回路101はI/F回路108への測定開始時刻の入力に連動して、エージング開始時刻や測定開始時刻にアラーム信号を送出するように時計回路105を制御する構成としてもよい。
また、測定結果は記憶回路107に保存することとして説明したが、その後、記憶回路107に保存されている測定結果をOSDで表示することとしてもよい。さらには、携帯端末の外部アプリケーションにより記憶回路107に保存されている測定結果の取り出しを可能な構成としてもよい。このような構成とすることにより、システム利用者の測定結果の確認が容易となる。
【0025】
上記の構成による本実施形態の表示装置においては、予め設定された測定開始時刻となると、エージングが完了した状態で表示状態の測定が行われるので、確実かつ精度の高い測定を行うことができる。
また、測定が設定された時間帯にシステムを利用する事態が発生した場合でも、測定の延期や中止が可能となっており、システムの利用状況に応じて柔軟に対処することができるものとなっている。
【0026】
測定が延期または中止とされてシステムが利用される場合には、表示装置はエージング中であったため、すぐに本来の表示特性の状態で使用することが可能となる。
上記の中断処理または延期処理は、実施形態で説明したように、OSDを確認したシステム利用者がI/F回路108へ入力する構成のほかに、例えば、人感センサを設けて、エージング開始(時刻)から測定開始(時刻)までの間に人感センサが人を感知したときに中止または延期する構成としても良い。この場合、人感センサによる中止または延期はシステム利用者により設定可能としてもよい。中止と設定された場合、人感センサから出力される人を感知したことに対応する信号は、測定を中止する旨の信号となる。延期と設定された場合、人感センサから出力される人を感知したことに対応する信号は、測定を延期する旨の信号となる。なお、人感センサは、物を検出するセンサでもよく、例えば、表示部の前の所定の範囲に物があることを検出すると、検出した物を人として判定して動作してもよい。
【0027】
また、延期した場合、本来エージング時間は映像表示部などを温めるための物であるため、十分温まったことが確認出来れば、エージング時間を省略することも可能である。つまり、延期処理が入った場合でも十分エージング時間以上電源が入っている状態であれば、エージング済の状態として測定をスタートしても良い。具体的には、
図3に示すフローチャートにおけるステップS301でのエージングを0として処理して進むこととなり、ステップS308の処理をYESとして進むものとなる。
【0028】
ただし、一度電源が落とされると、映像表示部が冷めるため、再度エージングスタートからするのが望ましい。また、上記はエージングされていることを十分とするため時間で管理しているが、内部に図示しない温度センサを設けて、温度によって管理しても良い。その場合は、温度が飽和したかどうかで判断すればよいことになる。飽和したかどうかは、例えば、所定時間における温度の変化量が所定値以下であるかにより確認すればよい。
測定開始時刻は、OSDで確認し、I/F回路108で設定することとして説明したが、表示装置100に図示しない通信ラインを設けて、PC等からアプリケーションにて使用開始時刻を設定することとしても良い。
【0029】
延期時間については1時間としたが、1時間にこだわる必要もなく、ユーザーが延期時間を設定できるようにしても良い。
ステップS309で行われる測定の結果が、表示状態が悪いことを示すものである場合、制御回路101が映像表示部103の表示状態を調整し、測定結果と調整結果を記憶回路107に保存することとしてもよい。このような構成とすることで、システム利用者が使用する際には、正しい表示状態にて使用することが可能となる。
【0030】
また、測定結果に応じて、表示状態の良否をOSDで表示させるようにシステム利用者が設定することが可能な構成としてもよい。
なお、
図1では、テストパターンを生成してエージングを実施しているが、信号を既に受信している場合には、テストパターンを生成しなくとも、受信している信号を表示することとしても良い。
【0031】
OSDで確認し、I/F回路108で設定する時刻を測定開始時刻としているが、エージング開始時刻としても良い。上述した調整を行う場合には、調整時刻とした方が望ましい。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0032】
図4は本発明による表示装置の第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
本実施形態の表示装置100の構成は
図1に示したものと同様である。本実施形態は、
図1では不図示としていた電源スイッチに係る動作を制御するものであるため、
図4には電源スイッチ401を具体的に示している。
【0033】
本実施形態は、エージング中にシステム利用者が間違えて表示装置100の電源スイッチ401をオフ状態とすることを想定し、これに対処するものである。
電源スイッチ401をオフ状態とすることは、表示装置100の映像表示部103に電源が入っていない電源オフ状態とすることを意味する。
【0034】
電源スイッチ401をシステム利用者が押下することで電源スイッチ401が出力した電源スイッチ信号が制御回路101に入力されることで、制御回路101はシステム利用者が電源スイッチ401を押下したかを判断することが出来る。
例えば、表示装置100が上位装置から送られてきた映像信号に示される映像を表示している時に、電源スイッチ401が押下されて電源スイッチ信号が入力されると、制御回路101は表示装置100の電源を落とすことが出来、また、表示装置100の電源が入っていない時に、電源スイッチ401が押下されて電源スイッチ信号が入力されると、制御回路101は表示装置100の電源を投入することが可能となる。
【0035】
図5は本実施形態の動作を示すフローチャートであり、
図3に示したフローチャートにステップS501〜S503が追加されている。
本実施形態では、エージングが始まった段階で、延期処理が入ったかの確認(ステップS305)、中止処理が入ったかの確認(ステップS307)、とともに電源スイッチ401が押下されたかどうかの確認(ステップS501)が行われる。
【0036】
ステップS501にて電源スイッチ401が押下されたことが確認された場合には、測定開始時刻を現在の測定開始時刻に第3の所定時間である1時間加算したものとし(ステップS502)、電源オフ状態として(ステップS503)、ステップS301に戻って上記の動作を繰り返す。
ステップS501にて電源スイッチ401が押下されたことが確認されなければ、
図3と同じ処理となる。なお、上記の動作において、第3の所定時間は第2の所定時間と同じ1時間として説明したが、これらは同じ時間である必要はなく、任意に設定されてよい。
【0037】
上記の動作とすることにより、システム利用者が電源スイッチ401をオフ状態とした場合であっても、測定開始時刻が延長された後に測定が開始されることとなる。
また、上記の実施形態では、一度電源オフ状態とすることとして説明しているが、
図6のフローチャートに示すように、測定の開始時に電源スイッチを無効化し(ステップS601)、測定終了時に電源スイッチを有効化する(ステップS602)ことで、ユーザーが間違えて電源オフ状態とすることを防止することも可能である。
【0038】
また、表示装置に設けられた電源スイッチの誤押下ではなく、電源プラグがコンセントから抜けた場合にこれに対処することについて検討する。
図3のステップS304の測定開始時に、測定状態フラグを測定開始として記憶回路107に記憶させ、ステップS308の結果保存時に測定状態フラグを測定終了として記憶回路107に記憶させることとする。
【0039】
上記の間に、電源プラグがコンセントから抜けることで、
図3に示したフローチャートの途中で中断することになってしまうが、この後、電源プラグがコンセントに挿入された際に、記憶回路107をチェックし、測定状態フラグが測定開始と書かれていた場合には、「測定開始時刻−エージング時間」になった場合と同じ処理、すなわち、ステップS302以後の動作を行うこととすることで、その時点からエージングをスタートさせて測定を行うことが可能となる。
上記の動作を行うことした場合には、エージングや測定の途中で電源プラグがコンセントから抜けた場合でも、再度電源が入った時に測定を始められることが出来るため、測定をし忘れることがなくなる。
【0040】
また、「測定開始時刻−エージング時間」になる前に電源プラグがコンセントから抜けていた場合でも、
図2で設定した時刻での計測を終えたかどうかのフラグを記憶回路107に記憶させておくことで、時計回路105が示す時刻と「測定開始時刻−エージング時間」を比較して、既に時刻が過ぎており、かつ、未測定であれば、ステップS302以後の処理に進ませることで測定を可能とすることが出来る。
【0041】
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、エージングや測定動作中にシステム利用者による延期や中止を実施する場合について説明をしたが、本実施形態は、複数設定された測定スケジュールによる動作がバッティングした場合の動作について説明する。
図7に示すように、測定スケジュール1として土曜日の6:10が指定され、測定スケジュール2として毎日の6:30が指定されている。
【0042】
図8は、スケジュール1とスケジュール2のエージングと測定の時刻の推移を示すもので、2つのスケジュールによりエージングや測定動作が重なる時間帯が発生する場合には、早い時刻に設定されているスケジュールによる動作が起動し、
図3に示したフローチャートに従って、エージングと測定の処理がなされる。早い時刻に設定されているスケジュール1による測定処理が終わった後に、スケジュール2の予定をチェックし、スケジュールが重なっていれば、スケジュール2による処理をスキップすることとする。これは、同じくらいの時刻に同じ測定を2回しても意味がないためである。
【0043】
また、
図9に示すように、スケジュール1の予定時刻による測定が延期された場合においても、延期後の終了時刻までの間に、スケジュール2が予定されていれば、上記と同様にスキップされる。
上記によらず、準備から終了までのトータル時刻にて複数のスケジュールが重なる場合に、例えば、スケジュール番号の若い数字が優先度上として、優先度が高いもののみを実施しても良い。
【0044】
また、スケジュールの優先順位をユーザーが設定できるようにしても良い。
さらに、スケジュールで実行される機能を選択するようにした場合、実行される機能に応じて処理を優先して実施することとしてもよい。
図10には、測定スケジュール1として土曜日の6:10に「測定」を行うことが指定され、測定スケジュール2として毎日の6:30に「調整」を行うことが指定されている。本実施形態の場合には「調整」の方が優先度は高いものとされているので、スケジュール2のみが実施されることとなる。
【符号の説明】
【0045】
100 表示装置
101 制御回路
102 映像処理回路
103 映像表示部
104 テストパターン生成回路
105 時計回路
106 光学センサ
107 記憶回路
108 I/F回路
401 電源スイッチ