(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の複数の実施形態に関して図面を参照して以下に説明する。ただし、本実施形態に関して前述した一従来例と同一の部分に関しては、同一の名称を使用して詳細な説明は省略する。
【0012】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態による取付部材の最小構成を示す図である。
図2は、本発明の取付部材を、第一の対象部材に取り付ける場合の構成を示す図である。
図3は、本発明の取付部材を、第二の対象部材に取り付ける場合の構成を示す図である。
図1に示すように、取付部材1は、部材本体2と、第一の突起3と、第二の突起4と、出没機構5と、を少なくとも備えていればよい。
【0013】
図2、
図3に示すように、取付部材1は、異なる種類の対象部材101、102にそれぞれ取付可能である。対象部材101、102の構成については、何ら限定されない。第一の対象部材101は、第一の被係合部101aを備える。第二の対象部材102は、第二の被係合部102aを備える。第一の被係合部101aと第二の被係合部102aとは、互いに異なる。第一の被係合部101aと第二の被係合部102aとは、その形状、寸法(大きさ)等が互いに異なっていればよい。
【0014】
図1に示すように、部材本体2は、その端部2aに、第一の突起3と第二の突起4とを備える。部材本体2の構成については、何ら限定するものではなく、各種の機器、機器等を支持する支持部材、支持部材を対象部材101、102に取り付けるためのブラケット等、いかなるものであってもよい。
【0015】
図1、
図2に示すように、第一の突起3は、部材本体2の端部2aに設けられている。第一の突起3は、第一の対象部材101に形成された第一の被係合部101aに係合可能である。
【0016】
図1、
図3に示すように、第二の突起4は、部材本体2の端部2aに設けられている。第二の突起4は、第二の対象部材102に形成された第二の被係合部102aに係合可能である。
【0017】
出没機構5は、第二の突起4を、部材本体2の端部2aから出没させる。
【0018】
図2に示すように、この取付部材1は、第一の対象部材101に取り付ける場合、第一の突起3を第一の被係合部101aに係合させる。第一の突起3を第一の被係合部101aに係合させて取付部材1を第一の対象部材101に取り付けた状態で、第二の突起4が第一の対象部材101に干渉するのであれば、第二の突起4を、出没機構5により、端部2aから突出させず、端部2aの内側に退避させる。これにより、第二の突起4と第一の対象部材101とが干渉するのを抑えることができる。したがって、第一の突起3を第一の被係合部101aに係合させて取付部材1を第一の対象部材101に取り付けたときに、部材本体2の端部2aと第一の対象部材101との間に隙間が形成されるのを抑えることができる。その結果、部材本体2の端部2aと第一の対象部材101とを密着させて、取付部材1の第一の対象部材101への取付強度を高めることができる。
【0019】
図3に示すように、この取付部材1は、第二の対象部材102に取り付ける場合、第二の突起4を第二の被係合部102aに係合させる。
なお、この状態で、第一の突起3は、第二の被係合部102aに係合させてもよい。また、第一の突起3に、第二の突起4と同様の出没機構を備え、端部2aの内側に退避させてもよい。
【0020】
上記実施形態において、第一の突起3、第二の突起4、第一の被係合部101a、第二の被係合部102aは、その形状、配置、設置数等について、何ら限定するものではない。第一の突起3と第一の被係合部101a、第二の突起4と第二の被係合部102aとが、それぞれ係合可能であればよい。
【0021】
また、上記実施形態において、出没機構5は、第二の突起4を端部2aから出没させることができるのであれば、その具体的な構成については何ら限定されない。
【0022】
さらに、上記実施形態において、取付部材1と、第一の対象部材101、第二の対象部材102とは、ボルト、溶接、接着等の接合手段によって、互いに接合するようにしてもよい。
【0023】
[第2の実施形態]
図4は、本実施形態による部材の取付構造の最小構成を示す図である。
この図が示すように、部材11の取付構造は、対象部材111に形成された被係合部111aに対して第一の突起13が係合し、第二の突起14が出没機構15によって部材本体12の端部12aの内側に退避した構成を、少なくとも備えていればよい。
【0024】
部材11は、部材本体12と、第一の突起13と、第二の突起14と、出没機構15と、を備える。
【0025】
部材本体12は、その端部12aに、第一の突起13と第二の突起14とを備える。部材本体12の構成については、何ら限定するものではなく、各種の機器、機器等を支持する支持部材、支持部材を対象部材111に取り付けるためのブラケット等、いかなるものであってもよい。
【0026】
第一の突起13は、部材本体12の端部12aに設けられている。
第二の突起14は、部材本体12の端部12aに設けられている。
【0027】
出没機構15は、第二の突起14を、部材本体12の端部12aから出没させる。
【0028】
部材11は、対象部材111に形成された被係合部111aに対して第一の突起13が係合している。また、第二の突起14は、出没機構15により、端部12aから突出せず、部材本体12の端部12aの内側に退避している。部材11は、第二の突起14の周囲の部材本体12の端部12aが、対象部材111に突き当たっている。
【0029】
この部材11の取付構造は、第一の突起13を被係合部111aに係合させて部材11を対象部材111に取り付けられる。この状態で、第二の突起14は、出没機構15により、端部12aから突出させず、端部12aの内側に退避している。これにより、第二の突起14と対象部材111とが干渉するのを抑えることができる。したがって、部材本体12の端部12aと対象部材111との間に隙間が形成されるのを抑えることができる。その結果、部材本体12の端部12aと対象部材111とを密着させて、部材11の対象部材111への取付強度を高めることができる。
【0030】
また、部材11は、第二の突起14を用いて、他の対象部材(図示無し)に取り付けることもできる。その場合、部材11は、第二の突起14を他の対象部材に設けられた他の被係合部(図示無し)に係合させる。
なお、この状態で、第一の突起13は、他の被係合部に係合させてもよい。また、第一の突起13に、第二の突起14と同様の出没機構を備え、端部12aの内側に退避させてもよい。
【0031】
上記実施形態において、第一の突起13、第二の突起14、被係合部111aは、その形状、配置、設置数等について、何ら限定するものではない。第一の突起13と被係合部111aとが、互いに係合可能であればよい。
【0032】
また、上記実施形態において、出没機構15は、第二の突起14を端部12aから出没させることができるのであれば、その具体的な構成については何ら限定されない。
【0033】
[第3の実施形態]
図5は、本実施形態による部材の取付方法の最小構成を示す図である。
図6は、本実施形態による部材の取付方法の係止工程における部材本体と対象部材との係止状態を示す図である。
この図が示すように、部材21の取付方法は、以下の係合工程S1と、接続工程S2とを少なくとも備えていれば良い。
【0034】
図6に示すように、係合工程S1では、部材21の部材本体22の端部22aに設けられた第一の突起23を、対象部材121に形成された被係合部121aに係合させる。また、部材本体22の端部22aから出没可能に設けられた第二の突起24を、端部22aの内側に退避させる。さらに、第二の突起24の周囲の部材本体22の端部22aを、対象部材121に突き当てる。
【0035】
接続工程S2では、部材本体22の端部22aと対象部材121とを接続する。
【0036】
この部材21の取付方法は、第一の突起23を被係合部121aに係合させて部材21を対象部材121に取り付ける。この状態で、第二の突起24を、端部22aから突出させず、端部22aの内側に退避させている。これにより、第二の突起24と対象部材121とが干渉するのを抑えることができる。したがって、部材本体22の端部22aと対象部材121との間に隙間が形成されるのを抑えることができる。その結果、部材本体22の端部22aと対象部材121とを密着させて接続することができ、部材21の対象部材121への取付強度を高めることができる。
【0037】
上記実施形態において、部材本体22の構成については、何ら限定するものではなく、各種の機器、機器等を支持する支持部材、支持部材を対象部材121に取り付けるためのブラケット等、いかなるものであってもよい。
【0038】
上記実施形態において、第一の突起23、第二の突起24は、その形状、配置、設置数等について、何ら限定するものではない。第一の突起23と被係合部121aとが係合可能であればよい。
【0039】
上記実施形態において、第二の突起24を端部22aから出没させることができるのであれば、その具体的な構成については何ら限定されない。
【0040】
[第4の実施形態]
図7は、本実施形態による取付部材、部材の取付構造が適用されるラックサーバの概略構成を示す斜視図である。
この図が示すように、ラックレール40は、サーバラック30に装着される。
【0041】
サーバラック30は、箱状をなしたサーバ装置200を上下方向に複数段に積層して収容する。サーバラック30は、下部フレーム31と、ラック支柱32と、上部フレーム33と、を備える。
【0042】
下部フレーム31は、平面視矩形状で、床面と平行に配置されている。本実施形態において、下部フレーム31は、平面視長方形状をなしている。以下の説明において、下部フレーム31の長手方向を、前後方向Daと称し、下部フレーム31の短手方向を幅方向Dwと称する。また、前後方向Da及び幅方向Dwに直交する方向を上下方向Dvと称する。
【0043】
下部フレーム31は、その下面の四隅に、アジャスター31cを有している。アジャスター31cは、その下端が床面に接地する。アジャスター31cは、下部フレーム31の下面から下方への突出寸法が調整可能となっている。四隅のアジャスター31cの突出寸法を調整することで、サーバラック30の設置水平度の調整を行う。
【0044】
ラック支柱32は、下部フレーム31の四隅にそれぞれ配置されている。各ラック支柱32は、下部フレーム31から上下方向Dvにおいて上方に向かって延びている。
【0045】
上部フレーム33は、複数本のラック支柱32上に支持されている。上部フレーム33は、平面視矩形状で、下部フレーム31と平行に配置されている。
【0046】
ラックレール40は、サーバラック30の幅方向Dwの両側にそれぞれ設けられる。それぞれのラックレール40は、前後方向Daに延び、前後方向Da一方のラック支柱32fと、前後方向Da他方のラック支柱32rとの間に取り付けられている。
幅方向Dw両側のラックレール40は、互いに、上下方向Dvにおいて同じ高さに設けられている。
【0047】
図8は、本実施形態による取付部材であるラックレールを、一方の端部側から見た斜視図である。
図9は、本実施形態による取付部材であるラックレールを他方の端部側から見た斜視図である。
以下、ラック支柱32に取付可能なラックレール40について説明する。
図8、
図9に示すように、ラックレール(取付部材、部材)40は、レール本体(部材本体)41と、第一固定部50Aと、第二固定部50Bと、を備える。
【0048】
図8に示すように、レール本体41は、アウターレール42と、インナーレール43と、を備える。アウターレール42は、前後方向Daから見た断面形状が上下方向Dvに長い矩形状、又はC字状で、前後方向Daに連続して延びている。アウターレール42は、前後方向Da一方の端部42aに、前後方向Daに直交する端板42tを備える。
【0049】
また、アウターレール42は、サーバラック30の幅方向Dw内側を向く側面42dに、支持ブラケット45を備える。支持ブラケット45は、前後方向Daから見た断面形状がL字状で、サーバラック30の側面42dから幅方向Dw内側に突出する支持板部45aを有する。幅方向Dw両側に設けられた支持板部45a上に、サーバ装置200等の幅方向Dwの両端部が載置される。
【0050】
インナーレール43は、前後方向Daから見た断面形状が、上下方向Dvに長い矩形状、又はC字状で、前後方向Daに連続して延びている。インナーレール43は、アウターレール42の前後方向Da他方の端部42bからアウターレール42の内側に挿入されている。インナーレール43は、アウターレール42の内側で、前後方向Daにスライド移動自在となっている。レール本体41は、インナーレール43がアウターレール42の端部42bの内側から前後方向Daに出没するようにスライドすることで、前後方向Daの長さが調整可能となっている。
また、
図9に示すように、インナーレール43は、前後方向Da他方の端部43bに、前後方向Daに直交する端板43tを備える。
【0051】
図8に示すように、レール本体41は、前後方向Da一方の第一端部(端部)41aに、第一固定部50Aを備える。第一固定部50Aは、アウターレール42の端板42tに設けられている。第一固定部50Aは、丸突起(第一の突起)51Aと、角突起(第二の突起)52Aと、出没機構53A(
図10参照)と、ネジ孔54Aと、を備える。
【0052】
丸突起51Aは、前後方向Daから見て円形で、端板42tから直交する方向に突出している。丸突起51Aは、端板42tの上下方向Dv両端部に一対が設けられている。
【0053】
角突起52Aは、前後方向Daから見て幅方向Dwに長辺を有する長方形状をなしている。幅方向Dwにおける角突起52Aの幅寸法(外形寸法)L2が、丸突起51Aの前後方向Daに直交する方向の直径(外形寸法)L1よりも大きい。換言すると、丸突起51Aは、レール本体41の第一端部41aと第二端部(端部)41bとを結ぶ前後方向Daに直交する方向における外形寸法が、角突起52Aよりも小さい。また、丸突起51Aと角突起52Aとは、前後方向Daから見た形状が互いに異なっている。
このような角突起52Aは、端板42tの上下方向Dvに間隔をあけて一対が設けられている。これら一対の角突起52Aは、一対の丸突起51Aの間に配置されている。
【0054】
ネジ孔54Aは、アウターレール42の端板42tを前後方向Daに貫通して形成されている。ネジ孔54Aは、その内周面に雌ネジ溝が形成されている。
上記の丸突起51A、角突起52A、及びネジ孔54Aは、上下方向Dvに沿って直線的に配列されている。
【0055】
図10は、本実施形態による取付部材の出没機構を示す断面図である。
図10に示すように、出没機構53Aは、角突起52Aを、レール本体41の第一端部41aから出没させる。出没機構53Aは、突起部材56と、保持ブラケット(保持部材)57と、付勢バネ(付勢部材)58と、を備える。
【0056】
突起部材56は、角突起52Aを形成する。突起部材56は、基部56aと、一対の壁部56bと、爪部56cと、バネ挿入部56dと、ストッパ部56eと、を備える。突起部材56は、金属板をプレス加工によって所定形状に折り曲げて形成されている。
【0057】
基部56aは、板状で、幅方向Dwに直交する面内に位置している。一対の壁部56bは、基部56aの上下両端から幅方向Dwに突出している。一対の壁部56bは、それぞれ幅方向Dwに所定幅を有し、前後方向Daに連続している。基部56aと一対の壁部56bとにより、突起部材56は、前後方向Daから見てC字状をなしている。
【0058】
爪部56cは、一対の壁部56bのそれぞれから連続して、前後方向Daの一方に向かって突出している。これらの爪部56cの先端部が角突起52Aを形成している。爪部56c(角突起52A)は、端板42tに形成されたスリット42sを通して、前後方向Daに沿って端板42tから出没可能とされている。
【0059】
バネ挿入部56dは、基部56aの前後方向Daの他方の端部から前後方向Daに突出している。バネ挿入部56dは、後述する付勢バネ58の内側に挿入される。
【0060】
ストッパ部56eは、基部56aの前後方向Daの一方の端部から幅方向Dwに突出している。ストッパ部56eは、端板42tに突き当たることで、爪部56c(角突起52A)の前後方向Daへの突出寸法を規制する。
【0061】
保持ブラケット57は、レール本体41のアウターレール42に固定される。保持ブラケット57は、基部57aと、一対のガイド部57bと、端壁部57cと、を一体に有する。保持ブラケット57は、金属板をプレス加工によって所定形状に折り曲げて形成されている。
【0062】
基部57aは、板状で、幅方向Dwに直交する面内に設けられている。一対のガイド部57bは、基部57aの上下方向Dv両側に設けられている。各ガイド部57bは、前後方向Daに連続し、突起部材56が前後方向Daに移動可能となるようガイドする。端壁部57cは、基部57aの前後方向Daの他方の端部に設けられている。端壁部57cは、前後方向Daに直交する面内に設けられている。
【0063】
付勢バネ58は、例えばコイルバネからなる。付勢バネ58は、保持ブラケット57の端壁部57cと、突起部材56の基部56aとの間に、圧縮状態で設けられている。これにより、付勢バネ58は、突起部材56の爪部56c(角突起52A)を、レール本体41の第一端部41a(アウターレール42の端板42t)から突出する方向に付勢する。
角突起52Aは、付勢バネ58によって付勢され、ストッパ部56eがアウターレール42の端板42tに突き当たった状態で、端板42tから前後方向Daに突出する。また、角突起52Aは、外力によって、付勢バネ58の付勢力に抗して端板42t側に押圧されると、端板42tからの突出寸法が小さくなる方向に押し込まれる。
【0064】
図9に示すように、レール本体41は、前後方向Da他方の第二端部41bに、第二固定部50Bを備える。第二固定部50Bは、インナーレール43の端板43tに設けられている。第二固定部50Bは、丸突起(第一の突起)51Bと、角突起(第二の突起)52Bと、出没機構53B(
図10参照)と、ネジ孔54Bと、仮係止爪(第三の突起)55と、を備える。丸突起51B、角突起52B、出没機構53B、及びネジ孔54Bは、基本的に、第一固定部50Aの丸突起51A、角突起52A、出没機構53A、及びネジ孔54Aと同様である。したがって、以下においては、丸突起51B、角突起52B、出没機構53B、及びネジ孔54Bの構成が、第一固定部50Aの丸突起51A、角突起52A、出没機構53A、及びネジ孔54Aと異なる部分を中心に説明を行う。
【0065】
丸突起51Bは、丸突起51Aと同様、前後方向Daから見て円形で、端板43tから直交する方向に突出している。
【0066】
角突起52Bは、角突起52Aと同様、前後方向Daから見て幅方向Dwに長辺を有する長方形状をなしている。角突起52Bの幅寸法L2が、丸突起51Bの前後方向Daに直交する方向の直径L1よりも大きい。なお、角突起52Aと角突起52B、丸突起51Aと丸突起51Bは、それぞれ同寸法で形成されている。
【0067】
ネジ孔54Bは、インナーレール43の端板43tを前後方向Daに貫通して形成されている。ネジ孔54Bは、その内周面に雌ネジ溝が形成されている。
【0068】
図10に示すように、出没機構53Bは、角突起52Bを、レール本体41の第二端部41bから出没させる。出没機構53Bは、出没機構53Aと同様、突起部材56と、保持ブラケット57と、付勢バネ58と、を備える。
【0069】
図9に示すように、仮係止爪55は、インナーレール43の端板43tから前後方向Daに突出している。仮係止爪55は、板状で、幅方向Dwに直交する面内に位置している。仮係止爪55は、端板43t側の爪基部55aの上下に、上下方向Dvに窪む切欠き部55cがそれぞれ形成されている。仮係止爪55の先端部55sは、上下方向Dvの高さ寸法L3が、丸突起51Bの直径L1以下である。
仮係止爪55は、上下方向Dvに間隔をあけて設けられた一対の角突起52Bの間に設けられている。
このようなインナーレール43は、金属板をプレス加工によって所定形状に折り曲げることで形成されている。
【0070】
次に、ラック支柱32に対する上記ラックレール40の取付構造について説明する。
上記ラックレール40は、異なる2種類の支柱部材34X、34Yに取付可能である。
図7に示すように、支柱部材34X、34Yは、それぞれ、サーバラック30のラック支柱32を構成するものである。
【0071】
図11は、本実施形態によるラックレールの一方の端部の、第一の対象部材としての支柱部材に対する取付構造を示す斜視図である。
図12は、本実施形態によるラックレールの一方の端部の、第一の対象部材としての支柱部材に対する取付構造を示す側断面図である。
図13は、本実施形態によるラックレールの他方の端部の、第一の対象部材としての支柱部材に対する取付構造を示す斜視図である。
図14は、本実施形態によるラックレールの他方の端部の、第一の対象部材としての支柱部材に対する取付構造を示す側断面図である。
図11〜
図14に示すように、支柱部材(対象部材、第一の対象部材)34Xは、支柱本体35(
図11、
図13参照)と、取付ブラケット36Xと、を備える。支柱本体35は、上下方向Dvに延び、ラック支柱32として所要の強度を有している。取付ブラケット36Xは、支柱本体35の側面に固定されている。取付ブラケット36Xは、支柱本体35からサーバラック30の幅方向Dw内側に突出している。
【0072】
取付ブラケット36Xは、上下方向に所定間隔をあけて、複数の係止孔(第一の被係合部、被係合部)37を有している。係止孔37は、前後方向Daから見て円形状である。係止孔37は、取付ブラケット36Xを前後方向Daに貫通している。
【0073】
係止孔37には、ラックレール40の丸突起51A、51Bが係合可能となっている。すなわち、係止孔37は、その内径Dが、丸突起51A、51Bの直径L1よりも大きい。また、係止孔37は、その内径Dが、角突起52A、52Bの幅寸法L2(
図8、
図9参照)よりも小さい。つまり、係止孔37には、角突起52A、52Bが係合不能となっている。
【0074】
図15は、本実施形態によるラックレールの一方の端部の、第二の対象部材としての支柱部材に対する取付構造を示す斜視図である。
図16は、本実施形態によるラックレールの他方の端部の、第二の対象部材としての支柱部材に対する取付構造を示す斜視図である。
図15、
図16に示すように、支柱部材(対象部材、第二の対象部材)34Yは、支柱本体35と、取付ブラケット36Yと、を備える。支柱本体35は、上下方向Dvに延び、ラック支柱32として所要の強度を有している。取付ブラケット36Yは、支柱本体35の側面に固定されている。取付ブラケット36Yは、支柱本体35からサーバラック30の幅方向Dw内側に突出している。
【0075】
取付ブラケット36Yは、上下方向に所定間隔をあけて、複数の係止孔(第二の被係合部)38を有している。係止孔38は、前後方向Daから見て正方形状である。係止孔38は、取付ブラケット36Yを前後方向Daに貫通している。
【0076】
係止孔38には、ラックレール40の角突起52A、52Bが係合可能となっている。すなわち、係止孔38は、上下方向Dv及び幅方向Dwにおける開口寸法Av、Awが、角突起52A、52Bの幅寸法L2(
図8、
図9参照)よりも大きい。したがって、角突起52A、52Bよりも小さい直径L1を有する丸突起51A、51Bも、係止孔38に対して係合可能となっている。
【0077】
上記したような支柱部材34X、34Yは、適宜選択されてサーバラック30に組み込まれる。ただし、それぞれのサーバラック30において、全てのラック支柱32は、同じ種類の支柱部材34X又は支柱部材34Yが組み込まれる。
【0078】
まず、ラックレール40を、円形の係止孔37を有した支柱部材34Xに取り付ける場合について説明する。
図11、
図12に示すように、レール本体41の第一端部41aでは、丸突起51Aが係止孔37に係合される。これにより、レール本体41の第一端部41aは、幅方向Dwおよび上下方向Dvへの移動が拘束される。
角突起52Aは、ラック支柱32の取付ブラケット36Xに突き当たることで、出没機構53Aの付勢バネ58の付勢力に抗して押し込まれ、レール本体41の第一端部41aの内側に退避した状態とされる。これにより、角突起52Aの周囲で、レール本体41の第一端部41aの端板42tが、ラック支柱32の取付ブラケット36Xに突き当たる。さらに、ボルト58Aが、係止孔37を通してネジ孔54Aに締結される。このようにして、ラックレール40の前後方向Da一方の端部が、支柱部材34Xに取り付けられる。
【0079】
図13、
図14に示すように、レール本体41の第二端部41bでは、丸突起51Bが係止孔37に係合される。これにより、レール本体41の第二端部41bは、幅方向Dwおよび上下方向Dvへの移動が拘束される。
角突起52Bは、ラック支柱32の取付ブラケット36Xに突き当たることで、出没機構53Bの付勢バネ58の付勢力に抗して押し込まれ、レール本体41の第二端部41bの内側に退避した状態とされる。これにより、角突起52Bの周囲で、レール本体41の第二端部41bの端板43tが、ラック支柱32の取付ブラケット36Xに突き当たる。また、仮係止爪55は、丸突起51Bが係合した係止孔37とは異なる他の係止孔37に挿入されている。さらに、ボルト58Bが、係止孔37を通してネジ孔54Bに締結される。このようにして、ラックレール40の前後方向Da他方の端部が、支柱部材34Xに取り付けられる。
【0080】
次に、ラックレール40を、矩形の係止孔38を有した支柱部材34Yに取り付ける場合について説明する。
図15に示すように、レール本体41の第一端部41aでは、角突起52Aが係止孔38に係合される。上方の角突起52Aは、係止孔38の上辺側に挿入される。下方の角突起52Aは、下方の係止孔38の下辺側に挿入される。これにより、レール本体41の第一端部41aは、幅方向Dwおよび上下方向Dvへの移動が拘束される。
丸突起51Aは、角突起52Aが係合した係止孔38とは異なる他の係止孔38内に挿入されている。これにより、レール本体41の第一端部41aの端板42tは、ラック支柱32の取付ブラケット36Yに突き当たっている。さらに、ボルト58Aが、係止孔38を通してネジ孔54Aに締結される。このようにして、ラックレール40の前後方向Da他方の端部が、支柱部材34Yに取り付けられる。
【0081】
図16に示すように、レール本体41の第二端部41bでは、角突起52Bが係止孔38に係合される。上方の角突起52Bは、係止孔38の上辺側に挿入される。下方の角突起52Bは、下方の係止孔38の下辺側に挿入される。これにより、レール本体41の第二端部41bは、幅方向Dwおよび上下方向Dvへの移動が拘束される。
丸突起51Bは、角突起52Bが係合した係止孔38とは異なる他の係止孔38内に挿入されている。これにより、レール本体41の第二端部41bの端板43tは、ラック支柱32の取付ブラケット36Yに突き当たっている。また、仮係止爪55は、角突起52Bが係合した係止孔38に挿入されている。さらに、ボルト58Bが、係止孔38を通してネジ孔54Bに締結される。このようにして、ラックレール40の前後方向Da他方の端部が、支柱部材34Yに取り付けられる。
【0082】
このようにして、矩形の係止孔38を有した支柱部材34Yに対し、丸突起51A,51Bと、出没機構53A、53Bによってレール本体41の第一端部41a、第二端部41bから突出した角突起52A、52Bとが係合している。
【0083】
次に、支柱部材34Xに対するラックレール40の取り付け方法について説明する。
図17は、本実施形態による部材の取付方法の工程の流れを示す図である。
図18は、本実施形態による部材の取付方法において、ラックレールの他方の端部を仮係止した状態を示す側断面図である。
図17に示すように、ラックレール40の取付方法は、第二端部仮係止工程(係合工程)S11と、第一端部係止工程(係合工程)S12と、第一端部接続工程(接続工程)S13と、第二端部接続工程(接続工程)S14と、を備える。
【0084】
第二端部仮係止工程S11は、ラックレール40の前後方向Da他方の端部を、支柱部材34Xに仮係止させる。これには、
図18に示すように、レール本体41の第二端部41bに設けられた一対の仮係止爪55を、支柱部材34Xの二つの係止孔37に挿入する。各仮係止爪55は、先端部55sを、係止孔37を貫通して取付ブラケット36Xの反対側に突出させることによって、切欠き部55cに係止孔37の内周縁が係合する。これによって、仮係止爪55が不用意に係止孔37から脱落しにくくなる。
また、レール本体41の第二端部41bの丸突起51Bを、所定の位置の係止孔37に係合させる。このとき、角突起52Bは、丸突起51Bを係止孔37に挿入する際に、ラック支柱32の取付ブラケット36Xに突き当たる。これにより、角突起52Bは、出没機構53Bの付勢バネ58の付勢力に抗して押し込まれ、レール本体41の第二端部41bの内側に退避した状態となる。これにより、角突起52Bの周囲で、レール本体41の第二端部41b(端板43t)がラック支柱32の取付ブラケット36Xに突き当たる。
このとき、ラックレール40は、アウターレール42の内側にインナーレール43を収め、前後方向Daにおける全長を、前後方向Daにおける支柱部材34X、34Xの間隔よりも縮めておく。
【0085】
第一端部係止工程S12は、ラックレール40の前後方向Da一方の端部を、支柱部材34Xに係止させる。これには、仮係止爪55によって前後方向Da他方の側の支柱部材34Xに仮係止されたインナーレール43に対し、アウターレール42を前後方向Da一方の側(
図18において左方)にスライドさせる。これにより、ラックレール40の前後方向Daの長さが増大する。その後、
図11、
図12に示すように、レール本体41の第一端部41aの丸突起51Aを、所定の位置の係止孔37に係合させる。このとき、角突起52Aは、丸突起51Aを係止孔37に挿入する際に、ラック支柱32の取付ブラケット36Xに突き当たる。これにより、角突起52Aは、出没機構53Aの付勢バネ58の付勢力に抗して押し込まれ、レール本体41の第一端部41aの内側に退避した状態となる。これにより、角突起52Aの周囲で、レール本体41の第一端部41aの端板42tがラック支柱32の取付ブラケット36Xに突き当たる。
【0086】
第一端部接続工程S13は、レール本体41の第一端部41aと支柱部材34Xとを接続する。これには、ボルト58Aを、係止孔37を通してネジ孔54Aに締結させる。これにより、ラックレール40の前後方向Da一方の端部が、支柱部材34Xに取り付けられる。
【0087】
第二端部接続工程S14は、レール本体41の第二端部41bと支柱部材34Xとを接続する。これには、ボルト58Bを、係止孔37を通してネジ孔54Bに締結させる。これにより、ラックレール40の前後方向Da他方の端部が、支柱部材34Xに取り付けられる。
【0088】
次に、支柱部材34Yに対するラックレール40の取り付け方法について説明する。
これにはまず、
図16に示すように、ラックレール40の前後方向Da他方の端部を、支柱部材34Yに仮係止させる。これには、レール本体41の第二端部41bに設けられた一対の仮係止爪55を、支柱部材34Yの二つの係止孔38に挿入する。
また、レール本体41の第二端部41bの丸突起51Bを、所定の位置の係止孔38に係合させる。このとき、角突起52Bも、丸突起51Bが係合した係止孔38とは異なる他の係止孔38に挿入させる。
【0089】
次に、ラックレール40の前後方向Da一方の端部を、支柱部材34Yに係止させる。これには、
図15に示すように、レール本体41の第一端部41aの丸突起51Aを、所定の位置の係止孔38に係合させる。このとき、角突起52Aも、丸突起51Aが係合した係止孔38とは異なる他の係止孔38に挿入させる。
この後、ボルト58Aを、係止孔38を通してネジ孔54Aに締結させる。これにより、ラックレール40の前後方向Da一方の端部が、支柱部材34Yに取り付けられる。
【0090】
しかる後、
図16に示すように、レール本体41の第二端部41bにおいて、ボルト58Bを、係止孔38を通してネジ孔54Bに締結させる。これにより、ラックレール40の前後方向Da他方の端部が、支柱部材34Yに取り付けられる。
【0091】
このようなラックレール40、ラックレール40の取付構造では、支柱部材34Xに取り付ける場合、丸突起51A,51Bを係止孔37に係合させる。丸突起51A,51Bを係止孔37に係合させてラックレール40を支柱部材34Xに取り付けた状態で、角突起52A、52Bを、出没機構53A、53Bにより第一端部41a、第二端部41bの内側に退避させる。これにより、角突起52A、52Bと支柱部材34Xとが干渉するのを抑えることができる。したがって、丸突起51A,51Bを係止孔37に係合させてラックレール40を支柱部材34Xに取り付けたときに、レール本体41の第一端部41a、第二端部41bと支柱部材34Xとの間に隙間が形成されるのを抑えることができる。その結果、レール本体41の第一端部41a、第二端部41bと支柱部材34Xとを密着させて、ラックレール40のラック支柱32への取付強度を高めることができる。
【0092】
また、ラックレール40を支柱部材34Yに取り付ける場合、角突起52A、52Bを係止孔38に係合する。また、丸突起51A,51Bは、角突起52A、52Bが係合した係止孔38とは異なる係止孔38に係合させる。このようにして、ラックレール40は、互いに異なる種類の支柱部材34X、34Yに装着可能となり、汎用性が高い。
【0093】
また、丸突起51A,51Bは、レール本体41の第一端部41aと第二端部41bとを結ぶ方向に直交する方向における外形寸法が、角突起52A、52Bよりも小さい。これにより、丸突起51A、51Bと、角突起52A、52Bとの識別が容易で、誤組付けを防ぐことができる。
【0094】
また、丸突起51A,51Bと角突起52A、52Bとは、前後方向Daから見た形状が互いに異なる。これにより、丸突起51A、51Bと、角突起52A、52Bとの識別が容易で、誤組付けを防ぐことができる。
【0095】
また、丸突起51A,51B及び角突起52A、52Bは、それぞれ複数組設けられている。これにより、ラックレール40を支柱部材34X、34Yに取り付けた状態で、ラックレール40が前後方向Daに延びる軸周りに回転するのを抑えることができる。したがって、ラックレール40を、安定かつ強固に取り付けることが可能となる。
【0096】
また、レール本体41の第二端部41bに。仮係止爪55が設けられている。これにより、ラックレール40を取り付けるに際し、仮係止爪55でレール本体41の第二端部41bを支柱部材34X、34Yに仮係止した状態で、第一端部41a側の係止、接続作業を行うことができる。これにより、ラックレール40の取付作業を一人で行うことも可能となり、作業性が向上する。
【0097】
また、出没機構53A、53Bは、角突起52A、52Bを形成する突起部材56を、付勢バネ58で付勢するようにした。これにより、角突起52A、52Bを支柱部材34X、34Yに押し付ければ、角突起52A、52Bが押し込まれて第一端部41a、第二端部41bの内側に退避する。したがって、角突起52A、52Bを退避させる作業が不要となり、ラックレール40の取付作業性が向上する。
【0098】
このようなラックレール40の取付方法では、丸突起51A,51Bを係止孔37に係合させてラックレール40をラック支柱32に取り付けた状態で、角突起52A、52Bを、第一端部41a、第二端部41bから突出させず、第一端部41a、第二端部41bの内側に退避させている。これにより、角突起52A、52Bとラック支柱32とが干渉するのを抑えることができる。したがって、レール本体41の第一端部41a、第二端部41bとラック支柱32との間に隙間が形成されるのを抑えることができる。その結果、レール本体41の第一端部41a、第二端部41bとラック支柱32とを密着させて、ラックレール40のラック支柱32への取付強度を高めることができる。
【0099】
なお、上記実施形態において、丸突起51A,51B、角突起52A、52B、係止孔37、38について説明したが、その形状、配置、設置数等について、何ら限定するものではない。丸突起51A,51Bと係止孔37、38、角突起52A、52Bと係止孔37、38とが、それぞれ係合可能であればよい。
【0100】
上記実施形態において、出没機構53A、53Bは、角突起52A、52Bを第一端部41a、第二端部41bから出没させることができるのであれば、その具体的な構成については何ら限定されない。例えば、付勢バネ58を備えるようにしたが、付勢バネ58を備えず、角突起52A,52Bを、例えば、ネジ機構等によって第一端部41a、第二端部41bから出没させるようにしてもよい。
【0101】
また、上記実施形態において、角突起52A、52Bを出没機構53A、53Bによって出没させるようにしたが、丸突起51A、51Bについても、同様の出没機構を備えるようにしても良い。
【0102】
さらに、仮係止爪55を、レール本体41の第二端部41bのみに備えるようにしたが、レール本体41の第一端部41aにも備えるようにしてもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【解決手段】異なる種類の対象部材にそれぞれ取付可能な取付部材40は、部材本体41と、部材本体41の端部41a、41bに設けられ、第一の対象部材に形成された第一の被係合部に係合可能な第一の突起51Aと、部材本体41の端部41a、41bに設けられ、第二の対象部材に形成された第二の被係合部に係合可能な第二の突起52Aと、第二の突起52Aを、部材本体41の端部41a、41bから出没させる出没機構と、を備える。