(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
≪第1実施形態≫
<システムの構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係るエレベータの制御システムを適用したエレベータシステムの構成を模式的に示す概略断面図である。本エレベータシステムは、特に、総合病院やショッピングモールなどの大型施設の建物に設置されるものであって、例えばn階建てのビルに設置した場合を例示している。
【0014】
第1実施形態のエレベータシステムは、エレベータ1と自律走行ロボット(自律走行体)3とから構成されている。エレベータ1は、ビルの利用者40が主に利用する一般的なエレベータ装置であって、自律走行ロボット3の乗車が可能とされている。即ち、このエレベータシステムでは、乗りかご15内において、自律走行ロボット3の利用者40との同乗が可能とされている。
【0015】
図1において、エレベータ1は、昇降路11の上部の機械室12に配置された巻上機13にメインロープ14が掛け渡され、ロープ14の一端に乗りかご15が、ロープ14の他端に釣り合い錘16が、それぞれつるべ式に吊り下げられている。
【0016】
乗りかご15は、各階のホール扉22a,22b,…,22nに対向する乗りかご扉17を備えるとともに、例えば、乗りかご扉17の近傍には、利用者40の乗降などを監視するためのカメラ18が設けられている。カメラ18は、乗りかご15の天井部分に取り付けられるかご内監視カメラなどを流用することも可能であるが、例えば、視覚障害者が使用する杖の白色や赤色を検出できるものが用いられる(詳細は後述する)。また、乗りかご15内には、利用者40が行先階を指定するためのかご呼び操作などを行うための、かご内操作盤(図示省略)が設けられている。
【0017】
機械室12には、巻上機13のほか、図示省略のテールコードを介して、乗りかご15に接続されたエレベータ制御部30やエレベータ側通信部36などが配置されている。
【0018】
一方、各階床には、乗場20a,20b,…,20nごとにホール扉22a,22b,…,22nが設けられている。各ホール扉22a,22b,…、22nの近傍には、利用者40が行先方向を指定する乗場呼び操作を行うための乗場操作盤21a,21b,…,21nや、通知ランプ(図示省略)が設けられている。
【0019】
図2は、エレベータシステムの構成を示すブロック図である。
【0020】
エレベータ1は、自律走行ロボット3と通信を行うためのエレベータ側通信部36を備えている。エレベータ側通信部36は、エレベータ制御部30に接続されている。
【0021】
エレベータ制御部30は、例えば
図2に示すように、呼び情報登録部31、走行制御部32、乗降者属性判定部(検出部)33、乗車状態記憶部34、および、自律走行ロボット乗車可否判定部35を備えている。
【0022】
呼び情報登録部31は、走行制御部32および自律走行ロボット乗車可否判定部35に接続されており、自律走行ロボット3からのロボット用呼び情報4の登録が行われる。ロボット用呼び情報4とは、現在位置の階を乗車階とする乗場呼び情報と、目的位置の階を行先階(降車階)とするかご呼び情報である。また、呼び情報登録部31は、利用者40による乗場呼び情報およびかご呼び情報を受け付け、応答する乗場呼び情報およびかご呼び情報の登録が行われる。
【0023】
走行制御部32は、巻上機13を制御するものであって、呼び情報登録部31に接続されている。即ち、走行制御部32は、例えば、呼び情報登録部31に登録されたロボット用呼び情報4に対応する乗車階および降車階に応じて巻上機13を制御することによって、複数の階床間で乗りかご15を昇降運転させる。
【0024】
乗降者属性判定部33は、カメラ18によって撮影されたカメラ映像から利用者40の乗降を認識し、その結果を乗車状態記憶部34に記憶させる。また、乗降者属性判定部33は、カメラ映像を画像解析し、その解析の結果から各利用者40の属性を判定する。また、その属性に基づいて、当該利用者40の中から自律走行ロボット3との同乗に適さないロボット同乗禁止者(同乗困難者)を検出し、その結果を乗車状態記憶部34に記憶させる。
【0025】
ここで、ロボット同乗禁止者とは、例えば、乗りかご15に自律走行ロボット3が同乗する際に、その乗車のためのスペースを確保するのに乗りかご15内を移動してもらうなどの協力を仰ぐことが困難な者であり、危険を伴う者をいう。
【0026】
乗降者属性判定部33は、
図3(a)〜
図3(e)に示すように、画像解析後の各利用者40(41,42,43,44,45)の属性抽出画像エリア41a,42a,43a,44a,45aの面積や形状から、それぞれの属性を判定する。例えば
図3(a)は、利用者40としての健常者(大人)の映像であって、その属性は、健常者の利用者41である。健常者の利用者41の場合、属性抽出画像エリア41aの面積や形状が、ほぼ同様となる。したがって、面積や形状がほぼ同様の属性抽出画像エリア41aを抽出することで、当該利用者40が、健常者の利用者41か否かを判定できる。
【0027】
例えば
図3(b)は、利用者40としての車椅子を利用した人の映像であって、その属性は、車椅子の利用者42である。車椅子の利用者42は、健常者の利用者41の属性抽出画像エリア41aに比べ、属性抽出画像エリア42aの面積が大きくなることから、予め定める面積の閾値を基準に、当該利用者40が、車椅子の利用者42か否かを判定できる。
【0028】
例えば
図3(c)は、利用者40としての白杖を使用した人の映像であって、その属性は、視覚障害のある(杖使用の)利用者43である。視覚障害のある利用者43は、一般に白杖を携行し、進行方向の地面に白杖を当てながら移動する。そのため、健常者の利用者41の属性抽出画像エリア41aに加え、属性抽出画像エリア43aに進行方向に棒状の存在が認められる。しかし、健常者の利用者41であっても傘などを携行する場合は、同様に、進行方向に棒状の存在が認められる場合がある。そこで、視覚障害者が使用する杖は一般的に白色であり、その先端部分が赤色であるものが多いため、色の特徴から、当該利用者40が、視覚障害のある利用者43か否かの判定が可能である。
【0029】
例えば
図3(d)は、利用者40としての足の負傷により松葉杖を使用した人の映像であって、その属性は、足負傷の(杖使用の)利用者44である。足負傷の利用者44は、健常者の利用者41の属性抽出画像エリア41aに加え、属性抽出画像エリア44aに松葉杖による2本の棒状の存在が認められるため、当該利用者40が、足負傷の利用者44か否かを判定できる。
【0030】
例えば
図3(e)は、利用者40としてのペット(一般的には犬)を同伴する人の映像であって、その属性は、ペット同伴の利用者45である。ペットは、自律走行ロボット3のように見慣れない移動体を見ると吠えたり、暴れたりする可能性がある。また、ペットには、自律走行ロボット3の乗降時に協力を得るのが難しいことから、同乗しないことが望ましい。そこで、ペット同伴の利用者45は、健常者の利用者41の属性抽出画像エリア41aに加え、ペットの存在が認められるような属性抽出画像エリア45aとなることから、当該利用者40が、ペット同伴の利用者45か否かの判定が可能となる。
【0031】
即ち、属性抽出画像エリア41a,42a,43a,44a,45aは、乗降者属性判定部33により特徴抽出した結果であり、それぞれの属性に応じて、面積や形状が異なる。したがって、属性抽出画像エリア41a,42a,43a,44a,45aから利用者40の属性を判定することで、利用者42,43,44,45を、自律走行ロボット3との同乗に適さないロボット同乗禁止者(42,43,44,45)として検出することができる。
【0032】
なお、ロボット同乗禁止者は、上記のほか、例えばベビーカーを使用したベビーカー使用の利用者、大きな荷物やたくさんの荷物を抱えた利用者、または、子供連れの利用者などであっても良い。また、白杖に限らず、ステッキを所持した利用者や、1本の松葉杖を使用した足負傷の利用者を、ロボット同乗禁止者として検出するようにしても良い。また、ペットとしては、愛玩動物に限らず、例えば、盲導犬や介助犬などのサービスアニマルであっても良い。
【0033】
乗車状態記憶部34は、
図2に示したように、乗降者属性判定部33にて認識された利用者40の乗車状態を記憶するものである。乗車状態記憶部34は、利用者40の乗車状態として、例えば、利用者40の乗車数、または、健常者の利用者41の乗車数や健常者の利用者41以外のロボット同乗禁止者の乗車数などを管理するようになっている。
【0034】
自律走行ロボット乗車可否判定部35は、エレベータ側通信部36を介して、自律走行ロボット3からのロボット用呼び情報4を受信すると、自律走行ロボット3が乗りかご15に乗車することの可否を判定する。判定の結果は乗車可否判定情報5として、エレベータ側通信部36より自律走行ロボット3のロボット側通信部3cへ送信される。自律走行ロボット乗車可否判定部35によって、自律走行ロボット3の乗車が可能と判定された場合には、呼び情報登録部31に自律走行ロボット3のロボット用呼び情報4の登録が行われる。
【0035】
これに対し、自律走行ロボット3は、専用のプログラムにしたがってビル内の清掃や荷物の運搬、ビルの利用者40への道案内などの所定の業務を行うもので、自律走行ロボット制御部3a、駆動部3b、ロボット側通信部3c、および、出力部3dを備えている。
【0036】
自律走行ロボット3は、所定の業務を遂行するために、自律走行ロボット制御部(演算部)3aによって、ビル内の現在位置と目的位置とを認識し、目的位置までの経路を演算する。そして、その演算の結果に基づいて、駆動部3bを制御することにより、目的位置まで自律走行する。
【0037】
なお、自律走行ロボット3は、所定の業務を実行するための制御装置、および、移動時の安全性を確保するためのカメラやセンサなどを備えるが、ここでの詳細な説明は省略する。
【0038】
自律走行ロボット3がエレベータ1を利用する場合、自律走行ロボット制御部3aは、ロボット側通信部3cからロボット用呼び情報4を送信する。この送信に対して、自律走行ロボット3は、エレベータ1のエレベータ側通信部36よりロボット側通信部3cへ送信される乗車可否判定情報5にしたがって、乗りかご15への乗車の可否が制御される。即ち、エレベータ制御部30において、自律走行ロボット乗車可否判定部35が乗車可能と判定し、その乗車可能情報が乗車可否判定情報5として、エレベータ側通信部36よりロボット側通信部3cを介して自律走行ロボット3に送られる。また、呼び情報登録部31に自律走行ロボット3のロボット用呼び情報の登録が行われる。これにより、自律走行ロボット3の乗りかご15への乗車が可能となる。
【0039】
自律走行ロボット3は、エレベータ1の利用時に、例えば同一階床より利用者40の乗車が認められる場合、出力部3dより、当該利用者40に対して優先的に乗車するように促すアナウンス(音声案内)や注意などを出力するようにしても良い。
【0040】
逆に、エレベータ制御部30において、自律走行ロボット乗車可否判定部35が自律走行ロボット3の乗車不可(乗車禁止)と判定したとする。すると、呼び情報登録部31の自律走行ロボット3のロボット用呼び情報がキャンセルされる。そして、その乗車不可情報が乗車可否判定情報5として、エレベータ側通信部36よりロボット側通信部3cを介して自律走行ロボット3に送られる。これにより、自律走行ロボット3は、乗りかご15への乗車が禁止される。つまり、自律走行ロボット3の、エレベータ1の利用が禁止となる。
【0041】
<動作説明>
次に、
図4のフローチャートを参照して、本実施形態に係るエレベータシステムの処理の流れについて説明する。本実施形態は、自律走行ロボット3の同乗可否判定に、ロボット同乗禁止者の乗車の有無を加味するようにした場合の例であって、乗車状態記憶部34において、ロボット同乗禁止者乗車数が管理されるものとして説明する。また、自律走行ロボット乗車可否判定部35には、可否判定の基準となる、ロボット同乗禁止者乗車数の閾値が予め定められているものとする。
【0042】
エレベータ1は、エレベータ制御部30において、カメラ18のカメラ映像を乗降者属性判定部33で画像処理することにより、常時、利用者40の乗降の様子をモニタしている(ステップS1のNO)。乗降を見分ける方法としては、例えば、撮影されたカメラ映像内の利用者40の移動する方向から判断できる。即ち、エレベータ1の利用者40が乗場20a,20b,…,20nから乗りかご15内へ移動した場合には乗車、乗りかご15から乗場20a,20b,…,20nへ移動した場合には降車と判断することができる。
【0043】
乗降ありと判断すると(ステップS1のYES)、乗降者属性判定部33にて、乗降した利用者40の属性判定を行う(ステップS2)。乗降者属性判定部33では、画像解析により、属性抽出画像エリア41aが認定された場合には(ステップS3のNO)、乗降した利用者40は健常者の利用者41であって、自律走行ロボット3の同乗に差し支えないものと判定し、処理を終了する。
【0044】
一方、乗降者属性判定部33にて、利用者40の属性抽出画像エリア42a,43a,44a,45aのいずれかが認定された場合には、自律走行ロボット3との同乗には危険を伴う恐れがあるロボット同乗禁止者と判定する(ステップS3のYES)。利用者40がロボット同乗禁止者と判定すると、当該利用者40が乗車であるのか、降車であるのかを判断する。乗車が判断されると(ステップS4のYES)、ロボット同乗禁止者乗車数を+1する(ステップS6)。
【0045】
反対に、当該利用者40の降車が判断されると(ステップS4のNO)、ロボット同乗禁止者乗車数を−1する(ステップS7)。
【0046】
この状態において、自律走行ロボット3からロボット呼び情報4が送信されると、自律走行ロボット乗車可否判定部35は、ロボット同乗禁止者乗車数が予め定める閾値(所定数)以下であるか否かを判定する。ロボット同乗禁止者が一人でも乗りかご15内に乗車していれば、自律走行ロボット3の同乗を禁止したい場合には閾値を「0」とすれば良い。ただし、数名のロボット同乗禁止者が乗りかご15内に乗車していても、自律走行ロボット3の同乗を許可しても良いとする場合には、閾値を乗りかご15の形状や面積などに応じて任意数に設定すれば良い。
【0047】
自律走行ロボット乗車可否判定部35では、ロボット同乗禁止者乗車数が予め定める閾値以下である場合には(ステップS8のYES)、ロボット同乗禁止者が乗車していないと判断し、ロボット乗車可能状態と判定する(ステップS9)。一方、閾値よりも大きい場合には(ステップS8のNO)、ロボット同乗禁止者が乗車していると判断し、ロボット乗車不可状態と判定する(ステップS10)。そして、処理を終了する。
【0048】
この判定の結果に基づいた乗車可否判定情報5が、エレベータ側通信部36からロボット側通信部3cに送信される。これにより、乗りかご15の形状や面積を考慮しつつ、ロボット同乗禁止者の乗車の有無に応じて、自律走行ロボット3の同乗を制限できる。
【0049】
図5は、自律走行ロボット3が乗りかご15に乗車する際の処理の流れを示すフローチャートである。
【0050】
自律走行ロボット3がビル内の他階床へ移動する場合、自律走行ロボット3は、乗場呼び要求信号としてのロボット用呼び情報4を、ロボット側通信部3cよりエレベータ側通信部36を介して、自律走行ロボット乗車可否判定部35に送信する。通常、乗場呼びは行先方向の情報のみであるが、ロボット用呼び情報4には、行先階のかご呼び情報も付加するようにしている。
【0051】
エレベータ側通信部36が、ロボット用呼び情報4を受信すると(ステップS21のYES)、自律走行ロボット乗車可否判定部35は、上記したステップS9,S10の結果を参照し、ロボット乗車可能状態であるか否かを判定する。ロボット乗車可能状態であれば(ステップS22のYES)、呼び情報登録部31に、ロボット用呼び情報4を登録する。そして、エレベータ側通信部36より、乗車可能の乗車可否判定情報5を送信させる(ステップS23)。
【0052】
ロボット乗車不可状態であれば(ステップS22のNO)、自律走行ロボット乗車可否判定部35は、ロボット用呼び情報4をキャンセルし、エレベータ側通信部36より、乗車可否判定情報5として乗車不可情報を送信させる(ステップS24)。そして、処理を終了する。
【0053】
乗りかご15が自律走行ロボット3の乗車階(乗場呼び階)に向かう途中の階床でロボット同乗禁止者の乗降が発生し、ロボット同乗可否状態が変化する可能性がある。そのため、自律走行ロボット乗車可否判定部35は、乗りかご15が自律走行ロボット3の乗場呼び階に到着したか否かを判断する(ステップS25)。また、自律走行ロボット3が乗りかご15の乗場呼び階への到着を待つ間、自律走行ロボット3の業務優先度が変化するなどの理由で、エレベータ1を利用する必要がなくなる可能性がある。そのため、乗りかご15が乗場呼び階へ到着していなければ(ステップS25のNO)、ステップS21に戻る。そして、自律走行ロボット3からのロボット用呼び情報4がキャンセルになっていれば(ステップS21のNO)、自律走行ロボット乗車可否判定部35は、呼び情報登録部31でのロボット用呼び情報4の登録をキャンセルし(ステップS26)、処理を終了する。
【0054】
乗りかご15が乗場呼び階に到着したら(ステップS25のYES)、自律走行ロボット3は、乗りかご15に乗車する(ステップS27)。そして、処理を終了する。
【0055】
第1実施形態によれば、自律走行ロボット3の乗降時に協力することが難しいロボット同乗禁止者と一緒に、自律走行ロボット3が乗りかご15に同乗するのを制限することができる。したがって、自律走行ロボット3が利用者40と同乗することで発生するロボット同乗禁止者への危険性を未然に抑制でき、ロボット同乗禁止者の安全を確保できるとともに、エレベータ1の運転効率やロボットの業務効率の悪化も防ぐことができる。
【0056】
≪第2実施形態≫
次に、
図6のフローチャートを参照して、本発明の第2実施形態に係るエレベータシステムの処理の流れについて説明する。本実施形態は、
図1および
図2に示した構成のシステムにおいて、自律走行ロボット3の同乗可否判定に、ロボット同乗禁止者の乗車の有無に加え、健常者の乗車数を加味するようにした場合の例である。ここでは、乗車状態記憶部34において、ロボット同乗禁止者乗車数および健常者乗車数が管理されるものとして説明する。また、自律走行ロボット乗車可否判定部35には、可否判定の基準となる、ロボット同乗禁止者乗車数の閾値および健常者乗車数の閾値が予め定められているものとする。
【0057】
エレベータ1は、エレベータ制御部30において、カメラ18のカメラ映像を乗降者属性判定部33で画像処理することにより、常時、利用者40の乗降の様子をモニタしている(ステップS31のNO)。乗降を見分ける方法としては、上述したように、撮影されたカメラ映像内の利用者40の移動する方向から判断できる。
【0058】
乗降ありと判断すると(ステップS31のYES)、乗降者属性判定部33にて、乗降した利用者40の属性判定を行う(ステップS32)。乗降者属性判定部33では、画像解析により、属性抽出画像エリア41aが認定された場合には(ステップS33のYES)、乗降した利用者40は健常者の利用者41であって、自律走行ロボット3の同乗に差し支えないものと判定する。
【0059】
健常者の利用者41と判定すると、当該利用者40が乗車であるのか、降車であるのかを判断する。乗車が判断されると(ステップS34のYES)、健常者乗車数を+1する(ステップS35)。反対に、当該利用者40の降車が判断されると(ステップS34のNO)、健常者乗車数を−1する(ステップS37)。
【0060】
一方、乗降者属性判定部33にて、利用者40の属性抽出画像エリア42a,43a,44a,45aのいずれかが認定された場合には(ステップS33のNO)、自律走行ロボット3との同乗には危険を伴う恐れがあるロボット同乗禁止者と判定する(ステップS38)。利用者40がロボット同乗禁止者と判定すると、当該利用者40が乗車であるのか、降車であるのかを判断する。乗車が判断されると(ステップS39のYES)、ロボット同乗禁止者乗車数を+1する(ステップS40)。
【0061】
反対に、当該利用者40の降車が判断されると(ステップS39のNO)、ロボット同乗禁止者乗車数を−1する(ステップS42)。
【0062】
この状態において、自律走行ロボット3からロボット用呼び情報4が送信されると、自律走行ロボット乗車可否判定部35は、ロボット同乗禁止者乗車数が予め定める閾値(所定数)以下であるか否かを判定する。
【0063】
自律走行ロボット乗車可否判定部35では、ロボット同乗禁止者乗車数が予め定める閾値よりも大きい場合には(ステップS43のNO)、ロボット乗車不可状態と判定する(ステップS45)。そして、処理を終了する。
【0064】
閾値以下の場合には(ステップS43のYES)、さらに、健常者乗車数が予め定める閾値(所定数)以下であるか否かを判定する。自律走行ロボット乗車可否判定部35では、健常者乗車数が予め定める閾値よりも大きい場合には(ステップS44のNO)、ロボット乗車不可状態と判定する(ステップS45)。そして、処理を終了する。
【0065】
健常者乗車数が予め定める閾値以下である場合には(ステップS44のYES)、ロボット乗車可能状態と判定する(ステップS46)。そして、処理を終了する。
【0066】
この判定の結果に基づいた乗車可否判定情報5が、エレベータ側通信部36からロボット側通信部3cに送信される。これにより、乗りかご15の形状や面積を考慮しつつ、健常者およびロボット同乗禁止者の利用者40の乗車数に応じて、自律走行ロボット3の同乗を制限できる。
【0067】
第2実施形態によれば、自律走行ロボット3が健常者やロボット同乗禁止者と同乗するのを制限することができる。したがって、混雑時に自律走行ロボット3が利用者40と同乗することで発生する利用者40への危険性を未然に抑制でき、利用者40の安全を確保できるとともに、エレベータ1の運転効率やロボットの業務効率の悪化も防ぐことができる。
【0068】
≪第3実施形態≫
次に、
図7のフローチャートを参照して、本発明の第3実施形態に係るエレベータシステムの処理の流れについて説明する。本実施形態は、
図1および
図2に示した構成のシステムにおいて、自律走行ロボット3の乗車時に、同一階床より乗車する利用者40が存在する場合の例である。ここでは、呼び情報登録部31にロボット用呼び情報4と利用者乗場呼び情報とが登録されるものとして説明する。
【0069】
エレベータ側通信部36が、ロボット用呼び情報4を受信すると(ステップS51のYES)、自律走行ロボット乗車可否判定部35は、上記したステップS9,S10の結果を参照し、ロボット乗車可能状態であるか否かを判定する(ステップS52)。ロボット乗車不可状態であれば(ステップS52のNO)、自律走行ロボット乗車可否判定部35は、ロボット用呼び情報4をキャンセルし、エレベータ側通信部36より、乗車可否判定情報5として乗車不可情報を送信させる(ステップS54)。そして、処理を終了する。
【0070】
ロボット乗車可能状態であれば(ステップS52のYES)、呼び情報登録部31に、ロボット用呼び情報4と利用者40の乗場呼び情報とを登録する。そして、エレベータ側通信部36より、自律走行ロボット3に、乗車可能の乗車可否判定情報5とともに、利用者40の乗場呼び情報を送信する(ステップS53)。
【0071】
この状態において、自律走行ロボット乗車可否判定部35は、乗りかご15が自律走行ロボット3の乗車階(乗場呼び階)に到着したか否かを判断する。乗りかご15が乗場呼び階へ到着していなければ(ステップS55のNO)、ステップS51に戻る。そして、自律走行ロボット3からのロボット用呼び情報4がキャンセルになっていなければ(ステップS51のYES)、上記ステップS52〜の処理を繰り返す。
【0072】
ロボット用呼び情報4がキャンセルになっていれば(ステップS51のNO)、自律走行ロボット乗車可否判定部35は、呼び情報登録部31でのロボット用呼び情報4の登録をキャンセルし(ステップS56)、処理を終了する。
【0073】
上記ステップS55において、乗りかご15が、自律走行ロボット3の乗場呼び階に到着したら、自律走行ロボット3は、乗りかご15に乗車する際に、例えば、利用者40に対して、出力部3dより所定のメッセージをアナウンスする(ステップS57)。
【0074】
即ち、自律走行ロボット3は、乗車の際、エレベータ側通信部36からの利用者40の乗場呼び情報に基づいて、同一階床より乗車する利用者40が存在するかどうかを判断する。もし、同一階床において、同一方向の、利用者40の乗場呼び情報と自律走行ロボット3のロボット用呼び情報4とが重複する(同時に存在する)場合、利用者40と自律走行ロボット3とが同一階より同じ乗りかご15に乗車することになり、利用者40に危険が及ぶリスクが高くなる。
【0075】
そこで、自律走行ロボット3が乗りかご15に乗車する際には、例えば、「お先に、ご乗車ください」などのメッセージをアナウンスし、同一階床より乗車する利用者40に注意を喚起する。こうして、利用者40が乗車したのを確認した後に、自律走行ロボット3が乗りかご15に乗車することで、利用者40に及ぶ危険のリスクを低減できる。
【0076】
第3実施形態によれば、自律走行ロボット3がロボット同乗禁止者と同乗するのを制限する場合において、自律走行ロボット3と利用者40とが同一階床より乗車する際には、利用者40が乗車した後に自律走行ロボット3が乗車するように案内する。こうすることで、乗車時に利用者40に及ぶ危険のリスクを低減させることが可能となる。
【0077】
≪第4実施形態≫
次に、
図8のフローチャートを参照して、本発明の第4実施形態に係るエレベータシステムの処理の流れについて説明する。本実施形態は、
図1および
図2に示した構成のシステムにおいて、自律走行ロボット3の降車時に乗りかご15内の健常者乗車数またはロボット同乗禁止者乗車数が閾値(所定数)を超えた場合の例である。ここでは、乗車状態記憶部34において、健常者乗車数とロボット同乗禁止者乗車数とが管理されているものとして説明する。
【0078】
即ち、自律走行ロボット3が乗りかご15に乗車中に、健常者乗車数またはロボット同乗禁止者乗車数が予め定める閾値を超えた場合、自律走行ロボット3が行先階(停止階)で降車する際に、利用者40に危険を及ぼすリスクが出てくる。
【0079】
そこで、自律走行ロボット3の降車時または乗りかご15が自律走行ロボット3の行先階に到着した際に(ステップS61のYES)、自律走行ロボット乗車可否判定部35は、乗りかご15に乗車中のロボット同乗禁止者乗車数が閾値を超えているかを判断する。自律走行ロボット乗車可否判定部35では、ロボット同乗禁止者乗車数が閾値よりも大きい場合には(ステップS62のYES)、ロボット降車不可状態と判定する(ステップS64)。そして、呼び情報登録部31でのロボット用呼び情報4の登録をキャンセルし、処理を終了する。
【0080】
乗りかご15に乗車中のロボット同乗禁止者乗車数が閾値以下の場合(ステップS62のNO)、自律走行ロボット乗車可否判定部35は、さらに、健常者乗車数が閾値を超えているか否かを判定する。自律走行ロボット乗車可否判定部35では、健常者乗車数が閾値よりも大きい場合には(ステップS63のYES)、ロボット降車不可状態と判定する(ステップS64)。そして、呼び情報登録部31でのロボット用呼び情報4の登録をキャンセルし、処理を終了する。
【0081】
一方、健常者乗車数が閾値以下の場合には(ステップS63のNO)、自律走行ロボット乗車可否判定部35は、ロボット降車可能状態と判定する(ステップS65)。そして、処理を終了する。
【0082】
ロボット用呼び情報4は、利用者40の乗場呼び情報やかご呼び情報と区別されるため、ロボット用呼び情報4の登録をキャンセルしたとしても、利用者40のかご呼び情報に応じた階床で停止するように、乗りかご15の運転が制御される。したがって、乗りかご15が自律走行ロボット3の行先階で停止したとしても、自律走行ロボット3の降車が制限されることとなり、特に、自律走行ロボット3の行先階と同一階床で降車する利用者40は、危険に晒されることなしに、目的の行先階で確実に降車できる。
【0083】
ロボット用呼び情報4の登録をキャンセルしたことにより降車が制限された自律走行ロボット3は、利用者40を全て降車させた後に、呼び情報登録部31へのロボット用呼び情報4の再登録が行われることにより、目的の行先階での降車が可能となる。
【0084】
第4実施形態によれば、自律走行ロボット3がロボット同乗禁止者と同乗するのを制限する場合において、自律走行ロボット3と利用者40とが同一階床で降車する際には、自律走行ロボット3が降車するのを一時的に制限できるようになる。こうすることで、混雑により降車時に利用者40に及ぶ危険のリスクを低減させることが可能となる。
【0085】
なお、乗りかご15の停止中の降車により、健常者乗車数およびロボット同乗禁止者乗車数が閾値以下となった場合には、自律走行ロボット3を降車させるようにしても良い。
【0086】
≪第5実施形態≫
次に、
図9のフローチャートを参照して、本発明の第5実施形態に係るエレベータシステムの処理の流れについて説明する。本実施形態は、
図1および
図2に示した構成のシステムにおいて、乗りかご15への乗車が制限された自律走行ロボット3の乗車不可状態が所定の条件を超えた場合の例である。ここでは、エレベータ制御部30において、運転時間または運転回数が管理されているものとして説明する。
【0087】
例えば、自律走行ロボット3の利用者40との乗りかご15内への同乗を禁止するようにした場合において、エレベータ制御部30は、ロボット乗車不可状態が継続中かどうかを判断する。ロボット乗車不可状態が継続中の場合(ステップS71のYES)、エレベータ制御部30は、まず、ロボット乗車不可状態が予め定める所定の運転時間を経過したかどうか判断する。所定の運転時間を経過したと判断した場合(ステップS72のYES)、エレベータ制御部30は、自律走行ロボット3の業務効率が悪化するのを防ぐため、エレベータ1の乗りかご15をロボット専用運転に切り変える(ステップS74)。
【0088】
同様に、ロボット乗車不可状態が所定の運転時間を経過していないと判断した場合(ステップS72のNO)において、エレベータ制御部30は、さらに、乗りかご15の往復運転回数が予め定める閾値を超えたかどうかを判断する。往復運転回数が閾値よりも大きい場合(ステップS73のYES)、エレベータ制御部30は、自律走行ロボット3の業務効率が悪化するのを防ぐため、エレベータ1の乗りかご15をロボット専用運転に切り変える(ステップS74)。
【0089】
ロボット専用運転の際には、利用者40による乗場呼び情報の受け付けを休止するとともに、例えば、図示していない乗場インジケータなどを用いて「専用運転中」などを表示させることにより、利用者40に周知させるようにしても良い。
【0090】
なお、ロボット乗車不可状態が継続中でない場合(ステップS71のNO)、および、往復運転回数が閾値以下の場合(ステップS73のNO)には、エレベータ制御部30は、乗りかご15の通常運転を続行する(ステップS75)。そして、処理を終了する。
【0091】
第5実施形態によれば、自律走行ロボット3がロボット同乗禁止者と同乗するのを制限する場合において、利用者40の乗車を一時的に禁止して、エレベータ1の乗りかご15をロボット専用運転状態に切り変えることができるようにしている。これにより、ロボット乗車不可状態が長く続くことによって、自律走行ロボット3の業務効率が悪化するのを防ぐことが可能となる。
【0092】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【解決手段】エレベータ1の乗りかご15内に、利用者とともに、自律走行ロボット3を同乗させることが可能なエレベータシステムであって、乗りかご15内に設けられ、利用者の乗降を撮影するカメラ18と、カメラ18で撮影されたカメラ映像に基づいて、利用者の乗降を認識するとともに、カメラ映像を画像解析し、利用者のうち、自律走行ロボット3との同乗に適さないロボット同乗禁止者を検出する乗降者属性判定部33と、乗降者属性判定部33の結果に基づいて、自律走行ロボット3の同乗の可否を判定する自律走行ロボット乗車可否判定部35と、自律走行ロボット乗車可否判定部35の結果を乗車可否判定情報5として自律走行ロボット3に送信するエレベータ側通信部36と、を備える。