【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る孔内の試料を採取する採取装置は、
地盤に形成された孔内の試料を採取可能な採取装置であって、
地盤掘削用ロッドに連結可能な中空筒状の連結材と、
前記連結材の外周側又は内周側に設けられて、前記試料を収容可能な少なくとも1つの採取容器と、
前記少なくとも1つの採取容器の採取口を開閉可能な蓋体と、
前記少なくとも1つの採取容器の内周面に沿って前記少なくとも1つの採取容器内を上下方向に摺動可能な摺動体と、
前記少なくとも1つの採取容器内で前記摺動体を上下動させるように構成された摺動体駆動装置と、
前記摺動体が上に向かって移動するのに連動して前記蓋体を変位させて前記採取口を開き、前記摺動体が下に向かって移動するのに連動して前記蓋体を変位させて前記採取口を閉じるように構成された蓋体駆動装置と、
を備え
、
前記採取容器内に前記試料を収容した状態で前記蓋体によって前記採取口を閉じられるように構成されている。
【0008】
上記構成(1)によれば、不所望の深度位置の杭孔充填物が採取容器に浸入したとしても、摺動体を採取容器の上端まで移動させることで、採取容器に浸入した不所望の深度位置の杭孔充填物を採取容器から排出することができる。
そして、所望の深度位置にて、摺動体を、採取容器の上端に位置している状態から下降させることで、採取容器に所望の深度位置の試料を収集することができる。摺動体が下降するのに連動して蓋体が変位し、採取容器の採取口が閉じられるので、所望の深度位置の孔内の試料を採取する採取後に、採取容器内の試料が漏れたり、採取容器内の試料に、不所望の深度位置の杭孔充填物が混ざることが防止される。
一方、上記構成(1)によれば、水等で採取口を洗浄する必要がないので、孔内の場を乱すことがない。
【0009】
(2)幾つかの実施形態では、上記構成(1)において、
前記少なくとも1つの採取容器は、前記連結材を同心にて囲む平面視で略扇状の形状を有しており、前記連結材に着脱可能である。
上記構成(2)によれば、連結材の外側に採取容器が設けられるので、連結材の内側に、セメントミルクや作動油等の流路を確保することができる。このため、上記構成によれば、孔内の試料を採取する採取装置を、掘削機のドリルの上方に配置することができる。つまり、ドリルに接続される地盤掘削用ロッド(ドリル管)の途中に、孔内の試料を採取する採取装置を介装することができる。この場合、ドリルによる杭孔の掘削後、ドリルを杭孔から引き上げずに、直ぐに孔内の試料を採取することができる。
【0010】
(3)幾つかの実施形態では、上記構成(1)又は(2)において、
前記少なくとも1つの採取容器は、前記連結材の外周を全周に渡って囲むように配置可能である。
上記構成(3)によれば、採取容器が連結材を全周に渡って囲むことができるので、全体として、大容量の採取容器を形成することができる。
【0011】
(4)幾つかの実施形態では、上記構成(1)乃至(3)の何れか1つにおいて、
前記摺動体駆動装置はシリンダによって構成され、
前記蓋体は傾動可能であり、
前記蓋体駆動装置は、前記摺動体から上方に向かって延びるプッシュロッドによって構成されている。
上記構成(4)によれば、シリンダが摺動体を上方に向かって押すことによって、摺動体がプッシュロッドを介して蓋体を押す。押された蓋体は傾動することによって開くことができ、簡単な構成にて、蓋体駆動装置を構成することができる。
【0012】
(5)幾つかの実施形態では、上記構成(1)乃至(3)の何れか1つにおいて、
前記摺動体駆動装置はシリンダによって構成され、
前記蓋体は前記連結材に沿って移動可能であり、
前記蓋体駆動装置は、前記摺動体と前記蓋体を相互に連結する連結ロッドによって構成されている。
上記構成(5)によれば、シリンダが摺動体を上方に向かって押すことによって、摺動体が接続ロッドを介して蓋体を押す。押された蓋体は上方に向かって移動することによって開くことができ、簡単な構成にて、蓋体駆動装置を構成することができる。
【0013】
(6)幾つかの実施形態では、上記構成(1)乃至(5)の何れか1つにおいて、
前記連結材は、地盤掘削用ロッドである。
上記構成(6)によれば、連結材が地盤掘削用ロッドであるので、簡単な構成にて、地盤に形成された孔内の試料を採取可能な採取装置を実現することができる。
【0014】
(7)本発明の少なくとも一実施形態に係る孔内の試料を採取する採取方法は、
上記構成(1)乃至(6)の何れか1つに記載の採取装置を使用する孔内の試料を採取する採取方法であって、
前記採取装置を、前記採取容器の採取口が前記蓋体によって閉じられた状態で孔内の所望深度位置に挿入する挿入工程と、
前記所望深度位置にて、前記摺動体を前記採取容器の上端まで上昇させて前記蓋体を変位させ、前記採取口を開く摺動体上昇工程と、
前記摺動体上昇工程の後、前記摺動体を下降させて前記蓋体を変位させ、前記採取口を閉じる摺動体下降工程と、
前記採取口が閉じられた状態で前記採取装置を前記孔内から引上げる引上げ工程と、
を備える。
【0015】
上記構成(7)によれば、不所望の深度位置の杭孔充填物が採取容器に浸入したとしても、摺動体を採取容器の上端まで移動させることで、採取容器に浸入した不所望の深度位置の杭孔充填物を採取容器から排出することができる。
そして、所望の深度位置にて、摺動体を、採取容器の上端に位置している状態から下降させることで、採取容器に所望の深度位置の試料を収集することができる。摺動体が下降するのに連動して蓋体が変位し、採取容器の採取口が閉じられるので、所望の深度位置の孔内の試料を採取する採取後に、採取容器内の試料が漏れたり、採取容器内の試料に、不所望の深度位置の杭孔充填物が混ざることが防止される。
一方、上記構成(7)によれば、水等で採取口を洗浄する必要がないので、孔内の場を乱すことがない。
【0016】
(8)幾つかの実施形態では、上記構成(7)において、
前記引上げ工程の後に、前記採取容器を前記連結材から取外す取外し工程と、
前記連結材から取外した前記採取容器内の試料を所望位置に取出す取出し工程と、
を備える。
上記構成(8)によれば、連結材から採取容器を取外すことで、採取した試料を採取容器から容易に取り出すことができる。