特許第6687823号(P6687823)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノンアネルバ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6687823
(24)【登録日】2020年4月6日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】電離真空計およびカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   G01L 21/34 20060101AFI20200421BHJP
【FI】
   G01L21/34
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-510148(P2020-510148)
(86)(22)【出願日】2019年9月13日
(86)【国際出願番号】JP2019036191
【審査請求日】2020年2月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000227294
【氏名又は名称】キヤノンアネルバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】川崎 洋補
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4836306(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 21/34
本件特許出願に対応する国際特許出願PCT/JP2019/036191の調査結果が利用された。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と、陰極と、電磁波源とを備える電離真空計であって、
前記陰極は、前記陽極が通る貫通孔と、前記電磁波源を収容する収容部とを有する第1陰極板を含み、
前記第1陰極板は、前記収容部と前記貫通孔との間に、前記電磁波源が発生する電磁波を通過させる通路を有する、
ことを特徴とする電離真空計。
【請求項2】
前記陰極は、前記陽極および前記第1陰極板を取り囲む筒部と、前記筒部の中に配置され貫通孔を有する第2陰極板とを更に含み、
前記筒部の一端は開放され、前記筒部の他端は封止部材によって封止され、前記第1陰極板は、前記第2陰極板と前記封止部材との間に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電離真空計。
【請求項3】
前記通路は、前記第1陰極板、前記封止部材および前記筒部によって取り囲まれた空間に面している、
ことを特徴とする請求項2に記載の電離真空計。
【請求項4】
前記通路は、前記収容部と前記貫通孔とを連通させる貫通孔である、
ことを特徴とする請求項2に記載の電離真空計。
【請求項5】
前記陰極は、前記第1陰極板と前記第2陰極板との間に第3陰極板を更に含み、
前記第3陰極板は、前記第2陰極板、前記第3陰極板および前記筒部によって取り囲まれる放電空間に対して、前記電磁波源が発生した電磁波が伝達されるように構成されている、
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の電離真空計。
【請求項6】
前記通路は、前記電磁波源と前記第1陰極板の前記貫通孔との間に直線経路が形成されるように設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電離真空計。
【請求項7】
陽極と、電磁波源と、容器とを備える電離真空計において使用されるカートリッジであって、
前記陽極が通る貫通孔および前記電磁波源を収容する収容部を有する第1陰極板を備え、
前記第1陰極板は、前記収容部と前記貫通孔との間に、前記電磁波源が発生する電磁波を通過させる通路を有する、
ことを特徴とするカートリッジ。
【請求項8】
前記第1陰極板から離隔して配置され貫通孔を有する第2陰極板と、前記第1陰極板および第2陰極板を支持するように前記容器の中に配置される内筒とを更に備える、
ことを特徴とする請求項7に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記容器の一端は開放され、前記容器の他端は封止部材によって封止され、
前記通路は、前記第1陰極板と前記封止部材との間の空間に面する、
ことを特徴とする請求項8に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記通路は、前記収容部と前記貫通孔とを連通させる貫通孔である、
ことを特徴とする請求項8に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記第1陰極板と前記第2陰極板との間に第3陰極板を更に含み、
前記第3陰極板は、前記第2陰極板、前記第3陰極板および前記内筒によって取り囲まれる空間に対して、前記電磁波源が発生した電磁波が伝達されるように構成されている、
ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記通路は、前記電磁波源と前記第1陰極板の前記貫通孔との間に直線経路が形成されるように設けられている、
ことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電離真空計およびカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
電離真空計では、陽極と陰極との間に電圧を印加し放電を起こさせることによって気体を電離させ、陰極と陽極との間を流れる電流を測定することによって圧力が検出される。電離真空計には、陽極と陰極との間における放電を促す誘発部が設けられうる。特許文献1には、陰極に電磁波を照射し、光電効果によって陰極から電子を放出させることで、放電が誘発される。しかしながら、長期間の使用において、電極の表面への物質の堆積によって放電が誘発されにくくなることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6177492号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明は、電離真空計における放電の誘発性能の低下を抑えるために有利な技術を提供する。
【0005】
本発明の第1の側面は、陽極と、陰極と、電磁波源とを備える電離真空計に係り、前記陰極は、前記陽極が通る貫通孔と、前記電磁波源を収容する収容部とを有する第1陰極板を含み、前記第1陰極板は、前記収容部と前記貫通孔との間に、前記電磁波源が発生する電磁波を通過させる通路を有する。
【0006】
本発明の第2の側面は、陽極と、電磁波源と、容器とを備える電離真空計において使用されるカートリッジに係り、前記カートリッジは、前記陽極が通る貫通孔および前記電磁波源を収容する収容部を有する第1陰極板を備え、前記第1陰極板は、前記収容部と前記貫通孔との間に、前記電磁波源が発生する電磁波を通過させる通路を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態の真空処理装置およびそれに取り付けられた電離真空計を示す図。
図2】第1実施形態の電離真空計の構成を示す図。
図3A】第1実施形態の電離真空計の構成を示す図。
図3B】第1実施形態の電離真空計の構成を示す図。
図4A】第2実施形態の電離真空計の構成を示す図。
図4B】第2実施形態の電離真空計の変形例の構成を示す図。
図5A】第2実施形態の電離真空計の構成を示す図。
図5B】第2実施形態の電離真空計の構成を示す図。
図5C】第2実施形態の電離真空計の変形例の構成を示す図。
図5D】第2実施形態の電離真空計の変形例の構成を示す図。
図6】第3実施形態の電離真空計の構成を示す図。
図7A】第3実施形態の電離真空計の構成を示す図。
図7B】第3実施形態の電離真空計の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
図1には、一実施形態の真空処理装置Sおよびそれに取り付けられた電離真空計100が示されている。真空処理装置Sは、例えば、成膜装置でありうる。成膜装置としては、例えば、スパッタリング装置、PVD装置、CVD装置等を挙げることができる。真空処理装置Sは、アッシング装置、ドライエッチング装置等の表面処理装置であってもよい。
【0010】
電離真空計100は、測定子102と、測定子102に接続された制御部13とを備えうる。真空処理装置Sは、真空容器101を備え、真空容器101の中で基板等の処理対象物を処理しうる。測定子102は、真空容器101の壁に設けられた開口部分に気密を保持した状態で取り付けられる。一例において、測定子102は、真空容器101のフランジ8を介して接続されうる。制御部13と測定子102とは、互いに分離して構成されてもよいし、一体化して構成されてもよい。
【0011】
図2には、第1実施形態の電離真空計100の構成が示されている。電離真空計100は、例えば、逆マグネトロン型真空計として構成されうるが、これに限定されるものではない。測定子102は、陰極1を構成する容器103と、陽極2とを備えうる。陰極1を構成する容器103は、例えば、円筒形状等の筒形状を有する筒部TPを含みうる。陽極2は、棒形状を有しうる。陰極1は、棒形状の陽極2を取り囲むように配置されうる。陽極2と陰極1とによって放電空間4が画定されうる。容器103は、例えば、金属(例えば、ステンレススチール)等の導電体によって構成されうる。陽極2は、金属(例えば、モリブデン、タングステン、ニッケル、チタン)等の導電体によって構成されうる。測定子102は、磁場を形成する磁石3を更に備えうる。磁石3は、筒部TPを取り囲むように配置され、リング形状を有しうる。磁石3は、例えば、フェライト磁石等の永久磁石でありうる。容器103の筒部TPの一端(真空容器101の側)は開放され、筒部TPの他端は絶縁性の封止部材6によって封止されうる。一例において、陽極2は、封止部材6を貫通するように配置されうる。封止部材6は、例えば、アルミナセラミック等で構成されうる。
【0012】
容器103の中には、交換可能なカートリッジ106が配置されてもよい。カートリッジ106は、電離真空計100において使用されうる消耗部品でありうる。カートリッジ106は、例えば、陰極構造体でありうる。カートリッジ106は、ポールピース(陰極板)104、105と、内筒110とを含みうる。ポールピース104、105は、磁場を調整する機能、および、放電空間4を取り囲む機能を有しうる。内筒110は、容器103の内側面に接する外側面と、放電空間4を取り囲む内側面とを有し、ポールピース104、105を支持しうる。ポールピース104、105および内筒110は、金属等の導電体で構成されうる。ポールピース104、105を構成しうる導電体は、磁性体(例えば、磁性を有するステンレススチール)であってもよいし、非磁性体(例えば、磁性を有しないステンレススチール)であってもよい。
【0013】
カートリッジ106は、筒部TPと電気的に接続され、ポールピース104、105および内筒110は、陰極1の一部を構成しうる。カートリッジ106に対するイオン等の衝突によってカートリッジ106が劣化した場合、劣化したカートリッジ106を新しいカートリッジ106に交換することによって電離真空計100の機能を回復することができる。この例では、カートリッジ106が交換可能であるが、カートリッジ106は、分離不能に筒部TPに結合されてもよい。
【0014】
ポールピース(第1陰極板)105は、陽極2が通る貫通孔11および電磁波源15を収容する収容部22を有しうる。貫通孔11は、ポールピース105と陽極2とが電気的に接続されないように、つまり、ポールピース105と陽極2との間に間隙が構成されるように設けられる。電磁波源15は、例えば、光源でありうる。ポールピース105には、電磁波源15を覆うカバー25が設けられうる。カートリッジ106が筒部TPから取り外されるとき、カバー25はポールピース105とともに筒部TPから取り外されうる。この場合、カバー25は、カートリッジ106の交換によって交換されうる。カバー25は、電磁波源15が放射する電磁波を透過する素材(例えば、石英)で構成されうる。カバー25は、放電空間4に面した陰極1(主にカートリッジ106)がスパッタリングされることによって発生した粒子が電磁波源15に堆積することを防止する。カバー25は、例えば、円筒形状を有しうる。
【0015】
ポールピース(第2陰極板)104は、ポールピース105から離隔して配置され、ポールピース105とポールピース104との間に放電空間4が画定されうる。ポールピース105は、ポールピース104と封止部材6との間に配置されうる。ポールピース105は、内筒110の一端(封止部材6の側の端部に配置されうる。ポールピース104は、内筒110の他端(筒部TPの開放端の側)に配置されうる。ポールピース104は、1又は複数の貫通孔10を有し、該1又は複数の貫通孔10を通して真空容器101と放電空間4とが連通する。
【0016】
カートリッジ106あるいは陰極1は、ポールピース105(第1陰極板)とポールピース104(第2陰極板)との間に陰極板(第3陰極板)20を更に含みうる。陰極板20は、ポールピース105に接触するように配置されうる。陰極板20は、陽極2を通す貫通孔を有する。陰極板20は、ポールピース104、陰極板20および内筒110(筒部TP)によって取り囲まれた放電空間4に対して、電磁波源15が発生した電磁波が伝達されるように構成されうる。例えば、陰極板20は、陰極板20と内筒110との間に間隙21を形成し、電磁波源15が発生した電磁波が間隙21を通して放電空間4に伝達されるように構成されうる。電磁波源15が発生する電磁波の他、内筒110のうち陰極板20とポールピース105との間の部分への電磁波の照射により光電効果によって発生する電子も、間隙21を通して放電空間4に供給されうる。内筒110は、ポールピース105、104と同様の材料で構成されうる。
【0017】
陽極2は、制御部13に電気的に接続される。制御部13は、陽極2に電圧を印加する電源18と、陽極2と陰極1との間に流れる放電電流を測定する電流検出部19とを含みうる。電流検出部19によって検出される放電電流は、放電空間4の圧力に対して相関を有し、この相関に基づいて不図示のプロセッサによって圧力が計算されうる。これによって、真空容器101の圧力を検出することができる。
【0018】
図3Aには、図2に示されたポールピース105を図2におけるZ軸の+方向から見た上面図が示されている。なお、図3Aにおいて、陰極板20は省略されている。図3Bには、図3AのA−A’線におけるポールピース105の断面図が示されている。図2図3A図3Bに例示されるように、ポールピース(第1陰極板)105は、収容部22と貫通孔11との間に、電磁波源15が発生する電磁波を通過させる通路50を有しうる。通路50は、電磁波源15と貫通孔11との間に直線経路が形成されるように設けられうる。通路50は、収容部22と貫通孔11とを接続するように放射方向に延びうる。通路50は、ポールピース105、封止部材6および筒部TPによって取り囲まれた空間5に面するように設けられうる。ポールピース105に通路50を設けることによって、電磁波源15が発生した電磁波は、通路50を通して貫通孔11の表面に照射され、貫通孔11の表面において光電効果によって電子を発生させる。電磁波源15が発生した電磁波は、直接に貫通孔11の表面に照射される他、通路50および/または陽極2の表面で反射されて貫通孔11の表面に照射されうる。電磁波源15が発生した電磁波の一部は、通路50の表面において光電効果によって電子を発生させうる。貫通孔11の表面および通路50の表面において発生した電子は、放電空間4に供給されうる。また、貫通孔11における電極間距離(ポールピース105と陽極2との距離)は、電離真空計100内の他の空間における電極間距離と比べて相対的に小さく、それゆえ、貫通孔11における電界は相対的に大きい。そのため、通路50と貫通孔11との境界に形成される屈曲部(突起)60では、電界が効率的に集中し、屈曲部60からは、電界放出による電子が発生しうる。以上のことから、通路50を設けることによって、放電空間4に放出される電子の量を増大させることができ、その結果、放電の誘発性能を向上させることができる。
【0019】
電磁波源15は、電磁波、例えば軟X線を発生しうる。電磁波源15を収容する収容部22は、例えば、ポールピース105に設けられた貫通孔または凹部でありうる。収容部22は、電磁波源15と接触してもよいし、電磁波源15と接触しなくてもよい。収容部22は、電磁波源15を保持してもよいが、電磁波源15を保持しなくてもよい。一例において、収容部22と内筒110との距離は、収容部22と陽極2との距離よりも短くてよい。他の観点において、電磁波源15と内筒110との距離は、電磁波源15と陽極2との距離よりも短くてよい。このような構成は、電磁波源15が発生し内筒110に入射する電磁波の減衰を小さくすることができる。これは、光電効果によって内筒110から放電空間4に放出される電子を多くするために有利である。
【0020】
電磁波源15と放電空間4との間には、陰極板20が配置されうる。陰極板20は、放電空間4に面した陰極1(主にカートリッジ106)がスパッタリングされることによって発生した粒子が電磁波源15に堆積することを防止しうる。一例において、ポールピース105の放電空間4の側の面は、電磁波源15から放射された電磁波が内筒110および/または間隙21に提供されるように傾斜した部分を含みうる。電磁波源15に対する電力供給は、パワーケーブル27によって行われうる。パワーケーブル27は、封止部材6を通して容器103の外部に引き出されうる。パワーケーブル27および陽極2をそれらに共通の封止部材6を介して外部に引き出す構成は、電離真空計100の構造の単純化に有利である。
【0021】
電磁波源15およびカバー25の少なくとも一方には、仕事関数が低い材料、例えば、金属からなる膜がコーティングされてもよい。仕事関数が低い材料に電磁波が入射すると、効率的に電子が発生する。したがって、電磁波源15およびカバー25の少なくとも一方に仕事関数が低い材料からなる膜をコーティングすることによって、効率的に電子を発生させることができる。また、内筒110の内側面に、内筒110を構成する母材よりも仕事関数が低い材料をコーティングしてもよい。
【0022】
図4A図5A図5Bには、第2実施形態の電離真空計100の構成が示されている。ここで、図5Aには、図4Aに示されたポールピース105を図4AにおけるZ軸の+方向から見た上面図が示されている。なお、図5Aにおいて、陰極板20は省略されている。図5Bには、図5AのB−B’線におけるポールピース105の断面図が示されている。第2実施形態として言及しない事項は、第1実施形態に従いうる。
【0023】
図4A図5A図5Bに例示されるように、ポールピース(第1陰極板)105は、収容部22と貫通孔11との間に、電磁波源15が発生する電磁波を通過させる通路70を有しうる。通路70は、収容部22と貫通孔11とを連通させる貫通孔でありうる。通路70は、電磁波源15と貫通孔11との間に直線経路が形成されるように設けられうる。通路70は、収容部22と貫通孔11とを接続するように放射方向に延びうる。通路70を貫通孔として形成すると、電磁波源15から放射された電磁波を通路70内に閉じ込めることができるため、電磁波は、より効率よく貫通孔11の表面に到達しうる。通路70は、収容部22と内筒110との間に延在する部分を含んでもよい。
【0024】
図4B図5C図5Dには、第2実施形態の電離真空計100の変形例の構成が示されている。ここで、図5Cには、図4Bに示されたポールピース105を図4BにおけるZ軸の+方向から見た上面図が示されている。なお、図5Cにおいて、陰極板20は省略されている。図5Dには、図5CのB−B’線におけるポールピース105の断面図が示されている。変形例では、通路70は、空間5に露出した溝ないしスリットで構成されている。このような構成は、加工が容易である点で優れている。通路70は、収容部22と内筒110との間に延在する部分を含んでもよい。
【0025】
図6図7A図7Bには、第3実施形態の電離真空計100の構成が示されている。ここで、図7Aには、図6に示されたポールピース105を図6におけるZ軸の+方向から見た上面図が示されている。図7Bには、図7AのC−C’線におけるポールピース105の断面図が示されている。第3実施形態として言及しない事項は、第1又は第2実施形態に従いうる。
【0026】
図6図7A図7Bに例示されるように、ポールピース(第1陰極板)105は、収容部22と貫通孔11との間に、電磁波源15が発生する電磁波を通過させる通路80を有しうる。通路80は、ポールピース105、封止部材6および筒部TPによって取り囲まれた空間5に面するように設けられうる。通路80は、収容部22と貫通孔11とを連通させる貫通孔であってもよい。通路80は、電磁波源15と貫通孔11との間に直線経路が形成されるように設けられうる。通路80は、収容部22と貫通孔11とを接続するように放射方向に延びうる。電磁波源15から放射された電磁波は、通路80の中を反射しながら進んで貫通孔11の表面に到達しうる。ポールピース105の空間5の側の面は、電磁波源15から放射された電磁波が内筒110および/または間隙21に提供されるように傾斜した部分を含みうる。
【0027】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【要約】
電離真空計は、陽極と、陰極と、電磁波源とを備える。前記陰極は、前記陽極が通る貫通孔と、前記電磁波源を収容する収容部とを有する第1陰極板を含み、前記第1陰極板は、前記収容部と前記貫通孔との間に、前記電磁波源が発生する電磁波を通過させる通路を有する。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B