特許第6687451号(P6687451)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6687451選択的触媒還元における尿素注入制御システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6687451
(24)【登録日】2020年4月6日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】選択的触媒還元における尿素注入制御システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20200413BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   F01N3/08 HZAB
   F01N3/08 G
   B01D53/94 222
   B01D53/94 400
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-77703(P2016-77703)
(22)【出願日】2016年4月8日
(65)【公開番号】特開2016-200146(P2016-200146A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2019年2月27日
(31)【優先権主張番号】14/686,350
(32)【優先日】2015年4月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319005659
【氏名又は名称】エーアイ アルパイン ユーエス ビドゥコ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】マルティ・ナラシンガ・ラオ・デヴァラコンダ
【審査官】 村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−226504(JP,A)
【文献】 特開2010−112345(JP,A)
【文献】 米国特許第06833272(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00−3/38
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口(52)と出口(41)を有し、燃焼機関(12)からの流体(40)を受け入れる選択的触媒還元(SCR)触媒アセンブリ(34)と、前記SCR触媒の内部に配置され、前記SCR触媒のアンモニア(NH)貯蔵量を測定する少なくとも1本の高周波(RF)プローブ(36)と、前記SCR触媒の入口(52)の上流の流体にNHまたは尿素を注入する注入システム(38)とを備え、前記燃焼機関(12)からの排出物を処理する排ガス後処理システム(10)と、
前記排ガス後処理システム(10)に流体連通可能に接続され、前記排ガス後処理システム(10)の動作の制御、前記SCR触媒の上流(40)の流体中の窒素酸化物(NO)の測定濃度(58)またはNHの測定濃度(60)を表す信号の受信、および前記SCR触媒の下流の流体中のNOの測定濃度またはNHの測定濃度を表す信号の受信、またはそれらの任意の組み合わせを実行するとともに、前記少なくとも1本のRFプローブ(36)からのNH貯蔵量測定値(70)を表す信号を受け取る制御装置(28)と、
少なくとも前記SCR触媒の上流(40)の流体中のNOの測定濃度またはNHの測定濃度を表す信号、前記SCR触媒の下流の流体中のNOの測定濃度またはNHの測定濃度を表す信号、またはそれらの任意の組み合わせに基づいてNH貯蔵量推定値(68)を求めるNH貯蔵量推定モデル(56)を備え、
前記制御装置(28)が、少なくとも推定された前記NH貯蔵量推定値(68)と前記NH貯蔵量測定値(70)の両方を利用して前記注入システム(38)の制御動作(54)を出力する、システム。
【請求項2】
前記SCR触媒の入口(52)の上流に配置されて前記入口(52)の上流(40)の流体中のNO濃度(58)を測定するか、または前記SCR触媒の出口(41)の下流に配置されて前記出口(41)の下流の流体中のNO濃度を測定する第1のNOセンサ(22)を備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記SCR触媒の入口(52)の上流に配置されて前記入口(52)の上流(40)の流体中のNH濃度(60)を測定するか、または前記SCR触媒の出口(41)の下流に配置されて前記出口(41)の下流の流体中のNH濃度を測定する第1のNHセンサ(20)を備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記燃焼機関(12)の動作パラメータを測定する1つ以上のセンサ(15)を備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御装置(28)は、前記燃焼機関(12)の動作パラメータを受け取り、前記NH貯蔵量推定モデル(56)を利用して前記動作パラメータに少なくとも部分的に基づいて前記NH貯蔵量推定値(68)を求める、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
御動作(54)には、前記SCR触媒の入口(52)の上流(40)の流体に注入されるNHまたは尿素の量を調整することが含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御装置(28)は、前記SCR触媒の上流(40)の流体中のNOの測定濃度(58)およびNHの測定濃度(60)を表す信号を受け取る、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記燃焼機関(12)が前記排ガス後処理システム(10)に接続されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御装置(28)は、前記NH貯蔵量推定値(68)と前記NH貯蔵量測定値(70)との間のNH貯蔵量誤差値(72)を求め、該NH貯蔵量誤差値(72)に基づいて前記制御動作(54)を出力する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
燃焼機関(12)に接続された選択的触媒還元(SCR)触媒アセンブリ(34)の入口(52)の上流(40)の流体への尿素またはアンモニア(NH)注入を制御する方法であって、
制御装置(28)を利用して前記SCR触媒アセンブリ(34)の上流および/または下流の窒素酸化物(NO)の測定濃度(58)および/またはNHの測定濃度(60)を表す信号を受け取る工程と、
前記制御装置(28)を利用して前記SCR触媒内に配置された少なくとも1本の高周波(RF)プローブ(36)から前記SCR触媒アセンブリ(34)のNH貯蔵量測定値(70)を表す信号を受け取る工程と、
NH貯蔵量推定モデル(56)を利用して少なくとも前記SCR触媒の上流(40)または下流の流体中のNOの測定濃度(58)を表す信号および/または前記SCR触媒の上流(40)または下流の流体中のNHの測定濃度(60)を表す信号に基づいてNH貯蔵量推定値(68)を求める工程と、
前記NH貯蔵量推定値(68)および前記NH貯蔵量測定値(70)に少なくとも部分的に基づいて注入システム(38)の制御動作(54)を出力し、前記注入システム(38)が前記SCR触媒アセンブリ(34)の入口(52)の上流(40)の流体に対してある量のNHまたは尿素を注入する工程と
を含む、方法。
【請求項11】
前記制御装置(28)を利用して、前記NH貯蔵量推定値(68)と前記NH貯蔵量測定値(70)との間のNH貯蔵量誤差値(72)を求め、該NH貯蔵量誤差値(72)に基づいて前記制御動作(54)を出力する工程を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記制御動作(54)には、NHまたは尿素の注入速度を調整して前記SCR触媒アセンブリ(34)から排出される所望のNO排出量を達成させるNHまたは尿素注入指令を生成することが含まれる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記制御動作(54)には、前記燃焼機関(12)の測定された動作パラメータを表す信号を受け取ることが含まれる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記制御動作(54)には、前記NH貯蔵量推定モデル(56)を利用して前記動作パラメータに少なくとも部分的に基づいて前記NH貯蔵量推定値(68)を求めることが含まれる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記動作パラメータには、前記燃焼機関(12)から排出される排ガスの流量および温度が含まれる、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関用排ガス後処理システムに関し、特に還元剤の注入制御に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン(例えば、往復機関、ガスタービン等の内燃機関)は、燃料と空気の混合物を燃焼させてエンジン部品に駆動力を付与する(例えば、ピストンを移動させる、タービンを駆動させる等)燃焼ガスを生成する。その後、燃焼ガスは排ガスとしてエンジンから排出され、排ガスが1つ以上の触媒コンバータ(例えば、選択的触媒還元(SCR)アセンブリ)を備えた排ガス処理(例えば、後処理)システムを経ることにより、窒素酸化物(NOx)および他の排出物質がより害の少ない副産物に変換されることでNOxの排出を低減させることができる。しかしながら、所望のNOx低減を実現するためには、還元剤量を正確に制御する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
以下に、当初の請求項に係る発明の範囲に応じた特定の実施形態を要約する。これらの実施形態は、請求項に係る発明の範囲を限定するものではなく、むしろ発明の考えられる形の簡単な要約を提供するに過ぎない。実際、本発明は以下に述べる実施形態と類似または相異する様々な形を含む場合がある。
【0004】
第1の実施形態によれば、システムは、燃焼機関からの排出物質を処理する排ガス後処理システムを備えている。排ガス後処理システムは、入口と出口を有し、燃焼機関からの流体を受け入れる選択的触媒還元(SCR)触媒アセンブリと、SCR触媒の内部に配置され、SCR触媒のアンモニア(NH3)貯蔵量を測定する少なくとも1本の高周波(RF)プローブとを備えている。さらに、排ガス後処理システムは、SCR触媒の入口の上流の流体にNH3または尿素を注入する注入システムを備えている。後処理システムは、排ガス後処理システムに流体連通可能に接続された制御装置をさらに備えており、この制御装置は、排ガス後処理システムの動作の制御、SCR触媒の上流または下流の流体中の窒素酸化物(NOx)の測定濃度を表す信号の受信、およびSCR触媒の上流または下流の流体中のNH3の測定濃度を表す信号の受信、またはそれらの任意の組み合わせを実行するように構成されている。さらに、制御装置は少なくとも1本のRFプローブからNH3貯蔵量測定値を表す信号を受け取るように構成されている。NH3貯蔵量推定モデルが、少なくともSCR触媒の上流または下流の流体中のNOxの測定濃度を表す信号、SCR触媒の上流または下流の流体中のNH3の測定濃度を表す信号、またはそれらの任意の組み合わせに基づいてNH3貯蔵量推定値を求めるように構成されている。制御装置は、少なくとも推定されたNH3貯蔵量推定値とNH3貯蔵量測定値の両方を利用して注入システムの制御動作を出力する。
【0005】
第2の実施形態によれば、燃焼機関からの排出物質を処理する排ガス後処理システムの制御装置は、選択的触媒還元(SCR)触媒アセンブリの上流の流体中のアンモニア(NH3)の測定濃度または窒素酸化物(NOx)の測定濃度を表す信号を受け取るように構成されている。制御装置は、SCR触媒の下流の流体中のNH3の測定濃度またはNOxの測定濃度を表す信号を受け取ってもよい。制御装置は、NH3貯蔵量推定モデルを利用してSCR触媒の上流または下流の流体中のNOxの測定濃度および/またはSCR触媒の上流または下流の流体中のNH3の測定濃度に基づいてSCR触媒のNH3貯蔵量推定値を求める。制御装置は、SCR触媒内に配置された少なくとも1本のRFプローブからSCR触媒のNH3貯蔵量測定値を表す信号を受け取る。さらに、制御装置は、少なくともNH3貯蔵量測定値とNH3貯蔵量推定値の両方に基づいて、注入システムによってSCR触媒アセンブリの入口の上流の流体に注入される尿素またはアンモニアの量を制御する。
【0006】
第3の実施形態によれば、選択的触媒還元(SCR)触媒アセンブリの入口の上流の流体への尿素またはアンモニア(NH3)注入を制御する方法は、制御装置を利用してSCR触媒アセンブリの上流および/または下流の窒素酸化物(NOx)および/またはNH3の測定濃度を表す信号を受け取る工程と、制御装置を利用してSCR触媒内に配置された少なくとも1本の高周波(RF)プローブからSCR触媒アセンブリのNH3貯蔵量測定値を表す信号を受け取る工程を含む。方法は、NH3貯蔵量推定モデルを利用して少なくともSCR触媒の上流および/または下流の流体中のNOxの測定濃度を表す信号および/またはSCR触媒の上流および/または下流の流体中のNH3の測定濃度を表す信号に基づいてNH3貯蔵量推定値を求める工程をさらに含む。方法は、NH3貯蔵量推定値およびNH3貯蔵量測定値に少なくとも部分的に基づいて注入システムの制御動作を出力し、注入システムがSCR触媒アセンブリの入口の上流の流体に対してある量のNH3または尿素を注入する工程をさらに含む。
【0007】
これらおよび他の本発明の特徴、態様および利点は、全体を通じて同じ要素を同じ符号で表す添付の図面に基づいて以下の詳細な説明を読むことでより深く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】エンジンに接続された排ガス処理(例えば、後処理)システムの実施形態の概略図である。
図2】制御装置(例えば、電子制御装置(ECU))の実施形態のブロック図である。
図3図1の排ガス処理システムを制御および/または監視する制御装置の機能的動作の概略図である。
図4】SCR触媒アセンブリの上流に注入されるNH3または尿素の量を制御するコンピュータ実施方法の実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の1つ以上の特定の実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するため、本明細書では実際の実施のすべての特徴を説明しないこともあり得る。あらゆる技術的プロジェクトにおいてそうであるように、そのような実際の実施の開発では、実施間で異なる場合があるシステム関連およびビジネス関連の制約の遵守等、開発者特有の目標を達成するために多数の実施特有の決定を行う必要があることは理解されるべきである。さらに、そのような開発努力は、複雑で時間のかかるものであるかもしれないが、にもかかわらず、本開示の利益を有する当業者にとって製作および製造の日常の仕事であることは理解されるべきである。
【0010】
本発明の様々な実施形態の要素を紹介する際に、冠詞「a」、「an」「the」および「said」は要素の1つ以上が存在することを意味するものである。「備える」、「含む」および「有する」という用語は包含的であって、列挙された要素以外にもさらに要素が存在し得ることを意味するものである。
【0011】
本開示は、エンジン排気からの排出物質を低減するために後処理システムを利用するシステムおよび方法を対象とする。特に、本開示の実施形態は、還元剤注入システムによってエンジン排気からの排出物質の低減を能動的に制御するように構成された触媒アセンブリ(例えば、選択的触媒還元(SCR))を利用する。還元剤注入システムは、SCR触媒アセンブリの上流の流体に注入される還元剤(例えば、尿素)の量を制御するために利用されてもよい。SCR触媒アセンブリの内部には、1つ以上の高周波(RF)センサが配置され、アンモニア(NH3)貯蔵量測定値が制御装置に出力されるようになっている。また、制御装置はNH3貯蔵量推定モデルも利用する。制御装置は、NH3貯蔵量推定モデルの入力として、エンジン上または排ガス内に配置されたセンサを通してエンジン入力に関する情報(排ガス温度、排ガス流量等)を受け取る。さらに、制御装置は、NH3貯蔵量推定モデルの入力として、以下に限定されないが、SCR触媒アセンブリの上流および/または下流に配置されたセンサ(例えば、NOxセンサ、NH3センサ等)を通してSCR触媒アセンブリの上流および/または下流の排出物質(例えば、NOx、NH3等)の濃度を含む情報も受け取る。受け取った情報に基づき、NH3貯蔵量推定モデルがSCR触媒のNH3貯蔵量推定値を推定する。制御装置は、NH3貯蔵量推定値およびNH3貯蔵量測定値を利用して誤差値またはシータ制御信号を算出する。シータ制御信号は、SCR触媒アセンブリの上流に注入される尿素/NH3の量を調整または維持する尿素/NH3注入指令を生成するために、NOxおよび/またはNH3の測定値とともに制御装置(例えば、尿素/NH3注入制御アルゴリズム)によって利用されてもよい。本開示のシステムおよび方法により、特にリーンバーンエンジン運転条件下で、NOxおよびNH3排出のより正確な監視および/または制御が可能になる。
【0012】
ここで図面を参照し、図1は、エンジン12に接続された排ガス処理(例えば、後処理)システム10の概略図を示す。以下に詳細に説明するように、本開示の排ガス処理システム10は排出物質の処理を監視および制御する。運転時、エンジン12は、エンジン12の部品(例えば、1つ以上のピストンまたはタービン)に駆動力を付与するために使用する燃焼ガスを生成する。燃焼ガスは、その後、様々な排出物質(例えば、NOx、炭化水素、一酸化炭素等)を含む排ガス13としてエンジン12から排出される。排ガス処理システム10は、これらの排出物質を処理してより害の少ない排出物質(窒素(N2)、二酸化炭素(CO2)、水等)を生成する。図示のように、排ガス処理システム10は、SCR触媒アセンブリ34等、触媒コンバータまたは触媒アセンブリを備えている。SCR触媒アセンブリ34を備えた実施形態では、エンジン12は、リーンバーンエンジンとして運転され、SCR触媒アセンブリ34によって還元または他の処理を必要とするNOx排出物質を生成してもよい。SCR触媒アセンブリ34は、その触媒活性によって、多数の反応を経てNOxを還元させる。例えば、NOxは、ガス還元剤(例えば、尿素)によって還元されてN2とCO2とH2Oを発生させたり、無水物またはアンモニア水によって還元されてN2とH2Oを発生させたりすることができる。無水物またはアンモニア水によっていくつかの二次反応が生じて、硫酸アンモニアと硫酸水素アンモニアを発生させることもできる。SCR触媒アセンブリ34は、エンジン12から排ガス13を受け入れる入口52と、SCR触媒出口42を経て後処理流体43を放出させる出口41を備えている。エンジン12とSCR触媒アセンブリ34との間には、流体導管50が配置されている。SCR触媒アセンブリ34が排ガス13を受け入れる準備のために、エンジン12とSCR触媒アセンブリ34との間に、他の装置(例えば、微粒子フィルター、スクラッバーまたは他の作業装置)があってもよい。具体的には、流体導管50は、排ガス13をSCR触媒アセンブリ34のSCR触媒入口52に導くようにエンジン12に接続されており、それにより両者間の流体連通を可能にしている。
【0013】
還元剤注入システム38は、SCR触媒アセンブリ34の上流40の流体への還元剤(例えば、尿素)注入量を制御するために利用されてもよい。エンジン12がより燃料リッチな条件下で運転している場合には、エンジン12がよりリーンな条件下で運転している場合よりも還元剤(例えば、尿素)注入量を多くすることができる。尿素の注入量を制御することにより、SCR触媒出口42でのNOx還元効率を向上させることができる。したがって、エンジン12が以前よりリッチな条件で運転すると、所望のNOx還元効率を実現するために、還元剤注入システム38が必要に応じて尿素を多めに注入することができる。同様に、エンジン12のNOx排出が以前より少なくなると、還元剤注入システム38による尿素注入を少なめにする。
【0014】
エンジン12は往復機関(例えば、2サイクルエンジン、4サイクルエンジン、6サイクルエンジン等のマルチサイクルエンジン)またはガスタービンエンジン等の内燃機関であってもよい。エンジン12は様々な種類の燃料(例えば、天然ガス、ディーゼル、合成ガス、ガソリン等)で運転してもよい。エンジン12はリーンバーンエンジンまたはリッチバーンエンジンとして運転してもよい。エンジン12は、エンジン12の運転を制御および監視するエンジン制御装置(例えば、制御装置)14に接続されている。エンジン制御装置14は処理回路(例えば、プロセッサ16)と記憶回路(例えば、メモリ18)を備えている。プロセッサ16はエンジン12の運転を行う命令を実行してもよい。エンジン出力における排ガス13は、様々な温度や流量で出力される様々な排出物質(例えば、NOx、炭化水素、NH3)を含む。センサ15は、エンジン12またはその下流に接続され、様々な排ガス13パラメータの温度および流量を測定するように構成されている。エンジン12の下流かつSCR触媒アセンブリ34の上流に様々なセンサ19が配置されてもよい。センサ19には、流体流れ13中のNH3とNOxの濃度をそれぞれ測定する1つ以上のSCR前置アンモニア(NH3)センサ20および/または1つ以上のSCR前置窒素酸化物(NOx)センサ22が含まれていてもよい。還元剤(例えば、NH3/尿素)注入制御装置28が、SCR前置NH3センサ24および/またはSCR前置NOxセンサ22から測定濃度を受け取ってもよい。還元剤注入制御装置28は、センサ23からSCR触媒アセンブリ34の下流のNH3および/またはNOxの測定濃度を受け取ってもよい。センサ23には、SCR触媒出口42から出る流体中のNH3とNOxの濃度をそれぞれ測定するSCR後置アンモニア(NH3)センサ24および/またはSCR後置窒素酸化物(NOx)センサ26が含まれていてもよい。還元剤注入制御装置28は処理回路(例えば、プロセッサ30)と記憶回路(例えば、メモリ32)を備えている。プロセッサ30がエンジン12の運転を行う命令を実行してもよい。還元剤注入制御装置28は注入システム38の制御動作54を実行するように構成されている。例えば、還元剤注入制御装置28は、注入システム38にSCR触媒アセンブリ34の入口52の上流40の流体に注入される還元剤(例えば、NH3または尿素)の量を維持または変更させてもよい。
【0015】
図2は制御装置21の一実施形態のブロック図である。上記のように、制御装置14は内燃系(エンジン)12の運転を全般的に制御し、制御装置28は還元剤注入システム38を制御する。実施形態によっては、一つの制御装置21で内燃系12の運転と還元剤注入システム38の両方を制御してもよい。制御装置21は、本明細書に開示の技術を実行するために機械可読媒体(例えば、メモリ25)に記憶された、プロセッサ(例えば、プロセッサ27)により使用される非一時的なコードまたは命令を含んでいる。メモリ25は、様々な表および/またはモデル(例えば、燃焼系12、注入システム38、並びに内燃系12および注入システム38の各部品の様々な態様を表現および/またはシミュレーションするソフトウェアモデル)を記憶してもよい。特定の実施形態では、メモリ25の全体または一部が制御装置21から取り外し可能である。制御装置21は、エンジン入力62等、センサおよびシステム10の他の部品(例えば、ユーザーインターフェイス)からの1個以上の入力信号(入力1・・・入力n)を受け取り、1個以上の出力信号(出力1・・・出力n)を出力する。様々な入力信号には、エンジン出力(例えば、温度、流量)、排出物質濃度(例えば、NH3濃度)、後処理システム10の他の動作状態等が含まれる。出力信号には、注入指令(例えば、制御動作54)に対する調整や、システムに対する他の調整が含まれる。制御装置21は1種類以上のモデル(例えば、プロセッサによって実行可能なソフトウェアベースのモデル)を利用してもよい。例えば、モデルとしては、回帰分析モデル等の統計モデルがある。回帰分析を用いて、一定の誤差範囲内で将来動向をモデル化できる機能を求めてもよい。連想技術を用いて変数間の関係を求めてもよい。また、モデルとともに利用されるデータとしては、過去のデータ、実験データ、知識ベースのデータ等がある。
【0016】
制御装置21は、注入される還元剤の許容量を設定する制御動作決定器を備えていてもよい。特定の実施形態では、制御装置21が比例・積分・微分(PID)制御装置を備えていてもよい。制御動作決定器はソフトウェアベースであっても、ハードウェアベースであっても、これらの組み合わせであってもよい。制御動作決定器は、後処理システム10の随所に配置されたセンサ19,23から受け取った1つ以上の運転パラメータおよび/またはSCR触媒アセンブリ34内部に配置された1本以上のRFプローブ36によって測定されたNH3貯蔵量測定値70等の他の入力に基づいて、SCR触媒アセンブリ34から排出される初期の、所望のNOx排出量を求めてもよい。特定の実施形態では、NH3貯蔵量推定器57が、制御装置21のメモリ25に記憶されているNH3貯蔵量推定モデル56(例えば、プロセッサによって実行可能なソフトウェアベースのモデル)を利用してNH3貯蔵量推定値68を求めてもよい。NH3貯蔵量推定モデル56が依拠する運転パラメータには、SCR触媒アセンブリ34の上流40および/または下流45のNH3および/または窒素酸化物の測定濃度、エンジン入力62、RFプローブ36で測定されたNH3貯蔵量測定値70等が含まれる。その後、制御装置21は、NH3貯蔵量推定値68、エンジン入力62およびNH3貯蔵量測定値70に少なくとも部分的に基づいて還元剤注入システム38に対する制御動作54を出力してもよい。特定の実施形態では、制御装置21が、NH3貯蔵量推定値68とNH3貯蔵量測定値70との間のNH3貯蔵量誤差値72を求め、NH3貯蔵量誤差値72に少なくとも部分的に基づいて制御動作54を出力してもよい。
【0017】
図3図1の排ガス処理システム10を制御および/または監視する制御装置の機能的動作の概略図である。選択的触媒還元(SCR)触媒アセンブリ34内のRFプローブ36によって測定されたNH3貯蔵量測定値70が、還元剤注入制御装置28において利用される。上記のように、還元剤注入システム38は、SCR触媒アセンブリ34の上流40の流体内に対してある量の還元剤(例えば、尿素またはアンモニア)を注入するように構成されている。還元剤の量は還元剤注入システム38によって制御され、制御動作54を出力するために還元剤注入制御装置28が利用される。例えば、還元剤注入制御装置28によって出力される制御動作54が、還元効率を向上させるように、SCR触媒アセンブリ34の上流40の流体に注入される還元剤(例えば、尿素またはアンモニア)の流量を増大させる要求である場合がある。還元剤注入制御装置28はアンモニア(NH3)貯蔵量推定モデル56においていくつかの変数を利用する。NH3貯蔵量推定器57はNH3貯蔵量推定モデル56を利用してNH3貯蔵量推定値68を求める。NH3貯蔵量推定モデル56において利用される変数には、SCR前置NOxセンサ22から受け取ったSCR前NOx濃度58、SCR前置NH3センサ24から受け取ったSCR前NH3濃度60、エンジン入力62(例えば、エンジン出口の排ガス流量および排ガス温度)、および/またはそれらの組み合わせ等が含まれる。実施形態によっては、NH3貯蔵量推定モデル56を利用して、SCR触媒アセンブリ34の上流および/または下流のNO濃度、NO2濃度および/またはNH3濃度が個別に推定されてもよい。NH3貯蔵量推定モデル56は、エンジン運転入力62に加えて、少なくともこれらの変数を利用する。エンジン入力62は様々なエンジンパラメータを表す。エンジン12は、エンジン(内燃系)12の随所に配置され、エンジンパラメータ(エンジン12で生成された排ガスの排出物質濃度、排出物質流量、排出物質温度等)を測定し、還元剤注入制御装置28にフィードバック(エンジンパラメータを表す信号等)を提供する複数のセンサ15を備えている。例えば、エンジン12の内部、隣接位置または近位(例えば、下流)およびSCR触媒アセンブリ34の上流に1つ以上のセンサ15が配置されてもよい。1つ以上のセンサ15は、処理(例えば、SCR触媒アセンブリ34による処理)の前にエンジン12で発生した排ガス13中のNH3、NOxまたは他の排出物質や化学種の濃度を測定してもよい。1つ以上のセンサ15からのフィードバックに少なくとも部分的に基づいて、還元剤注入制御装置28が、エンジン12がより燃料リッチの条件下で運転しているか否かを判定してもよい。エンジン12がより燃料リッチの条件下で運転すると、結果として一般により高排出となり、排出を低減させてより害の少ない排出物質にする必要がある。NH3貯蔵量推定モデル56は少なくともこれらの変数を利用してNH3貯蔵量推定値68を生成する。
【0018】
NH3貯蔵量推定値68は、制御動作54を生成するために還元剤注入制御装置28によって利用される。還元剤注入制御装置28は、NH3貯蔵量測定値70を利用して制御動作54を生成する。NH3貯蔵量測定値70は、SCR触媒アセンブリ34内に配置されたRFプローブ36を通して受け取られる。RFプローブ36は、SCR触媒アセンブリ34内に貯蔵されたNH3の量を求めるために電圧測定値を出力する。実施形態によっては、還元剤注入制御装置28は比例・積分・微分制御装置であってもよい。還元剤注入制御装置28は、NH3貯蔵量推定値68とNH3貯蔵量測定値70を利用してNH3貯蔵量推定値68とNH3貯蔵量測定値70との差である誤差値72(例えば、シータ制御信号)を算出する。実施形態によっては、貯蔵量誤差値72は、制御動作54を出力するために、NH3貯蔵量推定モデル56によって推定されたNO、NO2、および/またはNH3の濃度を利用してもよい。還元剤注入制御アルゴリズム76は、NH3貯蔵量誤差値72、SCR後NOx濃度64、およびSCR後NH3濃度66に基づいて制御動作54を出力するプロセスを調整することによって、誤差を最小限にしようとする。制御動作54は、還元剤量の増加または低減、還元剤温度の上昇または低下等の注入指令を含んでいてもよい。還元剤注入制御装置28は、補正動作の必要を示すユーザーが知覚可能な信号を送出してもよい。例えば、還元剤注入制御装置28のディスプレイまたは遠隔装置のディスプレイに文字形式の指標または視覚的指標が表示されてもよい。また、還元剤注入制御装置28または遠隔装置において、視覚的信号(例えば、LED等の発光デバイスによる信号)または聴覚的信号(例えば、スピーカーによる信号)が供給されてもよい。還元剤注入制御装置28は処理回路(例えば、プロセッサ30)と記憶回路(例えば、メモリ32)を備えている。プロセッサ30は、システムパラメータ(燃料運転条件(例えば、燃料リッチ条件)、排出量(例えば、NOx)等)を監視する命令や、SCR触媒アセンブリ34の入口52から流入する流体40の流量または温度を調節する(例えば、維持する)命令を実行してもよい。これらの命令は、メモリ32等の有形で非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体(例えば、光ディスク、固体素子、チップ、ファームウェア)に記憶されるプログラムまたはコードの形に符号化されてもよい。さらに、プロセッサ30はメモリ32に記憶された表または値にアクセスしてもよい。実施形態によっては、還元剤注入システム38がポンプまたは注入器によって能動的に駆動されてもよい。他の実施形態では、還元剤注入システム38が受動的な同伴によって引き起こされてもよい。
【0019】
図4はSCR触媒アセンブリ34の上流40に注入されるNH3または尿素の量を制御するコンピュータ実施方法90の実施形態のフローチャートである。この方法90の工程のすべてまたは一部が還元剤注入制御装置28によって(例えば、プロセッサ30を利用してメモリ32に記憶されたプログラムを実行し、データにアクセスすることによって)実行されてもよい。方法90はエンジンから実際の運転パラメータを受け取る工程(ブロック92)を含む。方法90は、SCR触媒アセンブリの上流および/または下流の流体中のNOx濃度を受け取る工程(ブロック94)および/またはSCR触媒アセンブリの上流および/または下流の流体中のNH3濃度を受け取る工程(ブロック96)を含んでもよい。方法90はNH3貯蔵量推定モデルを利用してNH3貯蔵量推定値を求める工程(ブロック98)をさらに含む。方法90はRFプローブを通してNH3貯蔵量測定値を受け取る工程(ブロック100)をさらに含んでもよい。方法90は、NH3貯蔵量推定値とNH3貯蔵量測定値との間の誤差値を求めて補正し、このNH3貯蔵量誤差値に基づいて制御動作を出力する工程と、SCR前NOx濃度とSCR後NOx濃度との間のNOx誤差値を求めて(ブロック102)このNOx誤差値に基づいて制御動作を出力する工程(ブロック104)をさらに含んでもよい。出力される動作には、還元剤流量の増加または低減、還元剤温度の上昇または低下等がある。目的のNOx低減が達成されれば、還元剤注入制御装置28は現在の還元剤注入指令を維持して現在の還元効率を継続させる。
【0020】
本開示の実施形態の技術的効果には、後処理システムを利用してエンジン排気からの排出物質を低減させるシステムおよび方法が含まれる。本開示の実施形態は、還元剤注入システムによって排ガスからの排出物質低減を能動的に制御するように構成された触媒アセンブリ(例えば、選択的触媒還元(SCR))を利用する。還元剤注入システムは、SCR触媒アセンブリの上流の流体に注入される還元剤(例えば、尿素またはNH3)の量を制御するために利用されてもよい。SCR触媒アセンブリの内部には、高周波(RF)センサが配置され、アンモニア(NH3)貯蔵量測定値が制御装置に出力されるようになっている。また、制御装置はNH3貯蔵量推定モデルも利用する。NH3貯蔵量推定モデルは、エンジン上または排ガス内に配置されたセンサを通してエンジン入力に関する情報(排ガス温度、排ガス流量等)を受け取る。さらに、NH3貯蔵量推定モデルは、以下に限定されないが、SCR触媒アセンブリの上流および/または下流に配置されたセンサ(例えば、NOxセンサ、NH3センサ等)を通してSCR触媒アセンブリの上流および/または下流の排出物質(例えば、NOx、NH3等)の濃度を含む情報も受け取る。受け取った情報に基づき、NH3貯蔵量推定モデルがSCR触媒のNH3貯蔵量推定値を推定する。制御装置は、NH3貯蔵量推定値およびNH3貯蔵量測定値を利用して誤差値またはシータ制御信号を算出し、算出した誤差値を利用してシータ制御信号を生成する。シータ制御信号は、SCR触媒アセンブリの上流に注入される尿素/NH3の量を制御(例えば、調整、維持)する尿素/NH3注入指令を生成するために、NOxおよび/またはNH3の測定値とともに制御装置(例えば、尿素/NH3注入制御アルゴリズム)によって利用されてもよい。本開示のシステムおよび方法により、特にリーンバーンエンジン運転条件下で、NOxおよびNH3排出のより正確な監視および/または制御が可能になる。
【0021】
本明細書は、最良の形態を含む例を用いることで、本発明を開示するとともに、当業者が装置またはシステムを製造および使用すること、組み込まれた方法を実行することを含む、本発明の実施ができるようにしている。本発明の特許可能な範囲は特許請求の範囲によって規定され、当業者が想起するその他の例も含み得る。そのような他の例は、特許請求の範囲の文字通りの言葉と相異しない構造的要素を有する限り、または特許請求の範囲の文字通りの言葉とわずかにしか相異しない同等の構造的要素を含む限り、特許請求の範囲に包含される。
[実施態様1]
入口(52)と出口(41)を有し、燃焼機関(12)からの流体(40)を受け入れる選択的触媒還元(SCR)触媒アセンブリ(34)と、前記SCR触媒の内部に配置され、前記SCR触媒のアンモニア(NH3)貯蔵量を測定する少なくとも1本の高周波(RF)プローブ(36)と、前記SCR触媒の入口(52)の上流の流体にNH3または尿素を注入する注入システム(38)とを備え、前記燃焼機関(12)からの排出物質を処理する排ガス後処理システム(10)と、
前記排ガス後処理システム(10)に流体連通可能に接続され、前記排ガス後処理システム(10)の動作の制御、前記SCR触媒の上流(40)の流体中の窒素酸化物(NOx)の測定濃度(60)またはNH3の測定濃度(58)を表す信号の受信、および前記SCR触媒の下流の流体中のNOxの測定濃度またはNH3の測定濃度を表す信号の受信、またはそれらの任意の組み合わせを実行するとともに、前記少なくとも1本のRFプローブ(36)からNH3貯蔵量測定値(70)を表す信号を受け取る制御装置(28)と、
少なくとも前記SCR触媒の上流(40)の流体中のNOxの測定濃度またはNH3の測定濃度を表す信号、前記SCR触媒の下流の流体中のNOxの測定濃度またはNH3の測定濃度を表す信号、またはそれらの任意の組み合わせに基づいてNH3貯蔵量推定値(68)を求めるNH3貯蔵量推定モデル(56)とを備え、
前記制御装置(28)が、少なくとも推定された前記NH3貯蔵量推定値(68)と前記NH3貯蔵量測定値(70)の両方を利用して前記注入システム(38)の制御動作(54)を出力する、システム。
[実施態様2]
前記SCR触媒の入口(52)の上流に配置されて前記入口(52)の上流(40)の流体中のNOx濃度(58)を測定するか、または前記SCR触媒の出口(41)の下流に配置されて前記出口(41)の下流の流体中のNOx濃度を測定する第1のNOxセンサ(22)を備えた、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様3]
前記SCR触媒の入口(52)の上流に配置されて前記入口(52)の上流(40)の流体中のNH3濃度(60)を測定するか、または前記SCR触媒の出口(41)の下流に配置されて前記出口(41)の下流の流体中のNH3濃度を測定する第1のNH3センサ(20)を備えた、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様4]
前記燃焼機関(12)の運転パラメータを測定する1つ以上のセンサ(15)を備えた、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様5]
前記制御装置(28)は、前記燃焼機関(12)の運転パラメータを受け取り、前記NH3貯蔵量推定モデル(56)を利用して前記運転パラメータに少なくとも部分的に基づいて前記NH3貯蔵量推定値(68)を求める、実施態様4に記載のシステム。
[実施態様6]
前記制御動作(54)には、前記SCR触媒の入口(52)の上流(40)の流体に注入されるNH3または尿素の量を調整することが含まれる、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様7]
前記制御装置(28)は、前記SCR触媒の上流(40)の流体中のNOxの測定濃度(58)およびNH3の測定濃度(60)を表す信号を受け取る、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様8]
前記燃焼機関(12)が前記排ガス後処理システム(10)に接続されている、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様9]
前記制御装置(28)は、前記NH3貯蔵量推定値(68)と前記NH3貯蔵量測定値(70)との間のNH3貯蔵量誤差値(72)を求め、該NH3貯蔵量誤差値(72)に基づいて前記制御動作(54)を出力する、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様10]
燃焼機関(12)からの排出物質を処理する排ガス後処理システム(10)の制御装置(28)を備えたシステムであって、
前記制御装置(28)は、選択的触媒還元(SCR)触媒アセンブリ(34)の上流(40)の流体中のアンモニア(NH3)の測定濃度(58)もしくは窒素酸化物(NOx)の測定濃度(60)を表す信号、前記SCR触媒の下流の流体中のNH3の測定濃度もしくはNOxの測定濃度を表す信号、またはそれらの任意の組み合わせを受け取り、NH3貯蔵量推定モデル(56)を利用して前記SCR触媒の上流または下流の流体中のNH3の測定濃度(58)および/またはSCR触媒の上流または下流の流体中のNOxの測定濃度(60)に基づいてSCR触媒のNH3貯蔵量推定値(68)を求め、前記SCR触媒内に配置された少なくとも1本の高周波(RF)プローブ(36)から前記SCR触媒のNH3貯蔵量測定値(70)を表す信号を受け取り、少なくとも前記NH3貯蔵量測定値(70)と前記NH3貯蔵量推定値(68)の両方に基づいて、注入システム(38)によって前記SCR触媒アセンブリ(34)の入口(52)の上流(40)の流体に注入される尿素またはアンモニアの量を制御する、システム。
[実施態様11]
前記制御装置(28)は、前記燃焼機関(12)の前記測定されたパラメータを表す信号を受け取る、実施態様10に記載のシステム。
[実施態様12]
前記制御装置(28)は、前記NH3貯蔵量推定モデル(56)を利用して前記測定された運転パラメータに少なくとも部分的に基づいてNH3貯蔵量推定値(68)を求める、実施態様11に記載のシステム。
[実施態様13]
前記制御装置(28)は比例・積分・微分制御装置である、実施態様10に記載のシステム。
[実施態様14]
前記制御装置(28)は、前記NH3貯蔵量推定値(68)と前記NH3貯蔵量測定値(70)との間のNH3貯蔵量誤差値(72)を求め、該NH3貯蔵量誤差値(72)に基づいて前記制御動作を出力する、実施態様10に記載のシステム。
[実施態様15]
燃焼機関(12)に接続された選択的触媒還元(SCR)触媒アセンブリ(34)の入口(52)の上流(40)の流体への尿素またはアンモニア(NH3)注入を制御する方法であって、
制御装置(28)を利用して前記SCR触媒アセンブリ(34)の上流および/または下流の窒素酸化物(NOx)の測定濃度(58)および/またはNH3の測定濃度(60)を表す信号を受け取る工程と、
前記制御装置(28)を利用して前記SCR触媒内に配置された少なくとも1本の高周波(RF)プローブ(36)から前記SCR触媒アセンブリ(34)のNH3貯蔵量測定値(70)を表す信号を受け取る工程と、
NH3貯蔵量推定モデル(56)を利用して少なくとも前記SCR触媒の上流(40)または下流の流体中のNOxの測定濃度(58)を表す信号および/または前記SCR触媒の上流(40)または下流の流体中のNH3の測定濃度(60)を表す信号に基づいてNH3貯蔵量推定値(68)を求める工程と、
前記NH3貯蔵量推定値(68)および前記NH3貯蔵量測定値(70)に少なくとも部分的に基づいて注入システム(38)の制御動作(54)を出力し、前記注入システム(38)が前記SCR触媒アセンブリ(34)の入口(52)の上流(40)の流体に対してある量のNH3または尿素を注入する工程と
を含む、方法。
[実施態様16]
前記制御装置(28)を利用して、前記NH3貯蔵量推定値(68)と前記NH3貯蔵量測定値(70)との間のNH3貯蔵量誤差値(72)を求め、該NH3貯蔵量誤差値(72)に基づいて前記制御動作(54)を出力する工程を含む、実施態様15に記載の方法。
[実施態様17]
前記制御動作(54)には、NH3または尿素の注入速度を調整して前記SCR触媒アセンブリ(34)から排出される所望のNOx排出量を達成させるNH3または尿素注入指令を生成することが含まれる、実施態様15に記載の方法。
[実施態様18]
前記制御動作(54)には、前記燃焼機関(12)の測定された運転パラメータを表す信号を受け取ることが含まれる、実施態様15に記載の方法。
[実施態様19]
前記制御動作(54)には、前記NH3貯蔵量推定モデル(56)を利用して前期運転パラメータに少なくとも部分的に基づいて前記NH3貯蔵量推定値(68)を求めることが含まれる、実施態様18に記載の方法。
[実施態様20]
前記運転パラメータには、前記燃焼機関(12)から排出される排ガスの流量および温度が含まれる、実施態様18に記載の方法。
【符号の説明】
【0022】
10 排ガス処理システム
12 エンジン、内燃系、燃焼系
13 排ガス
14 エンジン制御装置
15 センサ
16 プロセッサ
18 メモリ
19 センサ
20 SCR前置NH3センサ
21 制御装置
22 SCR前置NOxセンサ
23 センサ
24 SCR後置NH3センサ
25 メモリ
26 SCR後置NOxセンサ
27 プロセッサ
28 還元剤注入制御装置
30 プロセッサ
32 メモリ
34 SCR触媒アセンブリ
36 RFプローブ
38 還元剤注入システム
40 上流
41 出口
42 SCR触媒出口
43 後処理流体
45 下流
50 流体導管
52 SCR触媒入口
54 制御動作
56 NH3貯蔵量推定モデル
57 NH3貯蔵量推定器
58 SCR前NOx濃度
60 SCR前NH3濃度
62 エンジン入力
64 SCR後NOx濃度
66 SCR後NH3濃度
68 NH3貯蔵量推定値
70 NH3貯蔵量測定値
72 NH3貯蔵量誤差値
76 還元剤注入制御アルゴリズム
図1
図2
図3
図4