特許第6687852号(P6687852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6687852
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】車両用ドアロック装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/66 20140101AFI20200421BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20200421BHJP
   E05B 79/08 20140101ALI20200421BHJP
   E05B 81/06 20140101ALI20200421BHJP
   E05B 85/26 20140101ALI20200421BHJP
【FI】
   E05B81/66
   B60J5/00 N
   E05B79/08
   E05B81/06
   E05B85/26
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-141954(P2016-141954)
(22)【出願日】2016年7月20日
(65)【公開番号】特開2018-12940(P2018-12940A)
(43)【公開日】2018年1月25日
【審査請求日】2019年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】591038587
【氏名又は名称】株式会社アンセイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】高木 正晴
(72)【発明者】
【氏名】山路 敏志
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−88708(JP,A)
【文献】 特開2011−153431(JP,A)
【文献】 特開2016−98589(JP,A)
【文献】 特開2011−26826(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0361694(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102008015627(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 77/00−85/28
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、前記車体に対して開閉可能なドアとの間に固定され、前記車体に対して前記ドアを閉じた状態で保持可能な車両用ドアロック装置であって、
内部にラッチ室と収納室とが形成されたハウジングと、
前記ラッチ室内に収納され、前記車体に対して前記ドアを閉じた状態で保持可能なラッチ機構と、
前記収納室内に収納され、前記ラッチ機構を作動可能な作動機構と、
前記ラッチ室及び前記収納室の一方に収納され、前記ラッチ機構又は前記作動機構の第1状態を検出可能な第1スイッチと、
前記ラッチ室及び前記収納室の前記一方に収納され、前記ラッチ機構又は前記作動機構の第2状態を検出可能な第2スイッチと、
前記ハウジングに設けられ、第1列及び第2列の二列に並び、前記第1スイッチと前記第2スイッチとに挟まれた状態で、前記第1スイッチが前記第1列側と接続され、かつ前記第2スイッチが前記第2列側と接続される複数の端子とを備えていることを特徴とする車両用ドアロック装置。
【請求項2】
前記車体にはストライカが固定され、
前記ドアには前記車両用ドアロック装置が固定され、
前記ハウジングは、前記ラッチ室が形成されたラッチハウジングと、前記ラッチハウジングに組み付けられ、前記収納室が形成された作動ハウジングとを有し、
前記ラッチハウジングには前記ストライカが進入可能な進入口が形成され、
前記ラッチ機構は、前記ラッチハウジングに揺動可能に設けられ、前記進入口内に前記ストライカを保持するラッチ位置と、前記進入口内から前記ストライカが離反することを許容するアンラッチ位置とに変位するフォークと、
前記ラッチハウジングに揺動可能に設けられ、前記フォークを固定又は開放するポールとを有し、
前記作動機構は、前記作動ハウジングに変位可能に設けられ、ドアハンドルに対する開操作により変位して前記ポールに作用し、前記ポールに前記フォークを開放させることが可能な第1レバーと、
前記作動ハウジングに変位可能に設けられ、前記第1レバーを前記ポールに作用不能なロック位置に保持する施錠位置と、前記第1レバーを前記ロック位置に保持しない開錠位置とに変位可能とされ、前記開錠位置では前記ラッチ位置にある前記フォークを前記アンラッチ位置に変位可能とする一方、前記施錠位置では前記ラッチ位置にある前記フォークを前記アンラッチ位置に変位不能とする第2レバーと、
前記作動ハウジングに揺動可能に設けられ、前記フォークに連動して、前記ラッチ位置に対応する室内灯オフ位置と、前記アンラッチ位置に対応する室内灯オン位置とに変位する第3レバーと、
前記作動ハウジングに揺動可能に設けられ、キーシリンダに対する開錠操作により揺動して、前記第2レバーを前記施錠位置から前記開錠位置に変位させる一方、前記キーシリンダに対する施錠操作により揺動して、前記第2レバーを前記開錠位置から前記施錠位置に変位させる第4レバーとを有し、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチは、前記収納室に収納され、
前記第1スイッチは、前記第3レバーの変位によって前記第1状態を検出し、
前記第2スイッチは、前記第4レバーの変位によって前記第2状態を検出する請求項1記載の車両用ドアロック装置。
【請求項3】
前記収納室に収納され、前記第2レバーの状態を検出可能な第3スイッチをさらに備え、
前記第3スイッチは、前記第1列側又は前記第2列側と接続され、
前記各端子は、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチに囲まれている請求項2記載の車両用ドアロック装置。
【請求項4】
前記収納室に収納され、前記第2レバーを前記施錠位置及び前記開錠位置に変位させるための駆動力を発生する電動モータをさらに備え、
前記電動モータは、前記第1列側又は前記第2列側と接続され、
前記各端子は、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ及び前記電動モータに囲まれている請求項3記載の車両用ドアロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用ドアロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の車両用ドアロック装置が開示されている。この車両用ドアロック装置は、車体と、車体に対して開閉可能なドアとの間に固定され、車体に対してドアを閉じた状態で保持可能である。この車両用ドアロック装置は、ハウジング、ラッチ機構、作動機構及び複数のスイッチを備えている。
【0003】
ハウジングは、内部にラッチ室と収納室とが形成されている。ラッチ機構は、ラッチ室内に収納されている。ラッチ機構は、車体に対してドアを閉じた状態で保持可能である。作動機構は、収納室内に収納されている。作動機構は、ラッチ機構を作動可能である。
【0004】
特許文献1の図4−1等に図示されているように、第1のスイッチは、ラッチ室に収納されている。第1のスイッチはラッチ機構の一部を構成するフォークの状態を検出可能である。特許文献1の図7−1等に図示されているように、第2のスイッチは、収納室に収納されている。第2のスイッチは、キーサブレバーの変位によって作動機構の状態を検出可能である。特許文献1の図8−1等に図示されているように、第3のスイッチも収納室に収納されている。第3のスイッチは、スイッチレバーの変位によって作動機構の別の状態を検出可能である。
【0005】
特許文献1の図3に図示されているように、ハウジングには、コネクタと複数の端子とが設けられている。特許文献1では各端子の具体的構成は不明であるが、各端子には、第1〜3のスイッチが接続されていると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−188130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の車両用ドアロック装置では、複数のスイッチが分散して配置されているため、各スイッチと各端子とを接続するための配線が長くなり、小型化が難しい。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、小型化を実現できる車両用ドアロック装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車両用ドアロック装置は、車体と、前記車体に対して開閉可能なドアとの間に固定され、前記車体に対して前記ドアを閉じた状態で保持可能な車両用ドアロック装置であって、
内部にラッチ室と収納室とが形成されたハウジングと、
前記ラッチ室内に収納され、前記車体に対して前記ドアを閉じた状態で保持可能なラッチ機構と、
前記収納室内に収納され、前記ラッチ機構を作動可能な作動機構と、
前記ラッチ室及び前記収納室の一方に収納され、前記ラッチ機構又は前記作動機構の第1状態を検出可能な第1スイッチと、
前記ラッチ室及び前記収納室の前記一方に収納され、前記ラッチ機構又は前記作動機構の第2状態を検出可能な第2スイッチと、
前記ハウジングに設けられ、第1列及び第2列の二列に並び、前記第1スイッチと前記第2スイッチとに挟まれた状態で、前記第1スイッチが前記第1列側と接続され、かつ前記第2スイッチが前記第2列側と接続される複数の端子とを備えていることを特徴とする。
【0010】
本発明の車両用ドアロック装置では、ハウジングに設けられた複数の端子が第1列及び第2列の二列に並んでいる。そして、各端子は、第1スイッチと第2スイッチとに挟まれた状態で、第1スイッチが第1列側と接続され、かつ第2スイッチが第2列側と接続される。つまり、第1、2スイッチと各端子とが集約されるので、第1、2スイッチと各端子とを接続するための配線を短くできる。
【0011】
したがって、本発明の車両用ドアロック装置では、小型化を実現できる。
【0012】
車体にはストライカが固定されていることが望ましい。ドアには車両用ドアロック装置が固定されていることが望ましい。ハウジングは、ラッチ室が形成されたラッチハウジングと、ラッチハウジングに組み付けられ、収納室が形成された作動ハウジングとを有していることが望ましい。ラッチハウジングにはストライカが進入可能な進入口が形成されていることが望ましい。ラッチ機構は、ラッチハウジングに揺動可能に設けられ、進入口内にストライカを保持するラッチ位置と、進入口内からストライカが離反することを許容するアンラッチ位置とに変位するフォークと、ラッチハウジングに揺動可能に設けられ、フォークを固定又は開放するポールとを有していることが望ましい。作動機構は、作動ハウジングに変位可能に設けられ、ドアハンドルに対する開操作により変位してポールに作用し、ポールにフォークを開放させることが可能な第1レバーと、作動ハウジングに変位可能に設けられ、第1レバーをポールに作用不能なロック位置に保持する施錠位置と、第1レバーをロック位置に保持しない開錠位置とに変位可能とされ、開錠位置ではラッチ位置にあるフォークをアンラッチ位置に変位可能とする一方、施錠位置ではラッチ位置にあるフォークをアンラッチ位置に変位不能とする第2レバーと、作動ハウジングに揺動可能に設けられ、フォークに連動して、ラッチ位置に対応する室内灯オフ位置と、アンラッチ位置に対応する室内灯オン位置とに変位する第3レバーと、作動ハウジングに揺動可能に設けられ、キーシリンダに対する開錠操作により揺動して、第2レバーを施錠位置から開錠位置に変位させる一方、キーシリンダに対する施錠操作により揺動して、第2レバーを開錠位置から施錠位置に変位させる第4レバーとを有していることが望ましい。第1スイッチ及び第2スイッチは、収納室に収納されていることが望ましい。そして、第1スイッチは、第3レバーの変位によって第1状態を検出することが望ましい。また、第2スイッチは、第4レバーの変位によって第2状態を検出することが望ましい。この場合、作動ハウジングに第1〜4レバー等の多数の部材が設けられるけれども、上記構成によって、小型化を確実に実現できる。
【0013】
本発明の車両用ドアロック装置は、収納室に収納され、第2レバーの状態を検出可能な第3スイッチをさらに備えていることが望ましい。第3スイッチは、第1列側又は第2列側と接続されていることが望ましい。そして、各端子は、第1スイッチ、第2スイッチ及び第3スイッチに囲まれていることが望ましい。この場合、第1〜3スイッチと各端子とが集約されるので、第1〜3スイッチと各端子とを接続するための配線を短くできる。その結果、この車両用ドアロック装置では、一層の小型化を実現できる。
【0014】
本発明の車両用ドアロック装置は、収納室に収納され、第2レバーを施錠位置及び開錠位置に変位させるための駆動力を発生する電動モータをさらに備えていることが望ましい。電動モータは、第1列側又は第2列側と接続されていることが望ましい。そして、各端子は、第1スイッチ、第2スイッチ、第3スイッチ及び電動モータに囲まれていることが望ましい。この場合、第1〜3スイッチと電動モータと各端子とが集約されるので、第1〜3スイッチと電動モータと各端子とを接続するための配線を短くできる。その結果、一層の小型化を実現できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の車両用ドアロック装置によれば、小型化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施例の車両用ドアロック装置の斜視図である。
図2図2は、実施例の車両用ドアロック装置の斜視図である。
図3図3は、ラッチハウジング及びラッチ機構の斜視図である。
図4図4は、ラッチハウジング及びラッチ機構の分解斜視図である。
図5図5は、第1ハウジング及び作動機構の正面図である。
図6図6は、第1ハウジング及び作動機構の分解斜視図である。
図7図7は、第1ハウジングの斜視図である。
図8図8は、第2ハウジングの斜視図である。
図9図9は、ウォームホイール、I/Sロックレバー及び直動ロックレバーの分解斜視図である。
図10図10は、第1ハウジング及び作動機構の正面図である。
図11図11は、O/Sオープンレバー、慣性レバー、フォーク及びポールの動作を説明する模式図である。
図12図12は、O/Sオープンレバー、慣性レバー、フォーク及びポールの動作を説明する模式図である。
図13図13は、O/Sオープンレバー、慣性レバー、フォーク及びポールの動作を説明する模式図である。
図14図14は、O/Sオープンレバー、慣性レバー、フォーク及びポールの動作を説明する模式図である。
図15図15は、アジャSWレバー及び第1スイッチの動作を説明する模式図である。
図16図16は、O/Sロックレバー及び第2スイッチの動作を説明する模式図である。
図17図17は、アジャSWレバー、バネ、第1〜3スイッチ、複数の端子及び電動モータの相対位置関係を示す部分斜視図である。
図18図18は、第1ハウジングにおける第1、2案内面及びバネ収容部の周辺、及び複数の端子を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0018】
(実施例)
図1及び図2に示すように、実施例の車両用ドアロック装置1(以下、単に「ドアロック装置1」と呼ぶ。)は、本発明の車両用ドアロック装置の具体的態様の一例である。ドアロック装置1は、図示は省略するが、自動車、バス、産業車両等の車両の車体に対して開閉可能なドアに固定されている。そして、ドアロック装置1は、車体に固定されたストライカを保持することによって、車体に対してドアを閉じた状態で保持可能である。
【0019】
図1及び図2では、車体の左側面に設けられたドアの後端側の内部に配設されたドアロック装置1を図示している。なお、ドアロック装置1が車体の右側面に設けられたドアの後端側に固定される場合には、勝手違いになるだけである。さらに、ドアロック装置1は、テールゲート等にも設けられ得る。
【0020】
図1及び図2に示す前後方向及び上下方向は、車両の前後方向及び上下方向を基準としている。また、図1及び図2に示す車両内外方向は、車両の車室内に搭乗する者を基準として、車両の左側面側を車両外側とし、その反対側を車両内側としている。図3以降に示す前後方向、上下方向及び車両内外方向は、図1及び図2に対応させて表示している。
【0021】
図1に示すように、ドアロック装置1が固定された図示しないドアの外面には、外側ドアハンドルH1及びキーシリンダH2が配設されている。ドアの車室内に露出する内面には、室内ロックノブH3及び内側ドアハンドルH4が配設されている。外側ドアハンドルH1及び内側ドアハンドルH4は、本発明の「ドアハンドル」の一例である。
【0022】
外側ドアハンドルH1には、伝達ロッドC1の上端部が連結されている。ドアロック装置1は、ドアの内部において外側ドアハンドルH1よりも下方に配設されている。伝達ロッドC1の下端部は、ドアロック装置1のO/Sオープンレバー20に連結されている。
【0023】
キーシリンダH2は、ドアロック装置1の上端部に回動可能に設けられたキーシリンダ保持部C2Aに一体回転可能に保持されている。図2に示すように、キーシリンダ保持部C2Aには、リンクロッドC2Bの上端部が連結されている。リンクロッドC2Bの下端部は、リンクレバーC2Cを介し、図5等を示して後述するO/Sロックレバー30に接続されている。
【0024】
図1に示すように、室内ロックノブH3には、伝達ケーブルC3の一端部が接続されている。内側ドアハンドルH4には、伝達ケーブルC4の一端部が接続されている。図2に示すように、伝達ケーブルC3の他端部は、ドアロック装置1内に引き込まれており、図5等を示して後述するI/Sロックレバー35に接続されている。伝達ケーブルC4の他端部は、ドアロック装置1内に引き込まれており、図5等を示して後述するI/Sオープンレバー25に接続されている。
【0025】
ドアロック装置1は、図1図4に示すラッチハウジング9と、図1図2及び図5図8に示す作動ハウジング7とを備えている。図1及び図2に示すように、作動ハウジング7は、ラッチハウジング9に組み付けられている。ラッチハウジング9及び作動ハウジング7は、本発明の「ハウジング」の一例である。
【0026】
図6図8等に示すように、作動ハウジング7は、それぞれ樹脂製である第1ハウジング70及び第2ハウジング80を有している。図7に示すように、第1ハウジング70は、第1基壁部71と、第1基壁部71を囲む第1周縁部73とを有している。図8に示すように、第2ハウジング80は、第2基壁部81と、第2基壁部81を囲む第2周縁部83とを有している。第1基壁部71と第2基壁部81とが対向し、第1周縁部73と、第2周縁部83とが溶着されることによって、第2ハウジング80が第1ハウジング70に組み付けられ、作動ハウジング7の内部に、収納室7Aが形成されている。収納室7A内には、図5図6及び図9図17に示す作動機構6が収納されている。
【0027】
図4に示すように、ラッチハウジング9は、樹脂製である第3ハウジング90と、それぞれ鋼板製であるベースプレート99及びバックプレート98とを有している。第3ハウジング90にフォーク揺動軸11S及びポール揺動軸12Sを挿通し、第3ハウジング90の後方にベースプレート99を配置し、第3ハウジング90の前方にバックプレート98を配置する。そして、フォーク揺動軸11S及びポール揺動軸12Sのそれぞれの後端部をベースプレート99に加締め固定し、フォーク揺動軸11S及びポール揺動軸12Sのそれぞれの前端部をバックプレート98に加締め固定することによって、ラッチハウジング9の内部に、ラッチ室9Aが形成されている。ラッチ室9Aには、図2図4及び図11図14に示すラッチ機構8が収納されている。
【0028】
図5図7に示すように、第1ハウジング70には、2本の支持部76P、76Qが形成されている。支持部76Pは、第1ハウジング70の第1周縁部73における後方、かつ上方の端部の近傍で、第1基壁部71に凸設されている。支持部76Qは、第1ハウジング70の第1周縁部73における後方、かつ下方の端部の近傍で、第1基壁部71に凸設されている。支持部76P、76Qは、第2ハウジング80の第2基壁部81に向かって延びている。
【0029】
図3及び図4に示すように、第3ハウジング90には、2つの挿通孔96P、96Qが形成されている。挿通孔96Pは、第3ハウジング90の上端側で、車両内外方向に貫設されている。挿通孔96Qは、第3ハウジング90の下端側で、車両内外方向に貫設されている。
【0030】
図8に示すように、第2ハウジング80には、2つの抜止部位86P、86Qが凹設されている。抜止部位86Pは、第2ハウジング80の第2周縁部83における後方、かつ上方の端部の近傍に凹設されている。抜止部位86Pは、支持部76Pの先端部と整合している。抜止部位86Qは、第2ハウジング80の第2周縁部83における後方、かつ下方の端部の近傍に凹設されている。抜止部位86Qは、支持部76Qの先端部と整合している。
【0031】
第2ハウジング80が第1ハウジング70に組み付けられる前に、第3ハウジング90を第1ハウジング70に仮り組みする。この際、図7等に示すように、第1ハウジング70には、第1基壁部71の後端部に、溝状のガイド部71Jが凹設されている。図4に示すように、第3ハウジング90の車両外側、かつ上方の端面には、リブ90Jが凸設されている。そして、ガイド部71Jによってリブ90Jを案内させながら、第3ハウジング90を第1ハウジング70に接近させることにより、第3ハウジング90が適正位置で第1ハウジング70に仮り組みされる。
【0032】
その結果、第1ハウジング70の支持部76Pの中間部が第3ハウジング90の挿通孔96Pに挿通される。1ハウジング70の支持部76Qの中間部が第3ハウジング90の挿通孔96Qに挿通される。
【0033】
次に、第2ハウジング80が第1ハウジング70に組み付けられる際、第1ハウジング70の支持部76Pの先端部を第2ハウジング80の抜止部位86Pに嵌入させる。また、第1ハウジング70の支持部76Qの先端部を第2ハウジング80の抜止部位86Qに嵌入させる。そして、第1ハウジング70の第1周縁部73と、第2ハウジング80の第2周縁部83とを溶着することにより、第3ハウジング90が第1ハウジング70及び第2ハウジング80と接合される。
【0034】
ベースプレート99には、複数の固定穴99Hと、進入口99Aとが形成されている。図示しない複数の止めネジがドアの後端面に挿通され、さらに、ベースプレート99の各固定穴99Hに捩じ込まれることによって、ドアロック装置1は、進入口99Aをドアの後端面に露出させた状態でドアに固定される。進入口99Aには、ドアの開閉に伴ってドアロック装置1が移動する際、車体に固定されたストライカが相対的に進入又は離脱する。
【0035】
図4に示すように、ラッチ機構8は、フォーク11とポール12とを有している。フォーク11は、進入口99Aに対して上方に位置するフォーク揺動軸11Sに揺動可能に支持されている。フォーク揺動軸11Sには、捩じりコイルバネ11Tが装着されている。ポール12は、進入口99Aに対して下方に位置するポール揺動軸12Sに揺動可能に支持されている。ポール揺動軸12Sには、捩じりコイルバネ12Tが装着されている。
【0036】
図11に示すように、フォーク11は、捩じりコイルバネ11Tにより、フォーク揺動軸11S周りでD11方向に揺動するように付勢されている。フォーク11の進入口99A側に位置する部位は、内側凸部11Aと外側凸部11Bとに分岐している。そして、内側凸部11Aと外側凸部11Bとの間に形成された切り欠き部11Cには、進入口99A内に進入したストライカS1が収まるようになっている。図11に示す状態では、フォーク11が進入口99Aの底部でストライカS1を保持している。内側凸部11Aのポール12に対面する先端側には、後述するストッパ面12Aと当接可能なラッチ面11Dが形成されている。
【0037】
ポール12は、捩じりコイルバネ12Tにより、ポール揺動軸12S周りでD12方向に揺動するように付勢されて、図11に示す姿勢を保持している。
【0038】
ポール12における進入口99Aの底部側に位置する部位には、ストッパ面12Aが形成されている。ストッパ面12Aは、上述のラッチ面11Dに対面するように形成されている。ストッパ面12Aを構成する円弧は、フォーク11側で途切れており、そこからポール揺動軸12S側に延びる摺動面12Cが形成されている。一方、ポール12におけるポール揺動軸12Sを挟んでストッパ面12Aとは反対側には、被当接部12Bが形成されている。図4に示すように、被当接部12Bは、前方に向かって柱状に突出している。図3に示すように、被当接部12Bの前端は、ラッチ室9Aから第3ハウジング90を通過して前向きに突出し、収納室7A内に進入している。
【0039】
図11に示すように、ポール12は、フォーク11が進入口99Aの底部でストライカS1を保持した状態で、内側凸部11Aのラッチ面11Dにストッパ面12Aが当接することにより、フォーク11をD11方向に揺動させないように固定する。図11に示すフォーク11の位置は、進入口99A内にストライカS1を保持するラッチ位置である。
【0040】
また、図12に示すように、後述する慣性レバー29がポール12の被当接部12Bに当接して押し上げると、ポール12は、捩じりコイルバネ12Tの付勢力に抗しつつ、ポール揺動軸12S周りでD12方向とは逆方向に揺動する。この際、ストッパ面12Aがラッチ面11Dから離間するので、ポール12がフォーク11の揺動を開放する。そして、フォーク11が捩じりコイルバネ11Tの付勢力によりフォーク揺動軸11S周りでD11方向に揺動して、進入口99A内からストライカS1が離反することを許容するアンラッチ位置に変位する。
【0041】
逆に、ストライカS1が進入口99A内に進入する場合、ストライカS1が外側凸部11Bを押すので、フォーク11がD11方向とは逆方向に揺動し、図12に示すアンラッチ位置から図11に示すラッチ位置に復帰する。この際、外側凸部11B及び内側凸部11Aの先端が順次、摺動面12Cに摺接する。そして、内側凸部11Aが摺動面12Cから離間すると、ポール12は、D12方向に揺動して、図11に示す元の姿勢に復帰する。このため、ストッパ面12Aがラッチ面11Dと当接し、ラッチ位置にあるフォーク11の揺動を固定する。その結果、ラッチ機構8は、車体に対してドアを閉じた状態で保持する。
【0042】
図3及び図4に示すように、第3ハウジング90の収納室7A側の面の上部には、フォーク追従レバー59が揺動可能に支持されている。図4に示すように、フォーク追従レバー59の一端部には、凸部59Aが形成されている。図11及び図12に示すように、フォーク追従レバー59の凸部59Aは、フォーク11の外周面に当接している。これにより、フォーク追従レバー59は、フォーク11がラッチ位置とアンラッチ位置との間で変位する際に、フォーク11に追従して揺動する。図3及び図4に示すように、フォーク追従レバー59の他端部には、凸部59Bが形成されている。フォーク追従レバー59の凸部59Bは、収納室7A内に突出している。
【0043】
図5図6及び図9図10に示すように、作動機構6は、O/Sオープンレバー20、I/Sオープンレバー25、慣性レバー29、O/Sロックレバー30、I/Sロックレバー35、直動ロックレバー40、電動モータM1、ウォームホイール39、アジャSWレバー50、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第3スイッチSW3及び複数の端子T1を有している。これらは、図1に示すように、O/Sオープンレバー20における作動ハウジング7の外部に突出する一端部と、図2に示すように、複数の端子T1におけるコネクタ嵌合部80Cに突出する突端部とを除いて、収納室7A内に収納されている。
【0044】
慣性レバー29は、本発明の「第1レバー」の一例である。直動ロックレバー40は、本発明の「第2レバー」の一例である。アジャSWレバー50は、本発明の「第3レバー」の一例である。O/Sロックレバー30は、本発明の「第4レバー」の一例である。
【0045】
図6及び図7に示すように、第1ハウジング70において、第1基壁部71における後方かつ下方の部位には、O/Sオープンレバー揺動軸20Sが後向きに凸設されている。
【0046】
図5図7に示すように、第1ハウジング70の第1基壁部71における後方かつ下方の部位には、第1軸部75Pが形成されている。第1基壁部71における第1軸部75Pよりも前方の部位には、第2軸部75Qが形成されている。第1基壁部71の略中央に位置する部位には、第3軸部75Rと第4軸部75Sとが形成されている。第1軸部75P、第2軸部75Q、第3軸部75R及び第4軸部75Sはそれぞれ、第2ハウジング80の第2基壁部81に向かって延びている。
【0047】
O/Sオープンレバー20は、O/Sオープンレバー揺動軸20Sに揺動可能に支持されている。図6に示すように、O/Sオープンレバー揺動軸20Sには、捩じりコイルバネ20Tが装着されている。図11に示すように、O/Sオープンレバー20は、捩じりコイルバネ20Tにより、O/Sオープンレバー揺動軸20S周りでD20方向に揺動するように付勢されている。
【0048】
図7に示すように、O/Sオープンレバー揺動軸20Sには、嵌合溝部24が凹設されている。図3に示すように、第3ハウジング90には、嵌合板部94Lが形成された軸受部94が形成されている。図示は省略するが、O/Sオープンレバー揺動軸20Sの嵌合溝部24と、軸受部94の嵌合板部94Lとが嵌合することにより、O/Sオープンレバー20がO/Sオープンレバー揺動軸20Sに対して抜け止めされている。
【0049】
図1及び図11に示すように、O/Sオープンレバー20の一端部は、作動ハウジング7の外部に突出しており、その一端部に、伝達ロッドC1の下端部が連結されている。
【0050】
図5及び図6に示すように、慣性レバー29は、前後方向に延びる揺動軸心X29周りで揺動可能にO/Sオープンレバー20の他端部20Bに支持されている。図11に示すように、慣性レバー29は、図6に示す捩じりコイルバネ29Tにより、揺動軸心X29周りでD29方向に揺動するように付勢されている。
【0051】
外側ドアハンドルH1が開操作されて伝達ロッドC1が下降すると、図12に示すように、O/Sオープンレバー20の一端部が押し下げられて、O/Sオープンレバー20がD20方向とは逆方向に揺動し、慣性レバー29を上昇させる。
【0052】
図5及び図6に示すように、I/Sオープンレバー25は、第1軸部75Pに揺動可能に支持されている。I/Sオープンレバー25における第1軸部75Pから下方に離間する一端部25Aには、図1及び図2に示す伝達ケーブルC4の他端部が連結されている。つまり、I/Sオープンレバー25は、伝達ケーブルC4を介して、内側ドアハンドルH4に連結されている。
【0053】
図5及び図6に示すように、I/Sオープンレバー25の一端部25Aよりも上方の部位には、作用部25Bが形成されている。I/Sオープンレバー25は、内側ドアハンドルH4に対する開操作により、図5の紙面に向かって反時計方向に揺動する。これにより、作用部25BがO/Sオープンレバー20の他端部20Bを押し上げ、慣性レバー29を上昇させる。
【0054】
図6及び図7に示すように、第1ハウジング70において、第1基壁部71における上方の部位には、アジャSWレバー揺動軸50Sが車両内側に向かって凸設されている。そして、アジャSWレバー揺動軸50Sの前端面から、O/Sロックレバー揺動軸30Sが車両内側に向かって凸設されている。
【0055】
より詳しくは、図18に示すように、アジャSWレバー揺動軸50Sは、略円環状の第1案内面61が外周に形成された略円柱体である。第1案内面61は、円筒面と、その円筒面の複数個所から僅かに膨出する湾曲面とによって構成されている。第1案内面61は、車両内外方向に延びる第1軸心X50を規定している。
【0056】
アジャSWレバー揺動軸50Sの第1案内面61よりも内側、換言すると、アジャSWレバー揺動軸50Sの前端面における上方及び後方の部分には、バネ収容部69が車両外側に向かって凹設されている。図17に示すように、バネ収容部69には、捩じりコイルバネである付勢バネ50Tが収容されている。
【0057】
図18に示すように、O/Sロックレバー揺動軸30Sは、円筒状の第2案内面62が外周に形成された円筒体である。第2案内面62は、第1軸心X50の径方向において第1案内面61よりも内側であって、バネ収容部69よりも下方に位置している。第2案内面62は、第1軸心X50に対して下方にずれて、第1軸心X50と平行に延びる第2軸心X30を規定している。第2案内面62の外径は、第1案内面61の外径の半分よりも小さく設定されている。
【0058】
図15図17等に示すように、アジャSWレバー50は、円環部50C、入力部50A及び出力部50Bを有している。円環部50Cは、第1案内面61の外径よりも僅かに大きな内径に設定されたリング形状とされている。図17に示すように、円環部50Cが第1案内面61に外挿されることによって、アジャSWレバー50は、第1軸心X50周りで揺動可能にアジャSWレバー揺動軸50Sに支持されている。円環部50Cには、捩じりコイルバネ50Tの一端部50T1が係合している。これにより、アジャSWレバー50は、図15の紙面に向かって時計方向に付勢されている。入力部50Aは、円環部50Cの外周面における後方の部分から後向きに突出している。図15及び図16に示すように、入力部50Aには、図3に示すフォーク追従レバー59の凸部59Bが連結されている。図15図17に示すように、出力部50Bは、円環部50Cの外周面における前方かつ下方の部分から前方に向かって下り傾斜するように突出し、第1スイッチSW1の近傍まで延びている。
【0059】
フォーク追従レバー59がアンラッチ位置に移動するフォーク11に追従して揺動すると、アジャSWレバー50は、図15に示す位置から図16に示す位置に揺動して、第1スイッチSW1をONにする。図15に示すアジャSWレバー50の位置は、フォーク11のラッチ位置に対応する室内灯オフ位置である。図5図10及び図17に示すアジャSWレバー50の位置も、室内灯オフ位置である。図16に示すアジャSWレバー50の位置は、フォーク11のアンラッチ位置に対応する室内灯オン位置である。第1スイッチSW1のON/OFF信号は、車両の室内灯を点灯又は消灯するための制御に利用される。第1スイッチSW1が検出するフォーク11の状態は、本発明の「第1状態」の一例である。
【0060】
図5図6及び図15等に示すように、O/Sロックレバー30は、第2軸心X30周りで揺動可能にO/Sロックレバー揺動軸30Sに支持されている。図示は省略するが、O/Sロックレバー30には、O/Sロックレバー揺動軸30Sの第2案内面62の外径よりも僅かに大きな内径に設定された軸穴が凹設され、その軸穴に、O/Sロックレバー揺動軸30Sに挿入させることで、O/Sロックレバー30がアジャSWレバー50に対して車両内側から隣接した状態になっている。つまり、アジャSWレバー50及びO/Sロックレバー30は、第1軸心X50及び第2軸心X30が延びる車両内外方向で積層されている。
【0061】
図15及び図16等に示すように、O/Sロックレバー30は、スイッチ係合部30A、係合凹部30D及び連結軸部30Jを有している。スイッチ係合部30Aは、第2軸心X30の径内方向に凹み、内部に第2スイッチSW2のレバーが係合している。係合凹部30Dは、スイッチ係合部30Aよりも車両内側で径内方向に凹んでいる。連結軸部30Jは、係合凹部30Dに隣接する面から第2軸心X30を軸心として、車両内側に向かって突出している。図2に示すように、連結軸部30Jは、第2ハウジング80の外部に突出している。連結軸部30Jの先端部には、リンクレバーC2Cが一体回転可能に固定されている。
【0062】
O/Sロックレバー30は、キーシリンダH2に対する施錠操作により、図15の紙面に向かって反時計方向に揺動する。その一方、O/Sロックレバー30は、キーシリンダH2に対する開錠操作により、図15の紙面に向かって時計方向に揺動する。例えば、キーシリンダH2に対する施錠操作により、図15に示す位置から、図16に二点鎖線で示す位置に揺動し、第2スイッチSW2をONにする。第2スイッチSW2のON/OFF信号は、ドアの施錠/開錠の制御及びドアロック装置1の状態把握に利用される。第2スイッチSW2が検出するO/Sロックレバー30の状態は、本発明の「第2状態」の一例である。
【0063】
図5及び図6に示すように、I/Sロックレバー35は、第2軸部75Qに揺動可能に支持されている。I/Sロックレバー35の一端部35Aには、図1及び図2に示す伝達ケーブルC3の他端部が連結されている。つまり、I/Sロックレバー35は、伝達ケーブルC3を介して、室内ロックノブH3に連結されている。I/Sロックレバー35は、室内ロックノブH3に対する施錠操作により、図5に示す位置から、図10に示す位置に揺動する。また、I/Sロックレバー35は、室内ロックノブH3に対する開錠操作により、図10に示す位置から、図5に示す位置に揺動する。
【0064】
図5及び図6に示すように、I/Sロックレバー35の上部には、カム35Cが形成される。図9に示すように、I/Sロックレバー35の車両外側を向く面には、作用部35Bが車両外側を向かって凸設されている。
【0065】
図5及び図6に示すように、ウォームホイール39は、第3軸部75Rに回動可能に支持されている。図9に示すように、ウォームホイール39の車両外側を向く面には、I/Sロックレバー35のカム35Cと係合可能なカム部39Cが形成されている。リモコンキー等に対する施錠操作又は開錠操作により、電動モータM1が作動すると、ウォームホイール39は、電動モータM1に回転駆動されて、図15の紙面に向かって時計方向又は反時計方向に回動する。そして、ウォームホイール39は、カム部39Cとカム35Cとの係合により、I/Sロックレバー35を図5に示す位置と、図10に示す位置との間で揺動させる。
【0066】
図5及び図6に示すように、直動ロックレバー40は、上下方向に延びる長穴40Hに第4軸部75Sが挿通されることによって、第4軸部75Sに直動可能に支持されている。第4軸部75Sは、断面略「C」字形状とされている。直動ロックレバー40は、長穴40Hよりも上方で二股となる略「Y」字形状である。
【0067】
図6及び図9に示すように、直動ロックレバー40における後方かつ上方に分岐する部位には、直動凸部40Eが車両外側に向かって凸設されている。第1ハウジング70の第1基壁部71には、第4軸部75Sよりも上方かつ後方の位置で上下方向に延びる直動溝部71Eが凹設されている。直動凸部40Eが直動溝部71Eによって案内されることにより、直動ロックレバー40が傾斜することなく上下方向に直動可能となっている。
【0068】
図5及び図6に示すように、直動ロックレバー40の下端部には、凹部40Bが凹設されている。図5に示すように、凹部40Bには、I/Sロックレバー35の作用部35Bが係合している。
【0069】
図9に示すように、直動ロックレバー40の前方かつ上方に分岐する部位の先端には、係合凸部40Cが車両外側に向かって凸設されている。図5図10図15及び図16に示すように、係合凸部40Cは、O/Sロックレバー30の係合凹部30D内に突出している。
【0070】
I/Sロックレバー35が室内ロックノブH3に対する施錠操作、又はリモコンキー等に対する施錠操作により、図5に示す位置から、図10に示す位置に揺動すると、凹部40B及び作用部35Bを介して、その変位が直動ロックレバー40に伝達され、直動ロックレバー40が図5に示す位置から図10に示す位置に押し上げられる。
【0071】
その一方、I/Sロックレバー35が室内ロックノブH3に対する開錠操作、又はリモコンキー等に対する開錠操作により、図10に示す位置から、図5に示す位置に揺動すると、凹部40B及び作用部35Bを介して、その変位が直動ロックレバー40に伝達され、直動ロックレバー40が図10に示す位置から図5に示す位置に引き下げられる。
【0072】
O/Sロックレバー30がキーシリンダH2に対する施錠操作により、図15の紙面に向かって反時計方向に揺動すると、係合凹部30D及び係合凸部40Cを介して、その変位が直動ロックレバー40に伝達され、直動ロックレバー40が図5に示す位置から図10に示す位置に引き上げられる。
【0073】
その一方、O/Sロックレバー30がキーシリンダH2に対する開錠操作により、図15の紙面に向かって時計方向に揺動すると、凹部40B及び作用部35Bを介して、その変位が直動ロックレバー40に伝達され、直動ロックレバー40が図10に示す位置から図5に示す位置に押し下げられる。
【0074】
図9及び図11図14に示すように、直動ロックレバー40における長穴40Hと凹部40Bとの間には、第1面44A、第2面44B及び第3面44Cが形成されている。第1面44A、第2面44B及び第3面44Cは、直動ロックレバー40の車両外側を向く面に形成されている。第1面44A及び第3面44Cはそれぞれ、上下方向に延在する平坦面であり、第1面44Aが第3面44Cよりも車両内側にずれている。第2面44Bは、第1面44Aの下端と、第3面44Cの上端とに接続する傾斜面である。
【0075】
図5図6及び図11図14に示すように、慣性レバー29の前面には、突出部29Aが前向きに凸設されている。突出部29Aは、直動ロックレバー40の直動に応じて、第1面44A、第2面44B及び第3面44Cに摺接する。
【0076】
図3及び図11図14に示すように、第3ハウジング90の収納室7A側には、慣性レバー案内面90Gが形成されている。慣性レバー案内面90Gは、ポール12の被当接部12Bよりも車両外側に位置する下向きの平坦面である。慣性レバー案内面90Gは、被当接部12Bから離間するように車両外側に向かって延びている。図11に示すように、O/Sオープンレバー20が揺動していない状態では、慣性レバー案内面90Gは、上下方向において、被当接部12Bの下端と、慣性レバー29の上端との間に位置している。
【0077】
図11及び図12に示す直動ロックレバー40の位置は、図5に示す直動ロックレバー40の位置と同じである。図13及び図14に示す直動ロックレバー40の位置は、図10に示す直動ロックレバー40の位置と同じである。
【0078】
直動ロックレバー40が図5図11及び図12に示す位置にある状態では、慣性レバー29の突出部29Aが直動ロックレバー40の第1面44Aに当接することにより、慣性レバー29が上向きに起立する状態に保持される。この場合において、図12に示すように、慣性レバー29が上昇すれば、被当接部12Bに当接して、ポール12にフォーク11を開放させる。
【0079】
その一方、直動ロックレバー40が図10図13及び図14に示す位置に変位すると、慣性レバー29の突出部29Aが直動ロックレバー40の第2面44Bに摺接し、さらに、第3面44Cに当接することにより、慣性レバー29が車両外側に向かって傾斜する状態に保持される。この場合において、図14に示すように、慣性レバー29が上昇すれば、慣性レバー案内面90Gに当接して、慣性レバー29が被当接部12Bから離間し、ポール12がフォーク11を固定したままとなる。
【0080】
図11及び図12に示す慣性レバー29の位置は、ポール12に作用可能なアンロック位置である。図13及び図14に示す慣性レバー29の位置は、ポール12に作用不能なロック位置である。直動ロックレバー40は、図10図13及び図14に示す位置では、第3面44Cが突出部29Aに当接して、慣性レバー29をロック位置に保持する。図10図13及び図14に示す直動ロックレバー40の位置は、施錠位置である。
【0081】
その一方、直動ロックレバー40は、図5図11及び図12に示す位置では、第3面44Cが突出部29Aから離間して、慣性レバー29を図13及び図14に示すロック位置に保持しない。慣性レバー29は、捩じりコイルバネ29Tの付勢力によって、突出部29Aを第1面44Aに当接させる。また、慣性レバー29に衝撃が作用する場合、慣性レバー29は、突出部29Aを第1面44Aから離間させて、ロック位置に変位する。図5図11及び図12に示す直動ロックレバー40の位置は、開錠位置である。
【0082】
直動ロックレバー40は、図5図11及び図12に示す開錠位置では、慣性レバー29を起立させて、図11に示すラッチ位置にあるフォーク11を図12に示すアンラッチ位置に変位可能とする。その一方、図10図13及び図14に示す施錠位置では、慣性レバー29を傾斜させて、図11に示すラッチ位置にあるフォーク11を図12に示すアンラッチ位置に変位不能とする。
【0083】
直動ロックレバー40は、図5に示すように、開錠位置に変位すると、第3スイッチSW3内の一つの接点をONにする。その一方、直動ロックレバー40は、図10に示すように、施錠位置に変位すると、第3スイッチSW3内の別の接点をONにする。第3スイッチSW3内の2つの接点のON/OFF信号は、ドアの施錠/開錠の制御及びドアロック装置1の状態把握に利用される。
【0084】
図2に示すように、複数の端子T1は、第2ハウジング80の外側に形成されたコネクタ嵌合部80Cに、突端部が突出する状態で、その他の部分が、図15及び図17に示すように、収納室7A内に収納されている。
【0085】
図15図17及び図18に示すように、複数の端子T1は、上方の列側の複数の端子T11、及び下方の列側の複数の端子T12の二列に並んでいる。上方の列側の複数の端子T11は、第1アース端子T11Eと、第2スイッチ端子T11A、T11Bとからなる。下方の列側の複数の端子T12は、第2アース端子T12Eと、第1スイッチ端子T12Aと、第3スイッチ端子T12C、T12Dと、モータ端子T12M、T12Nとからなる。下方の列側の複数の端子T12は、本発明の「第1列側の複数の端子」の一例である。上方の列側の複数の端子T11は、本発明の「第2列側の複数の端子」の一例である。
【0086】
図15図17及び図18に示すように、第1ハウジング70の第1基壁部71には、第1端子受部77及び第2端子受部78、スイッチ固定部79A、79B、79C、79D、79E、79F及びモータ室79Mが形成されている。
【0087】
第1端子受部77は、第1基壁部71の上方かつ前方の角部に配置されている。第1端子受部77には、上方の列側の複数の端子T11である第1アース端子T11Eと、第2スイッチ端子T11A、T11Bとが前後方向に一列に並んで保持されている。
【0088】
第2端子受部78は、第1端子受部77の下方に配置されている。第2端子受部78には、下方の列側の複数の端子T12である第2アース端子T12Eと、第1スイッチ端子T12Aと、第3スイッチ端子T12C、T12Dと、モータ端子T12M、T12Nとが前後方向に一列に並んで保持されている。
【0089】
図18に示すように、第1アース端子T11Eの一端部はU字状に屈曲されている。第2アース端子T12Eは、複数に分岐している。図17に示すように、第2アース端子T12Eの上方に延びる一端部がU字部分に挟まれることによって、第1アース端子T11Eと第2アース端子T12Eとが電気的に接続されている。
【0090】
図17及び図18に示すように、第1端子受部77と、第1ハウジング70の第1周縁部73の上辺部分との間には、リブ状のスイッチ固定部79Aと、円柱状のスイッチ固定部79Bとが形成されている。図17に示すように、第2スイッチSW2にスイッチ固定部79A、79Bが嵌り込むことによって、第2スイッチSW2が第1基壁部71に保持される。この際、第1アース端子T11Eと、第2スイッチ端子T11A、T11Bとが第2スイッチSW2内に進入し、電気的に接続される。
【0091】
図17及び図18に示すように、第2端子受部78の後端よりも下方には、それぞれ円柱状のスイッチ固定部79C、79Dが形成されている。図17に示すように、第1スイッチSW1にスイッチ固定部79C、79Dが嵌り込むことによって、第1スイッチSW1が第1基壁部71に保持される。この際、第2アース端子T12Eと、第1スイッチ端子T12Aとが第1スイッチSW1内に進入し、電気的に接続される。
【0092】
図17に示すように、スイッチ固定部79C、79Dよりも下方には、リブ状のスイッチ固定部79Eと、円柱状のスイッチ固定部79Fとが形成されている。第3スイッチSW3にスイッチ固定部79E、79Fが嵌り込むことによって、第3スイッチSW3が第1基壁部71に保持される。この際、第2アース端子T12Eと、第3スイッチ端子T12C、T12Dとが第2スイッチSW2内に進入し、電気的に接続される。
【0093】
図17及び図18に示すように、第2端子受部78の前端よりも下方であって、第1周縁部73の前辺に隣接する位置には、モータ室79Mが車両外側に向かって凹設されている。図17に示すように、モータ室79Mに電動モータM1が嵌り込むことによって、電動モータM1が第1基壁部71に保持される。この際、モータ端子T12M、T12Nが電動モータM1に電気的に接続される。
【0094】
図15及び図17等に示すように、複数の端子T1は、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3及び電動モータM1に囲まれている。また、複数の端子T1は、第2スイッチSW2と、第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3とに上下から挟まれた状態で、第2スイッチSW2が上方の列側の複数の端子T11(T11E、T11A、T11B)と接続され、かつ第1スイッチSW1が下方の列側の複数の端子T12(T12E、T12A)と接続されている。
【0095】
このよう構成であるドアロック装置1は、車両の搭乗者の各種操作に応じて、車体に対してドアを閉じた状態で保持したり、ドアを開放させたり、ドアを閉じた状態で施錠又は開錠したりすることができる。
【0096】
<作用効果>
実施例のドアロック装置1では、図15及び図17等に示すように、複数の端子T1が上方の列の複数の端子T11、及び下方の列の複数の端子T12の二列に並んでおり、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3及び電動モータM1に囲まれている。より詳しくは、複数の端子T1は、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2とに上下から挟まれた状態で、第2スイッチSW2が上方の列側の複数の端子T11(T11E、T11A、T11B)と接続され、かつ第1スイッチSW1が下方の列側の複数の端子T12(T12E、T12A)と接続されている。さらに、第3スイッチSW3が下方の列側の複数の端子T12(T12E、T12C、T12D)と接続され、電動モータM1が下方の列側の複数の端子T12(T12M、T12N)と接続されている。これにより、各端子T1は、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第3スイッチSW3及び電動モータM1の近傍に配置されて、第1アース端子T11E、第2スイッチ端子T11A、T11B、第2アース端子T12E、第1スイッチ端子T12A、第3スイッチ端子T12C、T12D及びモータ端子T12M、T12Nの長さを短縮できる。
【0097】
したがって、実施例のドアロック装置1では、小型化を実現できる。
【0098】
また、このドアロック装置1では、作動ハウジング7の収納室7Aに慣性レバー29、直動ロックレバー40、アジャSWレバー50、O/Sロックレバー30、電動モータM1等の多数の部材が収納されるけれども、上記構成によって、それらと各端子T1(T11、T12)が集約されるので、各端子T1の長さを短くでき、小型化を確実に実現できる。
【0099】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は自動車、バス又は産業車両等の車両に利用可能である。
【符号の説明】
【0101】
1…車両用ドアロック装置
9A…ラッチ室
7A…収納室
7、9…ハウジング(7…作動ハウジング、9…ラッチハウジング)
8…ラッチ機構
6…作動機構
SW1…第1スイッチ
SW2…第2スイッチ
T1…複数の端子
T12…第1列側の複数の端子(下方の列側の複数の端子)
T11…第2列側の複数の端子(上方の列側の複数の端子)
S1…ストライカ
99A…進入口
11…フォーク
12…ポール
H1、H4…ドアハンドル(H1…外側ドアハンドル、H4…内側ドアハンドル)
29…第1レバー(慣性レバー)
40…第2レバー(直動ロックレバー)
50…第3レバー(アジャSWレバー)
H2…キーシリンダ
30…第4レバー(O/Sロックレバー)
SW3…第3スイッチ
M1…電動モータ
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