(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
出願人らは、高い固形分および低い界面活性剤濃度を含有することが好ましい本発明の接着組成物が、接着剤、コーティング、およびインクを含む様々な水性の材料および組成物に用いられた場合、改善された凝集力および接着力の両方を提供することができることを見出した。従って、1つの態様によると、本発明の接着組成物は、望ましい特性を提供する目的で、成分または接着促進剤として、別の配合物、組成物、または材料に添加されてよい。従って、本発明は、様々な材料および組成物、好ましくは、特に水性接着剤、コーティング、およびインクなどを含む水性の材料および組成物を含み、これらは、本発明の接着組成物(すなわち、上述の成分(a)から(e)まで)を、接着剤、コーティング、またはインク配合物を含む水性の材料または組成物中のすべての成分の重量に対して、約1重量%から約25重量%、好ましくは、約2重量%から約20重量%、より好ましくは、約5重量%から約15重量%の量で含むことが好ましい。
【0026】
特定の好ましい実施形態では、接着組成物は、エマルジョンの形態であり、好ましくは、ここで、成分(a)および(b)が、水性成分中で乳化および/または分散されている。出願人らは、本発明のエマルジョンの形態の接着組成物(以降、「接着エマルジョン」と称する場合がある)の1つの利点が、エマルジョン中の高いレベルの固形分を、好ましくは、これまで一般的に用いられてきた固形分よりも高い、より好ましくは、著しくより高い量で達成することができることであり、それによって、以下の利点のうちの1つ以上、好ましくはすべてが提供されることを見出した:1)輸送コストの低減(水がより少ない組成物は、一般的に輸送がより安価であるため);2)蒸発する必要のある水がより少ないことに起因するより速い乾燥;3)より厚い膜厚;4)基材保護の向上;5)より良好なバリア特性;および6)所望される被覆を得るのに要するコート総数の低減。
【0027】
本発明の好ましい接着組成物は、有利であることが見出された粒子サイズプロファイルを持つ固形分を含む。本発明において好ましい粒子サイズ範囲は、本発明のその他の態様と合わせて、およびそれを考慮して、改善された耐表面損傷性、耐摩耗性、および耐研磨性(burnish resistance)を提供し、一方好ましくは同時に、コーティングの光沢の劣化を起こさないという利点を有する。従って、接着エマルジョンを含む本発明の接着組成物は、約10nmから約2000nm、好ましくは、約25から約1000nm、より好ましくは、約50から約600nm、さらにより好ましくは、約100から約500nmのD50粒子サイズを有する固形分、好ましくは、固体粒子の形態の第一の成分(a)および第二の成分(b)を提供する。ある実施形態では、D50粒子サイズは、約100nm超および約1000nm未満である。他の実施形態では、D50粒子サイズは、約200nm超および約700nm未満である。さらに他の実施形態では、D50粒子サイズは、約300nm超および約600nm未満である。エマルジョン組成物を含む接着組成物の特定の好ましい実施形態では、その固形分、好ましくは、固体粒子の形態の第一の成分(a)および第二の成分(b)は、約10nm以上のD10および約2000nm以下のD90;より好ましくは、約25以上のD10および約1000nm以下のD90;なおより好ましくは、約50以上のD10および約600nm以下のD90;ならびにさらにより好ましくは、約100以上のD10および約500nm以下のD90の粒子サイズ分布を有する。ある実施形態では、粒子サイズ分布は、約100nm以上のD10および約1000nm以下のD90を有する。他の実施形態では、粒子サイズ分布は、約200nm以上のD10および約700nm以下のD90を有する。さらに他の実施形態では、粒子サイズは、約300nm以上のD10および約600nm以下のD90の分布を有する。
【0028】
出願人らは、驚くべことに、本発明の接着組成物の好ましい実施形態のいくつかは、界面活性剤の有利に低い濃度で、有効な接着性および/または凝集性の向上を達成することができることを見出した。より具体的には、予想外なことに、特に接着組成物のエマルジョンの形態の場合に、本発明において低界面活性濃度を用いることができることは、非常に優れた耐水性を有する乾燥コーティングおよび膜(コーティングの乾燥後に環境から水分を吸収する傾向がより低い)の形成の補助、および/または膜形成能の向上という利点を有する。従って、本発明の好ましい態様によると、接着組成物は、好ましくは、約0%超から約10%、より好ましくは、約0.001%から約5%、さらにより好ましくは、約0.01%から約1%、なおより好ましくは、約0.05%から約0.5%の量の界面活性剤を含有する。特定の好ましい実施形態では、接着組成物に含有される界面活性剤の量は、約5%未満、より好ましくは、約3%未満、さらにより好ましくは、約1%未満である。特定の好ましい実施形態では、本発明の接着組成物は、約0.5%未満、好ましくは、約0.1%未満、より好ましくは、約0.05%未満、さらにより好ましくは、約0.01%未満の量で界面活性剤を含む。
【0029】
水性接着剤
本発明における使用が考慮される好ましい水性合成ポリマーとしては、アクリルポリマー、アクリロニトリルブタジエン、ブチルゴム、酢酸セルロース、酪酸セルロース、エポキシ樹脂、エチレン酢酸ビニル、天然ゴム、ネオプレン、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、およびスチレンブタジエンゴムが挙げられる。本発明における使用が考慮される好ましい水性天然ポリマーとしては、カゼイン、セルロース系物質、デキストリン、およびデンプンなどの炭水化物ならびにタンパク質生体高分子が挙げられる。
【0030】
水性接着剤と共に用いられる場合、本発明の接着配合物は、好ましくは、(a)上記で開示する通りの第一のポリマー;(b)上記で開示する通りの第二のポリマー;(c)界面活性剤などのその他の機能性成分;(d)水;および(e)所望に応じて存在してよいその他の添加剤を含む。ポリマー、および可能性としてその他の機能性成分(安定化剤を含む)も、好ましくは、水に分散された固体粒子として存在し、好ましくは、本明細書で述べる通りの粒子サイズ分布を有する。固体成分(a)および(b)の一部のパーセントが、水/水性溶媒中の溶質として存在し得ることは可能であるが、これは、一般的には好ましくない。上記で述べたように、水性接着剤と共に用いられる場合、接着組成物の第一のポリマーは、好ましくは、アクリルポリマー、アクリロニトリルブタジエン、ブチルゴム、酢酸セルロース、酪酸セルロース、エポキシ樹脂、エチレン酢酸ビニル、天然ゴム、ネオプレン、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、スチレンブタジエンゴム、カゼイン、ならびにデキストリンおよびデンプンなどのポリサッカリドから成る群より選択される。そのような実施形態では、第二のポリマーは、好ましくは、ホモポリマーポリエチレン(PE)ワックス、ホモポリマーポリプロピレン(PP)ワックス、エチレン‐プロピレンコポリマーワックス、酸化PEホモポリマーワックス;EAAコポリマーワックス、EVAコポリマーワックス、酸化EVAコポリマーワックス、無水マレイン酸でグラフトされたPEワックス、および無水マレイン酸でグラフトされたPPワックスから成る群より選択される。
【0031】
その他の機能性成分が、本発明の接着組成物中に所望に応じて含まれてよい。特定の好ましい実施形態では、その他の機能性成分は、天然粘着付与樹脂、合成粘着付与樹脂、ポリブタジエン、官能化ポリブタジエン、ポリイソブチレン、官能化ポリイソブチレン、ポリイソプレン、官能化ポリイソプレン、ブタジエンとのスチレンブロックコポリマー、イソプレンとのスチレンブロックコポリマー、エチレン‐ブタジエンゴムブロックとのスチレンブロックコポリマー、未封止シリコーンMQ樹脂および封止シリコーンMQ樹脂、増粘剤、湿潤剤、消泡剤、酸化防止剤、顔料、充填剤、ならびにこれらのいずれか2つ以上の組み合わせから成る群より選択される。
【0032】
出願人らは、本発明の接着組成物が、達成することが困難である利点の組み合わせを提供するものと考えており、それは、以下を含む:
粘度:接着剤粘度は、取扱いおよび加工が容易であるように充分に低いが、多孔性基材中に過剰に浸透することを回避するように低過ぎず、基材の濡れが阻害されるような高過ぎる状態でもない。
乾燥含有量:接着剤の固形分を、任意のいずれの接合形成プロセスの場合でも許容される時間内での乾燥を可能とする、実用上必要とされる限り/実用上可能な限り高く上昇させることができる。
【0033】
出願人らは、本発明の組成物がこの性能特性の組み合わせを提供することができることは、限定された耐荷力、荷重下でクリープを起こす傾向、コールドフローを起こす傾向、温度/湿度に関する限定された性能ウィンドウ、および機械的衝撃による脆性破壊を含む課題を既知の合成接着剤が示して来たという事実に少なくとも部分的に起因して、予想外の利点であると考える。本発明の接着組成物は、これらの欠点を克服することができると考えられる。
【0034】
本発明の1つの態様は、ホモポリマーポリエチレンワックス、ホモポリマーポリプロピレンワックス、エチレン‐プロピレンコポリマーワックス、酸化ポリエチレンホモポリマーワックス、エチレンアクリル酸コポリマーワックス、エチレン酢酸ビニルワックス、酸化酢酸ビニルコポリマーワックス、無水マレイン酸でグラフトされたポリエチレンワックス、無水マレイン酸でグラフトされたポリプロピレンワックス、天然および合成粘着付与樹脂、ポリブタジエンおよび官能化ポリブタジエン、ポリイソプレンおよび官能化ポリイソプレン、ポリイソブチレンおよび官能化ポリイソブチレン、スチレンブロックコポリマー、ならびにケイ素系MQ樹脂から選択される1つ以上のポリマーならびに樹脂の新規な水性分散体および/またはエマルジョンに関する。
【0035】
本発明の接着組成物を水性の材料または組成物に含めて接着促進剤として作用させることにより、合成または天然ポリマーのいずれの化学物質に基づいていてもよいより高い性能の製品の配合が可能となる。従って、環境にとって好ましいこのような製品は、従来から持続可能性のより低い技術が役立てられてきた要求のより厳しい用途で用いることができ、特に、接着剤配合物における持続可能な天然の原材料の使用を拡張することを可能とするものである。そのような接着剤は、未修飾接着剤ポリマーと比較して、弾性率および損失弾性率の増加、ならびにより広い温度範囲にわたってその物理的特性を維持する能力を特徴とする。
【0036】
本発明の多くの好ましい接着組成物の実施形態における第一のポリマーの数平均分子量は、約100000ダルトン以上である。しかし、本発明に従う多くの好ましいヒートシール接着剤の場合、接着組成物の第一のポリマーは、約250000ダルトン未満、より好ましくは、約100000ダルトン未満である数平均分子量を有する。ある好ましいヒートシール実施形態では、本発明の接着組成物に存在する第一のポリマーの数平均分子量は、約50000から約100000ダルトンである。
【0037】
本発明に従うヒートシール接着剤は、グラビア、スロットダイ、または押出しプロセスを介するコーティングを含む様々なコーティング技術によって適用されてよいことが考慮される。EVA、アクリルポリマー、酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルなどの低融点ポリマーが、ヒートシール接着剤に好ましく用いられ、本発明の接着組成物は、好ましくは、これらの材料に、好ましくは混合によって添加され、向上された接着性および/または凝集性を有するヒートシール接着剤が形成される。商業的使用のための高性能ヒートシール接着剤は、130°Fまで非粘着性を維持すること、180〜300°Fの低い熱活性化温度を有すること、PP、PE、PET、およびアルミホイルなどの接合が困難な基材に対して少なくとも約1psiの熱グリーン強度(hot green strength)を有することという特性を提供するべきである。
【0038】
本発明の特定の好ましい方法の態様では、高性能ヒートシール接着剤は、低分子量エチレン‐アクリルコポリマー、酸化ポリエチレン、エチレン‐酢酸ビニルコポリマー、酸化エチレン‐酢酸ビニルコポリマー、マレイン酸変性ポリオレフィン、PEのホモポリマー、PPワックス、およびこれらの組み合わせのエマルジョンを、耐ブロッキング性、低活性化温度接合および接合が困難な基材に対する改善された接着性、ならびに高い熱生強度の有益性を提供する配合物に組み込むことによって作製される。
【0039】
1つの好ましい実施形態では、ヒートシール接着剤組成物として、それと共に、またはそれに加えて用いられる接着組成物は、
(a)アクリルポリマー、エチレン‐酢酸ビニルコポリマー、修飾EVA、酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、エチレン‐(メタ)アクリル酸アイオノマー、塩化ビニリデンコポリマー、エチレン‐(メタ)アクリレートコポリマー、ポリエステル、およびこれらの2つ以上の組み合わせから成る群より選択される第一のポリマー、および
(b)エチレン‐アクリル酸コポリマー、酸化ポリエチレン、エチレン‐酢酸ビニルコポリマー、酸化エチレン‐酢酸ビニルコポリマー、マレイン酸変性ポリオレフィン、PEのホモポリマーおよびPPのホモポリマー、ならびにこれらの2つ以上の組み合わせから成る群より選択される第二のポリマー、
(c)所望に応じて存在してよい、粘着付与剤、耐ブロッキング剤、酸化防止剤、安定化剤、充填剤、湿潤剤などのその他の添加剤、
(d)水、
を含み、ここで、前記成分(a)および(b)は、エマルジョンの形態で前記水の中に存在する。
【0040】
水性プライマー接着性の増強:
本発明の接着組成物の添加、好ましくは本発明のエマルジョンの形態での添加により、多くの実施形態では、その水性相溶性および接着性増強特性(adhesion boosting characteristics)に基づいて、水性プライマーに接着剤性質の改善を付与することができる。水性プライマーの多くのこれまでの使用において、そのようなプライマーが低エネルギー基材に適用された場合、プライマーのその基材に対する濡れが充分ではなく、それに接着しないという困難に直面していた。本発明の好ましい接着組成物、さらにより好ましくは、接着エマルジョンの添加により、このような、およびその他の問題などの問題を解決することができる。
【0041】
中塗り接着性の増強:インクまたは塗料の2つの異なるコート
基材へのプライマーの適用に関して、プライマー、特に油性またはアルキド系プライマーが適用されると、それに続くコートの接着性が課題となり得る。本発明の接着組成物、好ましくは、本発明の接着エマルジョンを水性トップコートに添加することにより、より低い表面エネルギーのプライマーへの接着性が増強され、より良好な接合が得られる結果となる。
【0042】
水性結合層:
本発明の接着組成物、好ましくは、接着エマルジョンは、その接着剤性質により、2つの類似のまたは異なる基材間の水性結合層として、単独で働くことができる。それはまた、別の接着剤組成物に添加されて、水性結合層組成物を提供することもできる。
【0043】
OPV(オーバープリントワニス):
典型的には、高光沢クリアコーティングは、良好な耐水性、耐表面損傷性、耐研磨性、および耐摩耗性を必要とする。歴史的には、OVPは、典型的にはアクリル系であるOPVにこれらの特性を付与する目的で、水性ワックス、典型的には、エマルジョンの形態の高密度酸化ワックスを必要としてきた。本発明の接着組成物、好ましくは、接着エマルジョンは、透明性を維持し、無色の光沢(gloss neutral)とするのに充分に小さいが、マクロエマルジョンよりも高いレベルの耐表面損傷性、耐研磨性、および耐摩耗性は提供する好ましい粒子サイズを有する。さらに、本発明の接着組成物/エマルジョンの添加は、微粒子化ワックスでは発生する傾向にある光沢性または透明性を損なうようなことはない。
【0044】
水性レオロジー剤
第一のポリマーまたはコポリマーが約20000ダルトン未満の、好ましくは、約12000ダルトン未満の数平均分子量を有する本発明の組成物は、水性および/もしくは水希釈性レオロジー制御剤として用いられる場合、ならびに/または水性および/もしくは水希釈性レオロジー制御剤として用いられる、もしくは適用されるその他の組成物の添加剤として用いられる場合、有効性を示す。この種類のある好ましい実施形態では、本発明の接着組成物の第一のポリマーは、約1000ダルトン未満の数平均分子量を有する。本発明の接着組成物、好ましくは、ポリエチレン系ポリマーを含むそのような組成物の、現時点で市販されているものと比較したレオロジー制御剤としての、またはそれへの添加剤としての利点は、何重にも存在し、1)微生物の攻撃を受けにくいこと;2)pH感受性ではないこと;3)せん断感受性ではないこと;4)剥離(exfoliation)もしくは活性化溶媒を必要とせず、組み込み(液体から液体へ)が容易であること;ならびに5)コーティングのための最良のレオロジープロファイルを提供するチクソトロピー性を有し、水性および/または水希釈性レオロジー制御剤において有効性を示すこと、が挙げられる。ある実施形態では、第一のポリマーは、EAAまたはその金属アイオノマーである。
【0045】
金属缶エンドまたは蓋と金属缶胴との水性シーリング化合物;O‐リングシール;エンドシーリング化合物
本発明の接着組成物、好ましくは、接着エマルジョンは、缶エンド(蓋)と缶胴との水性シーリング化合物として、およびシーリング材料(「シーリング化合物」と称される場合がある)のその他の水性配合物の成分または添加剤として、有益性を提供する。本発明の好ましい方法の態様によると、シーリング材料は、本発明の接着組成物、好ましくは、接着エマルジョンの使用によって強化され、次に、缶蓋の周囲内側にある環状溝に沿って線状に塗布され、強制空気乾燥されて、Oリング構成に類似する「キャスケット(casket)」とされる。好ましくは、缶蓋は、続いて、缶胴のフランジと二重巻締されて、缶がシールされる。好ましい水性エンド巻締配合物は、主として、水性ラテックススチレン‐ブタジエンゴム(SBR)、充填剤、粘着付与剤、分散剤、およびレオロジー改質剤を含む。水性シーリング配合物の1つの実施形態では、接着組成物は、第一のポリマーa)として、低数平均分子量(10000ダルトン未満)のアクリル修飾ポリエチレンコポリマー(EAAなど)を含み、組成物は、好ましくは、水性高固形分(30〜60%、例えば55%固形分)エマルジョンの形態である。そのような実施形態では、本発明の接着組成物は、相溶性および粘着付与の有益性を提供することができる。理論に束縛されるものではないが、この利点は、少なくとも部分的に、配合物の二面性、すなわち、極性(例:アクリル)および非極性(例:ポリエチレンの特徴)に起因するものと考えられる。本発明の水性シーリング配合物は、金属蓋に対する配合物の改善された接着性も提供する。ここでも、理論に束縛されるものではないが、この利点は、少なくとも部分的に、金属と結合するカルボキシル官能基の存在に起因するものと考えられる。さらに、本発明の水性シーリング配合物は、高い固形分濃度に起因して、配合物の乾燥時間が短く、水の除去に要する時間が短い(低水分含有量)。これらの要因のすべてが組み合わされることで、缶エンドシーリングの製造作業において、実績およびライン速度が向上される。
【0046】
ツーピース缶のための水性スプレー缶コーティング
本発明のエマルジョンは、ビール、飲料、または食品用のツーピース缶の内部に用いられるコーティングである水性スプレーコーティングとして、およびそのような材料の成分または添加剤としての有益性も提供することができる。そのカルボキシル官能基は、バインダー成分からの架橋剤から利用可能であるアミンまたはヒドロキシル官能基とさらに架橋する反応性部位を提供することができ、その結果、熱硬化性条件下でのin situ重合が得られる。1つの実施形態では、本発明の組成物のEAA化学物質は、低分子量(LMW)EAAポリマーを含む。本明細書で用いられる場合、「低分子量」の用語は、本明細書にて特に断りのない限り、10000ダルトン未満の数平均分子量を意味する。この重合が直面する立体障害は最小限であり、それによって、EAAポリマーは、架橋ポリマーネットワーク中に容易に組み込まれる。残ったいずれの未反応の遊離カルボキシル基も、金属缶に追加の接着性を付与する。EAAの不活性ポリエチレンバックボーンは、ポリマーに可撓性を付与し、ポリマー内部のストレスを低減して、可撓性の改善を可能とする。このような特色はまた、ツーピース缶胴のフランジ形成の過程における下流の製造工程も可能とする。スプレー性は、スプレー時のずり減粘を可能とする本発明の組成物のレオロジープロファイルによって補助される。本発明の組成物はまた、適用された湿潤膜の、乾燥および熱硬化の前におけるチクソトロピー回復(thixotropicrecovery)も可能とする。好ましいエマルジョンの高い固形分という特徴により(30〜60%)、所望される場合、缶当たりのより高い膜重量を達成するように配合物をスプレーすることが補助される。
【0047】
低エネルギー基材上への印刷のために配合された水性フレキソインク
フレキソインクは、小セルのアニロックスローラーによって薄膜として適用されることから、特にそのような材料の凝集性が重要であると考えられるため、本発明の接着剤組成物をそのようなインクと組み合わせることによって、利点を得ることができる。本発明の接着組成物、好ましくは、接着エマルジョンは、好ましくは、そのような実施形態において、水性フレキソ配合物の成分として用いられ、具体的には、プラスチック、フィルム、およびホイル基材上での印刷において独特の有益性を提供する。水性フレキソインクは、セルロース系の波形基材に広く用いられており、ほとんどのフレキソインクは、これらの基材によって容易に吸収される。しかし、非吸収性基材では、印刷される基材よりも低い表面張力を有し、低エネルギー基材に対する濡れが容易であり、硬化後(熱空気)に基材と接着する組成変更された水性フレキソインクが必要である。本発明の組成物は、これらの必要性に対処するものであり、低エネルギー基材の印刷に望ましいレオロジーを有する高固形分低表面エネルギー水性インクの配合を可能とするものである。
【0048】
特定のいかなる理論にも束縛されるものではないが、本発明の組成物の改善された接着性は、硬化後に非常により高い分子量の重合物を与えるカルボキシル官能基の存在と関連するものと考えられる。これにより、別の基材への、特に低エネルギー表面を有する困難な基材に対する接着性が増強される。さらに、遊離のカルボキシル官能基は、潜在的架橋部位を提供し、これは、水性接着剤、インク、およびコーティングにとって重要である。
【0049】
特定の好ましい実施形態では、接着組成物は、アクリレートポリマーおよび粘着付与剤を含有する。アクリレートポリマーは、一般的に、感圧接着剤の凝集性および耐せん断性を改善するために用いられる。他方、粘着付与剤は、一般的に、接着性を改善するために用いられる。粘着付与剤の用語は、通常、約270から約1400ダルトンの範囲の数平均分子量を有する低分子量樹脂を意味する。ほとんどの市販の粘着付与剤は、約800から約1200ダルトンの範囲の数平均分子量を有する。約2000ダルトンを超える数平均分子量を有する分子は、通常は、ポリマーと称される。市販の粘着付与剤は、一般的には、ロジンエステルをベースとするが、ロジン酸、二量体化ロジン酸、ならびにテルペン樹脂およびC
9/C
5炭化水素樹脂などの特定の種類の合成樹脂をベースとするものであってもよい。粘着付与剤は、ポリエチレンなどの「接合が困難な基材」に対する剥離接着性を改善し、それらはまた、低エネルギーおよび高エネルギー表面に対する短時間粘着(quick stick)(タック)特性も改善する。しかし、粘着付与樹脂の使用に対して、いくつかの欠点が存在する。粘着付与樹脂は、ポリマー系よりも非常に高い濃度の界面活性剤と共に分散される必要がある。過剰な界面活性剤は、水分を吸収し、そのことは、感圧接着剤の印刷物加工性(convertibility)に負の影響を与え得る。さらに、樹脂は、過冷却液体であり、流動する傾向を示す。このことは、エッジ部のべたつき、およびナイフのねばつき(gumming)に繋がる。加えて、樹脂が低分子量であることにより、樹脂が紙基材中に移行してしまい、これは、接着性の喪失に繋がる。この影響は、熱および湿気によって増大される。
【0050】
ここで、多くの市販の接着剤よりも少ないロジン系粘着付与剤を含有し、従って、上述の問題を起こし難い接着剤を、本発明の接着組成物、好ましくは、接着エマルジョンを用いることによって製造することができることが見出された。加えて、本発明の接着組成物が組み込まれた接着剤は、本発明の組成物なしで作製され、主としてアクリレートポリマーおよびロジンエステルを含有する接着剤と比較して、全体としてのより良好な凝集性および耐せん断性を有し、同時に、特にエージング後、特定の困難な基材に対して類似の、またはより良好な接着性を有する。
【0051】
本発明はまた、低エネルギー基材への接着のために適合される水性組成物も提供する。この組成物は、アクリルポリマー、アクリロニトリルブタジエン、ブチルゴム、酢酸セルロース、酪酸セルロース、エポキシ樹脂、エチレン酢酸ビニル、天然ゴム、ネオプレン、フェノール系ポリマー、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、スチレンブタジエンゴム、カゼイン、デキストリン、デンプン、これらの2つ以上のコポリマー、およびこれらの2つ以上の組み合わせから成る群より選択される第一のポリマーを含む。1つの実施形態では、本発明の組成物は、ロジンエステル樹脂、ロジン酸樹脂、合成炭化水素樹脂、合成テルペン樹脂、およびこれらの2つ以上の組み合わせから成る群より選択される粘着付与樹脂も含む。1つの実施形態では、本発明の組成物は、エチレン‐アクリル酸コポリマー、酸化ポリエチレン、酸化エチレン‐酢酸ビニルコポリマー、マレイン酸変性ポリオレフィン、およびこれらの2つ以上の組み合わせから成る群より選択される第二のポリマーも含む。
【0052】
アクリレートポリマー(アクリル酸またはアクリル酸誘導体から構成されるポリマー)およびコポリマー(アクリル酸またはアクリル酸誘導体から構成されるコポリマー)は、感圧接着剤の技術分野において従来から用いられており、本発明で用いられてよいアクリレートポリマーおよびコポリマーの種類は、特に限定されない。しかし、合わせて「アルキル(メタ)アクリレート」と称される場合もあるアルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートが、本発明のアクリレートポリマーおよびコポリマーの主要なモノマー成分として用いられることが好ましい。これらのアルキル(メタ)アクリレートは、以下の一般式で表され:
【0054】
式中、R
1は、水素原子またはメチル基を表し、R
2は、アルキル基を表す。R
2に対するアルキル基の例としては、1から18個の炭素原子を有する直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s‐ブチル基、t‐ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2‐エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル(ラウリル)基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、およびオクタデシル(ステアリル)基などである。
【0055】
アルキル(メタ)アクリレートの例としては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s‐ブチル(メタ)アクリレート、t‐ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2‐エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0056】
主要な構成モノマー成分としてのアルキル(メタ)アクリレートに加えて、アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能である別の少量モノマー成分も用いられてよい。アクリレートポリマーまたはコポリマーを構成するモノマーの総量に対するアルキル(メタ)アクリレートの量は、好ましくは、50重量%またはそれ以上である。同じアクリレートポリマーおよびコポリマーに、2種類以上のアルキル(メタ)アクリレートが用いられてよい。
【0057】
アクリレートポリマーに架橋部位を導入するために、またはアクリレートポリマーの凝集能を向上させるために、共重合可能モノマー成分が用いられてよい。共重合には、1種類または複数の異なる種類のモノマーが用いられてよい。
【0058】
アクリレートポリマーに架橋部位を導入するために、特定の官能基を含有するモノマーが、共重合可能モノマー成分として用いられてよい。官能基含有モノマー成分の使用により、ポリマーの接着力を向上させることができる。そのような官能基含有モノマー成分は、特に限定されない。それは、架橋部位となる官能基を有する、アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能であるモノマー成分である。そのようなモノマーの限定されない例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、およびイソクロトン酸、または無水マレイン酸および無水イタコン酸などのそれらの酸無水物などのカルボキシル基含有モノマー;2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、および2‐ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、さらにはビニルアルコールおよびアリルアルコールを例とするヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N‐ジメチル(メタ)アクリルアミド、N‐ブチル(メタ)アクリルアミド、N‐メチロール(メタ)アクリルアミド、N‐メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N‐メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、およびN‐ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド系モノマー;アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N‐ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、およびt‐ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレートおよびメチルグリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有モノマー;アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなどのシアノ含有モノマー;N‐ビニル‐2‐ピロリドン、N‐メチルビニルピロリドン、N‐ビニルピリジン、N‐ビニルピペリドン、N‐ビニルピリミジン、N‐ビニルピペラジン、N‐ビニルピラジン、N‐ビニルピロール、N‐ビニルイミダゾール、N‐ビニルオキサゾール、N‐ビニルモルホリン、N‐ビニルカプロラクタム、およびN‐(メタ)アクリロイルモルホリンなどの窒素原子含有環を有するモノマーなどが挙げられる。
【0059】
アクリレートポリマーの凝集能を向上させる目的で、その他の共重合可能モノマーが用いられてよい。その他の共重合可能モノマー成分の限定されない例としては、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー;スチレン、置換スチレン(α‐メチルスチレンおよびビニルトルエンなど)などのスチレン系モノマー;シクロアルキル(メタ)アクリレート(シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチルジ(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、およびイソボルニル(メタ)アクリレートなど)などの非芳香族環含有(メタ)アクリレートエステル;アリール(メタ)アクリレート[例:フェニル(メタ)アクリレート]、アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート(例:フェノキシエチル(メタ)アクリレート)、およびアリールアルキル(メタ)アクリレート(例:ベンジル(メタ)アクリレート)などの芳香族環含有(メタ)アクリレートエステル;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン、塩化ビニル、および塩化ビニリデンなどのオレフィン系モノマー;2‐(メタ)アクリロイロキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー:メトキシエチル(メタ)アクリレートおよびエトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシ基含有モノマー;メチルビニルエーテルおよびエチルビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー;ならびに1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートなどの多官能性モノマー;ならびにこれらのおよび類似のモノマーのいずれか2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0060】
本発明のある実施形態では、アクリレートポリマーまたはコポリマーは、2‐エチルヘキシルアクリレートおよび/またはブチルアクリレートを主要モノマー成分として、メチルメタクリレート、酢酸ビニル、および/またはスチレンを少量モノマー成分として含む。
【0061】
アクリレートポリマーおよびアクリレートコポリマーを重合するためのプロセスは、本技術分野にて一般的に知られている。そのようなプロセスの限定されない例は、乳化(共)重合、溶液(共)重合、懸濁(共)重合、全成分投入プロセス(all-components-charging processes)(同時重合プロセス(at once polymerization processes))、およびモノマー滴下プロセス(monomer-dropping processes)(連続滴下プロセス(continuously dropping process)、小分け滴下プロセス(portion-wise dropping process))である。
【0062】
用いられるべき重合開始剤は、関与する重合プロセスの種類に応じて、本技術分野にて一般的に知られる開始剤から選択される。重合開始剤の限定されない例としては、2,2’‐アゾビスイソブチロニトリル、2,2’‐アゾビス(2‐メチルピロピオン‐アミジン)ジサルフェート、2,2’‐アゾビス(2‐アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’‐アゾビス[2‐(5‐メチル‐2‐イミダゾリン‐2‐イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’‐アゾビス(N,N’‐ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’‐アゾビス(4‐メトキシ‐2,4‐ジメチルバレロニトリル)、2,2’‐アゾビス(2,4‐ジメチルバレロニトリル)、2,2’‐アゾビス(2‐メチルブチロニトリル)、1,1’‐アゾビス(シクロヘキサン‐1‐カルボニトリル)、2,2’‐アゾビス(2,4,4‐トリメチルペンタン)、ジメチル‐2,2’‐アゾビス(2‐メチル‐プロピオネート)、および2,2’‐アゾビス[N‐(2‐カルボキシエチル)‐2‐メチルプロピオンアミジン]水和物などのアゾ重合開始剤;過硫酸カリウムおよび過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩系重合開始剤;過酸化ベンゾイル、t‐ブチルヒドロペルオキシド、ジ‐t‐ブチルペルオキシド、t‐ブチルペルオキシベンゾエート、ジクミルペルオキシド、1,1‐ビス(t‐ブチルペルオキシ)‐3,3,5‐トリメチルシクロヘキサン、1,1‐ビス(t‐ブチルペルオキシ)シクロドデカン、および過酸化水素などの過酸化物系重合開始剤;フェニル置換エタンなどの置換エタン系重合開始剤;芳香族カルボニル化合物;ならびにレドックス系開始剤が挙げられる。重合開始剤は、単独で、または2つ以上の組み合わせで用いられてよい。
【0063】
重合開始剤の量は、本技術分野で一般的に用いられる典型的な量であり、例えば、重合されるべき全モノマー成分の100重量部に対して、約0.01から1重量部、好ましくは、0.02から0.5重量部の範囲から選択されてよい。
【0064】
重合温度は、本技術分野において一般的に知られているように、モノマーの種類、開始剤の種類などに応じて選択され、例えば、20℃から100℃の範囲であってよい。
アクリレートポリマー組成物およびアクリレートコポリマー組成物は、水を例とする媒体中に分散または乳化されてよい。この目的のために、適切ないかなる乳化剤が用いられてもよい。アニオン性乳化剤の限定されない例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、およびラウリル硫酸カリウムなどのアルキル硫酸塩タイプのアニオン性乳化剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩タイプのアニオン性乳化剤;ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル硫酸アンモニウムおよびポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩タイプのアニオン性乳化剤;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩タイプのアニオン性乳化剤;ラウリルスルホコハク酸二ナトリウムおよびラウリルポリオキシエチレンスルホコハク酸二ナトリウムなどのスルホコハク酸塩タイプのアニオン性乳化剤などが挙げられる。さらに、非イオン性乳化剤の限定されない例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルタイプの非イオン性乳化剤;ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルタイプの非イオン性乳化剤;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン‐ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどの非イオン性乳化剤;これらのおよび類似のモノマーのいずれか2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0065】
用いられるべき乳化剤の量は、アクリレートポリマーまたはアクリレートコポリマーをエマルジョンの形態で作製することができる量である限りにおいて、特に限定されない。例えば、その量は、アクリレートポリマーもしくはアクリレートコポリマー、またはそのモノマー成分の100重量部に対して、約0.3から10重量部、好ましくは、約0.5から5重量部の範囲から選択されてよい。
【0066】
本発明の接着組成物に用いられるアクリレートコポリマーは、米国、ノースカロライナ州、シャーロットのBASF社(BASF Corporation)から、ACRONAL(登録商標)V215の商品名で入手することができる。ACRONAL(登録商標)V215は、以下の仕様を有する:固形分は、68から70%;pH値は、3.5から6.0;23℃での粘度(ブルックフィールドRVT、スピンドル#3、50rpm)は、400から2000cps;密度は、約8.4ポンド/ガロン;23℃での粘度は(せん断速度 100秒
−1)、200から1000cps;平均粒子サイズは、約0.6μm;分散タイプは、アニオン性;およびガラス転移温度(DSC)は、約43℃。
【0067】
本発明の組成物において有用である別のアクリレートコポリマーは、トルコのオーガニックキミャ(Organik Kimya)から、ORGAL AX1260の商品名で販売されている。
【0068】
粘着付与剤は、感圧接着剤の技術分野で従来から用いられており、本発明で用いられてよい粘着付与剤の種類は、特に限定されない。適する可能性のある粘着付与剤の限定されない例としては、ロジン系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、炭化水素系粘着付与樹脂、エポキシ系粘着付与樹脂、ポリアミド系粘着付与樹脂、エラストマー系粘着付与樹脂、フェノール系粘着付与樹脂、ケトン系粘着付与樹脂などが挙げられる。粘着付与樹脂は、単独で、またはこれらの2つ以上の組み合わせで用いられてよい。
【0069】
ロジンは、限定はされないが主として針葉樹から得られる樹脂の固体の形態である(この入手源から得られるロジンは、ガムロジンと称される場合がある)。ロジンのその他の入手源としては、粗トール油の蒸留から得られるロジンが挙げられる(トール油ロジンと称される)。ロジンはまた、年数を経たマツの切り株から入手されてもよい(典型的には、ウッドロジンと称される)。ロジンは、主として、様々なロジン酸から成り、特に、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パルストリン酸、レボピマール酸、デヒドロアビエチン酸、ピマル酸、サンダラコピマル酸、およびイソピマル酸である。
【0070】
ロジン系粘着付与樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジン、およびトール油ロジンなどの未修飾ロジン(未加工ロジン)、ならびに水素化、不均化、重合、またはその他のプロセスによって修飾されたロジンが挙げられ得る。ロジン誘導体の限定されない例としては、未修飾ロジンのエステル化によって得られるロジンエステルおよび例えば水素化ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなどを含む修飾ロジンのエステル化によって得られるロジンエステル;未修飾ロジンまたは修飾ロジン(水素化ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)を不飽和脂肪酸で修飾することによって得られる不飽和脂肪酸修飾ロジン;ロジンエステルを不飽和脂肪酸で修飾することによって得られる不飽和脂肪酸修飾ロジンエステル;未修飾ロジン、修飾ロジン(水素化ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)、不飽和脂肪酸修飾ロジン、または不飽和脂肪酸修飾ロジンエステルのカルボキシル基を還元することによって得られるロジンアルコール;未修飾ロジン、修飾ロジン、および種々のロジン誘導体を含むロジン(特にロジンエステル)の金属塩などが挙げられる。加えて、ロジン(未修飾ロジン、修飾ロジン、および種々のロジン誘導体など)に、酸触媒の存在下でフェノールを添加し、続いて熱重合することによって得られるロジンフェノール樹脂が用いられてもよい。ロジン系粘着付与樹脂およびその製造は、当業者に周知である。従って、これらの樹脂およびその製造は、本明細書においてこれ以上詳細には記載しない。
【0071】
ロジン酸およびロジン酸系樹脂は、当業者に公知であり、多くの供給業者から市販されており、例えば、DRT(フランス)、ユーロ‐イサー(Euro-Yser)(ポルトガル)、ハリマ化成(日本)、およびイーストマンケミカルカンパニー(Eastman Chemical Company)(米国)である。
【0072】
ロジンエステル樹脂は、例えば、米国、テネシー州、キングスポートのイーストマンケミカルカンパニーから、TACOLYN(商標)3509の商品名で市販されている。TACOLYN(商標)3509樹脂分散体は、固形分55%で低表面張力を有する安定化ロジンエステルの溶媒非含有アニオン性水性分散体である。TACOLYN(商標)3509樹脂分散体は、以下の仕様を有する:平均粒子サイズは、典型的には200nm;軟化点(ハーキュレスドロップ法(Hercules drop method))は、68〜78℃;全固形分は、54〜56%;ブルックフィールド LVTD、60rpmによる25℃での粘度は、100〜500mPa・s;および密度は、典型的には1.05g/mL。
【0073】
ロジン分散体は、例えば、米国、フロリダ州のアリゾナケミカル(Arizona Chemical)から、AQUATAC(商標)XR 4343の商品名で市販されており、これは、以下の仕様を有する:環球式軟化点は、約80℃;固形分は、約60%;pHは、典型的には8.5;および粘度は、ブルックフィールド #3スピンドル、50rpm、21℃にて、典型的には500から700cpsの間。
【0074】
合成炭化水素樹脂は、石油の分解または化学処理から得られるC9またはC9/C5副生物留分の重合生成物である。このような種類の樹脂は、本技術分野にて公知であり、多くの供給業者から市販されている(例:米国、テネシー州、キングスポートのイーストマンケミカルカンパニーから、TACOLYN(商標)1070の商品名で)。
【0075】
合成テルペン樹脂は、テルペン及びフェノールの、またはテルペンおよびスチレンもしくはスチレン誘導体の分散体である。このような種類の樹脂は、本技術分野にて公知であり、多くの供給業者から市販されている(例:フランスのDRT、および米国、フロリダ州のアリゾナケミカル)。
【0076】
粘着付与剤は、粘着付与樹脂単独で構成される形態を有してよく、または水のような媒体中に溶解もしくは分散されていてもよい。水分散体タイプの粘着付与剤は、粘着付与樹脂を溶解または溶融し、続いてそれを水に分散させることによって作製されてよい。粘着付与樹脂の水での分散のために、乳化剤が用いられてよい。適切ないかなるタイプの乳化剤が用いられてもよい。アニオン性乳化剤の限定されない例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、およびラウリル硫酸カリウムなどのアルキル硫酸塩タイプのアニオン性乳化剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩タイプのアニオン性乳化剤;ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル硫酸アンモニウムおよびポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩タイプのアニオン性乳化剤;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩タイプのアニオン性乳化剤;ラウリルスルホコハク酸二ナトリウムおよびラウリルポリオキシエチレンスルホコハク酸二ナトリウムなどのスルホコハク酸塩タイプのアニオン性乳化剤などが挙げられる。非イオン性乳化剤の限定されない例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルタイプの非イオン性乳化剤;ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルタイプの非イオン性乳化剤;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン‐ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどの非イオン性乳化剤;これらのおよび類似のモノマーのいずれか2つ以上の組み合わせが挙げられる。水またはその他の媒体での粘着付与樹脂の分散のために、界面活性剤も用いられてよい。
【0077】
用いられるべき乳化剤の量は、エマルジョンの形態で粘着付与樹脂を作製することができる量である限りにおいて、特に制限されない。例えば、量は、粘着付与樹脂の総量(固形分)に対して、約0.2から10重量%、好ましくは、0.5から5重量%の範囲から選択されてよい。
【0078】
水分散タイプの粘着付与剤の作製に用いられる乳化剤は、上述した水分散タイプのアクリレートポリマーまたはアクリレートコポリマーの作製に用いられる乳化剤と同じであっても、または異なっていてもよい。
【0079】
感圧接着剤中におけるアクリレートポリマーと粘着付与樹脂との間の重量比は、特に制限されず、感圧接着剤が有することが所望される接着性の度合いに応じて選択されてよい。本発明のある実施形態では、アクリレートポリマー(またはアクリレートコポリマー)と粘着付与樹脂との間の乾燥重量比は、約9:1から約8:1の間である。他の実施形態では、比は、約8:1から約7:1の間、約7:1から約6:1の間、約6:1から約5:1の間、約5:1から約4:1の間、約4:1から約3:1の間、約3:1から約2:1の間、約2:1から約1:1の間、約1:1から約1:2の間、ならびに約1:2から約1:3の間である。
【0080】
本発明の第二のポリマーは、エチレン‐アクリル酸コポリマー、酸化ポリエチレン、酸化エチレン‐酢酸ビニルコポリマー、マレイン酸変性ポリオレフィン、およびこれらの2つ以上の組み合わせから成る群より選択される。エチレン‐アクリル酸コポリマーは、その製造と同様に当業者に周知である。このようなコポリマーは、非常に数多くの用途に用いられる。例えば、このようなコポリマーは、接着剤、コーティング、およびインクの添加剤として用いられる。エチレン‐アクリル酸コポリマーは、エチレンおよびアクリル酸モノマーの重合によって、通常はラジカル開始剤を用いて作製される。コポリマーのアクリル酸含有量は、コポリマーの極性および接着性に寄与し、その結晶性を低下させる。ポリマー中のアクリル酸モノマーサブユニットの含有量が増加するに従って、エチレン‐アクリル酸コポリマーの結晶性は低下する。コポリマー中のアクリル酸モノマーサブユニットの量、またはコポリマーの酸価は、ASTM D‐1386の方法によって特定される。酸価の高いポリマーは、アクリル酸モノマーの含有量が高い。商業グレードのエチレン‐アクリル酸コポリマーは、約40から200mgKOH/gの酸価のものが入手可能である。エチレン‐アクリル酸コポリマー中の酸性基は、水性エマルジョンの製造のための反応性部位を提供する。エチレン‐アクリル酸コポリマーの数平均分子量(Mn)は、一般的に、1500から3000の範囲であり、その重量平均分子量(Mw)は、一般的に、2000から6000の範囲である。分子エチレン‐アクリル酸コポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって特定される。ポリマーの密度は、一般的に、ASTM D‐1505の方法によって特定される場合、0.90〜1.00g/ccの範囲である。ポリマーのメトラー滴点は、ASTM D‐3954の方法によって特定される場合、一般的に、70℃〜110℃の範囲である。エチレン‐アクリル酸コポリマーの140℃での粘度は、一般的に、ブルックフィールド回転式粘度計で特定される場合、200〜1000cpsの範囲である。エチレン‐アクリル酸コポリマーの25℃での硬さは、一般的に、ASTM D‐5の方法によって特定される場合、1〜50dmmの範囲である。
【0081】
エチレン‐アクリル酸コポリマーは、例えば、ハネウェルインターナショナル社から、A‐C(登録商標)5120として市販されている。A‐C(登録商標)5120は、以下の仕様を有する:酸価は、112から130mgKOH/g;25℃での押込み硬さ値は、15dmm未満(典型的には8dmm);140℃での粘度(ブルックフィールド)は、600cps;滴点(メトラー)は、92℃;および密度は、0.93g/cc。
【0082】
酸化エチレン‐酢酸ビニルコポリマーは、その製造と同様に当業者に周知である。酸化エチレン‐酢酸ビニルコポリマーは、カルボン酸、ヒドロキシル、ケトン、およびエステル基などの極性基をポリマー分子中に含有する。このポリマーは、上昇された温度での酸素(典型的には空気として供給される)によるエチレン‐酢酸ビニルコポリマーの酸化によって作製される。酸化エチレン‐酢酸ビニルコポリマーは、半結晶性材料であり、カルボン酸の他に様々な極性基を含有し、そのすべてが、酸化エチレン‐酢酸ビニルコポリマーの接着性および水相溶性に寄与している。このようなコポリマーは、非常に数多くの用途に用いられる。例えば、このようなコポリマーは、接着剤、コーティング、およびインクの添加剤として用いられる。酸化エチレン‐酢酸ビニルコポリマーの酸含有量またはコポリマーの酸価は、ASTM D‐1386の方法によって特定される。商業グレードの酸化エチレン‐酢酸ビニルコポリマーは、約8〜30mgKOH/gの酸価のものが一般的に入手可能である。このコポリマー中の酸性基は、水性エマルジョンを作製するための反応性部位を提供する。酸化ポリエチレンの数平均分子量(Mn)は、一般的に、1500から4000の範囲であり、その重量平均分子量(Mw)は、一般的に、4000から15000の範囲である。MnおよびMwのいずれの場合も、酸化エチレン‐酢酸ビニルコポリマーの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって特定される。コポリマーの密度は、一般的に、ASTM D‐1505の方法によって特定される場合、0.85〜1.00g/ccの範囲である。コポリマーのメトラー滴点は、ASTM D‐3954の方法によって特定される場合、一般的に、75℃〜110℃の範囲である。コポリマーの140℃での粘度は、ブルックフィールド回転式粘度計で特定される場合、250〜1500cpsの範囲である。ポリマーの硬さは、一般的に、ASTM D‐5の方法によって特定される場合、3〜80dmmの範囲である。
【0083】
酸化エチレン‐酢酸ビニルコポリマーは、例えば、ハネウェルインターナショナル社から、商品名A‐C(登録商標)645Pとして市販されている。A‐C(登録商標)645Pは、以下の仕様を有する:酸価は、12から16mgKOH/g;25℃での硬さは、4から7dmm;140℃での粘度(ブルックフィールド)は、375cps;滴点(メトラー)は、99℃;および密度は、0.94g/cc。
【0084】
酸化ポリエチレンは、その製造と同様に当業者に周知である。酸化ポリエチレンは、カルボン酸、ケトン、ヒドロキシル、およびエステル基などの極性基を含有し、これらは、ポリマーの接着性および水相溶性に寄与している。酸化ポリエチレンは、上昇された温度での酸素(典型的には空気として供給される)によるポリエチレン(低密度、中密度、および高密度のタイプ)の酸化によって作製される。酸化ポリエチレンは、半結晶性材料である。このようなポリマーは、非常に数多くの用途に用いられる。例えば、このようなコポリマーは、接着剤、コーティング、およびインクの添加剤として用いられる。このようなポリマーの酸含有量またはポリマーの酸価は、ASTM D‐1386の方法によって特定される。商業グレードの酸化ポリエチレンは、約10から45mgKOH/gの酸価のものが一般的に入手可能である。このポリマー中の酸性基は、水性エマルジョンを作製するための反応性部位を提供する。酸化ポリエチレンの数平均分子量(Mn)は、一般的に、800から6000の範囲であり、その重量平均分子量(Mw)は、一般的に、1500から20000の範囲である。酸化ポリエチレンの分子量は(MnおよびMwのいずれの場合も)、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって特定される。ポリマーの密度は、一般的に、ASTM D‐1505の方法によって特定される場合、0.85から1.00g/ccの範囲である。ポリマーのメトラー滴点は、ASTM D‐3954の方法によって特定される場合、85℃から145℃の範囲である。ポリマーの140℃での粘度は、一般的に、ブルックフィールド回転式粘度計で特定される場合、35から100000cpsの範囲である。ポリマーの硬さは、一般的に、ASTM D‐5の方法によって特定される場合、0.5dmm未満から100dmmの範囲である。
【0085】
酸化ポリエチレンポリマーは、例えば、ハネウェルインターナショナル社から、商品名A‐C(登録商標)655として市販されている。A‐C(登録商標)655は、以下の仕様を有する:酸価は、14から17mgKOH/g;25℃での硬さは、2から3dmm;140℃での粘度(ブルックフィールド)は、210cps;滴点(メトラー)は、107℃;および密度は、0.93g/cc。ハネウェルインターナショナル社から市販されている別の酸化ポリエチレンポリマーは、商品名A‐C(登録商標)656として販売されている酸化ポリエチレンである。A‐C(登録商標)656は、以下の仕様を有する:25℃での硬さは、8から12dmm;滴点(メトラー)は、98℃;密度は、0.92g/cc;140℃での粘度(ブルックフィールド)は、185cps;および酸価は、14から17mgKOH/g。
【0086】
マレイン酸変性ポリオレフィンは、その製造と同様に当業者に周知である。マレイン酸変性ポリオレフィンは、ポリマー分子中に極性基を含有する。マレイン酸変性ポリオレフィンは、過酸化物を用いて無水マレイン酸をポリオレフィンにグラフトすることによって作製されてよい。マレイン酸変性ポリオレフィンは、半結晶性材料である。それは、非常に数多くの用途に用いられる。例えば、このようなコポリマーは、接着剤、コーティング、およびインクの添加剤として用いられる。無水マレイン酸は、極性、接着性に寄与し、結晶性を低下させる。ポリマーの無水マレイン酸含有量またはそのけん化価もしくは酸価は、ASTM D‐1386の方法によって特定される。高いけん化価を有するポリマーは、無水マレイン酸の含有量が高い。商業グレードのマレイン酸変性ポリオレフィンは、約5から100のけん化価のものが一般的に入手可能である。ポリマー中の無水マレイン酸基は、ポリマーの水性エマルジョンを作製するための反応性部位を提供する。マレイン酸変性ポリオレフィンの数平均分子量(Mn)は、一般的に、2000から6000の範囲であり、その重量平均分子量(Mw)は、一般的に、5000から20000の範囲である。分子量は(MnおよびMwのいずれの場合も)、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって特定される。ポリマーの密度は、一般的に、ASTM D‐1505の方法によって特定される場合、0.90から1.00g/ccの範囲である。ポリマーのメトラー滴点は、一般的に、ASTM D‐3954の方法によって特定される場合、100℃から160℃の範囲である。マレイン酸変性ポリエチレンの140℃での粘度は、一般的に、ブルックフィールド回転式粘度計で特定される場合、500から5000cpsの範囲である。マレイン酸変性ポリプロピレンの190℃での粘度は、一般的に、ブルックフィールド回転式粘度計で特定される場合、300から3000cpsの範囲である。ポリマーの硬さ値は、ASTM D‐5の方法によって特定される場合、0.5dmm未満から15dmmの範囲である。
【0087】
マレイン酸変性ポリオレフィンは、例えば、ハネウェルインターナショナル社から市販されている。
アクリレートポリマーまたはアクリレートコポリマー、ロジンエステル、および本発明の第二のポリマーの組み合わせ、混合物、分散体、またはエマルジョンを作製するプロセスの限定されない例は、以下の実施例において記載される。
【0088】
本発明の接着組成物、特に、接着エマルジョンのある実施形態では、第一のポリマーは、組成物の総乾燥重量の約50重量%から約99重量%の間の濃度で存在し;粘着付与剤は、組成物の総乾燥重量の約0重量%から約40重量%の間の濃度で存在し;第二のポリマーは、組成物の総乾燥重量の約1重量%から約17.5重量%の間の濃度で存在する。本発明の他の実施形態では、第一のポリマーは、組成物の総乾燥重量の約59重量%から約65重量%の間の濃度で存在する。本発明の他の実施形態では、第一のポリマーは、組成物の総乾燥重量の約65重量%から約75重量%の間の濃度で存在する。本発明の他の実施形態では、第一のポリマーは、組成物の総乾燥重量の約75重量%から約85重量%の間の濃度で存在する。本発明の他の実施形態では、第一のポリマーは、組成物の総乾燥重量の約85重量%から約99重量%の間の濃度で存在する。本発明のある実施形態では、粘着付与剤は、組成物の総乾燥重量の約0重量%から約10重量%の間の濃度で存在する。本発明の他の実施形態では、粘着付与剤は、組成物の総乾燥重量の約10重量%から約20重量%の間の濃度で存在する。本発明の他の実施形態では、粘着付与剤は、組成物の総乾燥重量の約20重量%から約30重量%の間の濃度で存在する。本発明の他の実施形態では、粘着付与剤は、組成物の総乾燥重量の約30重量%から約40重量%の間の濃度で存在する。本発明のある実施形態では、第二のポリマーは、組成物の総乾燥重量の約1重量%から約4重量%の間の濃度で存在する。本発明の他の実施形態では、第二のポリマーは、組成物の総乾燥重量の約4重量%から約8重量%の間の濃度で存在する。本発明の他の実施形態では、第二のポリマーは、組成物の総乾燥重量の約8重量%から約12重量%の間の濃度で存在する。本発明の他の実施形態では、第二のポリマーは、組成物の総乾燥重量の約13重量%から約17.5重量%の間の濃度で存在する。本発明の他の実施形態では、第二のポリマーは、組成物の総乾燥重量の約17.5重量%から約30重量%の間の濃度で存在する。
【0089】
さらなる実施形態では、接着されるべき部材の表面は、本発明の接着組成物の適用前に、適切な公知のまたは従来の表面処理が施されてよく、例えば、コロナ放電処理またはプラズマ処理などの物理的処理、下塗り処理または裏面処理などの化学的処理などである。
【0090】
本明細書で用いられる場合、「ワックス」の用語は、ハネウェルインターナショナル社から以下の商品名:A‐C(登録商標)5120、A‐C(登録商標)645P、A‐C(登録商標)655、およびA‐C(登録商標)656として市販されている製品などのポリマー製品を意味する。
【0091】
以下の例は、本発明をさらに説明するものであるが、いかなる形であっても、本発明の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
実施例
例1:感圧接着剤および感圧接着ラベルの作製
ジャケット付き容器を、95〜100℃の温度に予備加熱した。温度は、約115〜120℃の温度のオイルを含有するオイルジャケットによって制御した。次に、320gの水を容器に添加し、温度を96〜99℃に調節した。撹拌(Lightning RS500 のこぎり歯タイプブレードを用いる)を開始し、少量の水酸化カリウムを添加して、5分間水と混合した。次に、アルキルエーテルホスフェートエステルおよびリン酸を含有する少量(約2%未満)の界面活性剤JPHOS(登録商標)1066(英国、マンチェスターのJ1テクノロジーズ社(J1 Technologies Ltd.)から市販)を添加し、5分間水と混合して、エマルジョンの水相を形成した。ハネウェルインターナショナル社からA‐C(登録商標)5120の商品名で市販されているエチレン‐アクリル酸コポリマー、または前記コポリマーとハネウェルインターナショナル社からA‐C(登録商標)656の商品名で市販されている酸化ポリエチレンポリマーとの25:75混合物を、添加剤(5重量/重量%の工業用ホワイトオイル)と共に約110〜115℃の温度で予備溶融した。この材料を、溶融後、続いて低速度の撹拌によって混合した。次に、撹拌速度を960〜1000RPMに上昇させ、この溶融ワックス相を、3〜5分間かけて、水相(上記参照)を含有するミキサーの中央部に添加した。温度は97〜99℃に維持した。こうして、プレエマルジョンがこの段階で形成され、さらに5分間混合した。16gの水酸化カリウムを、1〜2分間かけて添加した。この段階で、水酸化カリウムの添加に従って、粘度の少しずつの上昇が見られた。混合をさらに5分間継続した。得られたエマルジョンの平均粒子サイズは、0.3〜0.6ミクロンの範囲であった。この高粘度エマルジョンのpHを、次に、粒子サイズに影響を与えることなく調節した。具体的には、全エマルジョンの1%(体積/体積)の量という少量の85%酢酸を、別の容器中の60gの熱水(温度は80〜90℃の範囲であった)に添加し、得られた混合物を撹拌した。この希釈酢酸を、次に、1〜2分間かけて粘稠エマルジョン(上記参照)に添加した。エマルジョンは低粘度となり、その粘度は、劇的に低下した。最終生成物を、容器のジャケットを用いてまず冷却し、次に、シンクまたはインライン冷却器で35℃に急冷した。温度が35℃未満となった後、少量の殺生物剤を生成物に添加した。次に、生成物を200ミクロンフィルターでろ過して、本発明の第二のポリマーb)に相当する乳化ポリマー粒子を作製した。第二のポリマーb)のエマルジョンの最終仕様は、以下の通りであった:固形分は、約56%;粘度は、350から1500cps(60RPM ブルックフィールド、No.3スピンドル);pHは、8〜8.5;D50粒子サイズは、0.35から0.6ミクロン。本明細書で述べるその他のワックス(A‐C(登録商標)655、A‐C(登録商標)645P)のエマルジョンは、類似のプロセスを用いて作製することができる。
【0092】
アクリレートポリマーまたはコポリマーエマルジョンの形態の第一のポリマー成分(a)を次に提供し、pHは、7.5〜8.0に調節し、分散させた粘着付与樹脂を、低速撹拌(200〜400RPM)を行いながら、1〜2分間かけてゆっくり添加した。5分後、ワックスエマルジョン(上記参照)を、1〜2分間かけて添加し、得られた混合物を5分間撹拌した。湿潤剤(LUMITIN(登録商標)ISC(BASF))を添加し、所望に応じて水も添加して、所望される粘度に到達させた。この接着剤を、60RPM、ブルックフィールド、3番スピンドル、60RPMでの300〜800cpsに調節した。次に、種々の接着剤を、本技術分野にて一般的に知られる手順に従ってラベルに適用し、ラベルを、本明細書の他所で示されるように試験した。
【0093】
アクリレートポリマーまたはコポリマー、粘着付与樹脂、ならびにエチレン‐アクリル酸コポリマー、酸化ポリエチレン、酸化エチレン‐酢酸ビニルコポリマー、マレイン酸変性ポリオレフィン、およびこれらの2つ以上の組み合わせから成る群より選択される第二のポリマーの相対濃度が異なる接着剤を、適切な量の出発物質を用いて作製した。例えば、以下の例2で述べる接着剤は、米国、ノースカロライナ州、シャーロットのBASFコーポレーションからACRONAL(登録商標)V215の商品名で市販されているアクリレートコポリマーの72部(重量部)を、米国、テネシー州、キングスポートのイーストマンケミカルカンパニーからTACOLYN(商標)3509の商品名で市販されているロジンエステル樹脂の約14部から約28部(重量部)、およびハネウェルインターナショナル社からA‐C(登録商標)5120の商品名で市販されているエチレン‐アクリル酸コポリマーの0から約14部(重量部)と組み合わせて合計で100部とすることによって作製した。最終接着剤中におけるこれらの異なる成分の量は、本技術分野で標準的である公知の技術を用いて特定されてよい。
【0094】
例2:粘着ラベルの試験
上記例1で述べた異なる感圧接着剤を含有する粘着テープを、ステンレス鋼上での耐せん断性(せん断)、低密度ポリエチレン(タックポリ)およびステンレス鋼(タックSS)に対するループタック、ならびにボール紙(剥離ボール紙)および低密度ポリエチレン(剥離ポリ)に対する剥離接着性について試験した。測定は上述の通りに行ったが、但し、
図1に示されるように、接着体(adherent)として、ステンレス鋼を低密度ポリエチレンおよびボール紙に交換した。
図1は、米国、ノースカロライナ州、シャーロットのBASFコーポレーションからACRONAL(登録商標)V215の商品名で市販されているアクリレートコポリマーの約72重量%(接着剤の総重量に対して)を含有する感圧接着剤の、異なる基材に対する接着性を示す。加えて、感圧接着剤は、米国、テネシー州、キングスポートのイーストマンケミカルカンパニーからTACOLYN(商標)3509の商品名で市販されているロジンエステル樹脂、およびハネウェルインターナショナル社からA‐C(登録商標)5120の商品名で市販されているエチレン‐アクリル酸コポリマーを、示した重量%(接着剤の総重量に対して)で含有する。測定値の単位は、ニュートン/インチ(約2.5cm;剥離およびタック)、および時間(せん断)である。異なる接着剤に関して、試験結果がヒストグラムで示されている順序は、異なる接着剤がヒストグラムの下にある凡例で記載される順序に対応している(左から右、上から下;これは
図2〜6にも当てはまる)。最も多い量のA‐C(登録商標)5120製品を含有する2つの接着剤のせん断接着性を反映しているバーは、この図のヒストグラムのスケールが小さいことによって切れている。これらの接着剤のせん断接着性を正しく反映するスケールを大きくしたヒストグラムを、
図2に示す。せん断接着性は、ステンレス鋼への接着性に基づいて特定した。ループタックは、低密度ポリエチレン(タックポリ)またはステンレス鋼(タックSS)に対する接着性に基づいて特定した。剥離接着性は、低密度ポリエチレン(剥離ポリ)またはボール紙(剥離ボール紙)に対する接着性に基づいて特定した。
【0095】
次に、感圧接着テープを、100%相対湿度中、50℃で3日間エージングし、上述したように、低密度ポリエチレンに対する及びループタック(タックポリ)、およびボール紙に対する剥離接着性(剥離ボール紙)について試験した(
図3)。
【0096】
ACRONAL(登録商標)V215製品の代わりにトルコのオーガニックキミャからORGAL AX1260の商品名で市販されているアクリレートコポリマーを含有する感圧接着剤により、類似の試験を行った(
図4および5)。10%のA‐C(登録商標)5120ワックス製品を含むエージング後の接着剤に関するデータ点はない(
図5)。
【0097】
米国、ノースカロライナ州、シャーロットのBASFコーポレーションからACRONAL(登録商標)V215の商品名で市販されているアクリレートコポリマーの約65重量%(接着剤の総重量に対して)、米国、フロリダ州のアリゾナケミカルからAQUATAC(商標)XR 4343の商品名で市販されているロジン分散体の約25重量%(接着剤の総重量に対して)、およびハネウェルインターナショナル社からA‐C(登録商標)5120の商品名で市販されているエチレン‐アクリル酸コポリマーとハネウェルインターナショナル社からA‐C(登録商標)656の商品名で市販されている酸化ポリエチレンポリマーとの25:75混合物の約10重量%(接着剤の総重量に対して)を含有する感圧接着剤により、やはり類似の試験を行った(
図6)。
図6は、
図1の元となっている測定結果と類似の測定結果を示す。SSは、ステンレス鋼を表し、LDPEは、低密度ポリエチレンを表す。
【0098】
上記測定から、A‐C(登録商標)5120ワックス製品を含有する接着剤が、含有しない接着剤よりも非常に良好な耐せん断性を有していたことが示される。例えば、
図1および2から分かるように、14%のA‐C(登録商標)5120ワックス製品を含む接着剤は、ほぼ120時間の耐せん断性を有していた一方で、それを含まない接着剤は、僅かに約8時間の耐せん断性を有していた。エージング後、A‐C(登録商標)5120ワックス製品を含有する接着剤は、それを含まない接着剤よりも明らかに非常に良好に機能した。
【0099】
例3:その他の感圧接着剤
ハネウェルインターナショナル社からA‐C(登録商標)645PおよびA‐C(登録商標)655の商品名で市販されているポリマー製品を含む感圧接着剤も作製する。これらの感圧接着剤は、例1で提供される情報に従って製造し、上記の通りの試験を施す。
【0100】
例4:ロジンを含まない感圧接着剤
ロジン粘着付与樹脂を含有しない感圧接着剤も作製する。これらの接着剤は、アクリル酸、ブチルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、オクチルアクリレート、スチレン、酢酸ビニル、およびこれらの2つ以上の組み合わせから成る群より選択される重合されたモノマーを含むアクリレートポリマーまたはコポリマーである第一のポリマー;ならびにエチレン‐アクリル酸コポリマー、酸化ポリエチレン、酸化エチレン‐酢酸ビニルコポリマー、マレイン酸変性ポリオレフィン、およびこれらの組み合わせから成る群より選択される第二のポリマーのみを含有する。これらの感圧接着剤は、例1で提供される情報に従って製造し、上述した通りの試験を施す。
【0101】
例5:ヒートシール接着剤
2つの水性ヒートシール接着剤を、評価のために作製する。サンプルA(コントロール)は、エチレン‐酢酸ビニルエマルジョン(固形分60%)である。サンプルBは、90%のエチレン‐酢酸ビニルエマルジョン(サンプルA)および10%の低分子量エチレン‐アクリル酸コポリマー(ハネウェル製A‐C(登録商標)5120)エマルジョン(固形分53%)のブレンドである。これらのエマルジョンを、2ミルのアルミニウムホイルに塗布し、強制空気オーブン中105℃で乾燥し、30gmの塗布量を得る。塗布済みホイルを、個々の小片(1インチ×6インチ)に切断し、次にこれらを、2秒間の保持時間および80℃の温度を用いて、未塗布アルミニウムホイルに60psiでヒートシールする。72°Fおよび相対湿度50%で24時間コンディショニングした後、これらの積層体を、引張試験機を用い、12インチ/分の速度で層剥離させる。剥離力を測定し、記録する。サンプルBは、サンプルAよりも25%高い剥離接着性を示している。
【0102】
例6:水性アクリル感圧接着剤のレオロジー
ACRONAL(登録商標)V215(BASF)は、糊付きラベルおよびテープの作製に広く用いられている、固形分69%で供給される一般的な水性アクリル感圧接着剤である。このACRONAL(登録商標)V215を、15重量%のアクリル酸およびおよそ2000ダルトンの数平均分子量を有するエチレン‐アクリル酸(EAA)コポリマーの40%固形分エマルジョンと組み合わせて、安定な水性接着剤組成物A、B、C、およびDを得た。サンプルを、シリコーンゴム型に注入し、乾燥して、レオロジー評価に適する乾燥接着剤片を得た。
【0103】
動的機械的分析を、ステンレス鋼パラレルプレートジオメトリ(8mm径、測定ギャップ1000μm)を備えたTAインスツルメンツ(TA Instruments)のAR2000レオメーターを用い、振動周波数1.0Hzおよび適用最大歪0.050%で行った。各測定において、固定の温度勾配(2.5℃/分)をサンプルに適用して、その粘弾特性を温度の関数として評価可能とした。
【0104】
結果を、−25、0、および25℃のデータを含む表1に示す。
【0106】
接着剤A、B、C、およびDの粘弾性バランス(損失係数値で示される)は、粘着性能と一致していることが見出されたが、接着剤B、C、およびDの弾性率ならびに粘性率は、接着剤Aのそれらよりも非常に大きいことが見出された。従って、接着剤B、C、およびDは、エチレン‐アクリル酸コポリマーを含めた結果として、より優れた接合および耐荷重性能を提供する。
【0107】
例7:水性酢酸ビニルエチレンアクリル酸エステル接着剤の接着剤性能
MOWILITH(登録商標)LDM1365(セラニーズ(Celanese))は、固形分60%で供給される、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、およびエチレンに基づく(VAE)水性コポリマー分散体である。これは、紙および包装市場のための接着剤の配合において広く用いられている原材料である。MOWILITH(登録商標)LDM1365を、エチレン‐アクリル酸コポリマーエマルジョン、湿潤剤、および水と組み合わせて、水性接着剤組成物XおよびYを、およそ55%の固形分で得た。エチレン‐アクリル酸コポリマーのエマルジョンを、固形分53%で作製し、15重量%のアクリル酸およびおよそ2000ダルトンの数平均分子量を有するコポリマーであることを特徴としていた。湿潤剤、JMULSE(登録商標)1444B3(J1テクノロジーズ)は、0.7%でこの水性混合物中に含まれていた。試験のために、接着剤コーティングを、25μmのポリエステルフィルム上に、一定の乾燥コート重量(24gsm)で作製した。これらのコーティングの剥離、ループタック、プローブタック、およびせん断特性を、充分に確立された試験方法に従って評価した。表2を参照されたい。
【0109】
修飾接着剤(Y)の特性は、未修飾品(X)の特性よりも優れていることが見出された。
例8:水性酢酸ビニルエチレンアクリル酸エステル接着剤のレオロジー
動的機械的分析を行って、接着剤XおよびY(例7に記載)の粘弾特性を特定した。サンプルを、シリコーンゴム型に注入し、乾燥して、試験に適する乾燥接着剤片を得た。ステンレス鋼パラレルプレート形状(8mm径、測定ギャップ1000μm)を備えたTAインスツルメンツのAR2000レオメーターを用い、振動周波数1.0Hzおよび適用最大歪0.025%で測定を行った。各測定において、固定の温度勾配(1.0℃/分)をサンプルに適用して、その特性を温度の関数として評価可能とした。結果を表3に示す。
【0111】
エチレン‐アクリル酸コポリマーを接着剤に含めることにより、その粘弾性バランス(損失係数値で示される)は改変されなかったが、接着剤Yの弾性率ならびに粘性率は、接着剤Xのそれらよりも非常に大きいことが見出された。従って、接着剤Yは、その修飾の結果として、より優れた接合および耐荷重性能を提供する。
【0112】
例9:粘着付与水性接着剤の接着剤性能
粘着付与水性アクリル感圧接着剤にエチレン‐アクリル酸コポリマーエマルジョンを組込んだ場合の影響について考察した。接着剤ベースは、ACRONAL(登録商標)V215(BASF)、水性アクリル感圧接着剤、EMULTROL(登録商標)E177(コンセントロールケミカルスペシャリティズ(ConcentrolChemical Specialities))、ロジンエステル粘着付与剤の水性分散体、および湿潤剤のJMULSE(登録商標)1444B3(J1テクノロジーズ)、を用いて配合し、これに、エチレン‐アクリル酸コポリマーのエマルジョンを添加した。接着剤ベースの組成は、ACRONAL(登録商標)V215(100.0重量部)、EMULTROL(登録商標)E177(40.5重量部)、およびJMULSE(登録商標)1444B3(1.3重量部)であった。この接着剤ベースを、15重量%のアクリル酸およびおよそ2000ダルトンの数平均分子量を有するコポリマーであることを特徴とする固形分53%で作製されたエチレン‐アクリル酸コポリマーエマルジョンと組み合わせた。次に、感圧積層体を作製した。湿潤状態の接着剤を、シリコーン被覆剥離ライナーに適用し、実験用オーブンで乾燥することで均一な乾燥接着剤コーティング(20gsm)が得られ、これを80gのフェイスペーパー(face paper)に積層した。得られた積層体を、23±1℃/50±5%RHでコンディショニングし、その後、充分に確立された手順に従って試験を行った。表4を参照されたい。
【0114】
修飾接着剤(LおよびM)の剥離、タック、およびせん断性能は、未修飾接着剤(K)の性能よりも優れていることが見出された。
例10:水性アクリル接着剤の接着剤性能
接着剤HKJ23(アドヒシボス(Adhesivos))は、固形分約53.5%で供給される水性アクリルコポリマー分散体である。これは、紙、ポリオレフィンラベル、およびデカルコマニア市場のための接着剤の配合において広く用いられている原材料である。接着剤HKJ23を、エチレン‐アクリル酸コポリマーエマルジョンおよびエチレン‐アクリル酸コポリマー(25%)/酸化ポリエチレン(75%)分散体と組み合わせて、水性接着剤組成物を、およそ55%の固形分で得た。エチレン‐アクリル酸コポリマーのエマルジョンを、固形分53%で作製し、15重量%のアクリル酸およびおよそ2000ダルトンの数平均分子量を有するコポリマーであることを特徴としていた。エチレン‐アクリル酸コポリマー(25重量%)および酸化ポリエチレン(75重量%)のエマルジョンを、およそ50%の固形分で作製し、その数平均分子量は、およそ1300であると特定された。配合を、表5Aに列挙する。試験のために、接着剤コーティングを、25μmのポリエステルフィルム上に、一定の乾燥コート重量(24gsm)で作製した。これらの剥離、ループタック、およびせん断特性を、充分に確立された試験方法に従って評価した。表5Bを参照されたい。
【0116】
修飾接着剤(Q、R、S、およびT)の特性は、未修飾の製品(P)の特性よりも優れていることが見出された。
例11:EAAエマルジョン、A‐C(登録商標)5120エマルジョンを作製するためのプロセス
【0118】
プロセスの記載:
ワックスおよび工業用ホワイトオイルを予備ブレンドし、一晩オーブン中で110〜115℃に維持した。このワックス/オイルを、配合に使用する前に、簡便な実験用ミキサーを用いて5分間混合した。
【0119】
プロセスの開始前に、エマルジョン容器を予備加熱した。オイルの温度を120℃に設定した。熱水の添加後、分散容器を15分間安定化させた。95℃+の熱水を容器に添加し、撹拌器ブレードを、580RPMで作動するように設定した。これを15分間混合した。第一のKOHを添加し、5分間混合した。JMULSE(登録商標)3527(J1)を添加し、やはり5分間混合した。この段階で温度を確認し、正常に92〜95℃であることが分かった。ワックス/工業用ホワイトオイルを、110〜115℃の温度で4〜5分間にわたり、定常流で添加した。この段階で温度が上昇し、温度のいかなる上昇または低下をも相殺するように加熱オイルを調節することが重要であることが分かった。ワックスの添加では、ミキサー速度を960RPMに上昇させた。ワックス添加後の温度は、正常に97〜99℃であることが分かった。ワックス添加の完了後、生成物を5分間保持した。この段階で、温度は95〜99℃であった。第二のKOHを、2〜3分間にわたってゆっくり添加した。この段階で、エマルジョンの必要性が大きく上昇した。KOH添加の完了後、生成物を960RPMで10分間保持した。温度を95〜99℃に維持した(沸騰しないように維持する必要がある)。プロセスの最後に、酢酸および熱水の溶液を添加した。水の温度は、少なくとも85℃であった。これを、2〜3分間にわたって定常流で添加し、冷却を、エマルジョンの温度が45℃未満に低下するように設定した。これには、通常、45分間掛かる。5分間の混合後、分散機の速度を580RPMに低下させた。温度が50℃未満に下がったところで、JMULSE(登録商標)1444B3を定常流で添加した。生成物が45℃に到達するまで冷却を継続し、次に、生成物を排出した。最終エマルジョンを、密封容器中で30〜35℃まで冷却し、100メッシュを通してろ過し、密封サンプル容器に入れた。
【0120】
最終生成物に殺生物剤を添加した。それは、添加用に水で10/1に希釈した。この段階で生成物が非常に粘稠であると思われる場合は、皮張り(skinning)を防ぐために追加の水を添加してよい。最終段階の過程で皮張りが発生した場合、生成物を再度ろ過してよい。
【0121】
仕様:
固形分 54〜56%
pH 7.5〜8.5
粘度 350〜800Cps、60RPM 3番スピンドル ブルックフィールドにて
粒子サイズ 典型的には、0.3/0.4ミクロン X50
例12:PCP002、A‐C(登録商標)5656/A‐C(登録商標)5120エマルジョンを作製するためのプロセス
【0123】
プロセスの記載:
2つのワックス成分(A‐C(登録商標)656およびA‐C(登録商標)5120)を、工業用ホワイトオイルと予備ブレンドし、一晩オーブン中で110〜115℃に維持した。このワックス/オイルを、配合に使用する前に、簡便な実験用ミキサーを用いて5分間混合した。プロセスの開始前に、エマルジョン容器を予備加熱した。オイルの温度を120℃に設定した。熱水の添加後、分散容器を15分間安定化させた。
【0124】
95℃+の熱水を容器に添加し、撹拌器ブレードを、580RPMで作動するように設定した。これを15分間混合した。KOHを添加し、5分間混合した。第一のJPHOS(登録商標)1066を添加し、やはり5分間混合した。この段階で温度を確認し、正常に92〜95℃であることが分かった。ワックス/工業用ホワイトオイルを、110〜115℃の温度で4〜5分間にわたり、定常流で添加した。この段階で温度が上昇し、温度のいかなる上昇または低下をも相殺するように加熱オイルを調節することが重要であることが分かった。ワックスの添加では、ミキサー速度を960RPMに上昇させた。ワックス添加後の温度は、正常に97〜99℃であることが分かった。ワックス添加の完了後、生成物を5分間保持した。この段階で、温度は95〜99℃であった。第二のJPHOS(登録商標)1066を、2〜3分間にわたってゆっくり添加した。この段階で、エマルジョンのVISが上昇した。
【0125】
第二のJMULSE(登録商標)添加の完了後、生成物を960RPMで10分間保持した。温度を95〜99℃に維持した(沸騰しないように維持する必要がある)。次に、冷却を施し、高速混合を継続しながら、生成物を85〜88℃まで冷却した。プロセスの最後に、酢酸および熱水の溶液を添加した。水は、少なくとも85℃であった。これを、2〜3分間にわたって定常流で添加し、冷却を、エマルジョンの温度が45℃未満に低下するように設定した。これには、通常、45分間掛かる。5分間の混合後、分散機の速度を580RPMに低下させた。生成物の温度が50℃未満に下がったところで、JMULSE(登録商標)1444B3を定常流で添加した。生成物を、45℃まで継続して冷却し、次に、排出した。最終エマルジョンを、密封容器中で30〜35℃まで冷却し、100メッシュを通してろ過し、密封サンプル容器に入れた。最終生成物に殺生物剤を添加した。それは、添加用に水で10/1に希釈した。この段階で生成物が非常に粘稠であると思われる場合は、皮張りを防ぐために追加の水を添加してよい。最終段階の過程で皮張りが発生した場合、生成物を再度ろ過してよい。
【0126】
生成物の仕様:
固形分 50〜52%
pH 7.5〜8.5
粘度 350〜800cps、60RPM 3番スピンドル ブルックフィールドにて
粒子サイズ 典型的には、0.7ミクロン X50
例13:例11、例12、およびA‐C(登録商標)ポリマー添加剤のエマルジョンのキミグラフ(Chimigraf)製フレキソインク配合での試験
キミグラフ製のコントロールフレキソインク配合である配合Aを、40部の顔料(キミグラフ製BLUE 206 HC CUAT)および60部のワニス(やはりキミグラフ製VARNISH COMPLEMEMT 07)を混合し、スピードミキサーを用いて3000rpmで2分間撹拌することによって作製した。配合B〜K(下記表参照)は、例11のエマルジョン(SF A‐C(登録商標)512エマルジョン)、例12のエマルジョン、または他のA‐C(登録商標)ポリマーエマルジョンの5から25部を、それぞれ5および25%の投入量で追加で配合Aに添加し、3000rpmで30秒間高速混合することによって作製した。
【0127】
例14:コーティングの1時間および4時間後の接着性(テープ試験)
サンプルに対する接着性試験を、格子スコアリング(lattice scoring)を用いて行い、SCOTCH(登録商標)610接着テープを押し付け、次に、遅い引き剥がしおよび速い引き剥がしの2つの異なる速度で取り除いた。サンプルは、0から5で評価し、材料の除去がない場合を0、ほとんどの材料が除去された場合を5とした。サンプルは、1時間の空気乾燥後に試験し、さらに3時間、合計で4時間の乾燥後に再度試験した。写真(
図7)は、接着破壊を示す例を示す。透明テープ上の青色のスポット(
図7B)は、青色印刷から除去されたものであり、青色フィルム上の白色スポット(
図7A)は、印刷から青色が除去されて透明テープに移った結果であった。
【0128】
例15:水への浸漬前後におけるサザーランド耐摩擦性(Sutherland rub resistance)
サザーランド摩擦試験を、ベッド部にテープで貼り付けたサンプルおよび4ポンドの試験用おもりにテープで貼り付けたコースホワイトタイピング紙(course white typing paper)を用い、400サイクルで行った。サンプルを24時間空気乾燥させ、続いて初期サンプルに試験を施し、ならびにサンプルを2℃の水のバケツに4時間、および周囲温度の水のバケツに24時間、別々に入れ、その後試験した。サンプルは、紙に移行したインクの量について0から5のスケールで評価し、色移りがない場合を0、インクの移行が激しい場合を5とした。ほとんどのサンプルは、淡い(2)から非常にかすか(1)であり、激しい縞模様に対してポイントを付加した。
【0132】
追加の観察事項:
すべてのサンプルは、爪スクラッチ試験に合格した。
配合EにおいてA‐C(登録商標)5120エマルジョン(例11)の25%との、および配合Bにおいて例12のエマルジョンの5%との混合/混和性のいくつかの軽微な問題により、サンプルに若干の斑点じみが、および摩擦試験で縞模様が発生した。いくつかのサンプルでは、接着性試験において、フィルム表面上の顔料であると考えられる粉末状の剥がれを起こした。
【0133】
例16:エチレン-アクリル酸コポリマーの界面活性剤非含有エマルジョン
例16は、40重量%のコポリマーで配合された単一のエチレンアクリル酸コポリマーの水中油型エマルジョンである。このコポリマーは、15重量%のアクリル酸を有し、およそ2000ダルトンの数平均分子量を有する。このコポリマーの界面活性剤非含有エマルジョンは、塩基を用いることによるコポリマーのそのセッケンへの部分的変換によって簡便に作製した。この特定の例では、水酸化アンモニウムを用いたが、多くのその他の無機および有機塩基が適している。例16の配合を表6に記載する。
【0135】
エマルジョンは、エチレンアクリル酸コポリマー(40.00部)、30%水酸化アンモニウム溶液(2.00部)、および水(38.00部)を反応器中で組み合わせることによって作製した。反応器を閉じ、連続的に高せん断混合を行いながら、生成物温度を95℃まで上昇させた。この生成物温度およびせん断環境を、10分間維持した。これとは別に、水(20.00部)を95℃まで加熱し、次に反応器へ注入した。この生成物温度およびせん断環境を、さらに10分間維持した。生成物を、連続的に混合しながら室温まで冷却した。得られた生成物は、8.7のpHを有し、220cpのブルックフィールド粘度を有し、0.2μmを中心とする狭い粒子サイズ分布を示した[RAKESH−分布を具体的に示すことは可能か?]。
【0136】
例17:エチレンアクリル酸コポリマーの混合物の界面活性剤非含有エマルジョン
例17は、35重量%のコポリマーで配合されたエチレンアクリル酸コポリマーの混合物の水中油型エマルジョンである。第一のコポリマー(EAA1)は、10重量%のアクリル酸を有し、およそ1100ダルトンの数平均分子量を有する。第二のコポリマー(EAA2)は、20重量%のアクリル酸を有し、およそ2250ダルトンの数平均分子量を有する。このコポリマーの界面活性剤非含有エマルジョンは、塩基を用いることによるコポリマーのそのセッケンへの部分的変換によって作製した。この例では、有機塩基、2‐アミノ‐2‐メチル‐1‐プロパノールを用いたが、多くのその他の無機および有機塩基が適している。例17の配合を表7に記載する。
【0138】
エマルジョンは、エチレンアクリル酸コポリマー EAA1(29.75部)、エチレンアクリル酸コポリマー EAA2(5.25部)、2‐アミノ‐2‐メチル‐1‐プロパノール(2.64部)、および水(32.36部)を反応器中で組み合わせることによって作製した。
【0139】
反応器を閉じ、連続的に高せん断混合を行いながら、生成物温度を95℃まで上昇させた。この生成物温度およびせん断環境を、10分間維持した。これとは別に、水(30.00部)を95℃まで加熱し、次に反応器へ注入した。この生成物温度およびせん断環境を、さらに10分間維持した。生成物を、連続的に混合しながら室温まで冷却した。得られた生成物の特性は、例16のエマルジョンの特性に類似していることが見出された。
【0140】
例18:エチレンアクリル酸コポリマーのエマルジョン
例18は、52.75重量%のコポリマーで配合された単一のエチレンアクリル酸コポリマーの水中油型エマルジョンである。このコポリマーは、15重量%のアクリル酸を有し、およそ2000ダルトンの数平均分子量を有する。このエマルジョンは、コポリマーのセッケンおよびアニオン性界面活性剤の組み合わせによって安定化される。コポリマーのセッケンは、水酸化カリウムを用いてin‐situで作製し、この場合、作製には、その使用を容易とするために45%水溶液を用い、一方アニオン性界面活性剤は、JPHOS(登録商標)1066(J1テクノロジーズ、英国、マンチェスター)であった。例18の配合を表8に記載する。
【0142】
エマルジョンは、エチレンアクリル酸コポリマー(52.75部)および水(28.50部)を反応器中で組み合わせることによって作製した。反応器を閉じ、連続的に高せん断混合を行いながら、生成物温度を110℃まで上昇させた。この生成物温度およびせん断環境を、10分間維持した。
【0143】
45%水酸化カリウム溶液のアリコート(0.50部)を反応器へ注入した。JPHOS(登録商標)1066(1.08部)を反応器へ注入した。残りの45%水酸化カリウム溶液(2.20部)を反応器へ注入した。この生成物温度およびせん断環境を、20分間維持した。これとは別に、希酢酸溶液を、水(14.87部)および氷酢酸(0.10部)から作製し、95℃に加熱した。次に、この熱希酢酸溶液を反応器へ注入した。
この生成物温度およびせん断環境を、さらに10分間維持した。生成物を、連続的に混合しながら室温まで冷却した。得られた生成物は、7.9のpHを有し、3000cpのブルックフィールド粘度を有し、0.2μmを中心とする狭い粒子サイズ分布を示した。
【0144】
例19:エチレンアクリル酸コポリマーおよびミネラルオイルの混合物のエマルジョン
ミネラルオイルを接着剤、インク、またはコーティング組成物に含めることは、経済的または技術的に有利である場合が多い。この例は、エチレンアクリル酸コポリマーおよびミネラルオイルの混合物のエマルジョンの作製を例示する。
【0145】
例19は、49.90重量%のコポリマーおよび2.85重量%のオイルで配合されたエチレンアクリル酸コポリマーおよびミネラルオイルの水中油型エマルジョンである。このコポリマーは、15重量%のアクリル酸を有し、およそ2000ダルトンの数平均分子量を有する。ミネラルオイルは、SIPMED(登録商標)15(SIP、英国、ロンドン)を選択した。このエマルジョンは、コポリマーのセッケンおよびアニオン性界面活性剤の組み合わせによって安定化される。コポリマーのセッケンは、水酸化カリウムを用いてin‐situで作製し、この場合、作製には、その使用および正確な添加を容易とするために45%水溶液を用い、一方アニオン性界面活性剤は、JPHOS(登録商標)1066(J1テクノロジーズ、英国、マンチェスター)であった。例19の配合を表9に記載する。
【0147】
エマルジョンは、エチレンアクリル酸コポリマー(49.90部)、SIPMED(登録商標)15(2.85部)、および水(28.50部)を反応器中で組み合わせることによって作製した。
【0148】
反応器を閉じ、連続的に高せん断混合を行いながら、生成物温度を110℃まで上昇させた。この生成物温度およびせん断環境を、10分間維持した。
45%水酸化カリウム溶液のアリコート(0.50部)を反応器へ注入した。JPHOS(登録商標)1066(1.08部)を反応器へ注入した。残りの45%水酸化カリウム溶液(2.20部)を反応器へ注入した。この生成物温度およびせん断環境を、20分間維持した。これとは別に、希酢酸溶液を、水(14.87部)および氷酢酸(0.10部)から作製し、95℃に加熱した。次に、この熱希酢酸溶液を反応器へ注入した。この生成物温度およびせん断環境を、さらに10分間維持した。生成物を、連続的に混合しながら室温まで冷却した。得られた生成物の特性は、例18のエマルジョンの特性に類似していることが見出された。
【0149】
例20:エチレンアクリル酸コポリマーおよび酸化ポリエチレンホモポリマーの混合物のエマルジョン
例20は、エチレンアクリル酸コポリマーおよび酸化ポリエチレンホモポリマーの水中油型エマルジョンである。これは、10.73重量%のコポリマー、32.17重量%の酸化ポリエチレンで配合し、3.23重量%のミネラルオイルを含んでいる。このコポリマーは、15重量%のアクリル酸を有し、およそ2000ダルトンの数平均分子量を有する。酸化ポリエチレンは、およそ1200ダルトンの数平均分子量および15mgKOH/gの酸価を有する。ミネラルオイルは、SIPMED(登録商標)15(SIP、英国、ロンドン)を選択した。このエマルジョンは、コポリマーのセッケンおよびアニオン性界面活性剤の組み合わせによって安定化される。コポリマーのセッケンは、水酸化カリウムを用いてin‐situで作製し、この場合、作製には、その使用および正確な添加を容易とするために45%水溶液を用い、一方アニオン性界面活性剤は、JPHOS(登録商標)1066(J1テクノロジーズ、英国、マンチェスター)であった。湿潤剤および殺生物剤も配合に含める。湿潤剤は、JMULSE(登録商標)1444B3(J1テクノロジーズ、英国、マンチェスター)であった。殺生物剤は、ACTICIDE(登録商標)MBS(ソースペシャリティズ(Thor Specialities)、英国、ノースウィッチ)であった。例20の配合を表10に記載する。
【0151】
表 エマルジョンは、エチレンアクリル酸コポリマー(10.73部)、酸化ポリエチレンホモポリマー(32.17部)、SIPMED(登録商標)15(3.23部)、および水(22.00部)を反応器中で組み合わせることによって作製した。反応器を閉じ、連続的に高せん断混合を行いながら、生成物温度を110℃まで上昇させた。この生成物温度およびせん断環境を、10分間維持した。45%水酸化カリウム溶液のアリコート(0.30部)を反応器へ注入した。JPHOS(登録商標)1066(1.67部)を反応器へ注入した。残りの45%水酸化カリウム溶液(1.80部)を反応器へ注入した。この生成物温度およびせん断環境を、さらに20分間維持した。これとは別に、希酢酸溶液を、水(26.76部)および氷酢酸(0.10部)から作製した。次に、この冷希酢酸溶液を反応器へ注入した。この生成物温度およびせん断環境を、さらに10分間維持した。生成物を、連続的に混合しながら≦40℃まで冷却した。JMULSE(登録商標)1444B3(0.34部)およびACTICIDE(登録商標)MBS(0.90部)を、連続的に混合しながら添加した。次に、この生成物を、連続的に混合しながら室温まで冷却した。得られた生成物は、8.1のpHを有し、800cpのブルックフィールド粘度を有し、0.2μmを中心とする狭い粒子サイズ分布を示した。
【0152】
例21:エチレンアクリル酸コポリマーおよびロジンエステルの混合物のエマルジョン
ロジンエステルを接着剤、インク、またはコーティング組成物に含めることは、経済的または技術的に有利である場合が多い。この例は、エチレンアクリル酸コポリマーおよびロジンエステルの混合物のエマルジョンの作製を例示する。
【0153】
例21は、38.75重量%のコポリマーおよび12.95重量%のロジンエステルで配合されたエチレンアクリル酸コポリマーおよびロジンエステルの水中油型エマルジョンである。このコポリマーは、15重量%のアクリル酸を有し、およそ2000ダルトンの数平均分子量を有する。ロジンエステルは、SYLVATAC(登録商標)RE85(アリゾナケミカル、オランダ、アルメレ)を選択した。このエマルジョンは、コポリマーのセッケンおよびアニオン性界面活性剤の組み合わせによって安定化される。コポリマーのセッケンは、水酸化カリウムを用いてin‐situで作製し、この場合、作製には、その使用および正確な添加を容易とするために45%水溶液を用い、一方アニオン性界面活性剤は、JPHOS(登録商標)1066(J1テクノロジーズ、英国、マンチェスター)であった。例21の配合を表11に記載する。
【0155】
エマルジョンは、エチレンアクリル酸コポリマー(38.75部)、SYLVATAC(登録商標)RE85(12.95部)、および水(28.00部)を反応器中で組み合わせることによって作製した。
【0156】
反応器を閉じ、連続的に高せん断混合を行いながら、生成物温度を110℃まで上昇させた。この生成物温度およびせん断環境を、10分間維持した。45%水酸化カリウム溶液のアリコート(0.50部)を反応器へ注入した。JPHOS(登録商標)1066(3.10部)を反応器へ注入した。残りの45%水酸化カリウム溶液(2.14部)を反応器へ注入した。この生成物温度およびせん断環境を、20分間維持した。これとは別に、希酢酸溶液を、水(14.46部)および氷酢酸(0.10部)から作製し、85℃に加熱した。次に、この希酢酸溶液を反応器へ注入した。
【0157】
この生成物温度およびせん断環境を、さらに10分間維持した。生成物を、連続的に混合しながら、室温まで冷却した。得られた生成物は、8.5のpHを有し、1500cpのブルックフィールド粘度を有し、0.2μmを中心とする狭い粒子サイズ分布を示した。
[1] (a)アクリルポリマー、アクリロニトリルブタジエン、ブチルゴム、酢酸セルロース、酪酸セルロース、エポキシ樹脂、エチレン‐酢酸ビニルコポリマー、修飾エチレン‐酢酸ビニル、酢酸ビニルコポリマー、エチレン‐(メタ)アクリル酸アイオノマー、塩化ビニリデンコポリマー、エチレン‐(メタ)アクリレートコポリマー、ポリエステル、天然ゴム、ネオプレン、フェノール系ポリマー、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、スチレンブタジエンゴム、カゼイン、デキストリン、デンプン、ポリサッカリド、これらの2つ以上のコポリマー、およびこれらの2つ以上の組み合わせ、ならびにこれらのいずれか2つ以上の組み合わせから成る群より選択される第一のポリマー、
(b)エチレン‐アクリル酸コポリマー、酸化ポリエチレン、エチレン‐酢酸ビニルコポリマー、酸化エチレン‐酢酸ビニルコポリマー、マレイン酸変性ポリオレフィン、ポリエチレンのホモポリマー、ポリプロピレンのホモポリマー、およびこれらのいずれか2つ以上の組み合わせから成る群より選択される、前記第一のポリマーとは異なる第二のポリマー、
(c)界面活性剤、及び
(d)水、を含む接着組成物であって、
ここで、前記水、前記第一のポリマー、および前記第二のポリマーの量は、前記接着組成物の成分(a)〜(d)の総重量に対して約30%超の固形分を有する前記組成物を提供するのに充分であり、及び、ここで、前記第一のポリマーおよび前記第二のポリマーは、約10ナノメートル(nm)から約2000nmのD50粒子サイズを有する固体粒子を含む、接着組成物。
[2] 前記第一のポリマーおよび前記第二のポリマーが、約30nmから約600nmのD50粒子サイズを有する固体粒子を含む、[1]に記載の組成物。
[3] 粘着付与剤、耐ブロッキング剤、酸化防止剤、安定化剤、充填剤、湿潤剤、および消泡剤から成る群より選択される1つ以上の添加剤をさらに含む、[1]に記載の組成物。
[4] (i)前記組成物の総乾燥重量の約50重量%から約98.5重量%、(ii)前記組成物の総乾燥重量の0重量%超から約40重量%、及び、(iii)前記組成物の総乾燥重量の約2.5重量%から約25重量%、を含む、[1]に記載の組成物。
[5] 前記第二のポリマーが、1つ以上のエチレン‐アクリル酸コポリマーから本質的に成る、[4]に記載の組成物。
[6] 前記第一のポリマーが、約100000ダルトン以下の数平均分子量を有する、[5]に記載の組成物。
[7] 前記組成物の総重量に対して約30重量%から約60重量%の固形分を有するエマルジョンの形態である、[1]に記載の組成物。
[8] 前記固形分が、前記組成物の総重量に対して約50重量%超である、[7]に記載の組成物。
[9] a)アクリレートポリマー、アクリレートコポリマー、またはこれらの組み合わせから本質的になり、約250000から約1500000ダルトンの数平均分子量を有する第一のポリマーの約59重量%から約98.5重量%、
b)約1500から約3000の間の数平均分子量を有するエチレン‐アクリル酸コポリマー、約800から約6000の間の数平均分子量を有する酸化ポリエチレン、約1500から約4000の間の数平均分子量を有する酸化エチレン‐酢酸ビニルコポリマー、約2000から約6000の間の数平均分子量を有するマレイン酸変性ポリオレフィン、およびこれらのいずれか2つ以上の組み合わせ、から成る群より選択される第二のポリマーの約1重量%から約17.5重量%、
c)約270から約1400の間の数平均分子量を有する粘着付与樹脂の約0.5重量%から約40重量%、及び
d)水、を含み、エマルジョンの形態である、感圧接着剤組成物。
[10] 前記エチレン‐アクリル酸コポリマーが、ASTM D‐1386の方法に従って特定される約40mgKOH/gから約200mgKOH/gの間の酸価、ASTM D‐5の方法に従って特定される約20dmm未満の25℃での硬さ、およびブルックフィールド回転式粘度計によって特定される約200cpsから約800cpsの間の140℃での粘度を有し、
前記酸化エチレン‐酢酸ビニルコポリマーが、ASTM D‐1386の方法に従って特定される約8mgKOH/gから約20mgKOH/gの間の酸価、ASTM D‐5の方法に従って特定される約10dmm未満の25℃での硬さ、およびブルックフィールド回転式粘度計によって特定される約250cpsから約800cpsの間の140℃での粘度を有し、
前記酸化ポリエチレンが、ASTM D‐1386の方法に従って特定される約10mgKOH/gから約21mgKOH/gの間の酸価、ASTM D‐5の方法に従って特定される約0.5dmmから約13dmmの間の25℃での硬さ、およびブルックフィールド回転式粘度計によって特定される約100cpsから約500cpsの間の140℃での粘度を有し、及び
前記マレイン酸変性ポリオレフィンが、ASTM D‐1386の方法に従って特定される約5mgKOH/gから約100mgKOH/gの間のけん化価、ASTM D‐5の方法に従って特定される約15dmm未満の25℃での硬さ、およびブルックフィールド回転式粘度計によって特定される約500cpsから約5000cpsの間の140℃での粘度を有する、[16]に記載の組成物。