特許第6687560号(P6687560)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6687560
(24)【登録日】2020年4月6日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】トルクセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/10 20060101AFI20200413BHJP
【FI】
   G01L3/10 305
【請求項の数】8
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-69923(P2017-69923)
(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公開番号】特開2018-173294(P2018-173294A)
(43)【公開日】2018年11月8日
【審査請求日】2019年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊朗
(72)【発明者】
【氏名】深谷 繁利
(72)【発明者】
【氏名】神野 智
(72)【発明者】
【氏名】田中 健
【審査官】 細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−161344(JP,A)
【文献】 特表2008−506102(JP,A)
【文献】 特開2007−187481(JP,A)
【文献】 特開2013−195108(JP,A)
【文献】 特開2012−237728(JP,A)
【文献】 特開2004−309463(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/105541(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0005909(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0154800(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一軸(11)と第二軸(12)とを同軸上に連結し、前記第一軸と前記第二軸との間に加わるトルクを捩じれ変位に変換するトーションバー(13)と、
前記第一軸または前記トーションバーの一端側に固定され、周方向にN極およびS極が交互に着磁された多極磁石(20)と、
前記第二軸または前記トーションバーの他端側に固定され、前記多極磁石の径外方向において周方向に等間隔に設けられる複数の第一ヨーク(21)と、
複数の前記第一ヨークとともに前記第二軸または前記トーションバーの他端側に固定され、前記多極磁石の径外方向において複数の前記第一ヨークの二つの前記第一ヨークに挟まれるよう周方向に等間隔に設けられる複数の第二ヨーク(22)と、
軸方向において複数の前記第一ヨークの前記第一軸側に位置する第一本体部(261,361,411,461,511,561,611,711,761)、及び、軸方向において複数の前記第二ヨークの前記第二軸側に位置する第二本体部(271,721,771)を有し、複数の前記第一ヨーク、及び、複数の前記第二ヨークとともに前記多極磁石が発生する磁界内に磁気回路を形成する集磁部(25,35,40,45,50,55,60,65,70,75)と、
前記第一本体部及び前記第二本体部の径方向外側に設けられ、前記磁気回路に発生する磁束密度を検出可能な磁気センサ(31,32)と、
を備え
前記第一本体部及び前記第二本体部は、径方向の幅が複数の前記第一ヨーク及び複数の前記第二ヨークの径方向の幅に比べ大きくなるよう形成されているトルクセンサ。
【請求項2】
前記第一本体部及び前記第二本体部の少なくとも一方は、前記第一軸及び前記第二軸の回転軸に垂直な断面形状が部分円環状に形成されている請求項1に記載のトルクセンサ。
【請求項3】
前記第一本体部及び前記第二本体部の少なくとも一方は、前記第一軸及び前記第二軸の回転軸に垂直な断面形状が、前記多極磁石の径方向外側の外形に沿って一部が切り抜かれた矩形状となっている請求項1に記載のトルクセンサ。
【請求項4】
前記第一本体部及び前記第二本体部の少なくとも一方は、前記第一軸及び前記第二軸の回転軸に垂直な断面形状が前記多極磁石の径方向外側の外形の一部に沿って切り抜かれた三角形状となっている請求項1に記載のトルクセンサ。
【請求項5】
前記第一本体部及び前記第二本体部の少なくとも一方は、前記第一軸及び前記第二軸の回転軸上の点を中心とする中心角が180度より小さい請求項2〜4のいずれか一項に記載のトルクセンサ。
【請求項6】
前記集磁部は、前記第一本体部の径方向外側に設けられ前記磁気センサを支持する第一支持部(663)、及び、前記第二本体部の径方向外側かつ前記第一支持部の径外方向に設けられ前記磁気センサを支持する第二支持部(673)を有し、
前記磁気センサは、前記第一支持部と前記第二支持部との間に設けられ、前記磁気回路の磁束が通過する感磁面が前記多極磁石の径方向に向かうよう形成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載のトルクセンサ。
【請求項7】
複数の前記第一ヨーク及び複数の前記第二ヨークの少なくとも一方を連結する連結部(211,221)をさらに備える請求項1〜6のいずれか一項に記載のトルクセンサ。
【請求項8】
前記第一本体部及び前記第二本体部の少なくとも一方は、軸方向において複数の前記第一ヨークの前記第一軸側または軸方向において複数の前記第二ヨークの前記第二軸側に位置する基部(762,772)、及び、当該基部に成形され前記基部に対して折り曲げ可能に設けられている折曲部(763,773)を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載のトルクセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転軸に設けられる多極磁石との位置関係によって磁気回路を形成する磁気ヨーク、磁気ヨークの径外方向に設けられ磁束を誘導する集磁部、及び、当該集磁部に設けられ磁気回路の磁束密度を検出可能な磁気センサを備えるトルクセンサが知られている。トルクセンサでは、磁気回路の磁束密度の変化に基づいて回転軸に作用する軸トルクが算出される。例えば、特許文献1には、多極磁石の径外方向の全周に位置する複数の爪及び多極磁石の径外方向において複数の爪を連結する円環状の環状部を有する磁気ヨーク、磁気ヨークの径外方向に当該磁気ヨークを囲むよう設けられる円環状の集磁部、並びに、磁気センサを備えるトルクセンサが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3874642号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トルクセンサは、回転軸に作用するトルクに対する検出感度が一定であることが望ましい。磁気回路の一部が回転軸の回転中心から離れた位置に構成される場合、位置変化に伴う検出感度の変化を所定の範囲内に抑える必要がある。
特許文献1に記載のトルクセンサでは、磁気ヨークと集磁部とは、軸方向や径方向の相対的な位置変化が生じることに対し、集磁部を磁気ヨークの全周に対向させることによって、検出感度の変化を抑制している。具体的には、多極磁石、磁気ヨーク及び集磁部は、多極磁石及び磁気ヨークと集磁部との軸方向の相対的な位置変化に対して、対向面積が一定に保たれるよう設けられている。また、多極磁石、磁気ヨーク及び集磁部は、多極磁石及び磁気ヨークと集磁部との径方向の相対的な位置変化に対して、磁気回路のトータルギャップを一定に保つことで検出感度の変化を抑制している。
【0005】
また、トルクセンサは、磁気回路からの漏れ磁束の影響を所定の範囲内に抑える必要がある。漏れ磁束とは、マグネット表面からの磁束のうち回転軸の捩れとは関係なく磁気センサに検知されるノイズ成分のことである。
特許文献1に記載のトルクセンサでは、磁気ヨークに円環状の環状部を設けることによって、多極磁石の表面から磁気センサまでの距離を一定以上離し、漏れ磁束の影響を抑制している。
【0006】
上述したように、特許文献1に記載のトルクセンサでは、位置変化に伴う検出感度の変化を所定の範囲内に抑えつつ磁気回路からの漏れ磁束の影響を所定の範囲内に抑えるため、集磁部を磁気ヨークの全周に対向させるとともに磁気ヨークに円環状の環状部を設ける必要がある。すなわち、検出感度のロバスト性を確保するため、集磁部及び磁気ヨークを成形するために必要な原料が多くなり、製造コストが増大する。
さらに、特許文献1に記載のトルクセンサでは、磁気ヨーク及び集磁部は、いずれも円環状に形成されている。このため、例えば、磁気ヨーク及び集磁部を板材の打ち抜きによって成形する場合、当該板材を円環状に打ち抜くため、残材が多くなり歩留まりが低下する。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、位置変化に対する検出感度のロバスト性を確保しつつ製造に必要な原料を少なくしかつ歩留まりを向上可能なトルクセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トルクセンサであって、トーションバー(13)、多極磁石(20)、第一ヨーク(21)、第二ヨーク(22)、集磁部(25,35,40,45,50,55,60,65,70,75)、及び、磁気センサ(31,32)を備える。
トーションバーは、第一軸(11)と第二軸(12)とを同軸上に連結し、第一軸と第二軸との間に加わるトルクを捩じれ変位に変換する。
多極磁石は、第一軸またはトーションバーの一端側に固定され、周方向にN極およびS極が交互に着磁されている。
複数の第一ヨークは、第二軸またはトーションバーの他端側に固定され、多極磁石の径外方向において周方向に等間隔に設けられる。
複数の第二ヨークは、複数の第一ヨークとともに第二軸またはトーションバーの他端側に固定されている。複数の第二ヨークは、多極磁石の径外方向において複数の第一ヨークの二つの第一ヨークに挟まれるよう周方向に等間隔に設けられる。
集磁部は、軸方向において複数の第一ヨークの第一軸側に位置する第一本体部(261,361,411,461,511,561,611,711,761)、及び、軸方向において複数の第二ヨークの第二軸側に位置する第二本体部(271,721,771)を有する。集磁部は、複数の第一ヨーク、及び、複数の第二ヨークとともに多極磁石が発生する磁界内に磁気回路を形成する。
磁気センサは、第一本体部及び第二本体部の径方向外側に設けられ、磁気回路に発生する磁束密度を検出可能である。
第一本体部及び第二本体部は、径方向の幅が複数の第一ヨーク及び複数の第二ヨークの径方向の幅に比べ大きくなるよう形成されている。
【0009】
本発明のトルクセンサでは、集磁部は、軸方向において第一ヨークの第一軸側に位置する第一本体部、及び、軸方向において第二ヨークの第二軸側に位置する第二本体部を有するまた、第一本体部及び第二本体部は、径方向の幅が第一ヨーク及び第二ヨークの径方向の幅に比べ大きくなるよう形成されている。これにより、第一軸及び第二軸が径方向にずれるとき、第一ヨーク及び第二ヨークに対する集磁部の対向面積は変化しない。また、第一軸及び第二軸が軸方向にずれるとき、第一ヨーク及び第二ヨークと集磁部との間のギャップの合計量、すなわち、磁気回路におけるトータルギャップは変化しない。したがって、径方向や軸方向の位置変化における磁気センサの検出感度の変化を抑制することができる。すなわち、磁気回路を形成する部材の位置変化に対する検出感度のロバスト性を確保することができる。
【0010】
また、本発明のトルクセンサでは、第一ヨーク及び第二ヨークは、多極磁石の径外方向に複数設けられる。これにより、本発明のトルクセンサでは、多極磁石の径外方向の全周を囲むよう設けられる円環状の部材をヨークとして成形する場合に比べ、ヨークの成形に必要な原料を少なくすることができる。
また、例えば、円環状の部材を板材から打ち抜く場合、当該円環状の部材の中心部分は不要なため比較的大きな残材となる。しかしながら、本発明のトルクセンサでは、複数の第一ヨーク及び複数の第二ヨークを個別に成形することができるため、残材を少なくすることができる。
このように、本発明のトルクセンサは、検出感度のロバスト性を確保しつつ、製造に必要な原料を少なくしかつ歩留まりを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第一実施形態によるトルクセンサの分解斜視図である。
図2】第一実施形態によるトルクセンサが適用される電動パワーステアリング装置の概略構成図である。
図3】第一実施形態によるトルクセンサの模式図である。
図4図3のIV−IV線断面図である。
図5】第一実施形態によるトルクセンサが備えるヨーク及び集磁部を成形するときに必要な板材の面積を説明する模式図である。
図6】第一実施形態によるトルクセンサの効果を説明する特性図である。
図7】第二実施形態によるトルクセンサの模式図である。
図8】第三実施形態によるトルクセンサの模式図である。
図9】第四実施形態によるトルクセンサの模式図である。
図10】第五実施形態によるトルクセンサの模式図である。
図11】第六実施形態によるトルクセンサの模式図である。
図12】第七実施形態によるトルクセンサの模式図である。
図13】第八実施形態によるトルクセンサの模式図である。
図14】第九実施形態によるトルクセンサの模式図である。
図15図15のXV−XV線断面図である。
図16】第十実施形態によるトルクセンサが備える集磁部の模式図である。
図17】第十実施形態によるトルクセンサの部分断面図である。
図18】他の実施形態によるトルクセンサが備えるヨークの形状を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のトルクセンサの実施形態を図面に基づいて説明する。複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0013】
(第一実施形態)
第一実施形態によるトルクセンサ1は、図2に示すように、例えば、車両のステアリング操作をアシストするための電動パワーステアリング装置に適用される。図2は、電動パワーステアリング装置90を備えたステアリングシステムの全体構成を示す。
トルクセンサ1は、ハンドル93に接続されたステアリングシャフト94に設けられている。ステアリングシャフト94の先端にはピニオンギア96が設けられている。ピニオンギア96は、ラック軸97に噛み合っている。ラック軸97の両端には、タイロッドなどを介して、一対の車輪98が回転可能に連結されている。ステアリングシャフト94の回転運動は、ピニオンギア96によってラック軸97の直線運動に変換され、一対の車輪98が操舵される。
【0014】
トルクセンサ1は、ステアリングシャフト94を構成する「第一軸」としての入力軸11と「第二軸」としての出力軸12との間に設けられている。トルクセンサ1は、ステアリングシャフト94に加わる操舵トルクを検出してECU91に出力する。ECU91は、検出された操舵トルクに応じて、モータ92の出力を制御する。モータ92が発生する操舵アシストトルクは、減速ギア95を介して減速され、ステアリングシャフト94に伝達される。
【0015】
次に、トルクセンサ1の構成について、図1,3,4を参照して説明する。
トルクセンサ1は、図1に示すように、トーションバー13、多極磁石20、複数の第一ヨーク21、複数の第二ヨーク22、一組の集磁部25、及び、二つの磁気センサ31,32を有する。
【0016】
トーションバー13は、棒状の弾性部材であって、入力軸11と出力軸12との間に設けられている。トーションバー13は、一端側が入力軸11に固定ピン14によって固定されている。また、トーションバー13は、他端側が出力軸12に固定ピン15によって固定されている。これにより、トーションバー13は、入力軸11と出力軸12とを回転軸O上で連結する。トーションバー13は、ステアリングシャフト94に加わる操舵トルクを捩じれ変位に変換する。
【0017】
多極磁石20は、円筒状の部材であって、入力軸11に固定されている。多極磁石20は、径方向に磁束を発生するN極及びS極が周方向に交互に設けられている。第一実施形態では、多極磁石20は、例えば、N極とS極との数が、12対、すなわち、計24極有している。
【0018】
第一ヨーク21は、軟磁性体からなる略台形状の板材である。複数の第一ヨーク21は、多極磁石20の入力軸11側の端部の径外方向に多極磁石20の全周に亘って等間隔で設けられている。第一ヨーク21は、多極磁石20の周方向における幅が狭い部位が出力軸12側に位置するよう設けられている。第一実施形態では、12個の第一ヨーク21が設けられる。第一ヨーク21は、多極磁石20が形成する磁界内に磁気回路を形成する。
【0019】
第二ヨーク22は、軟磁性体からなる略台形状の板材である。複数の第二ヨーク22は、多極磁石20の出力軸12側の端部の径外方向に多極磁石20の全周に亘って等間隔で設けられている。第二ヨーク22は、多極磁石20の周方向における幅が狭い部位が入力軸11側に位置するよう設けられている。第一実施形態では、12個の第二ヨーク22が設けられる。第二ヨーク22は、多極磁石20が形成する磁界内に磁気回路を形成する。
【0020】
第一ヨーク21と第二ヨーク22とは、周方向に交互に配置される。すなわち、第一ヨーク21または第二ヨーク22は、それぞれ二つの第二ヨーク22または二つの第一ヨーク21に挟まれるよう設けられている。このとき、第一ヨーク21と第二ヨーク22とは、図3に示すように、回転軸Oに沿った方向(以下、「回転軸方向」という)にエアギャップを介して対向している。第一実施形態では、第一ヨーク21及び第二ヨーク22は、図示しない樹脂によって一体となるよう形成され、出力軸12に固定されている。
【0021】
一組の集磁部25は、いずれも軟磁性材料で形成されている第一集磁部材26及び第二集磁部材27を有する。一組の集磁部25は、図1の上下方向である回転軸方向において互いに対向するように設けられる。
【0022】
第一集磁部材26は、第一本体部261、第一連結部262、及び、第一支持部263を有する。
第一本体部261は、回転軸方向において複数の第一ヨーク21の入力軸11側に位置する。第一本体部261は、トーションバー13の回転軸に垂直な断面形状が、図4に示すように、中心角α1が180度の部分円環状となるよう形成されている。第一本体部261は、図4に示すように、径方向の幅が複数の第一ヨーク21及び複数の第二ヨーク22の径方向の幅に比べ大きくなるよう形成されている。第一本体部261は、第一ヨーク21とともに磁気回路を形成する。
第一連結部262は、図3に示すように、第一本体部261の第一ヨーク21側の端面に設けられている。第一連結部262は、第一本体部261から多極磁石20の径外方向に延びるよう形成されている。第一連結部262は、第一支持部263を多極磁石20から離すことで第一支持部263での多極磁石20からの漏れ磁束の影響を少なくしつつ、第一本体部261の磁束を第一支持部263に誘導する。
第一支持部263は、第一連結部262の第一本体部261に接続する側とは反対側の端部に設けられる。第一支持部263は、回転軸Oに対して略垂直に設けられる平板状に形成され、磁気センサ31,32を支持する。
【0023】
第二集磁部材27は、第二本体部271、第二連結部272、及び、第二支持部273を有する。
第二本体部271は、回転軸方向において複数の第二ヨーク22の出力軸12側に位置する。第二本体部271は、トーションバー13の回転軸に垂直な断面形状が、第一本体部261と同じように、中心角が180度の部分円環状となるよう形成されている。第二本体部271は、径方向の幅が複数の第一ヨーク21及び複数の第二ヨーク22の径方向の幅に比べ大きくなるよう形成されている。第二本体部271は、第二ヨーク22とともに磁気回路を形成する。
第二連結部272は、図3に示すように、第二本体部271の第二ヨーク22側の端面に設けられている。第二連結部272は、第二本体部271から多極磁石20の径外方向に延びるよう形成されている。第二連結部272は、第二支持部273を多極磁石20から離すことで第二支持部273での多極磁石20からの漏れ磁束の影響を少なくしつつ、第二本体部271の磁束を第二支持部273に誘導する。
第二支持部273は、第二連結部272の第二本体部271に接続する側とは反対側の端部に設けられる。第二支持部273は、回転軸Oに対して略垂直に設けられる平板状に形成され、磁気センサ31,32を支持する。
【0024】
磁気センサ31,32は、第一支持部263と第二支持部273との間に設けられている。磁気センサ31,32には、第一ヨーク21、集磁部25、及び、第二ヨーク22に形成される磁気回路における第一支持部263と第二支持部273との間の磁束が通過する。磁気センサ31,32は、第一支持部263と第二支持部273との間の磁束密度を磁界の強さとして検出し、当該検出した磁界の強さに応じた信号を出力信号として出力する。出力信号は、ワイヤハーネス33,34を介して外部に出力される。
【0025】
次に、トルクセンサ1の作動について、説明する。
入力軸11と出力軸12との間に操舵トルクが加わっておらず、トーションバー13に捩じれ変位が生じていない中立状態のとき、図3,4に示すように、多極磁石20のN極とS極との境界と第一ヨーク21または第二ヨーク22の中心とが一致している。中立状態では、第一ヨーク21または第二ヨーク22のそれぞれには、多極磁石20のN極とS極とから同数の磁力線が出入りするため、第一ヨーク21と第二ヨーク22との間のギャップに磁束が漏れることはなく、磁気センサ31,32が検出する磁束密度はゼロとなる。
【0026】
入力軸11と出力軸12との間に操舵トルクが印加されトーションバー13に捩じれ変位が生じると、入力軸11に固定された多極磁石20と出力軸12に固定された第一ヨーク21及び第二ヨーク22との相対位置が周方向に変化する。
例えば、第一ヨーク21がN極と対向し、第二ヨーク22がS極と対向すると、第一ヨーク21と第二ヨーク22とには、それぞれS極を有する磁力線とN極を有する磁力線とが増加する。これにより、磁気センサ31,32を通過する磁束密度は、トーションバー13の捩じれ変位量に略比例し、かつ、トーションバー13の捩じれ方向に応じて極性が変化する。磁気センサ31,32は、第一支持部263と第二支持部273との間において磁気センサ31,32を通過する磁束密度、すなわち、磁界の強さを検出する。トルクセンサ1は、検出した磁界の強さに応じた電圧を出力信号として出力することによって、入力軸11と出力軸12との間の操舵トルクを検出する。
【0027】
第一実施形態によるトルクセンサ1では、第一集磁部材26の第一本体部261を回転軸方向において複数の第一ヨーク21の入力軸11側に設け、第二集磁部材27の第二本体部271を回転軸方向において複数の第二ヨーク22の出力軸12側に設ける。これにより、入力軸11及び出力軸12が径方向にずれたとき、第一ヨーク21及び第二ヨーク22に対する集磁部25の対向面積は変化しない。また、入力軸11及び出力軸12が軸方向にずれたとき、第一ヨーク21及び第二ヨーク22と集磁部25との間のギャップの合計量、すなわち、磁気回路におけるトータルギャップ、は変化しない。したがって、トルクセンサ1は、径方向や軸方向の位置変化による磁気センサ31,32の検出感度の変化を抑制することができる。これにより、磁気回路を形成する部材の位置変化に対する検出感度のロバスト性を確保することができる。
【0028】
また、トルクセンサ1では、第一ヨーク21及び第二ヨーク22は、多極磁石20の径外方向において複数設けられている。これにより、トルクセンサ1では、多極磁石20の径外方向の全周を囲むよう設けられる円環状の部材をヨークとして成形する場合に比べ、ヨークの成形に必要な原料を少なくすることができる。また、円環状の部材を板材から打ち抜く場合、当該円環状の部材の中心部分は不要なため比較的大きな残材となるが、トルクセンサ1では、複数の第一ヨーク21及び複数の第二ヨーク22を個別に成形することができるため、残材を小さくすることができる。
【0029】
図5にトルクセンサのヨーク及び集磁部を成形するときに占有する被加工部材の面積を比較する模式図を示す。
図5には、被加工部材である板状部材100上において、トルクセンサ1の8個の第一ヨーク21、8個の第二ヨーク22、第一集磁部材26、及び、第二集磁部材27を板状部材100の打ち抜きによって成形するときの板状部材100上の位置を示す。
また、図5には、比較例として、8個の爪を有する環状のヨーク81,82、及び、環状の集磁部83、84を備えるトルクセンサのヨーク81,82及び集磁部83、84を成形するときに占有する部材の板状部材100の面積を示す。なお、図5では、図面が煩雑になることを避けるため、トルクセンサ1のヨークの数、及び、比較例のトルクセンサが有する爪の数をそれぞれ16個として示した。
【0030】
比較例のトルクセンサでは、ヨーク81,82を成形するとき、二点鎖線S0内に示すように、ヨーク81,82の大きさに合わせて板状部材100を丸く打ち抜く必要があるため、板状部材100の面積が比較的大きくなる。すなわち、ヨーク81,82を製造するために必要な原料が比較的多い。また、ヨーク81,82の中央部分は、ヨーク81,82として利用されないため、残材となる。このため、比較例のトルクセンサでは、残材が比較的多く発生するため歩留まりが低い。
【0031】
一方、トルクセンサ1では、略台形状の8個の第一ヨーク21及び8個の第二ヨーク22は、板状部材100からそれぞれ個別に打ち抜くことによって成形する。このとき、図5の二点鎖線S1内に示すように、打ち抜く箇所を近づけて配置することが可能である。これにより、図5に示すように、第一集磁部材26及び第二集磁部材27を円弧状に形成する場合であっても、第一ヨーク21、第二ヨーク22、第一集磁部材26及び第二集磁部材27を成形するために必要な板状部材100の面積S1は、比較例のトルクセンサのヨーク81,82及び集磁部83,84を成形するために必要な板状部材100の面積S0に比べ小さくなる。
このように、第一実施形態は、検出感度のロバスト性を確保しつつ、磁気回路を形成する部材を製造するために必要な原料を少なくしかつ歩留まりを向上することができる。
【0032】
また、一組の集磁部25は、中心角が180度の円弧状に形成される第一本体部261及び第二本体部271を有する。ここで、集磁部の中心角の大きさと磁気センサの検出感度との関係について、図6に基づいて説明する。
【0033】
図6に、集磁部の中心角の大きさに対する磁気センサの検出感度の変化を示す。
図6では、第一横軸に、集磁部の中心角の大きさを示している。集磁部の中心角の大きさは、中心角{2×(180−θ)}で示される。ここで、角度θは、図6に示す集磁部25の模式図に示すように、回転軸O上の点C1と連結部252の中心とを通る中心線L25を挟んで本体部251を分割したとき、本体部251が形成されていない角度である。すなわち、図6の特性図において、第二横軸で示す(180−θ)が180のとき、集磁部の中心角は360度となるため、当該集磁部は、円環状に形成されていることになる。また、第二横軸で示す(180−θ)が90のとき、集磁部の中心角は180度となるため、集磁部は、半円の部分円環状に形成されていることになる。
図6では、縦軸に、中心角が360度、すなわち、円環状の集磁部に設けられている磁気センサの検出感度を1としたときのそれぞれの中心角における磁気センサの検出感度の相対値を示す。
【0034】
図6に示すように、集磁部の中心角が360度から180度の間では磁気センサの検出感度はほとんど低下しないことがわかる。このことから、連結部から比較的離れた位置の本体部は、磁気センサへの磁束の誘導にほとんど寄与していないことが分かる。
【0035】
第一実施形態では、集磁部25の第一本体部261及び第二本体部271は、中心角が磁気センサの検出感度がほとんど低下しない180度となるよう形成されている。これにより、磁気センサ31,32の検出感度を維持したまま、集磁部25を成形するために必要な被加工部材を中心角が360度の円環状の集磁部に比べ少なくすることができる。したがって、歩留まりをさらに向上することができる。
【0036】
トルクセンサ1では、第一本体部261及び第二本体部271と第一ヨーク21及び第二ヨーク22とが径方向にずれても軸方向で対向するよう、第一本体部261及び第二本体部271は、径方向の幅が第一ヨーク21及び第二ヨーク22の径方向の幅に比べ大きくなるよう形成されている。これにより、第一本体部261及び第二本体部271と第一ヨーク21及び第二ヨーク22とが径方向にずれても対向面積が変化しないため、磁気センサ31,32における検出感度の変化を抑制することができる。
【0037】
(第二実施形態)
第二実施形態によるトルクセンサを図7に基づき説明する。第二実施形態では、本体部の形状が第一実施形態と異なる。
【0038】
第二実施形態によるトルクセンサ2は、トーションバー13、多極磁石20、複数の第一ヨーク21、複数の第二ヨーク22、一組の集磁部35、及び、二つの磁気センサ31,32を有する。
【0039】
一組の集磁部35は、いずれも軟磁性材料で形成されている第一集磁部材36及び図示しない第二集磁部材を有する。一組の集磁部35の第一集磁部材36と第二集磁部材とは、回転軸方向において互いに対向するように設けられる。
【0040】
図7に、多極磁石20、第一ヨーク21、及び、第一集磁部材36を回転軸方向に沿って見たときの模式図を示す。第一集磁部材36は、第一本体部361、第一連結部262、及び、第一支持部263を有する。ここでは、第一集磁部材36の構成を説明するが、一組の集磁部35が有する第二集磁部材も同様の形状となっている。
【0041】
第一本体部361は、回転軸方向において複数の第一ヨーク21の入力軸11側に位置する。第一本体部361は、回転軸Oに垂直な断面形状が、図7に示すように、中心角α2が180度より小さい部分円環状となるよう形成されている。第一本体部361は、第一ヨーク21とともに磁気回路を形成する。
第一連結部262は、第一本体部361の第一ヨーク21側の端面に設けられ、第一本体部361から多極磁石20の径外方向に延びるよう形成されている。
【0042】
第二実施形態によるトルクセンサ2では、一組の集磁部35が有する本体部は、中心角が180度より小さい部分円環状に形成されている。これにより、第二実施形態は、第一実施形態と同じ効果を奏する。
また、集磁部35の大きさは、第一実施形態の集磁部25の大きさに比べ小さい。これにより、複数の第一ヨーク21、複数の第二ヨーク22及び一組の集磁部35の製造に必要な原料をさらに少なくしつつ、歩留まりをさらに向上することができる。
【0043】
(第三実施形態)
第三実施形態によるトルクセンサを図8に基づき説明する。第三実施形態では、本体部の形状が第一実施形態と異なる。
【0044】
第三実施形態によるトルクセンサ3は、トーションバー13、多極磁石20、複数の第一ヨーク21、複数の第二ヨーク22、一組の集磁部40、及び、二つの磁気センサ31,32を有する。
【0045】
一組の集磁部40は、いずれも軟磁性材料で形成されている第一集磁部材41及び図示しない第二集磁部材を有する。一組の集磁部40の第一集磁部材41と第二集磁部材とは、回転軸方向において互いに対向するように設けられる。
【0046】
図8に、多極磁石20、第一ヨーク21、及び、第一集磁部材41を回転軸方向に沿ってみたときの模式図を示す。第一集磁部材41は、第一本体部411、第一連結部262、及び、第一支持部263を有する。ここでは、第一集磁部材41の構成を説明するが、一組の集磁部40が有する第二集磁部材も同様の形状となっている。
【0047】
第一本体部411は、回転軸方向において複数の第一ヨーク21の入力軸11側に位置する。第一本体部411は、回転軸Oに垂直な断面形状が、第一本体部411の第一連結部262が設けられる側とは反対側が多極磁石20の径方向外側の外形に沿って切り抜かれた矩形状となっている。当該切り抜かれている部位412は、中心角α3が180度となるよう形成されている。第一本体部411は、第一ヨーク21とともに磁気回路を形成する。
第一連結部262は、第一本体部411の第一ヨーク21側の端面に設けられ、第一本体部411から多極磁石20の径外方向に延びるよう形成されている。
【0048】
第三実施形態によるトルクセンサ3では、一組の集磁部40が有する本体部は、回転軸Oに垂直な断面形状が、本体部の連結部が設けられる側とは反対側が多極磁石20の径方向外側の外形に沿って切り抜かれた矩形状となるよう形成されている。これにより、第三実施形態は、第一実施形態と同じ効果を奏する。
【0049】
(第四実施形態)
第四実施形態によるトルクセンサを図9に基づき説明する。第四実施形態では、本体部の形状が第一実施形態と異なる。
【0050】
第四実施形態によるトルクセンサ4は、トーションバー13、多極磁石20、複数の第一ヨーク21、複数の第二ヨーク22、一組の集磁部45、及び、二つの磁気センサ31,32を有する。
【0051】
一組の集磁部45は、いずれも軟磁性材料で形成されている第一集磁部材46及び図示しない第二集磁部材を有する。一組の集磁部45の第一集磁部材46と第二集磁部とは、回転軸方向において互いに対向するように設けられる。
【0052】
図9に、多極磁石20、第一ヨーク21、及び、第一集磁部材46を回転軸方向に沿って見たときの模式図を示す。第一集磁部材46は、第一本体部461、第一連結部262、及び、第一支持部263を有する。ここでは、第一集磁部材46の構成を説明するが、一組の集磁部45が有する第二集磁部材も同様の形状となっている。
【0053】
第一本体部461は、回転軸方向において複数の第一ヨーク21の入力軸11側に位置する。第一本体部461は、回転軸Oに垂直な断面形状が、第一本体部461の第一連結部262が設けられる側とは反対側が多極磁石20の径方向外側の外形に沿って切り抜かれた形状となっている。当該切り抜かれている部位462は、中心角α4が180度より小さくなるよう形成されている。第一本体部461は、第一ヨーク21とともに磁気回路を形成する。
第一連結部262は、第一本体部461の第一ヨーク21側の端面に設けられ、第一本体部461から多極磁石20の径外方向に延びるよう形成されている。
【0054】
第四実施形態によるトルクセンサ4では、一組の集磁部45が有する本体部は、回転軸Oに垂直な断面形状が、第一本体部461の第一連結部262が設けられる側とは反対側が多極磁石20の径方向外側の外形に沿って切り抜かれた形状となるよう形成されている。これにより、第四実施形態は、第一実施形態と同じ効果を奏する。
また、集磁部45の大きさは、第三実施形態の集磁部40の大きさに比べ小さい。これにより、複数の第一ヨーク21、複数の第二ヨーク22及び一組の集磁部45の製造に必要な原料をさらに少なくしつつ、第三実施形態に比べ歩留まりをさらに向上することができる。
【0055】
(第五実施形態)
第五実施形態によるトルクセンサを図10に基づき説明する。第五実施形態では、本体部の形状が第一実施形態と異なる。
【0056】
第五実施形態によるトルクセンサ5は、トーションバー13、多極磁石20、複数の第一ヨーク21、複数の第二ヨーク22、一組の集磁部50、及び、二つの磁気センサ31,32を有する。
【0057】
一組の集磁部50は、いずれも軟磁性材料で形成されている第一集磁部材51及び図示しない第二集磁部材を有する。一組の集磁部50の第一集磁部材51と第二集磁部とは、回転軸方向において互いに対向するように設けられる。
【0058】
図10に、多極磁石20、第一ヨーク21、及び、第一集磁部材51を回転軸方向に沿ってみたときの模式図を示す。第一集磁部材51は、第一本体部511、第一連結部262、及び、第一支持部263を有する。ここでは、第一集磁部材51の構成を説明するが、一組の集磁部50が有する第二集磁部材も同様の形状となっている。
【0059】
第一本体部511は、回転軸方向において複数の第一ヨーク21の入力軸11側に位置する。第一本体部511は、回転軸Oに垂直な断面形状が台形状となるよう形成されている。具体的には、第一本体部511の多極磁石20の径内方向の平面状の側面512と多極磁石20の径外方向の平面状の側面513とは略平行に形成されている。回転軸Oに垂直な断面形状において、側面512の長さは、側面513に比べ短い。このとき、側面512と側面513とを接続する二つの側面514,515が回転軸O上の点と形成する中心角α5は、180度より小さい。第一本体部511は、第一ヨーク21とともに磁気回路を形成する。
第一連結部262は、第一本体部511の側面513に設けられ、第一本体部511から多極磁石20の径外方向に延びるよう形成されている。
【0060】
第五実施形態によるトルクセンサ5では、一組の集磁部50が有する本体部は、回転軸Oに垂直な断面形状が台形状となるよう形成されている。これにより、第五実施形態は、第一実施形態と同じ効果を奏する。
また、集磁部50は、本体部も含め直線状の形状をなす部位から形成されている。これにより、曲線状の形状をなす部位を含む場合に比べ、複数の第一ヨーク21、複数の第二ヨーク22及び一組の集磁部50の製造に必要な原料をさらに少なくしつつ、歩留まりをさらに向上することができる。
【0061】
(第六実施形態)
第六実施形態によるトルクセンサを図11に基づき説明する。第六実施形態では、本体部の形状が第一実施形態と異なる。
【0062】
第六実施形態によるトルクセンサ6は、トーションバー13、多極磁石20、複数の第一ヨーク21、複数の第二ヨーク22、一組の集磁部55、及び、二つの磁気センサ31,32を有する。
【0063】
一組の集磁部55は、いずれも軟磁性材料で形成されている第一集磁部材56、及び、図示しない第二集磁部材を有する。一組の集磁部55の第一集磁部材56と第二集磁部材とは、回転軸方向において互いに対向するように設けられる。
【0064】
図11に、多極磁石20、第一ヨーク21、及び、第一集磁部材56を回転軸方向に沿ってみたときの模式図を示す。第一集磁部材56は、第一本体部561、及び、第一支持部563を有する。ここでは、第一集磁部材56の構成を説明するが、一組の集磁部55が有する第二集磁部材も同様の形状となっている。
【0065】
第一本体部561は、回転軸方向において複数の第一ヨーク21の入力軸11側に位置する。第一本体部561は、回転軸Oに垂直な断面形状が、第一本体部561の第一支持部563が設けられる側とは反対側が多極磁石20の径方向外側の外形に沿って切り抜かれた略三角形状となっている。当該切り抜かれている部位562は、中心角α6が180度となるよう形成されている。第一本体部561は、第一ヨーク21とともに磁気回路を形成する。
【0066】
第一支持部563は、第一本体部561の多極磁石20とは反対側の端部に設けられる。第一支持部563は、回転軸Oに略垂直に設けられる平板状に形成され、磁気センサ31、32を支持する。
【0067】
第六実施形態によるトルクセンサ6では、一組の集磁部55が有する本体部は、回転軸Oに垂直な断面形状が、本体部の連結部が設けられる側とは反対側が多極磁石20の径方向外側の外形に沿って切り抜かれた三角形状となるよう形成されている。これにより、第六実施形態は、第一実施形態と同じ効果を奏する。
【0068】
(第七実施形態)
第七実施形態によるトルクセンサを図12に基づき説明する。第七実施形態では、本体部の形状が第一実施形態と異なる。
【0069】
第七実施形態によるトルクセンサ7は、トーションバー13、多極磁石20、複数の第一ヨーク21、複数の第二ヨーク22、一組の集磁部60、及び、二つの磁気センサ31,32を有する。
【0070】
一組の集磁部60は、いずれも軟磁性材料で形成されている第一集磁部材61及び図示しない第二集磁部材を有する。一組の集磁部60の第一集磁部材61と第二集磁部材とは、回転軸方向において互いに対向するように設けられる。
【0071】
図12に、多極磁石20、第一ヨーク21、及び、第一集磁部材61を回転軸方向に沿ってみたときの模式図を示す。第一集磁部材61は、第一本体部611、第一連結部262、及び、第一支持部263を有する。ここでは、第一集磁部材61の構成を説明するが、一組の集磁部60が有する第二集磁部材も同様の形状となっている。
【0072】
第一本体部611は、回転軸方向において複数の第一ヨーク21の入力軸11側に位置する。第一本体部611は、回転軸Oに垂直な断面形状が、第一本体部611の第一連結部262が設けられる側とは反対側が多極磁石20の径方向外側の外形に沿って切り抜かれた略五角形状となっている。当該切り抜かれている部位612は、中心角α7が180度より小さくなるよう形成されている。第一本体部611は、第一ヨーク21とともに磁気回路を形成する。
第一連結部262は、第一本体部611の第一ヨーク21側の端面に設けられ、第一本体部611から多極磁石20の径外方向に延びるよう形成されている。
【0073】
第七実施形態によるトルクセンサ7では、一組の集磁部60が有する本体部は、回転軸Oに垂直な断面形状が、本体部の支持部が設けられる側とは反対側が多極磁石20の径方向外側の外形に沿って切り抜かれた略五角形状となるよう形成されている。これにより、第七実施形態は、第一実施形態と同じ効果を奏する。
また、集磁部60の大きさは、第六実施形態の集磁部55の大きさに比べ小さい。これにより、複数の第一ヨーク21、複数の第二ヨーク22及び一組の集磁部60の製造に必要な原料をさらに少なくしつつ、第六実施形態に比べ歩留まりをさらに向上することができる。
【0074】
(第八実施形態)
第八実施形態によるトルクセンサを図13に基づき説明する。第八実施形態では、連結部及び支持部の形状が第一実施形態と異なる。
【0075】
第八実施形態によるトルクセンサ8は、トーションバー13、多極磁石20、複数の第一ヨーク21、複数の第二ヨーク22、一組の集磁部65、及び、二つの磁気センサ31,32を有する。
【0076】
一組の集磁部65は、いずれも軟磁性材料で形成されている第一集磁部材66、及び、第二集磁部材67を有する。第一集磁部材66と第二集磁部材67とは、図13に示すように、回転軸方向において互いに対向するように設けられる。
【0077】
第一集磁部材66は、第一本体部261、第一連結部662、及び、第一支持部663を有する。
第一連結部662は、第一本体部261の第一ヨーク21側の端面に設けられている。第一連結部662は、第一本体部261から多極磁石20の径外方向に延びるよう形成されている。第一連結部662は、第一本体部261の磁束を第一支持部663に誘導する。
第一支持部663は、第一連結部662の第一本体部261に接続する側とは反対側の端部に設けられる。第一支持部663は、回転軸Oに略平行に設けられる平板状に形成され、磁気センサ31、32を支持する。
【0078】
第二集磁部材67は、第二本体部271、第二連結部672、及び、第二支持部673を有する。
第二連結部672は、第二本体部271の第二ヨーク22側の端面に設けられている。第二連結部672は、第二本体部271から多極磁石20の径外方向に延びるよう形成されている。第二連結部672は、多極磁石20の径外方向の長さが第一連結部662の長さに比べ長い。第二連結部672は、第二本体部271の磁束を第二支持部673に誘導する。
第二支持部673は、第二連結部672の第二本体部271に接続する側とは反対側の端部に設けられる。第二支持部673は、回転軸Oに略平行に設けられる平板状に形成され、磁気センサ31,32を支持する。
【0079】
第八実施形態によるトルクセンサ8では、磁気センサ31,32を回転軸Oに略平行に設けられる平板状に形成されている第一支持部663と第二支持部673とによって支持することによって、磁束が通過する磁気センサ31,32の感磁面を多極磁石20の径方向に向かうよう配置されている。これにより、磁気センサ31,32が径方向に突出する度合いを比較的小さくすることができる。したがって、第八実施形態は、第一実施形態の効果を奏するととともに、トルクセンサ8の体格を小さくすることができる。
【0080】
また、トルクセンサ8では、磁気センサ31,32の感磁面と多極磁石20との間に第一支持部663が設けられている。これにより、多極磁石20の漏れ磁束が第一支持部663によって遮蔽されるため、多極磁石20の漏れ磁束による検出感度の低下を抑制することができる。
【0081】
(第九実施形態)
第九実施形態によるトルクセンサを図14,15に基づき説明する。第九実施形態では、集磁部材の形状が第一実施形態と異なる。
【0082】
第九実施形態によるトルクセンサ9は、トーションバー13、多極磁石20、複数の第一ヨーク21、複数の第二ヨーク22、一組の集磁部70、及び、二つの磁気センサ31,32を有する。
【0083】
一組の集磁部70は、いずれも軟磁性材料で形成されている第一集磁部材71、及び、第二集磁部材72を有する。第一集磁部材71と第二集磁部材72とは、図15に示すように、回転軸方向において互いに対向するように設けられる。
【0084】
第一集磁部材71は、第一本体部711、第一連結部712、及び、第一支持部263を有する。
第一本体部711は、図15に示すように、複数の第一ヨーク21と多極磁石20との間、回転軸方向において複数の第一ヨーク21の入力軸11側、及び、多極磁石20からみて複数の第一ヨーク21の径外方向に位置する。すなわち、第一本体部711は、第一ヨーク21の入力軸11側の端部を囲むよう形成されている。第一本体部711は、回転軸Oに垂直な断面形状が、図14に示すように、中心角α9が180度より小さい部分円環状に形成されている。第一本体部261は、第一ヨーク21とともに磁気回路を形成する。
第一連結部712は、多極磁石20からみて第一ヨーク21の径外方向に位置する第一本体部711の端部に設けられている。第一連結部712は、第一本体部711から多極磁石20の径外方向に延びるよう形成されている。第一連結部712は、第一本体部711の磁束を第一支持部263に誘導する。
第一支持部263は、第一連結部712の第一本体部711に接続する側とは反対側の端部に設けられる。
【0085】
第二集磁部材72は、第二本体部721、第二連結部722、及び、第二支持部273を有する。
第二本体部721は、図15に示すように、複数の第二ヨーク22と多極磁石20との間、回転軸方向において複数の第二ヨーク22の出力軸12側、及び、多極磁石20からみて複数の第二ヨーク22の径外方向に位置する。すなわち、第二本体部721は、第二ヨーク22の出力軸12側の端部を囲むよう形成されている。第二本体部721は、回転軸Oに垂直な断面形状が第一本体部261と同様に180度より小さい部分円環状に形成されている。第二本体部721は、第二ヨーク22とともに磁気回路を形成する。
第二連結部722は、多極磁石20からみて第二ヨーク22の径外方向に位置する第二本体部721の端部に設けられている。第二連結部722は、第二本体部721から多極磁石20の径外方向に延びるよう形成されている。第二連結部722は、第二本体部721の磁束を第二支持部273に誘導する。
第二支持部273は、第二連結部722の第二本体部721に接続する側とは反対側の端部に設けられる。
【0086】
第九実施形態によるトルクセンサ9では、一組の集磁部70の本体部は、第一ヨークまたは第二ヨークの軸方向に加え、ヨークと多極磁石20との間、及び、多極磁石20からみてヨークの径外方向に位置する。これにより、ヨークに対する本体部の対向面積が比較的大きくなるため、支持部に誘導される磁束密度を多くすることができる。したがって、第九実施形態は、第一実施形態の効果を奏するととともに、磁気センサ31,32の検出感度を向上することができる。
【0087】
また、磁気センサ31,32の検出感度を向上することができるため、集磁部70の本体部は、検出感度の低下を抑制しつつ多極磁石20の周方向の長さを短くすることができる。これにより、一組の集磁部70を成形するために必要な原料をさらに少なくすることができる。
【0088】
(第十実施形態)
第十実施形態によるトルクセンサを図16,17に基づき説明する。第十実施形態では、集磁部材の形状が第九実施形態と異なる。
【0089】
第十実施形態によるトルクセンサ10は、トーションバー13、多極磁石20、複数の第一ヨーク21、複数の第二ヨーク22、一組の集磁部75、及び、二つの磁気センサ31,32を有する。
【0090】
一組の集磁部75は、いずれも軟磁性材料で形成されている第一集磁部材76、及び、第二集磁部材77を有する。第一集磁部材76と第二集磁部材77とは、図17に示すように、回転軸方向において互いに対向するように設けられる。
【0091】
第一集磁部材76は、第一本体部761、第一連結部712、及び、第一支持部263を有する。
【0092】
第一本体部761は、複数の第一ヨーク21と多極磁石20との間、回転軸方向において複数の第一ヨーク21の入力軸11側、及び、多極磁石20からみて複数の第一ヨーク21の径外方向に位置する。第一本体部761は、回転軸Oに垂直な断面形状が、図16に示すように、中心角α10が180度の部分円環状に形成されている。第一本体部761は、第一ヨーク21とともに磁気回路を形成する。
第一連結部712は、第一本体部761の多極磁石20とは反対側に設けられている。第一連結部712は、第一本体部761から多極磁石20の径外方向に延びるよう形成されている。
【0093】
第一本体部761は、第一連結部712に連結する「基部」としての円環部762、及び、複数の折曲部763を有する。第一本体部761は、板状部材からパンチなどによって打ち抜かれるとき、図16に示すように、円環部762の径方向の長さに比べて径方向の長さが長い半円の部分円環状となるよう形成される。
円環部762は、回転軸方向において複数の第一ヨーク21の入力軸11側に位置する。
複数の折曲部763は、円環部762の径方向内側に設けられている。折曲部763は、円環部762の径方向内側に設けられている円環状の部位を円環部762の径方向に沿って複数切断した部位である。第一集磁部材76を第一ヨーク21の入力軸11側に設けるとき、折曲部763は、円環部762との接続線L76において交互に折り曲げられる。交互に折り曲げられた折曲部763は、図17に示すように、複数の第一ヨーク21と多極磁石20との間、または、多極磁石20からみて複数の第一ヨーク21の径外方向に交互に位置する。
【0094】
第二集磁部材77は、第二本体部771、第二連結部722、及び、第二支持部273を有する。
【0095】
第二本体部771は、複数の第二ヨーク22と多極磁石20との間、回転軸方向において複数の第二ヨーク22の出力軸12側、及び、多極磁石20からみて複数の第二ヨーク22の径外方向に位置する。第二本体部771は、回転軸Oに垂直な断面形状が、第一本体部761と同様に、中心角が180度の部分円環状に形成されている。第二本体部771は、第二ヨーク22とともに磁気回路を形成する。
第二連結部722は、第二本体部771の多極磁石20とは反対側に設けられている。第二連結部722は、第二本体部771から多極磁石20の径外方向に延びるよう形成されている。
【0096】
第二本体部771は、第二連結部722に連結する「基部」としての円環部772、及び、複数の折曲部773を有する。第二本体部771は、板状部材からパンチなどによって打ち抜かれるとき、第一本体部761と同様に、円環部772の径方向の長さに比べて径方向の長さが長い半円の部分円環状となるよう形成される。
円環部772は、回転軸方向において複数の第二ヨーク22の出力軸12側に位置する。
複数の折曲部773は、円環部772の径方向内側に設けられている円環状の部位を円環部772の径方向に沿って複数切断した部位である。第二集磁部材77を第二ヨーク22の出力軸12側に設けるとき、折曲部773は、円環部772との接続箇所において交互に折り曲げられる。交互に折り曲げられた折曲部773は、図17に示すように、複数の第二ヨーク22と多極磁石20との間、または、多極磁石20からみて複数の第二ヨーク22の径外方向に交互に位置する。
【0097】
第十実施形態によるトルクセンサ10では、一組の集磁部75の本体部は、板状部材からパンチなどによって打ち抜かれるとき、連結部に連結する円環部、及び、複数の折曲部を有する平板状をなしている。これにより、比較的容易な成形方法によってヨークに対する本体部の対向面積を比較的大きくすることができる。したがって、第十実施形態は、第九実施形態の効果を奏するととともに、トルクセンサ10の製造コストを低減することができる。
【0098】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、集磁部が有する本体部は、中心角が180度以下の形状となるよう形成されるとした。しかしながら、本体部の形状はこれに限定されない。中心角が360度の環状に形成されてもよい。また、本体部の形状は、部分円環状、略矩形状、略三角形状、台形状に限定されない。
【0099】
第八実施形態では、磁気センサの感磁面は、多極磁石の径方向に向かうよう配置されているとした。しかしながら、感磁面が向かう方向はこれに限定されない。回転軸とは異なる方向であってもよい。
【0100】
第九、十実施形態では、集磁部材の本体部は、ヨークと多極磁石との間、回転軸方向においてヨークの回転軸方向側、及び、多極磁石からみてヨークの径外方向に位置するとした。しかしながら、集磁部材の本体部の位置は、これに限定されない。ヨークと多極磁石との間及び回転軸方向においてヨークの回転軸方向側であってもよいし、多極磁石からみてヨークの径外方向及び回転軸方向においてヨークの回転軸方向側であってもよい。
【0101】
上述の実施形態では、第一ヨーク及び第二ヨークは、略台形状の板材であるとした。しかしながら、第一ヨーク及び第二ヨークの形状は、これに限定されない。長方形状や三角形状であってもよいし、曲線から形成される形状であってもよい。
また、第一ヨークは、多極磁石の入力軸側の端部の径外方向に設けられ、第二ヨークは、多極磁石の出力軸側の端部の径外方向に設けられるとした。しかしながら、第一ヨーク及び第二ヨークが設けられる位置はこれに限定されない。第一ヨークと第一集磁部材との間に磁気回路が形成され、第二ヨークと第二集磁部材との間に磁気回路が形成されればよい。
【0102】
上述の実施形態では、複数の第一ヨーク及び複数の第二ヨークは、それぞれ個別に板状部材を打ち抜くことによって成形するとした。しかしながら、複数の第一ヨーク及び複数の第二ヨークの成形方法は、これに限定されない。例えば、図18に示すように、複数の第一ヨーク21を連結する比較的幅が狭い連結部211によって連結されている部材を平板状部材から打ち抜いてもよい。また、複数の第二ヨーク22を連結する比較的幅が狭い連結部221についても同様である。これにより、複数のヨークを容易に取り扱うことができる。
また、複数の第一ヨーク及び複数の第二ヨークの成形方法は、平板状部材から打ち抜く方法に限定されない。例えば、断面が略台形状の棒材を切断することによって、比較的厚みが薄い略台形状の平板を複数成形してもよい。
【0103】
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0104】
1,2,3,4,5,6,7,8,9,10・・・トルクセンサ
11・・・入力軸(第一軸) 12・・・出力軸(第二軸)
13・・・トーションバー
20・・・多極磁石
21・・・第一ヨーク 22・・・第二ヨーク
25,35,40,45,50,55,60,65,70,75・・・集磁部
261,361,411,461,511,561,611,711,761・・・第一本体部
271,721,771・・・第二本体部
31,32・・・磁気センサ
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