【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、総務省「電波資源拡大のための研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の具体的な構成例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の状態情報通知システム100のシステム構成を示す概略ブロック図である。状態情報通知システム100は、移動体10、複数の位置情報管理装置20、複数の第一中継装置30、複数のトラヒック制御装置40及び複数の第二中継装置50を備える。移動体10は、無線通信が可能な範囲に位置している第一中継装置30と無線通信を行う。移動体10は、無線通信が可能な範囲に位置している第二中継装置50と無線通信を行う。
【0013】
位置情報管理装置20は、自装置に対応付けられている第一中継装置30と通信可能に接続される。位置情報管理装置20と第一中継装置30とは、ネットワークを介して接続されてもよいし、ケーブル等で直接接続されてもよいし、一体の筐体に実装されてもよい。トラヒック制御装置40は、自装置に対応付けられている第二中継装置50と通信可能に接続される。トラヒック制御装置40と第二中継装置50とは、ネットワークを介して接続されてもよいし、ケーブル等で直接接続されてもよいし、一体の筐体に実装されてもよい。
【0014】
第一中継装置30は、移動体通信網の基地局装置や、LPWA(Low Power, Wide Area)のゲートウェイ装置などの通信装置を用いて構成される。第二中継装置50は、移動体通信網の基地局装置や、LPWAのゲートウェイ装置などの通信装置を用いて構成される。第一中継装置30と第二中継装置50とは異なる方式で通信を行う。例えば、第一中継装置30と第二中継装置50とは、異なる帯域の電波を用いて通信を行ってもよいし、異なるプロトコルを用いて通信を行ってもよい。以下、第一中継装置30は移動体通信網の基地局装置であり、第二中継装置50はLPWAのゲートウェイ装置である構成を例に説明する。
【0015】
移動体10は、存在する位置が変化する装置である。移動体10は、駆動機構を備えており自走することで位置が変化してもよいし、移動する生物又は装置と伴って移動することで位置が変化してもよい。移動体10は、例えば自動車、ロボット、ドローン、電車であってもよい。移動体10は、例えば人間に携帯される携帯電話機やスマートフォンやタブレット装置や装備であってもよいし、動物に装着される携帯電話機やスマートフォンやタブレット装置や装備であってもよい。
【0016】
図2は、移動体10の装置構成例を示す概略ブロック図である。移動体10は、第一通信装置11、第二通信装置12、位置情報取得装置13、駆動装置14、出力装置15、記憶部16及び制御部17を備える。
【0017】
第一通信装置11は、第一通信方法を用いることで第一中継装置30を介し位置情報管理装置20と通信する。本実施形態では、第一通信装置11は移動体通信網の基地局装置である第一中継装置30と無線通信する。
【0018】
第二通信装置12は、第二通信方法を用いることで第二中継装置50を介しトラヒック制御装置40と通信する。本実施形態では、第二通信装置12は移動体通信網の基地局装置である第二中継装置50と無線通信する。
【0019】
位置情報取得装置13は、移動体10の現在位置の位置情報を取得する。位置情報取得装置13は、例えば衛星測位システムや携帯電話網の基地局との通信などによって現在位置の位置情報を取得する。衛星測位システムの具体例として、GPS(Global Positioning System)やGalileo等がある。位置情報取得装置13は、取得した位置情報を制御部17へ出力する。
【0020】
駆動装置14は、移動体10の位置を変化させる。例えば移動体10が自動車である場合には、駆動装置14はエンジンやモーターやタイヤやブレーキやギアー等の装置を含む。例えば移動体10がドローンである場合には、モーターやローター等の装置を含む。なお、移動体10が携帯電話機やスマートフォンやタブレット装置や装備である場合には、移動体10は駆動装置14を備えないように構成されてもよい。
【0021】
出力装置15は、移動体10の周囲に対して情報を出力する装置である。出力装置15は、例えば照明装置、スピーカー、画像表示装置、クラクション等を用いて構成される。例えば移動体10が自動車である場合には、出力装置15はウィンカー、クラクション、ブレーキランプ又はスピーカーを用いて構成されてもよい。
【0022】
記憶部16は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部16は、制御部17が処理を行う際に必要となる情報を記憶する。例えば、記憶部16は、自装置の位置情報を記憶する。記憶部16が記憶する位置情報は、最新の位置情報のみであってもよいし、所定数の過去の情報の履歴であってもよい。記憶部16は、位置情報に加えてさらに運動パラメーターを対応付けて記憶してもよい。
【0023】
制御部17は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーとメモリーとを用いて構成される。制御部17は、プロセッサーがプログラムを実行することによって、位置情報制御部171、通信制御部172及び移動体制御部173として機能する。なお、制御部17の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。上記のプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM、半導体記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。上記のプログラムは、電気通信回線を介して送信されても良い。
【0024】
位置情報制御部171は、位置情報に関する処理を行う。位置情報制御部171は、通信制御部172によって決められた通信条件が満たされると、位置情報取得装置13によって取得された現在の位置情報を含む位置更新情報を、第一通信装置11を介して位置情報管理装置20に送信する。通信条件とは、例えば、位置推定誤差として定められてもよいし、通信周期として定められてもよいし、他の条件として定められてもよい。位置更新情報は、本実施形態における状態情報の具体例の一つである。状態情報とは、移動体10の状態に関する情報である。状態情報の他の例として、移動体10の制御の内容を示す情報や、移動体10の周囲の環境を示す情報などがある。
【0025】
(位置推定誤差)
通信条件が位置推定誤差として定められた場合、位置情報制御部171は以下のように動作する。位置情報制御部171は、特定の位置推定アルゴリズムを用いて、過去に自装置から位置情報管理装置20に送信された1又は複数の位置情報に基づいて、移動体10の現在位置を推定する。この特定の位置推定アルゴリズムは、位置情報管理装置20において適用されている位置推定アルゴリズムと同じであることが望ましい。
【0026】
位置情報制御部171は、現在位置の推定結果と、位置情報取得装置13によって取得される位置情報との差が、位置推定誤差として定義される閾値を超えた場合、位置情報取得装置13によって取得された位置情報を含む位置更新情報を生成する。位置更新情報には、少なくとも移動体10の最新の位置情報と、移動体10を示す識別情報(以下「移動体識別情報」という。)と、が含まれる。位置更新情報には、移動体10の移動に関する情報(以下「運動パラメーター」という。)が含まれてもよい。位置推定誤差がより大きな値になると、位置更新情報の送信間隔が長くなり、位置更新情報に関するトラヒックが削減される。位置推定誤差がより小さな値になると、位置更新情報の送信間隔が短くなり、位置更新情報に関するトラヒックが増加する。
【0027】
(通信周期)
通信条件が通信周期として定められた場合、位置情報制御部171は以下のように動作する。位置情報制御部171は、通信条件として定義された通信周期が到来する度に、位置情報取得装置13によって取得された最新の位置情報を含む位置更新情報を生成し送信する。通信周期がより大きな値になると、位置更新情報の送信間隔が長くなり、位置更新情報に関するトラヒックが削減される。通信周期がより小さな値になると、位置更新情報の送信間隔が短くなり、位置更新情報に関するトラヒックが増加する。
【0028】
通信制御部172は、トラヒック制御装置40から受信するトラヒック制御情報に基づいて、通信条件を判定する。トラヒック制御情報には、例えば領域を示す情報(以下「領域情報」という。)と、各領域における通信条件と、が含まれる。通信制御部172は、所定のタイミング(例えば所定の周期)で通信条件判断処理を実行する。通信条件判断処理では、通信制御部172は、現在の位置情報が、トラヒック制御情報に含まれるどの領域情報の領域内に含まれるか判定する。通信制御部172は、現在の位置情報が含まれる領域情報を判定すると、その領域情報に対応付けられている通信条件を取得する。通信制御部172は、取得された通信条件を、現在の通信条件として位置情報制御部171に出力する。
【0029】
トラヒック制御情報では、例えば以下のように領域情報及び通信条件が定義される。位置情報管理装置20に対する無線通信の輻輳が生じている領域や、このような輻輳が生じやすい領域を示す領域情報には、位置更新情報の送信間隔がより長くなるような通信条件が対応付けられる。上記のような輻輳が生じにくい領域やその他一般の領域を示す領域情報には、位置更新情報の送信間隔がより短くなるような通信条件が対応付けられる。トラヒック制御情報には、有効期間が設定されてもよい。その場合、通信制御部172は、有効期間が経過していないトラヒック制御情報のみに基づいて通信条件を判定する。
【0030】
移動体制御部173は、移動体10の移動に関する処理を行う。移動体制御部173は、例えば不図示のセンサーの出力に基づいて、移動体10の周囲の環境を判定する。移動体制御部173は、移動体10の周囲の環境の判定結果や、位置情報管理装置20から受信する走行経路情報に基づいて、移動体10の今後の移動先や移動速度を決定する。移動体制御部173は、決定された移動先や移動速度や周囲の環境の判定結果に基づいて、駆動装置14及び出力装置15を制御する。例えば、移動体制御部173は、移動体10の走行車線を変更する際には、駆動装置14を制御することによって速度を維持しながら移動先となる車線に変更するようにタイヤの向きを変更し、出力装置15を制御することによって移動先となる車線に応じた向きのウィンカーを点灯させる。
【0031】
図3は、位置情報管理装置20の装置構成例を示す概略ブロック図である。位置情報管理装置20は、通信部21、記憶部22及び制御部23を備える。通信部21は、通信インターフェースを用いて構成される。通信部21は、第一中継装置30を介して移動体10と通信する。通信部21は、自装置が接続されている第一中継装置30と通信可能な移動体10と通信する。記憶部22は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部22は、制御部23が処理を行う際に必要となる情報を記憶する。記憶部22は、例えば、移動体識別情報と、各移動体10の位置情報と、を対応付けて記憶する。移動体識別情報と対応付けて記憶される位置情報は、最新の位置情報のみであってもよいし、所定数の過去の情報の履歴であってもよい。記憶部22は、移動体識別情報及び位置情報に加えてさらに運動パラメーターを対応付けて記憶してもよい。
【0032】
制御部23は、CPU等のプロセッサーとメモリーとを用いて構成される。制御部23は、プロセッサーがプログラムを実行することによって、位置情報制御部231、位置推定部232及び走行経路情報制御部233として機能する。なお、制御部23の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されても良い。上記のプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM、半導体記憶装置(例えばSSD)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。上記のプログラムは、電気通信回線を介して送信されても良い。
【0033】
位置情報制御部231は、移動体10から位置更新情報を受信すると、位置更新情報に含まれる情報を記憶部22に記録する。位置情報制御部231が受信する位置更新情報は、自装置が接続されている第一中継装置30と通信可能な移動体10から送信された情報である。
【0034】
位置推定部232は、所定の周期で、記憶部22に記憶されている位置情報に基づいて、特定の位置推定アルゴリズムを用いて各移動体10の現在位置を推定する。位置推定部232は、推定結果を移動体識別情報と対応付けて記憶部22に記録してもよい。この場合、記憶部22は、各位置情報について、移動体10から受信された位置更新情報に含まれていた位置情報であるのか、位置推定部232によって推定された位置情報であるのか、を識別可能に記憶してもよい。位置推定部232に適用される位置推定アルゴリズムでは、位置更新情報に含まれていた位置情報のみを用いて位置が推定されてもよい。この場合、移動体10の位置情報制御部171も位置情報取得装置13によって取得された位置情報のみを用いて位置を推定する。
【0035】
走行経路情報制御部233は、記憶部22に記憶されている各移動体10の位置情報に基づいて、各移動体10の走行経路を判定する。走行経路情報制御部233は、判定結果の走行経路を示す走行経路情報を生成する。走行経路情報制御部233は、各移動体10の走行経路情報を、各移動体10に送信する。走行経路情報制御部233に適用されるアルゴリズムはどのようなアルゴリズムであってもよい。
【0036】
図4は、トラヒック制御装置40の装置構成例を示す概略ブロック図である。トラヒック制御装置40は、通信部41、記憶部42及び制御部43を備える。通信部41は、通信インターフェースを用いて構成される。通信部41は、第二中継装置50を介して移動体10と通信する。通信部41は、自装置が接続されている第二中継装置50と通信可能な移動体10と通信する。記憶部42は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部42は、制御部43が処理を行う際に必要となる情報を記憶する。記憶部42は、例えば、領域情報と通信条件とを対応付けて記憶する。記憶部42は、予め定義された領域情報と通信条件との組み合わせを固定値として記憶してもよい。記憶部42が記憶する領域情報及び通信条件は、自装置が処理の対象としている領域に関する情報である。
【0037】
制御部43は、CPU等のプロセッサーとメモリーとを用いて構成される。制御部43は、プロセッサーがプログラムを実行することによって、制御情報配信部431として機能する。なお、制御部43の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されても良い。上記のプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM、半導体記憶装置(例えばSSD)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。上記のプログラムは、電気通信回線を介して送信されても良い。
【0038】
制御情報配信部431は、領域情報と通信条件との組み合わせを含むトラヒック制御情報を、通信部41を介して移動体10に対し配信する。制御情報配信部431は、例えばトラヒック制御情報をブロードキャストしてもよい。
【0039】
図5は、領域情報と通信条件との組み合わせの概略を示す図である。
図5において、移動体10は円で示されている。
図5において、領域91には、移動体10が集中して存在している。一方、領域92(領域91を除く他の領域)には、移動体10が存在しているものの、領域91に比べれば集中してはいない。領域91では、移動体10の密度が所定の閾値よりも高くなっている。領域92では、移動体10の密度が所定の閾値よりも低い。
【0040】
このような領域91においては、移動体10の無線通信が輻輳する可能性がある。このような領域91を以下の説明では「輻輳領域」といい、領域92を以下の説明では「通常領域」という。輻輳領域91では、より大きな通信周期となるように通信条件が設定される。通常領域92では、輻輳領域91に比べて小さな通信周期となるように通信条件が設定される。輻輳領域91の位置は、統計などに基づいて予め固定的に決定されていてもよい。
【0041】
図6は、トラヒック制御情報に関する処理の流れの具体例を示すシーケンスチャートである。トラヒック制御装置40の制御情報配信部431は、トラヒック制御情報を配信する(ステップS101)。トラヒック制御情報を受信した移動体10の通信制御部172は、受信されたトラヒック制御情報を記憶部16に記録する(ステップS102)。通信制御部172は、所定のタイミングが到来する度に、記憶部16に記録されている最新のトラヒック制御情報の領域情報と、位置情報取得装置13によって取得された最新の位置情報とに基づいて、移動体10が位置する領域を含む領域情報を判定する(ステップS103)。通信制御部172は、判定された領域情報に対応付けられている通信条件を取得する(ステップS104)。そして、通信制御部172は、取得された通信条件を、現在の通信条件として位置情報制御部171に出力する。
【0042】
図7は、位置情報に関する処理の流れの具体例を示すシーケンスチャートである。移動体10の位置情報制御部171は、通信条件が満たされるまでは位置情報の送信を待機する(ステップS201−NO)。ステップS201における通信条件とは、
図6のステップS104で取得された通信条件である。通信条件が満たされると(ステップS201−YES)、位置情報制御部171は、位置情報取得装置13によって取得された現在の位置情報を取得する(ステップS202)。位置情報制御部171は、取得された位置情報を含む位置更新情報を生成する。そして、位置情報制御部171は、位置情報管理装置20に位置更新情報を送信する(ステップS203)。位置情報管理装置20の位置情報制御部231は、位置更新情報を受信すると、位置更新情報に含まれる位置情報を記憶部22に記録する(ステップS204)。
【0043】
図8は、走行経路情報に関する処理の流れの具体例を示すシーケンスチャートである。位置情報管理装置20の走行経路情報制御部233は、記憶部22に記憶されている各移動体10の最新の位置情報に基づいて、各移動体10の走行経路情報を生成する。そして、走行経路情報制御部233は、生成された走行経路情報を各移動体10に対して送信する(ステップS301)。移動体10の移動体制御部173は、走行経路情報を受信すると、受信された走行経路情報を記憶部16に記録する(ステップS302)。移動体制御部173は、記憶部16に記憶されている最新の走行経路情報に基づいて駆動装置14及び出力装置15を制御することによって移動体10を制御する(ステップS303)。
【0044】
このように構成された状態情報通知システム100では、位置更新情報(状態情報)が移動体10から位置情報管理装置20(上位装置)へ送信される際に、輻輳が生じてしまう可能性を低減することが可能となる。すなわち、輻輳が生じやすい領域においては位置更新情報の送信間隔が長くなるように通信条件が設定される。移動体10は、このような通信条件にしたがって位置更新情報を送信する。そのため、輻輳が生じやすい領域において輻輳が生じてしまうことを抑制し、多少は送信間隔が長くなったとしても、輻輳が生じた場合ほど上位装置に位置更新情報が到達しなくなってしまうことを防止できる。その結果、輻輳が生じている場合に比べて上位装置が取得する位置情報(状態情報)の精度が低下してしまうことを防止できる。
【0045】
また、このように構成された状態情報通知システム100では、位置情報(状態情報)を送信するための通信と、トラヒック制御情報を送信するための通信とは、それぞれ異なる方式で行われる。そのため、トラヒック制御情報の通信によって位置情報(状態情報)の通信に悪影響(例えば輻輳)が生じてしまうことを防止できる。
【0046】
〔変形例〕
図9は、トラヒック制御装置の変形例(トラヒック制御装置40a)の装置構成例を示す概略ブロック図である。トラヒック制御装置40aは、制御部43aがトラヒック制御部432としてさらに機能する点で上述した説明の構成と異なる。以下、トラヒック制御部432について説明する。
【0047】
トラヒック制御部432は、記憶部42に記憶されている領域情報及び通信条件の組み合わせの情報を所定のタイミングで更新する。更新処理の具体例として、2つの処理を説明する。
【0048】
(第1処理例)
トラヒック制御部432は、自装置(トラヒック制御装置40a)が処理の対象としている領域における各移動体10の位置情報を、位置情報管理装置20から取得する。トラヒック制御部432は、取得された各移動体10の位置情報に基づいて移動体10の密度が所定の閾値よりも高い領域を判定する。この閾値は、
図5における輻輳領域91に関する所定の閾値である。そして、トラヒック制御部432は、その領域を示す領域情報に対し、閾値に応じた通信条件を対応付けて記憶部22に登録する。このように登録された領域情報と通信条件とを組み合わせたトラヒック制御情報が制御情報配信部431によって各移動体10に配信される。
【0049】
(第2処理例)
トラヒック制御部432は、他の装置から所定のタイミングで領域情報及び通信条件の組み合わせに関する情報を受信してもよい。この場合、トラヒック制御部432は、受信された領域情報及び通信条件の組み合わせに関する情報を、記憶部42に記録する。このように登録された領域情報と通信条件とを組み合わせたトラヒック制御情報が制御情報配信部431によって各移動体10に配信される。なお、上述した他の装置は、例えば、第1処理例に記載したような処理によって、領域情報及び通信条件を組み合わせた情報を所定のタイミングで生成し送信してもよい。
【0050】
以上でトラヒック制御装置40aの説明を終える。このように構成されたトラヒック制御装置40aを備えた状態情報通知システム100では、領域情報及び通信条件の組み合わせが動的に変更される。そのため、よりその時点の状況に応じた領域情報及び通信条件の組み合わせが定義される。したがって、位置更新情報(状態情報)が移動体10から位置情報管理装置20(上位装置)へ送信される際に、輻輳が生じてしまう可能性を低減することが可能となる。
【0051】
図10は、領域情報と通信条件との組み合わせの変形例を示す図である。
図10において、移動体10は円で示されている。
図10において、輻輳領域91a及び輻輳領域91bには通常領域92に比べて移動体10が集中して存在している。また、輻輳領域91aには、輻輳領域91bよりもさらに移動体が集中して存在している。一方、通常領域92には、移動体10が存在しているものの、輻輳領域91a及び輻輳領域91bに比べれば集中してはいない。
【0052】
輻輳領域91aでは、移動体10の密度が所定の第1閾値よりも高くなっている。輻輳領域91bでは、移動体10の密度が所定の第1閾値以下であり、所定の第2閾値よりも高くなっている。通常領域92では、移動体10の密度が所定の第2閾値よりも低い。このような輻輳領域91a及び輻輳領域91bにおいては、移動体10の無線通信が輻輳する可能性がある。輻輳領域91aでは、輻輳領域91bよりもさらに大きな通信周期となるように通信条件が設定される。輻輳領域91bでは、輻輳領域91aよりも小さく、通常領域92よりも大きな通信周期となるように通信条件が設定される。通常領域92では、輻輳領域91a及び輻輳領域91bに比べて小さな通信周期となるように通信条件が設定される。
【0053】
輻輳領域91a及び輻輳領域91bの位置は、統計などに基づいて予め固定的に決定されていてもよい。輻輳領域91a及び輻輳領域91bの位置は、上述した第1処理例に示される処理によって動的に判定されてもよい。
図10の例では、2種類の輻輳領域91(91a及び91b)が示されたが、閾値の違いによって3種類以上の輻輳領域91が定義されてもよい。
【0054】
上述した説明や
図2では、移動体10は一つの筐体の装置として構成されたものとして説明されている。ただし、移動体10は複数の筐体の装置として構成されてもよい。例えば、第一通信装置11と、移動体10の他の構成と、はそれぞれ異なる筐体の装置として構成されてもよい。この場合、例えば第一通信装置11は、スマートフォンやモバイルWiFi等の通信装置を用いて構成されてもよい。この場合、第一通信装置11と制御部17とは、無線通信や有線通信で接続されてもよい。
【0055】
上述した説明では、トラヒック制御装置40の制御情報配信部431は、領域情報と通信条件とを対応付けて移動体10に送信する。しかしながら、トラヒック制御装置40の制御情報配信部431は、通信条件を含めずに領域情報を移動体10に送信してもよい。この場合、領域情報が受信された場合にはその領域情報が示す領域内において定義された通信条件が予め移動体10の記憶部16に記憶されていてもよい。この場合、通信制御部172は、受信された領域情報が示す領域内と、その領域外とで、それぞれに予め定義されて記憶部16に記憶されている通信条件で通信を行うように位置情報制御部171を制御してもよい。通信制御部172は、自装置(移動体10)が複数の領域情報に含まれていると判定された場合、各領域情報に対応する通信条件の中から最も小さい通信周期の通信条件を使用すると決定してもよい。
【0056】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【解決手段】トラヒック制御装置と移動体とを含む通知システムであって、前記トラヒック制御装置は、領域を示す領域情報を移動体に送信する制御部を備え、前記移動体は、自装置の状態に関する情報である状態情報を他の装置に送信する情報制御部と、前記領域情報を受信し、受信された前記領域情報が示す領域の内側と外側とで異なる通信周期を示す通信条件を判定する通信制御部と、を備え、前記情報制御部は、前記通信制御部によって判定された通信条件で前記状態情報を送信する、通知システムである。