(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記端子の延びる方向および前記厚み方向の両方向と直交する幅方向における前記端子の寸法は、前記延びる方向における前記端子の寸法に対して、2倍以上8倍以下であることを特徴とする、請求項1に記載の回路付サスペンション基板。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1において、紙面厚み方向は、上下方向(第1方向、厚み方向)であり、紙面手前側が上側(第1方向一方側、厚み方向一方側)、紙面奥側が下側(第1方向他方側、厚み方向他方側)である。
【0032】
図1において、紙面上下方向は、先後方向(第1方向と直交する第2方向、厚み方向と直交する直交方向)であり、紙面上側が先側(第2方向一方側、直交方向一方側)、紙面下側が後側(第2方向他方側、直交方向他方側)である。
【0033】
図1において、紙面左右方向は、左右方向(第1方向および第2方向の両方向に直交する第3方向、厚み方向および直交方向の両方向と直交する幅方向)であり、紙面右側が右側(第3方向一方側、幅方向一方側)、紙面左側が左側(第3方向他方側、幅方向他方側)である。具体的には、方向は、各図に記載の方向矢印従う。
【0034】
1.回路付サスペンション基板
以下、
図1〜
図4Bを参照して、本発明の回路付サスペンション基板の一実施形態である回路付サスペンション基板1について説明する。
【0035】
図1に示すように、回路付サスペンション基板1は、先後方向に延びる略平帯状を有している。また、
図4Aに示すように、回路付サスペンション基板1は、積層構造を有しており、金属支持層の一例としての支持基板5と、ベース絶縁層6と、導体パターン7と、カバー絶縁層8とを、下側から上側に向かって順に備えている。なお、
図1では、便宜上、カバー絶縁層8を省略している。
【0036】
図2に示すように、支持基板5は、先後方向に延びている。支持基板5は、ステージ12と、2つのアウトリガー15と、外部接続部11とを備えている。
【0037】
ステージ12は、支持基板5の先端部分であって、平面視略H字形状を有している。詳しくは、ステージ12の先側部分および後側部分は、左右方向に延びる平面視略矩形状を有しており、先後方向に延びる略矩形状の中央部分により連結されている。
【0038】
また、ステージ12は、第1基準穴17を有している。第1基準穴17は、ステージ12の先後方向中央部分に形成されおり、支持基板5の左右方向中央に位置している。第1基準穴17は、平面視略円形状を有しており、ステージ12を上下方向に貫通している。
【0039】
2つのアウトリガー15は、後側に向かって開放される略コ字状を有している。各アウトリガー15は、ステージ12の後側部分の左右方向端部と外部接続部11の先端部とを連結している。
【0040】
これにより、支持基板5には、先側に向かって開放される凹形状の開口部10が形成されている。開口部10は、ステージ12の後側部分と、2つのアウトリガー15と、外部接続部11の先端部とにより区画されている。
【0041】
外部接続部11は、ロードビーム(図示せず)に支持される部分であって、ステージ12に対して後側に間隔を空けて配置されている。外部接続部11は、先後方向に延びる略平板形状を有している。
【0042】
また、外部接続部11は、第2基準穴18を有している。第2基準穴18は、外部接続部11の先端部分における左右方向中央に形成されており、支持基板5の左右方向中央に位置している。第2基準穴18は、平面視略円形状を有しており、外部接続部11を上下方向に貫通している。
【0043】
支持基板5は、例えば、ステンレス、42アロイ、アルミニウム、銅−ベリリウム、りん青銅などの金属材料から形成され、好ましくは、ステンレスから形成される。支持基板5の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、15μm以上、例えば、35μm以下、好ましくは、25μm以下である。
【0044】
図4Aに示すように、ベース絶縁層6は、支持基板5の上面(厚み方向一方側)に配置されており、
図1に示すように、導体パターン7に対応する所定のパターンとして設けられている。ベース絶縁層6は、第1ステージベース19と、第2ステージベース22と、第3ステージベース20と、2つのアウトリガベース23と、外部接続ベース24とを備えている。
【0045】
第1ステージベース19は、平面視略矩形状を有しており、ステージ12の先側部分の上面に配置されている。第1ステージベース19の後端縁は、ステージ12の先側部分の後端縁よりも後側に位置している。
【0046】
第2ステージベース22は、第1ステージベース19に対して後側に配置されている。第2ステージベース22は、平面視略T字状を有しており、帯状部14と、架橋部21とを備えている。
【0047】
帯状部14は、左右方向に延びる平帯状を有しており、第1ステージベース19に対して後側に間隔を空けて配置されている。帯状部14の左右両端部は、上側から見て開口部10内に位置している。
【0048】
架橋部21は、第1ステージベース19と帯状部14との間に配置されている。架橋部21は、第1ステージベース19の後端部における左右方向中央部分と、帯状部14の先端部における左右方向中央部分とを接続している。
【0049】
架橋部21の左右方向寸法は、ステージ12の中央部分の左右方向寸法よりも大きい。架橋部21の左右方向中央部分は、ステージ12の中央部分上に配置されている。架橋部21の左右方向両端縁のそれぞれは、ステージ12の中央部分の左右方向両端縁よりも左右方向外側に配置されている。つまり、架橋部21は、ステージ12の中央部分よりも左右方向外側に位置する外側部分21Aを2つ有している。
【0050】
第3ステージベース20は、第2ステージベース22の帯状部14に対して後側に間隔を空けて配置され、ステージ12の後側部分の上面に配置されている。第3ステージベース20は、左右方向に延びる平面視略矩形状を有している。第3ステージベース20の先端縁は、ステージ12の後側部分の先端縁よりも先側に位置している。また、第3ステージベース20の左右両端部は、各アウトリガー15上において、帯状部14に連続している。
【0051】
2つのアウトリガベース23は、上側から見て開口部10内に位置しており、帯状部14の左右方向両端部のそれぞれと、外部接続ベース24の先端部とを連結している。
【0052】
外部接続ベース24は、先後方向に延びる平面視矩形状を有しており、外部接続部11の上面に配置されている。
【0053】
ベース絶縁層6は、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂から形成され、好ましくは、ポリイミド樹脂から形成される。
【0054】
ベース絶縁層6の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上、例えば、25μm以下、好ましくは、15μm以下である。
【0055】
導体パターン7は、端子群26と、配線27とを備えている。
【0056】
端子群26は、磁気ヘッド端子28と、外部接続端子29と、端子の一例としての第1端子30および第2端子31と、電源端子32とを含んでいる。
【0057】
磁気ヘッド端子28は、スライダ9の端子(図示せず)と接続するための端子である。磁気ヘッド端子28は、第1ステージベース19上において、左右方向に互いに間隔を空けて複数(4つ)整列配置されている。
【0058】
外部接続端子29は、複数の磁気ヘッド端子28に対応しており、磁気ヘッド端子28と同数設けられる。外部接続端子29は、外部接続ベース24の後端部において、左右方向に互いに間隔を空けて複数(4つ)整列配置されている。
【0059】
第1端子30および第2端子31は、圧電素子3(後述)の第1素子端子40および第2素子端子41(後述、
図4A参照)と接続するための端子である。第1端子30および第2端子31は、回路付サスペンション基板1に実装される圧電素子3の個数と同数設けられる。そのため、回路付サスペンション基板1がn個の圧電素子3を実装する場合、第1端子30および第2端子31は、n対設けられる。
【0060】
なお、本実施形態では、回路付サスペンション基板1が2つの圧電素子3を実装するため、第1端子30および第2端子31は、2対設けられる。2対の第1端子30および第2端子31は、第1ステージベース19と第3ステージベース20との間において、左右方向に互いに間隔を空けて配置されている。
【0061】
第1端子30および第2端子31は、先後方向に互いに間隔を空けて配置されている。第1端子30と第2端子31との前後方向の間には、第2ステージベース22の帯状部14が配置されている。
【0062】
図3および
図4Aに示すように、第1端子30は、左右方向に延びる平面視略矩形状を有している。第1端子30は、第1ステージベース19の後端縁に対して後側に隣接しており、帯状部14に対して先側に間隔を空けて配置されている。つまり、第1端子30は、先後方向において第1ステージベース19と隣接している。
【0063】
また、
図4Bに示すように、第1端子30は、架橋部21の外側部分21Aに対して、左右方向外側に僅かに間隔を空けて配置されている。
【0064】
また、
図4Aに示すように、第1端子30は、第1ステージベース19から離れるように、先後方向に沿って後側に延びている。また、第1端子30の後端部および左右両端部は、遊端部であって、導体パターン7の他の部分と接続されていない。
【0065】
これにより、
図4Aおよび
図4Bに示すように、第1端子30の周端面30Aは、第1ステージベース19と隣接する先端面30Bと、ベース絶縁層6に隣接されていない後端面30C、右端面30Dおよび左端面30Eとを備えている。
【0066】
第1端子30の周端面30Aのうち、ベース絶縁層6に隣接されていない部分の面積(具体的には、後端面30C、右端面30Dおよび左端面30Eの面積の総和)は、周端面30A全体の面積(具体的には、先端面30B、後端面30C、右端面30Dおよび左端面30Eの面積の総和)に対して、例えば、40%以上、好ましくは、45%以上、例えば、90%以下、好ましくは、85%以下である。
【0067】
また、第1端子30は、下側(厚み方向の他方側)から見て、支持基板5およびベース絶縁層6から露出されている。
【0068】
第1端子30の先後方向の寸法は、例えば、30μm以上、好ましくは、50μm以上、例えば、100μm以下、好ましくは、90μm以下、さらに好ましくは、80μm以下である。
【0069】
第1端子30の左右方向の寸法は、例えば、120μm以上、好ましくは、210μm以上、例えば、250μm以下、好ましくは、230μm以下である。
【0070】
第1端子30の左右方向の寸法は、第1端子30の先後方向の寸法に対して、例えば、1.2倍以上、好ましくは、1.5倍以上、さらに好ましくは、2倍以上、例えば、10倍以下、好ましくは、8倍以下、さらに好ましくは、4倍以下である。
【0071】
第1端子30の面積は、例えば、0.001mm
2以上、好ましくは、0.01mm
2以上、例えば、0.025mm
2以下、好ましくは、0.020mm
2以下である。
【0072】
図1に示すように、第2端子31は、左右方向に延びる平面視略矩形状を有している。第2端子31は、第2端子31の左右方向中央部分が、第1端子30の左右方向中央部分を通り、先後方向に沿う仮想線上に位置するように配置されている。
【0073】
また、
図4Aに示すように、第2端子31は、第3ステージベース20の先端縁に対して先側に隣接しており、帯状部14に対して後側に間隔を空けて配置されている。つまり、第2端子31は、先後方向において第3ステージベース20と隣接している。
【0074】
また、第2端子31は、第3ステージベース20から離れるように、先後方向に沿って先側に延びている。また、第2端子31の先端部および左右両端部は、遊端部であって、導体パターン7の他の部分と接続されていない。
【0075】
これにより、第2端子31の周端面31Aは、第3ステージベース20と隣接する後端面31Cと、ベース絶縁層6に隣接されていない先端面31B、右端面(図示せず)および左端面(図示せず)とを備えている。第2端子31の周端面31Aのうちベース絶縁層6に隣接されていない部分の面積の範囲は、上記の第1端子30の周端面30Aのうちベース絶縁層6に隣接されていない部分の面積の範囲と同じである。
【0076】
また、第2端子31は、下側(厚み方向の他方側)から見て、支持基板5およびベース絶縁層6から露出されている。
【0077】
第2端子31のサイズの範囲(先後方向の寸法および左右方向の寸法)は、上記の第1端子30のサイズの範囲と同じである。第2端子31の面積の範囲は、上記の第1端子30の面積の範囲と同じである。
【0078】
また、第1端子30および第2端子31のそれぞれの下面には、めっき層38が設けられている。めっき層38は、例えば、ニッケル、金などの金属材料から形成され、好ましくは、金から形成される。めっき層38の厚みは、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.25μm以上、例えば、5μm以下、好ましくは、2.5μm以下である。
【0079】
なお、本実施形態では、第1端子30および第2端子31は、先後方向に沿って延びる略平坦状を有している。「略平坦状」とは、
図9に示すように、第1端子30および第2端子31の下面(詳しくは、めっき層38の下面)において、最も上側に位置する部分と最も下側に位置する部分との間の上下方向の間隔が、0μm以上10μm以下の範囲内(
図9においてR1として示す。)であることを意味する。そのため、第1端子30および第2端子31が、わずかに屈曲しても、上記の間隔が範囲R1内であれば、略平坦状に含まれる。
【0080】
図1に示すように、電源端子32は、第2端子31に対応しており、第2端子31と同数設けられる。本実施形態では、電源端子32は、2つの第2端子31に対応して2つ設けられる。2つの電源端子32は、外部接続ベース24の後端部において、外部接続端子29の間に配置されている。2つの電源端子32は、左右方向に互いに間隔を空けて配置されている。
【0081】
配線27は、
図4Aに示すように、ベース絶縁層6の上面(厚み方向一方側)に配置されている。
図1に示すように、配線27は、信号配線33と、グランド配線34と、電源配線35とを含んでいる。
【0082】
信号配線33は、磁気ヘッド端子28に対応しており、磁気ヘッド端子28と同数設けられる。信号配線33は、磁気ヘッド端子28と外部接続端子29とを電気的に接続している。詳しくは、信号配線33は、磁気ヘッド端子28から連続して、第1ステージベース19上を引き回された後、架橋部21の外側部分21A、第2ステージベース22、アウトリガベース23および外部接続ベース24上を順次通過した後、外部接続端子29に接続されている。
【0083】
これによって、本実施形態では、複数の信号配線33が、2つの第1端子30の左右方向の間を通過するように引き回された後、第1端子30と第2端子31との先後方向の間を通過するように引き回されている。
【0084】
そのため、
図4Aおよび
図4Bに示すように、第1端子30の後端面30Cと信号配線33とは先後方向に互いに間隔L1を空けて配置され、第1端子30の左端面30Eと信号配線33とは左右方向に互いに間隔L2を空けて配置されている。
【0085】
第1端子30の後端面30Cと信号配線33(詳しくは、先後方向において第1端子30に最も近い信号配線33)との先後方向の間の間隔L1は、例えば、200μm以上、好ましくは、250μm以上、例えば、400μm以下、好ましくは、350μm以下である。
【0086】
第1端子30の左端面30Eと信号配線33(詳しくは、左右方向において第1端子30に最も近い信号配線33)との左右方向の間の間隔L2は、例えば、20μm以上、好ましくは、30μm以上、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0087】
図1に示すように、グランド配線34は、第1端子30に対応しており、第1端子30と同数設けられる。グランド配線34は、第1端子30と支持基板5とを電気的に接続している。詳しくは、グランド配線34は、第1端子30から連続して先側に向かって延び、第1ステージベース19上に配置された後、第1ステージベース19を貫通してステージ12に接触(接地)している。
【0088】
電源配線35は、第2端子31に対応しており、第2端子31と同数設けられる。電源配線35は、第2端子31と電源端子32とを電気的に接続している。詳しくは、
図4Aに示すように、電源配線35は、第2端子31から連続して後側に向かって延び、第3ステージベース20上に配置された後、
図1に示すように、アウトリガベース23および外部接続ベース24上を順次通過し、電源端子32に接続されている。
【0089】
導体パターン7は、例えば、銅、ニッケル、金、はんだ、またはこれらの合金などの導体材料から形成され、好ましくは、銅から形成されている。
【0090】
導体パターン7の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、例えば、20μm以下、好ましくは、12μm以下である。
【0091】
図4Aおよび
図4Bに示すように、カバー絶縁層8は、配線27を被覆するように、ベース絶縁層6の上面(厚み方向一方側)に配置されている。また、カバー絶縁層8は、上側(厚み方向一方側)から見て、磁気ヘッド端子28、外部接続端子29および電源端子32を露出し、第1端子30および第2端子31を被覆するパターン形状を有している。
【0092】
詳しくは、カバー絶縁層8は、第1端子30の上面および第2端子31の上面に加えて、第1端子30の周端面の少なくとも一部、および、第2端子31の周端面の少なくとも一部を被覆している。
【0093】
カバー絶縁層8は、第1端子カバー37と、第2端子カバー39とを含んでいる。
【0094】
第1端子カバー37は、カバー絶縁層8のうち第1端子30を被覆する部分である。第1端子カバー37は、第1上面カバー37Aと、第1周面カバー37Bとを備えている。
【0095】
第1上面カバー37Aは、第1端子30の上面を被覆しており、第1端子30の上面(厚み方向一方側)に配置されている。第1上面カバー37Aは、第1端子30の上面において、ベース絶縁層6に隣接されていない周端面30Aの部分(具体的には、後端面30C、右端面30Dおよび左端面30E)と連続する周縁部分(具体的には、上面における後端部、右端部および左端部)に少なくとも配置されている。なお、本実施形態では、第1上面カバー37Aは、第1端子30の上面全体に広がっている。
【0096】
第1周面カバー37Bは、第1端子30の周端面30Aのうちベース絶縁層6に隣接されていない部分を被覆しており、周端面30A上に配置されている。第1周面カバー37Bは、第1上面カバー37Aの周端部から連続して、下側に向かって延びている。なお、本実施形態では、第1周面カバー37Bは、後端面30C、右端面30Dおよび左端面30Eの少なくとも一部を被覆している。
【0097】
第1周面カバー37Bが被覆する周端面30Aの面積は、周端面30A全体の面積(具体的には、先端面30B、後端面30C、右端面30Dおよび左端面30Eの面積の総和)を100%としたときに、例えば、15%以上、好ましくは、25%以上、例えば、90%以下、好ましくは、80%以下である。
【0098】
また、第1周面カバー37Bが被覆する周端面30Aの面積は、第1端子30の周端面30Aのうちベース絶縁層6に隣接されていない部分の面積(具体的には、後端面30C、右端面30Dおよび左端面30Eの面積の総和)を100%としたときに、例えば、30%以上、好ましくは、40%以上、例えば、95%以下、好ましくは、90%以下である。
【0099】
第2端子カバー39は、カバー絶縁層8のうち第2端子31を被覆する部分である。第2端子カバー39は、第2上面カバー39Aと、第2周面カバー39Bとを備えている。
【0100】
第2上面カバー39Aは、第2端子31の上面を被覆しており、第2端子31の上面(厚み方向一方側)に配置されている。第2上面カバー39Aは、第2端子31の上面において、ベース絶縁層6に隣接されていない周端面31Aの部分(具体的には、先端面31B、右端面および左端面(図示せず))と連続する周縁部分(具体的には、上面における先端部、右端部および左端部)に少なくとも配置されている。なお、本実施形態では、第2上面カバー39Aは、第2端子31の上面全体に広がっている。
【0101】
第2周面カバー39Bは、第2端子31の周端面31Aのうちベース絶縁層6に隣接されていない部分を被覆しており、周端面31A上に配置されている。第2周面カバー39Bは、第2上面カバー39Aの周端部から連続して、下側に向かって延びている。なお、本実施形態では、第2周面カバー39Bは、先端面31B、右端面および左端面(図示せず)の少なくとも一部を被覆している。
【0102】
第2周面カバー39Bが被覆する周端面31Aの面積の範囲は、上記の第1周面カバー37Bが被覆する周端面30Aの面積の範囲と同じである。
【0103】
カバー絶縁層8は、ベース絶縁層6と同じ合成樹脂から形成され、好ましくは、ポリイミド樹脂から形成される。カバー絶縁層8の厚みは、適宜設定される。
【0104】
2.回路付サスペンション基板の製造方法
次に、
図5A〜
図6Cを参照して、回路付サスペンション基板1の製造方法について説明する。
【0105】
回路付サスペンション基板1を製造するには、
図5Aに示すように、支持基板5を準備する。
【0106】
次いで、
図5Bに示すように、ベース絶縁層6を、支持基板5の上面(厚み方向一方側面)に、厚肉部45と薄肉部46とが形成されるように階調露光により形成する。
【0107】
具体的には、感光性の合成樹脂を含むワニスを、支持基板5の上に塗布して乾燥させて、ベース皮膜を形成する。その後、ベース皮膜を、図示しないフォトマスクを介して階調露光した後、ベース皮膜を現像し、必要により加熱硬化させる。
【0108】
これによって、厚肉部45は、上記したベース絶縁層6(第1ステージベース19、第2ステージベース22、第3ステージベース20、アウトリガベース23および外部接続ベース24)に対応する部分に形成される。また、薄肉部46は、上記した第1端子30および第2端子31に対応する部分に形成される。
【0109】
このとき、第1端子30に対応する薄肉部46は、第1ステージベース19に対応する厚肉部45から離れるように、先後方向に沿って後側に延びるように形成される。
【0110】
また、第2端子31に対応する薄肉部46は、第3ステージベース20に対応する厚肉部45から離れるように、先後方向に沿って先側に延びるように形成される。
【0111】
次いで、
図5Cに示すように、導体パターン7を、例えば、アディティブ法またはサブトラクティブ法によって、ベース絶縁層6(厚肉部45および薄肉部46)上に上記したパターンに形成する。
【0112】
具体的には、配線27、磁気ヘッド端子28、外部接続端子29および電源端子32を厚肉部45の上面(厚み方向一方側の面)に形成し、第1端子30および第2端子31を薄肉部46の上面(厚み方向一方側の面)に形成する。
【0113】
これによって、第1端子30が、先後方向において第1ステージベース19に対応する厚肉部45の後側に隣接するように、薄肉部46の上面に形成される。また、第2端子31が、先後方向において第3ステージベース20に対応する厚肉部45の先側に隣接するように、薄肉部46の上面に形成される。
【0114】
次いで、
図5Dに示すように、カバー絶縁層8を、ベース絶縁層6の上面(厚み方向一方側)に上記したパターンに形成する。
【0115】
具体的には、感光性の合成樹脂を含むワニスを、ベース絶縁層6および導体パターン7(磁気ヘッド端子28、外部接続端子29および電源端子32を除く)上に塗布して乾燥させて、カバー皮膜を形成する。その後、カバー皮膜を露光して現像し、必要により加熱硬化させる。
【0116】
これによって、カバー絶縁層8が、配線27、第1端子30および第2端子31を被覆し、磁気ヘッド端子28、外部接続端子29および電源端子32を露出させるように形成される。
【0117】
詳しくは、第1端子カバー37の第1上面カバー37Aが、第1端子30の上面を被覆するとともに、第1端子カバー37の第1周面カバー37Bが、第1端子30の周端面30Aを被覆する。
【0118】
また、第2端子カバー39の第2上面カバー39Aが、第2端子31の上面を上記のように被覆するとともに、第2端子カバー39の第2周面カバー39Bが、第2端子31の周端面31Aを上記のように被覆する。
【0119】
次いで、
図6Aに示すように、支持基板5を、上記のパターンとなるように外形加工する。これによって、薄肉部46の下側に位置した支持基板5が除去されて、薄肉部46が下側から露出する。
【0120】
次いで、
図6Bに示すように、薄肉部46を、公知のエッチング(例えば、ウェットエッチングなど)によって除去する。これによって、第1端子30および第2端子31の下面がベース絶縁層6から露出される。
【0121】
なお、このとき、第1周面カバー37Bおよび第2端子カバー39のそれぞれの下端部が、薄肉部46とともにエッチングされてもよい。
【0122】
次いで、
図6Cに示すように、第1端子30および第2端子31の下面に、公知のめっき方法(例えば、電解めっき、無電解めっきなど)によって、めっき層38を形成する。
【0123】
これによって、回路付サスペンション基板1が製造される。
【0124】
3.回路付サスペンション基板に対する圧電素子の実装
次に、
図7A〜
図7Cを参照して、回路付サスペンション基板1に対する圧電素子3の実装について説明する。
【0125】
図1に示すように、圧電素子3は、先後方向に伸縮可能なアクチュエータであって、電気が供給され、その電圧が制御されることによって伸縮する。本実施形態において、圧電素子3は、回路付サスペンション基板1に2つ実装される。
【0126】
圧電素子3は、例えば、公知の圧電材料、より具体的には、圧電セラミックスなどから形成されている。
【0127】
圧電セラミックスとしては、例えば、BaTiO
3(チタン酸バリウム)、PbTiO
3(チタン酸鉛)、Pb(Zr,Ti)O
3(ジルコン酸チタン酸鉛(PZT))、SiO
2(水晶)、LiNbO
3(ニオブ酸リチウム)、PbNb
2O
6(メタニオブ酸鉛)などが挙げられ、好ましくは、PZTが挙げられる。
【0128】
また、
図7Bに示すように、圧電素子3は、第1素子端子40および第2素子端子41を備えている。第1素子端子40および第2素子端子41は、第1端子30および第2端子31に対応して、先後方向に互いに間隔を空けて配置されている。
【0129】
詳しくは、第1素子端子40は、第1端子30に対応しており、圧電素子3の上面における先側部分に設けられている。第1素子端子40は、左右方向に延びる平面視略矩形状を有している。
【0130】
第2素子端子41は、第2端子31に対応しており、圧電素子3の上面における後側部分に設けられている。第2素子端子41は、左右方向に延びる平面視略矩形状を有している。
【0131】
このような圧電素子3の回路付サスペンション基板1に対する実装では、
図7Aに示すように、まず、はんだ組成物4Aを準備する。
【0132】
はんだ組成物4Aは、Snと、Agと、Cuとを含有しており、好ましくは、SnとAgとCuとのみからなる。以下、はんだ組成物4AをSn−Ag−Cu系はんだ組成物とする。
【0133】
Sn−Ag−Cu系はんだ組成物において、Agの含有割合は、例えば、1質量%以上、好ましくは、2質量%以上、例えば、5質量%以下、好ましくは、4質量%以下、さらに好ましくは、3質量%である。
【0134】
AgのCuに対する含有割合(Ag/Cu)は、例えば、4以上、好ましくは、5以上、例えば、8以下、好ましくは、7以下である。
【0135】
Sn−Ag−Cu系はんだ組成物において、Cuの含有割合は、例えば、0.3質量%以上、好ましくは、0.4質量%以上、例えば、0.7質量%以下、好ましくは、0.6質量%以下、さらに好ましくは、0.5質量%である。
【0136】
Sn−Ag−Cu系はんだ組成物において、Snの含有割合は、上記のAgおよびCuの含有割合の残部である。
【0137】
具体的には、はんだ組成物として、Sn−3Ag−0.5Cuと表されるものが挙げられる。そのようなはんだ組成物として、市販品を用いることができる。
【0138】
このようなはんだ組成物の融点は、例えば、200℃以上、好ましくは、210℃以上、例えば、230℃以下、好ましくは、220℃以下である。
【0139】
そして、はんだ組成物4Aを公知の方法(例えば、公知の印刷機による印刷、ディスペンサーによる塗布など)により、第1端子30のめっき層38の下面、および、第2端子31のめっき層38の下面に配置する。
【0140】
各端子に配置されるはんだ組成物4Aの体積は、例えば、1×10
−8cm
3以上、好ましくは、1×10
−7cm
3以上、例えば、1×10
−5cm
3以下、好ましくは、1×10
−6cm
3以下である。
【0141】
はんだ組成物4Aの最大厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上、例えば、60μm以下、好ましくは、50μm以下である。
【0142】
次いで、
図7Bに示すように、圧電素子3を、第1素子端子40が第1端子30上のはんだ組成物4Aと接触するとともに、第2素子端子41が第2端子31上のはんだ組成物4Aと接触するように配置する。
【0143】
つまり、圧電素子3は、第1端子30および第2端子31に対して下側(厚み方向他方側)に配置される。また、圧電素子3は、第1端子30と第2端子31とに架設している。また、圧電素子3の先後方向中央部分の上側には、第2ステージベース22の帯状部14が間隔を空けて配置される。
【0144】
次いで、
図7Cに示すように、圧電素子3が配置された回路付サスペンション基板1をリフローする。
【0145】
リフロー温度は、例えば、230℃以上、好ましくは、240℃以上、例えば、260℃以下、好ましくは、250℃以下である。リフロー時間は、例えば、3秒以上、好ましくは、5秒以上、例えば、300秒以下、好ましくは、200秒以下である。
【0146】
これによって、はんだ組成物4Aが、第1端子30および第2端子31のそれぞれの下面全体に濡れ広がるように溶融する。このとき、第1周面カバー37Bが第1端子30の周端面30Aを被覆しているので、はんだ組成物4Aが、周端面30Aを被覆するように濡れ広がることが抑制される。また、第2周面カバー39Bが第2端子31の周端面31Aを被覆しているので、はんだ組成物4Aが、周端面31Aを被覆するように濡れ広がることが抑制される。
【0147】
そして、圧電素子3がセルフアライメントされる。詳しくは、
図7Bに示す圧電素子3を配置する工程において、
図8に示すように、圧電素子3が所定位置からずれて、左右方向に傾くように配置される場合がある。この場合、上下方向から見て、第1素子端子40の中央と第1端子30の中央とがずれて位置するとともに、第2素子端子41の中央と第2端子31の中央とがずれて位置する。
【0148】
次いで、圧電素子3が配置された回路付サスペンション基板1がリフローされると、はんだ組成物4Aが、第1端子30および第2端子31のそれぞれの下面全体に濡れ広がるように溶融する(
図7C参照)。
【0149】
このとき、溶融したはんだ組成物4Aの表面張力により、上下方向から見て、第1素子端子40の中央と第1端子30の中央とが一致するとともに、第2素子端子41の中央と第2端子31の中央とが一致するように、圧電素子3に力が加わる。これによって、
図2に示すように、圧電素子3が、所定位置からずれた状態から所定位置に向かってセルフアライメントされる。
【0150】
そして、
図7Cに示すように、はんだ組成物4Aがはんだ層4を形成して、第1端子30および第1素子端子40と、第2端子31および第2素子端子41とを接合する。
【0151】
つまり、はんだ層4は、第1端子30(詳しくは、第1端子30のめっき層38)と第1素子端子40との間、および、第2端子31(詳しくは、第2端子31のめっき層38)と第2素子端子41との間に配置される。
【0152】
これにより、第1端子30と第1素子端子40とは電気的に接続され、第2端子31と第2素子端子41とは電気的に接続されている。
【0153】
はんだ層4の厚みTは、例えば、3μm以上、好ましくは、10μm以上、例えば、30μm以下、好ましくは、15μm以下である。
【0154】
また、第1端子30と第1素子端子40との間に位置するはんだ層4の体積は、例えば、1×10
−8cm
3以上、好ましくは、1×10
−7cm
3以上、例えば、1×10
−5cm
3以下、好ましくは、1×10
−6cm
3以下である。
【0155】
第1端子30と第1素子端子40との間に位置するはんだ層4の体積は、第1端子30の単位面積当たり、例えば、0.0003cm
3/cm
2以上、好ましくは、0.0010cm
3/cm
2以上、例えば、0.0030cm
3/cm
2以下、好ましくは、0.0015cm
3/cm
2以下である。
【0156】
はんだ層4の体積が上記下限以上であれば、圧電素子3を確実にセルフアライメントさせることができ、圧電素子3の位置精度の向上を図ることができる。はんだ層4の体積が上記上限以下であれば、圧電素子3の実装する部分の厚みの低減を確実に図ることができる。
【0157】
なお、第2端子31と第2素子端子41との間に位置するはんだ層4の体積の範囲は、上記の第1端子30と第1素子端子40との間に位置するはんだ層4の体積の範囲と同じである。
【0158】
以上によって、圧電素子3が実装される回路付サスペンション基板1が製造される。このような回路付サスペンション基板1は、圧電素子3と、圧電素子3を接続するはんだ層4とを備えている。
【0159】
なお、
図1に示すように、回路付サスペンション基板1は、磁気ヘッドを有するスライダ9を備えてもよく、スライダ9を備えなくてもよい。回路付サスペンション基板1がスライダ9を備える場合、スライダ9は、第1ステージベース19に対して上側(厚み方向一方側)に配置される。つまり、スライダ9は、回路付サスペンション基板1に対して、圧電素子3の反対側に配置される。
3.作用効果
図4Aに示すように、第1端子30の周端面30Aにおける後端面30C、右端面30Dおよび左端面30E、および、第2端子31の周端面31Aにおける先端面31B、右端面および左端面が、カバー絶縁層8により被覆されている。
【0160】
そのため、
図7A〜
図7Cに示すように、回路付サスペンション基板1に圧電素子3を実装するときに、第1端子30と第1素子端子40との間に位置するはんだ組成物4Aが、第1端子30の周端面30Aに濡れ広がることを抑制できるとともに、第2端子31と第2素子端子41との間に位置するはんだ組成物4Aが、第2端子31の周端面31Aに濡れ広がることを抑制できる。
【0161】
その結果、第1端子30と第1素子端子40との間、および、第2端子31と第2素子端子41との間に位置するはんだ組成物4Aの量を十分に確保することができる。
【0162】
また、第1端子30が第1ステージベース19から離れるように先後方向に沿って後側に延び、第2端子31が第3ステージベース20から離れるように先後方向に沿って先側に延びている。
【0163】
そのため、
図4Aおよび
図4Bに示すように、複数の信号配線33を第1端子30の近傍に引き回すことができ、導体パターン7のファインピッチ化を図ることができる。また、第1端子30および第2端子31の大型化を図ることができる。
【0164】
また、第1端子カバー37が第1端子30の周端面30Aを被覆し、第2端子カバー39が第2端子31の周端面31Aを被覆している。そのため、第1端子カバー37と第1端子30の周端面30Aとの密着性、および、第2端子カバー39と第2端子31の周端面31Aとの密着性の向上を図ることができる。
【0165】
その結果、導体パターン7のファインピッチ化および第1端子30および第2端子31の大型化を図ることができながら、第1端子30および第2端子31の周端面の少なくとも一部を安定して被覆でき、圧電素子3を位置精度よく実装できる。
【0166】
また、左右方向における第1端子30の寸法が、先後方向における第1端子30の寸法に対して、好ましくは、2倍以上8倍以下である。また、第2端子31の寸法についても同様である。そのため、第1端子30および第2端子31の左右方向における大型化を図ることができる。
【0167】
その結果、
図7A〜
図7Cに示すように、回路付サスペンション基板1に圧電素子3を実装するときに、第1端子30および第2端子31上に配置できるはんだ組成物4Aの体積の向上を図ることができ、ひいては、圧電素子3の位置精度の向上を図ることができる。
【0168】
図5B〜
図6Cに示すように、ベース絶縁層6を支持基板5の上面に、厚肉部45と薄肉部46とが形成されるように階調露光により形成した後、第1端子30および第2端子31を先後方向において厚肉部45と隣接するように、薄肉部46の上面に形成し、次いで、カバー絶縁層8を、第1端子30の周端面30Aおよび第2端子31の周端面31Aの少なくとも一部を被覆するように形成する。その後、支持基板5を除去して、薄肉部46を露出させた後、薄肉部46を除去して第1端子30および第2端子31を露出させる。
これによって、上記の回路付サスペンション基板1を製造できる。つまり、導体パターン7のファインピッチ化および第1端子30および第2端子31の大型化を図ることができながら、第1端子30および第2端子31の周端面の少なくとも一部を安定して被覆でき、圧電素子3を位置精度よく実装できる回路付サスペンション基板1を円滑に製造できる。
【0169】
しかるに、
図10Bおよび
図10Cに示すように、圧電側端子51をベース絶縁層52の開口53内に形成するには、例えば、仮想線で示すように、ベース絶縁層52を支持基板58の上面に、開口53に対応する薄肉部56と、開口53の周縁部に対応する厚肉部57とが形成されるように階調露光により形成する。
【0170】
この場合、先後方向において、厚肉部57が薄肉部56を挟むように配置され、薄肉部56の先後両端部が厚肉部57に接続される。しかし、階調露光によって、薄肉部56と厚肉部57との接続部分を精度よく形成することは困難であり、薄肉部56の寸法精度が不安定となる場合がある。
【0171】
そのため、薄肉部56上に形成される圧電側端子51の寸法精度が低下するという不具合がある。
【0172】
一方、本実施形態では、
図5Bに示すように、薄肉部46を厚肉部45から離れるように、先後方向に沿って延びるように形成しており、薄肉部46の先後方向の一端部のみが厚肉部45と連続している。
【0173】
そのため、薄肉部56の先後両端部が厚肉部57に接続される場合と比較して、薄肉部46の寸法精度の向上を図ることができ、ひいては、薄肉部46上に形成される第1端子30および第2端子31の寸法精度の向上を図ることができる。
【0174】
これによって、圧電素子3を実装させるときに、圧電素子3を安定してセルフアライメントさせることができ、圧電素子3圧電素子の位置精度のさらなる向上を図ることができる。
【0175】
4.変形例
上記の実施形態では、カバー絶縁層8が、第1端子30の周端面30Aおよび第2端子31の周端面31Aの両方を被覆しているが、これに限定されない。カバー絶縁層8は、第1端子30の周端面30Aおよび第2端子31の周端面31Aのいずれか一方のみを被覆してもよい。
【0176】
また、上記の実施形態では、第1端子カバー37が、第1端子30の周端面30Aのうち、後端面30C、右端面30Dおよび左端面30Eを被覆するが、これに限定されない。第1端子カバー37は、後端面30C、右端面30Dおよび左端面30Eの少なくともいずれか1つを被覆していればよい。また、第2端子カバー39は、先端面31B、右端面および左端面の少なくともいずれか1つを被覆していればよい。
【0177】
これら変形例によっても、上記の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【実施例】
【0178】
以下に、実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0179】
実施例1
第1端子(端子の先後方向寸法/素子端子の先後方向寸法100%、端子の左右方向寸法/素子端子の左右方向寸法90%)および第2端子(端子の先後方向寸法/素子端子の先後方向寸法100%、端子の左右方向寸法/素子端子の左右方向寸法100%)を2対備える回路付サスペンション基板を準備した。
【0180】
この回路付サスペンション基板では、カバー絶縁層が、第1端子の周端面(後端面、右端面および左端面)および第2端子の周端面(先端面、右端面および左端面)を被覆していた。詳しくは、カバー絶縁層が被覆する第1端子の周端面の面積は、第1端子の周端面全体の面積を100%としたときに30%であり、カバー絶縁層が被覆する第2端子の周端面の面積は、第2端子の周端面全体の面積を100%としたときに18%であった。
【0181】
次いで、Sn−Ag−Cu系はんだ組成物(Sn含有割合:残部、Ag含有割合:3±1質量%、Cu含有割合:0.5±0.1質量%)5×10
−7cm
3を、第1端子および第2端子のそれぞれの下面に配置した。
【0182】
次いで、第1素子端子および第2素子端子を備える圧電素子を2つ準備し、各圧電素子を、第1素子端子が第1端子上のはんだ組成物と接触するとともに、第2素子端子が第2端子上のはんだ組成物と接触するように配置した。
【0183】
次いで、圧電素子が配置されたサスペンション基板をリフロー炉に投入して、240℃で15秒間加熱した。これによって、はんだ組成物が、第1端子および第2端子のそれぞれの下面全体に濡れ広がるように溶融して、圧電素子がセルフアライメントされた。
【0184】
その後、はんだ組成物がはんだ層を形成して、第1端子および第1素子端子と、第2端子および第2素子端子とが接合された。
【0185】
以上によって、圧電素子が実装される回路付サスペンション基板を得た。これを繰り返して、20個の回路付サスペンション基板を準備した。
【0186】
比較例1
回路付サスペンション基板において、カバー絶縁層が、第1端子の周端面および第2端子の周端面を被覆していないこと(
図10A参照)以外、実施例1と同様にして、圧電素子が実装される回路付サスペンション基板を、20個準備した。
<評価>
以下により、実施例および比較例の回路付サスペンション基板の工程能力指数(Cpk)を算出した。なお、CpKは、定められた規格限度内で製品を生産できる能力を示し、数値が高いほど生産能力が高い。
【0187】
第1基準穴および第2基準穴の位置に基づいて、回路付サスペンション基板のY軸基準線(回路付サスペンション基板の左右方向中央を通り、先後方向に沿う仮想線)を規定した。
【0188】
次いで、Y軸基準線に対して垂直であり、かつ、第1基準穴の中心を通るX軸基準線(第1基準穴の中心を通り、左右方向に沿う仮想線)を規定した。なお、第1基準穴の中心を基準(0,0)とした。
【0189】
次いで、圧電素子の左右両端縁(エッジ)に沿う第1仮想線を抽出した。そして、Y軸基準線に対して、第1仮想線(圧電素子の左右両端縁)が形成する角度(傾きθ)を測定した。
【0190】
次いで、圧電素子の先後両端縁(エッジ)に沿う第2仮想線を抽出した。そして、第1仮想線と第2仮想線との交点から、圧電素子の頂点(4隅)を抽出した。
【0191】
次いで、圧電素子の頂点の座標から圧電素子の中心座標を算出した。そして、基準点(第1基準穴の中心)から、圧電素子の中心座標のずれ量(X座標ずれ量、Y座標ずれ量)を算出した。次いで、複数の回路付サスペンション基板における、傾きθ、X座標ずれ量およびY座標ずれ量の平均値を算出した。
【0192】
また、傾きθ、X座標ずれ量およびY座標ずれ量のデータのばらつきの大きさ(σ、標準偏差)を算出した。
【0193】
次いで、下記式(1)および(2)のうち、値の小さい方をCpkとした。その結果を
図11に示す。
式(1)
(上限規格−平均値)/3σ=Cpu
式(2)
(下限規格−平均値)/3σ=Cpl
<考察>
図11に示すように、実施例1では、比較例1と比較して、Y座標および傾きθのCpKの向上を図ることができる旨、確認された。