(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
環状のリムワークをリムワーク外周側に配置したトップロールとリムワーク内周側に配置したボトムロールとの双方を用いてロール成形するための、自動車用ホイールリムの製造装置であって、
前記ボトムロールを取り付けるボトムロール取付軸と、
前記ボトムロール取付軸を回転駆動するボトムロール駆動機構と、
前記ボトムロール取付軸に対して上方に配置されると共に、前記トップロールを取り付けるトップロール取付軸と、
前記トップロール取付軸を回転駆動するトップロール駆動機構と、
前記ボトムロール取付軸と前記トップロール取付軸との間隔を調整する第1調整機構と、
前記リムワークを、退避位置から、前記ボトムロール取付軸に取り付けられる前記ボトムロールに前記リムワークをセットするためのセット位置まで移動させるワーク供給機構と、
を備え、
前記ワーク供給機構は、
基体と、
前記基体に対して相対移動可能に支持されると共に前記リムワークを載置する載置部を備えた移動体と、
前記基体に対する前記移動体の位置を調整することによって、前記載置部を前記退避位置と前記セット位置との間で移動可能な第2調整機構と、
前記ボトムロール取付軸に対する前記基体の位置を上下方向にのみ直線的に移動して調整する第3調整機構と、
を備えた、自動車用ホイールリムの製造装置。
【背景技術】
【0002】
従来より、環状のリムワークをリムワーク外周側に配置したトップロールとリムワーク内周側に配置したボトムロールとの双方を用いてロール成形するための、自動車用ホイールリムの製造装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この文献に記載の装置は、ボトムロールを取り付けるボトムロール取付軸と、ボトムロール取付軸を回転駆動するボトムロール駆動機構と、トップロールを取り付けるトップロール取付軸と、トップロール取付軸を回転駆動するトップロール駆動機構と、ボトムロール取付軸とトップロール取付軸との間隔を調整する調整機構と、を備えている。
【0004】
この種の装置を用いてリムワークをロール成形する場合、その準備段階において、リムワークをボトムロール取付軸に取り付けられたボトムロールにセットする必要がある。この作業を容易にするため、上記文献に記載の装置では、リムワークが載置された載置部を、退避位置から、ボトムロールにリムワークをセットするためのセット位置まで移動させるワーク供給機構が設けられている。
【0005】
ところで、上記文献に記載の装置では、或るリムワークのロール成形を行った後に、そのリムワークとは形状(特に、外径)が異なるリムワークのロール成形を行う場合、ボトムロール及びトップロールに加えて、更に、ワーク供給機構の載置部をも交換する必要があった。これは、以下の理由に因る。
【0006】
即ち、上記文献に記載の装置では、セット位置にある載置部の上下方向の位置が調整できない。従って、外径が異なるリムワークがセット位置にある載置部に載置された場合、リムワークの中心軸心の上下方向の位置が変化する。このため、ボトムロール取付軸に対するリムワークの中心軸心の上下方向の位置が最適位置からずれるので、ボトムロールにリムワークをセットし難くなる。この問題を解消するためには、外径が異なるリムワークがセット位置にある載置部に載置される場合、リムワークの中心軸心の上下方向の位置が変化しないように、載置部の形状を変更する必要がある。即ち、載置部を交換する必要があった。
【0007】
以上のことから、上記文献に記載の装置では、ロール成形に供されるリムワークの形状(特に、外径)が変わる毎に、ワーク供給機構の載置部を交換する必要があった。このため、載置部の交換に要する時間が必要になり、且つ、複数種類の載置部を準備しておく必要もある。この結果、ホイールリムの製造コストが高くなる、という問題があった。
【0008】
本発明は上記問題に対処するためになされたものであり、その目的は、ロール成形に供されるリムワークの形状(特に、外径)が変わってもワーク供給機構の載置部を交換する必要がない自動車用ホイールリムの製造装置を提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る自動車用ホイールリムの製造装置の実施形態(以下、「本装置」と呼ぶ)について図面を参照しながら説明する。なお、図面では、軸線方向(水平方向)がx軸方向に、軸線方向と直交する水平方向がy軸方向に、上下方向がz軸方向に、それぞれ対応している。
【0022】
(構成)
図1及び
図2に示すように、本実施形態は、金属製のフレーム10を備える。フレーム10の外郭は、床面(載置面、水平面)上に載置されると共に水平方向に延在する下部フレーム11と、下部フレーム11と一体に設けられると共に上下方向に延在する側部フレーム12と、側部フレーム12と一体に設けられると共に水平方向に延在する上部フレーム13と、により構成される。
【0023】
図1に示すように、軸線方向(x軸方向)の両端部に位置する1対の側部フレーム12における上下方向の中間部付近には、フレーム10の内部に向けて片持ち状に水平方向に延在する1対の中間フレーム14が一体に設けられている。1対の中間フレーム14の先端面同士は、フレーム10の軸線方向(x軸方向)の中央部にて、所定距離だけ「隙間」を空けて軸線方向(x軸方向)に対向している。
【0024】
図1に示すように、各中間フレーム14の上面には、モータ21を軸線方向(x軸方向)に相対移動可能に支持する調整機構23がそれぞれ設けられている。各モータ21のモータ軸22は、フレーム10の中央に向けて軸線方向に同軸的にそれぞれ延在している。各調整機構23は、図示しないモータ等の駆動トルクを利用して、制御装置(マイクロコンピュータ)100からの指令に基づき、対応するモータ21の軸線方向の位置を、「第1位置」(
図1にて実線で示す位置)と「第2位置」(
図1にて二点鎖線で示す位置)との間でそれぞれ調整可能となっている。
【0025】
図1に示すように、各モータ21のモータ軸22には、ボトムロールBを構成する2つの分割ロールB1,B2のうち対応する分割ロールが一体回転するようにそれぞれ取り付けられている。1対のモータ21が共に「第2位置」にあるとき、2つの分割ロールB1,B2が軸線方向において離間した「離間状態」となっている。一方、この「離間状態」から、1対の調整機構23を利用して、1対のモータ21を軸線方向において互いに近づけて共に「第1位置」に移動すると、2つの分割ロールB1,B2が一体的に結合してボトムロールBが形成される「結合状態」となる。ボトムロールBは、リムワークWのロール成形に用いる円柱状の金属部材であり、リムワークWのリムワーク内周側に配置される。リムワークWは、ホイールリムの成形に使用される円筒状の金属部材であり、典型的には、環状に丸めた金属板片の端面同士を溶接等することによって形成される。
【0026】
1対のモータ21は、制御装置(マイクロコンピュータ)100からの指令に基づき、ボトムロールBの回転速度を制御する。各モータ21は、モータ軸22の回転角を検出するエンコーダを搭載したサーボ機構式の電動モータ(サーボモータ)であってもよい。この場合、エンコーダの検出結果が制御装置100に供給され、制御装置100からの指令に基づき、1対のモータ21が駆動制御される。ここで、1対のモータ軸22が本発明の「ボトムロール取付軸」に相当し、1対のモータ21が本発明の「ボトムロール駆動機構」に相当し、1対の調整機構23(図示しないモータ等を含む)が本発明の「第5調整機構」に相当する。
【0027】
図1に示すように、上部フレーム13の下方には、可動フレーム15が配置されている。可動フレーム15の上面には、柱状部15aが上方に向けて一体に立設されている。柱状部15aが、上部フレーム13の下面の突出部に設けられた下方に向けて開口する有底穴部13aに挿入されることによって、可動フレーム15が、上部フレーム13に対して、上下方向(z軸方向)に相対移動可能、且つ、z軸周りに相対回転不能に支持されている。
【0028】
上部フレーム13の上面には、サーボモータ31が固定されている。サーボモータ31のモータ軸32は、下方に向けて、上部フレーム13を貫通して有底穴部13aの内部まで延在している。モータ軸32に一体で設けられた雄ねじ部が、柱状部15aの内部に形成された雌ねじ部と螺合している。これにより、サーボモータ31がモータ軸32を回転させることによって、可動フレーム15が上下方向(z軸方向)に移動するようになっている。
【0029】
サーボモータ31は、モータ軸32の回転角を検出するエンコーダを搭載したサーボ機構式の電動モータである。エンコーダの検出結果が制御装置100に供給され、制御装置100からの指令に基づいてサーボモータ31の回転角が制御されることによって、可動フレーム15の上下方向(z軸方向)の位置が調整されるようになっている。
【0030】
図1に示すように、可動フレーム15の下面には、モータ41が固定されている。モータ41のモータ軸42は軸線方向(x軸方向)に延在している。モータ軸42は、モータ軸22と略平行(又は、平行)に設けられている。モータ軸42には、トップロールTが一体回転するように取り付けられている。トップロールTは、リムワークWのロール成形に用いる円柱状の金属部材であり、リムワークWのリムワーク外周側に配置される。モータ41は、制御装置(マイクロコンピュータ)100からの指令に基づき、トップロールTの回転速度を制御する。上記モータ21と同様、モータ41は、モータ軸42の回転角を検出するエンコーダを搭載したサーボ機構式の電動モータ(サーボモータ)であってもよい。
【0031】
モータ軸42に取り付けられたトップロールTは、1対のモータ軸22に取り付けられたボトムロールBの上方に配置されている。従って、サーボモータ31の回転角を制御することにより、モータ軸42(トップロールT)と1対のモータ軸22(ボトムロールB)との上下方向(z軸方向)の間隔が調整され得るようになっている。ここで、モータ軸42が本発明の「トップロール取付軸」に相当し、モータ41が本発明の「トップロール駆動機構」に相当し、「サーボモータ31、モータ軸32の雄ねじ部、及び、柱状部15aの雌ねじ部」が本発明の「第1調整機構」に相当する。
【0032】
図2、及び、
図2の3−3−矢視図である
図3に示すように、可動フレーム15の水平方向(y軸方向)の両端部に形成された1対の傾斜部15bのそれぞれの下面には、基体51を軸線方向(x軸方向)に相対移動可能に支持する2本の平行なガイドレール15cが設けられている。
【0033】
図3に示すように、各傾斜部15bの下面には、サーボモータ54が固定されている。各サーボモータ54のモータ軸55は、軸線方向(x軸方向)に延在し、基体51を貫通している。各モータ軸55に一体で設けられた雄ねじ部が、基体51の内部に形成された雌ねじ部と螺合している。
【0034】
各サーボモータ54は、上述したサーボモータ31と同様、対応するモータ軸55の回転角を検出するエンコーダを搭載したサーボ機構式の電動モータである。従って、エンコーダの検出結果に基づく制御装置100からの指令に基づいて各サーボモータ54の回転角が制御されることによって、
図3(a)及び、
図3(b)に示すように、各基体51の軸線方向(x軸方向)の位置が調整されるようになっている。
【0035】
図2に示すように、各基体51の内部には、ボトムロールBの存在方向に向けて斜め下方に開口するシリンダ部51aが配置されている。各シリンダ部51aには、棒状の移動体52の一端部が挿入されており、移動体52が、基体51に対して、シリンダ部51aの軸線方向に相対移動可能、且つ、シリンダ部51aの軸線周りに相対回転不能に支持されている。
【0036】
各移動体52の他端部には、軸線方向(x軸方向)に延びる回転軸53が軸周りに回転可能にそれぞれ設けられている。回転軸53は、モータ軸22と略平行(又は、平行)に設けられている。各回転軸53には、ガイドロールGが一体回転するようにそれぞれ取り付けられている。これら1対のガイドロールGは、ボトムロールBにセットされたリムワークWを安定させるためにリムワーク外周側から押さえるための回転部材である。
【0037】
各基体51と対応する回転軸53(ガイドロールG)とは、一体で軸線方向(x軸方向)に移動する。従って、1対のサーボモータ54の回転角を制御することによって、
図3(a)及び、
図3(b)に示すように、1対の回転軸53(1対のガイドロールG)の軸線方向(x軸方向)の位置が調整され得るようになっている。
【0038】
また、各基体51のシリンダ部51aと対応する移動体52とによって、所謂「油圧シリンダ機構」がそれぞれ構成されている。制御装置100からの指令に基づき、各シリンダ部51a内の油圧を調整することによって、後述するように、各回転軸53(各ガイドロールG)が、「退避位置」と、ガイドロールGがリムワークWをリムワークの外周側から押さえる「押付位置」と、の間で直線的に移動可能となっている。「押付位置」は、「退避位置」に対して斜め下方に位置している。
【0039】
また、可動フレーム15に配置されている1対の基体51とモータ軸42とは、一体で上下方向(z軸方向)に移動する。従って、サーボモータ31の回転角を制御することによって、1対の基体51(従って、1対のガイドロールG)とモータ軸42(従って、トップロールT)とが、一体で上下方向(z軸方向)に移動するようになっている。ここで、1対の回転軸53が本発明の「ガイドロール取付軸」に相当し、1対の「基体51のシリンダ部51a、及び移動体52」が本発明の「押付機構」に相当する。
【0040】
図1及び
図2に示すように、下部フレーム11の上面には、可動台61を軸線方向(x軸方向)に相対移動可能に支持する2本の平行なガイドレール11aが設けられている。
図1に示すように、下部フレーム11の上面には、サーボモータ68が固定されている。サーボモータ68のモータ軸69は、軸線方向(x軸方向)に延在し、可動台61を貫通している。モータ軸69に一体で設けられた雄ねじ部が、可動台61の内部に形成された雌ねじ部と螺合している。
【0041】
サーボモータ68は、上述したサーボモータ31と同様、モータ軸69の回転角を検出するエンコーダを搭載したサーボ機構式の電動モータである。従って、エンコーダの検出結果に基づく制御装置100からの指令に基づいてサーボモータ68の回転角が制御されることによって、
図4に示す「作動位置」から、
図5に示す「原位置」まで、可動台61の軸線方向(x軸方向)の位置が調整されるようになっている。
【0042】
図1及び
図2に示すように、可動台61の上方には、基体62が配置されている。可動台61の上面に立設された複数本の柱状部が基体62の下面に設けられた下方に向けて開口する対応する有底穴部にそれぞれ挿入されることによって、基体62が、可動台61に対して、上下方向(z軸方向)に相対移動可能、且つ、z軸周りに相対回転不能に支持されている。
【0043】
可動台61の上部には、サーボモータ66が埋設・固定されている。サーボモータ66のモータ軸67は、上方に向けて、基体62の内部まで延在している。モータ軸67に一体で設けられた雄ねじ部が、基体62の内部に形成された雌ねじ部と螺合している。
【0044】
サーボモータ66は、上述したサーボモータ31と同様、モータ軸67の回転角を検出するエンコーダを搭載したサーボ機構式の電動モータである。従って、エンコーダの検出結果に基づく制御装置100からの指令に基づいてサーボモータ66の回転角が制御されることによって、
図6及び
図7に示すように、基体62の上下方向(z軸方向)の位置が調整されるようになっている。
【0045】
基体62の傾斜した上面には、ボトムロールBの存在方向に向けて斜め上方に開口するシリンダ部63が一体に配置されている。シリンダ部63には、棒状の移動体64の一端部が挿入されており、移動体64が、シリンダ部63(従って、基体62)に対して、シリンダ部63の軸線方向に相対移動可能、且つ、シリンダ部63の軸線周りに相対回転不能に支持されている。移動体64の他端部には、リムワークWを載置するための載置部65が一体に設けられている。
【0046】
基体62と載置部65とは、一体で軸線方向(x軸方向)に移動する。従って、サーボモータ68の回転角を制御することによって、
図4に示す「作動位置」から、
図5に示す「原位置」まで、載置部65の軸線方向(x軸方向)の位置が調整されるようになっている。
図4に示す「作動位置」では、軸線方向(x軸方向)において、基体62(載置部65)が、1対の中間フレーム14の先端面同士間の上述した「隙間」の存在範囲内に位置している。
図5に示す「原位置」では、軸線方向(x軸方向)において、基体62(載置部65)が、上記「結合状態」にある1対のモータ軸22の存在範囲外に位置している。また、
図5に示す「原位置」では、軸線方向(x軸方向)において、基体62(載置部65)が、モータ軸42の存在範囲外に位置している。
【0047】
加えて、基体62と載置部65とは、一体で上下方向(z軸方向)に移動する。従って、サーボモータ66の回転角を制御することによって、
図6及び
図7に示すように、載置部65の上下方向(z軸方向)の位置が調整されるようになっている。
【0048】
また、シリンダ部63と移動体64とによって、所謂「エアシリンダ機構」が構成されている。制御装置100からの指令に基づき、シリンダ部63内の空気圧を調整することによって、後述するように、載置部65が、「退避位置」と、ボトムロールBにリムワークWをセットするための「セット位置」と、の間で直線的に移動可能となっている。「セット位置」は、「退避位置」に対して斜め上方に位置している。
【0049】
ここで、「可動台61、基体62、シリンダ部63、移動体64、載置部65、サーボモータ66、モータ軸67、サーボモータ68、及び、モータ軸69」が本発明の「ワーク供給機構」に相当し、「基体62、及びシリンダ部63」が本発明の「基体」に相当し、移動体64が本発明の「移動体」に相当し、載置部65が本発明の「載置部」に相当し、「シリンダ部63、及び移動体64」が本発明の「第2調整機構」に相当し、「サーボモータ66、モータ軸67の雄ねじ部、及び、基体62の雌ねじ部」が本発明の「第3調整機構」に相当し、「サーボモータ68、モータ軸69の雄ねじ部、及び、可動台61の雌ねじ部」が本発明の「第4調整機構」に相当する。
【0050】
(ロール成形)
次に、本装置を利用してリムワークWをロール成形する際の手順について、
図8〜
図21を参照しながら簡単に説明する。本装置は、公知のフレア加工が事前に施されたリムワークWに対してロール成形を行って、所望の自動車用ホイールリムを製造する装置である。
【0051】
先ず、リムワークWに対するロール成形を行うにあたり、サーボモータ66の回転角を制御して、「セット位置」(後述する
図11及び
図12を参照)にある載置部65に載置されたリムワークWの中心軸心の上下方向の位置が、1対のモータ軸22(ボトムロールB)に対して最適位置となるように、基体62(従って、載置部65)の上下方向(z軸方向)の位置を事前に調整しておく。サーボモータ68の回転角を制御して、基体62(従って、載置部65)の軸線方向(x軸方向)の位置を「作動位置」(後述する
図10を参照)に事前に調整しておく。
【0052】
上記「エアシリンダ機構」を制御して、載置部65を「退避位置」(後述する
図8を参照)に維持しておく。また、上記1対の「油圧シリンダ機構」を制御して、1対のガイドロールGを「退避位置」(後述する
図8を参照)に維持しておく。
【0053】
1対の調整機構23を利用して、1対のモータ21の軸線方向(x軸方向)の位置を共に「第2位置」(後述する
図10を参照)に維持しておく。更に、1対のモータ21、及び、モータ41を制御して、2つの分割ロールB1,B2の回転速度が一致するように、且つ、2つの分割ロールB1,B2の周速がトップロールTの周速と一致するように、且つ、2つの分割ロールB1,B2の回転方向とトップロールTの回転方向とが逆になるように、1対のモータ軸22、及び、モータ軸42の回転速度を一定に制御しておく。
【0054】
この状態にて、
図8に示すように、リムワークWを、側部フレーム12に固定された投入シューター16に投入する。これにより、リムワークWが、「退避位置」にある載置部65に向けて投入シューター16上を転がり、
図9及び
図10に示すように、リムワークWが載置部65に載置される。
【0055】
次に、
図11及び
図12に示すように、上記「エアシリンダ機構」を制御して、載置部65を、「退避位置」から「セット位置」に移動する。これにより、リムワークWが、離間して回転している2つの分割ロールB1,B2の間の空間に配置される。
【0056】
続いて、
図13に示すように、1対の調整機構23を利用して、1対のモータ21の軸線方向(x軸方向)の位置を共に「第1位置」に移動する。これにより、2つの分割ロールB1,B2が一体的に結合してボトムロールBが形成されると共に、ボトムロールBが、リムワークWのリムワーク内周側に配置される。次いで、
図14及び
図15に示すように、上記「エアシリンダ機構」を制御して、載置部65を、「セット位置」から「退避位置」に戻す。
【0057】
次に、
図16に示すように、サーボモータ31の回転角を制御して、トップロールTを下降してボトムロールBに近づける。このとき、1対のガイドロールGも一体で下降する。なお、この段階では、トップロールT、及び、1対のガイドロールGはリムワークWに接触していない。
【0058】
次いで、
図17に示すように、上記1対の「油圧シリンダ機構」を制御して、1対のガイドロールGを、「退避位置」から「押付位置」に移動する。これにより、1対のガイドロールGがリムワークWに接触してリムワークWをリムワークの外周側から押圧する。この押圧力は、上記「油圧シリンダ機構」内の油圧に応じた大きさとなる。なお、この段階では、トップロールTはリムワークWに接触していない。
【0059】
次に、
図18及び
図19に示すように、サーボモータ31の回転角を制御して、トップロールTを更に下降してボトムロールBに接触させる。なお、このとき、1対のガイドロールGはリムワークWをなおも押圧し続けている。これにより、回転するトップロールTとボトムロールBとでリムワークWを挟み込みながらリムワークWが回転する状態が得られる。1対のガイドロールGがリムワークWを押圧しているので、リムワークWは安定して回転し続けることができる。
【0060】
この状態で、サーボモータ31の回転角を制御して、トップロールTとボトムロールBとの間隔を徐々に小さく(従って、リムワークWを挟み込む押圧力を徐々に大きく)なるように調整する。これにより、リムワークWは、その外周面がトップロールTの外周面の形状に倣い、且つ、その内周面がボトムロールBの外周面の形状に倣うように、圧延(ロール成形)される。この結果、所望の形状に整えられたホイールリムが得られる。
【0061】
このようにしてホイールリムが得られた後、
図20に示すように、サーボモータ31の回転角を制御して、トップロールTを上昇させてボトムロールBから離間させると共に、上記1対の「油圧シリンダ機構」を制御して、1対のガイドロールGを「退避位置」に戻して1対のガイドロールGをボトムロールBから離間する。
【0062】
そして、1対の調整機構23を利用して、1対のモータ21の軸線方向(x軸方向)の位置を共に「第1位置」から「第2位置」に戻す。これにより、2つの分割ロールB1,B2が離間する。この結果、
図21に示すように、リムワークWが落下して、側部フレーム12に固定された排出シューター17上を転がり、フレーム10の外部へ排出される。
【0063】
(作用・効果)
以上、本実施形態によれば、サーボモータ66の回転角を制御して基体62の上下方向(z軸方向)の位置を調整することによって、ボトムロールBに対する「セット位置にある載置部65」の上下方向位置が調整され得る。従って、外径が異なるリムワークが「セット位置にある載置部65」に載置される場合、リムワークの中心軸心の上下方向の位置が変化しないように、サーボモータ66の回転角を制御することによって、載置部65の上下方向位置が調整され得る。この結果、ロール成形に供されるリムワークの形状(特に、外径)が変わっても、載置部65を交換する必要がない。
【0064】
また、本実施形態によれば、上記「エアシリンダ機構」を制御することによって、載置部65が、「退避位置」から、退避位置に対して斜め上方に位置する「セット位置」に向けて直線的に移動する。例えば、載置部が、「退避位置」から「セット位置」まで水平方向に直線的に移動する構成が採用される場合、載置部に載置されたリムワークが載置部から落下し易い。加えて、載置部の移動中において、載置部に載置されたリムワークがガイドロールと干渉し易い。
【0065】
これに対し、上記構成によれば、載置部65が、「退避位置」から「セット位置」まで斜め上方に直線的に移動する。従って、載置部65の移動中において、載置部65に載置されたリムワークWには、リムワークWを載置部に押し付ける方向の力(下向きの力)の成分を含む慣性力が作用し得る。この結果、載置部65が、「退避位置」から「セット位置」まで水平方向に直線的に移動する場合と比べて、載置部65に載置されたリムワークWが載置部65から落下し難くなる。更には、載置部65が、「退避位置」から「セット位置」まで斜め上方に直線的に移動するので、載置部65に載置されたリムワークWがガイドロールGと干渉し難くなる。
【0066】
また、上記実施形態によれば、サーボモータ68の回転角を制御することによって、基体62(載置部65)の軸線方向(x軸方向)の位置が、「作動位置」と「原位置」との範囲内で調整され得る。ここで、「原位置」(
図5を参照)では、軸線方向(x軸方向)において、基体62(載置部65)が、上記「結合状態」にある1対のモータ軸22の存在範囲外に位置している。従って、例えば、ボトムロールB及びトップロールTの交換の際、基体62(載置部65)を「原位置」に移動させることによって、交換作業が行い易くなる。
【0067】
本発明は、上記の典型的な実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0068】
上記実施形態では、サーボモータ31、1対のサーボモータ54、サーボモータ66、及び、サーボモータ68として、対応するモータ軸の回転角を検出するエンコーダを搭載したサーボ機構式の電動モータが使用されているが、これらのモータとして、サーボ機構式の電動モータ以外の電動モータが使用されてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、ボトムロールBとして2つの分割ロールB1,B2が一体的に結合して形成されるボトムロールが使用されているが、ボトムロールとして、非分割の1つのボトムロールが使用されてもよい。この場合、1対のモータ21、及び1対の調整機構23のうち片方のモータ21、及び片方の調整機構23が不要となる。
【0070】
また、上記実施形態では、ボトムロールBのみが上下方向(z軸方向)に移動することによってボトムロールBとトップロールTとの間隔が調整されているが、トップロールTのみ、又は、ボトムロールB及びトップロールTの双方が上下方向(z軸方向)に移動することによってボトムロールBとトップロールTとの間隔が調整されてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、載置部65が、「退避位置」から「セット位置」まで斜め上方に直線的に移動するように構成されているが、載置部65が、「退避位置」から「セット位置」まで水平方向に直線的に移動するように構成されていてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、1対のガイドロールG(及び、これらに関係する各種部材)が設けられているが、1対のガイドロールG(及び、これらに関係する各種部材)が省略されていてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、サーボモータ68の回転角を制御することによって、基体62(載置部65)の軸線方向(x軸方向)の位置が調整可能となっているが、基体62(載置部65)の軸線方向(x軸方向)の位置が調整不能であってもよい。加えて、上記実施形態では、サーボモータ54の回転角を制御することによって、1対のガイドロールGの軸線方向(x軸方向)の位置が調整可能となっているが、1対のガイドロールGの軸線方向(x軸方向)の位置が調整不能であってもよい。