特許第6687368号(P6687368)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6687368
(24)【登録日】2020年4月6日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】支援システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/10 20060101AFI20200413BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20200413BHJP
   H04M 11/04 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   G08B25/10 D
   G08B17/00 C
   H04M11/04
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-225154(P2015-225154)
(22)【出願日】2015年11月17日
(65)【公開番号】特開2017-91477(P2017-91477A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田之畑 直希
(72)【発明者】
【氏名】加藤 慎二
【審査官】 大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−234534(JP,A)
【文献】 特開2008−234533(JP,A)
【文献】 特開2011−210205(JP,A)
【文献】 特開2004−138562(JP,A)
【文献】 特開2015−125733(JP,A)
【文献】 特開2015−153177(JP,A)
【文献】 特開2015−200609(JP,A)
【文献】 特開2011−253403(JP,A)
【文献】 特開2016−038755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 25/00
G08B 17/00
H04M 11/00
G01C 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の各所に設置された火災感知器を有する自動火災報知設備が火災を感知したときに送信する火災情報信号を受信する支援装置と、人によって携帯される携帯端末とを備えた支援システムであって、
前記携帯端末は、各所に設置された位置識別情報送信機からの位置識別信号を受信する位置識別信号受信部と、前記位置識別信号と自己の携帯端末IDを携帯端末位置情報として送信する携帯端末位置情報送信部と、前記携帯端末位置情報送信部の送信動作の周期を設定する周期設定部と、該周期設定部の周期を変更する周期変更信号を前記支援装置から受信する周期変更受信部を備え、
前記支援装置は、火災情報信号を受信すると、携帯端末を選択し、通常周期よりも短い非常周期を選択する周期変更選択部と、該周期変更選択部によって選択された携帯端末に非常周期を周期変更信号として送信する周期変更送信部を備え
前記周期変更選択部は、火災発生場所に近い距離にある携帯端末を選択し、火災発生からの時間経過毎に火災発生場所からの距離を増やし、新たに携帯端末を選択する
とを特徴とする支援システム。
【請求項2】
施設の各所に設置された火災感知器を有する自動火災報知設備が火災を感知したときに送信する火災情報信号を受信する支援装置と、人によって携帯される携帯端末とを備えた支援システムであって、
前記携帯端末は、現在位置を特定するための情報を送信する携帯端末位置情報送信部と、前記携帯端末位置情報送信部の送信動作の周期を設定する周期設定部と、該周期設定部の周期を変更する周期変更信号を前記支援装置から受信する周期変更受信部を備え、
前記支援装置は、火災情報信号を受信すると、通常周期よりも短い非常周期を選択する周期変更選択部と、前記携帯端末に非常周期を周期変更信号として送信する周期変更送信部を備え
前記周期変更選択部は、火災発生場所に近い距離にある携帯端末を選択し、火災発生からの時間経過毎に火災発生場所からの距離を増やし、新たに携帯端末を選択する
とを特徴とする支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物等の施設内の在留者の位置を取得し、火災発生時に避難誘導や消火活動を行うための支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防災サーバで平常時より、工場の各従業員が所持する携帯端末から現在位置情報を所定の周期で受信して、従業員の所在位置情報を保存し、工場内で災害が発生すると、各従業員の所在位置情報を利用して、救出活動を行ったり、避難指示を行ったりする防災管理システムが提案されている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−196255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の防災管理システムでは、携帯端末からの現在位置情報の送信が所定の周期であったため、災害発生時に救助活動や避難指示等を正確に行うために携帯端末からの現在位置情報の送信を短い周期で行うと、平常時においても頻繁に送信が行われ携帯端末の電池の消耗が早くなるおそれがあった。
本発明は、携帯端末の電池の消耗を抑えて人によって携帯される携帯端末の現在位置を把握することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る支援システムは、施設の各所に設置された火災感知器を有する自動火災報知設備が火災を感知したときに送信する火災情報信号を受信する支援装置と、人によって携帯される携帯端末とを備えた支援システムであって、前記携帯端末は、各所に設置された位置識別情報送信機からの位置識別信号を受信する位置識別信号受信部と、前記位置識別信号と自己の携帯端末IDを携帯端末位置情報として送信する携帯端末位置情報送信部と、前記携帯端末位置情報送信部の送信動作の周期を設定する周期設定部と、該周期設定部の周期を変更する周期変更信号を前記支援装置から受信する周期変更受信部を備え、 前記支援装置は、火災情報信号を受信すると、携帯端末を選択し、通常周期よりも短い非常周期を選択する周期変更選択部と、該周期変更選択部によって選択された携帯端末に非常周期を周期変更信号として送信する周期変更送信部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、支援システムは、人によって携帯される携帯端末の現在位置を携帯端末の電池の消耗を抑えて把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】自火報設備100及び支援システム200の構成の一例を示す図である。
図2】携帯端末6及び情報装置7の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図3】支援システム200の動作の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る自動火災報知設備100(以下、「自火報設備100」という。)及び支援システム200の構成の一例を示す図である。自火報設備100と支援システム200とは、信号線C1を介して接続される。
【0009】
(自火報設備100の構成)
自動警報設備である自火報設備100は、火災感知手段である火災感知器1と、火災受信機2とを備える。自火報設備100は、P型システムであってもR型システムであってもよい。本実施形態においては、自火報設備100をR型システムとして説明する。火災感知器1は、防火対象物である施設の各所に設置される。本実施形態において、施設とは、例えばホテル、マンション等の集合住宅、オフィスビル、商業施設、工業施設、地下施設などである。各所とは、例えば部屋、廊下、通路、階段、エスカレータ、エレベータの昇降路等の各区画である。火災感知器1は、信号線C2を介して、火災受信機2と接続される。
【0010】
火災感知器1は、各々識別情報(以下、「アドレス」という。)を有し、火災を感知すると、自己のアドレスを含む火災感知信号を火災受信機2に送信する。火災受信機2は、火災感知器1から火災感知信号を受信すると、火災情報信号を支援システム200に送信する。この火災情報信号には、火災を感知した火災感知器1のアドレスと設置場所である施設識別ID、棟番号、階番号が含まれる。
【0011】
また、自火報設備100は、施設内に配置される地区ベル4を備える。地区ベル4は信号線C2と中継器3を介して火災受信機2に接続される。中継器3は、火災受信機2からの信号に応じて地区ベル4を鳴動させる。なお、地区ベル4は、音声警報装置とすることもでき、その場合には火災受信機2からの信号に応じて、火災感知放送を出力する。
【0012】
また、施設の各所には、位置識別信号送信手段である位置識別信号送信機5が設置されている。位置識別信号送信機5は、自己が設置された位置を判別するために利用できる位置識別信号として、位置識別信号送信機5に付与される個々を一意的に識別できる位置識別IDを送信する発信機である。具体的には、位置識別信号送信機5の位置識別IDが重畳されたビーコン信号を定期的に発信する。本実施形態では、省電力の近距離無線規格であるBLE(Blluetooth(登録商標) Low Energy)に従ってビーコン信号を発信する。なお、位置識別信号送信機5は、信号線C2に接続して電源を取るようにしてもよいし、火災感知器1に一体に組み込んでもよい。
【0013】
(支援システム200の構成)
支援システム200は、携帯端末6及び支援装置7を備える。支援装置7と携帯端末6とは、無線LAN等の通信回線C3を介して接続される。支援装置7は、信号線C1を介して火災受信機2と接続される。
【0014】
(携帯端末6の構成)
図2は、携帯端末6及び支援装置7の機能的構成の一例を示すブロック図である。携帯端末6は、スマートフォンやタブレット端末や携帯電話機等の携帯型のコンピュータ装置である。すなわち、携帯端末6は、CPU等の演算部や、フラッシュメモリ等の記憶部や、タッチパネル等のユーザインタフェース部や、データ通信カード等の通信部、電池等を備える。この携帯端末6は、図2に示すように、位置識別信号受信部601、携帯端末位置判定部602、携帯端末位置情報送信部603、周期設定部604、周期変更受信部605、参加要請受信部606、参加要請表示部607、支援情報受信部608及び支援情報表示部609を備える。これらの機能は、演算部が、記憶部に記憶されるプログラムを実行することにより実現される。
【0015】
位置識別信号受信部601は、位置識別信号送信機5から定期的に発信されるビーコン信号を受信し、ビーコン信号に重畳された位置識別信号送信機5の位置識別IDを抽出する。受信動作は、周期設定部604に従った周期で行われる。
携帯端末位置判定部602は、抽出した位置識別IDが所定回数連続しているときに、携帯端末6の近辺に存在する位置識別送信機5が送信した位置識別IDと判定して確定することで、受信した位置識別IDの確実性を高める。なお、携帯端末判定部602は、位置識別信号受信部601がビーコン信号を受信できないときは、位置識別ID取得不能と判定し、位置識別ID取得不能を示すデータを位置識別IDとする。
携帯端末位置情報送信部603は、携帯端末位置判定部602が判定した位置識別IDと、携帯端末6付与される個々を一意的に識別できる携帯端末IDとを携帯端末位置情報として支援装置7に送信する。すなわち、携帯端末位置情報送信部603は、位置識別信号と携帯端末IDとを携帯端末位置情報として支援装置7に送信する。送信動作は、送信周期設定部604に従った周期で行われる。ここで、携帯端末IDとしては、携帯端末6の電子メールアドレス、電話番号、MACアドレス等とすることができ、個々を識別できればよい。
【0016】
周期設定部604は、位置識別信号受信部601がビーコン信号を受信する受信動作を行う周期及び携帯端末位置情報送信部603が支援装置7に携帯端末位置情報を送信する周期を設定する。
周期変更受信部605は、支援装置7から周期変更信号を受信して、周期設定部604の周期を変更する。
参加要請受信部606は、支援装置7から自衛消防隊への参加の要請を受信する。
参加要請表示部607は、参加要請受信部606により受信された参加要請をユーザインタフェース部に表示させる。具体的には、隊員に割り当てられた役割を示す情報をユーザインタフェース部に表示させる。
【0017】
支援情報受信部608は、支援装置7から支援情報を受信する。
支援情報表示部609は、支援情報受信部608により受信された支援情報をユーザインタフェース部に表示させる。例えば、火災位置、避難経路または消火活動経路及び他の携帯端末6の位置等が示された平面図をユーザインタフェース部に表示させる。
【0018】
(支援装置7の構成)
支援装置7は、自衛消防隊の活動を支援したり、避難を支援したりするための装置である。支援装置7は、CPU等の演算部や、HDD等の記憶部や、データ通信カード等の通信部等を備える。なお、記憶部は、通信回線C3を介して接続される外部サーバに設置されてもよい。この支援装置7は、図2に示すように、携帯端末位置情報受信部701、位置識別信号送信機情報記憶部702、携帯端末位置特定部703、携帯端末位置記憶部704、火災情報信号受信部705、自火報設備情報記憶部706、火災位置特定部707、隊員候補情報記憶部708、隊員選択部709、参加要請送信部710、周期変更選択部711、周期変更送信部712、経路選択部713及び支援情報送信部714を備える。これらの機能は、演算部が、記憶部に記憶されるプログラムを実行することにより実現される。
【0019】
携帯端末位置情報受信部701は、携帯端末6から携帯端末位置情報を受信する。
位置識別信号送信機情報記憶部702は、施設の各所に設置される各位置識別信号送信機5の位置識別IDと設置位置情報とを対応付けてなる位置識別信号送信機情報を記憶する。位置識別信号送信機情報の一例としては、位置識別IDと、設置位置情報である施設識別ID、棟番号、階番号、座標データ、設置場所名称等が対応付けられている。
携帯端末位置特定部703は、携帯位置情報受信部701により受信された携帯端末位置情報に含まれる携帯端末IDから携帯端末6を特定し、位置識別IDから位置識別信号送信機情報記憶部702を参照して位置識別信号送信機5の設置位置を特定する。これにより携帯端末位置情報を送信した携帯端末6の現在位置が特定される。
携帯端末位置記憶部704は、携帯位置特定部703が特定した携帯端末6の現在位置を記憶する。
【0020】
火災情報信号受信部705は、自火報設備100から火災情報信号を受信する。
自火報設備情報記憶部706は、施設内に設置される各火災感知器1のアドレスと設置位置情報とを対応付けてなる自火報設備情報を記憶する。自火報設備情報の一例としては、アドレスと、設置位置情報である施設識別ID、棟番号、階番号、座標データ、設置場所名称等が対応付けられている。
火災位置特定部707は、火災情報信号受信部705により受信された火災情報信号に含まれる火災感知器1のアドレス、設置される施設識別ID、棟番号、階番号に対応する設置位置を、自火報設備情報記憶部706を参照して、火災発生場所を特定する。
【0021】
隊員候補情報記憶部708は、自衛消防隊の各役割について隊員候補者が所持する携帯端末IDを格納する。ここで、自衛消防隊の役割とは、例えば、初期消火班、避難誘導班、安全防護班、通報連絡班、応急救護班、非常持出班である。防火対象物である施設が複数のフロアにより構成される場合には、フロアごとに各役割について複数の隊員候補者の携帯端末IDが記憶される。
隊員選択部709は、自衛消防隊の各役割について、携帯端末位置記憶部704に記憶される携帯端末6の現在位置、火災位置特定部707が特定した火災発生場所、隊員候補情報記憶部708に格納されている携帯端末IDに基づき、役割毎に適切な候補者を選択する。例えば、初期消火班であれば、火災発生場所に一番近い初期消火班隊員候補の携帯端末6を選択する。なお、現在位置が関係する施設内でない携帯端末6の携帯者である自衛消防隊の候補者については除外して特定を行う。
参加要請送信部710は、隊員選択部709により選択された隊員候補者が携帯する携帯端末6に対して、自衛消防隊の活動への参加要請を送信する。
【0022】
周期変更選択部711は、火災情報信号受信部705が火災情報信号を受信すると、携帯端末位置記憶部704に記憶される携帯端末6の現在位置、火災位置特定部707が特定した火災発生場所、隊員候補情報記憶部708に記憶されている携帯端末IDに基づき、火災が発生した施設内の自衛消防隊員が携帯する携帯端末6を選択し、携帯端末6に送信する周期を選択する。
周期変更送信部712は、送信周期変更選択部711が選定した携帯端末6に選択した周期を周期変更信号として送信する。
【0023】
経路選択部713は、携帯端末位置記憶部704に記憶される携帯端末6の現在位置、火災位置特定部707が特定した火災発生場所、隊員候補情報記憶部708に格納されている携帯端末IDに基づき、携帯端末6毎に自衛消防隊員が活動するために最適な経路を選択する。また、経路選択部713は、携帯端末6毎に自衛消防隊員以外の人が避難するために最適な経路を選択する。
支援情報送信部714は、火災位置特定部707が特定した火災発生場所、経路選択部713が選択した経路情報等が示された平面図を支援情報として、それぞれの携帯端末6に送信する。
【0024】
自衛消防隊員が携帯する携帯端末6に送信される支援情報の一例としては、火災発生場所、消火栓の位置、自己の携帯端末6の現在位置、自己の携帯端末6の現在位置から火災発生場所までの最短経路、他の自衛消防隊員の携帯端末6の現在位置、自衛消防隊員以外の携帯端末6の現在位置が示された平面図である。また、自衛消防隊員以外の人が携帯する携帯端末6に送信される支援情報の一例としては、火災発生場所、自己の携帯端末6の現在位置、自己の携帯端末6から一番近い避難口までの最短経路が示された平面図である。
【0025】
(支援システム200の動作)
支援システム200の動作について説明する。
図3は、支援システム200の動作の一例を示すシーケンス図である。図3において、携帯端末6Aは自衛消防隊員によって携帯され、携帯端末6Bは自衛消防隊員以外によって携帯されるものとして説明する。なお、携帯端末6Aと携帯端末6Bとを区別しない場合には、携帯端末6として説明する。
【0026】
携帯端末6は、位置識別信号受信部601により位置識別信号送信機5から定期的に発信されるビーコン信号を周期設定部604により設定された通常周期で受信し、携帯端末位置判定部602が位置識別IDを確定すると(S01)、携帯端末位置情報送信部603は、携帯端末位置判定部602によって確定された携帯端末IDと自己の携帯端末IDを携帯端末位置情報として、周期設定部604により設定された通常周期で支援装置7に対して送信する(S02)。
ここで通常周期とは、例えば、位置識別信号受信部601が5秒間ビーコン信号受信動作を行い、5秒間休止すること1周期として繰り返し、携帯端末位置判定部602が4秒連続で同じ位置識別IDが重畳されたビーコン信号を受信したときに、当該位置識別IDを受信した位置識別IDとして確定する。また、携帯端末位置情報送信部603が10秒間隔で携帯端末位置情報を支援装置7に対して送信する。
【0027】
支援装置7において、携帯端末位置情報受信部701により携帯端末位置情報が受信されると、携帯端末位置特定部703は、位置識別信号送信機情報記憶部702を参照して携帯位置情報に含まれる位置識別IDに該当する位置識別信号送信機5の設置位置を特定し、携帯端末6の現在位置を特定する(S03)。そして、携帯端末位置記憶部704の携帯端末6A及び携帯端末6Bの現在位置情報を更新する(S04)。
支援システム200は、ステップS01〜S04を通常時動作として繰り返し、火災が発生していない通常時においても携帯端末6のそれぞれの現在位置を更新している。
【0028】
火災受信機2は、火災を感知した火災感知器1が送信する火災感知信号を受信すると(S05)、火災を感知した火災感知器1のアドレスと設置された施設識別ID、棟番号、階番号が含まれる火災情報信号を支援装置7に対して送信する(S06)。支援装置7において、火災情報信号受信部705により火災情報信号が受信されると、火災位置特定部707は、火災情報信号に含まれる情報に基づき、自火報設備情報記憶部704を参照して火災発生場所を特定する(S07)。
【0029】
火災発生場所が特定されると、隊員選択部709は、自衛消防隊の各役割について、隊員候補情報記憶部708に記憶される隊員候補者の中から候補者を選択する(S08)。隊員候補が選択されると、参加要請送信部710は、選択された隊員候補者が携帯する携帯端末6に対して、自衛消防隊の活動への参加要請を送信する(S09)。図3に示す例では、携帯端末6Aに参加要請が送信されている。
携帯端末6Aにおいて、参加要請受信部606により参加要請が受信されると、参加要請の内容がユーザインタフェース部に表示され(S10)、それを見て各自衛消防隊員は、各自に割り当てられた役割に応じた活動を開始する。
【0030】
また、火災発生場所が特定されると、周期変更選択部711は、火災が発生している施設内の自衛消防隊員が携帯する携帯端末6を選定し、変更する周期を選定し(S11)、周期変更送信部712が選択した携帯端末6に変更する周期を周期変更信号として送信する(S12)。図3に示す例では、携帯端末6Aに周期変更信号が送信されている。
周期変更信号が送信された携帯端末6Aにおいて、周期変更受信部606により周期変更信号が受信されると、周期設定部604は通常周期から周期変更信号に含まれる周期に変更される。ここで、変更された周期を非常周期と呼ぶ。
【0031】
周期変更信号を受信した携帯端末6Aは、位置識別信号受信部601により位置識別信号送信機5から定期的に発信されるビーコン信号を周期設定部604により設定された非常周期で受信して、携帯端末位置判定部602が位置識別IDを確定すると(S13)、携帯端末位置情報送信部603は、確定された携帯端末IDと自己の携帯端末IDを携帯端末位置情報として、周期設定部604により設定された非常周期で支援装置7に対して送信する(S14)。
ここで、非常周期は、通常周期よりも短い周期であり非常周期としては、例えば、位置識別信号受信部601が連続してビーコン信号受信動作を行い、携帯端末位置判定部602が2秒連続して同じ位置識別IDが重畳されたビーコン信号を受信したときに、当該位置識別IDを受信した位置識別IDとして確定する。また、携帯端末位置情報送信部602が2秒間隔で携帯端末位置情報を支援装置7に対して送信する。
【0032】
周期変更信号が送信されなかった携帯端末6Bについては、ステップS01と同じ通常周期でビーコン信号の受信と、位置識別IDの判定を続け(S15)、ステップS02と同じ通常周期で携帯端末位置情報の送信を行う。
支援装置7において、携帯端末情報受信部701により携帯端末位置情報が受信されるとステップS03と同様に携帯端末6の現在位置を特定し(S17)、ステップS04と同様に携帯位置記憶部704の携帯端末6の現在位置を更新する(S18)。
【0033】
経路選択部713は、火災発生場所、携帯端末6の現在位置、携帯端末6を携帯する人が自衛消防隊員かそれ以外の人か等の情報に基づき、携帯端末6毎に最適な経路を選択する(S19)。支援情報送信部714は、携帯端末6毎に最適な支援情報を送信し(S20)、それぞれの携帯端末6は支援情報受信部608で受信した支援情報に基づき、ユーザインタフェース部に表示を行う(S21)。
支援システム200は、ステップS13〜S21の動作を非常時動作として繰り返し、火災が発生した非常時においては、施設内にいる自衛消防隊員が携帯する携帯端末6から通常時動作よりも短い周期で、当該携帯端末6の現在位置を更新している。
【0034】
以上説明した支援システム200の動作によれば、火災が発生していない通常時に携帯端末6の電池の消耗を抑えて現在位置を把握でき、火災が発生した非常時には火災が発生した施設内にいる自衛消防隊員の携帯端末6の現在位置を自衛消防隊員の動きに合わせて即座に把握できる。
【0035】
(変形例)
上記の実施形態は下記のように変形してもよい。また、下記の変形例は他の1以上の変形例と組み合わせてもよい。
【0036】
(変形例1)
上記の実施形態に係る火災感知器1は、BLEに従ってビーコン信号を発信しているが、他の近距離無線通信規格に従ってビーコン信号を発信してもよい。例えば、ZigBeeに従ってビーコン信号を発信してもよい。
【0037】
(変形例2)
上記の実施形態に係る位置識別信号送信機5は、自己の設置位置を示す位置識別信号として自己の位置識別IDを送信しているが、位置識別信号送信機5の設置場所を示す位置識別信号は位置識別IDに限られない。例えば、施設内における位置識別信号送信機5の位置を示す座標データを代わりに送信するようにしてもよい。このとき、施設識別ID、棟番号、階番号、施設名等も含めて送信するようにしてもよい。
【0038】
(変形例3)
上記の実施形態に係る自火報設備100において感知されるのは火災であったが、ガス漏れ、漏電、水漏れや地震等の他の異状が感知されてもよい。
【0039】
(変形例4)
上記の実施形態に係る携帯端末6の周期設定部604は、携帯端末位置情報送信部603の送信周期のみを設定するようにしてもよい。すなわち、位置識別信号受信部601の受信動作を通常時動作においても連続してビーコン信号受信動作を行わせて、携帯端末位置情報送信部603の送信動作を通常時動作においては通常周期で行わせ、非常時動作においては非常周期で行わせる。このようにしても、携帯端末6の通常時動作における電池の消耗を抑えることができる。
【0040】
(変形例5)
上記の実施形態に係る支援装置7の周期変更選択部711は、施設内の全ての携帯端末6を選択するようにしてもよい。すなわち、施設内にいる自衛消防隊員候補の携帯端末6だけではなく、その他の人の携帯端末6の現在位置についても短い周期で更新する。このようにすれば人の動きに合わせて避難状況も即座に把握できる。また、火災発生当初は自衛消防隊隊員候補の携帯端末6のみ選択し、火災発生から所定時間経過後にその他の人の携帯端末6を選択するようにしてもよい。
【0041】
(変形例6)
上記の実施形態に係る支援装置7の周期変更選択部711は、火災発生場所からの距離に応じて携帯端末6を選択するようにしてもよい。すなわち、施設内にいる自衛消防隊員候補の内、さらに火災発生場所に近い自衛消防隊員を選択するようにしてもよい。また、火災発生からの時間経過毎に火災発生場所からの距離を増やし、新たに携帯端末6を選択するようにしてもよい。
【0042】
(変形例7)
上記の実施の形態に係る自火報設備100の火災受信機2と支援システム200の支援装置7とを通信線C3を介して接続するようにしてもよく、複数の施設の火災受信機2を1台の支援装置7に接続して、1台の支援装置7で複数の施設の自火報設備100の支援を行うようにしてもよい。このようにしても、支援装置7への携帯端末位置情報の送信周期が短くなるのは火災が発生した施設内の携帯端末6のみであるため、支援装置7への通信量が大幅に増えることがない。
【0043】
(変形例8)
上記の実施形態に係る支援装置7の火災情報信号受信部705は、火災情報信号として火災感知器1が設置される施設識別ID、棟番号、階番号、座標データを受信するようにしてもよい。
【0044】
(変形例9)
上記の実施形態に係る支援装備7の周期変更選択部711は、携帯端末6に合わせて非常周期以外の様々な周期を選択してもよい。例えば、自衛消防隊の役割で動きが少ない通報連絡班については、通常周期よりも短いが非常周期よりも長い周期とすることができる。
【符号の説明】
【0045】
1:火災感知器、2:火災受信機、3:中継器、4:地区ベル、5:位置識別信号送信機、6:携帯端末、7:支援装置、100:自動火災報知設備、200:支援システム、601:位置識別信号受信部、602:携帯端末位置判定部、603:携帯端末位置情報送信部、604:周期設定部、605:周期変更受信部、606:参加要請受信部、607:参加要請表示部、608:支援情報受信部、609:支援情報表示部、701:携帯端末位置情報受信部、702:位置識別信号送信機情報記憶部、703:携帯端末位置特定部、704:携帯端末位置記憶部、705:火災情報信号受信部、706:自火報設備情報記憶部、707:火災位置特定部、708:隊員候補情報記憶部、709:隊員選択部、710:参加要請送信部、711:周期変更選択部、712:周期変更送信部、713:経路選択部、714:支援情報送信部、C1:信号線、C2:信号線、C3:通信回線
図1
図2
図3