(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6687684
(24)【登録日】2020年4月6日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】指紋認識方法およびこれを用いた電子装置
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20200421BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20200421BHJP
【FI】
G06T1/00 400G
G06T7/00 530
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-141993(P2018-141993)
(22)【出願日】2018年7月30日
(65)【公開番号】特開2019-75085(P2019-75085A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2018年7月30日
(31)【優先権主張番号】62/571,264
(32)【優先日】2017年10月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/860,675
(32)【優先日】2018年1月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】201810414182.5
(32)【優先日】2018年5月3日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】314011851
【氏名又は名称】神盾股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江 元麟
(72)【発明者】
【氏名】呂 俊超
(72)【発明者】
【氏名】鄭 宇淳
【審査官】
新井 則和
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−012080(JP,A)
【文献】
特開2004−164170(JP,A)
【文献】
特開2005−196470(JP,A)
【文献】
特開2001−344604(JP,A)
【文献】
特開2002−042136(JP,A)
【文献】
国際公開第2017/003356(WO,A1)
【文献】
特開2004−355658(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0076370(US,A1)
【文献】
特開2016−035748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置および指紋センサを備える電子装置に適用される指紋認識方法であって、
前記指紋センサにより、複数のスワイプフレームを取得する工程と、
前記処理装置により、前記複数のスワイプフレームからそれぞれ複数の特徴点を抽出し、これに応じて複数の登録前指紋データセットを生成する工程と、
前記処理装置により、前記複数の登録前指紋データセットをマージする工程と、
前記処理装置により、前記マージ後の登録前指紋データセットに応じて登録テンプレートを生成する工程と、
前記指紋センサにより、押圧フレームを取得する工程と、
前記処理装置により、前記押圧フレームから複数の特徴点を抽出し、認証用指紋データセットを生成する工程と、
前記処理装置により、前記認証用指紋データセットを前記登録テンプレートと比較して、前記認証用指紋データセットが前記登録テンプレートと一致するか否かを判定する工程と、
前記処理装置により、前記複数のスワイプフレームを補正して、分布曲線に従って複数の補正フレームを生成する工程と、を含み、
前記処理装置により、前記複数のスワイプフレームを補正して、前記分布曲線に従って前記複数の補正フレームを生成する前記工程が、
前記複数のスワイプフレームのそれぞれを縦向きに分割して複数の縦割部とする工程と、
前記分布曲線に従って、前記複数の縦割部のそれぞれを隣接する縦割部に整列させる工程とを含む、指紋認識方法。
【請求項2】
前記分布曲線がガウス曲線であり、前記ガウス曲線の分散が5〜8の範囲である、請求項1に記載の指紋認識方法。
【請求項3】
前記処理装置により、前記複数の登録前指紋データセットをマージする前記工程が、
前記複数の特徴点の反復度および前記複数の登録前指紋データセット間の重複度に応じて前記複数の登録前指紋データセットをマージする工程を含む、請求項1に記載の指紋認識方法。
【請求項4】
前記処理装置により前記登録テンプレートを生成する前記工程の前に、
前記マージ後の登録前指紋データセットに含まれる特徴点の数または前記マージ後の登録前指紋データセットの量、面積または高さが所定の登録閾値を超えるか否かを判定する工程をさらに含む、請求項1に記載の指紋認識方法。
【請求項5】
前記認証用指紋データセットを前記登録テンプレートと比較して、前記認証用指紋データセットが前記登録テンプレートと一致するか否かを判定する前記工程が、
前記認証用指紋データセットの前記特徴点を前記登録テンプレートの前記特徴点と比較して類似度を求める工程と、
前記類似度が所定の類似度閾値を超える場合、前記認証用指紋データセットが前記登録テンプレートと一致すると判断する工程とを含む、請求項1に記載の指紋認識方法。
【請求項6】
前記認証用指紋データセットが前記登録テンプレートと一致する場合、前記認証用指紋データセットが一致する前記登録テンプレートの一部分が、前記処理装置により前記複数のスワイプフレームのうちの1つから生成されているか否かを判定する工程と、
前記認証用指紋データセットが一致する前記登録テンプレートの前記一部分が、前記複
数のスワイプフレームのうちの1つから生成されている場合、前記処理装置により前記登録テンプレートを前記認証用指紋データセットで更新する工程と、をさらに含む、請求項1に記載の指紋認識方法。
【請求項7】
前記処理装置により前記登録テンプレートを更新する前記工程が、
前記処理装置により、前記登録テンプレートの前記一部分を前記認証用指紋データセットで更新し、前記認証用指紋データセットの面積が前記登録テンプレートの前記一部分の面積より大きい場合、前記登録テンプレートの総面積を前記更新後に拡大する工程を含む、請求項6に記載の指紋認識方法。
【請求項8】
複数のスワイプフレームおよび押圧フレームを取得するよう構成される指紋センサと、
前記指紋センサに接続され、前記複数のスワイプフレームおよび前記押圧フレームを受信するよう構成される処理装置とを備え、
前記処理装置が前記複数のスワイプフレームからそれぞれ複数の特徴点を抽出し、これに応じて複数の登録前指紋データセットを生成し、前記複数の登録前指紋データセットをマージし、前記マージ後の登録前指紋データセットに応じて登録テンプレートを生成し、
前記処理装置が、前記押圧フレームから複数の特徴点を抽出して認証用指紋データセットを生成し、前記処理装置が、前記認証用指紋データセットを前記登録テンプレートと比較して、前記認証用指紋データセットが前記登録テンプレートと一致するか否かを判定すし、
前記処理装置が、前記複数のスワイプフレームを補正して、分布曲線に従って複数の補正フレームを生成するよう構成され、
前記処理装置が、前記複数のスワイプフレームのそれぞれを縦向きに分割して複数の縦割部とし、前記処理装置が、前記分布曲線に従って、前記複数の縦割部のそれぞれを隣接する縦割部に整列させ、前記複数の補正フレームを取得する、電子装置。
【請求項9】
前記分布曲線がガウス曲線であり、前記ガウス曲線の分散が5〜8の範囲である、請求項8に記載の電子装置。
【請求項10】
前記処理装置が、前記複数の特徴点の反復度および前記複数の登録前指紋データセット間の重複度に応じて前記複数の登録前指紋データセットをマージする、請求項8に記載の電子装置。
【請求項11】
前記処理装置が前記登録テンプレートを生成する前に、前記処理装置が、前記マージ後の登録前指紋データセットに含まれる特徴点の数または前記マージ後の登録前指紋データセットの量、面積または高さが所定の登録閾値を超えるか否かを判定する、請求項8に記載の電子装置。
【請求項12】
前記処理装置は、前記認証用指紋データセットの前記特徴点を前記登録テンプレートの特徴点と比較して類似度を求め、前記類似度が所定の類似度閾値を超える場合、前記処理装置は、前記認証用指紋データセットが前記登録テンプレートと一致すると判断する、請求項8に記載の電子装置。
【請求項13】
前記認証用指紋データセットが前記登録テンプレートと一致する場合、前記処理装置はさらに、前記認証用指紋データセットが一致する前記登録テンプレートの一部分が、前記複数のスワイプフレームのうちの1つから生成されているか否かを判定し、前記認証用指紋データセットが一致する前記登録テンプレートの前記一部分が、前記複数のスワイプフレームのうちの1つから生成されている場合、前記処理装置が、前記登録テンプレートを前記認証用指紋データセットで更新する、請求項8に記載の電子装置。
【請求項14】
前記処理装置が、前記登録テンプレートの前記一部分を前記認証用指紋データセットで更新し、前記前記認証用指紋データセットの面積が前記登録テンプレートの前記一部分の面積より大きい場合、前記登録テンプレートの総面積が前記更新後に拡大される、請求項13に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は概して指紋認識技術に関し、より詳しくは、指紋認識方法およびこれを用いた電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生体認識技術が大きく発展している。セキュリティコードやアクセスカードは盗まれたり紛失したりし易いため、指紋認識技術が注目されている。指紋は固有のもので変化せず、各個人は本人識別のための指を複数有している。さらに、指紋は、指紋センサを用いて簡単に取得できる。したがって指紋認識によって安全性や利便性を高めることができ、金融セキュリティや内密データをよりよく保護することができる。
【0003】
従来の指紋認識方法の中には、複数の登録済指紋データセットを生成するためにユーザが指紋センサ上に指を数回押し当て、認証時に再び指を指紋センサ上に押し当てるものがある。しかし、検出領域の小さな指紋センサの場合、認識用に充分な登録済指紋データセットを取得するには、指紋登録プロセスを完了させるためにユーザが何度も指を押し当てる必要がある。
【0004】
従来の別の指紋認識方法では、ユーザが電子部品の指紋センサ上で指でスワイプし、電子装置はユーザが指紋センサ上で指をスワイプさせている間に複数のフレームを取得する。次いで電子部品はフレームを構築して登録済指紋データセットを生成する。ユーザは指紋センサ上で指でスワイプするよう数回促される場合がある。したがってそれに応じて複数の登録済指紋データセットが生成される。認証時には、ユーザは再び指紋センサ上で指でスワイプする必要があり、指紋センサを備える電子部品はそれに応じて認証用指紋データセットを生成する。電子部品は認証用指紋データセットを1または複数の登録済指紋データセットと比較し、認証用指紋データセットが認証に合格するか否かを判定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ユーザに電子装置の指紋センサ上で指をスワイプするよう促すことで登録テンプレートを取得し、また、ユーザに指紋センサ上に指を押し当てるよう促すことで認証用指紋情報を登録テンプレートと比較して認識を行なうことが可能な指紋認識方法およびこれを用いた電子装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本指紋認識方法は電子装置に適用される。電子装置は処理装置と指紋センサを備える。本指紋認識方法は、前記指紋センサにより、複数のスワイプフレームを取得する工程と、前記処理装置により、前記複数のスワイプフレームからそれぞれ複数の特徴点を抽出し、これに応じて複数の登録前指紋データセットを生成する工程と、前記処理装置により、前記複数の登録前指紋データセットをマージする工程と、前記処理装置により、前記マージ後の登録前指紋データセットに応じて登録テンプレートを生成する工程と、前記指紋センサにより、押圧フレームを取得する工程と、前記処理装置により、前記押圧フレームから複数の特徴点を抽出し、認証用指紋データセットを生成する工程と、前記処理装置により、前記認証用指紋データセットを前記登録テンプレートと比較して、前記認証用指紋データセットが前記登録テンプレートと一致するか否かを判定する工程とを含む。
【0007】
本電子装置は指紋センサと処理装置を備える。指紋センサは複数のスワイプフレームおよび押圧フレームを取得するよう構成される。処理装置は指紋センサに接続され、複数のスワイプフレームおよび押圧フレームを受信するよう構成される。処理装置は複数のスワイプフレームからそれぞれ複数の特徴点を抽出し、これに応じて複数の登録前指紋データセットを生成する。処理装置は複数の登録前指紋データセットをマージし、マージ後の登録前指紋データセットに応じて登録テンプレートを生成する。処理装置は押圧フレームから複数の特徴点を抽出して認証用指紋データセットを生成し、前記認証用指紋データセットを前記登録テンプレートと比較して、前記認証用指紋データセットが前記登録テンプレートと一致するか否かを判定する。
【発明の効果】
【0008】
上述の開示の特徴および利点の理解を深めるため、以下で、図面を添付した複数の実施形態を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面に関する以下の詳しい説明を参照することにより本発明の理解は深まるであろう。
【0010】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態に係る電子装置100である。
【0011】
【
図2】
図2は本発明の一実施形態に係る指紋登録プロセスを示す概略図である。
【0012】
【
図3】
図3は本発明の一実施形態に係る指紋登録方法を示すフローチャート800である。
【0013】
【
図4】
図4は本発明の一実施形態に係る歪み補正工程を示す概略図である。
【0014】
【
図5】
図5は本発明の一実施形態に係るガウス曲線1010、1020、1030を示す概略図である。
【0015】
【
図6】
図6は本発明の一実施形態に係る指紋認証プロセスを示す概略図である。
【0016】
【
図7】
図7は本発明の一実施形態に係る指紋認証方法を示すフローチャート1200である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下は、発明を実施するために最良と思われる形態の説明である。この説明は発明の主な原理を示すために行なうもので、限定的なものと捉えるべきでない。発明の範囲は添付の特許請求の範囲により最も良く定義される。
【0018】
図1は本発明の一実施形態に係る電子装置100である。
図1に示すように、電子装置100は指紋センサ110、処理装置120および記憶装置130を備える。
図1は、発明に関する要素のみを示した簡易ブロック図を示す。ただし、発明は
図1に示すものに限定されるべきではない。
【0019】
本発明の一実施形態では、指紋センサ110がn×mの小さな検出領域を有する。たとえば指紋センサ110の検出領域は10mm×4mm、6mm×6mm、または4mm×3.2mmとすることができる。つまり、指紋センサ110の検出領域は小さい。また、ユーザが指紋センサ上で指をスワイプまたは押し当てる間に指紋センサ110により検出されるフレームの領域は、指紋センサ110の検出領域と同一であるため、このフレーム領域も小さい。フレームが小さいため、各フレームが含む特徴点(マニューシャ)は少数でよい(たとえば5つより少ない)。
【0020】
本発明の一実施形態では、指紋登録の際、ユーザは指紋センサ110上で指を数回(たとえば2〜4回)スワイプさせればよい。ユーザが指紋センサ110上で指をスワイプさせる度に、電子装置100は複数のスワイプフレームを取得する。
【0021】
図2は本発明の一実施形態に係る指紋登録プロセスを示す概略図である。登録プロセス中に、ユーザは指紋センサ110上で指をスワイプするよう促される。
図1および
図2を参照すると、本実施形態では、ユーザが指紋センサ110上で指をスワイプしている間に、指紋センサ110が複数のスワイプフレーム710_1、710_2、710_3〜710_Nを検出して取得する。Nは1より大きい正の整数である。処理装置120は次いで、スワイプフレーム710_1、710_2、710_3〜710_Nに歪み補正演算を行い、複数の補正フレーム720_1、720_2、720_3〜720_Nを生成する。具体的には、歪み補正演算によりスワイプによる画像の歪みを低減することができる。
【0022】
次いで処理装置120は補正フレーム720_1、720_2、720_3〜720_Nから複数の特徴点(マニューシャ)721を抽出し、複数の登録前指紋データセット722_1、722_2、722_3〜722_Nを生成する。本実施形態では、処理装置120が、登録前指紋データセット722_1、722_2、722_3〜722_Nを結合・マージし、マージ後の登録前指紋データセットに含まれる特徴点の数またはマージ後の登録前指紋データセットの量、面積または高さが所定の登録閾値より大きいと処理装置120が判定する場合は、登録テンプレート730を生成して記憶装置130に保存することができる。登録前指紋データセット722_1、722_2、722_3〜722_Nは、特徴点721の反復度や登録前指紋データセット722_1、722_2、722_3〜722_N間の重複度に応じて結合・マージされる。
【0023】
詳しくは、ユーザが指紋センサ110上で指をスワイプしている間、複数のスワイプフレーム710_1、710_2、710_3〜710_Nが順次取得されていく。すなわち、処理装置120がスワイプフレームを1つずつ受信する。処理装置120が第1のスワイプフレーム710_1を受信後、処理装置120は第1のスワイプフレーム710_1に歪み補正演算を実行し、第1の補正フレーム720_1を生成する。次いで処理装置120は第1の補正フレーム720_1から複数の特徴点721を抽出し、第1の登録前指紋データセット722_1を生成する。
【0024】
その後、処理装置120は第2のスワイプフレーム710_2を受信し、第2のスワイプフレーム710_2に歪み補正演算を実行して第2の補正フレーム720_2を生成し、第2の補正フレーム720_2から複数の特徴点721を抽出し、第2の登録前指紋データセット722_2を生成する。次いで、処理装置120は、第1および第2の登録前指紋データセット722_1、722_2を結合・マージして、登録前データセット724を生成する。処理装置120は、マージ後の登録前指紋データセット(すなわち登録前データセット724)に含まれる特徴点の数またはマージ後の登録前指紋データセットの量、面積または高さが所定の登録閾値を超えるまで、順次、続くスワイプフレームを受信し、これに応じて補正フレームおよび登録前指紋データセットを生成し、次いで、続く登録前指紋データセットを登録前データセット724に結合・マージし続ける。マージ後の登録前指紋データセット(すなわち登録前データセット724)に含まれる特徴点の数またはマージ後の登録前指紋データセットの量、面積または高さが所定の登録閾値を超えると、指紋認識用に充分な指紋情報が得られたため登録プロセスが完了したことを意味する。したがって処理装置120は、マージ後の登録前指紋データセット(すなわち登録前データセット724)を、登録テンプレート730として記憶装置130に保存する。
【0025】
図3は本発明の一実施形態に係る指紋登録方法を示すフローチャート800である。ユーザが指紋センサ110上で指をスワイプしている間、指紋センサ110は順次複数のスワイプフレーム710_1、710_2、710_3〜710_Nを検出し取得していく。ステップS810にて、処理装置120は1つのスワイプフレーム(スワイプフレーム710_1、710_2、710_3〜710_Nのうちの1つ)を受信する。ステップS820にて、処理装置120は、上記1つのスワイプフレームに対して歪み補正演算を1度実行し、補正フレーム(たとえば補正フレーム720_1、720_2、720_3〜720_Nのうちの1つ)を生成する。歪み補正演算の詳細については後述する。ステップS830にて、処理装置120は、上記1つの補正フレームから特徴点721を抽出し、登録前指紋データセット(たとえば登録前指紋データセット722_1、722_2、722_3〜722_Nのうちの1つ)を1つ生成する。ステップS831で、処理装置120は上記生成された1つの登録前指紋データセットが第1番目のものか否かを判定する。第1番目ではない場合はステップS840を実行する。第1番目の場合はステップS842を実行する。ステップS842で、処理装置120は、第1の登録前指紋データセット722_1に応じて登録前データセット724を生成する。次いで処理装置120はステップS810を実行し、第2のスワイプフレーム710_2を受信する。
【0026】
ステップS840で、処理装置120は、特徴点721の反復度や、上記1つの登録前指紋データセットと登録前データセット724間の重複度に応じて、上記1つの登録前指紋データセットを登録前データセット724にマージする。ステップS850で、処理装置120は、マージ後の登録前指紋データセット(すなわち登録前データセット724)に含まれる特徴点721の数またはマージ後の登録前指紋データセットの量、面積または高さに応じて、登録テンプレート730を生成するか否かを判定する。詳しくは、処理装置120が、マージ後の登録前指紋データセット(すなわち登録前データセット724)に含まれる特徴点の数またはマージ後の登録前指紋データセットの量、面積または高さが所定の登録閾値を超えていると判定する場合は、処理装置120はステップS860を実行する。ステップS860で、処理装置120は、マージ後の登録前指紋データセット(すなわち登録前データセット724)に応じて登録テンプレート730を生成し保存する。言い換えると、登録前データセット724が登録テンプレート730として保存される。指紋認識用に充分な指紋情報が得られたので、登録プロセスは終了する。
【0027】
処理装置120が、マージ後の登録前指紋データセット722に含まれる特徴点の数またはマージ後の登録前指紋データセット722の量、面積または高さが所定の登録閾値を超えていないと判定する場合は、処理装置120はステップS810を実行して次のスワイプフレームを受信する。ユーザによる1回目の指のスワイプ後に登録プロセスが完了しない場合は、ユーザは再び指紋センサ110上で指をスワイプするよう促される場合がある。
【0028】
図4は本発明の一実施形態に係る歪み補正工程を示す概略図である。
図1および
図4を参照すると、本実施形態では、登録プロセス中にユーザは指紋センサ110上で指をスワイプするよう促され、指紋センサ110は順次、複数のスワイプフレームを検出し取得する。次いで処理装置120がスワイプフレームのそれぞれについて順次、歪み補正演算を行なう。たとえばスワイプフレーム910を例に挙げる。まず、処理装置120はスワイプフレーム910を複数の縦割部分910_1、910_2〜910_Mに縦向きに分割する。Mは1より大きい正の整数である。次いで、処理装置120は、ガウス関数を用いて縦割部分910_1、910_2〜910_Mを算出、すなわち、縦割部分910_1、910_2〜910_Mを正規化する。ガウス関数は代表的には分布曲線(たとえばガウス曲線)911であり、後で詳述する。正規化の後、縦割部分910_1、910_2〜910_Mそれぞれを、ガウス曲線911に従って隣接する縦割部分に整列させる。最後に、処理装置120は、これに応じて補正フレーム920を生成する。
【0029】
さらに、本実施形態では、ガウス曲線911は、指紋認識分野での経験、実験、および/または統計にしたがって予め設定することができる。たとえば
図5を参照する。
図5は本発明の一実施形態に係るガウス曲線1010、1020、1030を示す概略図である。本発明の一実施形態では、上述の分布曲線911は
図5に示すガウス曲線1010、1020、1030のうちの1つでもよい。ガウス曲線1010、1020、1030の分散(VAR)はそれぞれ5、6、8であるが、本発明はこれに限られない。好ましい実施形態では、分散(VAR)が5〜8の範囲である。
【0030】
図6は本発明の一実施形態に係る指紋認証プロセスを示す概略図である。認証プロセス中に、ユーザは指紋センサ110上に指を押し当てるよう促される。
図1および
図6を参照すると、本実施形態では、ユーザが指紋センサ110上に指を押し当てる際に、指紋センサ110が押圧フレーム1110を検出し取得する。処理装置120は押圧フレーム1110から複数の特徴点(マニューシャ)1111を抽出し、認証用指紋データセット1120を生成する。本実施形態では、処理装置120が認証用指紋データセット1120を登録テンプレート730と比較し、認証用指紋データセット1120が登録テンプレート730と一致するか否かを判定する。認証用指紋データセット1120が登録テンプレート730と一致する場合、処理装置120は認証用指紋データセット1120が認証に合格していると判断する。より詳しくは、登録テンプレート730は複数の指紋データセットをマージすることにより形成され、認証済の認証用指紋データセット1120より面積が大きいので、認証済の認証用指紋データセット1120は登録テンプレート730の一部分と一致することになる。
【0031】
さらに、処理装置120は、認証済の認証用指紋データセット1120が一致するこの登録テンプレート730の一部分が、スワイプフレームから生成されているか押圧フレームから生成されているかを判定する。このような登録テンプレート730の一部分がスワイプフレームから生成されたものである場合、この部分は元々、登録プロセス後の登録テンプレート730に含まれていることを意味する。次いで処理装置120は、認証済の認証用指紋データセット1120を用いて、登録テンプレート730を更新する。つまり、このような登録テンプレート730の一部分が、認証済の認証用指紋データセット1120で置換、更新される。認証済の認証用指紋データセット1120の面積はこれと一致する登録テンプレート730の一部分の面積より大きい場合があるので、更新後、
図6に示すように、登録テンプレート730の面積は広がる場合がある(テンプレート730の縦縞部)。これに対し、このような登録テンプレート730の一部分が押圧フレームから生成されたものである場合、この部分は、前回の認証成功後に登録テンプレート730にマージされたということを意味する。この場合処理装置120は、認証済の認証用指紋データセット1120を登録テンプレート730の更新に用いない。
図6に示すように、認証成功を数回重ねた後、登録テンプレート730の面積は広がっている(登録テンプレート730の縦縞部)。
【0032】
図7は本発明の一実施形態に係る指紋認証方法を示すフローチャート1200である。指紋の認証のために、ユーザは指紋センサ110上に指を押し当てるよう促される。
図1、
図6および
図7を参照すると、ステップS1210において、ユーザが指紋センサ110上に指を当てると、指紋センサ110が押圧フレーム1110を検出し取得する。ステップS1220にて、処理装置120は押圧フレーム1110を解析して、押圧フレーム1110から複数の特徴点1111を抽出し、これに応じて認証用指紋データセット1120(押圧指紋データセット)を生成する。
【0033】
ステップS1230にて、処理装置120は、認証用指紋データセット1120が登録テンプレート730と一致するか否かを判定する。本実施形態では、登録テンプレート730は記憶装置130に保存されている。より詳しくは、処理装置120は、認証用指紋データセット1120に含まれる特徴点を、登録テンプレート730に含まれる特徴点と比較し、類似度を取得することができる。認証用指紋データセット1120と登録テンプレート730の一部分との類似度が所定の類似度閾値を超えると、認証用指紋データセット1120は登録テンプレート730と一致する。認証用指紋データセット1120が登録テンプレート730と一致する場合、処理装置120は認証用指紋データセット1120が認証に合格し、ユーザが正しいユーザであると判断する。上述のように、登録テンプレート730は複数の指紋データセットをマージすることにより形成され、認証済の認証用指紋データセット1120より面積が大きいので、認証済の認証用指紋データセット1120は登録テンプレート730の一部分と一致する。
【0034】
ステップS1235で、処理装置120は、認証済の認証用指紋データセット1120が一致するこのような登録テンプレート730の一部分が、スワイプフレームから生成されているか押圧フレームから生成されているかを判定する。このような登録テンプレート730の一部分がスワイプフレームから生成されたものである場合、この部分は元々、登録プロセス後の登録テンプレート730に含まれていることを意味する。次いでステップS1240を実行する。ステップS1240では、処理装置120は、認証済の認証用指紋データセット1120を用いて登録テンプレート730を更新する。つまり、このような登録テンプレート730の一部分が、認証済の認証用指紋データセット1120で置換、更新される。上述のように、認証済の認証用指紋データセット1120の面積はこれと一致する登録テンプレート730の一部分の面積より大きい場合があるので、更新後は、登録テンプレート730の面積は広がる場合がある。
【0035】
これに対し、このような登録テンプレート730の一部分が押圧フレームから生成されたものである場合、この部分は、前回の認証成功後に登録テンプレート730にマージされたということを意味する。この場合処理装置120は、認証済の認証用指紋データセット1120を登録テンプレート730の更新に用いない。
【0036】
従来の指紋認識方法に比べ、本発明に係る指紋認識方法では、ユーザは指紋センサ上で指をスワイプさせることで指紋を登録することができ、かつ、指紋センサ上に指を押し当てることにより認識および認証されることができる。ユーザが指を1回スワイプすることで、複数のスワイプフレームを検出することができる。ユーザは指のスワイプを2回以上促されることもあるが、多数回ではない。好ましい実施形態では、ユーザによる1〜3回の指のスワイプの後に、充分な指紋情報を得ることができ登録プロセスが完了する。これにより登録プロセスの効率が良くなる。さらに、登録プロセスの間にスワイプフレームはガウス曲線により補正されるので、スワイプによる画像歪みが軽減される。
【0037】
さらに、登録テンプレートは、認証が数回成功した後に、認証済押圧データセットにより更新される。登録テンプレートが認証済押圧データセットにより完全に更新された後は、スワイプによる画像歪みは完全に除去される。したがって指紋認識精度が高まる。要約すると、本発明は、ユーザに指をスワイプするよう促すことによる効率的な登録と、ユーザに指を押し当てるよう促すことによる簡単な認証をユーザに経験させるよう設計される。同時に、指紋認識効率および精度が向上する。
【0038】
本願に開示の態様に関して説明した方法の手順は、ハードウェアにより直接実施してもよいし、プロセッサがソフトウェアモジュールを実行してもよいし、またはこれらの組合せでもよい。ソフトウェアモジュール(たとえば実行可能命令および関連データ)やその他データは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM、その他、従来技術で知られる形式のコンピュータ可読記憶媒体などのデータメモリ内に存在することができる。記憶媒体の一例は、たとえばコンピュータ/プロセッサ(本願では便宜上「プロセッサ」と呼ぶ)などのマシンに、プロセッサが記憶媒体に情報(たとえばコード)を読み書きできるように接続することができる。記憶媒体の一例はプロセッサと一体でもよい。プロセッサと記憶媒体はASIC内に存在することができる。ASICはユーザの機器内に存在することができる。これに代えて、プロセッサと記憶媒体はユーザ機器内の個別のコンポーネントとして存在してもよい。さらに、いくつかの態様では、適切なコンピュータプログラム製品が、本開示の1または複数の態様に関するコードを含むコンピュータ可読媒体を備えていてもよい。態様によっては、コンピュータプログラム製品がパッケージ材料を備えていてもよい。
【0039】
本明細書中で「一実施形態」または「ある実施形態」という場合、該当の実施形態に関連して説明した特定の機能、構造、または特性が、発明の少なくとも1つの実施形態に含まれるということであり、これらがどの実施形態にも存在するという意味ではない。したがって、本明細書中の様々な箇所で現れる「一実施形態」または「ある実施形態」という語句は、必ずしも発明の同一の実施形態を指しているわけではない。
【0040】
多くの態様を上で説明した。本発明の内容は多くの方法により実施可能であり、開示された実施形態における特定の構成や機能は単に代表的な条件に過ぎないのは当然である。本発明の開示態様はすべて、独自に適用しても組み込んでもよいことは本技術の当業者にとっては明らかである。
【0041】
本開示の範囲および精神から逸脱することなく、開示の実施形態に様々な改変や変形を加えることができるのは当業者にとっては明らかである。上記に鑑みて、以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内である限り、本開示は改変や変形例も含むことを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0042】
指紋センサ上で指を押し当て、またはスワイプすることにより登録および認識を行なう本方法は、電子装置に適用して安全性および便宜性を高めることができ、金融セキュリティや内密データをよりよく保護することができる。
【符号の説明】
【0043】
100 電子装置
110 指紋センサ
120 処理装置
130 記憶装置
800、1200 フローチャート
710_1、710_2、710_3〜710_N、910 スワイプフレーム
720_1、720_2、720_3〜720_N 補正フレーム
721、1111 特徴点
722_1、722_2、722_3〜722_N 登録前指紋データセット
724 登録前データセット
730 登録テンプレート
910_1、910_2〜910_M 縦割部
911 ガウス曲線
920 補正フレーム
1010、1020、1030 ガウス曲線
1110 押圧フレーム
1120 認証用指紋データセット
S810〜S860、S1210〜S1240 ステップ