特許第6687431号(P6687431)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6687431
(24)【登録日】2020年4月6日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】交通システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20200413BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20200413BHJP
   G08G 1/0968 20060101ALI20200413BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   G08G1/00 X
   G05D1/02 P
   G08G1/0968 B
   G08G1/09 Q
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-50156(P2016-50156)
(22)【出願日】2016年3月14日
(65)【公開番号】特開2017-167669(P2017-167669A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2019年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(72)【発明者】
【氏名】川本 雅之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 浩二
【審査官】 秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−264210(JP,A)
【文献】 特開2006−056290(JP,A)
【文献】 特開2011−180029(JP,A)
【文献】 特開2012−238169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機を搭載して運転手によって運転されるか又は自動で運転される複数台の乗り合い自走車が自走車列を構成しながら、運行指令発生部から与えられる運行指令に従って、予め定めた複数の運行経路に跨がり且つ隣り合う複数の運行経路の境界部に交差点を有する連続運行経路を通って移動する際に、先頭を移動する先頭乗り合い自走車に、前記先頭乗り合い自走車の目的地と同じ目的地に移動するか又は前記先頭乗り合い自走車の目的地に至るまでの途中までは同じ経路を通る目的地へ移動する1台以上の後続乗り合い自走車が相互に機械的に連結されることなく追従して自走車列として移動する交通システムにおいて、
前記複数の乗り合い自走車には、前記運行指令発生部からの指令に応じてそれぞれ行き先を表示する行き先表示部が設けられており、
前記運行指令発生部は、
前記先頭乗り合い自走車の目的地に至るまでの途中までは同じ経路を通る異なる目的地へ移動する1台以上の他方面行き後続乗り合い自走車が、前記異なる目的地に向かうためには前記先頭乗り合い自走車とは離れて別の経路を移動するために経路を変更しなければならない前記交差点に前記乗り合い自走車列が到達すると、前記自走車列から前記1台以上の他方面行き後続乗り合い自走車が前記乗り合い自走車列から離脱して前記交差点に設けた停留所に停留し、
前記1台以上の他方面行き後続乗り合い自走車の目的地と同じ目的地または前記1台以上の他方面行き後続乗り合い自走車が目的地に至るまでの途中までは同じ経路を通る目的地へ移動する別の先頭乗り合い自走車又は別の自走車列が前記停留所に来ると、前記1台以上の他方面行き後続乗り合い自走車が前記別の先頭乗り合い自走車または別の乗り合い自走車列に追従することを1回以上繰り返して前記1台以上の他方面行き後続乗り合い自走車が、前記異なる目的地に到達するように、前記複数台の乗り合い自走車に前記運行指令をそれぞれ与え、
また前記運行指令発生部は、前記先頭乗り合い自走車及び前記1台以上の後続乗り合い自走車が車庫に入るまでは、前記先頭乗り合い自走車及び前記1台以上の後続乗り合い自走車の目的地を順次変えながら前記先頭乗り合い自走車及び前記1台以上の他方面行き後続乗り合い自走車を連続運行するように運行指令を発生し、
さらに前記運行指令発生部は、前記先頭乗り合い自走車及び前記1台以上の後続乗り合い自走車が、それぞれの目的地が含まれる最終の運行経路に入るまでは、前記先頭乗り合い自走車及び前記1台以上の後続乗り合い自走車の前記行き先表示部に、それぞれの前記目的地が判る行き先表示を表示させ、前記先頭乗り合い自走車及び前記1台以上の後続乗り合い自走車が、それぞれの前記目的地が含まれる最終の運行経路に入ると、前記先頭乗り合い自走車及び前記1台以上の後続乗り合い自走車の前記行き先表示部に、それぞれの次の目的地が判る行き先表示を表示させる表示変更指令を発生することを特徴とする交通システム。
【請求項2】
前記運行経路は、循環する運行経路または往復する運行経路である請求項1に記載の交通システム。
【請求項3】
原動機を搭載して運転手によって運転されるか又は自動で運転される複数台の自走車が、自走車列を構成しながら、運行指令発生部から与えられる運行指令に従って、1以上の交差点を有する経路を通って移動する際に、先頭を移動する先頭自走車に、前記先頭自走車の目的地と同じ目的地に移動するか又は前記先頭自走車の目的地に至るまでの途中までは同じ経路を通る目的地へ移動する1台以上の後続自走車が相互に機械的に連結されることなく追従して移動する交通システムにおいて、
前記先頭自走車の目的地に至るまでの途中までは同じ経路を通る異なる目的地へ移動する1台以上の他方面行き後続自走車が、前記異なる目的地に向かうためには前記先頭自走車とは離れて別の運転経路を移動するために経路変更をしなければならない前記交差点に前記自走車列が到達すると、前記自走車列から前記1台以上の他方面行き後続自走車が前記自走車列から離脱して前記交差点に設けた停留所に停留し、
前記1台以上の他方面行き後続自走車の目的地と同じ目的地または前記1台以上の他方面行き後続自走車が目的地に至るまでの途中までは同じ経路を通る目的地へ移動する別の先頭自走車又は別の自走車列が前記停留所に来ると、前記1台以上の他方面行き後続自走車が前記別の先頭自走車または別の自走車列に追従することを1回以上繰り返して前記1台以上の他方面行き後続自走車が、前記異なる目的地に到達するように、前記運行指令発生部から前記複数台の自走車に前記運行指令をそれぞれ与えることを特徴とする交通システム。
【請求項4】
前記運行指令発生部は、全ての前記自走車に前記運行指令を与えるように前記複数の自走車とは別に設けられ、
前記全ての自走車と前記運行指令発生部との間は無線通信回線網により情報伝達可能に連結されている請求項3に記載の交通システム。
【請求項5】
前記運行指令発生部は、全ての前記自走車にそれぞれ搭載されており、
前記全ての自走車間は、無線通信回線網により情報伝達可能に連結されている請求項3に記載の交通システム。
【請求項6】
前記運行指令発生部は、前記停留所で停留している前記他方面行き後続自走車が、最も速くまたは最も短い走行距離で前記目的地に到達できるように、前記別の先頭自走車又は別の自走車列自走車に追従すべき前記運行指令を発生するように前記停留所で停留している前記他方面行き後続自走車に与えることを特徴とする請求項4または5に記載の交通システム。
【請求項7】
前記運行指令発生部は、前記先頭自走車新たな後続自走車に変更し、または前記後続自走車を新たな先頭自走車に変更する変更指令を発生することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の交通システム。
【請求項8】
原動機を搭載して運転手によって運転されるか又は自動で運転される複数台の乗り合い自走車が自走車列を構成しながら、運行指令発生部から与えられる運行指令に従って、予め定めた複数の運行経路に跨がり且つ隣り合う複数の前記運行経路の境界部に交差点を有する連続運行経路を通って移動する際に、先頭を移動する先頭乗り合い自走車に、前記先頭乗り合い自走車の目的地と同じ目的地に移動するか又は前記先頭乗り合い自走車の目的地に至るまでの途中までは同じ経路を通る目的地へ移動する1台以上の後続乗り合い自走車が相互に機械的に連結されることなく追従して自走車列として移動する交通システムにおいて、
前記運行指令発生部は、前記先頭乗り合い自走車及び1台以上の後続乗り合い自走車がそれぞれ目的地に移動するように前記運行指令を発生し、
前記複数の乗り合い自走車には、前記運行指令発生部からの指令に応じてそれぞれ行き先を表示する行き先表示部が設けられており、
また前記運行指令発生部は、前記先頭乗り合い自走車及び前記1台以上の後続乗り合い自走車が車庫に入るまでは、前記先頭乗り合い自走車及び前記1台以上の後続乗り合い自走車の目的地を順次変えながら前記先頭乗り合い自走車及び前記1台以上の後続乗り合い自走車を連続運行するように運行指令を発生し、
さらに前記運行指令発生部は、前記先頭乗り合い自走車及び前記1台以上の後続乗り合い自走車が、それぞれの目的地が含まれる最終の運行経路に入るまでは、前記先頭乗り合い自走車及び前記1台以上の後続乗り合い自走車の前記行き先表示部に、それぞれの前記目的地が判る行き先表示を表示させ、前記先頭乗り合い自走車及び前記1台以上の後続乗り合い自走車が、それぞれの前記目的地が含まれる最終の運行経路に入ると、前記先頭乗り合い自走車及び前記1台以上の後続乗り合い自走車の前記行き先表示部に、それぞれの次の目的地が判る行き先表示を表示させる表示変更指令を発生することを特徴とする交通システム。
【請求項9】
前記運行指令発生部は、全ての前記自走車に前記運行指令を与えるように前記複数の自走車とは別に設けられ、
前記全ての自走車と前記運行指令発生部との間は無線通信回線網により情報伝達可能に連結されている請求項8に記載の交通システム。
【請求項10】
前記運行指令発生部は、全ての前記自走車にそれぞれ搭載されており、
前記全ての自走車間は、無線通信回線網により情報伝達可能に連結されている請求項8に記載の交通システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先頭車両に1台以上の後続自走車が相互に機械的に連結されることなく追従して移動する交通システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2000−112523号公報(特許文献1)及び特開2000−113399号公報(特許文献2)には、先頭車に対して無人運転される後続車の走行追従軌跡精度が高い縦列での縦列走行を実現した自動追従走行システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−112523号公報
【特許文献2】特開2000−113399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のシステムでは、先頭車に対して無人運転される後続車の走行追従軌跡精度が高い縦列での縦列走行は実現できる。しかしながら従来のシステムを見た当業者が、運転手によって運転されるか又は自動で運転される複数台の自走車が、自走車列を構成しながら、運行指令発生部から与えられる運行指令に従って、1以上の交差点を有する経路を通って移動する際に、先頭を移動する先頭自走車に、先頭自走車の目的地と同じ目的地に移動するか又は先頭自走車の目的地に至るまでの途中までは同じ経路を通る目的地へ移動する1台以上の後続自走車を相互に機械的に連結することなく追従させて移動する交通システムを構築する場合において、追従する1台以上の後続自走車をどのようなタイミングで分離・連結すれば、このシステムを有効に活用できるかを案出することはできない。
【0005】
本発明の目的は、先頭自走車の目的地と同じ目的地に移動するか又は先頭自走車の目的地に至るまでの途中までは同じ経路を通る目的地へ移動する1台以上の後続自走車を相互に機械的に連結することなく追従させて移動する交通システムにおいて、1台以上の後続自走車の分離・追従を繰り返すことにより交通システムを有効に活用できるようにすることにある。
【0006】
また本発明の他の目的は、上記目的に加えて、自走車が乗り合い自走車の場合において、目的地を変更しながら連続運転する場合でも、乗客を確実に目的地まで輸送することを可能にする交通システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、原動機を搭載して運転手によって運転されるか又は自動で運転される複数台の自走車が、自走車列を構成しながら、運行指令発生部から与えられる運行指令に従って、1以上の交差点を有する経路を通って移動する際に、先頭を移動する先頭自走車に、先頭自走車の目的地と同じ目的地に移動するか又は先頭自走車の目的地に至るまでの途中までは同じ経路を通る目的地へ移動する1台以上の後続自走車が相互に機械的に連結されることなく追従して移動する交通システムを対象とする。本発明においては、運行指令発生部が運行指令を次のように発生する。すなわち先頭自走車の目的地に至るまでの途中までは同じ経路を通る異なる目的地へ移動する1台以上の他方面行き後続自走車が、異なる目的地に向かうためには先頭自走車とは離れて別の運転経路を移動するために経路変更をしなければならない交差点に自走車列が到達すると、自走車列から1台以上の他方面行き後続自走車が自走車列から離脱して交差点に設けた停留所に停留し、そして1台以上の他方面行き後続自走車の目的地と同じ目的地または1台以上の他方面行き後続自走車が目的地に至るまでの途中までは同じ経路を通る目的地へ移動する別の先頭自走車又は別の自走車列が停留所に来ると、1台以上の他方面行き後続自走車が別の先頭自走車または別の自走車列に追従することを1回以上繰り返して1台以上の他方面行き後続自走車が、異なる目的地に到達するように、運行指令発生部が複数台の自走車に運行指令をそれぞれ与える。なお交差点に設ける停留所は、交差点の周囲に設けられてもよいのは当然である。
【0008】
本発明のように1台以上の他方面行き後続自走車の分離と追従の決定を、先頭自走車の運行経路及び目的地と各他方面行き後続自走車の目的地とから決定した交差点を基準として行うと、1台の先頭自走車に追従させる後続自走車の台数を多くすることが可能になる。また先頭自走車の運転経路を停留所に停留する自走車の台数を考慮して定めれば、停留所に停留する自走車の停留時間の短縮化も可能となる。したがって先頭自走車に1台以上の後続自走車を追従させて移動させる場合に、簡単に且つスムーズに各後続自走車を目的地に移動させることが可能になる。なお状況に応じて、停留所に停留している他方面行きの後続自走車を先頭自走車に変更してもよく、また先頭自走車を後続自走車に変更してもよいのは勿論である。
【0009】
運行指令発生部は、全ての自走車に運行指令を与えるように複数の自走車とは別に設けられ、全ての自走車と運行指令発生部との間は無線通信回線網により情報伝達可能に連結されているのが好ましい。このようにすると、いわゆる中央制御部に運行指令発生部を置いて、全ての自走車に対して運行指令を与えることができるので、他の自走車の状況を全て把握して運行指令を発生することができる。また中央制御を行うと、状況に応じて、先頭自走車を後続自走車に変更したり、後続自走車を先頭自走車に変更して運行計画を変更することが可能になる。
【0010】
運行指令発生部は、全ての自走車にそれぞれ搭載されており、全ての自走車間は、無線通信回線網により情報伝達可能に連結されていてもよい。このようにすると運行指令の発生を各自走車で行うので、1台の運行指令発生部の負担が減る上、システム全体が停止することを防止できる。
【0011】
運行指令発生部は、停留所で停留している他方面行き後続自走車が、最も速くまたは最も短い走行距離で目的地に到達できるように、別の先頭自走車又は別の自走車列自走車に追従すべき運行指令を停留所で停留している他方面行き後続自走車に与えるように構成してもよい。
【0012】
本発明は、自走車が乗り合い自走車の場合にも適用できる。乗り合い自走車は、車庫に入る場合を除いて、運行スケジュールに従って目的地を変更しながら連続運行されるのが一般的である。このような場合に、各自走車が目的地に到達する前に、次の目的地または次の目的地に至る途中にある停留所(駅を含む)に向かうことを希望する乗客を乗車させることができれば、利用者の利便性が高まる。そこで本発明では、原動機を搭載して運転手によって運転されるか又は自動で運転される複数台の乗り合い自走車が自走車列を構成しながら、運行指令発生部から与えられる運行指令に従って、予め定めた複数の運行経路に跨がり且つ隣り合う複数の運行経路の境界部に交差点を有する連続運行経路を通って移動する際に、先頭を移動する先頭乗り合い自走車に、先頭乗り合い自走車の目的地と同じ目的地に移動するか又は前記先頭乗り合い自走車の目的地に至るまでの途中までは同じ経路を通る目的地へ移動する1台以上の後続乗り合い自走車が相互に機械的に連結されることなく追従して自走車列として移動する交通システムにおいて、以下の構成を採用する。
【0013】
まず複数の乗り合い自走車には、運行指令発生部からの指令に応じてそれぞれ行き先を表示する行き先表示部が設けられている。そして運行指令発生部は、先頭乗り合い自走車の目的地に至るまでの途中までは同じ経路を通る異なる目的地へ移動する1台以上の他方面行き後続乗り合い自走車が、異なる目的地に向かうためには先頭乗り合い自走車とは離れて別の経路を移動するために経路を変更しなければならない交差点に乗り合い自走車列が到達すると、自走車列から前記1台以上の他方面行き後続乗り合い自走車が乗り合い自走車列から離脱して交差点に設けた停留所に停留し、1台以上の他方面行き後続乗り合い自走車の目的地と同じ目的地または1台以上の他方面行き後続乗り合い自走車が目的地に至るまでの途中までは同じ経路を通る目的地へ移動する別の先頭乗り合い自走車又は別の自走車列が停留所に来ると、1台以上の他方面行き後続乗り合い自走車が別の先頭乗り合い自走車または別の乗り合い自走車列に追従することを1回以上繰り返して1台以上の他方面行き後続乗り合い自走車が、異なる目的地に到達するように、複数台の乗り合い自走車に運行指令をそれぞれ与える。そして運行指令発生部は、先頭乗り合い自走車及び1台以上の後続乗り合い自走車が車庫に入るまでは、先頭乗り合い自走車及び1台以上の後続乗り合い自走車の目的地を順次変えながら先頭乗り合い自走車及び1台以上の後続乗り合い自走車を連続運行するように運行指令を発生する。また運行指令発生部は、先頭乗り合い自走車及び1台以上の後続乗り合い自走車が、それぞれの目的地が含まれる最終の運行経路に入るまでは、先頭乗り合い自走車及び1台以上の後続乗り合い自走車の行き先表示部に、それぞれの目的地が判る行き先表示を表示させ、先頭乗り合い自走車及び1台以上の後続乗り合い自走車が、それぞれの目的地が含まれる最終の運行経路に入ると、先頭乗り合い自走車及び1台以上の後続乗り合い自走車の行き先表示部に、それぞれの次の目的地が判る行き先表示を表示させる表示変更指令を発生する。
【0014】
このよう先頭乗り合い自走車及び1台以上の後続乗り合い自走車の行き先表示部の表示を変更すると、最終の運行経路に入った段階で、各自走車が最終の目的地に到達する前に、次の目的地または次の目的地に至る途中にある停留所(駅を含む)に向かうことを希望する乗客を乗車させることができる。その結果、利用者の利便性が高まる。
【0015】
乗り合い自走車の場合の運行経路は、循環する運行経路または往復する運行経路であるのが好ましい。このような運行経路を採用すると、連続運行をスムーズに行うことができる。
【0016】
行き先表示の変更技術は、以下のように一般化できる。すなわち原動機を搭載して運転手によって運転されるか又は自動で運転される複数台の乗り合い自走車が自走車列を構成しながら、運行指令発生部から与えられる運行指令に従って、予め定めた複数の運行経路に跨がり且つ隣り合う複数の運行経路の境界部に交差点を有する連続運行経路を通って移動する際に、先頭を移動する先頭乗り合い自走車に、先頭乗り合い自走車の目的地と同じ目的地に移動するか又は先頭乗り合い自走車の目的地に至るまでの途中までは同じ経路を通る目的地へ移動する1台以上の他方面行き後続乗り合い自走車が相互に機械的に連結されることなく追従して自走車列として移動する交通システムにおいて、運行指令発生部が、先頭乗り合い自走車及び1台以上の後続乗り合い自走車がそれぞれ目的地に移動するように運行指令を発生するようにし、複数の乗り合い自走車には、運行指令発生部からの指令に応じてそれぞれ行き先を表示する行き先表示部を設ける。そして運行指令発生部を、先頭乗り合い自走車及び1台以上の後続乗り合い自走車が車庫に入るまでは、先頭乗り合い自走車及び1台以上の後続乗り合い自走車の目的地を順次変えながら先頭乗り合い自走車及び1台以上の後続乗り合い自走車を連続運行するように運行指令を発生し、さらに運行指令発生部は、先頭乗り合い自走車及び1台以上の後続乗り合い自走車が、それぞれの目的地が含まれる最終の運行経路に入るまでは、先頭乗り合い自走車及び前記1台以上の後続乗り合い自走車の行き先表示部に、それぞれの目的地が判る行き先表示を表示させ、先頭乗り合い自走車及び1台以上の後続乗り合い自走車が、それぞれの目的地が含まれる最終の運行経路に入ると、先頭乗り合い自走車及び1台以上の後続乗り合い自走車の行き先表示部に、それぞれの次の目的地が判る行き先表示を表示させる表示変更指令を発生するように構成すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】自動車列のイメージを示す図である。
図2】乗り合い自走車を例にして、本発明の運行システムにおける乗り合い自走車の分離と追従の状況を説明するための図である。
図3図2の乗り合い自走車の車列が走行する運行経路網の一例を示す図である。
図4】(A)及び(B)は、運行経路の例を示す図である。
図5】(A)及び(B)は、運行経路網の例を示す図である。
図6】運行指令に基づく先頭自走車の制御フローの一例を示す図である。
図7図6のステップST7の詳細を示す図である。
図8】行き先表示部の変更を実行する際に行う先頭自走車における制御部の動作フローの一例を示す図である。
図9】本発明を適用した旅客輸送の具体例を説明するために用いる図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の交通システムの実施の形態を詳細に説明する。本発明の交通システムでは、図1にイメージで示すように、原動機(エンジン、モータ等)を搭載して運転手によって運転されるか又は自動で運転される複数台の自走車AMが、相互に機械的に連結されることなく追従して自走車列ACを構成しながら、運行指令に従って、交差点を有する経路を通って移動する。自走車は、人を輸送する場合と人を輸送しない場合がある。本願明細書においては、自走車がいずれの場合も含む場合には、単に自走車と呼び、人を輸送する場合には乗り合い自走車と言う。
【0019】
図2は、乗り合い自走車を例にして、本発明の運行システムにおける乗り合い自走車AM1〜AM4の分離と追従の状況を説明するための図である。図3は、図2の乗り合い自走車の車列ACが走行する運行経路網SRNの一例を示す図である。図3に示す運行経路網と同様のものとしては、端末交通システムが挙げられる。これは、従来の公共交通である鉄道や路線バスに比べ、出発地や目的地により近い場所をつなぐ交通システムで用いられるような運行経路網である。こうした端末交通システムは、高齢者や障害者などの交通制約者の移動の負担をより軽減するものとして期待される一方で、以下のような課題が残されていた。まず、端末移動では乗降地が多様に分散することが多く、従来型の交通システムでは、すべての乗客を乗降需要のあるすべての停留所に連れ回すことになる。また、高齢者や障害者は乗降に時間を要するため、それぞれの停留所での滞留時間も長くなり、結果として速達性を大きく喪失するものになってしまう。さらに、比較的広範囲を移動する場合には、複数の運行経路を乗り継ぐ必要があり、乗客に乗り換えの動作を強いることになってしまうという問題もある。これらの課題は、従来のオンデマンドバス等で利用されていた車両運行方式で解決することは難しく、電子連結車両の特性を活かした運行方式による解決が求められていた。本実施の形態では、このような問題を解消する。
【0020】
図3の運行経路網SRNは、4つのエリアA〜Dにそれぞれ個別の循環経路タイプの運行経路SRA〜SRDを備えており、各運行経路SRA〜SRDの交差部分には、交差点J1〜J3を備えている。図3において、○印は停留所を示しており、本実施の形態では、交差点も停留所となる。図3の例では、運行経路網はエリアA〜Dの4つのエリアに区分けされており、それぞれのエリアで周回ルートが設けられている。また、エリBのように、一つのエリアに複数の交差点が存在することもある。周回ルートは必ずしも異なる停留所のみを結ぶ必要はなく、例えば図4(A)のように同じ停留所が複数回現れるようなルートであっても良い。また、図4(B)のように、エリア内の停留所を巡回する経路は一通りに定まっていなくても良い。(この図の例では、1−2−4−5の順で周回するルートと、3−4−5の順で周回するルートが存在する。)各有人の先頭自走車には、あらかじめ走行可能なエリアを決めることできる。そのため、走行可能でないエリアには、交差点を越えて侵入することができない場合がある。
【0021】
図2においては、先頭乗り合い自走車AM1に後続乗り合い自走車AM2及びAM3が追従して乗り合い自走車列ACが構成されている。図示していないが、乗り合い自走車AM1〜AM4には、管制制御システムMC内に配置された運行指令発生部CGからの指令に応じてそれぞれ行き先を表示する行き先表示部DPが設けられている。図2の例では、運行指令発生部CGは、次のような動作を各自走車AM1〜AM4に行わせる運行指令を発生し、無線で各自走車AM1〜AM4に送信する。まず先頭乗り合い自走車AM1の目的地に至るまでの途中までは同じ経路を通る異なる目的地へ移動する2台の他方面行き後続乗り合い自走車AM2及びAM3が、異なる目的地に向かうためには先頭乗り合い自走車AM1とは離れて別の経路を移動するために経路を変更しなければならない交差点J1に乗り合い自走車列ACが到達すると、自走車列ACから他方面行き後続乗り合い自走車MC3が乗り合い自走車列ACから離脱して交差点J1の停留所Sに停留する。そして停留所Sに停留する他方面行き後続乗り合い自走車AM3の目的地と同じ目的地または他方面行き後続乗り合い自走車AM3が目的地に至るまでの途中までは同じ経路を通る目的地へ移動する別の先頭乗り合い自走車AM11(図3)又は別の自走車列が停留所Sに来ると、他方面行き後続乗り合い自走車AM3が別の先頭乗り合い自走車AM11または別の乗り合い自走車列に追従する。
【0022】
また図2の例では、停留所Sに停留していて先頭乗り合い自走車AM1の目的地と同じ目的地または先頭乗り合い自走車AM1の目的地に至るまでの途中までは同じ経路を通る異なる目的地へ移動する後続乗り合い自走車AM4が、交差点J1に到達した乗り合い自走車列ACに追従する動作を行う。図3の例では、後続乗り合い自走車AM4はエリアA内のどこかの停留所を最終目的地とするものである。なお後に詳しく説明するように、運行指令発生部CGは、後続乗り合い自走車AM4が、最終目的地が含まれる最終の運行経路SRAに入ると、後続乗り合い自走車AM4の行き先表示部に、次の目的地が判る行き先表示を表示させる指令を出力する。
【0023】
運行指令発生部CGは、他方面行きの後続乗り合い自走車AM3が、分離と追従の動作を1回以上繰り返して、当初の先頭乗り合い自走車AM1の目的地とは異なる目的地に到達するように、乗り合い自走車に運行指令をそれぞれ与えるように構成されている。
【0024】
本実施の形態によれば、停留所において、後続乗り合い自走車の分離と追従を切り替え、また各車両の行き先表示を変更することにより、乗り換え無しで乗客を目的地まで輸送することができる。したがって、複数の地域の既存の輸送経路をつないで、より広範な交通網を形成することができる。また、乗り換え動作が困難な乗客に対して移動を容易にするとともに、乗り換えに伴う他の乗客の待ち時間を短縮することができる。
【0025】
なお上記実施の形態では乗客の輸送を行うため、自走車を先頭乗り合い自走車及び後続乗り合い自走車と名付けたが、人を輸送しない場合には先頭自走車及び後続自走車と呼ぶ。なお以後の説明では、特に乗客を輸送する場合に限定しないときには、先頭自走車及び後続自走車の用語を使用する場合もある。
【0026】
(運行経路網の具体例)
ここで二つの典型的な運行経路網の例を挙げる。一つは、図5(A)で示すように、複数のエリア内を周回する局所的なルートと、異なるエリア間を接続する幹線ルートの2種類の経路によって構成される運行経路網である。またもう一つは、図5(B)で示すように、それぞれの乗客の自宅から主要な駅の間を輸送するための端末交通ネットワークである。
【0027】
(先頭自走車の制御)
上記実施の形態において、管制制御システムMCからの運行指令により移動する先頭自走車の制御について説明する。図6は、運行指令に基づく先頭自走車の制御フローの一例を示している。なおこの制御フローでは、自走車は乗り合い自走車である。ステップST1では、到着した交差点の停留所Sにおいて、先に管制制御システムMCから受信済みの運行経路情報に応じて、先頭自走車に追従する後続自走車(例えば、図2の後続自走車AM4)の追加と交差点で先頭自走車から分離される後続自走車(例えば、図2の後続自走車AM3)の分離が行なわれる。また必要な行き先表示の切換が実施される。ステップST1の詳細は、後に説明する図8に示す通りである。なおこのステップST1はステップST10の後に実行される。ステップST2では、管制制御システムMCから先頭自走車の次の運行経路を示す運行指令を受信する。なお次の運行指令が、先に受けている運行指令と変わらない場合もある。先頭自走車が移動を開始するとステップST3で現在地を検出し、ステップST4で管制制御システムMCに現在地の情報を送信する。ステップST5で、現在地が停留場であるか否かの判断がなされ、停留所でなければステップST3乃至ST5が繰り返される。そしてステップST5で、現在地が停留所であると判断された後、ステップST6に進んでその停留所での乗降者がいる自走車には乗降動作命令が送信される。そしてステップST7で乗降動作が実行される。ステップST7については、図7のフローに詳細を示してある。このフローでは、ドアの開閉(ステップST71),乗車人数確認(ステップST72)、満車の確認(ステップST73)、表示を「満車」に変更(ステップST74)及び先頭自走車に作業完了と乗車人数を伝達(ステップST75)を実行する。そしてステップST8で全ての自走車からの乗降動作の完了を確認すると、ステップST9において、管制制御システムMCに乗客数を送信する。次にステップST10において、現在地(停留所)が交差点であるか否かの判断がなされ、停留所で無ければステップST2に戻り、停留所であればステップST1へと戻る。
【0028】
図8は、図6のステップST1の詳細であって、乗り合い自走車を前提とした場合において、先頭自走車の最終目的地が含まれる運行エリアに入る交差点に到達したときに、後続自走車の切り離しと、新たな後続自走車の追従(牽引)と、行き先表示部の変更を実行する際に行う先頭自走車における制御部の動作フローの一例を示している。この動作フローが実行される前提として、先頭走行車及び後続走行車は、それぞれ行き先表示部(図2の符号D参照)を備えており、そこに運行経路網内のエリア名のいずれか一つを表示するものとする。また行き先表示部には、「回送」や「満車」など、旅客に乗車できないことを知らせる情報も表示される。なお後続自走車の最終目的地(最終目的エリア)が異なる場合には、同一の自走車列にある車両が、それぞれ異なるエリア名を表示することになる。図8の動作フローの例では、先頭自走車が最終目的地を含むエリアの交差点に到達すると、ステップST101で管制制御システムMCから各種情報を受信する。そしてステップST102で、牽引する(追従する)後続自走車の縦列構成が決定される。次にステップST103では、次の目的地(本実施の形態では交差点)とそこまでの走行ルートを決定する。そしてステップST104で、到達した交差点で分離すべき後続自走車への切り離しを命令する。次にステップST105で、到達した交差点にある停留所に停留している新たに牽引(追従)すべき後続自走車に追従のための連結命令が出される。つづくステップST106では、車列の中に行き先表示に示すエリアと現在のエリアが同一である自走車が存在するか否かの判断がなされる。この判断で存在する場合には、該当する自走車に対して行き先表示を次の目的地(エリア)の表示に変更する指示を出力し、存在しない場合にはステップST108へ進む。ステップST108では、各自走車からの作業完了を受信すると一連の制御を終了する。
【0029】
整理すると、図8の制御フローでは行き先表示の表示は、現在位置が以下の条件を満たすときにのみ変更することができる。
【0030】
・現在の位置が交差点である。
【0031】
・現在位置するエリアと現在の行き先表示で示されているエリアが一致している。
【0032】
ただし、車両が満車になったときは、任意の停留所で行き先表示の表示を「満車」に切り替えることができる。乗客は、運行経路網内の任意の停留所から乗り合い自走車に乗ることができ、乗り合い自走車によって目的地とする停留所に移動することができる。乗客が乗り合い自走車に乗るときは、目的地とするエリアが行き先表示に表示されたン自走車にのみ乗ることができる。特に、出発地と目的地が同一のエリアXにあるときは、Xが表示された乗り合い自走車にのみ乗ることになる。また、行き先表示が「回送」もしくは「満車」と表示された乗り合い自走車には、誰も乗ることができない。
【0033】
図9は、本発明を適用した旅客輸送の具体例を説明するための図である。なお以下の説明では乗り合い自走車を単に自走車と言う。この例では、エリアA,B,Cの3つの局所的なエリアと、それらを繋ぐ循環経路からなるエリア(中央の円)からなる運行経路網を考える。A,B,Cの各エリアは地理的に離れていて、それらを結合する循環経路上を高速に走行する「快速」自走車1〜3及び11〜13を設ける。4つのエリアのそれぞれについて、先頭自走車は自身のいるエリアの外には出られないものとする。
【0034】
エリアA,B,Cにおいて、それぞれの運行経路は複数の停留所を周回するルートによって構成されており、その上を複数の先頭自走車が周回する。また、循環経路はエリアA,B,Cのそれぞれと繋がる交差点J1〜J3のみからなる周回ルートにより構成されており、その上を右回りと左回りの2方向で先頭自走車が周回する(図中では、3台ずつ右まわりの自走車1〜3と左回りの自走車11〜13がある。
【0035】
以上の運行経路網において、以下のような方法で旅客を輸送する。まずステップ1において、エリアA,B,Cのそれぞれにおいて、先頭自走車の行き先表示を自身の属するエリアとし、また後続の自走車の行き先表示を外部のエリアとする。例えばエリアAでは、先頭自走車の行き先表示を「エリアA」とし、後続の自走車の行き先表示を「エリアB」と「エリアC」とする。なお、図中では先頭自走車は省略している。また、行き先をここではa,b,cで表している。各エリアを周回する間、乗客は自身の目的地のあるエリアの行き先表示を掲げた自走車に乗車する。
【0036】
次にステップ2において、各エリアで交差点J1〜J3から出発した車列が1周すると、後続の自走車を交差点で切り離す。切り離された自走車は、循環経路を走行する先頭自走車に接続され、それぞれの目的地のエリアに向かう。
【0037】
ステップ3において、目的地のあるエリアの交差点に到着した後続の自走車は切り離され、新たにそのエリアの先頭自走車に接続される。
【0038】
さらにステップ4において、後続の自走車は次の客を運ぶために、自走車の行き先表示を外部のエリアに切り替え、現在のエリアを周回する。例えばステップ3において、エリアBおよびCから循環経路を経て運ばれてきた後続の自走車は、ステップ4において新たに行き先表示をエリアBおよびCに切り替える。このとき注意すべきことは、新たに行き先表示がエリアBおよびCに変更された後続自走車に乗車している乗客は、エリアAのどこかの停留所を目的地としていることである。したがって、エリアAを周回する間に、既に後続の自走車に乗っている旅客を降車させながら、エリアA内の新たな旅客を乗車させることになる。
【0039】
上記実施の形態では、乗客を輸送する場合を例として説明したが、乗客では荷物を輸送する場合にも本発明を適用できるのは勿論である。
【0040】
また上記実施の形態では、先頭自走車には運転手が乗車しているが、本発明は無人で運転される自動制御の先頭自走車を用いる場合にも適用できる。また状況に応じて、後続自走車を単独で所望の停留所に移動させてもよいのは勿論である。
【0041】
また上記実施の形態のように管制制御システムMCに運行指令発生部CGを配置して中央制御を行うため、状況に応じて、先頭自走車を後続自走車に変更したり、後続自走車を先頭自走車に変更してもよいのは勿論である。このようにすると運行計画を変更することが容易になる。
【0042】
また運行指令発生部CGを、全ての自走車にそれぞれ搭載して、全ての自走車間を、無線通信回線網により情報伝達可能に連結する構成を採用してもよい。このようにすると運行指令の発生を各自走車で行うので、1台の運行指令発生部の負担が減る上、システム全体が停止することを防止できる。
【0043】
さらに運行指令発生部CGは、停留所で停留している後続自走車が、最も速くまたは最も短い走行距離で目的地に到達できるように、別の先頭自走車又は別の自走車列に追従すべき運行指令を停留所で停留している後続自走車に与えるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によれば、1台以上の後続自走車の分離・追従を繰り返すことにより交通システムを有効に活用できる。特に本発明のように1台以上の他方面行き後続自走車の分離と追従の決定を、先頭自走車の運行経路及び目的地と各他方面行き後続自走車の目的地とから決定した交差点を基準として行うと、1台の先頭自走車に追従させる後続自走車の台数を多くすることが可能になる。また先頭自走車の運転経路を停留所に停留する自走者の台数を考慮して定めれば、停留所に停留する自走車の停留時間の短縮化も可能となる。したがって先頭自走車に1台以上の後続自走車を追従させて移動させる場合に、簡単に且つスムーズに各後続自走車を目的地に移動させることが可能になる。
【0045】
また先頭乗り合い自走車及び1台以上の後続乗り合い自走車が、それぞれの目的地が含まれる最終の運行経路に入ると、先頭乗り合い自走車及び1台以上の後続乗り合い自走車の行き先表示部に、それぞれの次の目的地が判る行き先表示を表示させる表示変更指令を発生して、先頭乗り合い自走車及び1台以上の後続乗り合い自走車の行き先表示部の表示を変更すると、最終の運行経路に入った段階で、各自走車が最終の目的地に到達する前に、次の目的地または次の目的地に至る途中にある停留所(駅を含む)に向かうことを希望する乗客を乗車させることができる。その結果、利用者の利便性が高まる。
【符号の説明】
【0046】
AM,AM1〜AM4 自走車
A〜D エリア
SRC〜SRD 運行経路
J1〜J4 交差点
MC 管制制御システム
CG 運行指令発生部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9