特許第6687893号(P6687893)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6687893
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】ゲーム装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 9/00 20060101AFI20200421BHJP
【FI】
   A63F9/00 508H
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-100792(P2016-100792)
(22)【出願日】2016年5月19日
(65)【公開番号】特開2017-205356(P2017-205356A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2019年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000132471
【氏名又は名称】株式会社セガゲームス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100080953
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 克郎
(72)【発明者】
【氏名】星野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】勝山 信之
【審査官】 中村 和正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−120844(JP,A)
【文献】 特開2008−113996(JP,A)
【文献】 特開2010−005039(JP,A)
【文献】 特開2010−068818(JP,A)
【文献】 特開2010−201104(JP,A)
【文献】 特開2014−128730(JP,A)
【文献】 特開2014−188167(JP,A)
【文献】 特開2003−181127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/00、9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略球体形状を呈するゲーム媒体を用いるゲーム装置であって、
上面に前記ゲーム媒体が配置されるフィールドと、
前記フィールドの上面において第1方向に沿って往復移動し、前記フィールドの上面に配置された前記ゲーム媒体を前記フィールドの外部に向けて押すプッシャと、
前記プッシャの上面に向けて前記ゲーム媒体を投入するゲーム媒体投入部と、を備え、
前記ゲーム媒体投入部は、前記第1方向と交差する第2方向における前記フィールドの一側部に設けられ、
前記プッシャの上面は、前記第2方向において前記ゲーム媒体投入部から離れる方向に向かって上り勾配となるように形成されていることを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記プッシャの上面に、前記ゲーム媒体を前記第2方向に沿って案内する案内部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記案内部は、前記プッシャの上面に形成された突起又は溝であることを特徴とする請求項2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記フィールドの上面に、前記プッシャが往復移動するプッシャ領域と、前記ゲーム媒体が配置される媒体領域と、を区画形成する区画部を備え、
前記区画部は、前記媒体領域から前記プッシャ領域への前記ゲーム媒体の移動を抑制する一方で、前記プッシャ領域から前記媒体領域への前記ゲーム媒体の移動を促すように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記区画部は、フィールドの上面に対して略垂直を成すように延びる垂直面を前記媒体領域側に有しているとともに、前記プッシャ領域側から前記媒体領域側に向かって上り勾配となる傾斜面を前記プッシャ領域側に有していることを特徴とする請求項4に記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記プッシャは、鉛直方向において前記区画部の傾斜面と重合する位置まで移動することを特徴とする請求項5に記載のゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略球体形状のゲーム媒体を用いるゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム媒体を用いるゲーム装置として、「プッシャゲーム」と称されるものが知られている。プッシャゲームは、上面にゲーム媒体が配置されるフィールドと、そのフィールドの上面で往復移動するプッシャと、を備えている。プレイヤは、ゲーム媒体として、例えば円板形状のメダルを投入する。当該メダルが投入口からフィールドに投入されると、フィールドの上面における複数のメダルの配置状態が変化する。これにより、メダルが、プッシャから直接的あるいは間接的に受ける力の向きや大きさが変化する。
【0003】
メダルは、往復移動するプッシャから力を受け、フィールドの上面を移動する。フィールドの端部まで移動し、当該端部から落下したメダルは、プレイヤに提供される。プレイヤは、より多くのメダルをフィールドから落下させて獲得するために、投入するメダルの配置を工夫する。当該ゲームは、プレイヤにこのような工夫を求めることにより、高い戦略性を有するものになる。
【0004】
例えば、特許文献1には、メダルとともにボールをゲーム媒体として用いるゲーム装置が記載されている。当該ボールは、球体形状を呈し、フィールドやメダルの上面に配置される。プレイヤは、このボールをフィールドから落下させるべく、投入するメダルの配置を工夫する。プッシャからメダルを介してボールに力が作用し、ボールが転がってフィールドの端部から落下すると、ゲーム装置は所定のイベントを生じさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−45041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、ボールを主なゲーム媒体として用いる新たなゲーム装置について検討を行った。すなわち、当該新たなゲーム装置では、プレイヤは、メダルに代えてボールをフィールドに投入する。フィールドの上面には、複数のボールが配置されている。プレイヤは、プッシャの往復移動に基づいてボールを落下させるべく、新たに投入するボールの配置を工夫する。
【0007】
しかしながら、このようにボールを主なゲーム媒体として用いる新たなゲーム装置は、メダルを主なゲーム媒体とする従来のゲーム装置では生じない、新たな課題を招来することが判明した。以下、この課題について説明する。
【0008】
従来のゲーム装置では、投入されたメダルは、その表面又は裏面を上方に向けた状態となって、フィールドの上面において静止する。換言すれば、プレイヤは、メダルが投入口から所望の位置まで移動してその表面又は裏面を上方に向けるように、メダルを投入する。これにより、プレイヤはメダルを所望の位置に配置することができる。
【0009】
これに対し、ボールは球体形状を呈しているため、メダルのように明確に静止する状態にならない。したがって、ボールを主なゲーム媒体として用いる新たなゲーム装置では、プレイヤは投入後のボールの挙動を予測し難く、所望の位置にボールを配置することが困難であった。
【0010】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、略球体形状のゲーム媒体を、プレイヤが所望する位置に容易に配置することが可能なゲーム装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係るゲーム装置は、略球体形状を呈するゲーム媒体を用いるゲーム装置であって、上面にゲーム媒体が配置されるフィールドと、フィールドの上面において第1方向に沿って往復移動し、フィールドの上面に配置されたゲーム媒体をフィールドの外部に向けて押すプッシャと、プッシャの上面に向けてゲーム媒体を投入するゲーム媒体投入部と、を備える。プッシャの上面は、第1方向と交差する第2方向に向かって傾斜するように形成されている。
【0012】
この構成によれば、ゲーム媒体投入部からプッシャの上面に向けて投入されたゲーム媒体は、プッシャの上面の傾斜によって第2方向に沿って転がるように移動する。すなわち、ゲーム媒体投入部から投入されたゲーム媒体に指向性を持たせることが可能となり、プレイヤがゲーム媒体の挙動を予測することが容易になる。したがって、ゲーム媒体が略球体形状を呈している場合でも、ゲーム媒体をプレイヤが所望する位置に配置することが容易になる。
【0013】
また、ゲーム媒体投入部は、第2方向におけるフィールドの一側部に設けられ、プッシャの上面は、ゲーム媒体投入部から離れる方向に向かって上り勾配となるように形成されていることも好ましい。この構成によれば、投入されたゲーム媒体をプッシャの上面に沿って上昇させ、ゲーム媒体投入部から離れる方向に移動させるだけでなく、その後にゲーム媒体をプッシャの上面に沿って下降させ、ゲーム媒体投入部に近づく方向に移動させることが可能になる。すなわち、ゲーム媒体を、互いに反対となる2方向に移動させることが可能になる。
【0014】
また、プッシャの上面に、ゲーム媒体を第2方向に沿って案内する案内部が設けられていることも好ましい。この構成によれば、プッシャの上面に投入されたゲーム媒体が、第2方向においてプレイヤが所望する位置まで移動する前に、プッシャの上面から落下してしまうことを抑制できる。
【0015】
また、案内部は、プッシャの上面に形成された突起又は溝であることも好ましい。この構成によれば、案内部を容易に形成しながらも、プッシャの上面に投入されたゲーム媒体が、第2方向においてプレイヤが所望する位置まで移動する前に、プッシャの上面から落下してしまうことを抑制できる。
【0016】
また、ゲーム装置は、フィールドの上面に、プッシャが往復移動するプッシャ領域と、ゲーム媒体が配置される媒体領域と、を区画形成する区画部を備え、区画部は、媒体領域からプッシャ領域へのゲーム媒体の移動を抑制する一方で、プッシャ領域から媒体領域へのゲーム媒体の移動を促すように形成されていることも好ましい。この構成によれば、プッシャの上面からプッシャ領域にゲーム媒体が落下した場合に、当該ゲーム媒体を媒体領域に移動させるとともに、媒体領域におけるゲーム媒体の配置状態を安定させることが可能になる。
【0017】
また、区画部は、フィールドの上面に対して略垂直を成すように延びる垂直面を媒体領域側に有しているとともに、プッシャ領域側から媒体領域側に向かって上り勾配となる傾斜面をプッシャ領域側に有していることも好ましい。この構成によれば、プッシャの上面からプッシャ領域にゲーム媒体が落下した場合に、当該ゲーム媒体を傾斜面に沿って上昇させることで区画部材を乗り越えさせ、スムーズ且つ確実に媒体領域に移動させることが可能になる。また、媒体領域に配置されたゲーム媒体がプッシャ領域側に移動することを区画部の垂直面によって抑制し、媒体領域におけるゲーム媒体の配置状態を安定させることが可能になる。
【0018】
また、プッシャは、鉛直方向において区画部の傾斜面と重合する位置まで移動することも好ましい。この構成によれば、プッシャ領域に落下したゲーム媒体を、確実に区画部材を乗り越えさせ、媒体領域に移動させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、略球体形状のゲーム媒体を、プレイヤが所望する位置に容易に配置することが可能なゲーム装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係るゲーム装置を示す斜視図である。
図2】フィールド周辺を示す斜視図である。
図3】プッシャ周辺を示す側面図である。
図4】プッシャの上面におけるボールの移動を示す説明図である。
図5】フィールドの上面におけるボールの移動を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0022】
まず、図1を参照しながら、実施形態に係るゲーム装置1の概要について説明する。図1は、ゲーム装置1を示す斜視図である。ゲーム装置1は、ゲーム媒体として複数のボールBを用いる。ボールBは、球体形状を呈しており、その中心を通る平面における断面形状は略真円である。ゲーム装置1は、その筐体10が、アミューズメント施設等の床面に配置される。
【0023】
筐体10の上部には開口11が形成されている。開口11は、透明な樹脂板12によって覆われている。不図示のプレイヤは、この樹脂板12に対向するとともに、樹脂板12を介して筐体10内の様子を視認しながらゲームを行う。
【0024】
尚、以下の説明では、図1に示されるように、筐体10のうち開口11が形成される側を前とし、その反対側を後とする。また、開口11と対向するプレイヤから見て、左右方向のそれぞれを左、右として説明する。さらに、鉛直上方を上とし、鉛直下方を下として説明する。図2以降においても、図1と同様の方向に基づいて説明を行う。
【0025】
筐体10の内部には、中央仕切板51と、前側仕切板52と、後側仕切板53と、が配置されている。中央仕切板51、前側仕切板52、及び後側仕切板53は、いずれも薄板形状の部材であり、固定されている。中央仕切板51は、左右方向において筐体10の内部の中央部に、鉛直方向に延びるように配置されている。また、前側仕切板52及び後側仕切板53は、中央仕切板51を挟んで前後方向に互いに対向するように配置されている。
【0026】
筐体10の内部は、中央仕切板51、前側仕切板52、及び後側仕切板53によって、左側のゲーム空間13Lと、右側のゲーム空間13Rと、に区画されている。ゲーム空間13L及びゲーム空間13Rは、中央仕切板51において左右方向に略対称となるように形成されている。これにより、1台のゲーム装置1は、複数のプレイヤが、ゲーム空間13Lと、ゲーム空間13Rとで個別にゲームを行うことができるように構成されている。
【0027】
筐体10の前面であって、開口11の下端部近傍には、メダル投入口14L,14Rと、投入ボタン15L,15Rと、BET数選択ボタン16L,16Rと、が設けられている。メダル投入口14L、投入ボタン15L、及びBET数選択ボタン16Lは、ゲーム空間13Lにおいて行われるゲームに対応し、メダル投入口14R、投入ボタン15R、及びBET数選択ボタン16Rは、ゲーム空間13Rにおいて行われるゲームに対応している。
【0028】
ゲーム空間13Rを例にとって説明すると、プレイヤは、メダル投入口14Rに所定の枚数のメダルを投入することにより、ゲーム装置1を稼働させることができる。また、プレイヤは、投入ボタン15Rを押すことにより、後述するようにボールBをゲーム空間13Rに投入することができる。さらに、プレイヤは、BET数選択ボタン16Rを押すことにより、投入するボール1つあたり何枚のメダルをベットするか、選択することができる。
【0029】
次に、図2及び図3を参照しながら、ゲーム装置1の詳細な構成について説明する。図2は、ゲーム装置1のフィールド20周辺を示す斜視図である。図3は、フィールド20周辺を示す側面図である。図2は、筐体10や前側仕切板52等の図示を省略している。また、図2及び図3は、後述するボール領域20Rに配置される複数のボールBの図示を省略している。
【0030】
ゲーム装置1は、フィールド20と、プッシャ30と、ボール投入機構40と、区画部材60L,60Rと、を備えている。
【0031】
フィールド20は、筐体10(図1参照)の内部に配置される薄板形状の部材である。フィールド20は、高い耐摩耗性を有する樹脂材料によって形成されている。フィールド20は平滑面を有しており、当該平滑面が上面となるように配置されている。フィールド20の左側端部と右側端部には、それぞれ傾斜壁23L,23Rが設けられている。傾斜壁23L,23Rは、いずれも、外方に向かって上り勾配となるように傾斜している。
【0032】
プッシャ30は、フィールド20の中央部に配置される部材である。プッシャ30は、不図示のアクチュエータやクランク機構により、フィールド20の上面において左右方向に沿って往復移動するように構成されている。
【0033】
図3に示されるように、プッシャ30は、その上面31が、中央仕切板51の下端との間に隙間Cを形成するように配置される。また、上面31は、水平方向に対して傾斜するように形成されている。詳細には、上面31は、後述するボール投入口43L,43Rから離れる方向(すなわち、前方向)に向かって上り勾配となるように形成されている。
【0034】
図2に示されるように、上面31の左側端部には突起32Lが形成され、上面31の右側端部には突起32Rが形成されている。突起32L,32Rは、いずれも上方に向けて突出しているとともに、前後方向に沿って延びるように形成されている。
【0035】
ボール投入機構40は、中央仕切板51よりも左側のゲーム空間13Lと、右側のゲーム空間13Rと、のそれぞれにボールBを投入する機構である。ボール投入機構40は、複数のレール41L,41Rと、投入用ケーシング42L,42Rと、を有している。
【0036】
レール41L,41Rは、金属材料によって形成された棒形状の部材である。レール41Lの配置はレール41Rの配置と対称である。したがって、ここではレール41Rの配置について説明し、レール41Lの配置に関する説明を省略する。
【0037】
複数のレール41Rは、いずれも一対となるように配置されている。一対のレール41R,41Rは、互いに間隔を空けて配置される。当該間隔は、ボールBの直径よりも小さい。これにより、一対のレール41R,41Rは、ボールBの下部を挟むようにして、ボールBを下方から支持することができる。
【0038】
レール41Rは、水平方向に対して傾斜するように配置されている。一対のレール41R,41Rによって支持されたボールBは、この傾斜に基づいて、レール41R,41R上を左右方向に転がりながら、下方に案内される。
【0039】
投入用ケーシング42L,42Rは、内部に空間が形成された容器形状の部材である。投入用ケーシング42Rは、一対のレール41R,41Rの下端が接続されている。レール41R,41Rによって下方に案内されたボールBは、投入用ケーシング42R内に進入する。投入用ケーシング42R内の空間では、複数のボールBが鉛直方向に重なるようにして収容される。同様に、投入用ケーシング42Lは、一対のレール41L,41Lの下端が接続されており、このレール41L,41Lによって案内された複数のボールBを、内部の空間に収容する。
【0040】
投入用ケーシング42Rの前面には、ボール投入口43Rが形成されている。ボール投入口43Rは、投入用ケーシング42R内に形成された空間と連通する開口である。同様に、投入用ケーシング42Lの前面には、その内部の空間と連通するボール投入口43Lが形成されている。ボール投入口43L,43Rは、いずれも、プッシャ30よりも上方に配置されている。さらに、投入用ケーシング42L,42Rのそれぞれの内部には、不図示の投入機構が設けられている。投入用ケーシング42L,42Rのそれぞれに収容されているボールBは、この投入機構により、一つずつ、ボール投入口43L,43Rを介して排出される。
【0041】
区画部材60L,60Rは、断面形状が直角三角形を呈する棒状の部材である。区画部材60L,60Rは、フィールド20の上面において、その長手方向が前後方向に沿うように配置されている。また、区画部材60L,60Rは、左右方向に互いに間隔を空けて配置されている。
【0042】
このように区画部材60L,60Rを配置することにより、フィールド20の上面は、プッシャ領域20Pと、ボール領域20L,20Rと、に区画されている。
【0043】
プッシャ領域20Pは、左右方向においてフィールド20の中央部に位置している。このプッシャ領域20Pは、プッシャ30が往復移動する範囲である。すなわち、プッシャ30は、区画部材60Rと区画部材60Lとに到達すると、その移動方向を反転させる往復移動を行う。
【0044】
ボール領域20Lはプッシャ領域20Pの左側に位置し、ボール領域20Rはプッシャ領域20Pの右側に位置している。ボール領域20L,20Rは、複数のボールBが配置される領域である。ボール領域20Lの上面には、階段形状に形成されたステップ24Lが設けられている。同様に、ボール領域20Rの上面には、階段形状に形成されたステップ24Rが設けられている。
【0045】
前述した区画部材60Rは、その垂直面61Rをボール領域20R側に向けて配置される。垂直面61Rは、フィールド20の上面と略垂直を成し、鉛直方向に沿って延びるように配置される。また、区画部材60Rは、その傾斜面62Rをプッシャ領域20P側に向けるように配置されている。
【0046】
また、区画部材60Lは、その垂直面61Lをボール領域20L側に向けて配置される。垂直面61Lは、フィールド20の上面と略垂直を成し、鉛直方向に沿って延びるように配置される。また、区画部材60Lは、その傾斜面62Lをプッシャ領域20P側に向けるように配置されている。
【0047】
以上の説明のように構成されたゲーム装置1において、プレイヤは、投入ボタン15L又は投入ボタン15R(図1参照)を押すことによって、対応するゲーム空間13L又は
ゲーム空間13RにボールBを投入する。詳細には、例えばプレイヤが投入ボタン15Rを1回押すと、投入用ケーシング42Rのボール投入口43Rから、1つのボールBがゲーム空間13Rに直ちに投入される。
【0048】
ボール投入口43Rから投入されたボールBは、プッシャ30の上面31のうち、中央仕切板51と突起32Rとの間の部位に落下する。当該ボールBは、上面31を転がりながら移動する。このとき、左右方向におけるボールBの移動は中央仕切板51と突起32Rとによって規制され、ボールBは前方向に案内される。
【0049】
ボールBがプッシャ30の上面31に載置された状態で、プッシャ30が左方向に移動すると、ボールBの移動は中央仕切板51によって規制される。すなわち、ボールBは中央仕切板51によって押され、相対的に上面31の右側端部に移動する。プッシャ30がさらに左方向に移動すると、中央仕切板51によって押されたボールBは突起32Rを乗り越え、上面31から落下する。
【0050】
プッシャ30の上面31から落下したボールBは、プッシャ領域20Pを経由して、フィールド20のボール領域20Rに投入される。新たなボールBが投入されると、ボール領域20Rの上面における複数のボールBの配置状態が変化する。これにより、ボール領域20Rに配置された複数のボールBがプッシャ30から直接的あるいは間接的に受ける力の向きや大きさが変化する。
【0051】
力を受けたボールBは、ボール領域20Rの上面を右方向に移動したり、他のボールBの上に乗り上げたりする。また、一部のボールBは、ボール領域20Rの上面に設けられたステップ24Rに乗り上げる。ボール領域20Rの右側端部に達し、傾斜壁23Rを乗り越えたボールBは、ボール領域20Rから落下する。
【0052】
ボール領域20Rから落下するボールBの数は、新たに投入したボールBが、ボール領域20Rにおいて配置される位置に応じて変化する。つまり、新たに1つのボールBをボール領域20Rに投入したことにより、ボール領域20Rから複数のボールBが落下する場合もあれば、ボールBが全く落下しない場合もある。プレイヤは、新たに投入するボールBを配置する位置やタイミングを決定し、より多くのボールBをボール領域20Rから落下させるべく、戦略的にゲームを行う。
【0053】
ところで、前述したように、ボールBは球体形状を呈しているため、メダルのように明確に静止する状態にならない。ボールBの挙動の予測ができない場合、プレイヤが所望の位置にボールBを配置することが困難になる。
【0054】
また、ボール領域20RにおけるボールBの配置は、複数のボールBが鉛直方向に重なった状態で安定していることが好ましい。ボールBをこのように配置することより、新たに1つのボールBを投入したことに基づいてボール領域20Rから落下するボールBの数に、不確定性を持たせることができる。
【0055】
そこで、ゲーム装置1では、ボールBの挙動の予測を容易にするとともに、フィールド20の上面における複数のボールBの配置状態を安定させる工夫がなされている。以下、図4及び図5を参照しながら、この工夫について説明する。図4は、プッシャ30の上面31におけるボールBの移動を示す説明図である。図5は、フィールドの上面におけるボールBの移動を示す説明図である。
【0056】
図4(A)に示されるように、投入用ケーシング42Rのボール投入口43Rから投入されたボールBは、プッシャ30の上面31のうち、後側端部寄りの位置に落下する。当該ボールBは、ボール投入口43Rから投入された際に有している運動エネルギにより、図4(B)に示されるように、上面31において前方向に転がりながら移動する。
【0057】
前述したように、上面31は、ボール投入口43Rから離れる方向に上り勾配となるように形成されている。すなわち、前方向に転がりながら移動するボールBは、上面31に沿って上昇する。図4(C)に示されるように、ボールBは、その全ての運動エネルギが位置エネルギに変換された時点で上昇を停止する。なお、上面31の前後方向の寸法が小さく、ボールBが上昇を停止するのに十分でない場合は、ボールBを前側仕切板52(図1参照)に衝突させることによって上昇を停止させてもよい。
【0058】
上昇を停止したボールBは、次に、図4(D)に示されるように、上面31において後方向に転がりながら移動する。すなわち、ボールBは、上面31に沿って下降する。
【0059】
プッシャ30の上面31に投入されたボールBは、このように上面31に沿って前後方向に移動する。前後方向において、新たにボール領域20Rに投入されるボールBが配置される位置は、当該ボールBが上面31から落下する位置に基づいて決定される。プレイヤは、ボール投入口43RからボールBを投入するタイミング(すなわち、投入ボタン15Rを押すタイミング)を適宜決定することにより、新たに投入するボールBを、ボール領域20Rの所望の位置に配置することができる。
【0060】
まず、ボール投入口43Rから投入するボールBを、ボール領域20Rの後側端部寄りの位置に配置する場合について説明する。この場合、プレイヤは、ボールBが、プッシャ30の上面31の後側端部寄りの位置(図4(A)参照)で突起32Rを乗り越えるように、ボール投入口43RからボールBを投入するタイミングを決定する。具体的には、ボールBは、ボール投入口43Rから大きな速度で投入されるため、プレイヤは、このボールBが上面31を一度上昇した後に後側端部寄りの位置まで戻るように、ボールBを投入するタイミングを決定する。これにより、ボール領域20Rの後側端部寄りの位置で、プッシャ30の上面31からボールBを落下させ、当該位置にボールBを配置することができる。
【0061】
次に、ボール投入口43Rから投入するボールBを、前後方向においてボール領域20Rの中央部寄りの位置に配置する場合について説明する。この場合、プレイヤは、ボールBが、前後方向においてプッシャ30の上面31の中央部寄りの位置(図4(B)及び図4(D)参照)で突起32Rを乗り越えるように、ボール投入口43RからボールBを投入するタイミングを決定する。具体的には、プレイヤは、ボール投入口43Rから大きな速度で投入されたボールBが、上面31を一度上昇した後に中央部寄りの位置まで戻るように、ボールBを投入するタイミングを決定する。これにより、前後方向においてボール領域20Rの中央部寄りの位置で、プッシャ30の上面31からボールBを落下させ、当該位置にボールBを配置することができる。
【0062】
次に、ボール投入口43Rから投入するボールBを、ボール領域20Rの前側端部寄りの位置に配置する場合について説明する。この場合、プレイヤは、ボールBが、プッシャ30の上面31の前側端部寄りの位置(図4(C)参照)で突起32Rを乗り越えるように、ボール投入口43RからボールBを投入するタイミングを決定する。これにより、ボール領域20Rの前側端部寄りの位置で、プッシャ30の上面31からボールBを落下させ、当該位置にボールBを配置することができる。
【0063】
図5に示されるように、ボール領域20Rにおいて、複数のボールBは、区画部材60Rの垂直面61Rと、傾斜壁23Rとの間に挟まれるように配置される。前述したように、垂直面61Rは、フィールド20の上面と略垂直を成している。このため、ボール領域20Rに配置されているボールBが、垂直面61Rを乗り越えてプッシャ領域20Pに移動することが抑制されている。ボール領域20Lに配置されている複数のボールBも、同様に、区画部材60Lの垂直面61Lにより、プッシャ領域20Pに移動することが抑制されている。
【0064】
このように、ボール領域20L,20Rに配置されている複数のボールBは、区画部材60L,60Rによって、左右方向における移動が抑制される。このため、区画部材60L,60Rにおける複数のボールBの配置状態が安定する。
【0065】
一方で、区画部材60L,60Rは、ボールBがプッシャ30の上面31からプッシャ領域20Pに落下した場合に、当該ボールBをプッシャ領域20Pから排出し、ボール領域20L又はボール領域20Rに移動させるように形成されている。例えば、図5(A)に示されるように、プッシャ領域20Pのうち、プッシャ30と区画部材60Rとの間の部位にボールBPが落下した場合について説明する。
【0066】
当該ボールBPは、プッシャ領域20Pにおいて右方向に移動するプッシャ30によって押され、区画部材60R側に移動する。前述したように、区画部材60Rは、その傾斜面62Rをプッシャ領域20P側に向けるように配置されている。このため、プッシャ30によって押されたボールBPは、図5(B)に示されるように、傾斜面62Rに沿って上昇する。
【0067】
図5(C)に示されるように、プッシャ30は、鉛直方向において傾斜面62Rと重合する位置まで移動する。これにより、ボールBPは区画部材60Rを乗り越え、ボール領域20Rに移動する。プッシャ領域20Pのうち、プッシャ30と区画部材60Lとの間の部位にボールBPが落下した場合も、同様に当該ボールBPは区画部材60Lを乗り越えてボール領域20Lに移動する。
【0068】
以上の説明のように、ゲーム装置1の構成によれば、ボール投入口43L,43Rからプッシャ30の上面31に向けて投入されたボールBは、プッシャ30の上面31の上面の傾斜に沿って前後方向に沿って転がるように移動する。すなわち、ボール投入口43L,43Rから投入されたボールBに指向性を持たせることが可能となり、プレイヤがボールBの挙動を予測することが容易になる。したがって、ボールBが略球体形状を呈している場合でも、ボールBをプレイヤが所望する位置に配置することが容易になる。
【0069】
また、ボール投入口43L,43Rは、前後方向におけるフィールド20の一側部(後側端部)に設けられる。プッシャ30の上面31は、ボール投入口43L,43Rから離れる方向に向かって上り勾配となるように形成されている。この構成によれば、投入されたボールBをプッシャ30の上面31に沿って上昇させ、ボール投入口43L,43Rから離れる方向に移動させるだけでなく、その後にボールBをプッシャ30の上面31に沿って下降させ、ボール投入口43L,43Rに近づく方向に移動させることが可能になる。すなわち、ボールBを、互いに反対となる2方向に移動させることが可能になる。
【0070】
また、プッシャ30の上面31に、ボールBを前後方向に沿って案内する突起32L,32Rが設けられている。この構成によれば、プッシャ30の上面31に投入されたボールBが、前後方向においてプレイヤが所望する位置まで移動する前に、プッシャ30の上面31から落下してしまうことを抑制できる。
【0071】
尚、ボールBを案内する手段は、突起32L,32Rに限られない。例えば、プッシャ30の上面31に、前後方向に延びる溝を形成し、当該溝によってボールBを前後方向に沿って案内してもよい。この構成によれば、案内部を容易に形成しながらも、プッシャ30の上面31に投入されたボールBが、前後方向においてプレイヤが所望する位置まで移動する前に、プッシャ30の上面31から落下してしまうことを抑制できる。
【0072】
また、ゲーム装置1は、フィールド20の上面に、プッシャ30が往復移動するプッシャ領域20Pと、ボールBが配置されるボール領域20L,20Rと、を区画形成する区画部材60L,60Rを備える。区画部材60L,60Rは、ボール領域20L,20Rからプッシャ領域20PへのボールBの移動を抑制する一方で、プッシャ領域20Pからボール領域20L,20RへのボールBの移動を促すように形成されている。この構成によれば、プッシャ30の上面31からプッシャ領域20PにボールBが落下した場合に、当該ボールBをボール領域20L,20Rに移動させるとともに、ボール領域20L,20RにおけるボールBの配置状態を安定させることが可能になる。
【0073】
また、区画部材60L,60Rは、フィールド20の上面に対して略垂直を成すように延びる垂直面61L,61Rをボール領域20L,20R側に有している。さらに、区画部材60L,60Rは、プッシャ領域20P側からボール領域20L,20R側に向かって上り勾配となる傾斜面62L,62Rをプッシャ領域20P側に有している。この構成によれば、プッシャ30の上面31からプッシャ領域20PにボールBPが落下した場合に、当該ボールBPを傾斜面62L,62Rに沿って上昇させることで区画部材60L,60Rを乗り越えさせ、スムーズ且つ確実にボール領域20L,20Rに移動させることが可能になる。また、ボール領域20L,20Rに配置されたボールBがプッシャ領域20P側に移動することを区画部材60L,60Rの垂直面61L,61Rによって抑制し、ボール領域20L,20RにおけるボールBの配置状態を安定させることが可能になる。
【0074】
また、プッシャ30は、鉛直方向において区画部材60L,60Rの傾斜面62L,62Rと重合する位置まで移動する。この構成によれば、プッシャ領域20Pに落下したボールBを、確実に区画部材60L,60Rを乗り越えさせ、ボール領域20L,20Rに移動させることができる。
【0075】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されず、適宜変更することができる。
【0076】
例えば、上記実施形態では、ゲーム媒体として、球体形状を呈するボールBを示している。しかし、本発明はこの態様に限定されない。すなわち、ゲーム媒体として、略球体形状を呈する多面体が用いられる形態も、前述した作用効果を奏することができるため、本発明の範囲に包含される。
【0077】
例えば、上記実施形態は、プッシャ領域20Pとボール領域20L,20Rを区画形成するものとして、フィールド20とは別部材である区画部材60L,60Rを備えている。しかし、本発明はこの態様に限定されない。すなわち、フィールド20の上面の一部を突出形成させることにより、プッシャ領域20Pとボール領域20L,20Rを区画形成する形態も、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0078】
1:ゲーム装置
20:フィールド
20L,20R:ボール領域(媒体領域)
20P:プッシャ領域
30:プッシャ
31:上面
32L,32R:突起(案内部)
43L,43R:ボール投入口(ゲーム媒体投入部)
60L,60R:区画部材
61L,61R:垂直面
62L,62R:傾斜面
B,BP:ボール(ゲーム媒体)
図1
図2
図3
図4
図5