(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記案内溝は、前記蓋部が前記閉塞位置にあるときに前記摺動部が位置する一方の端部から、前記蓋部が前記開放位置にあるときに前記摺動部が位置する他方の端部に向かうに伴い、鉛直方向上方に位置する
請求項2に記載の配線カバー装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の配線カバー装置のように、蓋を起立させるものは、装置内に手を差し込んで配線作業を行うとき等に起立した蓋が邪魔になる。また、配線カバー装置へケーブルを延ばす場合には、起立させた蓋を避けてケーブルを延ばすか、起立させた蓋を乗り越えるようにケーブルを延ばさなければならない。そのため、ユーザの使い勝手について改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、ユーザの使い勝手を向上することのできる配線カバー装置及び机を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する配線カバー装置は、配線孔を有する被取付体に設けられ、配線孔を閉塞及び開放する配線カバー装置であって、前記配線孔を閉塞可能な閉塞面を有する蓋部を有するカバー部材と、前記カバー部材を、前記配線孔を閉塞する閉塞位置、及び前記被取付体の表面に沿って伏した状態で前記配線孔を開放する開放位置との間で移動させる移動機構と、を備える。
【0008】
上記課題を解決する机は、配線孔が形成された天板と、前記配線孔に設けられた配線カバー装置とを備え、前記配線カバー装置は、前記配線孔を閉塞可能な閉塞面を有する蓋部を有するカバー部材と、前記カバー部材を、前記配線孔を閉塞する閉塞位置、及び前記天板の表面に沿って伏した状態で前記配線孔を開放する開放位置との間で移動させる移動機構と、を備える。
【0009】
上記構成では、移動機構により、閉塞位置に配置された蓋部が水平方向に移動して開放位置に移動される。開放位置に配置された蓋部は、被取付体に付した状態となる。例えば、配線カバー装置が、被取付体である机の天板に設けられた場合には、蓋部の閉塞面が天板に当接し、天板に沿って配置された状態となる。したがって、開放位置に配置された蓋部が起立しないため、収容空間に手を差し込みやすくなるとともに、開口部の外側で伏した状態の蓋部に沿ってケーブルを配線することができる。そのため、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0010】
上記配線カバー装置について、前記移動機構は、前記配線孔を閉塞する閉塞位置から前記配線孔の外側に向かう方向に延在する案内溝が設けられた支持壁と、前記カバー部材に接続され、前記案内溝に摺動可能に挿通される摺動部と、を備え、前記カバー部材は、前記摺動部が前記案内溝に沿って摺動することによって、前記閉塞位置、及び前記被取付体の表面に沿って伏した状態で前記配線孔を開放する開放位置との間で移動することが好ましい。
【0011】
上記構成では、閉塞位置に配置された蓋部に対し外力が加えられることによって、支持アームに支持された摺動部が、閉塞位置から開口部の外側の開放位置に向かう方向に延在する案内溝に沿って摺動する。これにより、閉塞位置に配置された蓋部が水平方向に移動して開放位置に移動される。開放位置に配置された蓋部は、被取付体に付した状態となる。例えば、配線カバー装置が、被取付体である机の天板に設けられた場合には、蓋部の閉塞面が天板に当接し、天板に沿って配置された状態となる。したがって、開放位置に配置された蓋部が起立しないため、収容空間に手を差し込みやすくなるとともに、開口部の外側で伏した状態の蓋部に沿ってケーブルを配線することができる。そのため、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0012】
上記配線カバー装置について、前記案内溝は、前記蓋部が前記閉塞位置にあるときに前記摺動部が位置する一方の端部から、前記蓋部が前記開放位置にあるときに前記摺動部が位置する他方の端部に向かうに伴い、鉛直方向上方に位置することが好ましい。
【0013】
上記構成では、案内溝は、蓋部が閉塞位置にあるときの一方の端部から、蓋部が開放位置にあるときの他方の端部に向かうに伴い鉛直方向に位置するように、斜め上方に延在する。そのため、配線カバー装置を机の天板に取り付けたとき、閉塞位置に配置された蓋部と天板の表面とを同一の高さになるようにしても、蓋部を天板に当接しないように移動させることができる。
【0014】
上記配線カバー装置について、一方の端部が前記支持壁に支持され、他方の端部が前記カバー部材に接続された回動アームを備えることが好ましい。
上記構成では、回動アームは支持壁に支持されているので、カバー部材の閉塞位置及び開放位置の間の移動を安定させることができる。
【0015】
上記配線カバー装置について、前記配線孔に対して1対の前記カバー部材が設けられるとともに、前記支持壁には、前記配線孔側からその反対側に向かう方向に延在する第1案内溝と、前記閉塞位置から前記配線孔の外側へ向かう方向に延在する案内溝である1対の第2案内溝が設けられ、前記第1案内溝を摺動する第1摺動部と、前記第2案内溝を摺動する前記摺動部であって、一方の前記第2案内溝を摺動するとともに一方の前記カバー部材に接続される第2摺動部、及び他方の前記第2案内溝を摺動するとともに他方の前記カバー部材に接続される第2摺動部と、一方の端部が前記第1摺動部に支持され、他方の端部が前記第2摺動部に支持されるアームであって、前記カバー部材毎に設けられた1対の摺動アームと、を備え、前記1対の摺動アームの端部は、前記第1摺動部に共通して支持されることが好ましい。
【0016】
上記構成では、一対のカバー部材は第1摺動部を介して連結されているため、一方のカバー部材に対してのみ外力が加えられた場合であっても、他方のカバー部材を従動させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる配線カバー装置及び机によれば、ユーザの使い勝手を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、配線カバー装置をテーブルに適用した一実施形態を説明する。
図1に示すように、テーブル10は、4本の柱状の脚部11と、脚部11によって支持される被取付体としての天板12とを備えている。天板12の中央部には、天板12を貫通する配線孔13が形成されている。配線孔13には開口部を備えた配線カバー装置20が設けられている。
【0020】
配線カバー装置20には、1対のカバー部材30が設けられている。カバー部材30は、板状の蓋部50を備えている。カバー部材30は、蓋部50の閉塞面が配線カバー装置20の開口部を閉塞する閉塞位置(
図1参照)と、蓋部50が開口部の開口面積を最大とする開放位置(
図2参照)との間で移動する。閉塞位置に配置された1対の蓋部50の間には、配線カバー装置20の内部からケーブルを引き出すことが可能な大きさの隙間が設けられている。また、配線カバー装置20には、天板12の下方において配線カバー装置20からケーブルを引き出すための孔部22が設けられている。
【0021】
図2に示すように、開放位置に配置された一対の蓋部50は、配線孔13の外側であってその両側に配置されている。開放位置の蓋部50は、その閉塞面が天板12の表面に当接し、天板12によって支持されている。また、一対の蓋部50が開放位置に配置されるとき、それらの間に設けられた開口は、ユーザが手を配線カバー装置20内に差し込むことが可能な大きさである。
【0022】
図3に示すように、配線カバー装置20は、上部に開口部21を有する箱状の収容部23を備えている。収容部23は、底部24A及び側壁部24Bを有し、上側及び長手方向の両側が開放されたトレー24と、トレー24の両側を閉塞する支持壁としてのサイドカバー25とを備えている。
図3には、便宜上、トレー24の一部、及び一方のサイドカバー25のみを示している。収容部23の内側に設けられた収容空間23Aには、例えば、電子機器に接続するケーブルや、当該ケーブルが接続される接続機器などが収容される。トレー24の上端部には、水平方向であって収容部23の内側へ向かう方向に延在する鍔部39が形成されている。カバー部材30が閉塞位置に配置されたとき、蓋部50は鍔部39によって支持される。
【0023】
また、トレー24の側壁部24Bの内側には、第1緩衝部材24Cが設けられている。第1緩衝部材24Cは、ゴム、軟質の樹脂、発泡樹脂、繊維材等からなり、トレー24の側壁部24Bと蓋部50を移動させる移動機構との当接による衝撃を緩和するものである。第1緩衝部材24Cは、トレー24の側壁部の両端に設けられている。第1緩衝部材24Cは、
図3では四角形状であるが、円形状等、他の形状でもよい。
【0024】
トレー24の底壁部には、円形状の孔部34が設けられている。この孔部34からは、収容部23に収容された接続機器のケーブル等が引き出される。トレー24の両端には、切り欠き部26が設けられ、サイドカバー25の下端には、切り欠き部27が設けられている。トレー24の切り欠き部26及びサイドカバー25の切り欠き部27により、上述した孔部22が区画される。
【0025】
サイドカバー25は、矩形状であって、その上端部にはフランジ部28が設けられている。フランジ部28を天板12の裏面であって配線孔13の縁に重ね、フランジ部28に形成された締結孔29に螺子などの取付部材を取り付けることによって、配線カバー装置20が天板12に固定される。
【0026】
サイドカバー25には、円形状の1対の貫通孔33が形成されている。また、サイドカバー25には、1つの第1溝25Aと、1対の第2溝25Bとが形成されている。第1溝25Aは、鉛直方向に延在し、1対の貫通孔33の間に設けられている。第2溝25Bは、第1溝25A及び貫通孔33の鉛直方向上方であって、第1溝25Aの両側に設けられている。第2溝25Bは水平方向であって、カバー部材30が並ぶ方向に延在している。また、第2溝25Bは、第1溝25A側の始端から、その反対側の端部である終端に向かうに伴い鉛直方向上方に位置するように、斜め上方に延びている。
【0027】
サイドカバー25には、裏側から摺動板49が取り付けられている。摺動板49には、1つの第1案内溝31と、1対の第2案内溝32とが形成されている。第1案内溝31及び第2案内溝32の周囲には突条49Aが形成されている。第1案内溝31は、サイドカバー25の第1溝25Aの形状とほぼ同じ形状を有し、第2案内溝32の各々は、サイドカバー25の対応する第2溝25Bとほぼ同じ形状を有している。第1案内溝31に沿って設けられた突条49A及び第2案内溝32に沿って設けられた突条49Aは、摺動板49がサイドカバー25に取り付けられた際に、第1溝25A及び第2溝25Bに内嵌される。
【0028】
次に
図4を参照して移動機構を構成するカバー部材30について説明する。1対のカバー部材30は鏡面対象の形状を有している。
図4には、便宜上、一方のカバー部材30のみを示しているが、一対のカバー部材30の構成は同様である。カバー部材30は、蓋部50と、蓋部50に固定された蓋支持部36とを備えている。蓋部50は、鉛直方向上方からみて長方形状であって、その裏面が収容空間を覆う閉塞面53として機能する。閉塞面53であって蓋部50の長手方向の両側には、第2緩衝部材50Aが設けられている。第2緩衝部材50Aは、蓋部50と天板12との当接による衝撃を緩和するものであり、繊維材、軟質の樹脂等からなり、薄く、耐摩擦性を有するものが好ましい。また、蓋部50は、他方のカバー部材30の蓋部50に向かい合う端部に、収容空間23A側に折り曲げられた屈曲部51を備えている。屈曲部51は、蓋部50のうち屈曲部51を除く領域に対して90度以下の角度で折り曲げられている。蓋支持部36は、その長手方向の両端に1対の支持アーム36Aを備えている。
【0029】
支持アーム36Aは、閉塞面53のうち水平方向において屈曲部51寄りの位置に設けられている。また、支持アーム36Aは、蓋部50の屈曲部51側に屈曲している。この支持アーム36Aには、移動機構を構成する回動アーム37及び摺動アーム35が連結されている。
【0030】
回動アーム37は、細長状の形状を有し、その一方の端部が回動軸44によってサイドカバー25に回動可能に取り付けられる。回動軸44は、サイドカバー25に螺子止めされた軸受内に設けられサイドカバー25の貫通孔33に挿通される。一つのサイドカバー25に対して、鏡面対象な形状の1対の回動アーム37が取り付けられる。また、回動アーム37の長手方向の中央部には、嵌合孔47Aを有する当接部47が設けられている。本実施形態では、当接部47は台形の形状を有しているが、四角形、円形、三角形等、その他の形状を有していてもよい。回動アーム37は、嵌合孔47Aが、反対側のサイドカバー25に取り付けられた回動アーム37側を向くように取り付けられる。収容空間23Aを介して向かい合う回動アーム37の嵌合孔47Aには、長尺状の支柱48の一端及び他端が内嵌される。回動アーム37が支柱48で連結されることによって、回動アーム37を安定且つ同期させて回転させることができる。当接部47のうち屈曲部51側と反対側の面は、当接面47Bとして機能する。当接面47Bは、カバー部材30が開放位置に配置されたときに、トレー24の第1緩衝部材24Cを介してトレー24の側壁部24Bに接する。側壁部24Bは、カバー部材30が閉塞位置に配置されたときに、回動アーム37を介してカバー部材30を支持するとともに、回動アーム37の回動を規制する。
【0031】
図4中、右側に示すように、摺動アーム35は、細長状に形成され、一方の端部に突部35Aを有する。突部35A及び突部35Aと反対側の端部には軸挿通孔46が設けられている。
【0032】
摺動アーム35のうち、突部35Aと反対側の端部の軸挿通孔46には、第1軸41が、摺動アーム35に対して相対的に回動可能に挿通されている。この第1軸41は、第1案内溝31内に設けられ、第1案内溝31内を摺動する。また、摺動アーム35の突部35A及び支持アーム36Aの先端部には、摺動部としての第2軸42が、摺動アーム35及び支持アーム36Aに対して相対的に回動可能に挿通されている。第2軸42は、第2案内溝32内に設けられ、第2案内溝32に沿って摺動する。さらに、支持アーム36Aの基端部及び回動アーム37の他方の端部には、ピン43が、支持アーム36A及び回動アーム37に対して相対的に回動可能に挿通されている。
【0033】
図5に示すように、第1案内溝31には、一方の摺動アーム35と他方の摺動アーム35とに挿通された第1軸41が摺動可能に設けられる。また、第1軸41の下端部であって、サイドカバー25の表面側には、ダンパー55が設けられる。ダンパー55は、ケース71に、ケース71内を上下動する軸部56と、軸部56の移動に伴い流動する流体とを備えた軸ダンパーであって、軸部56の頭部が第1軸41の下端部に位置するように設けられる。第1軸41は、第1案内溝31の上端部から下端部に下降したとき、軸部56の頭部に当接する。ダンパー55は、第1案内溝31に沿って下降する第1軸41に対して制動力を付与する。
【0034】
また、一方の第2案内溝32には、一方の摺動アーム35と一方の支持アーム36Aとに挿通された第2軸42が摺動可能に設けられる。さらに、他方の第2案内溝32には、他方の摺動アーム35と他方の支持アーム36Aとに挿通された第2軸42が摺動可能に設けられる。
【0035】
次に
図6〜
図8を参照して、配線カバー装置の動作について説明する。
図6は、蓋部50が閉塞位置に配置された状態を示す。蓋部50の表面の高さは、天板12の表面の高さと同じか、天板12の表面に対して若干低くなっている。閉塞位置の蓋部50は、トレー24の鍔部39によって支持されている。閉塞位置に配置された1対の蓋部50の間には、ユーザの指を屈曲部51に引っ掛けることが可能な隙間65が設けられている。また、この隙間65を介して、収容空間23Aに収容されたケーブル100を天板12側に引き出すことができる。
【0036】
摺動アーム35の第1軸41は、第1案内溝31の鉛直方向下方の始端60に位置する。このとき、第1軸41は、ダンパー55の軸部56に当接している状態であるため、始端60近傍に位置していてもよい。図中左側の第2軸42は、第2案内溝32の右側の端部である始端61に位置する。図中右側の第2軸42は、第2案内溝32の左側の端部である始端61に位置する。
【0037】
回動アーム37の回動軸44は、第2案内溝32の始端61と反対側の終端側に位置し、回動アーム37及びカバー部材30の支持アーム36Aに挿通されたピン43は、水平方向において回動軸44よりも第2案内溝32の始端61側に位置する。そのため、カバー部材30が閉塞位置に配置されたとき、回動アーム37は水平方向において第2案内溝32の始端61側に傾いた姿勢となる。
【0038】
蓋部50を開放するときには、ユーザが隙間65に指を差し入れて、蓋部50に対し、水平方向であってトレー24の外側へ向かう方向、及び鉛直方向上方へ向かう方向の少なくとも一方の方向に力を加える。各カバー部材30は、第1軸41を介して連結されているため、蓋部50を開く際には一対の蓋部50のうち少なくとも一方に力を加えればよい。
【0039】
図7に示すように、一方の蓋部50を開放するための外力が加わると、移動機構40が作動する。すなわち、蓋部50に連結された支持アーム36Aを介して、第2軸42が第2案内溝32の始端61から終端63に向かって摺動する。第2案内溝32は始端61から終端63に向かって斜め上方に延在しているため、蓋部50は、支持アーム36Aとともに斜め上方にスライドする。このように蓋部50が斜め上方に移動することによって、蓋部50を天板12と当接しないように水平方向に移動させることができる。
【0040】
また、回動アーム37は、第2案内溝32の始端61側に傾いた姿勢から回動し、その長手方向と鉛直方向と平行となる直立姿勢に近づいていく。回動アーム37の回動軸44とピン43との間の距離は一定であるため、回動アーム37が直立姿勢に近づくにつれ、蓋部50が鉛直方向上側に持ち上げられ、開口部21からの高さ位置が高くなる。一方、カバー部材30は、第2軸42に沿って斜め上方に摺動しているので、蓋部50は、その屈曲部51と反対側の端部が持ち上げられた斜めの姿勢となる。そのため、蓋部50と天板12とがより当接しにくくなる。
【0041】
また、第2軸42の移動に伴い、その第2軸42を挿通した摺動アーム35は、第1軸41を中心に回動するとともに、第1軸41が第1案内溝31に沿って下降する。第1軸41を挿通した他方の摺動アーム35は、第1軸41の下降に伴い、もう一つの摺動アーム35に接近する方向に向かって回動する。これにより、他方のカバー部材30の蓋部50も開放位置に向かって移動する。
【0042】
図8に示すように、蓋部50が開放位置に配置されたとき、第1軸41は第1案内溝31の終端62に位置し、第2軸42は、第2案内溝32の終端63(
図7参照)に位置する。またこのとき、回動アーム37は、ピン43が挿入された先端部がトレー24側(外側)に傾いた姿勢となり、当接部47の当接面47Bが第1緩衝部材24Cに当接する。このとき、第1緩衝部材24Cによって、当接部47とトレー24との当接による衝撃が緩和される。また、当接部47と第1緩衝部材24Cを介したトレー24との当接により、回動アーム37の外側への回動が規制されるとともに、回動アーム37が支持される。そして、このようにカバー部材30が回動アーム37を介してトレー24によって支持されることにより、開放位置でのカバー部材30の姿勢を安定させることができる。
【0043】
蓋部50が開放位置に配置されたとき、蓋部50は第2緩衝部材50Aを介して天板12に当接する。このため、蓋部50と天板12とが当接するときの衝撃を緩和することができる。また、一対の蓋部50の間の開口面積は最大となり、蓋部50の間の開口を介してケーブル100を差しこんだり、引き出したりする操作が可能となる。また、蓋部を天板12の表面に対して垂直に立てる構成の配線カバー装置においては、蓋部側から収容空間23Aに手を差し込むときに、蓋部が邪魔になる。また、収容空間23Aからケーブル100を蓋部側に引き出す場合には、立てた蓋部の上端までケーブル100を延ばし、蓋部の上端を乗り越えるようにケーブル100を配線しなければならない。これに対し、本実施形態の配線カバー装置20は、開放位置の蓋部50が天板12と平行又は略平行に配置されるため、収容空間23A内に手を差し込みやすい。また、収容空間23Aから引き出したケーブル100は、天板12に沿って伏した状態となった蓋部50の表面に這わせるように延ばせばよい。
【0044】
次に
図6及び
図8を参照して、蓋部50を開放位置から閉塞位置に移動させる動作について説明する。
図8に示すように、開放位置に配置された蓋部50の少なくとも一方に対し、閉塞位置に移動させるための外力が加えられると、第2軸42は、第2案内溝32に沿って始端61に向かって移動する。また、第2軸42の移動により、摺動アーム35が回動し、摺動アーム35に連結された第1軸41が第1案内溝31に沿って始端60に向かって移動する。
【0045】
図6に示すように、第1軸41は、終端62から始端60に向かう途中で、ダンパー55の軸部56に当接する。このとき、ダンパー55によって、第1軸41を介してカバー部材30に制動力が付与される。このようにカバー部材30に制動力が加えられることにより、蓋部50が閉塞位置に接近した際にカバー部材30が滑らかに移動する。また、回動アーム37とトレー24とが当接するときの衝撃も抑制される。カバー部材30の移動に伴う衝撃が抑制されることにより、部品同士の当接により生じる音や、カバー部材30の移動中に発生する音を含む動作音も小さくすることができる。
【0046】
このように、配線カバー装置20では、開放位置の蓋部50が天板12に沿って配置された状態となる。したがって、収容部23内に蓋部50を収容するためのスペースを確保しなくてもよいため、収容部23が水平方向に大型化することを抑制できる。又は、収容部23の収容空間に蓋部50を収容するためのスペースを確保することによる収容空間の縮小を防ぐことができる。さらに、蓋部50が開口部21の上方を移動するので、蓋部50と収容空間内のケーブルや接続機器等が干渉しない。また、蓋部50は、開放位置においても蓋部50の閉塞面53が見えず、蓋部50はフラットな状態で配置されるので、見栄えがよい。
【0047】
蓋部50自体を回動させずに閉塞位置から開放位置まで移動させる機構としては、2軸の平行リンク等を用いたリンク機構を採用することも考えられる。しかし、そのようなリンク機構においては、平行リンクが独立して移動するために平行リンクの動きが不安定になる。また、蓋部50を閉塞位置及び開放位置の間で移動可能としつつ、一方の蓋部50を支持する平行リンクの移動軌跡が、他方の蓋部50を支持する平行リンクや天板12と重ならないようにすると、移動機構が大型化したり、平行リンクが長くなりやすい。これに対し、上記した移動機構40では、摺動アーム35、支持アーム36A、及び回動アーム37がサイドカバー25に支持されるので、動作を安定させることができる。また、部品同士の干渉も抑制できるので、移動機構の大型化も抑制することができる。
【0048】
以上説明したように、上記実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)閉塞位置に配置された蓋部50に対し外力が加えられることによって、支持アーム36Aに支持された第2軸42が、閉塞位置から開口部の外側の開放位置に向かう方向に延在する第2案内溝32に沿って摺動する。これにより、閉塞位置に配置された蓋部50が水平方向に移動して開放位置に移動される。開放位置に配置された蓋部50は、閉塞面53が天板12に当接し、天板12に沿って配置された状態となる。したがって、開放位置に配置された蓋部50が起立しないため、収容空間23Aに手を差し込みやすくなるとともに、開口部21の外側で伏した状態の蓋部50に沿ってケーブルを配線することができる。そのため、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0049】
(2)第2案内溝32は、蓋部50が閉塞位置にあるとき始端61から、蓋部50が開放位置にあるときの終端63に向かうに伴い鉛直方向に位置するように、斜め上方に延在する。そのため、閉塞位置に配置された蓋部50と天板12の表面とを同一の高さになるようにしても、蓋部50を天板12に当接しないように移動させることができる。
【0050】
(3)回動アーム37は、その一方の端部がサイドカバー25に支持され、他方の端部がカバー部材30に接続されているので、カバー部材30の閉塞位置及び開放位置の間の移動を安定させることができる。
【0051】
(4)一対のカバー部材30は、第1軸41を介して連結されているため、一方のカバー部材30に対してのみ外力が加えられた場合であっても、他方のカバー部材30を従動させることができる。
【0052】
なお、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・
図9及び
図10に示すように、回動アーム37は、当接部47を省略した構成であってもよい。開放位置においては、回動アーム37とトレー24とが当接することによって、開放位置のカバー部材30の姿勢を安定させることができる(
図10参照)。
【0053】
・
図9に示すように、軸ダンパーに代えて、若しくは軸タンパーに加えて、回動アーム37の回動軸にロータリーダンパー70を設けるようにしてもよい。ロータリーダンパー70は、ケース71に収容され、ケース71はサイドカバー25に固定されている。また、軸ダンパーやロータリーダンパー等のダンパーを、第2軸42や、蓋部50等に設けるようにしてもよい。このようにしても、カバー部材30の動作を滑らかとし、配線カバー装置20に高級感をもたせることができる。
【0054】
・
図9及び
図10に示すように、回動アーム37の先端部に、蓋部50に当接する摺接面を設けてもよい。回動アーム37は回動軸44を中心に回動するため、摺接面における蓋部50との摺接位置は、回動に伴い変化する。そのため、摺接面の形状を適宜変更することにより、蓋部50の姿勢を水平にしたり、斜めの姿勢にしたりすることができる。そのため、蓋部50と天板12との衝突を避けることが可能な形状にすることができる。
【0055】
・上記実施形態では、1対の摺動アーム35には、第1案内溝31を摺動する共通の第1軸41が挿通されるようにした。これ以外の態様として、サイドカバー25に1対の第1案内溝31を形成し、摺動アーム35の各々に支持される第1軸41が第1案内溝31を摺動するようにしてもよい。この態様によれば、カバー部材30をそれぞれ独立させて動作させることが可能である。
【0056】
・配線カバー装置20に設けられる蓋部50は、1つでもよい。この態様においては、サイドカバー25に第2案内溝32が1つ設けられ、第2軸42、支持アーム36A、回動アーム37が1つずつ設けられる。この態様においても、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0057】
・移動機構40は、例えば、ガスダンパーなど、カバー部材30側、収容部23側に両端が固定され、その両端の相対位置を変更可能な部材から構成してもよい。ガスダンパーは、管状部と、管状部の内部にロッドと一体で軸方向に摺動するピストンとを備える。ピストンによってチューブ内部は、オリフィスによって連通した2つの空間に分けられ、この両室には圧縮ガスが充填されている。空間の面積により、ロッドは伸びる方向に反発力を有している。このようにしても、開放位置に配置された蓋部を、天板12に付した状態とすることができる。
【0058】
・上記構成では、収容部23は、サイドカバー25とトレー24とを備える構成としたが、サイドカバー25(側壁部)だけを備え、机側にトレー24に相当する壁部を設けてもよい。
【0059】
・上記実施形態では、配線カバー装置20をテーブル10に適用したが、矩形状の天板のうち一側方にユーザが着座する机や、キャビネットなどの家具に適用してもよい。また、什器など、家具以外の対象物に適用してもよい。