(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
鋳物砂を貯留する貯留槽と、貯留槽内にその下部から加熱気体を上方へ向けて吹き込むように加熱気体を供給する気体供給装置と、上下が開口する筒状に形成され、加熱気体が下端の開口部から筒内に吹き込まれる位置において貯留槽内に配置される対流筒とを備え、対流筒の上端の開口部は、対流筒内に吹き込まれる加熱気体によって吹き上げられる対流筒内の鋳物砂が貯留槽内において対流筒の外側にオーバーフローするオーバーフロー口として形成されていると共に、対流筒の外側の鋳物砂が対流筒内に流入する砂流入孔が対流筒の側面に形成されており、貯留槽の下端部に砂排出口が形成されていると共に、気体供給装置から供給される加熱気体は砂排出口を通して貯留槽内に吹き込まれるものであり、上記対流筒は下端の開口部がこの砂排出口に対向するように配置されていることを特徴とする鋳物砂の加熱装置。
砂排出口の下端の開口を塞ぐように配置されるフィルター体を備え、フィルター体は板体と、気体は通過するが鋳物砂を通過させないフィルター網とを上下に重ねて形成され、板体には砂通過孔及び通気孔が設けられていると共に、フィルター網は砂通過孔の箇所を避けて通気孔の箇所において配置されており、砂通過孔は貯留槽内の鋳物砂が砂排出口から排出される際の通路となるものであり、通気孔は気体供給装置から供給される加熱気体が貯留槽内に吹き込まれる際の通路となるものであることを特徴とする請求項1に記載の鋳物砂の加熱装置。
上記フィルター体は複数枚の板体と、板体間に挟まれるフィルター網とを重ねて形成され、各板体の砂通過孔及び通気孔は、上下に重ねた状態で同じ位置に配置されるように設けられていることを特徴とする請求項2に記載の鋳物砂の加熱装置。
気体供給装置に接続される接続口を有する気体通過筒の内側に砂通過筒を配置して形成される気体導入体を備え、気体通過筒と砂通過筒の間に形成される気体通過室の上面にフィルター体の通気孔が位置し、且つ砂通過筒の上端の開口がフィルター体の砂通過孔の下端の開口に合致するように、気体導入体はフィルター体の下側に配置されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の鋳物砂の加熱装置。
上記フィルター体は、貯留槽の砂排出口の下面と気体導入体の上面との間に挟み込まれており、貯留槽と気体導入体の少なくとも一方は上下に近接離間する方向に位置移動自在に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の鋳物砂の加熱装置。
【背景技術】
【0002】
鋳造用の鋳型は鋳物砂を成形することによって製造される。例えばシェルモールド法では、珪砂などの耐火骨材の表面をフェノール樹脂など熱硬化性樹脂からなる固形の粘結剤で被覆した粘結剤コーテッドサンドを鋳物砂として用い、加熱された金型に粘結剤コーテッドを充填し、粘結剤コーテッドサンドを金型内で焼成することによって、鋳型を製造することができる。
【0003】
このように鋳物砂を用いて鋳型を製造するにあたっては、鋳物砂はホッパーなどの貯留槽に貯留しておき、貯留槽から鋳型製造用の金型に供給するようにするのが一般的である。そしてこのように貯留槽内で鋳物砂を貯留する際に、貯留槽内の鋳物砂を予備加熱することが従来から行なわれている。
【0004】
すなわち、冬場のように気温が低いときは貯留槽内の鋳物砂も温度が低くなるので、鋳物砂を加熱された金型に充填して成形する場合に、成形時間が長くなる。特にシェルモールド法のように鋳物砂として粘結剤コーテッドサンドを用いる場合には、粘結剤コーテッドサンドの温度が低いと、粘結剤を硬化させる時間が長くなり、鋳型の製造効率が低くなる。従って、貯留槽内の鋳物砂を予備加熱して、鋳物砂の温度の低下を防ぐことが望ましいのである。また夏場のように気温が高いときであっても、粘結剤が硬化しない程度の温度に鋳物砂を加熱しておけば、鋳型を製造する時間を短縮することができるので、この場合も貯留槽内の鋳物砂を予備加熱するのが望ましい。
【0005】
貯留槽内の鋳物砂を予備加熱する加熱装置としては従来から種々のものが提案されており、熱媒を通過させる熱交換器を貯留槽内に配置したり、貯留槽に加熱用のジャケットを設けたりするのが一般的である。しかしこのものでは、熱交換器やジャケットからの伝熱により鋳物砂を加熱するものであるので、鋳物砂を加熱する効率が悪く、しかも熱交換器やジャケットに接触している部分の鋳物砂と、熱交換器やジャケットから離れている部分の鋳物砂とでは、加熱温度が異なることになり、貯留槽内の鋳物砂を均一に加熱することが困難であるという問題がある。
【0006】
そこで特許文献1や特許文献2の発明では、貯留槽内の下部に配置したノズル孔から気体を噴出させ、この噴出する気体で貯留槽内の鋳物砂を浮遊させたり攪拌したりし、この状態で鋳物砂を加熱するようにしている。このように貯留槽内で浮遊させたり攪拌したりしながら鋳物砂を加熱することによって、貯留槽内で鋳物砂を流動させながら加熱して、貯留槽内の鋳物砂を均一に加熱するようにしているものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1、2の発明のように貯留槽の下部のノズル孔から噴出する気体で鋳物砂を浮遊あるいは攪拌させるだけでは、貯留槽内の鋳物砂の全体を浮遊させたり攪拌したりすることは難しい。従って特許文献1、2の発明でも、依然として貯留槽内の鋳物砂の均一に加熱することは困難であった。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、貯留槽内の鋳物砂の全体を攪拌して、鋳物砂を均一に加熱することができる鋳物砂の加熱装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る鋳物砂の加熱装置は、鋳物砂を貯留する貯留槽10と、貯留槽10内にその下部から加熱気体を上方へ向けて吹き込むように加熱気体を供給する気体供給装置201と、上下が開口する筒状に形成され、加熱気体が下端の開口部から筒内に吹き込まれる位置において貯留槽10内に配置される対流筒202とを備え、対流筒202の上端の開口部は、対流筒202内に吹き込まれる加熱気体によって吹き上げられる対流筒202内の鋳物砂が貯留槽10内において対流筒202の外側に吹き出されるオーバーフロー口203として形成されていると共に、対流筒202の外側の鋳物砂が対流筒202内に流入する砂流入孔204が対流筒202の側面に形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明によれば、貯留槽10に供給された鋳物砂は砂流入孔204から対流筒202内に流入し、対流筒202内に流入した鋳物砂は気体供給装置201から吹き込まれる加熱気体によって対流筒202内を上方へ吹き上げられると共に上端のオーバーフロー口203から対流筒202の外側へオーバーフローし、対流筒202の外側へ流れ出た鋳物砂は砂流入孔204を通って対流筒202内に流入する。このように貯留槽10内の鋳物砂は対流筒202の内側と外側の間で対流することになり、貯留槽10内の鋳物砂の全体を対流により攪拌することができると共に、このように鋳物砂を対流させながら、鋳物砂を対流させる加熱空気で鋳物砂を加熱することができ、鋳物砂を均一に加熱することができるものである。
【0012】
また本発明は、貯留槽10の下端部に砂排出口205が形成されていると共に、気体供給装置201から供給される加熱気体は砂排出口205を通して貯留槽10内に吹き込まれるものであり、上記対流筒202は下端の開口部がこの砂排出口205に対向するように配置されていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明によれば、貯留槽10内で鋳物砂を対流させると共に鋳物砂を加熱するための加熱気体は、貯留槽10内の鋳物砂を排出するための砂排出口205を通して貯留槽10内に吹き込まれるものであって、貯留槽10内に加熱気体を吹き込むための特別な開口を貯留槽10に設ける必要がなくなり、貯留槽10を簡単な構造に形成することができるものである。
【0014】
また本発明は、砂排出口205の下端の開口を塞ぐように配置されるフィルター体206を備え、フィルター体206は板体207と、気体は通過するが鋳物砂を通過させないフィルター網208とを上下に重ねて形成され、板体207には砂通過孔209及び通気孔210が設けられていると共に、フィルター網208は砂通過孔209の箇所を避けて通気孔210の箇所において配置されており、砂通過孔209は貯留槽10内の鋳物砂が砂排出口205から排出される際の通路となるものであり、通気孔210は気体供給装置201から供給される加熱気体が貯留槽10内に吹き込まれる際の通路となるものであることを特徴とするものである。
【0015】
この発明によれば、貯留槽10の砂排出口205を鋳物砂の排出通路となる砂通過孔209以外の部分においてフィルター体206で塞いだ状態で、気体供給装置201から供給される加熱気体をフィルター体206の通気孔210を通して貯留槽10内に吹き込むことができるものであり、鋳物砂を通過させないフィルター網208が配置されている通気孔210は径を大きく形成できるものであって、大きな風量で加熱気体を貯留槽10内に吹き込むことができ、貯留槽10内に鋳物砂が多く貯留されていても、支障なく鋳物砂を対流させることができるものである。
【0016】
上記フィルター体206は複数枚の板体207と、板体207間に挟まれるフィルター網208とを重ねて形成され、各板体207の砂通過孔209及び通気孔210は、上下に重ねた状態で同じ位置に配置されるように設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
このようにフィルター網208を板体207の間に挟み込むようにすることによって、板体207にフィルター網208を固定させる必要なく密着させることができ、板体207とフィルター網208の隙間から鋳物砂が漏れ出るおそれがなくなると共に、フィルター網208を板体207から容易に取り外すことができ、フィルター網208の取り換えや清掃が容易になるものである。
【0018】
また本発明は、貯留槽10内に上下駆動自在に配置され、フィルター体206の砂通過孔209の上端の開口を上下動にて開閉する開閉具211を備えることを特徴とするものである。
【0019】
この発明によれば、貯留槽10の砂排出口205から鋳物砂をフィルター体206の砂通過孔209を通過して排出することができるが、開閉具211で砂通過孔209を閉じておくことによって、貯留槽10から一部の鋳物砂が砂通過孔209に入り込むようなことなく、貯留槽10内の全量の鋳物砂を均一に加熱することができるものである。
【0020】
また本発明は、気体供給装置201に接続される接続口212を有する気体通過筒213の内側に砂通過筒214を配置して形成される気体導入体215を備え、気体通過筒213と砂通過筒214の間に形成される気体通過室216の上面にフィルター体206の通気孔210が位置し、且つ砂通過筒214の上端の開口がフィルター体206の砂通過孔209の下端の開口に合致するように、気体導入体215はフィルター体206の下側に配置されていることを特徴とするものである。
【0021】
気体供給装置201はこの気体導入体215を通してフィルター体206に接続されることになるが、フィルター体206の通気孔210は気体導入体215の気体通過室216の上面に位置していれば、加熱気体を気体通過室216から通気孔210へと通気して貯留槽10に供給することができるものであり、通気孔210と気体通過室216との位置合わせを正確に行なう必要がないものであって、フィルター体206に通気孔210を複数個所に設けるようにしても、なんら支障なくフィルター体206と気体導入体215を配置することができるものである。
【0022】
また本発明は、上記フィルター体206は、貯留槽10の砂排出口205の下面と気体導入体215の上面との間に挟み込まれており、貯留槽10と気体導入体215の少なくとも一方は上下に近接離間する方向に位置移動自在に形成されていることを特徴とするものである。
【0023】
この発明によれば、貯留槽10と気体導入体215を離間させることによって、フィルター体206を取り出すことができ、フィルター体206のフィルター網208の交換や清掃を容易に行なうことができるものである。
【0024】
また本発明は、上記貯留槽10に、対流筒202の側面の砂流入孔204に対向する位置において、対流筒202内の鋳物砂の上面の位置を検知する砂検出センサー217を設けたことを特徴とするものである。
【0025】
この発明によれば、砂検出センサー217で検知される対流筒202内の鋳物砂の上面の高さによって、貯留槽10内に貯留される鋳物砂の量を検出することができ、この検出量に応じて貯留槽10に鋳物砂を供給することによって、貯留槽10内の鋳物砂の量を一定に保つことができるものである。
【0026】
また本発明は、貯留槽10内において対流筒202の上方位置に配置され、鋳物砂が通過する間隙を介して対流筒202の上端のオーバーフロー口203を覆う遮蔽体218を備えたことを特徴とするものである。
【0027】
この発明によれば、加熱気体によって吹き上げられる対流筒202内の鋳物砂が貯留槽10の外方へ飛び散ることを、遮蔽体218で防ぐことができるものである。
【0028】
また本発明は、上記遮蔽体218は、下面が中央部から外周部へと下り傾斜する傾斜ガイド面
219として形成されていることを特徴とするものである。
【0029】
この発明によれば、加熱気体によって吹き上げられた対流筒202内の鋳物砂が遮蔽体218に当たると、その下面の傾斜ガイド面
219の傾斜によって、鋳物砂は対流筒202の外側に流れるようにガイドされるものであり、対流筒202の内外での鋳物砂の対流がスムーズに行なわれるものである。
【0030】
また本発明は、気体導入体215の砂通過筒214に冷媒を通す熱交換器220を設けたことを特徴とするものである。
【0031】
砂通過筒214の気体通過室216内に位置する砂通過筒214には気体通過室216を通過する加熱気体の熱が作用することになるが、砂通過筒214が温度上昇することを熱交換器220による冷却で防ぐことができ、鋳物砂が砂通過筒214の内周に付着したりすることを防ぐことができるものである。
【0032】
また本発明は、上記気体供給装置201は、空気を除湿する除湿器221と、除湿した空気を加熱して送り出す加熱送風機222とを具備して形成されていることを特徴とするものである。
【0033】
この発明によれば、加熱気体として除湿して乾燥した加熱空気を貯留槽10に供給することができるものであり、鋳物砂を湿らせるようなことなく加熱することができるものである。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、貯留槽10に供給された鋳物砂は砂流入孔204から対流筒202内に流入し、対流筒202内に流入した鋳物砂は気体供給装置201から吹き込まれる加熱気体によって対流筒202内を上方へ吹き上げられると共に上端のオーバーフロー口203から対流筒202の外側へオーバーフローし、対流筒202の外側へ流れ出た鋳物砂は砂流入孔204を通って対流筒202内に流入するものであり、貯留槽10内の鋳物砂は対流筒202の内側と外側の間で対流することになって、貯留槽10内の鋳物砂の全体を対流により攪拌することができる。従って、このように鋳物砂を対流させながら、鋳物砂を対流させる加熱空気で鋳物砂を加熱することができるものであり、鋳物砂を均一に加熱することができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0037】
図1及び
図2に示すように、貯留槽10は上面が開口し、下部が下側程内径が小さくなるホッパー形状に形成されるものであり、貯留槽10の下端には円筒など筒状に形成されるサンド排出口205が下方へ突出して設けてある。この貯留槽10内には対流筒202と遮蔽体218とが取り付けてある。
【0038】
対流筒202は
図4に示すように、上下に開口する円筒など筒状に形成されるものであり、対流筒202の直径は、その内径が貯留槽10の砂排出口205の内径とほぼ同じ寸法になるように形成してある。また対流筒202には周回りに等間隔の複数個所(図の実施例では3か所)で、砂流入孔204が内外に開口するように形成してある。各砂流入孔204は対流筒202の下端部から上端部近くに至る上下に長いスロット状に形成してある。また対流筒202の外周面には砂流入孔204の間の位置において取付片230が外方へ突出するように固定してある。
【0039】
貯留槽10の下部の内周には受け片231が内方へ突出するように固定してあり、この受け片231の上面にねじ棒232が立設してある。この受け片231とねじ棒232は対流筒202の取付片230に対応する複数箇所に設けられるものである。そして対流筒202を貯留槽10内に配置し、対流筒202の取付片230に形成した上下に開口する通孔233をねじ棒232に上端から被挿し、ねじ棒232に螺合した一対のナット234で取付片230を上下から締め付けることによって、
図1に示すように対流筒202を貯留槽10内に取り付けるようにしてある。対流筒202はその下端の開口が砂排出口205の上端の開口と対向して合致する位置に取り付けられるものであり、対流筒202の下端の開口が砂排出口205の上端の開口に近接するように取り付け高さを設定してある。ここで、ねじ棒232に螺合したナット234の螺合位置を上下方向に変えて取付片230の締め付け位置を調整することによって、対流筒202の取り付け高さを調節して変更できるものである。
【0040】
遮蔽体218は
図5に示すように円錐形(円錐台)の傘状に形成されるものであり、中央部に上下に開口する円形の通し口236が設けてある。遮蔽体218はこのように円錐形であるので、遮蔽体218の下面は中央部から外周部へと下り傾斜する傾斜ガイド面219として形成されることになる。遮蔽体218の上面には複数個所において受けボス237が突設してあり、受けボス237の上面にねじ穴238が凹設してある。また遮蔽体218の下側には円筒状のガイド筒239が配置してあり、ガイド筒239の外周面と遮蔽体218の内周面との間に放射状に設けた連結片240によって、ガイド筒239を遮蔽体218に支持してある。このガイド筒239は通し孔236の直下に位置するものであり、ガイド筒239の内径は通し孔236の内径と同じか、それより若干大きく形成してある。
【0041】
遮蔽体218は
図1〜
図3のように、対流筒202の直上位置において、貯留槽10内に配置して取り付けられるものである。すなわち、遮蔽体218の各受けボス237のねじ穴238に吊り下げねじ棒241の下端が螺合してある。そして貯留槽10の上端の開口部の中央部には
図2のように支持ベース242が架け渡して取り付けてあり、吊り下げねじ棒241を支持ベース242に下側から通して、ねじ棒241にナット243を螺結することによって、吊り下げねじ棒241を支持ベース242に固定する。このようにして、吊り下げねじ棒241によって遮蔽体216を支持ベース242に吊り下げ支持することができるものである。遮蔽体218の直径は対流筒202の直径よりも大きく形成してあり、遮蔽体218を対流筒202の直上に間隙を介して配置することによって、
図1に示すように対流筒202の上端の開口部を遮蔽体218で覆うことができるものである。ねじ棒241にナット243を螺結する上下位置を調節することによって、遮蔽体216の取り付け高さを調整することができるものであり、遮蔽体218と対流筒202の間の間隙の距離を調整することができるものである。
【0042】
上記の支持ベース242の上には
図2や
図3のようにシリンダー架台244が設けてあり、シリンダー架台244にエアシリンダーなどで形成される開閉用シリンダー245が下向け配置で取り付けてある。この開閉具用シリンダー245のロッド245aには開閉具211が取り付けてある。開閉具211は連結棒246と、連結棒246の下端に取り付けられる開閉栓247とを具備して形成されるものである。そして
図1に示すように連結棒246が遮蔽体218の通し口236とガイド筒239を通して対流筒202の中心に配置されるように、開閉用シリンダー255のロッド255aにロッド金具248を介して連結棒246の上端を結合して取り付けてある。開閉具211の下端の開閉栓247は貯留槽10の砂排出口205に配置されるようにしてある。開閉用シリンダー245を作動させてロッド245aを突出・没入させることによって開閉具211を上下動させることができるものである。
【0043】
加熱気体を貯留槽10に供給する気体供給装置201は、気体導入体215を介して貯留槽10に接続されるようになっている。気体導入体215は
図6に示すように、円筒形など上下に開口する筒状に形成される気体通過筒213と、気体通過筒213より径の小さい同様な筒状の砂通過筒214とを同心状に配置して形成されるものであり、中央に通孔250を設けた下板251の上に気体通過筒213を溶接等で固定することによって、気体通過筒213の下面の開口を閉塞すると共に、砂通過筒214の下端を通孔250に差し込んで下板251に固定してある。また気体通過筒213の上端には、下板251よりも大きな寸法の上板252が溶接等で取り付けてあり、この上板252には気体通過筒213の内径よりやや小さい開口窓253が形成してある。気体通過筒213の上面はこの開口窓253によって開口するものであり、気体通過筒213の内周と、砂通過筒214の外周と、下板251で囲まれ、上面が開口窓253で開口された気体通過室216が形成されるものである。気体通過筒213には通気接続管254が外方へ突出するように設けてあり、気体通過室216内は気体接続管254の内周の接続口212に連通されている。気体通過筒213にはさらに筒状ソケット257が取り付けてある。また上板252の上面には気体通過筒213の直径寸法よりも広い幅の嵌合凹部255が、上板252の一方の側端から他方の側端に至るように形成してある。さらに砂通過筒214の上端に嵌合凹部255の部分における上板252の厚みと同じ厚みのリング状スペーサ256が取り付けてあり、サンド通過筒214は上下に連通して開口している。
【0044】
上記の砂通過筒214の外周には、スパイラル管からなる熱交換器220が取り付けてあり、冷媒配管260から熱交換器220に水などの冷媒を通して、砂通過筒214を冷却することができるようにしてある。冷媒配管260はソケット257に気密的に通して気体通過室216内に導入し、熱交換器220の両端に接続するようにしてある。
【0045】
気体導入体215は
図2及び
図3に示すように支持梁37に取り付けてある。すなわち、支持梁37の上に支持プレート262が固定してあり、支持プレート262の上に気体導入体215を固定してある。そして
図2(a)のように支持プレート262の下側において支持梁37に一対の押し上げ用シリンダー263が上向き姿勢で取り付けてある。この押し上げ用シリンダー263のロッド263aには分岐バー264が取り付けてあり、分岐バー264の両端部にそれぞれ押し上げ棒265が上方へ突出して取り付けてある。4本の各押し上げ棒265は基部が太径部265a、先部が細径部265bとして形成してあり、支持プレート262に設けたスリーブ266に太径部265aを上下スライド自在に通して、細径部265bを上方へ突出させてある。また上記の気体導入体215の上板252の端部には、
図6(b)(c)に示すように4か所に挿通孔267が穿設してあり、押し上げ棒265の細径部265bが挿通孔267に上下スライド自在に挿通してある。
【0046】
一方、上記の貯留槽10の砂排出口205の下端外周には外方へ張り出すフランジ268が設けてあり、気体導入体215の上板252の挿通孔267を挿通した押し上げ棒265の細径部265bの上端にこのフランジ268が結合固定してある。従って貯留槽10は4本の押し上げ棒265で支持された状態で、支持梁37の上方に配置して取り付けられているものである。そして押し上げ用シリンダー263を作動させてロッド263aを上下に突出・没入させると、分岐バー264を介して4本の押し上げ棒265は上下動し、これに伴って貯留槽10を上下に移動させることができるものであり、貯留槽10のこの上下移動で、貯留槽10の砂排出口205の下端と気体導入体215の上面を近接・離間させることができるものである。
【0047】
貯留槽10の砂排出口205の下端と気体導入体215の上面の間には、フィルター体206を介在させるようにしてある。フィルター体206は板体207とフィルター網208とを上下に重ねて形成されるものであり、図の実施形態では、4枚の板体207と2枚のフィルター網208を重ねてフィルター体207を形成するようにしてある。すなわち、板体207として、
図7(a)(b)、
図8(a)(b)に示す4枚のものを用いるものであり、
図7(a)(b)のものを一組、
図8(a)(b)のものを一組として使用するものである。
【0048】
図7(a)(b)に示す板体207aは、四角板の下面に円形の凹部270を設けると共に中央に嵌合孔271を設け、嵌合孔271を同心円で複数列に囲む多数の通気孔210aを凹部270の箇所に設けて形成してある。また
図7(c)(d)に示す板体207bは、四角板の上面に円形の凸部270を設けると共に中央に砂通過孔209aを設け、砂通過孔209aを同心円で複数列に囲む多数の通気孔210bを突部271の箇所に設けて形成してある。板体207aの通気孔210aと、板体207bの通気孔210bとは、同じ大きさ、同じ配置で形成するようにしてあり、板体207bの砂通過孔209aを囲む上面には嵌合リング273が突設してある。
【0049】
またフィルター網208は、鋳物砂の粒子を通さない網目の金網などで形成されるものである。そして板体207a,207bの間に挟み込まれるフィルター網208aは、
図9(a)のように、凹部270の内径とほぼ同じ外径の円形に形成してあり、中央に嵌合リング273の外径とほぼ等しい内径の開口部274が形成してある。
【0050】
そして
図9(a)に示すように、板体207a,207bの間にフィルター網208aを配置し、板体207a,207bを重ねることによって、フィルター網208aを板体207a,207bの間に挟み込むことができる。ここで、板体207aの凹部270の直径と深さ寸法は、板体207bの凸部270の直径と高さ寸法とほぼ等しく形成してあって、板体207aと板体207bは凹部270内に凸部272が嵌まり込むように重ねられるものであり、フィルター網208aは凹部270と凸部272に密着して挟まれるものである。このとき、板体207bの嵌合リング273はフィルター網208aの開口部274を通して板体207aの嵌合孔271の内周に嵌まり込ものであり、また板体207aの各通気孔210aと板体207bの各通気孔210bは上下に一致している。このように板体207aの各通気孔210aと板体207bの各通気孔210bは上下に一致して連通するが、通気孔210aと通気孔210bの間にはは
図9(c)のようにフィルター網208aが介在している。
【0051】
図8(a)(b)に示す板体207cは、四角板の中央に嵌合孔275を設け、嵌合孔275を同心円で複数列に囲む多数の通気孔210cを設けて形成してある。また
図8(c)(d)に示す板体207dは、四角板の中央に砂通過孔209bを設け、砂通過孔209bを同心円で複数列に囲む多数の通気孔210dを設けて形成してある。板体207cの通気孔210cと、板体207dの通気孔210dとは、同じ大きさ、同じ配置で形成するようにしてあり、板体207dの砂通過孔209bを囲む上面には嵌合リング276が突設してある。また板体207c,207dの間に挟み込まれるフィルター網208bには嵌合リング276の外径とほぼ等しい内径の開口部277が形成してある。
【0052】
そして
図9(a)のように板体207c,207dの間にフィルター網208bを配置し、板体207c,207dを重ねることによって、フィルター網208bを板体207c,207dの間に挟み込むことができる。このとき、板体207dの嵌合リング276はフィルター網208bの開口部277を通して板体207cの嵌合孔275の内周に嵌まり込ものであり、また板体207cの各通気孔210cと板体207dの各通気孔210dは上下に一致するようになっている。このように板体207cの各通気孔210cと板体207dの各通気孔210dが上下に一致しているが、通気孔210cと各通気孔210dの間には
図9(c)のようにフィルター網208bが介在している。
【0053】
上記のようにフィルター網208aを板体207a,207bの間に挟み込み、またフィルター網208bを板体207c,207dの間に挟み込み、そしてこの板体207a,207bを上側に、板体207c,207dを下側に配置して、
図12(b)のように上下に重ねることによって、フィルター体206を組み立てることができるものである。このフィルター体206において、各板体207a,207cの中央に設けた砂通過孔209a,209bは密着して上下に連通し、また各板体207a〜207dに設けた通気孔210a〜210dはフィルター網208a,208bを介して密着して上下に連通するものである。尚、板体207a,207bや板体207c,207dはバラバラにならないように、金具などで脱着自在に連結するようにしてもよい。
【0054】
上記のように形成されるフィルター体206は、
図1〜
図3に示すように、貯留槽10の砂排出口205の下端と、気体導入体215の上端との間に配置して使用されるものである。すなわち、上記したように押し上げ用シリンダー263を作動させてロッド263aを押し上げ用シリンダー263内に没入させるように下げると、分岐バー264を介して4本の押し上げ棒265が下動すると共に貯留槽10が下動するものであり、貯留槽10の砂排出口205と気体導入体215との間にフィルター体206を挟み込んで取り付けることができるものである。ここで、フィルター体206は気体導入体215の上板251の嵌合凹部255に下端が嵌合して位置決めした状態で取り付けられるものである。
【0055】
このように貯留槽10の砂排出口205と気体導入体215との間にフィルター体206を取り付けると、
図1に示すように、貯留槽10の砂排出口205の下端の開口はフィルター体206の上面で閉塞されると共に、気体導入体215の気体通過室216の上面の開口窓253はフィルター体206の下面で閉塞されるものである。また気体導入体215の中央の砂通過筒214の上端開口は、フィルター体206の下端開口と、スペーサ256を介して密着するものである。
【0056】
そしてフィルター体206の多数の通気孔201は全て貯留槽10のサンド排出口205の下端の開口内に位置しており、多数の通気孔201の上面の開口はこのサンド排出口205の下端の開口内において均一に配置されるようになっている。またフィルター体206の多数の通気孔201は全て気体導入体215の気体通過室216の上面の開口内に位置しており、多数の通気孔201の下面の開口はこの気体通過室216の上面の開口内において均一に配置されるようになっている。
【0057】
また、気体導入体215の砂通過筒214の下端に砂排出筒281が接続してある。砂排出筒281は上筒281a、中筒281b、下筒281cから形成されるものであり、
図2に示すように、中筒281bと下筒281cは上下に接続した状態で支持梁37に取り付けてあると共に、下筒281cは支持梁37の下方に突出させてある。また上筒281aは砂通過筒214の下端に上端を接続固定してあり、上筒281aの下部を中筒281bに差し込むようにしてある。そして砂排出筒281の下端面に
図2(b)に示すような排出口282が形成してあり、この排出口282は砂シャッター283で開閉されるようにしてある。
【0058】
砂シャッター283には
図2(b)のようにシャッター孔283aが設けてあり、砂排出筒281の排出口282の下面に接して配置してある。砂シャッター283はシャッター開閉シリンダー284のシリンダーロッド284aの先端に固定してあり、シャッター開閉シリンダー284は支持梁37に取り付けてある。砂シャッター283はシャッター開閉シリンダー284によって前後に往復移動されるようにしてあり、砂シャッター283を前進させて砂シャッター283のシャッター孔283aが排出口282に合致したときに排出口282は開口され、またこの状態からシャッター開閉シリンダー284で砂シャッター283を後進させることによって、砂シャッター283で排出口282を閉じることができる。通常状態では排出口282は砂シャッター283で閉じられている。
【0059】
また、気体導入体215の接続口212には気体供給装置201が接続してあり、気体供給装置201から気体導入体215の気体通過室216に加熱気体が供給されるようにしてある。この加熱気体の気体としては、空気が一般的であるが、窒素ガスなど任意のガスを用いることができる。
図2(a)の実施の形態では、除湿装置を内蔵し、大気中の空気を吸引して除湿する除湿器221と、ヒーターなどの加熱装置とファンなどの送風装置を内蔵し、除湿器221から流入した除湿空気を加熱して送り出す加熱送風機222とによって気体供給装置201を形成するようにしてある。除湿器221は99.9%程度の水分を除去することができる除湿能力があることが望ましいものであり、加熱気体としてこのような除湿した気体を用いることによって、後述のように加熱気体を貯留槽10内に供給するにあたって、貯留されている鋳物砂を湿らせるようなことを防ぐことができる。特に鋳物砂が粘結剤コーテッドサンドの場合、水分が粘結剤に作用することを防ぐことができるものである。また加熱送風機222による気体の加熱温度は、特に制限されるものではないが、鋳物砂が粘結剤コーテッドサンドの場合には、粘結剤が硬化しない温度よりも低く設定する必要がある。
【0060】
貯留槽10には鋳型の製造に使用する鋳物砂が貯留されている。鋳物砂としては、硅砂、山砂、アルミナ砂、オリビン砂、クロマイト砂、ジルコン砂、ムライト砂、その他、人工砂など耐火骨材そのものを使用することができるが、シェルモールド法で鋳型を製造する装置に付設される貯留槽10の場合には、貯留する鋳物砂として、これらの耐火骨材に粘結剤を混合することによって、耐火骨材の表面を固形の粘結剤で被覆して形成される粘結剤コーテッドサンドが使用される。粘結剤としては、フェノール樹脂やフラン樹脂等の熱硬化性樹脂を使用するのが一般的であるが、熱硬化性樹脂の他に、糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂などを使用することもできる。
【0061】
そして貯留槽10に貯留した鋳物砂を加熱するにあたっては、まず気体供給装置201を作動させて加熱気体を接続口212から気体通導入体215の気体通過室216内に吹き込んで供給する。気体通過室216に流入した加熱気体は、上面の開口窓253からフィルター体206の各通気孔210を通過し、貯留槽10内に下端の砂排出口205を通して吹き込まれる。
【0062】
このとき、開閉用シリンダー245のロッド245aを下動させる作動で、開閉具211は押し下げられた状態にあり、下端の開閉栓247によってフィルター体206の砂通過孔209の上端の開口は閉じられている。また、フィルター体206の通気孔210は、
図9(c)のように板体207の間に挟まれるフィルター網208で塞がれている。従って、貯留槽10内の鋳物砂がフィルター体206の通気孔210を通過して出ていくことはないと共に、加熱気体はフィルター網208を通過するので通気孔210を通して貯留槽10内に吹き込まれる。
【0063】
このように貯留槽10内に下端の砂排出口205から加熱気体が上方へ向けて吹き込まれると、貯留槽10内の鋳物砂はこの加熱気体によって上方へ吹き上げられることになる。そして砂排出口205の上端の開口部の近接した直上に対流筒202の下端の開口部が対向しているので、加熱気体は対流筒202内に上方へ向けて吹き込まれることになり、対流筒202内の鋳物砂は加熱気体で吹き上げられる。対流筒202内で吹き上げられた鋳物砂は、対流筒202の上端の開口部がオーバーフロー口203となって、
図1の鎖線矢印のように対流筒202の外側へオーバーフローして吹き出される。またこのように対流筒202の上端をオーバーフローして対流筒202の外側へ出た鋳物砂は、
図1の鎖線矢印のように砂流入孔204を通して対流筒202内に流れ込む。
【0064】
このように、対流筒202内の鋳物砂を加熱気体で吹き上げることによって、鋳物砂は上端のオーバーフロー口203から対流筒202の外側へオーバーフローすると共に、対流筒202の外側へ出た鋳物砂は砂流入孔204から対流筒202内に戻るものであり、貯留槽10内の鋳物砂を対流筒202の内側と外側の間で対流させることができるものである。従って、貯留槽10内において加熱気体で鋳物砂を対流させて大きく攪拌しながら加熱することができるものであり、貯留槽10内の鋳物砂を均一に加熱することができるものである。尚、対流筒202の取り付け高さをねじ棒232に沿って調整して、対流筒202の下端と砂排出口205の上端の間に隙間を形成することによって、この隙間からも対流筒202の外側の鋳物砂を対流筒202の内側へ流れ込ませることができるが、この隙間が大きすぎると、加熱気体で吹き上げられる鋳物砂がこの隙間から対流筒202の外側へ逆流するおそれがあるので、好ましくない。
【0065】
ここで、対流筒202内の鋳物砂を加熱気体で吹き上げる際に、勢いよく鋳物砂が吹き上げられると、貯留槽10の外部にまで飛散するおそれがある。特に小さな砂粒や、粘結剤コーテッドサンドから剥がれた粘結剤などは、吹き飛ばされ易い。このため、対流筒202の上端のオーバーフロー口203の上方に遮蔽体218が配置してあり、鋳物砂のこのような飛散を遮蔽体218で遮って防止するようにしてある。このとき、遮蔽体218の下面は中央部から外周部へと下り傾斜する傾斜ガイド面218として形成してあるので、吹き上げられた鋳物砂が遮蔽体218に当たると、その下面の傾斜ガイド面218の傾斜によって、鋳物砂は対流筒202の外側に流れるようにガイドされる。従って、対流筒202の内外での鋳物砂の対流が遮蔽体218によってスムーズに行なわれるようにすることができるものである。
【0066】
上記のように加熱気体で攪拌しながら予備加熱した鋳物砂は、シェルモールド工法などで鋳型を製造するために、貯留槽10から排出される。貯留槽10から鋳物砂を排出するにあたっては、まず気体供給装置201から貯留槽10への加熱気体の供給を停止し、そして開閉用シリンダー245を作動させてロッド245aを上動させ、開閉具211を引き上げて開閉栓247をフィルター体206の砂通過孔209から離すことで、砂通過孔209の上端の開口を開く。このように砂通過孔209の上端の開口を開くと、貯留槽10内の鋳物砂は砂通過孔209から気体導入体215の砂通過筒214を通して砂排出筒281へと出ていく。
【0067】
このように鋳物砂は一時的に、砂通過孔209、砂通過筒214、砂排出筒281内に滞留される状態になるが、気体導入体215の砂通過筒214は気体通過室216に囲まれているために加熱気体の熱が作用しており、砂通過筒214が高温になるおそれがある。そして鋳物砂が粘結剤コーテッドサンドの場合、砂通過筒214が高温であると粘結剤コーテッドサンドの粘結剤が砂通過筒214の内周に融着するなどして付着するおそれがある。このため、砂通過筒214には冷媒を通す熱交換器220が設けてあり、熱交換器220で砂通過筒214を冷却して温度上昇を抑制するようにしてある。
【0068】
上記のように開閉具211の開閉栓247を引き上げてフィルター体206の砂通過孔209を開いた後、シャッター開閉シリンダー284を作動させ、砂シャッター283を前進させてシャッター孔283aを砂排出筒281の排出口282に合致させることで、排出口282を開口させる。このように排出口282を開口させることによって、貯留槽10内の鋳物砂は砂排出口205から、砂通過孔209、砂通過筒214、砂排出筒281から排出されるものである。貯留槽10内の鋳物砂が排出されると、開閉用シリンダー245が作動して開閉具211の開閉栓247でフィルター体206の砂通過孔209の上端開口を閉じ、さらに砂通過孔209、砂通過筒214、砂排出筒281内の鋳物砂が排出されるタイミングでシャッター開閉シリンダー284が作動して砂シャッター283で砂排出筒281の排出口282を閉じる。
【0069】
ここで
図1に示すように、貯留槽10の側壁にはレベルセンサーなどで形成される砂検出センサー217が脱着自在に設けてある。砂検出センサー217は対流筒202に設けた一つの砂流入孔204に対向する位置に設けられるものであり、対流筒202内に貯留される鋳物砂の上面の高さを砂流入孔204を通して検出するようにしたものである。
図1及び
図3の実施の形態では、砂検出センサー217は上部と下部に設けてあり、上部には上下二ヵ所に砂検出センサー217a、217bを取り付けることができるようにし、下部には一ヶ所に砂検出センサー217cを取り付けることができるようにしてある。尚、砂検出センサー217による鋳物砂の上面の高さの検出は、気体供給装置201から加熱気体を貯留槽10に吹き込むことを停止した状態で行なわれるものである。
【0070】
砂検出センサー217を用いて、例えば次のような制御を行なうことができる。上記のように貯留槽10内の鋳物砂を排出した後、開閉用シリンダー245が作動して開閉具211の開閉栓247でフィルター体206の砂通過孔209の上端開口が閉じられる。この後、貯留槽10内に上面の開口から新たな鋳物砂が供給されるが、鋳物砂が貯留槽10内に供給されると、貯留槽10内の鋳物砂は上面の高さが徐々に上昇するので、複数の砂検出センサー217a、217b、217cから選択したいずれかの砂検出センサー217の高さに鋳物砂の上面が達したことを、この砂検出センサー217が検出したときに、貯留槽10への鋳物砂の供給が停止される。従って貯留槽10に供給される鋳物砂の量をその高さで制御して、貯留槽10内に所定の一定量の鋳物砂を供給することができるものである。また複数の砂検出センサー217a、217b、217cのうち、いずれの高さのものを選択するかによって、貯留槽10内に供給する鋳物砂の量を変更することができるものである。そしてこの後、気体供給装置201から貯留槽10への加熱気体の供給が再開され、貯留槽10内に新たに供給された鋳物砂が加熱される。
【0071】
上記のように砂検出センサー217で貯留槽10内の鋳物砂の上面の高さを検知して、貯留槽10に供給される鋳物砂の量を一定量に制御することができるものであり、また加熱した後に一定量の鋳物砂を貯留槽10から排出することができるものである。ここで、
図1及び
図3の実施の形態では上下複数の砂検出センサー217を貯留槽10に取り付け、複数の砂検出センサー217のうちいずれかの砂検出センサー217を選択的に用いて、貯留槽10内の鋳物砂の上面の高さを検知するようにしたが、貯留槽10内に供給する鋳物砂の量に応じた高さの位置の砂検出センサー217のみを貯留槽10に取り付けるようにしてもよい。
【0072】
上記のように気体供給装置201から加熱気体をフィルター体206の各通気孔210を通して貯留槽10内に吹き込んで、鋳物砂を加熱するにあたって、フィルター体206の通気孔210はフィルター網208で塞がれているので、貯留槽10内の鋳物砂がフィルター体206の通気孔210を通過して出ていくことはない。しかし、フィルター網208の網目は、鋳物砂の微細粉や、粘結剤コーテッドサンドの粘結剤の微細粉などで徐々に目詰まりし、通気孔210を加熱気体が通過する効率が悪くなる。このため、定期的にあるいは不定期的にフィルター網208を掃除したり、交換したりする必要がある。このようなフィルター網208の掃除・交換を行なうには、押し上げ用シリンダー263を作動させてロッド263aを上動させ、貯留槽10を押し上げる。このように貯留槽10を押し上げると、貯留槽10の砂排出口205の下端はフィルター体206の上面から離れるので、フィルター体206を貯留槽10と気体導入体215の間から取り出すことができる。このようにフィルター体206を取り出した状態で、板体207の間からフィルター網208を取り外し、フィルター網208の掃除や交換を簡単に行なうことができるものである。尚、
図9に示すように、フィルター体206の上端の板体207aの通気孔210aは上方へ向けて広がるように開口させてある。フィルター体206の上端の通気孔210の開口をこのように形成することによって、通気孔210の内周とフィルター網208の上面との間に鋳物砂の微細粉や粘結剤の微細粉が付着し難くなるものである。