特許第6687785号(P6687785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6687785ガイドレール移動装置、ガイドレール移動システム、およびガイドレール移動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6687785
(24)【登録日】2020年4月6日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】ガイドレール移動装置、ガイドレール移動システム、およびガイドレール移動方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/00 20060101AFI20200421BHJP
【FI】
   B66B7/00 M
   B66B7/00 K
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-84506(P2019-84506)
(22)【出願日】2019年4月25日
【審査請求日】2019年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後呂 成彦
【審査官】 有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−008273(JP,U)
【文献】 特開昭61−037679(JP,A)
【文献】 特開平07−157233(JP,A)
【文献】 特開昭50−124339(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0311659(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00─ 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びたガイドレールの上方に位置された建物構造物上を上下方向と直交した第一方向に移動するベースと、
上下方向に移動可能に前記ベースに支持された可動部材と、
前記ベースに設けられ前記可動部材を上下方向に動かすリフタと、
前記可動部材から下方に延び前記建物構造物に設けられた開口を貫通して前記ガイドレールに接続される垂下部材と、
を備えた、ガイドレール移動装置。
【請求項2】
前記ベースは、前記第一方向に向けて転動可能なローラを有した、請求項1に記載のガイドレール移動装置。
【請求項3】
前記ベースは、前記建物構造物との間に介在した摺動部材上を摺動することにより前記第一方向に移動する、請求項1に記載のガイドレール移動装置。
【請求項4】
前記建物構造物は、機械室の床およびマシンビームのうち少なくとも一方である、請求項1〜3のうちいずれか一つに記載のガイドレール移動装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか一つに記載のガイドレール移動装置であって、前記垂下部材が前記ガイドレールの上部に接続された、ガイドレール移動装置と、
前記ガイドレールの下部を支持し、ピット上を前記第一方向に移動する補助移動装置と、
を備えた、ガイドレール移動システム。
【請求項6】
請求項1〜4のうちいずれか一つに記載のガイドレール移動装置を用いてガイドレールを移動するガイドレール移動方法であって、
前記建物構造物に開口を設ける第一ステップと、
前記開口を前記垂下部材が貫通しかつ前記ベースが前記建物構造物上に載置された状態で前記ガイドレール移動装置をセットする第二ステップと、
前記垂下部材を前記ガイドレールに結合する第三ステップと、
前記リフタによって前記可動部材を上方へ動かすことにより建物から外された前記ガイドレールを上方へ移動させる第四ステップと、
前記ベースを前記第一方向に移動させることにより前記垂下部材を前記開口内で前記第一方向に移動させ前記ガイドレールを前記第一方向に移動させる第五ステップと、
前記リフタによって前記可動部材を下方へ動かすことにより前記ガイドレールを下方へ移動させる第六ステップと、
を備えた、ガイドレール移動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、ガイドレール移動装置、ガイドレール移動システム、およびガイドレール移動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータのかごを上下方向に案内するガイドレールは、建物にレールブラケットを介して取り付けられている(特許文献1)。設置後にかごの出入口に対する前後方向(かごの奥行き方向)のサイズを変更しようとする場合、かごの重心位置が前後方向に変化し、これに合わせて、ガイドレールを前後方向にずらす必要が生じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−133883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ガイドレールは上下方向に長い部材であるため、レールブラケットからガイドレールを取り外して別の位置に移設する作業は、相応の手間がかかる。そこで、ガイドレールの移動に関して、例えば、より手間を減らすことができるような、より改善された新規な装置、システム、あるいは方法が得られれば、有益である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のガイドレール移動装置は、ベースと、可動部材と、リフタと、垂下部材と、を備える。ベースは、上下方向に延びたガイドレールの上方に位置された建物構造物上を上下方向と直交した第一方向に移動する。可動部材は、上下方向に移動可能にベースに支持される。リフタは、ベースに設けられ可動部材を上下方向に動かす。垂下部材は、可動部材から下方に延び建物構造物に設けられた開口を貫通してガイドレールに接続される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態のガイドレール移動装置の模式的かつ例示的な正面図であって、ガイドレール移動装置をセットした状態を示す図である。
図2図2は、第1実施形態のガイドレール移動装置の模式的かつ例示的な側面図であって、ガイドレール移動装置をセットした状態を示す図である。
図3図3は、第1実施形態のガイドレール移動装置の模式的かつ例示的な正面図であって、ガイドレール移動装置がガイドレールを上方へ移動させた状態を示す図である。
図4図4は、第1実施形態のガイドレール移動装置の模式的かつ例示的な正面図であって、ガイドレール移動装置が上方へ移動させたガイドレールを前方へ移動させた状態を示す図である。
図5図5は、第1実施形態のガイドレール移動装置によるガイドレールの移設作業の手順を示す例示的なフローチャートである。
図6図6は、第2実施形態のガイドレール移動装置の模式的かつ例示的な正面図である。
図7図7は、第2実施形態のガイドレール移動装置の模式的かつ例示的な側面図である。
図8図8は、第3実施形態のガイドレール移動システムの補助移動装置の模式的かつ例示的な正面図である。
図9図9は、第3実施形態のガイドレール移動システムの補助移動装置の模式的かつ例示的な側面図である。
図10図10は、第4実施形態のガイドレール移動装置の模式的かつ例示的な側面図である。
図11図11は、実施形態の変形例のガイドレール移動装置の模式的かつ例示的な正面図である。
図12図12は、第5実施形態のガイドレール移動装置の模式的かつ例示的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0008】
以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、各実施形態によれば、同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。なお、同様の構成要素には共通の符号が付与され、重複する説明が省略される場合がある。
【0009】
また、各図中、矢印Zは、上方(方向Z)を示す。矢印Xは、かごまたは乗場の出入口を乗場(不図示)から見た場合の前方(方向X)を示し、以下、方向Xを前方と称し、方向Xの反対方向を後方と称する。また、矢印Yは、出入口を乗場から見た場合の右方(方向Y)を示し、以下単に方向Yを右方と称し、方向Yの反対方向を左方と称する。方向Zは、上下方向(鉛直方向)に沿っており、方向Xおよび方向Yは、水平方向に沿っている。方向X、方向Y、および方向Zは、互いに直交している。
【0010】
[第1実施形態]
図1,3は、ガイドレール移動装置10の正面図であり、図2,4は、ガイドレール移動装置10の側面図であり、図1,2は、ジャッキ13の短縮状態を示し、図3,4は、ジャッキ13の伸長状態を示している。また、図1,2は、ガイドレール移動装置10がセットされた状態を示し、図4は、図1〜3に対してガイドレール移動装置10がガイドレール4を前方に移動した状態を示している。
【0011】
図1,2に示されるように、エレベータの昇降路H内には、かご(不図示)を案内する一対のガイドレール4が、レールブラケット5を介して建物の壁1に取り付けられている。一対のガイドレール4は、左右方向に並び、それぞれ上下方向(鉛直方向)に延びている。ガイドレール4は、レールブラケット5に、ボルト5aによって取り付けられている。
【0012】
昇降路Hの上方には、機械室のフロア2が水平方向(前後方向および左右方向)に延びるとともに、前後方向に延びるマシンビーム3が設けられている。本実施形態では、図1において、左側のマシンビーム3は、左側の壁1から右にずれて位置され、右側のマシンビーム3は、右側の壁1から左にずれて位置されている。フロア2およびマシンビーム3は、建物構造物の一例である。
【0013】
フロア2には、当該フロア2を上下方向に貫通する穴2aおよび二つの穴2bが設けられている。穴2aは、かごを吊り下げるロープが通る穴である。また、二つの穴2bは、左右方向に並んでいる。左側の穴2bは、左側の壁1と左側のガイドレール4との間であり、かつ左側の壁1と左側のマシンビーム3との間に設けられている。また、右側の穴2bは、右側の壁1と右側のガイドレール4との間であり、かつ右側の壁1と右側のマシンビーム3との間に設けられている。穴2bは、開口の一例である。なお、穴2bは、一例として、ガイドレール4の移設作業の当初の工程において、穴2aとともに設けられる。また、図2に示されるように、穴2bは、前後方向に延びている。
【0014】
ガイドレール移動装置10は、ベース11、ビーム12、ジャッキ13、およびコラム14を備えている。
【0015】
ベース11は、二つのマシンビーム3上を架け渡されるように左右方向に延びている。ベース11の両端は、それぞれ、ローラ15を介してマシンビーム3上に支持されている。ローラ15は、マシンビーム3の前後方向に延びる天面上を、当該前後方向に転動することができる。なお、前後方向は、図1では紙面と直交する方向、図2では左右方向である。ベース11は、マシンビーム3上に、ローラ15を介して、前後方向に移動可能に支持されている。前後方向は、第一方向の一例である。ローラ15は、ホイールとも称されうる。
【0016】
また、ベース11には、当該ベース11から下方に突出してマシンビーム3と隣接した、言い換えるとマシンビーム3と隙間をあけて面したガイド11aが設けられている。ガイド11aは、マシンビーム3に対してベース11がずれるのを抑制している。ガイド11aは、位置決め部材とも称されうる。
【0017】
ビーム12は、ベース11から上方に離間して設けられており、左右方向に延びている。ビーム12の左右の端部12aは、それぞれ、穴2bの上方に位置されている。
【0018】
図2に示されるように、ガイドレール移動装置10は、ベース11、ビーム12、ジャッキ13、およびローラ15を、前後に2セット有している。
【0019】
図1に示されるように、ビーム12の左右の端部12aには、それぞれコラム14が設けられている。また、図2に示されるように、コラム14は、前後二つのビーム12間に挟まれた状態で固定されている。図1,2に示されるように、コラム14は、端部12aから下方に延び、フロア2に設けられた穴2bを貫通している。そして、コラム14の下端14aは、ガイドレール4の上端4aと壁1との間に位置され、当該下端14aは、ボルト16を介してガイドレール4の上端4aと結合されている。上端4aは、上部の一例である。コラム14は、垂下部材の一例であり、吊下部材とも称されうる。また、ボルト16は、結合部材とも称されうる。
【0020】
ベース11とビーム12との間には、ジャッキ13が設けられている。ジャッキ13は、上下方向に縮まった短縮状態と上下方向に延びた伸長状態とを切り替えることができる。図3,4に示されるように、ボルト5a(図3,4には無い、図1,2参照)が取り外され、ガイドレール4とレールブラケット5との結合が解除された状態で、ジャッキ13が伸長すると、ベース11に対してビーム12が上方に移動し、これに伴い、ビーム12に固定されたコラム14および当該コラム14に固定されたガイドレール4が、上方に移動する。他方、図3,4に示される状態からジャッキ13が短縮すると、ベース11に対してビーム12が下方に移動し、これに伴い、ビーム12に固定されたコラム14および当該コラム14に固定されたガイドレール4が、下方に移動する。このように、ジャッキ13は、ベース11に対してビーム12を上方に移動することができる。ジャッキ13は、リフタの一例であり、ベース11は、可動部材の一例である。
【0021】
図2,4を比較すれば明らかとなるように、ローラ15が転動することにより、前後方向に延びた穴2bをコラム14が移動できる範囲で、ベース11、ガイドレール移動装置10、ひいてはガイドレール移動装置10にボルト16を介して結合されたガイドレール4は、前後方向に移動することができる。穴2bは、ガイドレール4の移動範囲に応じて設けられる。
【0022】
図3,4の状態において、ベース11とビーム12との間には、スペーサ17が介在している。スペーサ17は、ベース11に対してビーム12の位置を保持している。スペーサ17は、保持部材や固定部材とも称されうる。
【0023】
図5は、ガイドレール4の移設作業の手順を示している。作業者は、まず、フロア2に穴2bを設ける(S10)。S10において、作業者は、例えば、穴2bを、移動するコラム14と干渉しないスペックとなるように設ける。S10は、第一ステップの一例である。
【0024】
次に、作業者は、ガイドレール移動装置10を、図1,2に示される状態にセットする(S11)。S11において、作業者は、例えば、コラム14が穴2bを貫通し、かつベース11がローラ15を介してマシンビーム3上に載置された状態に、ガイドレール移動装置10を組み立てる。S11は、第二ステップの一例である。
【0025】
次に、作業者は、コラム14(垂下部材)をガイドレール4に結合する(S12)。S12は、第三ステップの一例である。
【0026】
次に、作業者は、ボルト5aによるガイドレール4とレールブラケット5との結合を解除することにより、ガイドレール4をレールブラケット5から取り外す(S13)。
【0027】
次に、作業者は、図3に示されるように、ジャッキ13を伸長状態にして、ビーム12をベース11に対して上方に移動させる。すなわち、ジャッキアップを実行する(S14)。S14により、ベース11に対して、ビーム12、コラム14、およびガイドレール4が、上方へ移動する。これにより、図示しないが、ガイドレール4の下端がピット内の他の構造物等と干渉するのを抑制することができる。S14は、第四ステップの一例である。作業者は、このS14の後に、ベース11とビーム12との間にスペーサ17を介在させることができる。
【0028】
次に、作業者は、図4に示されるように、ローラ15をマシンビーム3の天面上で前方に向けて転動させることにより、ベース11、ガイドレール移動装置10、ひいてはガイドレール移動装置10に結合されたガイドレール4を、前方へ移動させる(S15)。S15は、第五ステップの一例である。
【0029】
次に、作業者は、ガイドレール4が新たな移設位置まで移動した時点で、ジャッキ13を短縮状態にして、ビーム12をベース11に対して下方に移動させる。すなわち、ジャッキダウンを実行する(S16)。S16により、ベース11に対して、ビーム12、コラム14、およびガイドレール4が、下方へ移動する。なお、S14において、ベース11とビーム12との間にスペーサ17を介在させた場合、作業者は、S16の実行前に、当該スペーサ17を取り外しておく。S16は、第六ステップの一例である。
【0030】
次に、作業者は、ガイドレール4を、例えばボルトを介して、新たな移設位置に設けられているレールブラケットに取り付ける(S17)。
【0031】
以上、説明したように、本実施形態では、ガイドレール移動装置10は、ガイドレール4の上方のマシンビーム3(建物構造物)上に設けられたベース11、ビーム12(可動部材)、およびジャッキ13(リフタ)と、ビーム12に固定されフロア2(建物構造物)に設けられた穴2bを貫通しガイドレール4に結合されたコラム14(垂下部材)と、を有している。このような構成によれば、例えば、作業者は、ガイドレール4を取り外してガイドレール移動装置10を用いずに運搬する場合や、古いガイドレール4を除去して別の場所に新しいガイドレール4を取り付けるような場合と比較して、ガイドレール移動装置10を用いてガイドレール4を比較的容易に移動することができる。言い換えると、ガイドレール移動装置10は、作業者によるガイドレール4の移動作業の手間を減らすことができる。
【0032】
また、本実施形態では、ガイドレール移動装置10は、マシンビーム3上を前後方向(第一方向)に移動可能なローラ15を有している。このような構成によれば、例えば、作業者は、ベース11、ガイドレール移動装置10、ひいてはガイドレール4を、比較的容易に前後方向に移動することができる。
【0033】
また、本実施形態では、ガイドレール移動装置10は、既設のフロア2またはマシンビーム3(建物構造物)上を、前後方向に移動する。このような構成によれば、例えば、ガイドレール4の上方に位置されるフロア2およびマシンビーム3とは別にガイドレール移動装置10の移動経路を設ける場合に比べて、作業者によるガイドレール4の移動作業の手間をより一層減らすことができる。
【0034】
[第2実施形態]
図6は、本実施形態のガイドレール移動装置10Aの正面図、図7は、ガイドレール移動装置10Aの側面図である。本実施形態では、ガイドレール移動装置10Aは、ガイドレール4を一本ずつ前後方向に移動させることができる。このため、ガイドレール移動装置10Aは、マシンビーム3の天面上を転動するローラ15の他、フロア2上を転動するローラ15Aを有しており、ローラ15とローラ15Aとの間からコラム14が下方に延びて穴2bを貫通し、図示しないが当該コラム14の下端14aがガイドレール4とボルト16によって結合されている。二つのローラ15,15Aは、左右方向に並ぶとともに、コラム14に対して左右両側に位置されている。
【0035】
このような構成によれば、二つのローラ15,15Aによって姿勢が安定したガイドレール移動装置10Aにより、ガイドレール4を一本ずつ前後方向に移動させることができる。
【0036】
[第3実施形態]
図8は、ガイドレール移動システム100に含まれる補助移動装置20の正面図であり、図9は、ガイドレール移動システム100に含まれる補助移動装置20の側面図である。補助移動装置20は、ガイドレール4の下端4bを支持して移動させる。補助移動装置20は、下側装置とも称されうる。ガイドレール移動システム100は、補助移動装置20とともに、ガイドレール移動装置10,10Aのような、ガイドレール4の上端4aを支持して移動させる上側装置を有している。下端4bは、下部の一例であり、上端4aは、上部の一例である。なお、下部は、上部よりも下の部位であればよく、上部は、下部よりも上の部位であればよい。よって、上部は上端4aには限定されないし、下部は下端4bには限定されない。
【0037】
補助移動装置20は、一対のガイドレール4の下端4bを保持し、ピット6に沿って前後方向に移動することができる。補助移動装置20は、台車21と、二つのローラ22とを有している。台車21は、二つの縦部材21a、二つの横部材21b、および二つの取付部材21cを有している。
【0038】
縦部材21aは、上下方向に延びている。台車21は、左右方向に並んだ二つの縦部材21aを有している。横部材21bは、左右方向に延びており、上下方向に互いに離間している。横部材21bは、二つの縦部材21a間に架け渡されている。すなわち、二つの縦部材21aと二つの横部材21bとによって、四角形状あるいは梯子状のフレームが構成されている。取付部材21cは、縦部材21aのそれぞれに固定され、前後方向に延びている。右側の取付部材21cは、右側のガイドレール4と結合され、左側の取付部材21cは、左側のガイドレール4と結合されている。取付部材21cは、それぞれ、対応するガイドレール4の左または右に隣接し、レールクリップ21dを介してガイドレール4と結合されている。レールクリップ21dは、結合部材とも称されうる。また、図9に示されるように、縦部材21aの下端は、左右方向に見てL字状の形状を有している。ローラ22は、縦部材21aの下端の前後方向に延びる底壁に取り付けられている。ローラ22は、ピット6上を前後方向に転動することができる。
【0039】
作業員は、ジャッキ13(リフタ)によりガイドレール4が上方へ移動した状態で、補助移動装置20をガイドレール4の下端4bに取り付ける。
【0040】
このような構成によれば、ガイドレール4の下端4b(下部)の位置や姿勢がより安定し、作業者は、ガイドレール4をよりスムーズに移動させることができる。
【0041】
また、本実施形態では、フレーム状の部位を有した一つの補助移動装置20により、二つのガイドレール4の下端4bを支持することができる。このような構成によれば、二つのガイドレール4の姿勢がより一層安定し、作業者は、ガイドレール4をより一層スムーズに移動させることができる。
【0042】
[第4実施形態]
図10は、本実施形態のガイドレール移動装置10Bの正面図である。ガイドレール移動装置10Bは、ローラ15,15Aを有していない。ローラ15,15Aに代わり、ベース11とフロア2との間には、シート状の摺動部材18が介在している。摺動部材18は、例えば、フッ素系合成樹脂材料のような、比較的滑りやすい材料で作られている。
【0043】
このような構成によれば、例えば、ベース11がフロア2上を摺動する構造を、より簡素な構造として実現することができる。
【0044】
[変形例]
図11は、上記第1〜第4実施形態のガイドレール移動装置10,10A,10Bの変形例におけるガイドレール4とコラム14とを結合するレールクリップ16Aを示す正面図である。図11に示されるように、ガイドレール4とコラム14とは、ボルト16に替えて、レールクリップ16Aによって結合されてもよい。レールクリップ16Aは、結合部材の一例である。このような構成によれば、例えば、作業員は、ガイドレール4にボルト16を貫通するための貫通孔を設けずに済む。すなわち、作業員の作業の手間をより減らせる。
【0045】
[第5実施形態]
図12は、本実施形態のガイドレール移動装置10Cの側面図である。ガイドレール移動装置10Cは、コラム14に替えてワイヤ14Aを備えている。ガイドレール4の上端4aには、ローラ付きのリング4cが取り付けられており、U字状に吊り下げたワイヤ14Aによりリング4cを吊り下げている。本実施形態でも、ガイドレール移動装置10Cは、ベース11、ビーム12、ジャッキ13(不図示)、ローラ15、およびスペーサ17を、前後に2セット有している。ただし、本実施形態では、ガイドレール移動装置10Cは、左側および右側のそれぞれにおいて、ビーム12の端部12a間を前後に渡るブリッジ19を備えており、ワイヤ14Aは、このブリッジ19に取り付けられている。ワイヤ14Aの両端が前後に間隔をあけてブリッジ19に取り付けられ、当該ワイヤ14Aの中間部に、リング4cが引っ掛けられている。また、ワイヤ14Aおよびリング4cの二つのセットが、前後に間隔をあけて設けられている。これにより、吊り下げられたガイドレール4の位置や姿勢がより安定する。
【0046】
このような構成によれば、例えば、コラム14を有した構成に比べて、ガイドレール移動装置10Cがより軽くなる分、作業員によるガイドレール移動装置10Cのセットの手間を減らすことができる。また、例えば、ワイヤ14Aは、コラム14と比べて細いため、穴2bのサイズをより小さくすることができ、フロア2(建物構造物)の剛性や強度が、より高く維持されやすい。
【0047】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。これら実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。また、各構成や形状等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0048】
1…壁、2…フロア(建物構造物)、2b…穴(開口)、3…マシンビーム(建物構造物)、4…ガイドレール、4a…上端(上部)、4b…下端(下部)、10、10A〜10C…ガイドレール移動装置、11…ベース、12…ビーム(可動部材)、13…ジャッキ(リフタ)、14…コラム(垂下部材)、14A…ワイヤ(垂下部材)、15,15A…ローラ、18…摺動部材、20…補助移動装置、100…ガイドレール移動システム。
【要約】      (修正有)
【課題】例えば、ガイドレールの移動の手間を減らすことができるような、より改善された新規な装置、システム、あるいは方法を提供する。
【解決手段】ガイドレール移動装置10は、ベース11と、可動部材12と、リフタ13と、垂下部材14と、を備える。ベース11は、上下方向に延びたガイドレールの上方に位置された建物構造物上を上下方向と直交した第一方向に移動する。可動部材12は、上下方向に移動可能にベース11に支持される。リフタ13は、ベース11に設けられ可動部材12を上下方向に動かす。垂下部材14は、可動部材12から下方に延び建物構造物に設けられた開口2bを貫通してガイドレール4に接続される。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12