(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6687725
(24)【登録日】2020年4月6日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】ラミネートの複数の集積体を誘導シールするための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B29C 65/36 20060101AFI20200421BHJP
B65B 51/22 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
B29C65/36
B65B51/22 200
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-511109(P2018-511109)
(86)(22)【出願日】2016年8月24日
(65)【公表番号】特表2018-526249(P2018-526249A)
(43)【公表日】2018年9月13日
(86)【国際出願番号】EP2016070018
(87)【国際公開番号】WO2017036891
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2018年6月12日
(31)【優先権主張番号】102015114443.3
(32)【優先日】2015年8月31日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516343561
【氏名又は名称】エロパック・アクシエセルスカプ
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】マフ・マルチン
【審査官】
▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−052025(JP,A)
【文献】
米国特許第04704509(US,A)
【文献】
特開平10−139018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C65/04,65/36
B65B51/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に非導電性の材料から成るキャリア層と、熱可塑性の材料から成るシール層と、前記シール層と前記キャリア層の間に配置された金属層とを含むラミネート(2)の複数の積層体を誘導シールするための装置(1)であって、
−第1のシール顎部(3a)及び第2のシール顎部(3b)であって、該シール顎部(3a,3b)が互いに対して相対的に可動に配置されている前記第1のシール顎部(3a)及び前記第2のシール顎部(3b)と、
−前記ラミネート(2)の複数の積層体を受け入れるための、前記第1のシール顎部(3a)と前記第2のシール顎部(3b)の間に配置されたシール隙間(4)と、
−互いに関して前記シール顎部(3a,3b)の相対的な移動を発生させること及び前記シール隙間(4)における前記ラミネート(2)の複数の積層体への押圧力を形成することに適した駆動部とを含み、
−前記各シール顎部(3a,3b)が、ブロック(7)と、前記シール隙間(4)の方向へ向いた溝開口部(9a)を有する溝(9)を含むブロック(7)に留められたコンセントレータ(8)とを含み、更に
−前記シール顎部(3a,3b)を押し付けることで前記ラミネート(2)の複数の積層体の隣接する熱可塑性の層を溶接するために前記ラミネート(2)における前記金属層を加熱することに適した、前記溝(9)へ入れられたインダクタ(10)を含む、
前記誘導シールするための装置において、
−前記ブロック(7)が金属材料で構成されており、
−前記コンセントレータ(8)が複数の部分部材(8a,8b,8c,8d)で構成されており、各部分部材(8a,8b,8c,8d)が強磁性及び誘電性の両方の特性を有する磁気誘電(絶縁)材料(MDM)で構成されており、
−全ての前記部分部材(8a,8b,8c,8d)が、互いに、及び前記金属ブロック(7)に関して電気的に絶縁されていること
を特徴とする誘導シールするための装置。
【請求項2】
−前記インダクタ(10)が上側のストランド(10a)及び下側のストランド(10c)を有しており、前記上側のストランド(10a)及び前記下側のストランド(10c)が横方向の屈曲部(10d)を用いて互いに接続されており、
−前記上側のストランド(10a)が、前記コンセントレータ(8)の前記少なくとも1つの第1の部分部材(8c,8d)の前記溝(9)へ入れられており、
−前記下側のストランド(10c)が、前記コンセントレータ(8)の前記少なくとも1つの第2の部分部材(8a,8b)の前記溝(9)へ入れられていること
を特徴とする請求項1に記載の誘導シールするための装置(1)。
【請求項3】
前記コンセントレータ(8)の前記部分部材(8a,8b,8c,8d)が、少なくとも1つの隙間(11a,11b)によって互いに電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の誘導シールするための装置(1)。
【請求項4】
ポリイミドが、各隙間(11a,11b)に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の誘導シールするための装置(1)。
【請求項5】
前記コンセントレータ(8)の少なくとも2つの部分部材(8a,8b,8c,8d)が異なる透磁率を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の誘導シールするための装置(1)。
【請求項6】
前記コンセントレータ(8)の少なくとも1つの部分部材(8a,8b,8c,8d)が異なる透磁率を有した部分を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の誘導シールするための装置(1)。
【請求項7】
カバー(16)が、シール隙間(4)の方向に向いた各シール顎部(3a,3b)の側に配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の誘導シールするための装置(1)。
【請求項8】
絶縁体(17)が、前記コンセントレータ(8)の全ての前記部分部材(8a,8b,8c,8d)を前記金属ブロック(7)に関して絶縁し、該金属ブロックが、少なくとも20W/mKの高い熱伝導率と、少なくとも1012Ωmm2/mの高い特有の電気比抵抗を有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の誘導シールするための装置(1)。
【請求項9】
前記絶縁体(17)が、セラミック材料窒化アルミニウム(AlN)で構成されていることを特徴とする請求項8に記載の誘導シールするための装置(1)。
【請求項10】
前記インダクタ(10)が、冷却媒体を通過させるのに適した中空導体を含んでいることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の誘導シールするための装置(1)。
【請求項11】
少なくとも1つの冷却通路(18)が各シール顎部(3a,3b)の前記ブロック(7)に配置されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の誘導シールするための装置(1)。
【請求項12】
−各シール顎部(3a,3b)が、各シール顎部(3a,3b)の長手方向(14)にオフセットされた第1の部分(13a)及び第2の部分(13b)を有しており、
−前記インダクタ(10)が各シール顎部(3a,3b)の前記第1の部分(13a)においてのみ配置されていること、及び
−二次加圧・冷却範囲(15)が、前記第1及び第2のシール顎部(3a,3b)の向こう側の第2の部分(13b)間に位置していること
を特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の誘導シールするための装置(1)。
【請求項13】
前記冷却通路(18)は、冷却媒体が前記第1及び第2の部分(13a,13b)の両方を通って流れることができるように、各シール顎部(3a,3b)の前記第1及び第2の部分(13a,13b)を通って延びていることを特徴とする請求項11又は12に記載の誘導シールするための装置(1)。
【請求項14】
前記冷却媒体のための前記冷却通路(18)の前記接続部(18c)が、前記第2の部分(13b)に配置されていることを特徴とする請求項12又は13に記載の誘導シールするための装置(1)。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか1項に記載の装置を用いた梱包のラミネート(2)の複数の積層体を誘導シールするための方法であって、以下のステップ:
−前記シール顎部(3a,3b)の反対側の前記第1の部分(13a)間の開放された前記シール隙間(4)へシールされるべき前記ラミネート(2)の複数の積層体を搬送するステップと、
−前記シール顎部(3a,3b)の前記第1の部分(13a)間の前記シール隙間(4)における前記ラミネート(2)の積層体をシールするステップと、
−前記シール隙間(4)を開放するステップと、
−前記シール顎部(3a,3b)の長手方向(14)にオフセットされた前記シール顎部(3a,3b)の前記第2の部分(13b)へ開放された前記シール隙間(4)における前記ラミネート(2)のシールされた積層体を搬送するステップと、
−前記シール隙間(4)の前記二次加圧・冷却範囲(15)における前記ラミネート(2)のシールされた積層体への押圧力を形成し、前記ラミネート(2)を冷却するステップと、
−前記シール隙間(4)を開放し、前記ラミネート(2)の冷却された積層体を前記シール隙間(4)から搬送するステップと
を含む方法。
【請求項16】
前記シールが、液体状の食料品のための充填機械の無菌の作業範囲においてなされ、押圧力の形成及び前記ラミネートの冷却が前記無菌の作業範囲の外部において前記二次加圧・冷却範囲(15)においてなされることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネートの複数の集積体(積層体)を誘導シールするための装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラミネートは、液体状の食料品の梱包のための梱包材料として頻繁に用いられ、電気的な被導電材料から成るキャリア層、特に紙又はカードと、熱可塑性の材料から成るシール層と、特に例えばポリエチレン又はポリプロピレンのような熱可塑性プラスチックとを含んでいる。熱可塑性の材料は、液密であるとともに、脂肪性物質及び酸に強いものである。金属層、特にアルミニウム層は、シール層とキャリア層の間に配置されている。熱可塑性の材料は、複数のラミネート積層体のシール層に相互に対向する互いに対して押圧され、加熱により互いに溶接されることでヒートシール可能である。ラミネートの積層体を互いに押圧するためのシール顎部に少なくとも1つのコイル(インダクタ)を取り付けることで、誘導シールすることにより熱が生じ、コイルは、金属層に渦電流を誘導するとともに、この金属層を加熱する。熱伝導の結果として、この熱が、熱の作用の下で溶融状態となる熱可塑性の材料の隣接する層へ加熱された金属層から伝達される。
【0003】
熱可塑性の層に加えて金属層を有する梱包材料の熱シールのための装置が既に特許文献1から知られている。この装置は、2つの圧縮可能なシール顎部を含んでおり、これら両シール顎部は、シール顎部を互いに押圧するときに梱包材料の隣接する2つの積層体の熱可塑性の層を溶接するために、誘導により金属層を加熱するために用いられるインダクタを備えている。インダクタは、シール顎部の長手方向に延びる少なくとも1つの細長い電流伝導体を含んでおり、この電流伝導体は、シール顎部の電気的に非導電性のブロックに直接埋設されているか、又はフェライトで構成された中間部材に埋設されており、この中間部材は、電気的に非導電性の材料で構成されたブロックに取り付けられている。
【0004】
充填機械において液体状の食料品のための切妻パッケージをシールする場合には、短い加熱時間が必要である。すなわち、長い押圧及び冷却段階が用いられる。なぜなら、切妻の幾何形状において高い張力が存在するためであり、この高い張力により、切妻が押圧時間が終了した後に再度開く傾向となる。この傾向には、溶融された熱可塑性の材料を十分長く冷却することで対抗することが可能である。必要とされる短い加熱時間は、単位時間当たりの大きなエネルギーをインダクタへ入力することで達成される。しかしながら、その結果、インダクタの許容し得ない加熱をもたらし、ラミネートの局所的な過熱を任意にもたらし得る損失が増大する。
【0005】
インダクタがシールされるべき切妻パッケージの範囲の幾何形状に従うものの、実際には、いくつかの場合ではシール層の不均一な加熱が生じ、その結果、切妻パッケージのシールが不完全となることが分かっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】スイス国特許出願公開第676958号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この従来技術を起点として、本発明の課題は、必要な短い加熱時間とこれに関連する単位時間当たりの高いエネルギー入力を考慮して、ラミネートのシール層の不均一な加熱と、したがって不完全なシールとを回避する、ラミネートの複数の積層体の誘導シールするための装置を提供することにある。
【0008】
加えて、特に無菌の作業範囲を有する液体状の食料品のための充填システムに統合するのに適した誘導シールのための方法が提供されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、ブロックが金属材料で構成されており、コンセントレータが複数の部分部材を含み、各部分部材が磁場集中に適した材料で構成されており、全ての部分部材が、互いに、及びブロックに関して電気的に絶縁されている、冒頭で言及したタイプの装置によって解決される。
【0010】
特に無菌の作業範囲を有する液体状の食料品のための充填設備に統合するのに適した誘導シールのための方法は、請求項15の特徴から得られる。
【0011】
金属材料から成るブロックは、インダクタにおけるパワー損失により生じる熱と、溶接されるべきラミネートと接触することでシール顎部へ導かれる熱とがより効率的に除去され得るという事実に貢献する。金属材料から成るブロックは、その高い熱伝導率の結果、インダクタの許容されない加熱を防止する。
【0012】
実際には、ある温度及び湿度の条件の下で、及び高い透磁率を有するコンセントレータの場合に、電気的なフラッシュオーバーがインダクタの下側のストランドと上側のストランドの間で生じ得ることが観察された。これらフラッシュオーバーは、シール層の不均一な加熱及び不完全なシールに関与する。
【0013】
シール層の不均一な加熱は、互いに、及びブロックに関して全て電気的に絶縁された複数の部分部材からコンセントレータが構成されていることにより回避される。インダクタのストランド間の電気的なフラッシュオーバーは、コンセントレータの分割によって回避される。迅速な加熱のために必要とされる高いエネルギーの入力にもかかわらず、インダクタの部材は一時的には有効である。
【0014】
部分部材を互いに絶縁するために、コンセントレータの部分部材間に特に隙間が設けられる。好ましくは、電気的な絶縁を更に改善するために、ポリイミドが絶縁材料として各隙間へ、特にフィルムの形態で入れられている。その高い熱抵抗及び良好な電気的な絶縁特性により、ポリイミドは、特に本願にとって適している。
【0015】
通常、インダクタは、取付位置において水平方向に延びる上側のストランドと、取付位置において水平方向に延びる下側のストランドとを有しており、上側及び下側のストランドは、側方の屈曲部によって互いに接続されている。各場合において、上側及び下側のストランドは、コンセントレータの少なくとも1つの部分部材へ入れられている。部分部材は、隙間によって、水平方向において分離されている。インダクタの電気的な接続部は、好ましくは上側のストランドに配置されている。この場合、好ましくは、上側のストランドはコンセントレータの少なくとも2つの部分部材へ入れられており、これら部分部材は、2つの接続部の間の垂直に延びる隙間によって電気的に互いに絶縁されている。シール隙間の方向へ向いた各インダクタの表面は、好ましくは溶接されるべきシール層の範囲の幾何形状に適合されている。
【0016】
コンセントレータの部分部材は、磁場集中に適した材料で構成されている。これは、強磁性及び誘電性の両方の特性を有する磁気誘電(絶縁)材料(MDM)を含む。この材料は、特に、熱可塑性の材料に不均一に埋入された軟鉄粒子で構成されている。MDMの特性は、プラスチック中の軟鉄粒子の分量比及び形状及び分布によって明らかに影響を受け得る。
【0017】
切妻パッケージをシールする場合には、ラミネートの積層体の異なる数が異なる位置においてシール隙間に配置されている。これには、シールされるべき積層体の数に依存するエネルギーの分配をコントロールするための測定が必要である:
−エネルギー分配は、インダクタの長手方向の延長部にわたって各インダクタの変化する断面によって明確にコントロールされることが可能である。
−エネルギー分配を制御するための他の可能性は、シールされるべきラミネートからのインダクタの変化する距離にある。
−さらに、エネルギー分配に明確に影響を与える可能性は、コンセントレータの少なくとも1つの部分部材が異なる透磁率を有する部分を有すること、及び/又はコンセントレータの少なくとも1つの部分部材が他の部分部材とは異なる透磁率を有することにある。より大きな透磁率を有する部分部材又は部分は、特にラミネートのより多くの数の積層体がシールされる必要があるインダクタの範囲に配置されている。
【0018】
シール隙間の側では、好ましくはインダクタがカバーによって機械的なダメージに対して保護されている。耐摩耗性であるものの誘導に対して透過的な材料から成るカバー、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、高性能プラスチックのグループに属し良好な機械的及び電気的な特性並びに高温耐熱性及び非常に良好な耐薬品性によって特徴付けられた高温耐熱性の熱可塑性材料が考慮に入れられる。加えて、セラミック又はセラミック状の材料をカバーに用いることが可能である。好ましくは、カバーは、湿気や薬品のような環境の影響に対する効果的な保護を保証するために、シール顎部に接着的に固結されている。
【0019】
プレート状のカバーは、いくつかの範囲において異なる厚さを有することができる。プレート状のカバーは、ラミネートのより多くの数の積層体がシールされる範囲ではより薄い厚さを有し、ラミネートのより少ない数の積層体がシールされる範囲ではより厚い厚さを有している。カバーの効果は、加熱を担うラミネートにおける金属層がカバーのより薄い範囲において、インダクタの後方で、インダクタのストランドからより短い距離を有するように構成されている。したがって、エネルギー分配は、カバーの厚さの影響によって明確にコントロールされることが可能である。
【0020】
コンセントレータとブロックの間に配置されているのは、コンセントレータの全ての部分部材を金属ブロックから電気的に絶縁する絶縁体と、同時に良好な熱伝導体である。絶縁体は、好ましくは100W/mKの高い熱伝導率と、少なくとも10
12Ωmm
2/mの高い電気比抵抗を有している。特に、200W/mKの熱伝導率を有するセラミック材料窒化アルミニウム(AlN)が絶縁体とみなされる。
【0021】
さらに、炭化ケイ素(SiC)に基づく絶縁体又は熱伝導性のプラスチックから成る絶縁体が考慮に入れられる。熱伝導性のプラスチックの熱伝導率は、ポリマーマトリクスへの金属粉末又はファイバの添加によって達成される。特にプレート状の絶縁体は、コンセントレータがいかなる点でもブロックに接触しないようにコンセントレータとブロックの間に配置される。
【0022】
本発明の一実施例では、
インダクタが、通過する冷却媒体を有するのに適した中空導体を含んでいる。この中空導体は、特に冷却システムの一部である。好ましくは、水が冷却媒体とみなされる。冷却媒体の供給及び除去のための接続部は、インダクタも高周波電圧電源に接続されるインダクタの端部に配置されている。
【0023】
誘導シールするための装置が無菌の充填機械において用いられる場合には、インダクタの接続において漏れる冷却水は、充填機械の無菌の作業範囲へ入ることが可能である。このように水が出ることは、望ましくないとともに、動作における妨害となり得る。本発明の一実施例では、インダクタが間接的にのみ冷却される。好ましくは、少なくとも1つの冷却通路が、冷却媒体がストランドと平行にブロックを通って流れるように、各シール顎部に配置されている。
【0024】
本発明の一実施例では、誘導シールするための装置は、誘導シール並びに冷却及び二次加圧の両方が第1及び第2のシール顎部を用いて実行され得るように構成されている。この目的のために、各シール顎部は、各シール顎部の長手方向にオフセットされた第1の部分及び第2の部分を有しており、インダクタは各シール顎部の第1の部分においてのみ配置されているおり、二次加圧・冷却範囲は第1及び第2のシール顎部の向こう側の第2の部分間に位置している。2つのシール顎部の間のシール隙間では、シール範囲と二次加圧・冷却範囲が互いに隣接して位置している。
【0025】
本発明の実施例におけるインダクタが間接的に冷却される限り、冷却通路は、冷却媒体が第1及び第2の部分の両方を通って流れることができるように、各シール顎部の第1及び第2の部分を通って延びている。本質的な利点は、シール範囲及び二次加圧・冷却範囲の両方を冷却するために1つの冷却回路のみが必要であることにある。これにより、冷却通路の接続部がシール顎部の第2の部分にのみ配置され得るという利点が更に得られる。しかしながら、装置のシール顎部の第2の部分は、充填機械の無菌の作業範囲の外部に配置されることが可能である。したがって、インダクタの接続部において冷却水が漏れることによる充填機械の無菌の作業範囲の汚染を回避することが可能である。
【0026】
以下に、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】切妻パッケージのラミネートの複数の積層体を誘導シールするための本発明による装置の概略的な側面図である。
【
図2a】
図1による装置の複数部材のコンセントレータの詳細図である。
【
図2b】
図1による装置の複数部材のコンセントレータの詳細図である。
【
図3】
図1による装置のシール顎部の概略的な斜視図である。
【
図4】シール顎部の第1及び第2の部分におけるA−A線及びB−B線に沿った部分を有する
図3によるシール顎部の正面図である。
【
図5】シール顎部の他の実施例の概略的な斜視図である。
【
図6】A−A線及びB−B線に沿った部分を有する
図5によるシール顎部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1には、第1のシール顎部(3a)と、第2のシール顎部(3b)と、第1のシール顎部(3a)と第2のシール顎部(3b)の間に配置され、ラミネート(2)の複数の積層体を受け入れるためのシール隙間(4)と、シール顎部(3a,3b)の互いに対する相対的な移動を生じさせるため、及びシール隙間(4)におけるラミネート(2)の積層体へ押圧力を形成するための、不図示の駆動部とを含む切妻パッケージ(6)のラミネート(2)の複数の積層体を誘導シールするための装置(1)が示されている。
【0029】
示された例示的な実施例では、シール顎部(3a)は固定された位置に保持されている一方、シール顎部(3b)は、駆動部を用いてシール顎部(3a)の方向に往復移動可能である。シール顎部(3b)の移動方向(5)は、2つのシール顎部(3a,3b)の押圧面に対して直角となっている。例えば、ピストンシリンダユニットを駆動部とみなすことが可能である。両シール顎部(3a,3b)は、示された例示的な実施例では正方形の断面を有する金属材料のブロック(7)を含んでいる。幾何学的な関係及び駆動部の取付状況が異なる断面を必要とする場合には、当然、ブロックが異なる断面を有することが可能である。シール隙間(4)の方向に向く溝開口部(9a)を有する溝(9)が取り入れられるコンセントレータ(8)が、ブロック(7)に留められている。
【0030】
誘導ループとして構成されたインダクタ(10)が溝(9)内に入れられており、この溝内では、インダクタ(10)は、高周波交流電圧へインダクタを接続するための接続部(10b)を有する上側のストランド(10a)を有している。下側のストランド(10c)は、横方向の屈曲部(10d)を介して上側のストランド(10a)に接続されている。
図3及び
図4による実施例では、インダクタ(10)は、固体導体として設定されているとともに、間接的に冷却される。
図5及び
図6による実施例では、インダクタ(10)は、冷却媒体が流通することが可能な中空導体として設定されており、冷却媒体は、高周波電圧のための接続部(10b)において、この中空導体へ供給されるか、又はこの中空導体から除去される。
【0031】
図2a,
図2bには、コンセントレータ(8)の構造が図示されている。図示の例示的な実施例では、コンセントレータは、全部で4つの部分部材(8a,8b,8c,8d)で構成されている。
図2bには分離された部分部材(8a,8b,8c,8d)が示されている一方、
図2aには、コンセントレータ(8)を形成するために組み合わされた部分部材(8a,8b,8c,8d)が示されている。
【0032】
上側のストランド(10a)と、インダクタ(10)の屈曲部(10b)とは、部分部材(8c,8d)における溝(9)へ入れられており、インダクタ(10)の下側のストランド(10c)は、コンセントレータ(8)の部分部材(8a,8b)における溝(9)へ入れられている。全ての部分部材(8a,8b,8c,8d)は、逆にインダクタ(10)の全長にわたって磁場の構造に影響を与え、したがってシール結果を危うくする上側と下側のストランド(10a,10c)の間の電気的なフラッシュオーバーを避けるために、互いに電気的に絶縁されている。部分部材(8a,8b,8c,8d)は、水平方向の隙間(11a)及び垂直方向の隙間(11b)によって互いに電気的に絶縁されている。部分部材(8a〜8d)間の絶縁を改善するために、水平方向及び垂直方向の隙間(11a,11b)へポリイミドフィルム(12)が取り入れられている。ポリイミドフィルム(12)は、永続的な使用においては230℃まで負荷されることが可能であり、一時的には400℃まで負荷されることが可能である。
【0033】
図3〜
図6から特に見て取れるように、各シール顎部(3a,3b)は、シール顎部(3a,3b)の長手方向(14)にオフセットされた第1の部分(13a)と第2の部分(13b)を有している。インダクタ(10)は、第1の部分(13a)にのみ配置されている。第1及び第2のシール顎部(3a,3b)の向こう側の第2の部分(13b)の間に配置されているのは、第1の部分(13a)においてシールされたラミネート(2)の積層体のための加圧及び冷却範囲(15)である。シール隙間(4)に対向する各シール顎部(3a,3b)側では、カバー(16)が、溝(9)におけるシール隙間(14)へ向けて露出したインダクタ(9)を機械的なダメージから保護する第1の部分(13a)の範囲に配置されている。プレート状のカバー(16)は、断面において段付けされたものとして設定されている。インダクタ(10)の下側のストランド(10c)の範囲では、プレート状のカバー(16)は上側のストランド(10a)を覆う部分(16b)よりも薄くなっている。カバー(16)の段階的変化は、シール隙間(4)においてシールされるべきラミネート(2)の積層体の異なる数に適合されている。ラミネート(2)の4つ又は5つの積層体がシール隙間(4)の下側の部分(16a)に配置されている一方、シールされるべきラミネート(2)の2つの積層体のみが上側の部分(16b)に配置されている。カバーの下側の部分(16a)では、加熱を担うラミネート(2)の金属層が下側のストランド(10c)により近く位置しているため、より短い距離の結果、インダクタ(10)は、上側の部分(16b)の範囲における2つの積層体へのエネルギーよりも大きなエネルギーを4つの積層体へ入力する。
【0034】
インダクタ(10)のストランド(10a,10c)間でのブロック(4)を介する電気的なフラッシュオーバー及びエネルギー照射への逆作用を回避するために、セラミック材料から成るプレート状の絶縁体(17)がコンセントレータ(8)の後方に配置されている。セラミック材料は、特に、高い熱伝導率と同時に電気比抵抗を有する窒化アルミニウムを含んでいる。高い熱伝導率は、
図3及び
図4によるインダクタ(10)の間接的な冷却を伴う装置の実施例においては特に決定的に重要である。
【0035】
間接的な冷却のために、吸入口(18a)及び戻し部(18b)を有する冷却通路(18)が各シール顎部(3a,3b)のブロック(7)に配置されている。吸入口及び戻し部は、接続部(18c)からシール顎部(3a,3b)の長手方向(14)へ延びている。接続部(18c)は、第2の部分(13b)におけるシール顎部(3a,3b)の前側に配置されている。
【0036】
内部で冷却されるインダクタ(10)を有する
図5及び
図6による例示的な実施例では、冷却通路(18)が第2の部分(13b)においてのみ配置されている。冷却媒体のための接続部(18c)も、第2の部分(13b)におけるシール顎部(3a,3b)の前側に配置されている。しかしながら、原則的には、内部で冷却されるインダクタ(10)を有する装置の一実施例では、冷却容量を向上させるために、第1の部分(13a)において追加的な冷却通路を設けることも可能である。
【0037】
切妻パッケージ(6)のラミネート(2)の複数の積層体を誘導シールするための上述の装置(1)は、以下のように動作する。
【0038】
シールされるべき切妻パッケージ(6)のラミネート(2)の複数の積層体は、時計回りに動作する不図示のコンベヤによって、2つのシール顎部(3a,3b)の第1の部分(13a)間の開放されたシール隙間(4)内へ搬送される。そして、不図示の駆動部によってシール顎部(3a,3b)は互いへ向けて移動し、ラミネート(2)の複数の積層体の隣接した熱可塑性の層は、ラミネート(2)の金属層における渦電流の誘導によって互いに圧縮及びシールされる。
【0039】
そして、シール隙間(4)が再び開放され、シールされた切妻パッケージ(6)が長手方向(14)においてシール顎部(3a,3b)の第2の部分(13b)間へ搬送される。ラミネート(2)のシールされた積層体が二次加圧・冷却範囲(15)に位置するとすぐに、シール隙間(4)におけるラミネートの既にシールされた積層体への押圧力がシール顎部(3a)の移動によって形成される。同時に、ラミネート(2)のシールされた積層体が冷却される。そして、シール隙間(4)が開放され、切妻パッケージ(6)が長手方向(14)においてシール隙間(4)から出るように搬送される。第2の部分(13b)における二次加圧及び冷却中には、コンベヤによって開放されたシール隙間(4)へ搬送される次の切妻パッケージ(6)が第1の部分(13a)においてあらかじめシールされる。
【0040】
無菌の作業領域を有する液体状の食料品のための充填設備では、シール顎部(3a,3b)が、無菌の作業領域を通る切妻パッケージ(6)の搬送方向に対して平行に配置される。この場合、第1の部分(13a)が無菌の作業範囲に配置されている一方、第2の部分(13b)はこの作業領域外に配置されている。第2の部分(13b)の前側における冷却媒体のための接続部(18c)は、漏れる冷却媒体が無菌の作業領域へ入り得ることを阻止する。
【0041】
本発明の別の実施例では、シール顎部(3a,3b)の長さ並びにインダクタ(10)の下側及び上側のストランド(10a,10c)の長さは、接続部(10b)の両側で切妻パッケージ(6)のシール範囲が各場合で同時にシールされ得るように寸法設定されている。
【0042】
第2の部分における二次加圧・冷却範囲(15)の長さも、2つの切妻パッケージ(6)のシール範囲が同時に加圧及び冷却され得るように寸法設定されている。
【符号の説明】
【0043】
1 装置
2 ラミネート
3a シール顎部
3b シール顎部
4 シール隙間
5 移動方向
6 切妻パッケージ
7 金属ブロック
8 コンセントレータ
8a 部分部材
8b 部分部材
8c 部分部材
8d 部分部材
9 溝
9a 溝開口部
10 インダクタ
10a 上側のストランド
10b 接続部
10c 下側のストランド
10d 屈曲部
11a 水平方向の隙間
11b 垂直方向の隙間
12 ポリイミドフィルム
13a 第1の部分
13b 第2の部分
14 長手方向
15 二次加圧・冷却範囲
16 カバー
16a 下側の部分
16b 上側の部分
17 絶縁体
18 冷却通路
18a 吸入口
18b 戻し部
18c 接続部