(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6687757
(24)【登録日】2020年4月6日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】3D軟骨オルガノイドブロックを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
A61L 27/36 20060101AFI20200421BHJP
【FI】
A61L27/36 312
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-554290(P2018-554290)
(86)(22)【出願日】2016年10月1日
(65)【公表番号】特表2019-505346(P2019-505346A)
(43)【公表日】2019年2月28日
(86)【国際出願番号】KR2016011037
(87)【国際公開番号】WO2017115982
(87)【国際公開日】20170706
【審査請求日】2018年10月2日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0189505
(32)【優先日】2015年12月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518233224
【氏名又は名称】エックスセル セラピューティックス インク.
【氏名又は名称原語表記】Xcell Therapeutics Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】シン,ヨン キー
(72)【発明者】
【氏名】パク,サン ギュ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン ドグ
(72)【発明者】
【氏名】アン,ジョン チャン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ビョン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ウイ イル
【審査官】
飯濱 翔太郎
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2005/011765(WO,A1)
【文献】
国際公開第2005/045008(WO,A1)
【文献】
韓国公開特許第10−2007−0002028(KR,A)
【文献】
特表2015−511482(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0153078(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 15/00−33/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D軟骨オルガノイドブロックを調製するための方法であって、以下の工程
(a)間葉系幹細胞を3Dスフェロイド軟骨組織に3D培養および分化させること;
(b)間葉系幹細胞を2D軟骨分化細胞層に2D培養および分化させること;および
(c)3Dスフェロイド軟骨組織を2D軟骨分化細胞層上でインキュベートし、自己組織化を誘導すること
を含む、前記方法。
【請求項2】
間葉系幹細胞が、脂肪、骨髄、靭帯、臍帯血、胎盤、滑膜、骨膜、軟骨膜、扁桃腺、皮膚、毛包、末梢血、筋肉、肝臓、ニューロン組織、胎膜、羊膜、半月板および前十字靭帯に由来する細胞を含む、請求項1に記載の3D軟骨オルガノイドブロックを調製するための方法。
【請求項3】
3D軟骨オルガノイドブロックを調製するための方法であって、以下の工程
(a)間葉系幹細胞を3Dスフェロイド軟骨組織に3D培養および分化させ、3Dスフェロイド軟骨組織の融合および培養により、3Dスフェロイド融合構築物を調製すること;
(b)間葉系幹細胞を2D軟骨分化細胞層に2D培養および分化させること;および
(c)3Dスフェロイド融合構築物を2D軟骨分化細胞層上でインキュベートし、自己組織化を誘導すること
を含む、前記方法。
【請求項4】
融合構築物が、自然の融合、生体適合性グルーを用いた融合、もしくはスティッチングファイバーを用いた融合により調製される;または3Dスフェロイドを含む生体適合性ポリマースキャフォールドの使用による異なる3Dスフェロイド軟骨組織の融合および培養により調製される、請求項3に記載の3D軟骨オルガノイドブロックを調製するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、人工組織の調製に関する。本発明は、インビトロで人工軟骨組織を調製するための方法に直接的に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
高齢化や社会的および身体的活動の増加は、軟骨傷害に苦しむ患者の数の増加をもたらし、それにより、損傷した軟骨を回復するための医療技術の開発の必要性も高まっている。しかしながら、軟骨組織は血管を有さず、軟骨細胞の移動性は細胞外マトリックス(ECM)によって制限されるため、損傷した軟骨を労力なく再生することは困難である。
【0003】
損傷した軟骨を処置する現在の方法の中でも、人工関節交換は、外科手術が成功した場合には、痛みを軽減し、患者を自然に歩かせることができるという利点を有する。近年、人工関節交換に関する技術は多くが改善されており、重度に損傷した軟骨の処置のための人工関節置換手術が行われている。さらに、低侵襲性の人工関節置換手術は、人工関節の寿命延長および手術からの迅速な回復に寄与する。しかしながら、人工関節手術は、様々な側面において未だ患者に負担を課している。人工関節の磨耗は人工関節の寿命を制限し、耐久性は手術の管理および結果に依存する。さらに、手術中に細菌感染がある場合には、再手術が要求される。さらに、骨切断操作において有害な影響または合併症のリスクが存在する。それゆえ、細胞が採用される再生医療による解決策の必要性が継続して高まっている。この点について、患者自身から得られる細胞を用いた自己軟骨細胞移植(autologous cartilage cell implantation)(aci)、異種軟骨細胞移植、および自己および/または異種の幹細胞を軟骨細胞に分化させることによって治療剤を開発するための研究が開発されている。
【0004】
自己および/または異種の軟骨細胞移植は、軟骨細胞培養に起因する脱分化の問題を有し、したがって、有効的な処置のための十分な数の細胞を得ることは可能ではない。間葉系幹細胞を用いる処置は、十分な数の細胞を提供するという利点を有する。もっとも完全な軟骨分化方法は未だ存在しないが、近年、多くの技術が開発されている。細胞を用いる処置方法を成功させるために、軟骨細胞の生存能力向上、表現型の維持、および物理的強度の維持などの技術は開発されるべきである。これまでに、例えば、ハイドロゲルなどの3D支持体の使用による細胞付着率を高め、周囲の微小環境を制御することにより、より自然な軟骨組織を維持し、外圧に対する弾性を保持するなどの様々な方法が、上述の問題を克服するために導入されている(韓国特許登録番号第10−1367221号)。しかしながら、細胞と生体材料との相互作用、生体適合性、および特に隣接軟骨との結合などの問題は未だ解決されていない。
【0005】
今日では、細胞は、支持体を使用せずに高密度3Dペレットとして調製される。スフェロイドを形成するこの方法は、簡便な調製プロセスおよび容易な再現性の利点を有する。全ての単一のウェルに1つのスフェロイドを含む、96ウェルを用いた細胞集団培養技術が開発されたが、スフェロイドが互いに融合される構造的に1つの組織を形成することは非常に困難である。ヒドロゲルなどの生体材料で軟骨組織を調製することは不可能であり、したがって、従来の技術で処置剤を作製することは困難である。KR特許番号第10−1109668号は、組織工学のためのメソ多孔質PLGA−シリカスキャフォールドを用いた脂肪幹細胞からの骨分化を開示し、KR特許番号第10−0839875号は、関節軟骨の再生のためのスキャフォールドであって、ここでスキャフォールドが、生分解性ポリマーおよびリン酸カルシウム生体適合性セラミックスを含むメソ多孔質スキャフォールドに細胞を播種することにより調製される、前記スキャフォールドについての発明を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の開示
技術的課題
我々、発明者らは、上述の課題に取り組むために、3次元軟骨オルガノイドブロックを調製するための新規な方法を研究した。結果として、我々は、第一に、互いに接触する3Dスフェロイド軟骨組織が軟骨に分化した場合に、組織は互いに接続し、大きな3D軟骨オルガノイドブロックを提供することを見出した。第二に、我々は、2D高密度軟骨分化細胞層が自己組織化して3Dスフェロイド軟骨組織を取り囲み、したがって、軟骨分化が、2D高密度軟骨分化細胞層(間葉系幹細胞または間葉系幹細胞から軟骨細胞分化の中間状態における細胞層)の中心部に3Dスフェロイド軟骨組織(間葉系幹細胞構築物または間葉系幹細胞の分化の軟骨細胞への分化の中間工程における構築物)をロードすることにより継続的に誘導される場合に、構造的に高密度な3D軟骨オルガノイドブロックを形成することを見出した。
【0007】
この点について、本発明は、3Dスフェロイド軟骨組織自身を融合および接続すること、または間葉系幹細胞の3Dスフェロイド状態の軟骨組織への分化により調製される3Dスフェロイド軟骨組織の存在において、2D軟骨細胞層が間葉系幹細胞の2Dプレート上の高密度な軟骨組織への分化により調製される、2D軟骨分化細胞層の自己組織化を誘導することのいずれかにより、3D軟骨オルガノイドブロックを調製する方法を提供する。
加えて、本発明の目的は、軟骨回復が要求される任意の領域または分野に3D軟骨オルガノイドブロックを使用することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
課題のための解決策
本発明の目的は、3D軟骨オルガノイドブロックを調製する方法であって、以下の工程:
(a)間葉系幹細胞の3D培養により、間葉系幹細胞を3Dスフェロイド軟骨組織に分化させること;(b)間葉系幹細胞の2D培養により、間葉系幹細胞を2D軟骨分化細胞層に分化させること;および(c)3Dスフェロイド軟骨組織を2D軟骨分化細胞層上でインキュベートして、自己組織化を誘導すること
を含む、前記方法を提供することである。
【0009】
間葉系幹細胞は、脂肪、骨髄、靭帯、臍帯血、胎盤、滑膜、骨膜、軟骨膜、扁桃腺、皮膚、毛包、末梢血、筋肉、肝臓、ニューロン組織、胎膜、羊膜、半月板および前十字靭帯に由来する細胞を含む。
本発明の方法は、3Dスフェロイド軟骨組織の融合および培養により、3Dスフェロイド融合構築物を調製する工程をさらに含む。
3Dスフェロイド融合構築物は、自然の融合、生体適合性グルーを用いた融合、またはスティッチングファイバーを用いた融合により調製され得る。3Dスフェロイド融合構築物は、3Dスフェロイドを含む生体適合性ポリマースキャフォールドの使用による異なる3Dスフェロイド軟骨組織の融合および培養により調製され得る。
【発明の効果】
【0010】
発明の有利な効果
本発明は、従来の軟骨分化方法と比較して、3D軟骨オルガノイドの調製のために用いられる、構造的に大きく、高密度な、機能的に有効な3D軟骨組織を提供する。さらに、よりヒト様の軟骨組織を、小さい機能的ユニットとして考えられる3Dスフェロイド軟骨組織の自己組織化の融合により調製することができる。さらに、本発明は、従来の軟骨分化方法の有利な特徴を組み込む。具体的には、高密度の2D軟骨分化細胞層は、自己組織化を通してプレートから引き離され、したがって、3Dスフェロイド軟骨組織間のギャップの有効的な充填、およびそれらの生体適合性の増加をもたらす、細胞自身のECMを含む。さらに、3Dスフェロイド軟骨組織は、構造的に高密度であるので、それは支柱(backbone)として機能し、強度を増大させる。この点について、本発明は、患者の軟骨傷害の部分、または追加の軟骨が必要な身体の部分に移植される場合に、強度を増大させ、生体適合性を増加させる処置剤を調製することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面の簡単な説明
【
図1】
図1は、間葉系幹細胞の幹細胞性を評価するための、3つの幹細胞陽性マーカー[CD44(+)、CD105(+)、CD29(+)]および2つの陰性マーカー[CD34(−)、CD45(−)]のFACS解析結果を示す。
【
図2】
図2は、ECMマーカー(col2、アグリカン)の発現のqRT−PCR解析の結果を示す。間葉系幹細胞を2D培養条件下で軟骨細胞に分化させ、軟骨分化マーカーであるGAGの発現を、アルシアンブルー染色を用いて定量的に分析した。
【
図3】
図3は、3Dスフェロイド軟骨組織が脂肪由来間葉系幹細胞から生成される、3D軟骨オルガノイドを調製するための全体的なプロセスを示す。
【
図4】
図4は、それぞれ、3Dスフェロイド融合構築物および3D軟骨オルガノイドの軟骨分化能力の評価のための、アルシアンブルー免疫染色(A)およびII型コラーゲンについてのqRT−PCR(B)の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明を実施するためのベストモード
本発明は、(a)間葉系幹細胞を3Dスフェロイド軟骨組織に3D培養および分化させること;(b)間葉系幹細胞を2D軟骨分化細胞層に2D培養および分化させること;および(c)3Dスフェロイド軟骨組織を2D軟骨分化細胞層上でインキュベートし、自己組織化を誘導すること;に特徴付けられる、3D軟骨オルガノイドブロックを調製するための方法に関する。
【0013】
本発明において、用語「2D細胞培養」は、細胞を、プレート上で一層においてインキュベートすることを意味し、用語「3D培養」は、他の近隣の細胞と3次元的にインキュベートすることを意味する。前記間葉系幹細胞は、脂肪、骨髄、靭帯、臍帯血、胎盤、滑膜、骨膜または軟骨膜に由来する細胞を含む。
【0014】
本発明において、用語「軟骨細胞」は、ヒトを含む動物の幹細胞の分化により得られる軟骨細胞を指し、軟骨組織から培養された軟骨細胞をさらに含む。前記幹細胞は、好ましくは、成人間葉系幹細胞、胚性幹細胞、多能性幹細胞、および未分化前駆細胞などを意味する。前記軟骨細胞は、好ましくは、ヒト軟骨組織からインビトロで得られる軟骨細胞を意味し、より好ましくは、ヒト正常硝子軟骨(cartilage vitrification)からインビトロで得られる軟骨細胞のことを言う。
【0015】
この発明は、以下の工程:(a)間葉系幹細胞を3Dスフェロイド軟骨組織に3D培養および分化させること;(b)間葉系幹細胞を2D軟骨分化細胞層に2D培養および分化させること;および(c)3Dスフェロイド軟骨組織を2D軟骨分化細胞層上でインキュベートし、自己組織化を誘導すること;に加えて、3Dスフェロイド軟骨組織の融合および培養により、融合構築物を調製する工程をさらに含んでもよい。
【0016】
加えて、前記3Dスフェロイド融合構築物は、自然の融合、生体適合性グルーもしくはスティッチングファイバーの使用による融合により調製され得る;または3Dスフェロイドを含む生体適合性ポリマースキャフォールドを用いた異なる3Dスフェロイド組織の融合および培養により調製され得る。
【0017】
本発明において、軟骨組織のためのオルガノイドを調製するための方法であって、軟骨組織がスキャフォールドを用いない自己組織化によって調製される、前記方法が提供される。もっとも本発明の3D軟骨オルガノイドブロックは、基本的にはスキャフォールドを採用しない方法を好むが、適切な生体適合性スキャフォールドの使用を排除しない。基本ユニットとしての3Dスフェロイド軟骨組織の使用により3Dスフェロイド融合構築物を調製するための方法は、以下の方法:(i)3Dスフェロイド軟骨組織自身の自然の融合、(ii)組織上に生体適合性グルーを適用した後に3Dスフェロイド軟骨組織を接続すること、(iii)生体適合性ポリマースキャフォールドおよび3D軟骨組織の両方を使用すること、(iv)縫合糸でフレームを作製し、その後、フレーム上に3Dスフェロイド軟骨組織を接続すること、および(v)縫合糸により3Dスフェロイド軟骨組織を通過することにより自由な形の(free-formed)構築物(融合構築物)を調製すること、を含む。
【0018】
上記の方法(i)は、3Dスフェロイド軟骨組織が互いに接触し、その後ECMが軟骨組織から外部に分泌され、分泌されたECMが、互いに接続され、これによりそれぞれの軟骨組織が、人工的な操作をすることなく、構築物(融合構築物)を形成する、自然の事象を利用する。
上記の方法(ii)については、医薬用途の生体適合性グルーが、ECMの特徴を模倣し、それぞれの3Dスフェロイド軟骨組織を迅速に付着させるという利点を有する。天然のグルーは、フィブリングルー、ゼラチングルー、アルギナートグルー、およびヒアルロン酸グルー、ならびに合成ポリマーグルーを含む。
【0019】
上記の方法(iii)によれば、3Dスフェロイド融合構築物は、3Dスフェロイド軟骨組織を含むことができる生体適合性ポリマーの使用により作製ことができる。この方法は、3D融合構築物の強度を増大させるという特別な効果を有する。
上記の方法(iv)によれば、特別な形態を有するフレームは、医療用縫合糸を用いて調製され、その後3Dスフェロイド軟骨組織は、上記フレーム上にロードされ、3Dスフェロイド融合構築物を提供する。フレームは、ネットタイプ、リニアアレイタイプ、またはスパイラルタイプであってもよいが、これらのタイプに限定されない。この方法は、特別な形態を有する3Dスフェロイド融合構築物を作製するのに有効的である。
【0020】
方法(v)によれば、3Dスフェロイド融合構築物の様々な形態は、縫合として医療用縫合糸により3Dスフェロイドを調製することにより作製することができる。この方法は、軟骨ブロック構築物の様々な形態を提供し、したがって、3Dスフェロイド融合構築物の適用価値を有利に増加させる。
本発明の3D軟骨オルガノイドブロックは、調製方法が簡便なので、誰でも容易に調製することができる。アルシアンブルー染色の結果は、GAGマトリックスの増加した量およびコラーゲン2の増加した発現を表し、正常な軟骨組織を支持する正常な軟骨組織の指標としてよく形成されている。
【実施例】
【0021】
発明のためのモード
以下の例は、例示的な態様を提供する。本開示および当業者の一般的なレベルに照らして、以下の例は例示的なものに過ぎず、現在主張されている主題の範囲から逸脱することなく、多くの変化、改変、および変更を採用することができることを当業者は理解するである。
【0022】
例1.ヒト間葉系幹細胞の単離、インキュベーション、および幹細胞性の評価
脂肪組織をメスで小さな断片に切断し、その後、得られた断片をリン酸緩衝食塩水(PBS)(Sigma, St. Louis, MO)で3回洗浄した。その後、脂肪組織の小さな断片を50mlのコニカルチューブに入れた。PBSをチューブに加え、撹拌し、その後遠心分離した。スープを廃棄し、ダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)を50mlの容量まで加え、その後、混合物を37℃で90分反応させた。上層に懸濁させた溶解していない脂肪組織を、2,000rpmで10分間の遠心分離後に除去した。その後、DMEMでの洗浄、遠心分離、および除去を繰り返した。単離された脂肪由来の幹細胞をインキュベートし、血清フリー幹細胞培養培地(化学的に明確な培地)を用いて、5%CO
2インキュベーター中で、37℃で増殖させた。10%FBSを含むDMEMを増殖のために用いることができる。増殖させた間葉系幹細胞を、蛍光活性化セルソーティング(Fluorescence-activated cell sorting)(FACS)により、幹細胞(stem)陽性抗原マーカーであるCD44、CD105およびCD29、ならびに幹細胞(stem)陰性抗原マーカーであるCD34およびCD45を検出することにより分析した。
【0023】
例2.間葉系幹細胞の軟骨への分化の評価
得られた幹細胞を、1x10
4細胞/cm
2で播種し、5%CO
2インキュベーター中で、37℃でインキュベートしつつ、間葉系幹細胞を軟骨細胞に分化させるために、細胞を、2日毎に軟骨分化培地で処置した。軟骨分化培地は、50ug/mlアスコルビン酸−2−リン酸、100nMデキサメタゾン、1%ITS、および10ng/ml TGF−ベータ1を含んだ。GAGマトリックス形成レベルを、細胞を2D軟骨プレートにおいて、30分間10%ホルムアルデヒドで処置することにより固定し、その後、細胞を3分間、3%3分間酢酸溶液で処置し、その後、30分間、500μlアルシアンブルー(pH2.5)溶液で染色した。染色した試料を、蒸留水で数回洗浄し、顕微鏡を用いて検出した。定量的なGAG値を得るために、アルシアンブルー染色したプレートを10分間3%酢酸に放置し、100μlのスープを回収し、O.D.値を決定した。分析結果は、
図2A、Bに支持される。
【0024】
例3.リアルタイムPCRを用いた軟骨刺激
未分化の幹細胞と軟骨分化細胞との間の遺伝子改変を分析するために、軟骨分化遺伝子の発現を評価した。この目的のために、Col IIおよびアグリカンを軟骨細胞に関連する遺伝子マーカーとして用い、GAPDHをハウスキーピング遺伝子として採用した。リアルタイムPCRを以下のように行った。すなわち、各群から得られた細胞をPBSで洗浄し、その後、それらをトリプシン−EDTAで回収し、RNAをTRIzol(Life Technologies, Inc. Grand Island, NY)法で抽出した。抽出されたRNA1μgをcDNAを調製するために用い、遺伝子発現の変化を調査した。プライマーセットおよびそれぞれの分化マーカーを以下の表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
上記のリアルタイムPCRの結果を
図2Cに示した。軟骨分化後、軟骨分化を示すマーカーである、II型コラーゲンおよびアグリカンは、未分化の群と比較して、高いレベルまで有意に増加した。
【0027】
例4.3D軟骨オルガノイド調製
3D軟骨細胞分化のために、2x10の間葉系細胞を15mlポリプロピレン(polyprophylene)チューブにいれ、1,000rpmで10分間遠心分離した。その後、細胞を5%CO
2インキュベーター中で24時間、37℃で軟骨分化培地を用いてインキュベートし、3Dスフェロイド軟骨組織を生成した。さらに、互いに接触する3Dスフェロイド組織のために、自然の融合を誘導した。インキュベーションの24時間後、3Dスフェロイド軟骨組織は、互いに接続し、3Dスフェロイド融合構築物を生成した。得られた3Dスフェロイド融合構築物を、細胞が分化中にある2D軟骨分化細胞層上にロードした。その後、軟骨分化を3週間継続し、自己組織化を誘導し、一方で、2D軟骨分化細胞層は3Dスフェロイド融合構築物を取り囲み、それにより3D軟骨オルガノイドブロックを調製した。さらに、かかる3Dオルガノイドブロックを自発的に誘導することができ、一方で異なる3Dスフェロイド融合構築物を接続することができた。3D軟骨オルガノイドブロックの組織学的特徴を評価するために、パラフィン組織ブロックを調製および断片化した後、GAGマトリックス形成レベルを分析した。間葉系細胞を2D軟骨細胞層に分化させる方法、ならびに3Dスフェロイドから3D軟骨組織を調製するために用いられる分化方法および条件は、同じである。軟骨分化培地を2日毎に新しいもので交換し、5%CO
2インキュベーター中で、37℃でインキュベーションを行った。軟骨分化培地は、50ug/mlアスコルビン酸−2−リン酸、100nMデキサメタゾン、1%ITS、および10ng/ml TGF−ベータ1を含んだ。上記の3D軟骨オルガノイド調製方法は、
図3に示すように行い、10mmx5mmx4mm(幅x長さx高さ)の軟骨組織を調製した。さらに、3D軟骨オルガノイドブロックを、アルシアンブルー染色およびII型コラーゲン遺伝子増大で確認した。
【産業上の利用可能性】
【0028】
産業上の利用可能性
この点について、医学的処置のための軟骨組織がインビトロで調製されるので、本発明は、軟骨回復が要求される形成外科および組織工学に有効に適用することができる。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]