(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の車両の製造工程として、車両の車体フレームにAM/FM放送の電波受信用のアンテナのアンプ等の電子機器を取り付ける工程がある。その工程用として、例えば、車体フレームに設けられた貫通孔に、電子機器を取り付けるための固定具、固定部材が知られている(特許文献1、2参照)。
【0003】
また、車体フレームに設けられた雌螺子の部分に、電子機器を仮止め可能に取り付けるためのネジ仮止め部材が知られている(特許文献3参照)。
【0004】
車体フレームに設けられた雌螺子に雄螺子(ボルト)を締結する作業は、雄螺子の位置決めが難しい。このため、
図12に示すように、位置決めを容易にする車載取付部品1Eが知られている。
図12は、車両側パネル10Eに取り付けた車載取付部品1Eを示す斜視図である。
【0005】
図12に示すように、車両側パネル10Eは、車両の車体フレームに設けられたパネルである。車両側パネル10Eは、平面部110Eと、矩形の凹部130Eと、平面部110Eの周囲に設けられた周壁部140と、を有する。また、平面部110Eは、雄螺子(ボルト)V用の雌螺子が形成された穴部111Eと、後述するアンカークリップ561用の穴部112Eと、を有する。
【0006】
車両側パネル10Eに取り付けられる車載取付部品1Eは、トップカバー2Eと、ケース4Eと、ブラケット5Eと、を備える。トップカバー2E及びケース4Eの嵌合により、内部に空間を有する筐体部が形成され、当該筐体部の内部にアンテナのアンプの基板(図示略)が格納される。
【0007】
ブラケット5Eは、平面部51E,56と、凹部52Eと、を有する。平面部51Eは、雄螺子V用の孔部53Eを有する。平面部56は、アンカークリップ561を有する。トップカバー2Eは、ブラケット5Eの凹部52Eに接続されている。
【0008】
車両側パネル10Eへの車載取付部品1Eの取り付けにおいて、先ず、作業員により、車載取付部品1Eの筐体部が凹部130Eに挿入され、アンカークリップ561が穴部112Eに挿入及び係止されることにより、車載取付部品1Eが車両側パネル10Eに仮止めされる。そして、作業員により、孔部53Eが穴部111Eに位置合わせされ、雄螺子Vが孔部53Eを介して穴部111Eに締結される。このように、アンカークリップ561を用いた仮止めにより、車載取付部品1Eの位置決めを行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、車載取付部品1Eでは、仮止め時に、アンカークリップ561を中心とした回転方向に車載取付部品1E(ブラケット5E)が動いてしまい、雄螺子Vの締結時に、車載取付部品1Eを孔部53Eが穴部111Eの位置に合うところまで手で戻す作業が発生する。車載取付部品1Eを手で戻して雄螺子を締結する作業は、作業負担が大きい。
【0011】
本発明の課題は、車両側パネルへの電子機器等の部品の取り付けを容易に行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明の車載取付部品は、
車両の車体フレームに形成された螺子用穴部に対して螺子止めされて取り付けられる車載取付部品であって、
ボスが設けられた複数の爪部を有するトップカバーと、
前記トップカバーに覆われるケースと、
前記螺子が挿通される螺子挿通孔部を有し、前記ケースに接続されたブラケットと、
を備え、
前記複数の爪部は、前記車体フレームの複数のガイド孔部に挿入及び回転可能な位置に配置され、
前記ボスは、前記複数の爪部の回転の完了時に、前記車体フレームの複数のボス用穴部に嵌め込まれるとともに、前記螺子挿通孔部と前記螺子用穴部とが重なる位置に配置されることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車載取付部品において、
前記ケースに格納される電子部品を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車載取付部品において、
前記車体フレームは、
平面部と、凹部とからなり、前記複数のガイド孔部と、前記複数のボス用穴部と、前記螺子挿通孔部とが形成される車両側パネルを有し、
前記車載取付部品が前記車両側パネルに取り付けられた際に、前記トップカバーと前記車両側パネルとの間に挟まれる位置に配置された緩衝部を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の車載取付部品において、
前記ボス用穴部は、円形の穴部であり、
前記ボスは、略半球形状であり、
前記ボスの直径は、前記ボス用穴部の直径よりも大きいことを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の車載取付部品において、
前記複数のガイド孔部は、弧状長孔であることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の車載取付部品において、
前記複数のガイド孔部は、前記複数の爪部の回転方向に幅が狭くなる形状であることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の車載取付部品において、
前記複数のガイド孔部は、前記複数の爪部の回転方向に幅が狭くなるように幅が異なる2つの弧状長孔を繋ぎ合わせた形状を有し、
前記複数の爪部は、前記トップカバーの平面の中心から内向きの方向に延在することを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の車載取付部品において、
前記複数のガイド孔部は、前記複数の爪部の回転方向に幅が狭くなるように幅が異なる2つの弧状長孔を繋ぎ合わせた形状を有し、
前記複数の爪部は、前記トップカバーの平面の中心から外向きの方向に延在することを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の車載取付部品において、
前記ケース及び前記ブラケットは、一体構造を有することを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載の発明は、
車両の車体フレームに形成された螺子用穴部に対して螺子止めされて取り付けられる車載取付部品の固定構造であって、
前記車載取付部品は、
ボスが設けられた複数の爪部を有するトップカバーと、
前記トップカバーに覆われるケースと、
前記螺子が挿通される螺子挿通孔部を有し、前記ケースに接続されたブラケットと、
を備え、
前記複数の爪部は、前記車体フレームの複数のガイド孔部に挿入及び回転可能な位置に配置され、
前記ボスは、前記複数の爪部の回転の完了時に、前記車体フレームの複数のボス用穴部に嵌め込まれるとともに、前記螺子挿通孔部と前記螺子用穴部とが重なる位置に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、車両側パネルへの部品の取り付けを容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態及び変形例を図面に基づいて順に詳細に説明する。但し、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0025】
(実施の形態)
図1〜
図7を参照して、本発明に係る実施の形態を説明する。
図1は、本実施の形態の車載取付部品1の斜視図である。
図2は、車載取付部品1を示す斜視展開図である。
図1及び
図2に示す車載取付部品1は、自動車等の車両に取り付けるアンテナ(ガラスアンテナ)のアンテナ受信信号を増幅するアンプを含む車載の取り付け部品である。
【0026】
車載取付部品1は、トップカバー2と、電子部品としての基板3と、ケース4と、ブラケット5と、出力ケーブル6と、入力ケーブル7と、を備える。トップカバー2は、例えば厚さ0.5[mm]のSECC(電気亜鉛メッキ鋼板)等の金属板からなり、略直方体の下面が開放された形状を有し、ケース4を上から覆い嵌合するカバーである。
【0027】
トップカバー2は、トップカバー2の本体部としてのトップカバー本体部21と、曲げ形状の爪部22,23と、を有する。爪部22は、トップカバー本体部21から折り曲げられて、トップカバー本体部21の上面に垂直な+z方向に延在し、再度折り曲げられてトップカバー本体部21の上面の短手方向の−y方向に延在されている。爪部22の先端部分には、−z方向に突出した略半球形状のボス(丸ボス)221が形成されている。爪部23は、トップカバー本体部21の上面の爪部22に対向する位置に配置され、トップカバー本体部21から折り曲げられて+z方向に延在し、再度折り曲げられて+y方向に延在されている。爪部23の先端部分には、−z方向に突出した略半球形状のボス231が形成されている。
【0028】
基板3は、後述するガラスアンテナA1のアンプ回路等の電子回路が搭載されたPCB(Printed Circuit Board)であり、トップカバー2及びケース4の内部に格納される。基板3は、出力ケーブル6と、入力ケーブル7と、が電気的に接続されている。
【0029】
ケース4は、例えば厚さ0.6[mm]のSECC等の金属板からなり、略直方体の上面が開放された形状を有し、トップカバー2に上から嵌合される基板3の下ケースである。ケース4は、ケース4の本体部としてのケース本体部41を有する。ケース本体部41は、底面に、貫通孔としてのカシメ用の孔部42,43を有する。
【0030】
ブラケット5は、例えば厚さ0.6[mm]のSECC等の金属板からなり、車載取付部品1(ケース4)と後述する車両側パネル10とを結合するための部品である。ブラケット5は、平面部51と、凹部52と、を有する。平面部51は、略中心部分に後述する雄螺子V及び後述する穴部111用の貫通孔であり螺子挿通孔部としての孔部53を有する。凹部52は、平面部51に対して−z方向に凹んだ平面部である。凹部52は、ケース4の孔部42,43に対応する位置に配置された+z方向に突出した円筒部54,55を有する。円筒部54,55は、平面部51のバーリング加工により形成されている。
【0031】
出力ケーブル6は、車両内のチューナー(図示略)に接続されるコネクタを有し、一端の当該コネクタがチューナーに電気的に接続され、他端が基板3の端子に電気的に接続される。入力ケーブル7は、ガラスアンテナA1に接続されるコネクタを有し、一端の当該コネクタがガラスアンテナA1に電気的に接続され、他端が基板3の端子に電気的に接続される。
【0032】
次いで、
図3を参照して、車載取付部品1の取付先としての車両側パネル10を説明する。
図3は、車両側パネル10の平面図である。
【0033】
図3に示すように、車両側パネル10は、車両の車体フレームに形成されたSECC等の金属製のパネルである。車両側パネル10は、平面部110,120と、凹部130と、を有する。平面部110,120は、z軸に垂直な面に平行な平面である。凹部130は、平面部110,120の間に配置され、+z方向に凹んだ凹部である。平面部110は、雄螺子V用の雌螺子が形成された螺子用穴部としての穴部111を有する。
【0034】
凹部130は、ガイド孔部としての弧状長孔131,132と、ボス用穴部としての円形孔部133,134と、を有する。弧状長孔131,132は、爪部22,23の回転を案内するガイド孔部として、それぞれ、後述するテーパー形状を有する弧状長孔であり、凹部130の所定の中心点(図示略)を中心とした同一半径の円弧上に配置されている。円形孔部133,134は、ボス221,231が嵌め込まれるボス用穴部として、それぞれ、凹部130の上記中心点からの円弧上の幅の略中央部分の所定の点を中心とした円形の貫通孔である。但し、円形孔部133,134は、貫通孔に限定されるものではなく、凹状の穴部としてもよい。弧状長孔131、円形孔部133と、弧状長孔132、円形孔部134とは、凹部130の上記中心点を中心として、平面上に対向して配置されている。弧状長孔131、円形孔部133が、爪部22の取り付け先となり、弧状長孔132、円形孔部134が、爪部23の取り付け先となる。なお、円形孔部133,134は、非貫通の穴部としてもよい。
【0035】
次いで、
図4及び
図5を参照して、車両側パネル10への車載取付部品1の取付を説明する。
図4は、車両側パネル10へ取り付けた車載取付部品1の断面図である。
図5(a)は、車両側パネル10へ爪部22,23を挿入した状態の車載取付部品1の平面図である。
図5(b)は、車両側パネル10へ取り付けた状態の車載取付部品1の平面図である。なお、
図4は、
図5(b)のiv−iv線における車両側パネル10及び車載取付部品1の断面図となっている。
【0036】
先ず、
図2の各部品により、
図1に示す車載取付部品1が組み立てられているものとする。具体的には、ブラケット5の円筒部54,55が、ケース4の孔部42,43に挿通され、先端を加圧変形することで、
図4に示すように孔部42,43に円筒部54,55のバーリングカシメが形成され、ケース4とブラケット5とが接合される。そして、出力ケーブル6及び入力ケーブル7が接続された基板3がケース4内に格納され、トップカバー2がケース4に嵌合され、
図4に示す車載取付部品1が形成されている。但し、
図4では、基板3が図示省略されている。
【0037】
そして、
図5(a)に示すように、作業員により、車両側パネル10の弧状長孔131,132を目印にして、トップカバー2の爪部22,23が弧状長孔131,132に挿入され、弧状長孔131,132のガイドに応じて、車載取付部品1が作業員から見て時計回りに回転させられる。爪部22,23の回転方向が、作業員から見て時計回りであるので、螺旋回しと同様の方向であり、作業性を向上できる。但し、車載取付部品1及び車両側パネル10が、爪部22,23を反時計周りに回転させる取り付けを行う構成としてもよい。
【0038】
そして、
図5(b)に示すように、爪部22,23のボス221,231が、車両側パネル10の円形孔部133,134に嵌め込まれて、車載取付部品1の回転が停止されて、仮止めされる。この仮止め位置において、ブラケット5の孔部53と、車両側パネル10の穴部111とが、同位置に配置されており、車載取付部品1(孔部53)の位置決めが自動的になされる。この状態で、作業員により、雄螺子Vが孔部53を介して、穴部111の雌螺子に締結されることにより、車載取付部品1が車両側パネル10に取り付けられる。
【0039】
次いで、
図6を参照して、車両への車載取付部品1の取り付け位置を説明する。
図6は、車両Cへの車載取付部品1の取り付け位置を示す図である。
【0040】
図6に示すように、車両側パネル10は、例えば、自動車の車両Cのルーフ部C1の車体フレームの車内側に設けられている。この場合に、ルーフ部C1の車両側パネル10に車載取付部品1が取り付けられる。このとき、車載取付部品1の入力ケーブル7のコネクタは、車両CのリアウインドウC3の車内側に設けられたAM/FM放送、DAB(Digital Audio Broadcast)等の電波受信用のガラスアンテナA1の端子に電気的に接続される。
【0041】
また、
図6に示すように、車両側パネル10は、自動車の車両Cのバックピラー部C2の車体フレームの車内側に設けられていることとしてもよい。この場合にも、バックピラー部C2の車両側パネル10に車載取付部品1が取り付けられ、車載取付部品1の入力ケーブル7のコネクタがガラスアンテナA1の端子に電気的に接続される。
【0042】
次いで、
図7を参照して、車両の走行時の車載取付部品1の振動による異音を低減させる構成を説明する。
図7(a)は、車載取付部品1を取り付けた状態の車両側パネル10の裏面の平面図である。
図7(b)は、
図7(a)のviib−viibにおける車載取付部品1を取り付けた状態の車両側パネル10の断面図である。
【0043】
図7(a)に示すように、車載取付部品1を取り付けた状態の車両側パネル10において、爪部22が弧状長孔131に挿入及び回転されてボス221が円形孔部133に嵌め込まれ、爪部23が弧状長孔132に挿入及び回転されてボス231が円形孔部134に嵌め込まれている。
図7(b)に示すように、ボス231の底面の直径を長さLaとし、円形孔部134の断面の直径を長さLbとする。ボス231と円形孔部134との嵌め合い設定を調整し、長さLa>Lbと設定することで、車両の走行時の振動による円形孔部134の径方向への爪部23のガタツキを抑制して、当該ガタツキによる異音を抑制する。
【0044】
このとき、ボス231、円形孔部134の製造時のバラツキを考慮して長さLa,Lbを設定するのが好ましい。例えば、長さLaの最小値が2.5[mm]、最大値が2.6[mm]となり、長さLbの最小値がφ2.15[mm]、最大値がφ2.25[mm]となる場合に、長さLaの設定値を2.5+0.1/0[mm]とし、長さLbの設定値を2.25+0/−0.1[mm]とする。ボス221、円形孔部133の設計も、ボス231、円形孔部134の設計と同様である。このように設定することで、最悪のバラツキでもラップ代(ラップ幅)が確保できる。
【0045】
また、
図7(a)に示すように、円形孔部133に最も近い弧状長孔131の端部の幅を長さLcとし、円形孔部133から最も離れた弧状長孔131の端部の幅を長さLdとする。爪部22と弧状長孔131との嵌め合い設定を調整し、長さLd>Lcとなるようにして、弧状長孔131の幅を爪部22の移動方向(取り付け時の回転方向)に徐々に狭くしてテーパー形状とし、仮止め位置(回転完了位置)で弧状長孔131で爪部22を挟み込む設定にすることで、車両の走行時の振動による爪部22の前後の移動方向への車載取付部品1のガタツキを抑制して、当該ガタツキによる異音を抑制する。
【0046】
例えば、長さLcを6.7±0.1[mm]とし、長さLdを8.2±0.1[mm]と設定する。爪部23、弧状長孔132の設計も、爪部22、弧状長孔131の設計と同様である。なお、弧状長孔131は、テーパー形状に限定されるものではなく、幅が爪部22の回転方向に段階的に狭くなる形状とする構成としてもよい。
【0047】
以上、本実施の形態によれば、車載取付部品1(車載取付部品1の固定構造)は、ボス221,231が設けられた爪部22,23を有するトップカバー2と、トップカバー2に覆われるケース4と、雄螺子Vが挿通される孔部53を有し、ケース4に接続されたブラケット5、を備える。爪部22,23は、車両側パネル10の弧状長孔131,132に挿入及び回転可能な位置に配置され、ボス221,231は、爪部22,23の回転の完了時に、円形孔部133,134に嵌め込まれるとともに、孔部53と穴部111とが重なる位置に配置されている。
【0048】
このため、作業員が爪部22,23を弧状長孔131,132に挿入して回転させることで車載取付部品1を車両側パネル10に取り付けられるので、車両側パネル10への車載取付部品1の取り付けを容易に行うことができ、作業性を向上できる。また、爪部22,23の回転により、ボス221,231が円形孔部133,134に嵌め込まれるので、雄螺子Vの締結の際に、孔部53の位置決めを手動で行う必要がなく、作業負担を低減できる。また、
図12の車載取付部品1Eであったアンカークリップ561が不要となり、ブラケット5Eに比べてブラケット5を小さくできるため、部品点数を削減でき、小型化、軽量化及び低コスト化を実現できる。また、弧状長孔131,132が比較的大きくなるので、車両側パネル10への車載取付部品1の取り付けをさらに容易に行うことができ、作業性をより向上できる。さらに、爪部22,23及び雄螺子Vにより、車載取付部品1を車両側パネル10に確実に固定できる。
【0049】
また、車載取付部品1は、嵌合されたトップカバー2及びケース4の筐体部に格納される電子部品としての基板3を備える。このため、車載取付部品1により基板3を容易且つ確実に車両に取り付けることができる。
【0050】
また、円形孔部133,134は、円形の穴部であり、ボス221,231は、略半球形状である。ボス221,231の直径の長さLaは、円形孔部133,134の直径の長さLbよりも大きい。このため、車両の走行時の振動による円形孔部133,134の径方向への爪部22,23(車載取付部品1)のガタツキを抑制して、当該ガタツキによる異音を抑制できる。
【0051】
また、弧状長孔131,132は、爪部22,23の回転方向に幅が狭くなる形状である。このため、弧状長孔131,132で爪部22,23を挟み込むことができ、車両の走行時の振動による爪部22,23の前後の移動方向(回転方向)へのガタツキを抑制して、当該ガタツキによる異音を抑制できる。
【0052】
また、孔部53(穴部111)を中心とする爪部22,23の半径と、爪部22,23の中心点(弧状長孔131,132、円形孔部133,134の中心点)からの半径と、を異にするため、車両の走行時の振動等により、車両側パネル10から車載取付部品1が外れることを防止できる。
【0053】
(変形例)
図8〜
図11を参照して、上記実施の形態の変形例を説明する。但し、実施の形態と同じ構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0054】
先ず、
図8(a)、
図8(b)を参照して、第1の変形例としての車載取付部品1Aを説明する。
図8(a)は、車載取付部品1Aが取り付けられた状態の車両側パネル10の裏面の平面図である。
図8(b)は、
図8(a)のviiib−viiib線における車両側パネル10に取り付けられた状態の車載取付部品1Aの断面図である。
【0055】
図8(a)に示すように、車載取付部品1Aは、トップカバー2と、基板3と、ケース4と、ブラケット5と、出力ケーブル6と、入力ケーブル7と、緩衝部としての不織布部8と、を備える。不織布部8は、トップカバー2の爪部22,23の間に配置され、矩形であり、トップカバー本体部21の上面に接着されている。但し、不織布部8の形状は、矩形に限定されるものではない。また、不織布部8は、例えば、フェルトである。
【0056】
図8(b)に示すように、不織布部8は、車両側パネル10に取り付けた状態で、トップカバー本体部21と車両側パネル10の凹部130との間に挟み込まれている。
【0057】
第1の変形例によれば、車載取付部品1Aは、車両側パネル10に取り付けられた際に、トップカバー2と車両側パネル10との間に挟まれる位置に配置された不織布部8を備える。このため、不織布部8により、車両の走行時の振動によるトップカバー2と車両側パネル10との接触による異音を防ぐことができる。
【0058】
次に、
図9(a)、
図9(b)を参照して、第2の変形例としての車載取付部品1B及び車両側パネル10Bを説明する。
図9(a)は、車載取付部品1Bが取り付けられた状態の車両側パネル10Bの裏面の平面図である。
図9(b)は、
図9(a)のixb−ixb線における車載取付部品1Bが取り付けられた状態の車両側パネル10Bの断面図である。
【0059】
図9(a)に示すように、車載取付部品1Bは、トップカバー2Bと、基板3と、ケース4と、ブラケット5と、出力ケーブル6と、入力ケーブル7と、を備える。但し、
図9(a)上では、基板3、出力ケーブル6、入力ケーブル7を図示省略している。
【0060】
トップカバー2Bは、トップカバー本体部21と、曲げ形状の爪部22B,23Bと、を有する。爪部22Bは、トップカバー本体部21から折り曲げられて、+z方向に延在し、再度折り曲げられて+x方向に延在されている。爪部22Bの先端部分には、−z方向に突出した略半球形状のボス221Bが形成されている。爪部23Bは、トップカバー本体部21の上面の爪部22Bに対向する位置に配置され、トップカバー本体部21から折り曲げられて+z方向に延在し、再度折り曲げられて−x方向に延在されている。爪部23Bの先端部分には、−z方向に突出した略半球形状のボス231Bが形成されている。
【0061】
図9(a)に示すように、車両側パネル10Bは、車両の車体フレームに形成されたSECC等の金属製のパネルであり、上記実施の形態の車両側パネル10とは孔の形状が異なる。車両側パネル10Bは、平面部110,120と、凹部130Bと、を有する。凹部130Bは、平面部110,120の間に配置され、−z方向に凹んだ凹部である。
【0062】
凹部130Bは、孔部131B,132Bと、円形孔部133B,134Bと、を有する。孔部131B,132Bは、凹部130Bの所定の中心点(図示略)を中心とした幅が異なる2種類の弧状長孔を繋ぎ合わせた形状を有する。孔部131B,132Bの幅が小さい方の弧状長孔の当該幅は、爪部22B,23Bの厚さ以上の長さに対応し、爪部22B,23Bの厚さに近い方が好ましい。孔部131B,132Bの幅が大きい方の弧状長孔の当該幅は、爪部22B,23Bの上面のx方向の長さ以上の長さに対応する。なお、円形孔部133B,134Bは、非貫通の穴部としてもよい。
【0063】
円形孔部133B,134Bは、それぞれ、凹部130Bの上記中心点からの孔部131B,132Bの小さい方の幅の弧状長孔の内側に対応する位置に配置された円形の貫通孔である。孔部131B、円形孔部133Bと、孔部132B、円形孔部134Bとは、凹部130Bの上記中心点を中心として、平面上に対向して配置されている。孔部131B、円形孔部133Bが、爪部22Bの取り付け先となり、孔部132B、円形孔部134Bが、爪部23Bの取り付け先となる。
【0064】
次いで、車両側パネル10Bへの車載取付部品1Bの取り付けを説明する。車載取付部品1Bは、組み立てられているものとする。作業員により、車両側パネル10Bの孔部131B,132Bを目印にして、トップカバー2Bの爪部22B,23Bが孔部131B,132Bの幅の大きい弧状長孔に挿入され、孔部131B,132Bのガイドに応じて、車載取付部品1Bが作業員から見て時計回り(
図9(a)上では反時計回り)に回転させられる。そして、
図9(a)、
図9(b)に示すように、爪部22B,23Bのボス221B,231Bが、車両側パネル10Bの円形孔部133B,134Bに嵌め込まれて、車載取付部品1Bの回転が停止されて、仮止めされる。仮止め後の工程は、上記実施の形態の仮止め後の工程と同様である。なお、爪部22B,23Bの回転方向を反時計回りとする車載取付部品1B及び車両側パネル10Bの構成としてもよい。
【0065】
第2の変形例によれば、孔部131B,132Bは、爪部22B,23Bの回転方向に幅が狭くなるように幅が異なる2つの弧状長孔を繋ぎ合わせた形状を有し、爪部22B,23Bは、トップカバー2Bの平面の中心から内向きの方向に延在する。このため、車載取付部品1と同様に、車両側パネル10Bへの車載取付部品1Bの取り付けを容易に行うことができる。特に、孔部131B,132Bの小さい方の幅と爪部22B,23Bの厚さとを近くすることができるので、車両の走行時の振動等により、車両側パネル10から車載取付部品1が外れることをより防止できる。
【0066】
次に、
図10(a)、
図10(b)を参照して、第3の変形例としての車載取付部品1C及び車両側パネル10Cを説明する。
図10(a)は、車載取付部品1Cが取り付けられた状態の車両側パネル10Cの裏面の平面図である。
図10(b)は、
図10(a)のxb−xb線における車載取付部品1Cが取り付けられた状態の車両側パネル10Cの断面図である。
【0067】
図10(a)に示すように、車載取付部品1Cは、トップカバー2Cと、基板3と、ケース4と、ブラケット5と、出力ケーブル6と、入力ケーブル7と、を備える。但し、
図10(a)上では、基板3、出力ケーブル6、入力ケーブル7を図示省略している。
【0068】
トップカバー2Cは、トップカバー本体部21と、曲げ形状の爪部22C,23Cと、を有する。爪部22Cは、トップカバー本体部21から折り曲げられて、+z方向に延在し、再度折り曲げられてトップカバー本体部21の−x方向に延在されている。爪部22Cの先端部分には、略半球形状のボス221Cが形成されている。爪部23Cは、トップカバー本体部21の上面の爪部22Cに対向する位置に配置され、トップカバー本体部21から折り曲げられて+z方向に延在し、再度折り曲げられて+x方向に延在されている。爪部23Cの先端部分には、−z方向に突出した略半球形状のボス231Cが形成されている。
【0069】
図10(a)に示すように、車両側パネル10Cは、車両の車体フレームに形成されたSECC等の金属製のパネルであり、上記実施の形態の車両側パネル10とは孔の形状が異なる。車両側パネル10Cは、平面部110,120と、凹部130Cと、を有する。凹部130Cは、平面部110,120の間に配置され、−z方向に凹んだ凹部である。
【0070】
凹部130Cは、孔部131C,132Cと、円形孔部133C,134Cと、を有する。孔部131C,132Cは、凹部130Cの所定の中心点(図示略)を中心とした幅が異なる2種類の弧状長孔を繋ぎ合わせた形状を有する。孔部131C,132Cの幅が小さい方の弧状長孔の当該幅は、爪部22C,23Cの厚さ以上の長さに対応し、爪部22B,23Bの厚さに近い方が好ましい。孔部131C,132Cの幅が大きい方の弧状長孔の当該幅は、爪部22C,23Cの上面のx方向の長さ以上の長さに対応する。なお、円形孔部133C,134Cは、非貫通の穴部としてもよい。
【0071】
円形孔部133C,134Cは、それぞれ、凹部130Cの上記中心点からの孔部131C,132Cの小さい方の幅の弧状長孔の外側に対応する位置に配置された円形の貫通孔である。孔部131C、円形孔部133Cと、孔部132C、円形孔部134Cとは、凹部130Cの上記中心点を中心として、平面上に対向して配置されている。孔部131C、円形孔部133Cが、爪部22Cの取り付け先となり、孔部132C、円形孔部134Cが、爪部23Cの取り付け先となる。
【0072】
次いで、車両側パネル10Cへの車載取付部品1Cの取り付けを説明する。車載取付部品1Cは、組み立てられているものとする。作業員により、車両側パネル10Cの孔部131C,132Cを目印にして、トップカバー2Cの爪部22C,23Cが孔部131C,132Cの幅の大きい弧状長孔に挿入され、孔部131C,132Cのガイドに応じて、車載取付部品1Cが作業員から見て時計回り(
図10(a)上では反時計回り)に回転させられる。そして、
図10(a)、
図10(b)に示すように、爪部22C,23Cのボス221C,231Cが、車両側パネル10Cの円形孔部133C,134Cに嵌め込まれて、車載取付部品1Cの回転が停止されて、仮止めされる。仮止め後の工程は、上記実施の形態の仮止め後の工程と同様である。なお、爪部22C,23Cの回転方向を反時計回りとする車載取付部品1C及び車両側パネル10Cの構成としてもよい。
【0073】
第3の変形例によれば、孔部131C,132Cは、爪部22C,23Cの回転方向に幅が狭くなるように幅が異なる2つの弧状長孔を繋ぎ合わせた形状を有し、爪部22C,23Cは、トップカバー2Cの平面の中心から外向きの方向に延在する。このため、車載取付部品1と同様に、車両側パネル10Cへの車載取付部品1Bの取り付けを容易に行うことができる。特に、孔部131C,132Cの小さい方の幅と爪部22C,23Cの厚さとを近くすることができるので、車両の走行時の振動等により、車両側パネル10Cから車載取付部品1Cが外れることをより防止できる。
【0074】
次に、
図11を参照して、第4の変形例としてのブラケットケース4Dを説明する。
図11は、ブラケットケース4Dの斜視図である。
【0075】
第4の変形例の車載取付部品は、上記実施の形態の車載取付部品1において、ケース4及びブラケット5を、
図11のブラケットケース4Dに代えた構成を有する。ブラケットケース4Dは、ケース及びブラケットを一体構造としたものであり、SECC等の一枚の金属板からなり、略直方体の上面が開放された形状の筐体部41Dと、平面部51Dと、を有する。ブラケットケース4Dは、トップカバー2に上から嵌合される基板3の下ケースであるとともに、車両側パネル10を結合するための部品である。
【0076】
筐体部41Dは、底面に貫通孔を有しない。平面部51Dは、筐体部41Dの底面と一体的に延在され、雄螺子Vが挿通される孔部53Dを有する。
【0077】
第4の変形例によれば、車載取付部品は、ケース及びブラケットを一体構造としたブラケットケース4Dを備える。このため、バーリングカシメ等のようなケース及びブラケットの接続が不要となり、車載取付部品の製造時の作業負担を低減でき、部品点数を削減でき、小型化、軽量化及び低コスト化を実現できる。
【0078】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態及び変形例に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0079】
例えば、上記実施の形態及び各変形例の構成の少なくとも2つを組み合わせる構成としてもよい。また、車載取付部品1,1B,1Cが、ガラスアンテナA1用のアンプ回路が搭載された基板3を格納する構成としたが、これに限定されないものとする。例えば、シャークフィンアンテナ、パッチアンテナ等、他のアンテナ装置用のアンプ回路等が搭載された基板や、チューナー等、他の電子機器が格納される車載取付部品としてもよい。
【0080】
今回開示された実施の形態及び変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。