(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
圧縮機と、第一冷却器と、前記圧縮機から圧送された冷媒を前記第一冷却器へ流す高温側冷媒流路と、前記第一冷却器より高い温度に冷却される第二冷却器と、前記圧縮機から圧送された冷媒を前記第一冷却器と前記第二冷却器に切り替えて流す第一切替弁とを有する冷凍サイクルと、
前記第一冷却器で冷却された冷気が供給される貯蔵室が形成された断熱箱体とを備えた冷蔵庫において、
前記冷凍サイクルは、前記高温側冷媒流路から分岐し、冷媒が前記第一冷却器の下部から上部に向かって流れるように前記第一冷却器に接触させて設けられた除霜パイプを備え、前記除霜パイプの下流側が前記第二冷却器の上流側に接続され、
前記第一冷却器に冷媒を流す第一運転と、前記除霜パイプを介さずに前記第二冷却器に冷媒を流す第二運転と、前記除霜パイプを介して前記第二冷却器に冷媒を流す第三運転とを行い、
前記高温側冷媒流路は、冷媒の熱を外部へ放熱する第一放熱手段と、前記第一放熱手段の下流側に設けられ冷媒の熱を外部へ放熱する第二放熱手段と、前記第一放熱手段を流れた冷媒が流れ込み前記第二放熱手段と前記除霜パイプに切り替えて冷媒を流す第二切替弁とを備える冷蔵庫。
前記第一冷却器の温度を検出する温度センサを備え、前記除霜パイプに冷媒を流し始めてから所定時間経過後に前記温度センサの検出温度が所定温度以下であると、前記圧縮機の運転周波数を上げる請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
圧縮機と第一冷却器と前記圧縮機から圧送された冷媒を前記第一冷却器へ流す高温側冷媒流路とを有する冷凍サイクルと、前記第一冷却器で冷却された冷気が供給される貯蔵室が形成された断熱箱体とを備えた冷蔵庫において、
前記冷凍サイクルは、前記高温側冷媒流路から分岐し、冷媒が前記第一冷却器の下部から上部に向かって流れるように前記第一冷却器に接触させて設けられた除霜パイプを備え、
前記第一冷却器の温度を検出する温度センサを備え、前記除霜パイプに冷媒を流し始めてから所定時間経過後に前記温度センサの検出温度が所定温度以下であると、前記圧縮機の運転周波数を上げる冷蔵庫。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。
【0009】
本実施形態に係る冷蔵庫1は、
図1に示すように、前面に開口する断熱箱体2を備える。断熱箱体2は、鋼板製の外箱4と合成樹脂製の内箱6との間に形成された断熱空間に、真空断熱材や発泡ウレタンなどの断熱材を有して構成されている。断熱箱体2の内部には複数の貯蔵室が設けられており、具体的には、
図1に示すように、上段から順に、冷蔵室10、野菜室12が設けられ、その下方に製氷室(図示せず)と小冷凍室14が左右に並べて設けられ、これらの下方に冷凍室16が設けられている。
【0010】
冷蔵室10及び野菜室12は、冷蔵温度帯(例えば、0〜4℃)に冷却される貯蔵室である。冷蔵室10の前面開口部は、該開口部を幅方向に区分する観音開き式の左右一対の断熱扉10aにより閉塞される。この断熱扉10aは、冷蔵庫本体の左右両側に設けたヒンジ5により回動自在に枢支されている。冷蔵室10の背面には、冷蔵室10の庫内温度を測定するための冷蔵温度センサ24が設けられている。
【0011】
野菜室12の前面開口部には、引出し式の断熱扉12aが設けられている。この断熱扉12aの背面部には、貯蔵容器を構成する上下2段の収納ケース22が連結されている。
【0012】
製氷室、小冷凍室14、及び冷凍室16は、いずれも冷凍温度帯(例えば、−20〜−10℃)に冷却される貯蔵室であり、野菜室12と製氷室および小冷凍室14との間は、内部に断熱材が設けられた断熱仕切壁28により上下に仕切られている。小冷凍室14の前面開口部には、引出し式の断熱扉14aが設けられており、その断熱扉14aの背面部に貯蔵容器30が連結されている。製氷室の前面開口部にも、図示はしないが、製氷容器が連結された引出し式の断熱扉が設けられている。冷凍室16の前面開口部にも、上下2段の貯蔵容器32が連結された引出し式の断熱扉16aが設けられている。また、冷凍室16の背面には、冷凍室16の庫内温度を測定するための冷凍温度センサ26が設けられている。
【0013】
断熱箱体2の冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室10及び野菜室12)の奥部には、冷蔵冷却器室36及びダクト38が形成されている。冷蔵冷却器室36の内部には、冷蔵冷却器52及び冷蔵ファン53が設けられており、冷蔵ファン53が、冷蔵冷却器52で冷却した冷蔵冷却器室36内の空気をダクト38を介して冷蔵室10および野菜室12に供給することで、これらの貯蔵室を冷却する。
【0014】
冷蔵冷却器室36には、冷蔵冷却器52から発生した除霜水を受ける水受部37が設けられている。水受部37で受けた除霜水は、排水ホースを介して、機械室34内に設けられた不図示の蒸発皿に排水され、機械室34内で発生する熱を受けて蒸発するようになっている。
【0015】
断熱箱体2の冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室、小冷凍室14、冷凍室16)の奥部には、冷凍冷却器室40及びダクト44が設けられている。冷凍冷却器室40の内部には、冷蔵冷却器52より低い温度に冷却される冷凍冷却器54と冷凍ファン55が設けられている。冷凍冷却器室40に設けられた冷凍ファン55は、冷凍冷却器54で冷却した冷凍冷却器室40内の空気をダクト44を介して製氷室、小冷凍室14、冷凍室16に供給することで、これらの貯蔵室を冷却する。
【0016】
冷凍冷却器室40には、冷凍冷却器54から発生した除霜水を受ける水受部41が冷凍冷却器54の下方に設けられている。水受部41で受けた除霜水は、排水ホースを介して、機械室34内に設けられた不図示の蒸発皿に排水され、機械室34内で発生する熱を受けて蒸発するようになっている。
【0017】
図1に示すように、断熱箱体2の外箱4の外側、この例では、断熱箱体2の背面下端部には、機械室34が設けられている。この機械室34内には、各貯蔵室を冷却する冷蔵冷却器52及び冷凍冷却器54とともに冷凍サイクル50を構成する圧縮機56及び凝縮器58や、圧縮機56及び凝縮器58を冷却する冷却ファン57等が配設されている。
【0018】
冷凍サイクル50は、
図2に示すように、高温高圧のガス状の冷媒を吐出する圧縮機56の吐出側から順番に、蒸発パイプ60、凝縮器58、放熱パイプ64、及び第二切替弁65の入口側が接続されている。
【0019】
圧縮機56は、運転周波数を変えることにより吐出する冷媒量を変更することができる能力可変型の圧縮機であって、機械室34の幅方向一方側に寄せて配置されている。機械室34の幅方向他方側には、機械室34の前方を区画する前壁に沿って形成されたダクト42と、ダクト42の内部に収納された凝縮器58と、凝縮器58の後方に位置する冷却ファン57と、蒸発皿の溜まった除霜水を加熱する蒸発パイプ60が設けられている。そして、冷却ファン57が回転すると、庫外の空気が、断熱箱体2の前方から断熱箱体2の底面と冷蔵庫1の設置面との隙間を通って後方に流れ、機械室34の下方に開口する吸込口(不図示)からダクト42を介して機械室34へ取り込まれ、凝縮器58及び圧縮機56及び蒸発パイプ60へ送風されこれらを冷却する。
【0020】
放熱パイプ64は、外箱4と接触するように断熱箱体2の断熱空間内に埋設され、庫外空気と熱交換することで内部を流れる高温の液体冷媒を冷却するとともに、その凝縮熱により扉周囲の露付きを抑制している。
【0021】
第二切替弁65は、三方弁からなり、一方の出口に防露パイプ66、ドライヤ68、及び第一切替弁70が配管によって順に接続され、他方の出口に後述する除霜パイプ86及びキャピラリーチューブからなる第二冷蔵減圧装置88が配管接続されている。これにより、第二切替弁65は、放熱パイプ64から流れ込んだ冷媒を、一方の出口に接続された防露パイプ66と、他方の出口に接続された除霜パイプ86に切り替えて供給する。
【0022】
第二切替弁65の一方の出口に接続された防露パイプ66は、上記した蒸発パイプ60、凝縮器58及び放熱パイプ64とともに冷媒の熱を外部へ放熱する放熱手段として機能するものであり、断熱箱体2に設けられた各貯蔵室10,12,14,16の前面開口部の周縁部と接触するように断熱箱体2の断熱空間内に配設され、その凝縮熱により扉周囲の露付きを抑制する。
【0023】
第一切替弁70は、三方弁からなり、防露パイプ66及びドライヤ68を流れた冷媒が流れ込むようになっている。第一切替弁70の一方の出口には、キャピラリーチューブ等の第一冷蔵減圧装置72、冷蔵冷却器52、冷蔵アキュムレータ74および冷蔵サクションパイプ76が、配管により順に接続されている。第一切替弁70の他方の出口には、キャピラリーチューブ等の冷凍減圧装置78、冷凍冷却器54、冷凍アキュムレータ80、冷凍サクションパイプ82および逆止弁84が配管により順に接続されている。これにより、第一切替弁70は、防露パイプ66及びドライヤ68を通って流れ込んだ冷媒を、第一冷蔵減圧装置72を介して冷蔵冷却器52と、冷凍減圧装置78を介して冷凍冷却器54に切り替えて供給する。そして、逆止弁84の出口側と冷蔵サクションパイプ76の出口側が一つになって圧縮機56の吸入側に接続されている。
【0024】
冷蔵冷却器52及び冷凍冷却器54は、冷媒による冷却温度が、冷凍冷却器54に比べて冷蔵冷却器52において高い温度に設定されている点で相違するが基本的な冷却器の構造は同じであり、いずれも幅方向両端でU字状に折り返され蛇行状に形成された冷媒パイプに多数のフィンを取り付け、蛇行状の冷媒パイプの左右両端部を端板で連結したフィンチューブ型の冷却器からなる。各冷却器52,54には、冷却器の温度を検出する冷却器温度センサ90、92が設けられている(
図4参照)。
【0025】
第二切替弁65の他方の出口に接続された除霜パイプ86は、圧縮機56で吐出された後、第一冷蔵減圧装置72又は第二冷蔵減圧装置88で減圧される前の高温の液体冷媒が流通する高温側冷媒流路から分岐する冷媒流路であり、高温の液体冷媒が冷凍冷却器54の下部から上部へ向かって流れるように冷凍冷却器54に接触させて設けられている。
【0026】
具体的には、圧縮機56の吐出側から第一冷蔵減圧装置72又は第二冷蔵減圧装置88までに設けられた蒸発パイプ60、凝縮器58、放熱パイプ64、第二切替弁65、防露パイプ66、ドライヤ68及び第一切替弁70は、減圧装置72で減圧される前の高温の液体冷媒が流通する高温側冷媒流路の一部を構成し、放熱パイプ64と防露パイプ66との間に設けられた第二切替弁65が、高温側冷媒流路を分岐し、減圧装置72で減圧される前の高温の冷媒を防露パイプ66と除霜パイプ86に切り替えて供給する。
【0027】
除霜パイプ86は、冷凍冷却器54の外表面を構成する多数のフィンの縁部に接触させて設けられ、除霜パイプ86を流れる高温の冷媒の熱によって冷凍冷却器54のフィンが加熱される。
図3に示すように、除霜パイプ86は、第二切替弁65の出口と接続される入口部86aから冷凍冷却器54の下面54aへ延び、冷蔵庫幅方向に相当する左右方向に蛇行しながら冷凍冷却器54の下面54aに沿って設けられ、その後、冷凍冷却器54の背面54b及び前面54cに沿って左右方向に蛇行しながら冷凍冷却器54の下側から上側へ設けられている。除霜パイプ86の出口側86cは、第二冷蔵減圧装置88を介して冷蔵冷却器52の上流側に接続されている。この例では、除霜パイプ86は、冷凍冷却器54の下面54aから離れ水受部41に近づくように下方へ膨らんだ突出部86bが形成されている。
【0028】
また、断熱箱体2の外側、例えば、断熱箱体2の天井壁の上面後部には、冷蔵庫1を制御するマイコン等を実装した制御基板からなる制御部46が設けられている。この制御部46には、
図4に示すように、冷蔵温度センサ24、冷凍温度センサ26、冷蔵ファン53、冷凍ファン55、圧縮機56、冷却ファン57、第二切替弁65、第一切替弁70、冷蔵冷却器温度センサ90及び冷凍冷却器温度センサ92等の断熱箱体2の内側又は外側に設けられた電気部品が電気接続されており、各種センサから入力される信号と予めメモリに記憶された制御プログラムに基づいて、冷蔵ファン53、冷凍ファン55、圧縮機56、冷却ファン57、第二切替弁65及び第一切替弁70の動作を制御して冷蔵庫1の動作全般を制御する。
【0029】
具体的には、制御部46は、冷蔵温度センサ24及び冷凍温度センサ26によって検出された庫内温度に基づいて、冷蔵温度帯の貯蔵室10、12を冷却する冷蔵運転と、冷凍温度帯の貯蔵室14,16を冷却する冷凍運転とを切り替えて実行するとともに、所定の除霜開始条件を満たすと、冷凍冷却器54を加熱して冷凍冷却器54に付着した霜を融解する除霜運転を実行する。なお、除霜開始条件の内容は限定されない。例えば、冷凍温度帯の貯蔵室が所定の温度以下になった時や、前回の除霜の完了時から一定時間経過した時や、冷凍運転の積算時間が一定時間に達した時に、制御部46は除霜開始条件を満たされたと判断することができる。
【0030】
冷蔵運転を実行する場合、制御部46は、圧縮機56を所定の周波数で動作させつつ、第二切替弁65を切り替えて放熱パイプ64から流れ込んだ冷媒を防露パイプ66へ供給するとともに、第一切替弁70を切り替えて第一冷蔵減圧装置72を介して冷蔵冷却器52に冷媒を供給する。また、制御部46は、冷蔵ファン53を回転させる。
【0031】
これらの制御の結果、冷蔵冷却器52は流れ込んだ冷媒が気化することで周囲の空気を冷却して冷蔵冷却器室36内で冷気を生成し、その冷気が冷蔵ファン53の送風作用により冷蔵温度帯の貯蔵室10,12内を循環し、これらの貯蔵室が所定の冷蔵温度に冷却される。
【0032】
冷凍運転を実行する場合、制御部46は、圧縮機56を所定の周波数で動作させつつ、第二切替弁65を切り替えて放熱パイプ64から流れ込んだ冷媒を防露パイプ66へ供給するとともに、第一切替弁70を切り替えて冷凍減圧装置78を介して冷凍冷却器54に冷媒を供給する。また、制御部46は、冷凍ファン55を回転させる。
【0033】
これらの制御の結果、冷凍冷却器54は流れ込んだ冷媒が気化することで周囲の空気を冷却して冷凍冷却器室40内で冷気を生成する。そして、生成された冷気が冷凍ファン55の送風作用により冷凍温度帯の貯蔵室14,16内を循環し、これらの貯蔵室が所定の冷蔵温度に冷却される。冷凍温度帯の貯蔵室14,16内を循環した冷気は、冷凍室16の背面に設けられた吸込口18から冷凍冷却器室40に戻り、冷凍冷却器54の下方から上方へ冷凍冷却器54が備える多数のフィンの間を通って流れる。その際に冷気は再び冷凍冷却器54により冷却され、その後、再び冷凍温度帯の貯蔵室14,16へ送風される。
【0034】
除霜運転を実行する場合、制御部46は、圧縮機56を所定の周波数で動作させつつ、第二切替弁65を切り替えて放熱パイプ64から流れ込んだ冷媒を除霜パイプ86へ供給する。この制御により、圧縮機56で圧縮された後であって減圧装置で減圧される前の高温の冷媒が、冷凍冷却器54に接触させて設けられた除霜パイプ86を流れ、冷凍冷却器54に付着した霜と熱交換することで、霜の融解と冷媒の冷却が行われる。
【0035】
その際、第二切替弁65から除霜パイプ86へ流れ込んだ冷媒は、冷凍冷却器54の下面54aと熱交換してこれを加熱した後、冷凍冷却器54の背面54b及び前面54cを下側から上側へ加熱する。
【0036】
本実施形態では、制御部46は、除霜運転中に冷蔵ファン53を回転させて冷蔵温度帯の貯蔵室10,12を冷却する冷蔵運転を実行する。つまり、除霜運転では、除霜パイプ86を流れた冷媒が、第二冷蔵減圧装置88に流れ込み減圧された後に冷蔵冷却器52に流れ込む。これにより、冷蔵冷却器52は流れ込んだ冷媒が気化することで周囲の空気を冷却して冷蔵冷却器室36内で冷気を生成し、その冷気が冷蔵ファン53の送風作用により冷蔵温度帯の貯蔵室10,12内を循環し、これらの貯蔵室が所定の冷蔵温度に冷却される。
【0037】
そして、所定の除霜終了条件が満たされると制御部46は、上記した除霜運転を終了する。除霜終了条件としては、例えば、冷凍冷却器54に設けられた冷凍冷却器温度センサ92の検出温度が所定温度Te(例えば、10℃以上)に達した時や、あるいは、冷蔵温度センサ24の検出温度が所定温度(例えば、0℃以下)に達した時に、制御部46は、除霜終了条件が満たされたと判断することができる。
【0038】
また、除霜運転の運転時間が所定時間経過しても冷凍冷却器温度センサ92の検出温度が所定温度Teに達していない場合、制御部46は、これまでの除霜運転よりも圧縮機56の運転周波数を大きくして更に除霜運転を行う。その際、圧縮機56の運転周波数を大きくするとともに、制御部46は、冷蔵ファン53の回転数も大きくすることが好ましい。
【0039】
一例を挙げると、除霜運転開始時の圧縮機56の運転周波数が20Hz、冷蔵ファン53の回転数が1700rpmとすると、所定時間経過後に制御部46は圧縮機56の運転周波数を50Hz、冷蔵ファン53の回転数を2000rpmに上げることができる。
【0040】
このように、圧縮機56の運転周波数を上げることで、圧縮機56から吐出される冷媒の温度が上昇するとともに除霜パイプ86に流れ込む冷媒の温度が上昇するため、冷凍冷却器54の除霜を促進することができる。
【0041】
上記のように圧縮機56の運転周波数を上げると圧縮機56から単位時間当たりに吐出される冷媒量が増加し、除霜パイプ86及び第二冷蔵減圧装置88を通って冷蔵冷却器52に流れ込む冷媒量も増加するが、冷蔵ファン53の回転数を上げることで冷蔵冷却器52での冷媒の気化を促進し、液体の冷媒が冷蔵冷却器52から流出し圧縮機56に戻るのを抑えることができる。
【0042】
なお、制御部46は、除霜運転において除霜パイプ86を流れる冷媒流量を、冷蔵運転において冷蔵冷却器52を流れる冷媒流量と同等又はそれより少ない流量とすることが好ましい。このように冷媒流量を冷蔵運転及び除霜運転において冷媒流量を調整する方法は特に限定されないが、ここでは4つの方法を例として挙げる。
【0043】
1つ目の方法は、冷媒の流れの冷蔵冷却器52より上流側に設けられた可変バルブの開度を小さくする方法である。具体的には、制御部46は、除霜運転中は、冷蔵運転中よりも可変バルブの開度を小さくする。第一切替弁70がこのような可変バルブとして機能しても良い。第一切替弁70から冷蔵冷却器52までの間に第一切替弁70とは別の可変バルブが設けられ、当該別の可変バルブが冷蔵冷却器52へ流れる冷媒の量を変化させても良い。
【0044】
2つ目の方法は、第一切替弁70及び第二切替弁65が入口側と出口側を遮断した状態で圧縮機56を動作させて冷凍冷却器54及び冷蔵冷却器52から冷媒を抜くいわゆるポンプダウンを除霜運転及び冷蔵運転の直前に実行し、除霜運転の直前に実行するポンプダウンの実行時間を、冷蔵運転の直前に実行するポンプダウン運転の実行時間より短くする方法である。
【0045】
3つ目の方法は、除霜運転中に制御部46が圧縮機56の回転数を低下させる方法である。この場合、例えば、除霜運転における圧縮機56の回転数は、冷蔵運転における冷蔵冷却中の回転数の半分とすることができる。
【0046】
4つ目の方法は、除霜パイプ86と冷蔵冷却器52との間に設けられた第二冷蔵減圧装置88に使用するキャピラリーチューブの内径を、第一切替弁70と冷蔵冷却器52との間に設けられた第一冷蔵減圧装置72に使用するキャピラリーチューブの内径より小さくする。
【0047】
以上のような本実施形態の冷蔵庫1では、圧縮機56で圧縮された後であって減圧装置で減圧される前の高温の冷媒が流れる除霜パイプ86を冷凍冷却器54に接触させて設けているため、除霜パイプ86を流れる冷媒の熱によって冷凍冷却器54の除霜を行うことができる。
【0048】
また、冷却器の上部に付着した霜が融解して発生した除霜水は、下方の水受部41へ落下する際に冷却器の下部で冷却され再び凍結しやすいため、冷却器の上部に比べて下部の着霜量が多いが、本実施形態では、冷媒が冷凍冷却器54の下部から上部へ向かって流れるように除霜パイプ86が設けられている。そのため、着霜量の多い冷凍冷却器54の下部を冷却器で冷却される前に高温の冷媒と熱交換させることができ、効率的に冷凍冷却器54に付着した霜を融解することができる。
【0049】
しかも、本実施形態では、冷凍冷却器室40の冷気が冷凍冷却器54の下方から上方へ流れており、冷凍温度帯の貯蔵室14,16を循環し冷凍冷却器室40に戻った冷気は、まず最初に冷媒流れ方向の上流側に位置する冷凍冷却器54の下部と接触して熱交換するため、冷凍冷却器54の冷気流れ方向の下流側に比べて冷気流れ方向の上流側の着霜量が多くなるが、除霜パイプ86の冷媒流れ方向の上流側が、着霜量の多い冷凍冷却器54の冷気流方向の上流側に設けられており、効率的に冷凍冷却器54に付着した霜を融解することができる。
【0050】
また、本実施形態では、除霜パイプ86の下流側が第二冷蔵減圧装置88を介して冷蔵冷却器52の上流側に接続されており、除霜パイプ86を流れた冷媒が冷蔵冷却器52に流れ込み冷蔵冷却器52において気化するため、液体の冷媒が圧縮機56に戻るのを抑えることができるとともに、そのときに発生する気化熱を冷蔵温度帯の貯蔵室14,16の冷却に利用することができ、圧縮機56の駆動により得たエネルギーを無駄なく利用し、省エネルギー性能を向上させることができる。
【0051】
また、本実施形態では、除霜運転において除霜パイプ86を流れる冷媒流量を、冷蔵運転において冷蔵冷却器52を流れる冷媒流量以下に設定しており、冷蔵運転時より多い冷媒が流れることが無いため、冷蔵冷却器52に流れ込んだ液体の冷媒が冷蔵冷却器52で蒸発しきれずに圧縮機56に流れ込むことを防ぐことができ、圧縮機56が壊れることを防ぐことができる。
【0052】
また、本実施形態では、冷媒を除霜パイプ86に切り替えて流す第二切替弁65が、冷媒の熱を外部へ放熱する放熱パイプ64と防露パイプ66との間に設けられているため、凝縮途中の比較的高温の冷媒を除霜パイプ86へ供給することができ、除霜パイプ86の除霜性能を向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態では、除霜パイプ86が、冷凍冷却器54の下面54aから離れ水受部41に近づくように下方へ膨らんだ突出部86bを備えるため、防露パイプ86を流れる高温の冷媒の熱によって水受部41も加熱することができ、水受部41に溜まった除霜水の凍結を防止することができる。
【0054】
次に、上記実施形態の変更例について説明する。
【0055】
(変更例1)
変更例1として、冷媒を除霜パイプ86に切り替えて流す切替弁を防露パイプ66の下流側に設ける例が挙げられる。そのような変更例の1つを
図5に示す。
図5の冷凍サイクル150の構造は、
図2の実施形態の冷凍サイクル150の構造と、基本的には同じである。ただし、本変更例の冷凍サイクル150では、切替弁170が四方弁からなり、第一の出口に第一冷蔵減圧装置72、冷蔵冷却器52、冷蔵アキュムレータ74および冷蔵サクションパイプ76が順に接続され、第二の出口に冷凍減圧装置78、冷凍冷却器54、冷凍アキュムレータ80、冷凍サクションパイプ82および逆止弁84が順に接続され、第3の出口に除霜パイプ86及び第二冷蔵減圧装置88が順に接続されている。
【0056】
これにより、切替弁170は、防露パイプ66及びドライヤ68を通って流れ込んだ冷媒を、第一冷蔵減圧装置72を介して冷蔵冷却器52と、冷凍減圧装置78を介して冷凍冷却器54と、除霜パイプ86及び第二冷蔵減圧装置88を介して冷蔵冷却器52に切り替えて供給する。
【0057】
この変更例の場合も、上記実施形態と同様、着霜しやすい位置に除霜パイプ86の上流側部分が配置され、効率的に冷凍冷却器54に付着した霜を融解することができる。
【0058】
また、図示しないが、冷媒を除霜パイプ86に切り替えて流す切替弁を、放熱パイプ64の途中経路に設けたり、防露パイプ66の途中経路に設けてもよい。例えば、外箱4と接触するように断熱箱体2の断熱空間内に設ける放熱パイプ64を凝縮器58側から断熱箱体2の左右一方の側壁、天井壁、背面壁、左右他方の側壁の順序に設け、背面壁の放熱パイプ64と左右他方の側壁の放熱パイプ64との間に冷媒を除霜パイプ86に切り替えて流す切替弁を設けてもよい。このように断熱箱体2の断熱空間内に張り巡らすように設けられた放熱パイプ64の途中経路に、高温の液体冷媒を除霜パイプ86へ分流する切替弁を設けてことで、切替弁や切替弁に接続される配管の配設が容易となり組み立て作業性が向上する。
【0059】
なお、
図5において、
図2の冷凍サイクル150に用いられているものと同じ機器等には、
図2における符号と同じ符号が付されている。
【0060】
(変更例2)
上記実施形態では、冷凍サイクル50が、異なる温度に冷却される複数の冷却器52,54を備える場合について説明したが、本変更例では、
図6に例示するように、冷凍サイクル250が冷却器254を1つ備え、当該冷却器254で冷蔵温度帯の貯蔵室と冷凍温度帯の貯蔵室とを冷却する。本変更例の冷凍サイクル250は、防露パイプ66の下流側が三方弁からなる切替弁265の入口側と接続され、切替弁265の一方の出口側に減圧装置278を介して冷却器254が接続され、他方の出口側に除霜パイプ286が接続されている。この除霜パイプ286は、高温の液体冷媒が冷却器254の下部から上部へ向かって流れるように冷却器254に接触させて設けられている。
【0061】
(他の実施形態)
上記した実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。