(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6687767
(24)【登録日】2020年4月6日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】製品照合搬送装置および製品照合搬送方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20200421BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B25J13/08 A
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-821(P2019-821)
(22)【出願日】2019年1月7日
【審査請求日】2019年1月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】高木 宏昌
【審査官】
牧 初
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−508055(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0015653(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
B25J 1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面上に載置された製品の三次元位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記取得された三次元位置情報に基づいて生成された前記製品の三次元データと、前記製品の図面番号を示す図面番号情報が対応付けられた前記製品の三次元図面データとを照合して、前記三次元データに合致すると判断された前記三次元図面データに対応する前記図面番号を前記製品に紐づける照合部と、
前記製品に紐づけられた図面番号を前記製品に印字する印字部と、
前記印字された製品を搬送位置まで搬送する搬送部と、を備え、
前記三次元位置情報は、前記製品の点群データである製品照合搬送装置。
【請求項2】
前記搬送部は、前記載置面上と前記搬送位置との間を移動するアームを有する作業機械であり、
前記アームの先端部に、前記位置情報取得部、前記印字部、および前記印字された製品を保持する保持部が設けられている、請求項1に記載の製品照合搬送装置。
【請求項3】
前記位置情報取得部は、前記製品を撮像することで前記三次元位置情報を取得し、前記製品を撮像するときに、複数の撮像位置から前記製品の底面を除く前記製品の全ての面を撮像する、請求項1または2に記載の製品照合搬送装置。
【請求項4】
前記載置面に、互いに異なる形状の複数のマーカが設けられており、
前記位置情報取得部は、前記複数のマーカのうちの少なくとも1つのマーカを前記点群データの三次元位置の基準にして前記点群データを取得する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製品照合搬送装置。
【請求項5】
前記三次元図面データは、更に、前記製品上の前記図面番号の印字範囲を示す印字範囲情報が対応付けられており、
前記印字部は、前記印字範囲情報に示される前記印字範囲に前記図面番号を印字する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製品照合搬送装置。
【請求項6】
載置面上に載置された製品の三次元位置情報を取得する工程と、
前記取得された三次元位置情報に基づいて前記製品の三次元データを生成する工程と、
前記生成された製品の三次元データと、前記製品の図面番号を示す図面番号情報が対応付けられた前記製品の三次元図面データとを照合して、前記三次元データに合致すると判断された前記三次元図面データに対応する前記図面番号を前記製品に紐づける工程と、
前記製品に紐づけられた図面番号を前記製品に印字する工程と、
前記印字された製品を搬送位置まで搬送する工程と、を備え、
前記三次元位置情報は、前記製品の点群データである製品照合搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明による実施形態は、製品照合搬送装置および製品照合搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エレベータのパネルの部品を用いてパネルを組み立てる際には、部品の誤組付けを防止するために、部品を図面と照合したうえで組み立てを行っていた。
【0003】
しかしながら、従来は、部品を図面と照合するために、作業者が実際に図面を確認しなければならず、また、類似形状の複数の部品がある場合には、より高精度な照合を行うために、寸法測定もしなければならない場合があった。
【0004】
このように、従来は、図面の確認や寸法測定をして製品の照合を行っていたので、照合作業に多くの時間と労力を要していた。なお、特許文献1では、設計CADデータと3次元計測装置で計測された3次元CADデータとを比較して、設計値に対する製作構造物の寸法誤差を算出する技術が提案されている。しかるに、特許文献1では、製品の照合作業に多くの時間と労力を要することについて、何ら有効な解決策が提案されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−7485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本実施の形態は、このような点を考慮してなされたものであり、製品の照合に要する時間および労力を削減することができる製品照合搬送装置および製品照合搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態による製品照合搬送装置は、位置情報取得部と、照合部と、印字部と、搬送部とを備える。位置情報取得部は、載置面上に載置された製品の三次元位置情報を取得する。照合部は、取得された三次元位置情報に基づいて生成された製品の三次元データと、製品の図面番号を示す図面番号情報が対応付けられた製品の三次元図面データとを照合して、三次元データに合致すると判断された三次元図面データに対応する図面番号を製品に紐づける。印字部は、製品に紐づけられた図面番号を製品に印字する。搬送部は、印字された製品を搬送位置まで搬送する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態による製品照合搬送装置を示す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態による製品照合搬送装置を示す部分拡大図である。
【
図3】第2の実施形態による製品照合搬送装置を示す斜視図である。
【
図4】第2の実施形態による製品照合搬送装置を示す部分拡大図である。
【
図5】第3の実施形態による製品照合搬送装置を示す斜視図である。
【
図6】第4の実施形態による製品照合搬送装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。また、実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態による製品照合搬送装置について説明する。
図1は、第1の実施形態による製品照合搬送装置100を示す斜視図である。
図2は、第1の実施形態による製品照合搬送装置を示す部分拡大図である。製品照合搬送装置100は、例えば、エレベータのパネルの部品等の製品を、図面番号と照合したうえで搬送位置まで搬送するために用いることができる。
【0011】
図1に示すように、製品照合搬送装置100は、搬送部の一例である作業機械3と、位置情報取得部4と、印字部5と、保持部6と、照合部の一例であるPC(パソコン)8と、を備える。
【0012】
作業機械3は、台座10上に設置され、作業台1の載置面1a上と搬送位置の一例である棚7の載置面7a上との間を移動するアーム31を有する。アーム31は、複数の回転軸32および回転軸32を回転駆動する内蔵モータ(図示せず)によって回転、伸展または屈曲可能に支持されている。作業機械3は、作業台1の載置面1aに載置された製品2を棚7の載置面7aまで搬送可能である。作業機械3は、例えば、PC8またはPC8に接続されたコンピュータによって動作が制御される多関節型のロボットアームで構成されている。作業機械3の更なる詳細については後述する。
【0013】
位置情報取得部4は、作業機械3のアーム31の先端部であるヘッド部31aに設けられている。位置情報取得部4は、三次元位置情報の一例として、作業台1の載置面1a上に載置された製品2の点群データを取得する。位置情報取得部4は、例えば、PC8またはPC8に接続されたコンピュータによって動作が制御されるカメラまたは3Dスキャナで構成されている。作業機械3は、アーム31を移動させることによって、位置情報取得部4が製品2の点群データを取得できる位置まで位置情報取得部4を移動させる。
【0014】
PC8は、有線または無線によってデータ通信可能に位置情報取得部4と接続されている。PC8は、位置情報取得部4で取得された点群データに基づいて生成された製品2の三次元形状を示す三次元データと、製品2の三次元図面を示す三次元図面データとを照合する。
【0015】
三次元図面データおよび三次元データは、例えば、3DCADデータである。三次元図面データは、予め作成されてPC8に保存されている。三次元図面データには、製品2の図面番号を示す予め作成された図面番号情報が対応付けられている。三次元データは、例えば、位置情報取得部4が生成する。三次元データの生成は、点群データから穴の無いメッシュデータ(すなわち、ポリゴンデータ)を作成し、作成されたメッシュデータから面のあるデータを作成し、作成された面のあるデータの面数を削減することで行ってもよい。照合の具体的な手法は特に限定されず、例えば、寸法誤差等に基づいて三次元データに三次元図面データが合致するか否かを判定するための所定の判定基準にしたがって行ってもよい。
【0016】
PC8は、照合によって三次元データに合致すると判断(すなわち、判定)された三次元図面データに対応する図面番号を三次元データに紐づけることで、図面番号を製品2に紐づける。図面番号を三次元データに紐づける具体的な手法は特に限定されず、例えば、図面番号および三次元データの少なくとも一方に両者の対応関係を後述の本体部50側で識別できる情報を付与してもよい。
【0017】
印字部5は、位置情報取得部4とともに作業機械3のアーム31のヘッド部31aに設けられている。印字部5は、製品2に紐づけられた図面番号を製品2に印字する。より詳しくは、
図1および
図2の例において、印字部5は、台座11上に設置された本体部50を有するインクジェットプリンタの印字ヘッドで構成されている。印字部5は、図示しないインクの供給管によって本体部50と接続されている。本体部50は、有線または無線によってデータ通信可能にPC8と接続されている。本体部50は、照合によって製品2に紐づけられた図面番号をPC8から取得し、取得された図面番号を印字部5によって製品2に印字する。作業機械3は、アーム31を移動させることによって、印字部5が製品2に図面番号を印字できる位置まで印字部5を移動させる。作業者は、印字された図面番号に基づいて製品2の照合結果を容易に把握することができる。
【0018】
保持部6は、位置情報取得部4および印字部5とともに作業機械3のアーム31のヘッド部31aに設けられている。保持部6は、印字部5によって図面番号が印字された製品2を保持する。
図1および
図2の例において、保持部6は、人の手の形状を有し、PC8またはPC8に接続されたコンピュータによって動作が制御される多関節型のロボットハンドで構成されている。このような構成の保持部6によれば、製品2を掴むことによって種々の形状の製品2を安定的に保持することができる。作業機械3は、アーム31を移動させることによって、保持部6が製品2を保持できる位置まで保持部6を移動させる。また、作業機械3は、アーム31を移動させることによって、保持部6に保持された製品2を棚7の載置面7aまで搬送する。
【0019】
第1の実施形態による製品照合搬送装置100によれば、位置情報取得部4により、作業台1の載置面1a上に載置された製品2の点群データを取得する工程と、取得された点群データに基づいて製品2の三次元データを生成する工程とを実施することができる。また、PC8により、生成された製品2の三次元データと、図面番号情報が対応付けられた製品2の三次元図面データとを照合して、三次元データに合致すると判断された三次元図面データに対応する図面番号を製品2に紐づける工程を実施することができる。また、印字部5により、製品2に紐づけられた図面番号を製品2に印字する工程を実施することができる。また、作業機械3により、印字された製品2を保持部6に保持した状態で棚7の載置面7aまで搬送する工程を実施することができる。
【0020】
これにより、製品2の照合に要する時間および労力を削減することができる。また、印字された図面番号に基づいて製品2を効率的に管理することができる。
【0021】
また、第1の実施形態による製品照合搬送装置100によれば、位置情報取得部4、印字部5および保持部6が作業機械3のアーム31のヘッド部31aに集約して設けられているため、省スペース化を実現することができる。
【0022】
(第2の実施形態)
次に、複数の撮像位置から製品2を撮像する第2の実施形態について説明する。
図3は、第2の実施形態による製品照合搬送装置100を示す斜視図である。
図4は、第2の実施形態による製品照合搬送装置100を示す部分拡大図である。なお、
図3および
図4では、印字部5および保持部6の図示を省略する。
【0023】
第2の実施形態における位置情報取得部4は、製品2を撮像した撮像画像に基づいて製品2の点群データを取得する。製品2を撮像するときに、位置情報取得部4は、複数の撮像位置から製品2の底面を除く製品2の全ての面を撮像する。作業機械3は、アーム31を移動させることによって、位置情報取得部4による製品2の撮像位置を変更する。
【0024】
例えば、製品2の形状が曲げ、窪み、切欠き等を有しない簡易な形状(例えば、直方体等)である場合、
図3に示すように、位置情報取得部4は、2か所の撮像位置から底面を除く製品2の全ての面を撮像する。一方、製品2の形状が曲げ、窪み、切欠き等を有する複雑な形状である場合、
図4に示すように、位置情報取得部4は、3か所以上の撮像位置から底面を除く製品2の全ての面を撮像する。
【0025】
第2の実施形態によれば、製品2を複数の撮像位置から撮像して正確な点群データを取得することができるので、製品2の照合精度を向上させることができる。
【0026】
(第3の実施形態)
次に、複数のマーカのいずれかを目印として点群データを取得する第3の実施形態について、第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
図5は、第3の実施形態による製品照合搬送装置100を示す斜視図である。
【0027】
図5に示すように、第3の実施形態において、作業台1の載置面1aには、点群データを取得する際の目印として用いられる複数のマーカ13が設けられている。複数のマーカ13は、互いに異なる形状を有する。位置情報取得部4は、複数の撮像位置から製品2を撮像した複数の撮像画像に基づいて点群データを取得する。位置情報取得部4は、複数のマーカ13のうちの製品2とともに撮像される少なくとも1つのマーカ13を点群データの三次元位置(すなわち、XYZ座標)の基準にして点群データを取得する。
【0028】
第3の実施形態によれば、作業台1の載置面1aに点群データの目印となる異なる形状の複数のマーカ13を設けることで、1つのマーカ13が製品2によって位置情報取得部4の死角に位置する場合であっても、他のマーカ13を目印にすることで点群データを適切に取得することができる。
【0029】
(第4の実施形態)
次に、製品2の印字範囲に図面番号を印字する第4の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
図6は、第4の実施形態による製品照合搬送装置100を示す斜視図である。
【0030】
第4の実施形態において、三次元図面データは、図面番号情報に加えて、更に、製品2上の図面番号の印字範囲を示す印字範囲情報が対応付けられている。印字範囲情報は、予め作成されてPC8に保存されている。印字範囲は、例えば、製品2のうち、予め設定された図面番号の文字列の大きさに相当する大きさに亘って、切欠きや孔等の印字の障害となる形状を有しない範囲である。
【0031】
印字部5は、印字範囲情報に示される印字範囲14に図面番号を印字する。作業機械3は、アーム31を移動させることによって、印字範囲14に図面番号を印字できる位置まで印字部5を移動させる。
【0032】
第4の実施形態によれば、印字範囲情報に基づいて適切な印字範囲に図面番号を印字することができるので、図面番号の欠け等の印字不良の発生を防止することができる。
【0033】
本実施形態による製品照合搬送装置100の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、製品照合搬送装置100の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。また、製品照合搬送装置100の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0035】
1a 載置面、2 製品、3 作業機械、4 位置情報取得部、5 印字部、8 PC、100 製品照合搬送装置
【要約】
【課題】製品の照合に要する時間および労力を削減することができる製品照合搬送装置および製品照合搬送方法を提供すること。
【解決手段】載置面上に載置された製品の三次元位置情報を取得する位置情報取得部と、取得された三次元位置情報に基づいて生成された製品の三次元データと、製品の図面番号を示す図面番号情報が対応付けられた製品の三次元図面データとを照合して、三次元データに合致すると判断された三次元図面データに対応する図面番号を製品に紐づける照合部と、製品に紐づけられた図面番号を製品に印字する印字部と、印字された製品を搬送位置まで搬送する搬送部と、を備える。
【選択図】
図1