【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る歯付プロファイルは、ベルト本体に装着可能なものであり、ベルト歯が形成されたプロファイル本体と、このプロファイル本体をベルト本体に取り付け可能な取付部と、を備えたものである。
【0008】
上記構成によれば、歯付プロファイルを別体に形成してベルト本体に取り付けることができるので、例えば、金属や高硬度樹脂で形成したり表面皮膜処理を施したりして、プロファイル本体のベルト歯を高強度なものや高剛性なものとしつつ、十分な屈曲性を有するベルト本体と組み合わせることができる。
【0009】
これにより、ベルトを構成するゴムの限界によってベルト歯の耐久性が制限されることがなく、例えば、同じ歯面が原動側及び従動側の両方の歯付プーリから負荷を受ける片歯ベルトであっても、歯面磨耗や歯底磨耗、歯欠けに対するベルト歯の耐久性を飛躍的に向上させることができる。しかも、ベルト本体を歯付プロファイルとは別体に形成して屈曲性を高めることができるので、歯付ベルトの耐屈曲疲労性をも高めることができ、歯付ベルトの耐久性と屈曲性とを両立させて、歯付ベルトの長寿命化を図ることができる。
【0010】
さらに、ベルト歯の耐久性、強度及び剛性を高めることができる分、歯付ベルトの取付張力を大きく設定することができると共に、歯飛びを抑えてジャンピングトルクを大きくすることができる。しかも、例えばベルト歯の剛性を高めて歯飛びを抑えつつ、プロファイル本体の厚さの分だけ歯付プーリを小径化することができ、歯付ベルト及び歯付プーリを備えたユニットを縮小化して、そのコンパクト設計と高負荷伝動の両立を図ることができる。
【0011】
なお、ベルト本体に対する歯付プロファイルの取付位置のずれや、ベルト本体の伸びによって、プーリ歯に対してベルト歯がわずかに位置ずれするおそれがあるが、各ベルト歯がプーリ歯に噛み合うことによって正規の位置に調整されるので、各ベルト歯の位置ずれが累積することがなく、ベルト歯の位置ずれによる噛合異常を防止することができる。
【0012】
また、ベルト本体に装着した複数の歯付プロファイルを位置決めする位置決め面を形成し、この位置決め面を、プロファイル本体のベルト歯がプーリ歯に噛み合う際、隣接する歯付プロファイルの位置決め面と互いに当接するよう設定してもよい。
【0013】
この構成によると、ベルト歯がプーリ歯に噛み合う際、隣接する歯付プロファイルの位置決め面を互いに当接させるので、複数の歯付プロファイルを連結状態として、そのベルト歯の位置関係を精度よく定めることができる。これにより、歯付プーリへの巻き付き部分におけるベルト本体の伸びを抑えて、ベルト歯のピッチずれを阻止することができ、ベルト歯とプーリ歯との噛合異常を防止すると共に、歯付ベルトのジャンピングトルクを高めることができる。
【0014】
なお、異なる径の歯付プーリに共通の歯付ベルトを掛巻する場合、小径の歯付プーリと大径の歯付プーリとでは、位置決め面の設定すべき傾斜角度が相違するが、小径の歯付プーリに合わせて傾斜角度を設定することにより、ベルト歯を大径の歯付プーリにも噛み合せることができる。
【0015】
また、歯付プロファイルの複数をベルト本体に装着した状態で、各歯付プロファイルの押圧面を介してベルト圧縮力を伝達可能とし、押圧面を、この歯付プロファイルが歯付プーリ間に掛け渡されたベルト本体のゆるみ側に位置する際、隣接する歯付プロファイルの押圧面と互いに当接するよう設定してもよい。
【0016】
この構成によると、ベルト本体のゆるみ側で、隣接する歯付プロファイルの押圧面を互いに当接させるので、複数の歯付プロファイルを介してゆるみ側のベルト圧縮力を伝達させることができる。これにより、ゆるみ側の張力がゼロ又はマイナスとなる過負荷状態であっても、歯付ベルトの弛みを防止することができ、歯付ベルトの伝動動力を向上させると共に、歯付ベルトの弛みを防止するためのテンショナーを不要にすることができる。
【0017】
また、取付部を、プロファイル本体との間にベルト本体の側部を両面側から挟持する爪部と、ベルト本体の幅方向外側を通って爪部とプロファイル本体とを連結する連結部と、を備えたものとしてもよい。
【0018】
この構成によると、ベルト本体の幅方向外側を通る連結部で爪部とプロファイル本体とを連結するので、プロファイル本体と爪部との間にベルト本体の側部を挿入するだけで、歯付プロファイルをベルト本体に容易に装着することができる。
【0019】
また、爪部を片側歯付ベルトのベルト歯に係止可能な係止爪とするようにしてもよい。
【0020】
この構成によると、爪部を片側歯付ベルトのベルト歯に係止することができるので、片側歯付ベルトをベルト本体として、その正確な位置に歯付プロファイルを装着することができる。これにより、プロファイル本体のベルト歯ピッチの精度を高めることができ、しかも、片側歯付ベルトのベルト歯により、ベルト長さ方向への歯付プロファイルの位置ずれを阻止することができる。
【0021】
さらに、本発明は、歯付プーリの側面に接触してベルト幅方向に位置決め可能なよう、プロファイル本体のベルト歯側に突出する位置決めフランジを設け
たものである。
【0022】
この構成によると、プロファイル本体のベルト歯側に突出する位置決めフランジを設けるので、ベルト本体に装着した歯付プロファイルの位置決めフランジを歯付プーリの側面に接触させることにより、歯付ベルトをベルト幅方向に位置決めすることができる。これにより、歯付ベルトをベルト幅方向に位置決めするための専用のプーリフランジを省略することができ、歯付プーリの細幅化を図って、ベルト伝動システムのコンパクト設計に寄与することができる。
【0023】
また、本発明は、ベルト本体に上記の歯付プロファイルを装着した歯付ベルトを提供する。この構成によると、上記の歯付プロファイルを採用することによる効果と同じ効果を奏することができる。
【0024】
また、ベルト本体を片側歯付ベルトとし、この片側歯付ベルトの背面側にプロファイル本体を配置して両面歯付ベルトとするようにしてもよい。
【0025】
この構成によると、片側歯付ベルトに歯付プロファイルを装着するので、比較的に製造しやすい片側歯付ベルトを用いて、比較的に製造しにくい両面歯付ベルトを得ることができる。つまり、両面歯付ベルトをそのまま製造するには、例えば、仮の片側歯付ベルトを形成した後、その内外両側から歯型で加圧して加硫するなどの工程が必要であり、ベルト周長の制限や量産コストの問題がある。これに対して、片側歯付ベルトと歯付プロファイルとを用いることにより、両面歯付ベルトを容易に構成することができる。
【0026】
また、両面歯付ベルトを構成することにより、複数の歯付プーリから受ける負荷をプロファイル本体のベルト歯とベルト本体のベルト歯とに分けることができ、さらに、1歯当たりの負荷の大きい小径の歯付プーリに、適宜、耐久性の高いプロファイル本体のベルト歯を噛み合せることができる。しかも、プロファイル本体の厚さだけ、小径の歯付プーリに巻き付くベルト本体の曲率半径を大きくすることができ、歯付ベルトの耐屈曲疲労性を高めることができる。これにより、ベルト全体としての耐久性を高めることができ、両面歯付ベルトによるコンパクト設計と高負荷伝動の両立を図ることができる。