特許第6687797号(P6687797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6687797
(24)【登録日】2020年4月6日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】傘入れ袋
(51)【国際特許分類】
   A45B 25/24 20060101AFI20200421BHJP
【FI】
   A45B25/24 A
   A45B25/24 C
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-168973(P2019-168973)
(22)【出願日】2019年9月18日
【審査請求日】2019年9月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519337879
【氏名又は名称】脇 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100194456
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 勇
(72)【発明者】
【氏名】脇 眞由美
【審査官】 新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3195744(JP,U)
【文献】 実開昭58−019626(JP,U)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0133589(KR,A)
【文献】 実開昭50−067007(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3126401(JP,U)
【文献】 実公昭40−21961(JP,Y1)
【文献】 登録実用新案第3021540(JP,U)
【文献】 特開2003−221707(JP,A)
【文献】 特開2006−34401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45B 25/24
A45C 3/00
A45F 3/04
A41D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底で上部に傘を差し込むための開口のある筒状で防漏水性のある傘入れ袋において、
底から予め定めた距離の位置であって、当該位置から前記開口にある終端までの筒状部分を全て、底の先端から当該位置までの間の部分に詰め込むことができる位置を始端とし、筒状部分の周方向に沿う向きに予め定めた長さだけ伸びた後、前記終端に向けて伸びる複数の紐通し部分と、当該紐通し部分それぞれについて、当該紐通し部分を通り、前記始端に一端が止められ、他端が当該紐通し部分の外側にまで伸びている紐と、当該紐通し部分の外側にある紐の長さを調節する紐止部と、を有していることを特徴とする傘入れ袋。
【請求項2】
前記紐通し部は、筒状の周方向に等間隔で複数設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の傘入れ袋。
【請求項3】
前記底の部分には、溜まった雨水を排水するための着脱可能なキャップが設けられている、請求項1又は請求項2に記載の傘入れ袋。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傘を入れる袋に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外で使用して濡れた状態の傘を収納する際に用いる傘入れ袋が種々提案されている。例えば、特許文献1には、蛇腹式の本体を有し、底の部分に着脱可能なキャップを備えている傘入れ袋(携帯雨傘入)が開示されている。当該傘入れ袋は、車内又は屋内で、蛇腹式の本体を伸ばして濡れた傘を収納する。収納した傘から流れ落ちてくる雨水を先端に溜めておき、後に、キャップを外して溜まった雨水を排水する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭57−142920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の傘入れ袋は、車内又は屋内で、濡れた傘を収納し、再び屋外に出て傘を使い始めた場合等、その使用後、内側が濡れた状態で、例えば鞄の中に入れて持ち歩く場合について考慮されていない。傘入れ袋を入れるさらに別の袋を別途持ち運ぶのは手間である。傘入れ袋に当該別の袋を縫い付けておくような構成は、コスト高を招来する。
【0005】
本発明は、上記従来例の問題を解決するためになされたものであり、濡れた傘を収納して持ち歩きし易いだけでなく、その使用後も鞄に入れて持ち運びし易い傘入れ袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、有底で上部に傘を差し込むための開口のある筒状で防漏水性のある傘入れ袋において、底から予め定めた距離の位置であって、当該位置から前記開口にある終端までの筒状部分を全て、底の先端から当該位置までの間の部分に詰め込むことができる位置を始端とし、筒状部分の周方向に沿う向きに予め定めた長さだけ伸びた後、前記終端に向けて伸びる複数の紐通し部分と、当該紐通し部分それぞれについて、当該紐通し部分を通り、前記始端に一端が止められ、他端が当該紐通し部分の外側にまで伸びている紐と、当該紐通し部分の外側にある紐の長さを調節する紐止部と、を有していることを特徴とする。
【0007】
前記紐通し部は、筒状の周方向に等間隔で複数設けられていることが好ましい。
【0008】
前記底の部分には、溜まった雨水を排水するための着脱可能なキャップが設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
紐止部によって紐通し部分の外側にある紐の長さを調節することによって、収納する傘の長さに応じて、傘入れ袋全体の長さを調節することができ、種々の長さの傘にフィットする収納を可能にする。さらには、紐止部によって紐通し部分にある紐を短くすると、その長さだけでなく、始端の筒状部分の直径を小さく絞ることができる。この直径を小さく絞った部分は、始端から終端にかけてある部分全てを、底の先端から始端までの間の部分に収納した場合に、一度収納した傘入れ袋の部分が再び外に出てくるのを防ぐ蓋として機能させることができる。また、底の部分に溜まっている雨水が上方に漏れ出ることも防ぐことができる。当該構成の傘入れ袋は、濡れた傘を収納し、その後、使用するために傘を取り出した場合であっても、濡れている部分を表に出すこと無く、別の袋を用いずに、極めてコンパクトにまとめ、そのまま鞄の中に入れて持ち運ぶことを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る傘入れ袋の(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は平面図、(d)は底面図。
図2】長い傘を入れた場合を示す。
図3】折り畳み傘を入れる場合を示す。
図4】(a)は濡れた傘を袋から取り出した後に、紐を引っ張り、傘入れ袋を短く縮めた状態を示し、(b)は傘入れ袋の先端部分に縮めた傘入れ袋を収納し、溜まった雨水を排水している状態を示す。
図5】試作品の傘入れ袋を短く縮めた状態を示す写真。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の傘入れ袋は、有底で上部に傘を差し込むための開口のある筒状で防漏水性のある布材で作られている。当該袋には、長さ調節用の紐通し部分と、当該部分を通っている紐と、この紐の長さを調節する紐止部とが設けられている。紐通し部分は、底から予め定めた距離の位置を始端とするときに、筒状部分の周方向に沿う向きに予め定めた長さだけ伸びた後、開口にある終端に向けて伸びている。紐通し部分を通る紐は、始端に一端が止められ、他端が紐通し部分の外側にまで伸びている。始端の位置は、始端から終端までの筒状部分を全て、底の先端から始端の位置までの間の部分に詰め込むことができる位置とする。
【0012】
上記構成の傘入れ袋は、種々の長さの傘、即ち、長さ約700〜900mmの通常の傘、長さ約180mm〜350mmの折りたたみ傘を収納できるように、即ち、900mm〜180mmまでの長さの傘を収納できるように、袋の丈の長さを調節可能とする。更に紐を引っ張ると、始端付近の開口の直径を小さく絞ることができ、この部分を蓋として用いて、始端から終端までの筒状部分を底の先端から始端までの筒状部分に詰め込むことができ、別途収納袋を用意すること無く、コンパクトにまとめて持ち運びすることができる。
【0013】
本発明の一実施の形態に係る傘入れ袋1について添付の図面を参照しつつ説明する。
図1(a)は傘入れ袋1の正面図、(b)は背面図、(c)は平面図、(d)は底面図を示す。傘入れ袋1は、防漏水性のある、薄く軟らかな、例えば傘用の布地で作られている。傘入れ袋1は、底2と、筒状の本体部分3と、で構成されている。底2は、円錐型又は半球型の容器状で、使いやすいように、例えばシリコン樹脂の内張りが施されていて、その形状が保たれるようになっている。底2の先端には、着脱可能なキャップ2aが取り付けられている。キャップ2aを外すことで、中に溜まった雨水を排水することができる。本体部分3は、形状保持用の内張りなどは施されておらず、柔らかで、その上部には、傘を差し込むための開口4が設けられている。
【0014】
本体部分3には、等間隔を開けて複数、本実施形態では、4本の紐通し部分5、6、7、8が設けられている。図1(a)(b)において、底2と本体部分3の境界から少し(例えば、25〜30mm)上の位置を、紐通し部分5、6、7、8それぞれの始端3aとする。本体部分3の開口4の部分を、紐通し部分5、6、7、8それぞれの終端3bとする。始端3aは、底2から予め定めた距離の位置であって、この始端3aから終端3bまでの筒状部分全てを、底2の先端から始端3aまでの間の部分に詰め込むことができる、という条件を満たす位置に設ける。紐通し部分5、6、7、8は、始端3aの位置に、筒状部分の周方向に沿う向きに予め定めた長さだけ伸びている周方向部分5a、6a、7a、8aを有している。周方向部分5a、6a、7a、8aは、本体部分3の筒状部分の直径を小さく絞るために設けられている。また、紐通し部分5、6、7、8は、周方向部分5a、6a、7a、8aから、終端3bに向けて伸びている長手方向部分5b、6b、7b、8bを有している。長手方向部分5b、6b、7b、8bは、収納する傘の長さに応じて、本体部分3の長さを伸縮するために設けられている。直線状に終端3bへと伸びている長手方向部分5b、6b、7b、8bの形状を、螺旋状にすると、本体部分3の長さを短くする際に、布地を細かに折りたたむことができた。
【0015】
紐通し部分5、6、7、8は、本体部分3の外側に細長い矩形の布を、その縁の部分を縫い付けた管状のもので、中に紐5c、6c、7c、8cが通っている。紐5c、6c、7c、8cの一端は、周方向部分5a、6a、7a、8の先端に縫い付けられており、他端は、長手方向部分5b、6b、7b、8bを通って外側にまで伸びている。本実施形態では、隣り合う紐5cと紐6c、紐7cと紐8cとが、紐止部9、10によって、それぞれ1つにまとめられている。1つの紐止部によって、4本全ての紐の長さを調節するように構成しても良い。試作品では、紐止部9、10の2つにまとめた方が、紐止部に引っ掛からずに傘を取り出すことができた。
【0016】
周方向部分5a、6a、7a、8aと、長手方向部分5b、6b、7b、8bとは、図1(a)(b)に示すように、90度よりも大きな鈍角に屈曲させることで、スムーズな紐5c、6c、7c、8cの出し入れを可能にする。また、試作品で試した結果、周方向部分5a、6a、7a、8aと、長手方向部分5b、6b、7b、8bとは、90度又は、鋭角に屈曲させると、紐5c、6c、7c、8cを引き出すのに一定の摩擦力が掛かるが、反面、一度引き出した後は、紐止部9、10を動かすまでの間、その状態、特に周方向の直径を小さく保つのに便利である、ということが判った。
【0017】
本体部分3には、傘入れ袋の持ち手として使うバンド11が取り付けられている。バンド11の一端は本体部分3の開口4近くの位置に取り付けられている。本体部分3及びバンド11には、複数のオス型ホック12a〜12c、メス型ホック13a〜13cが設けられており、ホックの取付位置を変えることで、持ち手としてのバンド11の長さを、傘入れ袋の種々の使用シーンに応じて設定可能となっている。メス型ホック13aは、図1(b)に示すように、本体部分3の内側であって、表側にメス型ホック13bのある位置近傍に設けられる。この位置は、図1(a)では紐通し部8の長手方向部分8bの描画位置と重なるため、メス型ホック13aの描写を省略してある。
【0018】
上記構成の傘入れ袋1は、収納する傘の長さに応じて、紐止部9、10によって紐5c、6c、7c、8cの長さを調節し、更に、ホックを止める位置でバンド11の長さを調節することができる。
【0019】
紐止部9、10によって、紐通し部5、6、7、8の中にある紐5c、6c、7c、8cを短くすると、本体部分3の長さだけでなく、始端3aに設けてある円周方向部分5a、6a、7a、8aも短くなり、結果、周方向の直径が小さくなる。この直径の小さくなった部分は、始端3aから終端3bまでの筒状部分全てを、底2の先端から始端3aまでの部分に収納した場合に、一度収納した傘入れ袋の部分が再び外に出てくるのを防ぐ蓋として機能する。傘についた雨水で濡れた生地裏面は、底の先端から始端3aまでの筒状部分に積み重ねられるように収納されるので、底2の部分に溜まっている雨水が開口4の部分から外に漏れ出ることが防止される。結果として、傘入れ袋1は、濡れた傘を収納し、その後、使用するために傘を取り出した場合であっても、濡れている部分を表に出すこと無く、別の袋を用いずに、極めてコンパクトにまとめることができる。使用している布地は防漏水性があるため、そのまま鞄の中に入れて持ち運ぶことができる。
【0020】
図2は、傘入れ袋1に、長さ約800mmの傘20を収納した状態を示す。なお、本図において、バンド11の描写は省略してある。本例の場合、傘入れ袋1の紐止部9、10の位置は、紐通し部5、6、7、8の中にある紐5c、6c、7c、8cが最も長くなるようにしておく。
【0021】
図3は、傘入れ袋1に、長さ約290mmの折り畳み傘21を収を納するため、紐止部9、10によって紐通し部分5、6、7、8の中にある紐5c、6c、7c、8cを短くし、本体部分3の特に長手方向部分5b、6b、7b、8bを短くした状態を示す。円周方向部分5a、6a、7a、8aも縮まり、筒状部分の直径は小さくなるが、紐5c、6c、7c、8cをきつく引っ張っては無いので、仮に、筒状部分の直径が折り畳み傘21の直径よりも小さくなってしまっていたとしても、折りたたみ傘21の収納時に自然と広がり、問題なく収めることができる。バンド11は、本体部分3の内側に入れ、この本体部分3の開口4近くの内側に取り付けてあるメス型ホック13aと、バンド11のオス型ホック12aとを、取り付け、持ち運びしやすい長さに設定する。
【0022】
なお、傘入れ袋1は、約700mm〜900mmの通常の傘を収納可能であるから、折り畳み傘21の中棒を伸ばした状態のものでも、余裕で収納可能であることは言うまでもない。
【0023】
図4(a)は傘入れ袋1の丈を最も短く縮めた状態を示し、(b)は始端3aから終端3bにかけてある筒状部分の全てを、底2の先端から始端3aまでの部分に収納した状態を示す。図5は、試作品の傘入れ袋を図4(b)の状態にした様子を示す写真である。底2に設けてあるキャップ2aを外すことによって、中に溜まっていた雨水を排水することができる。傘入れ袋1の生地は防漏水性のあるものを使用するが、鞄に入れる際には、水抜きをしておくのがより安心である。
【0024】
なお、本発明は、上記各種実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、傘入れ袋の素材として、防漏水性のある傘に用いられる布地を用いたが、これに限定されず、ビニール素材のものを用いても良い。防漏水性のある布地とは、傘入れ袋としての使用態様において、濡れた傘を収納した後、外出するなどして再び傘を使用する際に、図4(b)に示す状態にまでコンパクトにし、鞄に入れた場合に、中のものが濡れない程度に雨水が漏れ出ない性能を有する布地をいう。多少雨水が浸みるものでも使用可能である。本発明の傘入れ袋の構成上の特徴は、濡れた傘を収納した後であっても、別途収納袋を用いずとも、コンパクトにできて鞄に入れれる点にある。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の傘入れ袋は、雨傘に限らず、日傘、その他、様々な長さの長尺物、例えば釣り竿を収納するのに用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 傘入れ袋
2 底
2a 底の先端にあるキャップ
3 本体部分
4 開口
5、6、7、8 紐通し部
5a、6a、7、8a 周辺方向部分
5b、6b、7b、8b 長手方向部分
5c、6c、7c、8c 紐
9、10 紐止部
11 バンド
20、21 傘
【要約】
【課題】雨に濡れた傘を入れた後、再び傘を使うときに、持ち運び便利な傘入れ袋を提供する。
【解決手段】本発明は、有底で上部に傘を差し込むための開口のある筒状で防漏水性のある傘入れ袋において、底から予め定めた距離の位置であって、当該位置から前記開口にある終端までの筒状部分を全て、底の先端から当該位置までの間の部分に詰め込むことができる位置を始端とし、筒状部分の周方向に沿う向きに予め定めた長さだけ伸びた後、前記終端に向けて伸びる紐通し部分と、当該紐通し部分を通り、前記始端に一端が止められ、他端が当該紐通し部分の外側にまで伸びている紐と、当該紐通し部分の外側にある紐の長さを調節する紐止部と、を有していることを特徴とする。当該構成の傘入れ袋は、種々の長さの傘を収納でき、その使用後は、コンパクトにまとめることができる。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5