(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
板ガラスを固定する定盤と、加工具とを備える端面加工装置により、前記板ガラスの端面に加工を施す端面加工工程と、所定の搬送方向に沿って、前記板ガラスを搬送装置によって定盤に対して搬入し又は搬出する搬送工程とを備える板ガラスの製造方法であって、
前記端面加工工程は、前記定盤の上方位置に配置される定盤洗浄装置によって前記定盤を洗浄する定盤洗浄工程を備え、
前記加工具は、前記板ガラスの前記搬送方向とは逆の方向に沿って移動しつつ前記板ガラスの端面を加工するように構成され、
前記定盤洗浄装置は、前記定盤に向かって洗浄液を吐出するノズルを有し、
前記加工具が前記ノズルを追いかけるように移動しつつ、前記ノズルは、前記板ガラスを前記加工具によって加工する前に、前記搬送方向とは逆の方向に沿って移動しながら、前記板ガラスの上面に洗浄液を吐出し、
前記定盤洗浄工程では、前記定盤に固定された前記板ガラスに対して前記加工具による端面加工が終了した後に、前記搬送装置により前記板ガラスを前記定盤から搬出し、新たな加工用の板ガラスを前記定盤に搬入して固定するまでの間に、搬出される前記板ガラスを前記ノズルが追いかけるように前記搬送方向に移動しながら、前記定盤洗浄装置により前記定盤を洗浄することを特徴とする板ガラスの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
図1乃至
図13は、本発明に係る板ガラスの製造方法及び製造装置の一実施形態を示す。
【0020】
図1及び
図2に示すように、製造装置1は、板ガラスGを所定の方向(搬送方向X)に搬送する搬送装置2と、板ガラスGの端面に加工を施す端面加工装置3と、端面加工装置3の上流に配置される切断装置4と、端面加工装置3の下流側に配置される洗浄装置5とを備える。
【0021】
搬送装置2は、切断装置4から端面加工装置3へ、そして端面加工装置3から洗浄装置5へと板ガラスGを移送する。
図1に示すように、搬送装置2は、板ガラスGの搬送過程において、第1待機位置WP1と、第1待機位置WP1の下流側にて端面加工装置3による加工を行う加工位置CPと、加工位置CPの下流側にて板ガラスGを待機させる第2待機位置WP2とに板ガラスGを移動させる。また、搬送装置2は、図示しないセンサと連動して、板ガラスGを各位置WP1,CP,WP2に停止させる。
【0022】
搬送装置2は、板ガラスGを搬送する複数の搬送ベルト6と、搬送ベルト6の駆動装置7と、搬送ベルト6の一部を上下動させる昇降装置8と、板ガラスGを所定位置で保持する保持装置9とを備える。
【0023】
搬送ベルト6は、ゴムその他の弾性体により無端状に構成されるとともに、駆動装置7に駆動されることで、その上部に載せられる板ガラスGを移動させる。なお、本実施形態では、三本の搬送ベルト6を例示するが、搬送ベルト6の数はこれに限定されず、板ガラスGのサイズに応じて適宜設定され得る。各搬送ベルト6は等間隔で配置されている。
【0024】
駆動装置7は、搬送ベルト6が巻回される複数のプーリー10と、プーリー10を駆動するモータ(図示せず)とを有する。駆動装置7は、上記のプーリー10に限らず、スプロケットその他の各種駆動体により搬送ベルト6を駆動し得る。
【0025】
昇降装置8は、搬送ベルト6を案内するガイド部材11と、このガイド部材11を上下動させるアクチュエータ12とを備える。ガイド部材11は、例えば合成樹脂により構成され得る。
図2に示すように、ガイド部材11は、搬送ベルト6を案内する溝部11aを有する。アクチュエータ12は、シリンダ装置により構成されるが、これに限定されるものではない。アクチュエータ12は、ガイド部材11の位置を、待機位置と、この待機位置よりも上方の位置とに変更する。
【0026】
図1に示すように、保持装置9は、板ガラスGの第2待機位置WP2に対応するように配置されている。保持装置9は、板ガラスGを保持可能な複数の保持部材13と、各保持部材13を昇降させるアクチュエータ14とを備える。
【0027】
保持部材13は、金属製で長尺状に構成される中空状の棒状部材である。保持部材13の幅は、各搬送ベルト6の間隔よりも小さく設定されている。これにより、保持部材13は、搬送ベルト6の間で上下方向に移動できる。保持部材13の内部には、水その他の液体が充填されるが、これに限らず、気体と液体とを混合してなる気液混合流体を充填してもよい。保持部材13は、この液体を外部に吐出する孔15を有する。
【0028】
端面加工装置3は、搬送装置2により設定される板ガラスGの加工位置CPに対応して配置されている。本実施形態において、端面加工装置3は、板ガラスGの端面に対して面取りを施す研削装置として例示されるが、これに限定されず、板ガラスGの端面に研磨を施す研磨装置を含み得る。
【0029】
端面加工装置3は、板ガラスGが載置される定盤16と、加工具17a,17bと、板ガラスGの位置決めを行う位置決め装置18と、板ガラスGの端面の位置を測定する変位センサ19a〜19cと、定盤16の洗浄を行う定盤洗浄装置20と、を備える。
【0030】
定盤16は、複数(図例では四本)の構成部材16a〜16dに分割されてなる。
図2乃至
図4に示すように、各構成部材16a〜16dは、長尺状に構成されるとともに、一定の間隔をおいて並設されている。これにより、各構成部材16a〜16dの間には、搬送ベルト6が通過可能な空間(走行路)が形成されている。
【0031】
各構成部材16a〜16dは、中空状に構成された棒状部材である。各構成部材16a〜16dの内部には、気体(例えば空気)と液体(例えば水)とを混合させてなる気液混合流体MLが充填されている。また、各構成部材16a〜16dの上面には、板ガラスGの下面を支持する支持部21が設けられている。支持部21は、長尺状に構成されるとともに、例えばゴム等の弾性体により構成される。支持部21は、各構成部材16a〜16dに充填されている気液混合流体MLを吐出する孔22を有する。また、各構成部材16a〜16dの上面には、この構成部材16a〜16dを内外貫通する貫通孔23が形成されている。
【0032】
各構成部材16a〜16dには、図示しない吸引装置及び圧送装置が接続されている。吸引装置の作用により、各構成部材16a〜16dは、支持部21の孔22及び貫通孔23を介して、支持部21に載置された板ガラスGを吸着する。すなわち、各構成部材16a〜16dに係る孔22及び貫通孔23は、板ガラスGを支持部21に固定する固定部として機能する。また、圧送装置の作用により、孔22及び貫通孔23は、構成部材16a〜16dの内部に充填されている気液混合流体MLを支持部21側に吐出する。
【0033】
加工具17a,17bは、ダイヤモンドホイール等の研削具(砥石)により構成される。
図2に示すように、加工具17a,17bは、板ガラスGの二辺G1,G2に係る端面を加工するように、一方の辺G1の端面を加工する加工具17aと、他方の辺G2の端面を加工する加工具17bとを有する。各加工具17a,17bは、回転しながら各辺G1,G2の一端部から他端部に向かって直線的に移動する(実線及び二点鎖線で示す)ことで、板ガラスGの各辺G1,G2における端面をその全長にわたって研削(面取り)する。なお、各加工具17a,17bの直線移動は、例えばリニアモーションガイドにより行われるが、これに限定されるものではない。
【0034】
図2に示すように、位置決め装置18は、定盤16の支持部21上に載せられた四角形状の板ガラスGの第1の辺G1に当接可能な二個の押付部材24a,24bと、この第1の辺G1と対向する第2の辺G2に当接可能な二個の受止部材25a,25bと、これら第1の辺G1及び第2の辺G2に対して直角を為す第3の辺G3に当接可能な一個の押付部材24cと、この第3の辺G3と対向する第4の辺G4に当接可能な一個の受止部材25cとを有する。
【0035】
この場合、板ガラスGの各辺G1〜G4は、定盤16の外周縁よりも外側に位置しており、また各押付部材24a〜24c及び各受止部材25a〜25cは、定盤16の外周縁よりも外側、更には板ガラスGの四辺G1〜G4よりも外側に配置されている。したがって、この板ガラスGは、計三個の受止部材25a〜25cによって三点で支持されると共に、計三個の押付部材24a〜24cによっても三点で支持される。
【0036】
押付部材24a〜24c及び受止部材25a〜25cは、板ガラスGの位置決めを行う際に、板ガラスGに接触し、そして位置決めが終了すると、板ガラスGから退避するように構成される。
【0037】
各押付部材24a〜24cは、板ガラスGの対応する各辺G1、G3にそれぞれ当接する円形状の当接押し体26と、各当接押し体26に対して板ガラスGの各辺G1、G3と直交する方向への移動力をそれぞれ付与するアクチュエータ27とを有する。
【0038】
受止部材25a〜25cは、板ガラスGの対応する各辺G2,G4に当接する円柱状(または円筒状)の当接受け体28を有する。当接受け体28は、弾性体により構成されるとともに、バネ或いは流体圧シリンダ等の付勢部材29によって支持されている。したがって、各当接受け体28は、板ガラスGの対応する各辺G2,G4との当接をそれぞれ維持した状態で板ガラスGと共に移動可能とされている。
【0039】
図2に示すように、変位センサ19a〜19cは、板ガラスGの第1の辺G1に当接可能な二個の変位センサ19aと、板ガラスGの第2の辺G2に当接可能な二個の変位センサ19bと、第3の辺G3に当接可能な一個の変位センサ19cとを含む。
【0040】
また、
図2に示すように、各変位センサ19a〜19cは、接触式センサであって、板ガラスGの対応する各辺G1〜G3に当接可能な接触子をそれぞれ有する。各変位センサ19a〜19cは板ガラスGに接触して測定した位置データと、基準値とを比較することで、位置決めの際に生じた板ガラスGの位置ずれの量を計測できる。
【0041】
図1に示すように、定盤洗浄装置20は、定盤16の上方位置に配置されている。この定盤洗浄装置20は、洗浄液を吐出する複数のシャワーノズル30と、定盤16に接触可能な複数の洗浄ブラシ31とを備える。シャワーノズル30の数は、定盤16の各構成部材16a〜16dに対し個別に洗浄液を吐出するように、構成部材16a〜16dの数と同じ四個になっている。同様に洗浄ブラシ31の数は、構成部材16a〜16dの数と同じ四個である。各シャワーノズル30及び各洗浄ブラシ31は、定盤16の構成部材16a〜16dと同様に、所定の間隔で離間されて配置されている。
【0042】
シャワーノズル30は、図示しない移動機構により、板ガラスGの搬送方向Xとその逆方向(以下「反搬送方向」という)XRとに往復移動するように構成される。各シャワーノズル30は、定盤16の構成部材16a〜16dの上方で、下方を向くように配置され、液体又は気液混合流体からなる洗浄液を下方に吐出するように構成される。
【0043】
洗浄ブラシ31は、シャワーノズル30と同様に、移動機構により、板ガラスGの搬送方向Xと反搬送方向XRとに往復移動するように構成される。洗浄ブラシ31の移動は、シャワーノズル30の移動と同じ速度で行われる。また、洗浄ブラシ31は、アクチュエータ32により、上下方向に移動するように構成される。すなわち、洗浄ブラシ31は、定盤16よりも上方の退避位置と、退避位置から下降して定盤16の構成部材16a〜16dに係る支持部21に接触する洗浄位置とに位置変更可能に構成される。また、洗浄ブラシ31は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0044】
切断装置4は、ダイヤモンドカッター等のスクライブホイールを有する。切断装置4は、このスクライブホイールによって、ガラス基板にスクライブ線を刻設し、このスクライブ線を沿ってガラス基板を折り割ることで、所定寸法の板ガラスGを形成する。
【0045】
洗浄装置5は、所定の洗浄液を板ガラスGに供給する供給装置と、回転可能な洗浄ヘッドとを有する。洗浄装置5は、供給装置により板ガラスGに洗浄液を供給しながら、洗浄ヘッドを板ガラスGの表面に接触させ、その回転により板ガラスGに付着する異物を除去する。
【0046】
以下、上記の製造装置1を使用して板ガラスGを製造する方法について説明する。本実施形態に係る板ガラスGの製造方法は、
図5に示すように、成形工程S1と、切断工程S2と、端面加工工程S3と、洗浄工程S4とを備える。その他、本方法は、板ガラスGを切断装置4から端面加工装置3へ、そして端面加工装置3から洗浄装置5へと移動させる搬送工程を備える。
【0047】
成形工程S1では、公知のフロート法、ロールアウト法、スロットダウンドロー法、リドロー法等を使用することができるが、オーバーフローダウンドロー法によりガラス基板を成形することが好ましい。オーバーフローダウンドロー法は、断面が略くさび形の成形体の上部に設けられたオーバーフロー溝に溶融ガラスを流し込み、このオーバーフロー溝から両側に溢れ出た溶融ガラスを成形体の両側の側壁部に沿って流下させながら、成形体の下端部で融合一体化し、一枚のガラス基板を連続成形するというものである。これにより、精度の高い大型のガラス基板が成形される。
【0048】
切断工程S2では、切断装置4によるスクライブ切断により、このガラス基板を切断し、所定寸法の板ガラスGを得る。この切断工程S2では、ガラス基板に設定される切断予定線に沿ってスクライブホイールを走行させ、ガラス基板に、切断予定線に沿って所定深さを有するスクライブ線を刻設する。その後、このスクライブ線の周辺に曲げモーメントを作用させ、板ガラスGをこのスクライブ線に沿って折り割る。この折割によって複数の板ガラスGを得る。
【0049】
切断工程S2により得られた板ガラスGは、搬送工程により、切断装置4から端面加工装置3へと搬送される。具体的には、搬送装置2により、第1待機位置WP1にて一時的に待機させた板ガラスGを、端面加工装置3の定盤16に対して設定される加工位置CPへと搬入する。端面加工装置3による加工が終了すると、定盤16から板ガラスGを搬出し、第2待機位置WP2へと移動させ、一時待機させる。
【0050】
端面加工工程S3は、
図6に示すように、位置決め装置18による板ガラスGの位置決め工程S31と、板ガラスGを定盤16に固定する固定工程S32と、各変位センサ19a〜19cによって板ガラスGの端面の位置を測定する測定工程S33と、定盤16に固定された板ガラスGの上面を洗浄する板ガラス洗浄工程S34と、加工具17a,17bによって板ガラスGの端面に対して面取りを行う研削加工工程S35と、定盤16の支持部21を洗浄する定盤洗浄工程S36とを備える。
【0051】
以下、端面加工工程S3について、搬送工程との関係を交えつつ、
図7乃至
図13を参照しながら詳細に説明する。
図7は、加工位置CPに配置された板ガラスGの加工を開始する直前の状態を示す。
図7に示すように、第2待機位置WP2では、既に加工が終了した板ガラスGが待機中である。また、切断装置4により切断加工された新たな板ガラスGが搬送装置2に向かって移動中である。
【0052】
この状態において、製造装置1は、第2待機位置WP2にある板ガラスGを待機させつつ、切断装置4から新たな板ガラスGを搬送装置2により受け取るとともに、端面加工装置3により、加工位置CPにある板ガラスGの加工を行う。
【0053】
この際、
図8に示すように、搬送装置2は、保持装置9を始動させる。保持装置9の保持部材13は、アクチュエータ14の動作により上昇し、搬送ベルト6に支持されている板ガラスGを持ち上げる。これにより、板ガラスGは、搬送ベルト6から上方に離間した状態、すなわち、第2待機位置WP2の上方に位置した状態となる。
【0054】
このように、搬送工程では、加工位置CPに板ガラスGが配置された状態で、他の板ガラスGを第1待機位置WP1に配置するときに、第2待機位置WP2に配置されている板ガラスGを保持装置9により第2待機位置WP2の上方位置で保持する(保持工程)。このとき、保持部材13は、その孔15から液体を吐出している。これにより、保持部材13と板ガラスGとの間にこの液体が介在することになり、保持工程における板ガラスGに対する擦傷の発生が防止される。
【0055】
次に、搬送装置2は、搬送ベルト6を始動させ、切断装置4から新たな板ガラスGを受け取る。
図9に示すように、搬送装置2は、この板ガラスGを第1待機位置WP1に移動させた後、搬送ベルト6を停止させる。なお、第2待機位置WP2の上方にて保持される板ガラスGは、搬送ベルト6の始動によって移動することはない。
【0056】
上記のように搬送装置2が動作する間に、端面加工装置3は、加工位置CPにある板ガラスGの端面の加工を開始する。具体的には、位置決め工程S31、固定工程S32、測定工程S33、板ガラス洗浄工程S34、研削加工工程S35、及び定盤洗浄工程S36が順に実行される。
【0057】
位置決め工程S31では、二個の押付部材24a,24bの当接押し体26が板ガラスGの第1の辺G1を押動させると共に、一個の押付部材24cの当接押し体26が第3の辺G3を押動させる。この結果、板ガラスGの第2の辺G2が二個の受止部材25a,25bの当接受け体28に当接すると共に、第4の辺G4が一個の受止部材25cの当接受け体28に当接する(
図2参照)。これにより、板ガラスGは、定盤16に対して位置決めされる。
【0058】
位置決め工程S31が終了すると、位置決め装置18が板ガラスGから退避し、固定工程S32が実行される。固定工程S32では、吸引装置により、定盤16の各孔22,23を通じて板ガラスGの裏面側に負圧を生じさせ、これにより板ガラスGを定盤16の支持部21上に吸着保持させる。
【0059】
固定工程S32が終了すると、測定工程S33が実行される。この測定工程S33では、各変位センサ19a〜19cが、対応する板ガラスGの各辺G1〜G3の端面に接触し、その位置(変位)を測定する。この測定工程S33により、位置決め工程S31において位置決めされた板ガラスGにおける基準位置からのずれ量が検出される。
【0060】
この測定工程S33が終了すると、変位センサ19a〜19cが板ガラスGから退避し、板ガラス洗浄工程S34が実行される。この板ガラス洗浄工程S34では、
図3、
図7乃至
図9に示すように、板ガラスGの下流側にて停止しているシャワーノズル30を反搬送方向XRに沿って移動させつつ、このシャワーノズル30から洗浄液を下方に位置する板ガラスGへと吐出させる。このシャワーノズル30は、加工具17a,17bによる研削加工工程S35が開始される前に洗浄液を板ガラスGへと噴射する。
【0061】
これにより、切断工程S2において板ガラスGの上面に付着した異物を除去することができる。さらに、板ガラスGの上面に洗浄液が残ることで、後に行われる研削加工工程S35において板ガラスGから発生するガラス粉が板ガラスGの上面に付着することを防止する。なお、洗浄ブラシ31は、回転することなく、シャワーノズル30と共に反搬送方向XRに沿って板ガラスGの上方を通過する。
【0062】
図9に示すように、板ガラスGの下流側の端部から上流側の端部までの範囲で洗浄液を板ガラスGに噴射すると、シャワーノズル30は洗浄液の吐出を止め、洗浄ブラシ31とともにその場にて待機する。
【0063】
研削加工工程S35では、各変位センサ19a〜19cによって測定された板ガラスGにおける端面のずれ量に基づいて各加工具17a,17bの研削量が決定される。各加工具17a,17bは、決定された研削量に基づいて端面に対する研削を行う。各加工具17a,17bは、第1の辺G1及び第2の辺G2の一端部から他端部にわたって、その端面を研削する。
【0064】
各加工具17a,17bは、定盤洗浄装置20のシャワーノズル30が移動する間に、このシャワーノズル30を追いかけるように反搬送方向XRに沿って移動し、板ガラスGの端面を研削する。この場合、各加工具17a,17bの移動速度は、シャワーノズル30の移動速度以下であり、加工具17a,17bがシャワーノズル30を追い越すことはない。このようにシャワーノズル30の移動中に研削加工工程S35を開始することにより、板ガラスGの製造に係るタクトタイムを短縮できる。
【0065】
各加工具17a,17bは、板ガラスGの一端部から他端部まで、端面の研削加工を行った後、次回の研削加工に備えて、板ガラスGの一端部側における待機位置へと戻る。加工終了時には、搬送工程により新たな板ガラスGが第1待機位置WP1に到着している。この板ガラスGが到着すると、保持装置9は、保持していた板ガラスGを搬送ベルト6に戻す。すなわち、保持装置9は、保持部材13を下降させて待機位置(
図9において二点鎖線で示す位置)へと戻す。これにより、板ガラスGは、保持部材13から離れ、再び搬送ベルト6における第2待機位置WP2に配置される。
【0066】
研削加工工程S35が終了すると、搬送装置2による各板ガラスGの同時搬送が実行される。板ガラスGの搬送にあたり、端面加工装置3は、圧送装置を作動させて、定盤16における各構成部材16a〜16dの各孔22,23から気液混合流体MLを吐出し、板ガラスGの吸着固定を解除する。
【0067】
その後、
図10に示すように、搬送装置2の昇降装置8におけるガイド部材11が上昇する。これにより、搬送ベルト6は、定盤16の支持部21よりも上方に移動し、板ガラスGを持ち上げる。これにより、板ガラスGは、定盤16の支持部21から離れ、加工位置CPの上方に位置することになる。
【0068】
この状態で、搬送装置2は、搬送ベルト6を始動させ、各板ガラスGを同時に搬送方向Xに沿って下流側へと搬送する。すなわち、第2待機位置WP2にて待機していた板ガラスGを洗浄装置5へと移動させ、加工位置CPにて加工が終了した板ガラスGを第2待機位置WP2へと移動させ、第1待機位置WP1にて待機していた板ガラスGを加工位置CPへと移動させる。
【0069】
定盤洗浄工程S36は、これらの板ガラスGの移動中に開始される。
図10、
図11に示すように、定盤洗浄装置20は、アクチュエータ32を作動させ、洗浄ブラシ31を下降させる。各洗浄ブラシ31は、対応する定盤16の構成部材16a〜16dの支持部21に接触する。また、モータに駆動されることで、洗浄ブラシ31は回転を開始する。
【0070】
この場合において、洗浄ブラシ31と搬送ベルト6とは側面視において重なる(
図10参照)が、各洗浄ブラシ31は搬送ベルト6に接触しないように、間隔をおいて配置されている。このため、各洗浄ブラシ31は、各構成部材16a〜16dの支持部21のみに接触する(
図11参照)。
【0071】
このとき、加工位置CPにあった板ガラスGが第2待機位置WP2への移動を開始しており、洗浄ブラシ31及びシャワーノズル30は、この板ガラスGを追いかけるように、搬送方向Xに沿って移動を開始する。シャワーノズル30及び洗浄ブラシ31は、移動機構の動作により、この搬送ベルト6における板ガラスGの搬送速度とほぼ同じ速度で、下流側へと移動する。このように、板ガラスGを搬送しながら、定盤16の洗浄を行うことにより、板ガラスGの製造に係るタクトタイムを可及的に短縮できる。
【0072】
洗浄ブラシ31は、その移動方向に対して逆の方向に回転しながら、定盤16の支持部21を洗浄する。すなわち、
図12に示すように、紙面に向かって右方向(搬送方向X)に移動する洗浄ブラシ31は、左回り(反時計回り)に回転する。このような回転により、洗浄ブラシ31は、定盤16の支持部21に付着したガラス粉等の異物を確実に分離させることができる。
【0073】
この定盤洗浄工程S36では、定盤16の構成部材16a〜16dにおける各孔22,23から気液混合流体MLを支持部21に吐出しながら、洗浄ブラシ31による洗浄を行う。このようにすることで、定盤16の支持部21に付着している異物を分離させ易くなる。また、定盤洗浄工程S36では、洗浄ブラシ31が先行し、シャワーノズル30がその後を追うように同じ速度で移動する。これにより、各構成部材16a〜16dの支持部21に付着していた異物を、洗浄ブラシ31によって分離させた直後に、シャワーノズル30の洗浄液により確実に洗い落すことができる。
【0074】
図13に示すように、洗浄ブラシ31は、定盤16に係る各構成部材16a〜16dの支持部21を洗浄し終えると、定盤洗浄装置20におけるアクチュエータ32の動作によって上昇し、待機位置(二点鎖線で示す位置)へと戻る。また、シャワーノズル30は洗浄ブラシ31とともに停止し、洗浄液の吐出も停止させる。以上により、定盤洗浄工程S36が終了する。
【0075】
なお、定盤洗浄工程S36の終了時には、第1待機位置WP1にて待機していた板ガラスGが加工位置CPへと到着する。
図13において二点鎖線で示すように、板ガラスGは、搬送ベルト6によって支持された状態で、定盤16の上方位置に配置される。その後、昇降装置8は、上方位置にあるガイド部材11を下降させ、待機位置へと戻す。これにより、板ガラスGは、定盤16の上方位置からこの定盤16に向かって下降し、その支持部21(加工位置CP)に載置される。ガイド部材11が待機位置に戻ることにより、搬送ベルト6は、定盤16の支持部21よりも下方に移動する。以上により、
図7に示す状態に戻り、以後、上記の動作が繰り返される。
【0076】
なお、端面加工工程S3では、四角形状の板ガラスGの二辺G1,G2に係る端面の研削を行った後、この板ガラスGを水平方向において90°回転させてその姿勢を変更し、残りの二辺G3,G4に係る端面の研削が行われるが、この工程については図示していない。また、研削加工工程S35が行われた後に、板ガラスGのコーナーカット工程(図示せず)が実行され得るが、これに限定されるものではない。
【0077】
端面加工工程S3が終了すると、洗浄工程S4が実行される。洗浄工程S4では、端面加工が終了した板ガラスGが洗浄装置5に移送され、供給装置によって洗浄液を供給するとともに、洗浄ヘッドによって板ガラスGの表面が洗浄される。以上の各工程S1〜S4を経ることで、板ガラスGは製品化される。
【0078】
以上説明した本実施形態に係る板ガラスGの製造方法及び製造装置1によれば、定盤洗浄工程S36において、洗浄ブラシ31を定盤16に接触させることで、この定盤16に付着する異物を分離させ、シャワーノズル30から洗浄液を定盤16に向けて吐出することにより、この異物を洗い流すことができる。このように洗浄ブラシ31とシャワーノズル30からの洗浄液の噴射により、定盤16に付着した異物を確実に除去することができる。
【0079】
また、定盤洗浄工程S36では、端面加工が終了した板ガラスGを定盤16から搬出し、新たな加工用の板ガラスGを定盤16に固定するまでの間に行われる。これにより、端面加工工程S3を阻害することなく定盤16の洗浄を行うことができるため、板ガラスGの製造に係るタクトタイムを長期化させることがない。したがって、板ガラスGを効率良く製造することが可能である。また、洗浄ブラシ31による洗浄が終了すると、洗浄ブラシ31は定盤16から上方に退避することから、板ガラスGの搬送を洗浄ブラシ31が邪魔することはない
【0080】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能 である。
【0081】
上記の実施形態では、シャワーノズル30と洗浄ブラシ31とを備える定盤洗浄装置20により定盤16を洗浄する例を示したが、これに限定されない。シャワーノズル30のみを有する定盤洗浄装置20によって定盤16を洗浄してもよく、洗浄ブラシ31のみを有する定盤洗浄装置20により定盤16を洗浄してもよい。また、上記の実施形態では、洗浄ブラシ31を回転させることで定盤16を洗浄する例を示したが、これに限らず、洗浄ブラシ31を回転させることなく、振動させることで定盤16を洗浄するようにしてもよい。