特許第6687351号(P6687351)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6687351
(24)【登録日】2020年4月6日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】軒先化粧部材および軒先構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/158 20060101AFI20200413BHJP
   E04D 13/064 20060101ALI20200413BHJP
   E04D 3/40 20060101ALI20200413BHJP
   E04D 13/15 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   E04D13/158 501P
   E04D13/064 F
   E04D3/40 H
   E04D13/15 G
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-186461(P2015-186461)
(22)【出願日】2015年9月24日
(65)【公開番号】特開2017-61781(P2017-61781A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2018年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】平林 和宏
(72)【発明者】
【氏名】野口 豊樹
(72)【発明者】
【氏名】三谷 悠
(72)【発明者】
【氏名】藤井 雅也
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−105515(JP,U)
【文献】 特開平08−326202(JP,A)
【文献】 実開昭52−086219(JP,U)
【文献】 特開2000−257221(JP,A)
【文献】 実公昭56−051132(JP,Y2)
【文献】 実開平05−087120(JP,U)
【文献】 実開平07−019446(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 1/00−3/40
E04D 13/00−15/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根葺き材が設置された傾斜屋根の軒先部に別途軒樋を配置しないで設けられる軒先化粧部材であって、上方に向く上面側および軒下側から視認できる下面側を有しており、上記上面側には、最も軒先側に位置する屋根葺き材の軒先端部からの雨垂れを受け止める雨垂れ受け部が形成されており、上記下面側には、軒先方向に上り傾斜する傾斜部が形成されており、
上記雨垂れ受け部の軒先側には、軒先方向に上り傾斜する水受け傾斜部が形成されていることを特徴とする軒先化粧部材。
【請求項2】
請求項1に記載の軒先化粧部材において、上記水受け傾斜部は上記下面側の傾斜部の延長線上に形成されていることを特徴とする軒先化粧部材。
【請求項3】
屋根葺き材が設置された傾斜屋根の軒先部に別途軒樋を配置しないで請求項1または請求項2に記載の軒先化粧部材を備えた軒先構造であって、当該軒先化粧部材は最も軒先側に位置する屋根葺き材の軒先端部の雨垂れ箇所よりも屋内側に位置する軒先部において支持されており、上記雨垂れ受け部の軒先側が上記屋根葺き材の上記雨垂れ箇所よりも軒先方向に出ていることを特徴とする軒先構造。
【請求項4】
請求項に記載の軒先構造において、上記軒先化粧部材の上記下面側の傾斜部の傾斜最下部が軒天板の下面よりも下側に位置することを特徴とする軒先構造。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の軒先構造において、上記傾斜屋根に内樋を有することを特徴とする軒先構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軒先に雨樋を設けない軒先構造および軒先化粧部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2には、それぞれ、屋根の軒先の内側に設けられる内樋を備えた軒先構造が開示されている。
【0003】
また、図6に示すように、屋根100に内樋101を備えるとともに、軒先に平板状の軒先化粧板102を設ける軒先構造とすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−279329号公報
【特許文献2】特開2000−257221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図6に示した軒先構造では、軒先の雨樋を無くしたことで軒先の美観を向上できるものの、軒先の鋭利感による美観が得られないものであった。また、例えば、雨が上がった後において、上記内樋101よりも軒先側の屋根葺き材103上に在る雨水が、暫くの間滴下する状態が続くという問題もあった。
【0006】
この発明は、上記の事情に鑑み、軒先において鋭利感のある美観が得られ、また、雨が上がった後における軒先での雨水の滴下を抑制できる軒先化粧部材および軒先構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の軒先化粧部材は、上記の課題を解決するために、屋根葺き材が設置された傾斜屋根の軒先部に設けられる軒先化粧部材であって、上面側には、最も軒先側に位置する屋根葺き材の軒先端部からの雨垂れを受け止める雨垂れ受け部が形成されており、下面側には、軒先方向に上り傾斜する傾斜部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
上記の構成であれば、上面側には、最も軒先側に位置する屋根葺き材の軒先端部からの雨垂れを受け止める雨垂れ受け部が形成されているので、雨が上がった後における軒先での雨水の滴下を抑制できる。また、下面側には、軒先方向に上り傾斜する傾斜部が形成されているので、軒先より屋外側となる位置で軒先を下から見るときに鋭利感のある外観が得られ易くなる。また、軒下から軒先方向に軒先化粧部材を見るときには、上記傾斜部が見え難くなるため、雨樋が設けられていない印象を受け易くなり、これによっても軒先の美観が向上する。
【0009】
上記雨垂れ受け部の軒先側には軒先方向に上り傾斜する水受け傾斜部が形成されていてもよい。これによれば、受けた雨垂れがこぼれ落ちにくくなる。
【0010】
上記水受け傾斜部は上記下面側の傾斜部の延長線上に形成されていてもよい。これによれば、上記水受け傾斜部と上記下面側の傾斜部とが視覚的に一体的な平板に見えるので、より美観が向上することになる。
【0011】
側面視で略V字状をなす板部の上面側が上記雨垂れ受け部をなし、下面側が上記傾斜部をなしてもよい。このような構造でも、受けた雨垂れがこぼれ落ちにくくなる。
【0012】
また、この発明の軒先構造は、上記のいずれかの軒先化粧部材が、最も軒先側に位置する屋根葺き材の軒先端部の雨垂れ箇所よりも屋内側に位置する軒先部において支持されており、上記雨垂れ受け部の軒先側が上記屋根葺き材の上記雨垂れ箇所よりも軒先方向に出ていることを特徴とする。
【0013】
上記の構成であれば、上記軒先化粧部材により、傾斜屋根の軒先において、雨が上がった後における軒先での雨水の滴下を抑制でき、また、軒先の美観を向上することができる。
【0014】
上記軒先化粧部材の上記下面側の傾斜部の傾斜最下部が上記軒天板の下面よりも下側に位置していてもよい。これによれば、上記軒先化粧部材が水切りとして機能し、雨水が軒天板に伝わるのを防止することができる。
【0015】
上記傾斜屋根に内樋が設けられていてもよい。このような内樋屋根構造において、軒先での雨水の滴下抑制と、軒先における美観向上が図れることになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明であれば、軒先において美観を向上でき、また、雨が上がった後における軒先での雨水の滴下を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る軒先構造を示した説明図である。
図2】本発明の実施形態に係る2枚板からなる軒先化粧部材の端部分を示した概略の斜視図である。
図3図2の軒先化粧部材の2枚板を分離して示した側面視の説明図である。
図4】同図(A)および同図(B)は、他の実施形態の軒先化粧部材を示した側面視の説明図である。
図5】他の実施形態の軒先構造を示した説明図である。
図6】比較例として示した軒先構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この実施形態に係る軒先構造では、内樋1(二点鎖線で示している)の配置箇所を境に傾斜屋根2が屋根構造部21と軒先構造部22に分断(縁切り)されている。上記傾斜屋根の勾配は4寸とされているが、これに限るものではなく、また、3寸から6寸の範囲とするのが望ましい。上記屋根構造部21においては、一定間隔で垂木21aが設けられており、これら垂木21a上に野地板41がビス等により固定されている。また、この軒先構造において、上記屋根構造部21の先端側部分から上記軒先構造部22にかけての下方位置には、軒天板44が水平に設けられている。
【0019】
この実施形態では、軒桁(梁)211の中心から軒先端に設けられている軒先化粧部材7の先端までの距離は、1000mmよりも短くされており、例えば980mm程度とされている。また、図1においては、外壁62の開口にサッシ窓63が設けられており、居室側から上記サッシ窓63越しに、居室内天井61および上記軒天板44が略同一高さで見えるようになっている。例えば、上記軒天板44の配置高さは、上記居室内天井61よりも上側とされ、高さの差異は、例えば、40〜60mm程度とされている。
【0020】
上記軒先構造部22によって、第1横桟31および第2横桟32が支持されている。上記第1横桟31は、上記内樋1を収容する凹構造部20の一部を形成する。また、上記第2横桟32は、上記第1横桟31よりも軒先側において上記野地板41を支持する。また、上記屋根構造部21を構成する上記垂木21aの小口に第3横桟33が取り付けられており、上記第1横桟31と、上記第3横桟33と、これら第1横桟31および第3横桟33の下部に渡って設けられた底板45とによって、上記凹構造部20が構成されている。
【0021】
上記第1横桟31および上記第2横桟32は、支持部材5(二点鎖線で示している)によって支持されている。上記支持部材5は、例えば、鋼等の金属、樹脂、木質材料等からなる。また、例えば、上記第1横桟31は、上記支持部材5に溶接等により設けられた第1取付部5aにビス等によって固定されており、上記第2横桟32は、上記支持部材5に溶接等により設けられた第2取付部5bにビス等によって固定されている。
【0022】
上記支持部材5は、上記軒桁211の屋外側の鉛直面に対向する取付板部5cを有しており、この取付板部5cを貫通するビス等が上記軒桁211の鉛直面にねじ込まれている。また、上記取付板部5cにはボルト55の挿通孔が形成されており、上記軒桁211には上記ボルト55が螺合されるボルト穴が形成されている。
【0023】
上記内樋1の例えば下面の箇所には、図示しないストレーナーが設けられており、このストレーナーには上記軒天板44の裏側に設けられた横引き樋が接続される。そして、この横引き樋には、上記軒天板44を貫通して設けられた縦樋が接続される。
【0024】
また、上記屋根構造部21および軒先構造部22上には、例えば、アスファルトルーフィングが敷かれ、この上に屋根葺き材(瓦、スレート等)42が設けられる。この実施形態では、屋根葺き材42として陶器瓦を用いている。最も軒先端の屋根葺き材42の軒先端は、上記軒先化粧部材7が取り付けられる後述の軒先部Xよりも軒先側に突出するように配置されている。
【0025】
上記軒先化粧部材7は、折り曲げによって立体的に形成されており、また、軒先の長手方向に長く形成されている。また、上記軒先化粧部材7の上面側には、最も軒先側に位置する屋根葺き材42の軒先端部からの雨垂れを受け止める雨垂れ受け部71が形成されており、下面側には、軒先方向に上り傾斜する傾斜部72が形成されている。
【0026】
上記軒先化粧部材7は、上記最も軒先側に位置する屋根葺き材42の軒先端部の雨垂れ箇所よりも屋内側に位置する軒先部Xにおいて支持されており、上記雨垂れ受け部71の軒先側の先端が上記屋根葺き材42の上記雨垂れ箇所よりも軒先方向に出ている。上記軒先化粧部材7の軒先側の先端は、上記屋根葺き材42の軒先端部における雨垂れ位置よりも軒先側に、例えば、3mm以上20mm以内の範囲で出ているのが望ましく、また、5mm以上15mm以内の範囲で出ているのがより望ましい。さらに、上記軒先化粧部材7の下面側の上記傾斜部72の傾斜最下部72aは、軒天板44の下面よりも下側に位置している。上記傾斜屋根2の軒先部Xは、この実施形態では、上記第2横桟32、野地板41、および軒天板44の軒先側の端面により形成される。
【0027】
上記傾斜部72の傾斜角度は、軒先方向に仰角28度とされているが、これに限るものではない。上記傾斜部72の傾斜角度は、軒先方向に仰角10度以上45度以内とするのが望ましく、また、軒先方向に仰角20度以上35度以内とされるのがより望ましい。また、上記軒先化粧部材7の水平方向の幅寸法は、50mm以上100mm以内とするのが望ましく、また、60mm以上85mm以内とするのがより望ましい。また、上記軒先化粧部材7の最も上側となる部位と上記屋根葺き材42の最も下側となる部位との距離は、5mm以上50mm以内とするのが望ましく、また、10mm以上30mm以内とするのがより望ましい。
【0028】
これらの寸法設定においては、基本的には、軒先より屋外側の位置において軒先を下から見るときに(図1の矢印A参照)、上記屋根葺き材42の裏面が上記軒先化粧部材7の傾斜部72で隠されるのが望ましい。また、軒下から上記軒先化粧部材7を見るときに(図1の矢印B参照)、上記傾斜部72が見え難くなるのが望ましい。
【0029】
図2および図3に示すように、上記軒先化粧部材7は、上記雨垂れ受け部71を有する第1部材7aおよび上記傾斜部72を有する第2部材7bの2枚板からなる。上記第1部材7aおよび上記第2部材7bとして片面に色付けがされたカラー板材を用いる場合、上記第1部材7aおよび上記第2部材7bは、色付け面を下に向けて設けられることになる。また、上記第1部材7aおよび上記第2部材7bの色付け面の色は、例えば互いに同色とされてもよいし、また、上記軒天板44の色や上記屋根葺き材42の色と同系色とされてもよい。
【0030】
上記第2部材7bには、上記傾斜最下部72aの箇所から立ち上がり、上記軒天板44の端面に対面する立上部72bと、この立上部72bの上端から上記軒天板44の裏面側に至る隠れ部72cとが形成されている。上記立上部72bの高さは上記軒天板44の板厚よりも高くされる。また、上記第2部材7bには、上記隠れ部72cを水平に位置させた状態で、上記野地板41の傾斜に沿う支持部72dが形成されている。
【0031】
また、上記第1部材7aには、上記支持部72dに支持される本体部71aと、この本体部71aが上記支持部72dに接した状態で、上記傾斜部72と同角度で傾斜して当該傾斜部72の軒先先端から突出する水受け傾斜部71bとを有する。すなわち、上記雨垂れ受け部71の軒先側には、軒先方向に上り傾斜する水受け傾斜部71bが形成されており、この水受け傾斜部71bは上記傾斜部72の延長線上に位置している。また、上記本体部71aと上記水受け傾斜部71bとの間に角度が付くことによって雨水溜めが形成されている。
【0032】
上記軒先化粧部材7の第1部材7aおよび第2部材7bは、例えば、上記本体部71aおよび上記支持部72dに貫通して装着されるビス等によって上記野地板41に固定される。
【0033】
上記軒先化粧部材7であれば、その上面側には、最も軒先側に位置する屋根葺き材42の軒先端部からの雨垂れを受け止める雨垂れ受け部71が形成されているので、雨が上がった後における軒先での雨水の滴下を抑制できる。また、その下面側には、軒先方向に上り傾斜する傾斜部72が形成されているので、軒先より屋外側となる位置で軒先を下から見るときに鋭利感のある美観が得られ易くなる。また、軒下から軒先化粧部材を見るときには、上記傾斜部72が見え難くなるため、雨樋が設けられていない印象を受け易くなり、これによっても軒先の美観が向上する。
【0034】
上記雨垂れ受け部71の軒先側に軒先方向に上り傾斜する水受け傾斜部71bが形成されていると、受けた雨垂れがこぼれ落ちにくくなる。もちろん、上記雨垂れ受け部71の軒先側に軒先方向に上り傾斜する水受け傾斜部71bが形成される構造に限られるものではなく、上記雨垂れ受け部71をフラットに形成してもよい。
【0035】
上記水受け傾斜部71bは上記傾斜部72の延長線上に形成されていると、上記水受け傾斜部71bと上記傾斜部72とが視覚的に一体的な平板に見えるので、より美観が向上することになる。もちろん、上記水受け傾斜部71bは上記傾斜部72の延長線上に形成される構造に限られるものではない。
【0036】
また、この実施形態の軒先構造は、上記軒先化粧部材7が、屋根葺き材42を支持する屋根面の延長線と軒天板の軒先端を通る水平線との交差する手前に位置させた軒先部Xに、上記雨垂れ受け部71の軒先側が屋根葺き材42の雨垂れ箇所よりも軒先方向に出るように取り付けられているので、上記傾斜屋根2の軒先において、雨が上がった後における軒先での雨水の滴下を抑制でき、また、軒先の美観を向上することができる。
【0037】
上記軒先化粧部材7における上記傾斜部72の傾斜最下部72aが軒天板44の下面よりも下側に位置していると、上記軒先化粧部材7が水切りとして機能し、雨水が軒天板44に伝わるのを防止することができる。
【0038】
図4(A)は、上記軒先化粧部材7の変形例である軒先化粧部材7Aを示している。この軒先化粧部材7Aは、1枚板が折り曲げられることによって、上記雨垂れ受け部71および上記傾斜部72が形成されている。また、この軒先化粧部材7Aにおいては、上記傾斜部72の軒先側の先端部を折り返すことで、上記水受け傾斜部71bが形成され、さらに、この折り反しの端側で曲げ形成された上向き傾斜部分71cを、上記野地板41に固定することができる。また、この軒先化粧部材7Aにおいても、上記下面側の傾斜部72の延長線上に上記水受け傾斜部71bが形成されたことになり、上記水受け傾斜部71bと上記下面側の傾斜部72とが視覚的に一体的な平板に見える。
【0039】
図4(B)は、上記軒先化粧部材7の変形例である軒先化粧部材7Bを示している。この軒先化粧部材7Bは、1枚板が折り曲げられることによって、側面視で略V字状をなす板部74と、上向き傾斜部分71cとが形成されている。そして、上記板部74の上面側が上記雨垂れ受け部71をなし、下面側が上記傾斜部72をなしている。このような構造でも、受けた雨垂れがこぼれ落ちにくくなる。なお、この軒先化粧部材7Bにおいては、上記雨垂れ受け部71の先端側が何処にも繋がらないので、厚めの1枚板を用いて剛性を高くしておくのが望ましい。
【0040】
図5は、この発明の他の実施形態にかかる軒先構造を示している。この軒先構造は、切妻タイプの傾斜屋根のケラバ部48において構成される。ケラバ部48の軒先端の位置は、最も軒先に位置する屋根葺き材42の先端位置と略同位置とされる。
【0041】
また、傾斜屋根2の入隅となる箇所では、上記軒先化粧部材7が鉤形状に連続して設置される。
【0042】
また、上記軒先化粧部材7、7Aの傾斜部72は、軒天板44の端から直ぐに傾斜する形状であったが、これに限らず、軒天板44の端から例えば水平に続く水平部位を有し、この水平部位に続いて上記傾斜部72が形成される形状を有していてもよい。また、上記軒先化粧部材7、7Aは、略中空の立体形状を有するように軒先部に固定される構造のため、その板厚を薄くすることができるが、これに限らず、板厚を厚くして略V字形状等に折り曲げられた形状とすることもできる。
【0043】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 :内樋
2 :傾斜屋根
5 :支持部材
5a :第1取付部
5b :第2取付部
5c :取付板部
7 :軒先化粧部材
7A :軒先化粧部材
7B :軒先化粧部材
7a :第1部材
7b :第2部材
20 :凹構造部
21 :屋根構造部
21a :垂木
22 :軒先構造部
31 :第1横桟
32 :第2横桟
33 :第3横桟
41 :野地板
42 :屋根葺き材
44 :軒天板
45 :底板
48 :ケラバ部
55 :ボルト
61 :居室内天井
62 :外壁
63 :サッシ窓
71 :受け部
71a :本体部
71b :水受け傾斜部
71c :上向き傾斜部分
72 :傾斜部
72a :傾斜最下部
72b :立上部
72c :隠れ部
72d :支持部
74 :板部
X :軒先部
図1
図2
図3
図4
図5
図6