(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6687323
(24)【登録日】2020年4月6日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】美容パック材
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20200413BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20200413BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20200413BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20200413BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20200413BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/92
A61K8/73
A61K8/25
A61Q19/00
A61K8/36
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-20242(P2015-20242)
(22)【出願日】2015年2月4日
(65)【公開番号】特開2016-141663(P2016-141663A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2018年1月9日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512298351
【氏名又は名称】株式会社サンシャインコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100125184
【弁理士】
【氏名又は名称】二口 治
(72)【発明者】
【氏名】モハマッド ラメザニ
【審査官】
駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−244402(JP,A)
【文献】
特開2003−300848(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/157265(WO,A1)
【文献】
特開2014−101289(JP,A)
【文献】
特開2012−036149(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/014427(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロジンと、ロウ類としてミツロウのみと、増粘剤としてアラビアゴムと、クレイミネラルとを含有し、前記クレイミネラルは、クレイとしてベントナイトを含有することにより含有されるものであり、前記ロジンの含有率が、65質量%〜95質量%であることを特徴とする美容パック材。
【請求項2】
美容パック材における前記クレイミネラルの含有率が、0.5質量%〜5.0質量%である請求項1に記載の美容パック材。
【請求項3】
前記ロウ類の含有率が、4質量%〜45質量%である請求項1または2に記載の美容パック材。
【請求項4】
前記増粘剤の含有率が、0.5質量%〜5質量%である請求項1〜3のいずれか一項に記載の美容パック材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材にロジンを配合した美容パック材に関するものであり、特に、産毛や、皮膚に付着した汚れや古い角質等を効果的に除去する美容パック材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、美容用品として、いわゆる美容パックが広く用いられている。美容パックは、皮膚に塗布・貼付し、ある程度の時間放置した後、皮膚から取り除くという方法で用いられ、洗い流しタイプ、剥がしタイプ、貼布タイプがある。美容パックを皮膚に塗布・貼付して放置することにより、美容パックに含まれる化粧料による潤いや美白等の美肌効果を期待することができる。また、美容パックを皮膚になじませた後で取り除くことにより、皮膚に付着した汚れや古い角質等を除去して肌を健康にする効果、および、産毛の脱毛による美顔効果を期待することができる。これらの中でも、産毛や、皮膚に付着した汚れや古い角質等をより効果的に除去する美容パックとして、剥がしタイプの美容パックがよく利用されている。剥がしタイプの美容パックは、ペースト状やジェル状のパック材を皮膚に塗り、乾燥により形成した皮膜、あるいは、冷却により形成した固化層を皮膚から剥がし取る方法で使用される。
【0003】
乾燥により皮膜を形成する美容パック材として、ポリビニルアルコールを皮膜形成剤とするものが挙げられる。例えば、特許文献1には、(a)4質量%濃度水溶液の20℃における粘度が1mPa・s以上30mPa・s未満の粘度範囲にあるポリビニルアルコール、(b)4質量%濃度水溶液の20℃における粘度が30mPa・s以上70mPa・s未満の粘度範囲にあるポリビニルアルコール、(c)無水ケイ酸 0.1〜5質量%、(d)水溶性L−アスコルビン酸誘導体0.5〜5質量%を含有し、成分(a)及び成分(b)の合計量が5〜20質量%であり、且つ、成分(a)/成分(b)の質量比が0.05〜2であることを特徴とするパック化粧料が開示されている。
【0004】
冷却により固化層を形成する美容パック材として、基材にロジンを配合したパック材が挙げられる。例えば、特許文献2には、肌に密着性があり軟化流動温度が35〜45℃のロジン・キャンデリラロウ・カルナバロウ混合配合物よりなるパック材基材に、ラノリンアルコール、グリチルリチンサン2カリウム等の美肌効果の有る薬剤を配し、更に酸化チタン、ステアリン酸ソーダ等の配合助剤を配合した脱毛機能を有する美顔・美肌用パック材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−95865号公報
【特許文献2】特開2003−300848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ポリビニルアルコールを皮膜形成剤とする美容パック材は、粘着力が弱いため、脱毛効果や、皮膚に付着した汚れや古い角質層等を取り除く清浄効果が不十分である。
【0007】
基材にロジンを配合した美容パック材は、ウォーマー等で加温し軟化流動状態としてから使用するものである。この美容パック材は、脱毛効果や、皮膚に付着した汚れや古い角質層等を取り除く清浄効果が高いものである。しかしながら、ウォーマー等で加温する際、透明な液状にならず、飴色の砂状結晶が析出する場合があった。砂状結晶が析出すると、使用者に不快感を与えたりするため、使用することができない。また、このパック材に含まれるロジンは、体質もしくは体調によっては、アレルギー症状の原因になる場合がある。
【0008】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、ロジンを含有する美容パック材であって、加温する際に砂状結晶が析出することなく、かつアレルギー症状を低減する美容パック材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決することのできた本発明の美容パック材は、ロジンと、クレイミネラルとを含有することを特徴とする。すなわち、本発明者らは、ロジンを含有する美容パック材にクレイミネラルを配合することで、従来のロジン含有美容パック材を加温する際に生じた砂状結晶が析出するという課題、および、従来のロジン含有美容パック材を施術した部位にアレルギー症状が出るという課題を一挙解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
美容パック材におけるロジンの含有率は、50質量%〜95質量%であり、クレイミネラルの含有率が、0.5質量%〜5.0質量%であることが好ましい。
【0011】
前記美容パック材は、さらに、ロウ類および/または増粘剤を含有することが好ましい。前記ロウ類の含有率は、4質量%〜45質量%であることが好ましい。また、前記増粘剤の含有率は、0.5質量%〜5質量%であることが好ましい。
【0012】
前記ロウ類は、例えば、ミツロウ、カルナバロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、セラック、ラノリン、鯨ロウ、サトウキビロウ、パームロウ、および、羊毛脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0013】
前記増粘剤は、アラビアゴム、キサンタンガム、グアガム、ローカストビンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、トラガカントガム、ペクチン、マンナン、デンプン、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、寒天、および、シロキクラゲ多糖類からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0014】
本発明の美容パック材は、クレイとしてベントナイトを、ロウ類としてミツロウを、増粘剤としてアラビアゴムを含有することがより好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ロジンを含有する美容パック材であって、加温する際に砂状結晶が析出することなく使用感に優れ、かつアレルギー症状が低減した美容パック材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の美容パック材は、ロジンと、クレイミネラルとを含有することを特徴とする。
【0017】
まず、本発明で使用するクレイミネラル(粘土鉱物)について説明する。クレイミネラル(粘土鉱物)とはクレイ(粘土)を構成している鉱物を意味する。クレイミネラル(粘土鉱物)としては、層状珪酸塩を挙げることができる。前記層状珪酸塩としては、層状の構造を有する珪酸塩であれば特に限定されず、例えば、カオリナイト、ディッカイト、ハロイサイト、クリソタイル、リザーダイト、アメサイトなどのカオリナイト族の層状珪酸塩;モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトなどのスメクタイト族の層状珪酸塩;二八面体型バーミキュライト、三八面体型バーミキュライトなどのバーミキュライト族の層状珪酸塩、白雲母、パラゴナイト、金雲母、黒雲母、レピドライトなどの雲母族の層状珪酸塩;ブラマライト、セラドナイト、フェガイト、ハイドロマイカ、海緑石などのイライト族の層状珪酸塩;マーガライト、クリントナイト、アナンダイトなどの脆雲母族の層状珪酸塩;クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイトなどの緑泥石族の層状珪酸塩などが挙げられる。本発明では、スメクタイト族の層状珪酸塩を含有することがより好ましく、より好ましくはモンモリロナイトを含有することが好ましい。これらの層状珪酸塩は、天然のものでも、合成のものでもいずれであっても良く、単独または2種以上の混合物として使用することができる。
【0018】
本発明の美容パック材は、クレイ(粘土)を含有することによりクレイミネラル(粘土鉱物)を含有することが好ましい。本発明の美容パック材は、クレイ(粘土)として、ベントナイトを含有することが好ましい。ベントナイトは、クレイミネラル(粘土鉱物)としてスメクタイト(好ましくはモンモリロナイト)を主成分とする粘土である。ベントナイトの成分は、産地によっても異なるが、例えば、SiO
2:50質量%〜75質量%、Al
2O
3:8質量%〜20質量%、MgO:0.5質量%〜5質量%を含み、さらにCaO、Na
2O、K
2Oなどを微量含む場合がある。
【0019】
本発明の美容パック材において、前記クレイミネラルの含有率は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がさらに好ましく、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。クレイミネラルの含有率が0.5質量%以上であれば、加温する際に砂状結晶が析出することなく、アレルギー症状が低減するという所望の効果が得られやすいからである。また、クレイミネラルの含有率が5質量%以下であれば、基材の粘着力による脱毛効果および清浄効果を損なうことなく、前記所望の効果が得られるからである。
【0020】
次に、本発明で使用するロジンについて説明する。前記ロジンとしては、例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸などの共役二重結合を有する樹脂酸、および、ピマール酸、イソピマール酸、デヒドロアビエチン酸などの共役二重結合を有さない樹脂酸を含有するものを挙げることができる。前記ロジンの具体例としては、トールロジン、ガムロジン、ウッドロジンを挙げることができる。
【0021】
本発明の美容パック材は、脱毛効果および清浄効果を向上する点から、ロジンを主剤とすることが好ましい。すなわち、本発明の美容パック材において、前記ロジンの含有率は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、65質量%以上がさらに好ましい。また、ロジンは、純度、原料の樹種、製法等によるが、一般的に、75℃前後で軟化する。パック実施作業を行いやすい点から、パック材が35℃〜55℃(好ましくは35℃〜50℃、より好ましくは35℃〜45℃)で軟化流動するように、ロジンを適当量配合することが好ましい。この観点から、本発明の美容パック材において、前記ロジンの含有率は、95質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。
【0022】
本発明の美容パック材は、軟化流動温度調整の点から、さらにロウ類を含有することが好ましい。前記ロウ類としては、ミツロウ、カルナバロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、セラック、ラノリン、鯨ロウ、サトウキビロウ、パームロウ、羊毛脂等が挙げられる。これらのロウ類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
本発明の美容パック材において、前記ロウ類の含有率は、特に限定されないが、4質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、45質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましい。ロウ類の含有率が前記範囲内であれば、所望の軟化流動温度を有する美容パック材が得られやすいからである。
【0024】
本発明の美容パック材は、粘度調整の点から、さらに増粘剤を含有してもよい。本発明で使用しうる増粘剤としては、天然高分子、半合成高分子、合成高分子が挙げられる。天然高分子としては、アラビアゴム、キサンタンガム、グアガム、ローカストビンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、トラガカントガム、ペクチン、マンナン、デンプン、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、寒天、シロキクラゲ多糖類等が挙げられる。半合成高分子としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、可溶化デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン、アルギン酸プロピレングリコールエステル、多糖類誘導体等が挙げられる。合成高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド等が挙げられる。これらのなかでも、本願発明では、増粘剤としてアラビアゴムを使用することが好ましい。これらの増粘剤は、単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【0025】
本発明の美容パック材において、前記増粘剤の含有率は、特に限定されないが、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がさらに好ましく、5質量%以下が好ましく、4.5質量%以下がより好ましく、4質量%以下がさらに好ましい。増粘剤の含有率が前記範囲内であれば、所望の粘度を有する美容パック材が得られやすいからである。
【0026】
本発明の美容パック材に配合しうる各成分の含有率の範囲は、前記範囲内で各成分の合計が100質量%になるように適宜調整されることが好ましい。
【0027】
本発明の美容パック材には、更に必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の美容パック材に用いられる成分、例えば、油剤、界面活性剤(乳化剤を含む)、植物・動物・微生物由来の抽出物、保湿剤、美白剤、角質溶解剤、血行促進剤、抗菌剤、抗炎症剤、防腐剤、収斂剤、活性酸素除去剤、抗酸化剤、紫外線防止剤、香料、清涼剤、細胞賦活剤等を加えることができる。好適な成分の具体例としてはそれぞれ以下に示すものが挙げられる。ここで、「誘導体」には、形成可能な塩が含まれる。
【0028】
油剤としては、使用性、使用感を向上し、さらに肌に潤いを与えるものとして、通常の美容パック材に使用されるものであれば、天然系油であるか、合成油であるか、固体、半固体、液体であるか等の性状は問わず、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性シリコーン等のシリコーン類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類等が挙げられる。これらの中でも、本発明の美容パック材に配合しやすい点から、常温下で固体、半固体の油剤が好ましい。
【0029】
乳化剤としては、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸POEグリセリル、ステアリン酸、水添パーム脂肪酸グリセリズ等が挙げられる。
【0030】
動物または微生物由来の抽出物としては、血清除蛋白、脾臓、トリ等の卵成分、卵殻膜抽出物、鶏冠抽出物、貝殻抽出物、貝肉抽出物、ローヤルゼリー、シルクプロテイン及びその分解物又はそれらの誘導体、ヘモグロビン又はその分解物、ラクトフェリン又はその分解物、イカスミ等の軟体動物、魚肉等、鳥類、貝類、昆虫類、魚類、軟体動物類等の動物由来の抽出物、霊芝抽出物等の微生物由来の抽出物等が挙げられる。動物または微生物由来の抽出物を配合することによって、保湿効果、細胞賦活効果、美白効果、抗炎症効果、活性酸素除去効果、血行促進効果等を付与することができる。
【0031】
植物抽出物としては、植物の抽出部位や、抽出方法等に特に制限はなく、例えば植物の全草、又は根、茎、幹、樹皮、幼芽、葉、花、果実、種子等から抽出することが出来、これらを乾燥、細切、圧搾、或いは発酵等、適宜処理を施し、種々の適当な溶媒を用いて低温もしくは室温〜加温下で抽出することができる。植物としては、アスパラガス、ノイバラ(エイジツ)、キイチゴ、クララ(クジン)、ケイケットウ、ゴカヒ、コーヒー、コメ、サイシン、サンザシ、シラユリ、シャクヤク、茶、ブナ、ホップ、モッカ、ユキノシタ、アルテア、アシタバ、アルニカ、インチンコウ、イラクサ、キハダ(オウバク)、オトギリソウ、スイカズラ(キンギンカ)、サルビア(セージ)、シコン、シラカバ、ムクロジ、レンゲソウ、イチョウ、オオムギ、センブリ、ナツメ(タイソウ)、ローズマリー(マンネンロウ)、オウレン、グレープフルーツ、ゲンチアナ、サボンソウ、ショウブ、ジオウ、センキュウ、ゼニアオイ(ウスベニタチアオイ)、ハマメリス、フキタンポポ、プルーン、ボダイジュ、マロニエ、マルメロ、ウワウルシ葉等が挙げられる(尚、括弧内は、植物の別名、生薬名等を記載した。)。植物抽出物を配合することによって、保湿効果、細胞賦活効果、美白効果、抗炎症効果、活性酸素除去効果、血行促進効果等を付与することができる。
【0032】
保湿剤としては、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等のタンパク質またはそれらの誘導体、加水分解物並びにそれらの塩、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等のムコ多糖及びその誘導体、セリン、グリシン、テアニン、アスパラギン酸、アルギニン等のアミノ酸及びそれらの誘導体、ソルビトール、エリスリトール、トレハロース、イノシトール、グルコース、キシリトール、蔗糖およびその誘導体、デキストリン及びその誘導体、ハチミツ等の糖類、D−パンテノール及びその誘導体、糖脂質、セラミド等が挙げられる。これらの保湿剤を配合することにより、保湿効果を発揮し、透明感のある肌を実現することができる。
【0033】
美白剤としては、ビタミンC及びその誘導体(L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル、ジパルミチン酸L−アスコルビル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビル等)、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン及びこれらを含有するカンゾウ抽出物等が挙げられる。
【0034】
角質溶解剤としては、サリチル酸、イオウ、レゾルシン、硫化セレン、ピリドキシン等を例示することができる。これらの角質溶解剤を配合することによって、表皮細胞・角質細胞に作用して古い角質層や産毛をより容易に除去することができる。
【0035】
血行促進剤としては、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、トウガラシチンキ、γ−オリザノール等が挙げられる。これらの血行促進剤を配合することによって、皮膚の血流をうながすことによってメラニンの排出を促進することができる。
【0036】
抗菌剤は、ニキビ等を予防、改善する目的で用いられ、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、塩化ベンザルコニウム、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール等が挙げられる。これらの抗菌剤を配合することによって、ニキビ等の細菌性の皮膚炎症による色素沈着を抑制することができる。
【0037】
抗炎症剤としては、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体等が挙げられる。防腐剤としては、ブチルパラベン、メチルパラベン等が挙げられる。収斂剤としては、クエン酸、酒石酸、乳酸、硫酸アルミニウム・カリウム、タンニン酸等が挙げられる。
【0038】
活性酸素除去剤は、紫外線による過酸化脂質の生成等を抑制する目的で用いられ、スーパーオキサイドディスムターゼ、マンニトール、クエルセチン、カテキン及びその誘導体、チアミン類(チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩)、リボフラビン類(リボフラビン、酢酸リボフラビン等)、ピリドキシン類(塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート等)、ニコチン酸類(ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等)等のビタミンB類、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。これらの活性酸素除去剤を配合することによって、くすみを抑制することができる。
【0039】
抗酸化剤としては、ビタミンE(トコフェロール)およびその誘導体(dl−α(β、γ)−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸−dl−α−トコフェロール、リノール酸−dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のトコフェロール及びその誘導体、ユビキノン類等)、ビタミンD及びその誘導体(エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ジヒドロキシスタナール等)、ルチン及びその誘導体、チオタウリン、タウリン、ハイドロキノン及びその誘導体、ヒスチジン、カテキン及びその誘導体等が挙げられる。
【0040】
紫外線防止剤としては、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、オキシベンゾン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸ナトリウム、2−フェニルベンズイミダゾール硫酸ナトリウム、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
【0041】
香料としては、天然香料及び合成香料が挙げられる。天然香料としては花、葉、材、果皮等から分離した植物性香料;ムスク、シベット等の動物性香料が挙げられる。合成香料としてはモノテルペン等の炭化水素類;脂肪族アルコール、芳香族アルコール等のアルコール類;テルペンアルデヒド、芳香族アルデヒド等のアルデヒド類;脂環式ケトン等のケトン類;テルペン系エステル等のエステル類;ラクトン類;フェノール類;オキサイド類;含チッソ化合物類;アセタール類等が挙げられる。清涼剤としては、メントール、サリチル酸メチル等を例示することができる。
【0042】
本発明の美容パック材を製造する方法としては、例えば、下記の方法が挙げられる。各原料を所定の比率で配合した配合物を、加温して溶解し均一に混合する。適度の粘性と流動性を持つ液体状パック材を調製し、この液体状パック材を冷却して固化することにより得られる。混合した液体状パック材をそのまま冷却して、ブロック状パック材を得て、これを1回に使用する美容パック材の大きさに切断してもよいし、液状パック材を1回に使用する美容パック材の分量に取り分けてから冷却し、固化して1回に使用する美容パック材としてもよい。
【0043】
本発明の美容パック材を施術する方法としては、例えば、下記の方法が挙げられる。まず、美容パック材を温浴またはウォーマーで、軟化流動温度(例えば、35〜55℃)に加温し軟化流動状態とする。前記軟化流動状態の美容パック材を、施術する部位(例えば、顔、首、肩、胸、手、足等)に塗布する。塗布した美容パック材を、しばらく放置することにより、美容パック材が冷却されて、皮膜(パック層)が形成する。形成した美容パック材の皮膜を剥離することにより、パック材とともに、産毛、毛穴にくい込んだ老廃物、老廃し脱落間近の老廃皮膚や角質等が除去され、活性に満ちた滑々した肌が出来上がる。この方法を数回繰り返すことにより、より優れた脱毛・美容効果が得られる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0045】
[美容パック材の作製]
表1に示す原料を45℃で溶解し混合した。得られた混合物を冷却して、直径8cm、厚み1cmの円盤状の美容パック材を作製した。
【0046】
【表1】
【0047】
ロジン:Bismat Al Hayat General Trading社製
クレイミネラル:Bismat Al Hayat General Trading社製(灰分(ドライベース):カルシウム0.065% w/w、マグネシウム0.018% w/w)
【0048】
[砂状結晶]
得られた美容パック材をウォーマーに入れて、45℃に加温して再度溶解し、砂状結晶が析出するかどうかを確認した。その結果、クレイミネラルを配合した美容パック材1は、砂状結晶が析出することなく、綺麗な透明液状物を得た。これに対し、クレイミネラルを配合しない美容パック材2は、飴色の砂状結晶が析出した。
【0049】
[アレルギー性評価]
ロジン配合美容パックでアレルギー症状が出たことのある20代〜60代の女性11名を被験者とし、下記の方法により、アレルギーテストを行った。
【0050】
前記で得た美容パック材をウォーマーにて溶かし、テスト用パッチテープ(トリイ絆、鳥居薬品製)に塗布した。被験者の左上腕部内側に美容パック材1を塗ったパッチテープを貼付し、右上腕部内側に、美容パック材2を塗ったパッチテープを貼付した。ブランクとして精製水を浸漬したパッチテープも左右の上腕部内側に貼付した。貼付してから24時間後にパッチテープを剥離した。剥離してから1時間後、24時間後および48時間後に貼布部位の状態を観察し、表2の評価基準に基づいて評価を行った。クレイミネラルを配合した美容パック材1の結果を表3に、クレイミネラルを配合しない美容パック材2の結果を表4に示した。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
表3、表4の結果から、皮膚刺激指数(%)(=総評点/被験者数×100)を計算すると、クレイミネラルを配合した美容パック材1の皮膚刺激指数は、31.8%であり、クレイミネラルを配合しない美容パック材2の皮膚刺激指数は、109.1%であった。この結果より、クレイミネラルを配合することにより、アレルギー反応が明らかに低減していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、美容パックとして有用である。