【実施例1】
【0044】
全血保存における物理的安定化の役割
全血サンプルの保存を改善する試みにおいて、本発明者らは、この流体組織の貯蔵における基本的であるが、見落とされた態様、すなわち、血液沈殿に対処した。血液沈殿は、機械的ストレスを誘導するだけでなく、血液細胞を圧縮し、活性化された、分解性白血球によって引き起こされる付随的損傷を加速する。本発明者らは、ポリマーフィコール70kDaは、主に、赤血球凝集を抑制することによって、72時間にわたって血液サンプルを安定化し、血液沈殿を防ぐことを見出した。このアプローチは、赤血球溶解および免疫磁気精製を含めた一般的な白血球濃縮技術と適合した。棘状赤血球形成および白血球生存力およびアポトーシスを含めた尺度において沈殿した血液を比較した場合に、物理的安定化は、細胞の優れた保存と関連していた。注目すべきことに、好中球の完全性は保存され、好中球エラスターゼ−好中球細胞外トラップのマーカーの放出が大幅に低減した。この研究は、血液沈殿は、生体材料を使用して防がれ得、さまざまな診断技術において意味を有することを最初に示した。
【0045】
材料および方法
以下の材料および方法を実施例1において使用した。
血液サンプルおよびフィコールの添加
血液サンプルは、健常なボランティアから入手するか、またはResearch Blood Components(Brighton、MA)から購入した。すべての血液サンプルは、クエン酸デキストロース−A(ACD−A)チューブ(BD Vacutainer;8.5mL)中に入れ、4時間以内に使用した。
【0046】
全血(WB)を、何らかの改変を行わずに使用した。フィコール70kDa(GE Healthcare)ポリマーを血液中に導入するために、フィコール(20%、40%および60%w/v)の濃縮された保存溶液を、10mM HEPES(Life Technologies)を補充したRPMI 1640培地(フェノールレッド;Life Technologiesを含まない)に溶解し、濾過滅菌し、1:3の容量比で全血に添加した。例えば、5%F70を有する血液を調製するために、1部の20%フィコールを3部のWBに添加し、使用前に10〜15分間混合した(HulaMixer;Life Technologies)。0%F70サンプルについては、1部のRPMIを3部のWBに添加し、結果として、75%血液容量画分が得られた。血液サンプルを、室温で、乱されない、滅菌の気密性チューブ中に貯蔵した。
【0047】
赤血球沈殿速度アッセイ
赤血球沈殿速度(ESR)アッセイは、標準化されたWestergren方法(Dispette 2;Fisherbrand)の寸法に一致するピペットを使用して、1.3mLの全血またはフィコール血液を用いて実施した。ESRをミリリットルで、24、48および72時間に記録した。
【0048】
レオロジー
スチール二重壁同心円筒構造を有するTA Instruments Discovery HR−3血流計を使用して、クエット流動測定を実施した。各実験に8.5mLのサンプルを使用した。10年あたり5点で、0.1/s〜1000/sの範囲のせん断速度でデータ点を獲得した。
【0049】
血液細胞の形態評価
棘状赤血球の数え上げのために、サンプルを穏やかに混合し、その後、液滴(約10μL)をガラススライドに移し、スメアを引き、EVOS FL Cell Imaging System(Life Technologies)を使用して、位相差顕微鏡を使用して40×で撮像した。サンプルあたり約100個の無作為のRBCをカウントし、棘状赤血球をその明確な棘形成によって同定した。
【0050】
標準手順に従って、Wright−Giemsa染色を実施した。手短には、サンプルの液滴(約10μL)を、ガラススライド上にスメアを引き、風乾し、100%メタノール中で固定化し、Wright−Giemsa染色剤(Sigma)中に30秒間浸漬し、その後、脱イオン水ですすいだ。Nikon Eclipse 90i顕微鏡でNikon 100×Apo VC 100×/1.40オイル対物レンズを使用して、Nikon DS−Ri1カラーカメラ(12ビット;1280×1024解像度)を用いて画像を獲得した。
【0051】
白血球濃縮および収率定量
赤血球溶解を、赤血球溶解溶液(Miltenyi Biotec)を使用して実施した。溶解後、細胞を300×gで遠心沈殿させ、10mL RoboSepバッファー(Miltenyi Biotec)で洗浄し、再度遠心沈殿させた、600μLのRoboSepバッファーに再懸濁し、Beckman Z2コールターカウンターを使用してカウントした。好中球濃縮を、EasySepヒト好中球濃縮キット(Stemcell Technologies)を、製造業者のプロトコールに従って使用して実施した。手短には、枯渇抗体カクテルを、濃縮された白血球(RBC溶解によって得られた)と混合し、続いて、磁性粒子とともにインキュベートした。次いで、標識不含好中球が別のコニカルチューブ中に流れるので、EasySep磁石を使用して不要な細胞を固定化した。濃縮された好中球を再度遠心沈殿させ、1mLの、0.3%BSAおよび10mM HEPESを含有するRPMI培地に再懸濁し、カウントし、イメージングフローサイトメトリーについて染色した。
【0052】
表面マーカーのイメージングフローサイトメトリーおよび細胞生存力
イメージングフローサイトメトリーを、40×対物レンズ、6つのイメージングチャネルならびに405nm、488nmおよび642レーザーを備えたImageStream
X Mark IIイメージングフローサイトメーター(Amnis Corporation)を使用して実施した。細胞生存力およびCD45発現の解析のために、RBC溶解後、濃縮された白血球をHEPES緩衝生理食塩水中、0.1%BSAに再懸濁し、適用可能な場合には、以下の抗体および染色剤を用いて染色した:DRAQ5(1μM;Cell Signaling Technologies)、Sytox Blue(1μM;Life Technologies)、CellEventカスパーゼ−3/7緑色検出試薬(0.75μM;Life Technologies)、FITCコンジュゲートCD45抗体(1:500;クローン5B1;Miltenyi Biotec)、PEコンジュゲートCD66b抗体(1:125;クローンG10F5;Stemcell Technologies)およびPE−Cy7コンジュゲートCD16抗体(1:200または1:333;クローン3G8;BD Biosciences)。単細胞を核マーカーDRAQ5を使用してゲート開閉した。好中球をCD66bおよびCD16の二重陽性によって同定した。濃縮後、好中球活性化の解析のために、DRAQ5(1μM;Cell Signaling Technologies)、VioBlueコンジュゲートCD45抗体(1:100;クローン5B1;Miltenyi Biotec)、Alexa Fluor 488コンジュゲートCD11b抗体(1:500;クローンICRF44;Stemcell Technologies)、PEコンジュゲートCD66b抗体(1:125;クローンG10F5;Stemcell Technologies)およびPE−Cy7コンジュゲートCD16抗体(1:333;クローン3G8;BD Biosciences)を用いて細胞を染色した。
【0053】
NETの可視化のための免疫蛍光染色および顕微鏡観察
ポリ−L−リシンコーティングされたガラススライド上の血液スメアを、100%メタノールで固定化し、風乾し、4%パラホルムアルデヒドを用いて固定化し、室温で4時間ブロッキングし、透過処理した(2%ヤギ血清+0.1%Triton X−100)。次いで、スライドを、0.3%ウシ血清アルブミン中で抗好中球エラスターゼウサギpAb(25μg/mL;Calbiochem)および抗H2A−H2B−DNAマウスmAb(クローン PL2−6;1μg/mL)とともに4℃で終夜インキュベートした。次いで、スライドを、Alexa Fluor 488コンジュゲートヤギ抗ウサギIgGおよびAlexa Fluor 555コンジュゲートヤギ抗マウスIgG(両方とも1:500;Life Technologies)とともに室温で45分間インキュベートし、PBSですすぎ、DAPI(Vector Laboratories)を含むVECTASHIELD封入剤を使用してマウントした。Nikon Eclipse 90i顕微鏡でNikon S Plan Fluor ELWD 60x/0.70対物レンズを使用してQImaging Retiga 2000Rカメラを用いて画像を獲得した。
【0054】
好中球エラスターゼの定量
血液サンプルを穏やかに混合し、血漿中へのNET内容物の放出のために37℃に4時間加温し、PBSを用いて25%の最終血液容量画分に希釈し、その後、2000×gで5分間遠心分離した。次いで、上清を注意深く、新しい遠心分離管に移し、さらなる処理のために−80℃で貯蔵した。好中球エラスターゼのレベルを、好中球エラスターゼ活性アッセイキット(Cayman Chemical Company)を、製造業者のプロトコールに従って使用し、SpectraMax M5分光計(Molecular Devices)を使用して定量した。NETosisの陽性対照として、新鮮全血に酢酸ミリスチン酸ホルボール(100nM)を添加し、その後、インキュベートした。
【0055】
統計解析
数値データが、平均±標準偏差として報告されている。ペアワイズ比較は、マン・ホイットニーの検定を使用した。本発明者らは、密度の比較のために、1元配置分散分析法を使用し、直線傾向についてのポストテストを続けた。本発明者らは、WBおよびF70条件を経時的に比較するために、2元配置分散分析法と、それに続いて、ペアワイズ比較のためのボンフェローニポストテストを使用した。すべての統計分析をPrism 5(GraphPad)を用いて実施した。
【0056】
実施例1.1 血液の生物物理学的安定化
本発明者らは、Westergren方法において使用された標準化されたピペットを用いてESRを定量化した(
図1A)。フィコールの非存在下では、全血は迅速に沈殿し、24時間で62.6±26.5mmに達し、さらに、48および72時間で、それぞれ、78.9±20.0および84.9±15.6mmに達した(
図1B)。フィコール70kDa(F70)を血液中に導入するために、本発明者らは、F70の濃縮された保存溶液(RPMI培地に溶解した)を血液サンプルに1:3の比で混合し、その結果、最終の示されたF70濃度(w/v)が得られた。5%、10%および15%F70の添加は、すべての測定された時点でESRを大幅に低減した(
図1B;24、48および72時間のWBと比較してp<0.0001)。印象的に、10%および15%F70は、72時間にわたって沈殿をほぼ完全に防いだ(ESRは、それぞれ7.3±3.1mmおよび4±1.6mmであった;
図1B)。本発明者らは、安定化効果は、添加された培地ではなく、F70によるものであったことを確認するために、全血を、RPMIを用いて同一比で希釈することによってESRが変化しないことを見出した(0%F70、
図1B;すべての時点でWBと比較してp>0.05)。
【0057】
本発明者らは、フィコールポリマーが全血を安定化した方法を理解するために、血液沈殿に関連しているそのレオロジー特性、すなわち、粘度、密度および細胞凝集を特性決定した。本発明者らは、0.1/s〜1000/sの範囲のせん断速度で、血液サンプルでクエット粘度測定をまず実施した。全血は、せん断流動化挙動を示し、粘度が、0.1/sのせん断速度での51.9±18.9cPから1000/sのせん断速度での4.1±0.4cPに低下した(
図2A)。15%F70の添加は、血液サンプルの低せん断粘度を増大し(WBと比較して、せん断速度≦0.398/sでp<0.01)、せん断流動化プロフィールを保持した(
図2A)。対照的に、5%および10%F70は、全血の粘度を大幅に変更しなかった(
図2A)。驚くべきことに、これらの両F70濃度は、低せん断範囲において15%F70よりも低い粘度を示した(15%F70に対して5%について、せん断速度≦0.631/sでp<0.05;15%F70に対して10%について、せん断速度≦0.251/sでp<0.01)。WB、5%F70、10%F70および15%F70の密度は、それぞれ、1.047±0.009g/mL、1.051±0.007g/mL、1.063±0.006g/mLおよび1.071±0.006g/mLであった(
図2B;p<0.0001、直線傾向についてのポストテストを用いる1元配置分散分析法)。
【0058】
密度のその増大は、最小限であり(15%F70について、わずか2.3%)、粘度の変化は有意でない(5%および10%F70について)ことは、フィコールが、RBC凝集を防止することによって全血を安定化することを示唆した。沈殿速度v
sに基づいたESR値の推定は、沈殿が、RBCが単細胞として沈殿する限り、全血においてでさえ最小限である(10mm未満)ことを実証した(
図2D)。沈殿速度は、粒子半径の二乗につれて増減するので、RBC凝集は、ESRの増大に最も大きく貢献する(
図2D)。本発明者らは、全血中のRBCが数分内に迅速に凝集するのに対し、F70の添加は凝集を大きく抑制することを実験によって確認した(
図2C)。注目すべきことに、10%および15%F70は、凝集を完全に防ぎ(
図2C)、これら2種の実験条件における推定ESRと実測ESR値の間の一致を十分に説明する。
【0059】
理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者らはまた、安定化の機序を調査した。全血における血液沈殿は、大きな血漿タンパク質の存在下で自発的RBC凝集によって駆動され、それらの中では、フィブリノゲン(約340kDa;水力学的半径約11nm)が最も大規模に研究されている(20、21)。RBC凝集に関与する分子力は、大きな水力学的半径(≫4nm)の高分子が、RBC表面付近から優先的に排除され、それによって、浸透圧力(すなわち、枯渇力)を誘導し、これが、RBCの凝集をもたらすとする(22、23)枯渇相互作用機序によって説明され得る(22)。この力は、両タンパク質および非タンパク質ポリマーによって生じ得、白血球濃縮のためにRBC沈降を加速するためによく使用される大きなヒドロキシエチルデンプン(130kDa超)およびフィコール400kDa(半径=10nm)の凝集効果を説明する。しかし、小ポリマーが、代わりに、枯渇層において、この限局空間に浸透するその能力のために浸透圧力を低減することによって(23、26)RBC凝集を抑制することはあまり理解されていない(24、25)。この枯渇モデルも、フィコールポリマーを用いる本発明者らの実験知見と一致するか否かを理解するために、本発明者らは、NeuおよびMeiselmanによる理論的定式化(22)に従って、70kDa(半径=5.1nm)または400kDaフィコール(半径=10nm)の存在下でRBC間の相互作用エネルギーを計算した。本明細書において、本発明者らは、浸透特性の計算にフィコール分子の球状の形態を考慮して、RBC表面上の負に帯電した糖衣ならびにポリマー排除によって誘導される枯渇力による静電反発力を考慮した。本発明者らは、より大きなフィコール400kDaは、十分に厚い枯渇層をもたらして(
図2E)、総相互作用エネルギーを負の値(すなわち、引力;
図2F)に低減することを見出した。対照的に、フィコール70kDaの存在下で相互作用エネルギーは、一般に、非負値であった。本発明者らはまた、フィコール400kDa(5%)は、RBC凝集につながることを実験によって確認した(
図2G)。
【0060】
実施例1.2 赤血球保存
本発明者らは、全血サンプルの物理的安定化が、赤血球の保存を改善するか否かを調べるために処理した。RBC老化の特有の特徴は、両凹円板形態の喪失および棘状赤血球と呼ばれる棘形成の出現を特徴とする(
図3A)。本発明者らは、沈殿した全血またはフィコール安定化された血液における貯蔵の結果としての棘状赤血球のパーセンテージを定量化した(
図3B)。全血における棘状赤血球レベルは、0時間での6.6±11.6%から、それぞれ、24、48および72時間での52.2±25.4%、63.2±25.9%および78.8±21.1%へ増大した。5%、10%または15%F70の添加は、貯蔵後の棘状赤血球レベルを有意に低減した(
図3B;それぞれ、24、48および72時間でのWBに対して5%F70についてp<0.05、<0.01、<0.001;それぞれ、24、48および72時間でのWBに対して10%または15%F70について、p<0.001)。RPMIのみの添加(0%F70)は、予測されたように棘状赤血球形成に対して全く効果がなかった(すべての時点でp>0.05)。
【0061】
実施例1.3 白血球濃縮方法との適合性
血液細胞が関与する多数のアッセイは、所望の集団を高純度で単離する濃縮ステップを必要とする。本発明者らは、F70安定化された血液が、白血球濃縮のための一般的な技術と適合するか否かを調べた。本発明者らは、F70が、RBCの通例の低張溶解に影響を及ぼさず、全血サンプルと同等の白血球収率をもたらすことを見出した(WBの46.7±1.8%対10%F70の43.9±1.9%、各n=3、p=0.2)。フローサイトメトリー解析は、白血球マーカー、CD45の発現に関して変更がないことを示し(相対蛍光、WBの54±13×10
3対10%F70の56±21×10
3、各n=6、p=1.0)、一般的な表面抗原ベースの濃縮技術との適合性を示唆した。本発明者らは、全血と同等の、好中球濃縮のための免疫磁気ネガティブ選択アッセイおよび得られた収率(WBの30.7%±8.2%対10%F70の29.2%±10.5%、各n=4、p=0.89)ならびに純度(WBの99.0%±1.0%対10%F70の99.0%±0.8%、各n=4、p=1.0)をさらに試験した。重要なことに、フィコールを用いる処理は、好中球を活性化しなかった(CD11b相対蛍光、WBの123±36×10
3対10%F70の123±15×10
3、各n=4、p=0.89)。
【0062】
実施例1.4 白血球保存
物理的安定化が白血球保存を改善したか否かを試験するために、本発明者らは、Wright−Giemsa染色された血液スメアで白血球の形態を観察し、フローサイトメトリーを使用して細胞生存力をアッセイした。好中球およびそのそれぞれの多葉性核形態は、全血において72時間の貯蔵後に崩壊の明確な兆候を示した。比較において、好中球形態は、フィコール安定化された血液においてより良好に保存された(
図4A)。細胞死と関連する事象を研究するために、本発明者らは、膜が損なわれた(Sytox Blue)ならびにアポトーシス(カスパーゼ−3/7活性について陽性)細胞を同定する染色剤を使用するイメージングフローサイトメトリーを実施した。全血において72時間貯蔵した後、白血球の28.2%±10.2%が、Sytoxについて陽性に染まり(
図4B)、32.5%±13.1%がカスパーゼ活性について陽性であった(
図4C)。対照的に、10%F70を用いて安定化された血液中の白血球は、最小限にしか損傷を受けなかった(12.1%±3.5%膜損傷;WBと比較してp=0.0009;
図4B)およびかなり少ないアポトーシスであった(13.2%±3.3%カスパーゼ陽性;WBと比較してp=0.0286;
図4C)。これらの保存の恩恵は、脆弱好中球で特に明らかであった。全血では、好中球の41.8%±15.9%が膜が損傷しており(
図4B)、48.3%±19.9%がカスパーゼ陽性であった(
図4C);これらの値を、フィコール安定化された血液における、それぞれ、13.4%±4.5%(p<0.0001;
図4B)および15.6%±4.5%(p=0.0286;
図4C)と比較した。Sytox陽性細胞の93%超がまた、カスパーゼ活性について陽性に染まり、細胞の大部分がアポトーシスによって死滅したことを示唆する。
【0063】
最近、好中球細胞外トラップ(NET)は、白血球除去されなかった(leukoreduced)貯蔵された赤血球ユニットにおいて見出された(17)。好中球の明白な分解が、本発明者らにNET形成を調査させた。本発明者らは、貯蔵されたサンプルから得られた血液スメアで、大きな領域に広がることが多い、高度に分散された核材料を観察し(
図4D)、これは、NETの形成を示唆する。好中球特異的マーカー好中球エラスターゼならびにヒストン−DNA複合体を用いる免疫蛍光染色(
図5B)によって、貯蔵された血液サンプル中のNETの存在が確認された(
図4E)(18)。本発明者らは、NETosisの程度を定量化するために、貯蔵後の好中球エラスターゼの血漿レベルをELISAを用いて測定した。本発明者らは、72時間で10%F70と比較してWB中のエラスターゼにおいて2.2倍の差を見出した(63.6±21.1mU/mL対29±11.2mU/mL;p=0.0023;
図4F)。
【実施例2】
【0064】
周囲条件下での全血における赤血球および白血球安定化
CPDおよびAS−1などの現在の赤血球保存料は、血液収集の24時間以内の白血球除去と、それに続く、4℃での赤血球の貯蔵を必要とする。さらに、本発明者らの知る限り、これらの溶液は、より迅速に分解する傾向がある(転移性乳癌患者サンプルを用いる本発明者らの実験に基づいて)患者サンプルに対して検証されていない。現在市販されている全血保存料(CellSaveなど)は、固定液を利用して、細胞膜およびタンパク質を安定化する。固定は、細胞死をもたらし、RNA抽出を複雑にする。したがって、本実施例は、全血患者サンプルにおいて生存可能な赤血球を安定化するための、全血において生存可能な白血球を保存するための保存料の開発を説明する。両方法を、サンプル輸送を容易にするために、周囲条件下でサンプルを安定化するように最適化した。
【0065】
材料および方法
以下の材料および方法を、実施例2において使用した。
周囲条件下で健常ドナー全血において赤血球を保存するための製剤の開発。健常ドナー全血由来の赤血球を安定化するために、CS−オリジナル
**(元のカクテル溶液)と呼ばれる最初の製剤を開発した(表1)。CSは、水中で調製し、ACD抗凝固剤チューブ中に回収された血液に、17:3の血液:保存料の比で添加した。表1に記載された濃度は、血液中の保存料成分の最終濃度であった。保存料の添加後、血液ガス(5%O2、5%CO2)を用いてサンプルにガスを供給し、密閉する。次いで、サンプルを、21°Cで所望の時間量(24〜96時間)の間貯蔵した。貯蔵期間後、血液にアデノシンの20mM溶液を、最終濃度が2mMであるように添加する。次いで、血液を37℃で4時間インキュベートし、赤血球の形状の再生を促進するように間欠的に混合した。次いで、棘状赤血球の数を定量化するために、サンプルを光学的に調べた(非定型または損傷を受けた赤血球)。
【0066】
【表1】
【0067】
患者赤血球安定化のための保存料製剤のタグチ最適化。転移性乳癌患者の血液中の赤血球を安定化するためにCSオリジナルを最適化した。表1は、実験の設計のためのタグチ方法に従う、改変L18直交アレイの構築を示す。HEPES保存溶液(1M)を、重炭酸ナトリウムを使用してpH7.4に調整する。各製剤を、貯蔵後の4時間アデノシン再生ステップを含めて上記のように調べた。
【0068】
周囲条件下で貯蔵された全血における白血球分解の試験
末梢健常ドナー血液を、ACD抗凝固剤チューブ中に集めた。血液を2つの1mLアリコートにわけ、0時間および72時間での白血球を調べた。72時間サンプルに、15mLのファルコンチューブに血液を添加し、5%O
2/5%CO
2/90%N
2を用いて脱気し、続いて、周囲条件下、暗所キャビネット中の気密性容器中で貯蔵した。残りの1mLのサンプルを、フローサイトメトリーを使用して処理して、側方散乱対CD45強度を確立した。この試験は、種々の白血球集団(好中球、リンパ球など)を識別するために、フローサイトメトリーにおいて頻繁に使用される。
【0069】
アポトーシスおよび壊死阻害剤の好中球保存料としての評価。ヒト好中球濃縮キット(StemCell Technologies;Vancouver、British Columbia、Canada)から推奨されるプロトコールおよび試薬を使用して、健常ドナー全血からのネガティブ選択によって好中球を単離した。コールターカウンターZ1(Beckman Coulter;Brea、California)を使用して直径8〜30μmの粒子をカウントすることによって収率を調べた。好中球は、IMDM±20%FBS中で貯蔵し、未処理(対照)であるか、または1.25μL/mLのDMSO(Sigma−Aldrich;St.Louis、Missouri)、5μMのQ−VD−OPh(Apex Bio;Houston、Texas)、50μMのネクロスタチン−1(Cayman Chemical;Ann Arbor、Michigan)または50μMのBoc−D−FMK Apex Bio;Houston、Texas)を用いて処理した。単離の直後ならびに21℃で24、48、72および96時間の貯蔵後に、対応するサンプルを処理した。サンプルを、R−フィコエリトリンコンジュゲートアネキシン V、SYTOX Green、Hoechst 33342(すべてLife Technologies;Carlsbad、California)およびアロフィコシアニンコンジュゲートCD45(Huntington Valley)を用いて染色し、ImageStream
X Mk.IIイメージングフローサイトメーター(Amnis Corporation;Seattle、Washington)を使用して撮像した。
【0070】
実施例2.1 患者赤血球安定化のための保存料製剤のタグチ最適化
健常ドナー全血中の赤血球を安定化するように設計されたCS−オリジナル製剤は、迅速に分解する、転移性乳癌患者サンプルに対して試験した場合には、効果的ではなかった。したがって、CS製剤の最適化を導くように改変タグチ表(上記の表1)を構築した。今日までに最も有望な製剤は、タグチ表からの条件18であった。
【0071】
図6は、この製剤が、対照およびCS−オリジナルサンプルと比較して、アデノシン処理後に赤血球を再生する優れた能力を提供すること示す(n=5、76時間のアデノシン処理サンプルがプロットされている)。
【0072】
したがって、CS−オリジナル製剤は、健常ドナーサンプル(全血として周囲条件下で貯蔵された)に由来する赤血球を安定化するのに十分であったが、より迅速に分解し得る患者サンプルを安定化するためには理想的ではない。しかし、貯蔵後再生ステップ(4時間のアデノシンと伴のインキュベーション)と組み合わせた、実験の設計のための改変タグチ方法を使用して、製剤を最適化し、その結果、72時間貯蔵されたサンプルの優れた保護が得られた(
図6に示される条件18)。
【0073】
実施例2.2 周囲条件下で貯蔵された白血球では、大規模なCD45バイオマーカー分解が観察される。
全血を集め、周囲条件下で最大72時間貯蔵して、バイオマーカー発現に対する貯蔵の効果を調べた。
図7は、CS−オリジナル中、周囲条件下で貯蔵された白血球が、新鮮に調べられた白血球と比較して、CD45発現の大幅な低減を起こすことを示す。
【0074】
Q−VD−OPh、強力な抗アポトーシス特性を有する、スペクトルが広いカスパーゼ阻害剤(Caserta et al., Apoptosis 2003; 8: 345-352を参照のこと)は、周囲条件下で貯蔵された好中球を成功裏に安定化した。好中球は、ex vivoで迅速に変質することが知られていたので、本発明者らは、この細胞の集団は、
図7において観察された蛍光シフトに広く関与しているのではないかと考えた。結果として、本発明者らは、全血ではなく、培養培地(IMDM+20%FBS)中で貯蔵された、単離された好中球を調べるように実験を単純化した。この単純化によって、可能性あるアポトーシス/壊死阻害剤のより徹底的な、迅速な評価が可能となった。アポトーシス阻害剤Q−VD−OPhおよびBoc−D−fmkは、そのカスパーゼ阻害活性のスペクトルが広いことに基づいて選択した。Q−VD−OPhは、これまでに、低濃度(5μM)で有効な強力なアポトーシス阻害剤として報告されている。
図8A〜Iが示すように、Q−VD−OPhが、極めて感受性の好中球集団内でアポトーシス阻害で高度に有効であり、また、周囲貯蔵条件下で生存力を約24時間から96時間に延長するように作用した(HBSSまたはIMDMのみを用いる実験が、好中球のより迅速な分解をもたらし、24時間超安定であったので、対照条件自体もまた、好中球に対して安定化効果を有することは注目に値する)。さらに、Q−VD−OPhは、CD45バイオマーカー発現を効果的に保存した。具体的には、
図8Cに示されるように、96時間の周囲貯蔵後に、好中球は、収集直後に調べられたものとほぼ区別できない。あるいは、対照条件下で貯蔵された同一ドナーに由来する好中球は、96時間で大幅な分解を受けていた(
図8B)。
【0075】
実施例2.3 Q−VD−OPhは、好中球機能を保存する。
図8中のデータは、Q−VD−OPhは、周囲条件下で貯蔵された好中球の生存力およびCD45バイオマーカー発現を保存可能であったことを実証するが、これらの細胞が依然として機能的であるか否かは示さなかった。これらの条件下で貯蔵された好中球が、依然としてfMLP勾配に向かって遊走可能であるか否かを調べるために、本発明者らは、この目的のためにこれまでに開発された微小流体デバイスを利用した。手短には、fMLP、好中球化学誘引物質は、2つの外側チャンバーに添加される。外側チャンバーは、一連のチャンネルによって内側チャンバーに接続され、勾配を作製する。次いで、内側チャンバーが、好中球で満たされた。新鮮に単離された好中球を直ちに評価して、0時間遊走反応を確立し、次いで、比較のために72および96時間の周囲貯蔵後に保存された好中球を調べた。
図9Aは、Q−VD−OPh処理されたサンプルの遊走反応は、新鮮に単離された好中球のものと同等であったが、対照は、機能の大幅な低減を示したことを示す。
図9Bはまた、好中球が、勾配に向かって遊走する速度が、新鮮な好中球と同一であることを実証する。このデータは、Q−VD−OPhが好中球機能を保存することを示す。
【0076】
したがって、Q−VD−OPh処理された好中球は、72〜96時間の間周囲貯蔵条件下で安定であった。さらに、生存力およびCD45バイオマーカー発現は、最大96時間の間安定化されたが、これは、未処理好中球に比べ大幅な改善であった。
【実施例3】
【0077】
CTCの単離のための全血の低温保存
実施例は、全血の安定化のための新規戦略の開発を説明する。これらの方法は、例えば、CTC−iChipとして知られる微小流体デバイスを使用して、循環腫瘍細胞(CTC)の単離に使用することが意図されるサンプルにおいて使用され得る。患者サンプルの解析の成功は、現在、ex vivoでの患者血液の急速な変質の結果として、新鮮に集められた血液を必要とする。結果として、全血の安定化は、患者サンプルが、効果的なCTC単離に対応している集中された施設への輸送の間、保存されることを可能にするであろう。
【0078】
材料および方法
実施例3では、以下の材料および方法を使用した。
サンプル収集
全血を、Massachusetts General Hospital内で健常な対象から集めるか、またはResearch Blood Components(Brighton、MA)から購入した。対象は、血小板機能を達成すると知られているもの(例えば、静脈切開術に先立つ48時間内の非ステロイド性抗炎症薬またはアスピリン)を含めた薬物療法を受けていなかった。対象は、集中的な運動を控えるよう頼まれ(静脈切開術に先立つ少なくとも4時間)、非喫煙者であった。血小板凝集測定のための血液収集は、もっぱら19〜21ゲージのニードルを使用したが、すべての血液を、19〜23ゲージニードルを使用してクエン酸デキストロース−A(ACD−A)チューブ(BD Vacutainer;8.5mL)中に入れた。すべての血液は、収集の3〜4時間内に使用された。検体は、血小板凝集測定のためには揺り動かさずに室温で(20〜25℃)で維持したが、すべてのその他の検体は、揺り動かされた。
【0079】
血小板凝集抑制剤およびEDTAを用いる血液サンプルの処理
使用される血小板凝集抑制剤として、チロフィバン(Sigma)、エプチフィバチド(Tocris)、クロピドグレル(Sigma)、KF38789(Tocris)が挙げられる。血小板凝集抑制剤(例えば、チロフィバン、エプチフィバチドなど)を用いる処理に関わるすべての実験条件において、これらの化合物を血液サンプルに添加し、穏やかに揺り動かすことによって10分間混合し、その後、サンプルをその他のアッセイまたは貯蔵のために処理した。EDTAの添加は、特に断りのない限り、アッセイの15分前に起こった(すなわち、サンプル貯蔵の間は、EDTAは存在しなかった)。
【0080】
血液スメア
末梢血スメアを、標準手順に従って楔技術を使用して手作業で調製した。血液をピペットでスライド上にとり(約6μl)、第2のスライドを使用して(30〜45°の角度で)均一にスメアを引き、風乾した。血液スメアを、メタノール(100%)を用いて固定化し、Giemsa−Wright染色剤(Sigma)を用いて30秒間染色し、蒸留水に迅速に移し、その後、風乾した。スライドをPermountを用いてマウントし、その後、Nikon Eclipse 90i顕微鏡、Nikon 100× Apo VC 100x/1.40オイル対物レンズおよびNikon DS−Ri1カラーカメラ(12ビット;1280×1024解像度)を使用して撮像した。サンプルあたり約100個の無作為なRBCをカウントし、棘状赤血球(明らかな棘のような突出物に基づいて)または健常なRBCのいずれかとして分類した。
【0081】
イメージングフローサイトメトリー
血小板活性化および細胞生存力を、40×対物レンズおよび405、488、642nmレーザーを備えたImage Stream Mark IIイメージングフローサイトメーター(Amnis Corporation)を使用して調べた。血小板活性化パネルについては、1μlの全血を、PBSおよび以下のような蛍光標識された抗体と組み合わせた;Pacific BlueコンジュゲートCD41(1:150;クローンHIP8;BioLegend)、FITCコンジュゲートPAC−1(1:10;クローンPAC−1(RUO (GMP));BD Pharmingen)、PEコンジュゲートCD62P(1:100;クローンAK−4;BD Pharmingen)、APCコンジュゲートCD63(1:10;クローンH5C6;Biolegend)、PE/Cy7コンジュゲートCD45(1:100;クローンHI30;Abcam)。白血球生存力パネルについては、6μlの全血を、194μlのRPMI(Hepesを含有する)および以下のような蛍光標識された抗体/生存力染色剤と組み合わせた;カルセインブルーAM(10μM;Life Technologies)、CellEvent(商標)カスパーゼ−3/7緑色(5μM;Life Technologies)、PEコンジュゲートCD66b(1:125、クローンg10f5、Stemcell Technologies)、PE−cf594コンジュゲートCD45(1:400、クローンHI30、BD Pharmingen)。全血中の稀な細胞の生存力の検出のために、アンドロゲン感受性前立腺腺癌細胞(LNCaP)またはYuら(2014)
2に記載されるような乳癌患者に由来する株を、全血中に300,000個細胞/mLで添加した。イメージングフローサイトメトリーのための稀な細胞の処理は、以下を除いて、白血球生存力について上記で記載されたものと同一手順をたどった;PEコンジュゲートEpCAM(1:250、クローンVU1D9、Cell Signaling Technology)。WBC活性化パネルについては、6μlの全血を、194μlのHepesおよび以下のような蛍光標識された抗体と組み合わせた;Pacific BlueコンジュゲートCD41(1:100;クローンHIP8;BioLegend)、Alexa Fluor 488コンジュゲートCD11b(1:500;クローンICFR44;Stemcell Technology)、PEコンジュゲートCD11a(1:20;クローン38;Abd Serotec)、PE−cf594コンジュゲートCD45(1:800;クローンHI30、BD Pharmingen)、DRAQ5(1:1000;Life Technologies)。
【0082】
凝集測定
凍結乾燥したコラーゲン(可溶性仔ウシ皮膚)、トロンビンおよびリストセチンは、Chrono−Log Corporation(Havertown、PA)から入手し、滅菌蒸留水を使用して復元した。凝集実験は、2チャンネルChrono−Log 700 Series Whole Blood/Optical Lumi−Aggregometerで電気インピーダンスを使用して全血で実施し、AGGRO/LINK8ソフトウェアを使用して解析した。全血を37℃で5分間インキュベートし、1200rpmの撹拌子速度でアゴニストを添加した後、各サンプルを10分間流した。コラーゲン、リストセチンおよびトロンビンのアゴニスト濃度は、それぞれ、2μg/mL、1mg/mL、1ユニット/mLとした。集めたデータは、最大凝集(%)、凝集曲線の傾斜、6分での曲線下面積ならびにアゴニストの添加と凝集の開始の間の経過時間(誘導期)を含んでいた。
【0083】
添加された循環腫瘍細胞の微小流体単離
血小板凝集抑制剤を用いる血液サンプルの処理および貯蔵条件。
培養された腫瘍細胞株(VCaP、LNCaPまたは乳癌患者に由来するCTC株)を、血液1ミリリットルあたり2000〜3000個細胞で健常ドナー血液サンプル中に添加した。その後、血液サンプルを適当な容量にわけ、血小板凝集抑制剤チロフィバン(0.5または1μg/mL)またはエプチフィバチド(20μg/mL)を用いて処理し、その後、それらを直ちに貯蔵するか、微小流体処理に進めた。サンプルを室温または4℃下で貯蔵し、光から保護し、揺り動かさなかった。血小板凝集抑制剤カクテルは、微小流体処理の15分前に血液サンプルに添加されたEDTA(2〜5mM)を含んでいた。実験条件あたり、5〜6mLの血液サンプルを処理した。
【0084】
CTC−iChipを使用する微小流体選別
添加された腫瘍細胞の単離は、先に公開されたCTC−iChip(Ozkumur et al. 2013. Sci. Transl. Med. 5(179):179ra471; Karabacak et al. 2014. Nat. Protoc. 9(3):694-710)を使用し、スループットおよび純度をさらに増強するわずかな改変を用いて実施した。手短には、添加された全血を、ビオチン化CD45、CD66bおよびCD16抗体とともにインキュベートし、続いて、ストレプトアビジンが結合しているDynabeads(Invitrogen)を添加し、その後、CTC−iChipにおける処理のために加圧シリンジ中に入れた。iChipでは、血液は、大きな凝集物を除去する濾過アレイをまず通過し、次いで、大きさに基づいて血漿、血小板および赤血球を除去する水力学的選別段階に到達する。次いで、濃縮された有核細胞を単一ラインに整列させ、その結果、ダイナビーズによって標的とされる白血球が、磁気泳動法によって効率的に枯渇された。最後に、濃縮された腫瘍細胞は、残存する血小板および赤血球を除去する第2の水力学的選別アレイを経た。次いで、残りの高度に濃縮された腫瘍細胞を、生成物出口において、1%Pluronicを含有するPBSバッファー中に集めた。添加された細胞および白血球の持ち込みを、公開されたプロトコールに従って計数した(Karabacak et al. 2014. Nat. Protoc. 9(3):694-710)。
【0085】
iChip処理後の循環腫瘍細胞株のin vitro培養
ルシフェラーゼで標識された乳房CTC株を、細胞成長の定量化のために使用した(Yu et al. 2014. Science. 345(6193):216-20)。3000CTC/血液1mLで血液サンプルに添加し、6mLの血液をiChipによって処理した。次いで、濃縮されたCTC生成物を遠心沈殿させ、2mLのCTC培養培地(Yuら2014年)に再懸濁し、低接着24ウェルプレート中で、ウェルあたり500μLで培養した(合計4ウェル)。アッセイ当日、ウェルから得た400μLの細胞および生存可能な細胞の数を、Bright−Gloルシフェラーゼアッセイ系(Promega)を製造業者のプロトコールに従って使用して決定した。SpectraMax M5 Microplate Reader(Molecular Devices)を使用して発光シグナルを測定した。陽性対照として、同一CTC株から得た細胞を、直接培養し、同一方法を用い、血液における任意の添加処理またはiChip選別を行わずにアッセイした。これらの細胞を、500μLの培地中4500個細胞に調整し、同一プレートで培養した。
【0086】
RNA抽出およびRNA品質評価
標準プロトコールを使用するRBCの選択的溶解後に、WBCから全RNAを抽出した。手短には、1容量の血液を、5容量のELバッファー(QIAGEN)と組み合わせ、氷上で15分間インキュベートし、ボルテックス処理し、遠心分離し(400×g、10分、4℃)、上清を除去した。WBCを250μlのPBS(1mLの出発血液あたり)に再懸濁し、750μlのTRIzol(登録商標)LS試薬と組み合わせた。室温で5分間インキュベートした後、200μlのクロロホルムを添加し、室温で間欠的にインキュベートしながら激しくボルテックス処理した。サンプルを、12,000×gで15分間(4℃)遠心分離し、水性層を除去し、その後、100%イソプロパノールを用いて沈殿させた。最後に、サンプルを12,000×gで10分間(4℃)遠心分離し、ペレットを75%エタノールを用いて洗浄し、風乾し、TEバッファーに再懸濁した。分光光度計で260nmでの吸光度を読み取り、RNA純度の指標として260/280nmでの吸光度の比(A
260/280比=1.8〜2)を使用することによって、RNA濃度を決定した。RNA品質およびRIN値を、BioanalyzerおよびRNA Picoキット(Agilent Technologies)を標準プロトコールのように使用して決定した。
【0087】
実施例3.1 温度の関数としての血小板活性化
低温貯蔵と血小板活性化の間の関係を理解するために、血小板を種々の温度で試験した。これらの実験をまた、全血成分が最大限保存されつつ血小板活性化が最小化され得る、貯蔵のための最良の温度を同定するために実施した。
【0088】
図10に提示されるデータは、血小板の低温誘導性活性化(PAC−1活性化%によって裏付けられるような、左のグラフ)が、2種の表面タンパク質、CD62/p−セレクチンおよびGPIIa/IIIaと関連していることおよび血小板活性化の最大変化が37から22℃の間で起こることを示す。
【0089】
実施例3.2 種々の血小板凝集抑制剤の最適化/選択
上記で同定された表面マーカー、CD62/p−セレクチンおよびGPIIa/IIIaが、CTC−iChipのマイクロチャネルを塞ぐ血小板凝集において重要な役割を果たすと仮定した。CD62/p−セレクチンは、脱顆粒−周囲の血小板の動員および活性化につながるプロセスと関連しており、阻害は、近くの血小板へのシグナル伝達を妨げ、シグナル増幅を最小化するであろうと示唆する。さらに、活性化されたGPIIb/IIIaおよびCD62/p−セレクチンは、血小板−血小板、血小板−白血球および血小板−CTC相互作用を媒介し、微小流体デバイス自体と相互作用し、不適切な細胞選別、閉塞および流動速度をもたらす。結果として、本発明者らは、チロフィバン(Sigma)、エプチフィバチド(Tocris)、クロピドグレル(Sigma)、KF38789(Tocris)を含めたさまざまな血小板凝集抑制剤を試験した。
【0090】
図11に提示されるデータは、血小板凝集抑制剤の増大する投与量が、それ自体として血小板活性化を引き起こし得ることおよび血小板凝集抑制剤の増大する投与量が、血小板−白血球相互作用の量を増大し得ることを示した。さらに、血小板凝集抑制剤の投与量反応および活性化は、温度依存性であった。試験された血小板凝集抑制剤のうち、チロフィバンは、最も有望な結果を示し、低温処理された血小板は、0.01〜0.5μg/mLの範囲の投与量で最小限にしか活性化されなかった。
【0091】
実施例3.3 非毒性血小板凝集抑制剤カクテル
本発明者らは、最適化された血小板凝集抑制剤カクテル(0.1〜0.5μg/mLおよび2〜5mMのEDTAを含有する)の、全血の72時間の低温または室温貯蔵後の活性化マーカーの発現および血小板の機能に対する効果を測定した。データは
図12A〜Iに提示されている。PAC−1発現(GPIIa/IIIaの活性形態)は、低温貯蔵された血液において増強され、これは、本発明者らの血小板凝集抑制剤カクテルを用いて元に戻すことができた(12A、12C)。CD62P発現は、貯蔵の間に増強されたが、血小板凝集抑制剤カクテルは、細胞表面発現を元に戻さなかった(12B、12C)。CD62P細胞表面発現は元に戻らなかったが、血小板凝集抑制剤カクテルは、血小板−白血球相互作用を、特に、顆粒球集団について完全に元に戻すことができ、血小板凝集抑制剤カクテルは、血小板凝集/機能を完全に阻害した(12D〜I)。
【0092】
実施例3.4 低温保存の間のRBC形態の保存
血液収集の数時間以内に、血液中で、棘状赤血球として知られる、球形の棘形成した赤血球が観察される。棘状赤血球は、ex vivo血液サンプルにおいてよく観察され、細胞ストレスの指標である。棘状赤血球は、効率的な迅速な選別を可能にするための細胞の特定の大きさ、形状および可動性に依存する微小流体適用の主要な障害となる。赤血球が、血液容量の99%を構成するので、これらの構造的変化は、これらの球形棘状赤血球は、水力学的細胞選別プラットホームにおける有核細胞のように偏っているので、CTC単離における微小流体プロセスを大きく干渉する。
【0093】
図13に示されるように、最大72時間の全血の低温対室温貯蔵を比較すると、低温貯蔵は、RBCの最大80%の形態を保存し得る。また、血小板凝集抑制剤カクテル(チロフィバンおよびEDTA)の添加は、棘状赤血球形成に対して有害な効果を全く有さない。
【0094】
実施例3.5 低温貯蔵の間のWBC活性化
血小板活性化に対する低温貯蔵の効果を考えると、本発明者らは、また、WBCの活性化に対する低温貯蔵の効果を測定した。データは、WBC活性化は、室温貯蔵と比較して低温貯蔵では低下することを示した。さらに、血小板凝集抑制剤カクテル(チロフィバンおよびEDTA)の添加は、WBCを活性化しなかった。これらの傾向は、健常ドナーおよび癌患者の両方において観察された。
図14を参照のこと。
【0095】
実施例3.6 72時間の低温貯蔵の間のWBC生存力の保存
本発明者らは、イメージングフローサイトメトリーを使用し、生存(カルセインブルー)および死滅(カスパーゼ3/7)染色剤を使用して、低温対室温貯蔵されたWBCの生存力を測定した。
図15に提示される結果は、低温で貯蔵されたWBCの生存力は、室温貯蔵された血液よりも良好であることを示した。血小板凝集抑制剤カクテルの添加は、WBC生存力に対して全く効果がなかった。
【0096】
実施例3.7 72時間の低温貯蔵の間のWBC RNA完全性の保存
低温でWBC生存力が増強されるが(実施例3.6、
図15)、本発明者らはまた、貯蔵された血液のRNA完全性を測定した。RNAは、最も感受性の高い生体材料の1種であるので、本発明者らは、これを保存の頑強なマーカーと見た。結果は、48時間貯蔵でのRNA完全性は、室温および低温貯蔵された血液についてと同様であること、72時間貯蔵後には、低温貯蔵されたRNAは無傷のままであるが、室温貯蔵された血液は激しく分解されたことを示した。
【0097】
実施例3.8 低温貯蔵の間のLNCaP生存力
本発明者らは、イメージングフローサイトメトリーを使用し、生存(カルセインブルー)および死滅(カスパーゼ3/7)染色剤を使用して、低温対室温貯蔵した稀な癌細胞の生存力を測定した。データは、低温で貯蔵した稀な細胞の生存力は、室温貯蔵された血液よりも良好である可能性があることを示した(
図16を参照のこと)。血小板凝集抑制剤カクテルの添加は、稀な細胞の生存力に対して全く効果がない。これらの傾向は、健常ドナーおよび癌患者において観察された。
【0098】
実施例3.9 CTC−iChipによる低温貯蔵した血液の処理
血小板凝集抑制剤は、新鮮血液および低体温温度4℃下で3日間貯蔵した血液両方のCTC−iChip処理を可能にした。本明細書において、使用した血小板凝集抑制剤(PI)は、0.5μg/mLのチロフィバンまたは1μg/mLのチロフィバン+エプチフィバチド20μg/mLのいずれかであった。EDTA(2〜5mM)を、iChip処理の15分前に血液サンプルに添加した。結果は以下を示した:
【0099】
室温(RT)での72時間の貯蔵の結果としての、血小板凝集抑制剤の非存在下でのiChipの閉塞は、濾過アレイの第1段階における重度の閉塞につながった。
図17Aの画像は、Vybrant DyeCycle緑色(Life Technologies)によるDNAの蛍光染色を示し、これは、閉塞物に細胞が捕捉されてしまっていることを示す。スケールバーは、100μmを表す。
【0100】
iChipの閉塞は、処理され得る血液の量の劇的な減少につながった;
図17Bを参照のこと。プロットは、処理された血液容量を、標的容量(5〜6mL)のパーセンテージとして示す。血小板凝集抑制剤およびEDTA存在下で、血液容量の約90%が、処理され得、残りの容量喪失は、サンプル移動およびチューブ中のデッドボリュームに起因し、微小流体チップでは標準である。
【0101】
閉塞はまた、CTC−iChipの流動速度またはスループットを深刻に低減した(
図17C)。
【0102】
実際の処理容量に基づいて算出された、iChip選別後の添加した細胞の回収は、
図17Dに示されている。血小板凝集抑制剤の非存在下または室温での貯蔵後に、添加した細胞の相当な画分が失われ、濃縮された生成物において回収可能でなかった。この回収パーセンテージは、単に処理された血液容量に基づいており、これは、(17B)に示されるチップ閉塞の事象では大きく低減されるということは、留意されたい。したがって、CTCの絶対回収量はかなり低く、回収パーセンテージ×処理された容量によって算出され得る。
【0103】
iChipによる白血球の対数変換した枯渇倍数が、
図17Eに示されている。枯渇が高いほど、濃縮されたCTC集団がより純粋となる。数字を大局的に見ると、4対数の枯渇は、10000倍の枯渇に変換でき、これは、5×10
6個の白血球/mLの血液を含有する通常の血液サンプルは、濃縮CTC生成物中に500個の白血球/1mLの処理された血液しか残さないことを意味する。血小板凝集抑制剤およびEDTAの使用は、血小板−白血球相互作用を防ぎ(
図12)、それによって、白血球−枯渇抗体のアクセスを可能にすることによって枯渇を大きく改善すると推定される。室温で72時間貯蔵された血液はまた、おそらくは白血球分解の結果として低い枯渇に見舞われる(
図15)。
【0104】
図17Fは、CTC生成物への赤血球(RBC)/血液1μLの持ち込みを示す。室温貯蔵された血液サンプルは、RBC分解によってより高いRBCの持ち込みを示したと推定され、これは、形状を変更し、棘状赤血球を形成し(
図13)、iChipの水力学的選別段階において効率的に除去することができなかった。
【0105】
実施例3.10 iChip選別後のCTCの培養
細胞成長を、Bright−Gloルシフェラーゼアッセイ系を使用して発光量によって定量化した。発光シグナルを、iChip処理の直後に培養が開始された0日目のシグナルに対して正規化した。任意のiChip処理を伴わない陽性対照を含めた。
【0106】
図18に示されるように、血小板凝集抑制剤の存在下で新鮮血液サンプル(0時間)から選別されたCTCは、陽性対照とほとんど同一の成長速度を示し、これは、微小流体処理ならびに血小板凝集抑制剤およびEDTAを用いる処理が、CTCにとって非毒性であったことを示唆する。添加した血液サンプルを4℃において72時間貯蔵した後、CTCは、選別され、増殖を再度開始するのにわずかな遅延があったものの、in vitroで再度培養され得る。室温で72時間貯蔵された血液サンプルから得られたCTCは、4℃で貯蔵されたCTCと比較して、選別後に増殖する能力の低減を示した。
【0107】
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【0108】
その他の実施形態
本発明を、その詳細な説明とともに記載してきたが、前記の記載は、例示するものであって、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を制限するものではないということは理解されなければならない。その他の態様、利点および改変は、以下の特許請求の範囲内にある。