特許第6687904号(P6687904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6687904
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】粉体原料供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/46 20060101AFI20200421BHJP
   B65G 33/14 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   B65G65/46 B
   B65G33/14
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-213167(P2016-213167)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2018-70340(P2018-70340A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168550
【弁理士】
【氏名又は名称】友廣 真一
(72)【発明者】
【氏名】奥村 貴宣
(72)【発明者】
【氏名】日比野 正男
(72)【発明者】
【氏名】塚本 善一
(72)【発明者】
【氏名】増田 洋大
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−197228(JP,U)
【文献】 特開平10−049746(JP,A)
【文献】 特開平10−329925(JP,A)
【文献】 特開平01−287794(JP,A)
【文献】 米国特許第05848871(US,A)
【文献】 実開昭60−078317(JP,U)
【文献】 特公昭55−031046(JP,B2)
【文献】 特開2004−351253(JP,A)
【文献】 実公平03−055532(JP,Y2)
【文献】 実開昭54−133479(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/30−65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体原料を収容した容器と、前記容器の下部に設けられた送出手段とを備え、前記容器の前記粉体原料を前記送出手段で横向きの移送方向の下流側に送り出し、前記送出手段の排出口から外側に落下供給する粉体原料供給装置において、
前記排出口の外側に接続された基端部と、前記基端部から前記移送方向の下流側に離れた先端部とを有し、前記粉体原料を支持可能な受け部を備え、
前記受け部は、大供給量で前記粉体原料を落下供給可能な第一の部分と、前記第一の部分の前記移送方向の上流側に設けられ、小供給量で前記粉体原料を落下供給可能な開口部からなる第二の部分とを備えていることを特徴とする粉体原料供給装置。
【請求項2】
前記第一の部分が、前記受け部の前記先端部であることを特徴とする請求項1に記載の粉体原料供給装置。
【請求項3】
前記第二の部分は、前記移送方向に沿った細長い開口部又は前記移送方向に沿って間隔を置いて設けられた複数の開口部からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の粉体原料供給装置。
【請求項4】
前記受け部の前記基端部を含む基端部側領域が、開口部のない連続した領域であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉体原料供給装置。
【請求項5】
前記第二の部分が、前記受け部の幅方向中央部に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉体原料供給装置。
【請求項6】
前記受け部は、幅方向両端部が高位、幅方向中央部が低位とされ、前記幅方向両端部の各々から前記幅方向中央部に向うに連れて漸次下方に移行することを特徴とする請求項5に記載の粉体原料供給装置。
【請求項7】
前記送出手段は、前記粉体原料の移送空間を区画形成し、前記移送方向の下流側の端部に前記排出口を有する筒状の移送管と、前記移送管の内部に配置され、回転動作によって前記粉体原料を前記移送方向の下流側に送り出すスクリューとを備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の粉体原料供給装置。
【請求項8】
前記受け部が、前記移送管の前記排出口の形状と一致する筒状又は部分筒状の部材であり、かつ、前記移送管と同軸上に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の粉体原料供給装置。
【請求項9】
前記受け部が、着脱可能であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の粉体原料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体原料を供給する粉体原料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体原料を供給する粉体原料供給装置としては、粉体原料を収容した容器の下部に設けられた送出手段によって、粉体原料を横向きの移送方向の下流側に送り出し、送出手段の排出口から外側に落下供給するものが挙げられる。
【0003】
送出手段としては、スクリューフィーダが多く用いられており、必要量の粉体原料を正確に供給できるように種々の改良が提案されている。例えば、特許文献1に開示の粉体原料供給装置には、スクリューフィーダの排出口(払い出し口)に、排出口の一部を塞ぐように斜め上方に立ち上がる堰板を設けることが開示されている。このようにすれば、スクリューを回転させたときに粉体原料が堰板を乗り越えて送り出されるため、スクリューの停止後に粉体原料が供給先へ流れ出すのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−287794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、粉体原料供給装置では、粉体原料の必要量が変更される場合も多い。すなわち、大量の粉体原料を供給することが必要な場合や、小量の粉体原料を供給することが必要な場合がある。しかしながら、特許文献1に開示の粉体原料供給装置では、大量の粉体原料を供給する場合も、小量の粉体原料を供給する場合も、同じ堰板を乗り越えた粉体原料だけが供給される。そのため、大量の粉体原料では堰板を乗り越えるのに要する時間が短いのに対し、小量の粉体原料では堰板を乗り越えるのに要する時間は長くなる。したがって、粉体原料の少量供給時の供給効率が非常に悪い。
【0006】
本発明は、大量供給時と少量供給時との両方で、粉体原料を効率よく供給することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために創案された本発明は、粉体原料を収容した容器と、容器の下部に設けられた送出手段とを備え、容器の粉体原料を送出手段で横向きの移送方向の下流側に送り出し、送出手段の排出口から外側に落下供給する粉体原料供給装置において、排出口の外側に接続された基端部と、基端部から移送方向の下流側に離れた先端部とを有し、粉体原料を支持可能な受け部を備え、受け部は、大供給量で粉体原料を落下供給可能な第一の部分と、第一の部分の移送方向の上流側に設けられ、小供給量で粉体原料を落下供給可能な開口部からなる第二の部分とを備えていることを特徴とする。このような構成によれば、粉体原料の少量供給時には、第二の部分のみを用いて、粉体原料を落下供給することができる。一方、粉体原料の大量供給時には、受け部の第一の部分、又は第一の部分と第二の部分を用いて、粉体原料を落下供給することができる。このように粉体原料の供給量に応じて粉体原料の供給位置を変更できるので、大量供給時と少量供給時との両方で粉体原料を効率よく供給することが可能となる。
【0008】
上記の構成において、第一の部分は、受け部の先端部であってもよい。このようにすれば、受け部に第二の部分よりも大きな開口部などを別途設けなくても、受け部の先端部から大量の粉体原料を簡単に落下供給することができる。
【0009】
上記の構成において、第二の部分は、移送方向に沿った細長い開口部又は移送方向に沿って間隔を置いて設けられた複数の開口部からなることが好ましい。このようにすれば、第二の部分から落下供給する粉体原料の量を調整しやすくなる。
【0010】
上記の構成において、受け部の基端部を含む基端部側領域が、開口部のない連続した領域であることが好ましい。このようにすれば、排出口から出た粉体原料は、受け部の基端部側領域に一時的に溜まるので、送出手段を停止させた後に排出口から粉体原料が流れ出しても、その余剰な粉体原料を基端部側領域で受け止めることができる。したがって、粉体原料が過剰に供給されるのを防止することができる。
【0011】
上記の構成において、第二の部分が、受け部の幅方向中央部に形成されていることが好ましい。このようにすれば、第二の部分を通じて粉体原料を安定的に供給しやすくなる。
【0012】
この場合、受け部は、幅方向両端部が高位、幅方向中央部が低位とされ、幅方向両端部の各々から幅方向中央部に向うに連れて漸次下方に移行することが好ましい。このようにすれば、粉体原料が重力によって幅方向中央部に集められるので、第二の部分を通じて粉体原料をより安定的に供給することができる。
【0013】
上記の構成において、送出手段は、粉体原料の移送空間を区画形成し、移送方向の下流側の端部に排出口を有する筒状の移送管と、移送管の内部に配置され、回転動作によって粉体原料を移送方向の下流側に送り出すスクリューとを備えていることが好ましい。
【0014】
この場合、受け部が、移送管の排出口の形状と一致する筒状又は部分筒状の部材であり、かつ、移送管と同軸上に配置されていることが好ましい。このようにすれば、移送管と受け部との間に粉体原料の移送の邪魔になる段差などの抵抗体が形成されず、粉体原料を受け部上に円滑に送り出すことができる。また、粉体原料が円滑に送り出されるので、粉体原料の過度な圧縮による固化や、スクリューに対する過負荷を防止することもできる。
【0015】
上記の構成において、受け部は着脱可能であることが好ましい。このようにすれば、粉体原料の種類が変わった場合に、粉体原料の特性に応じた受け部に付け替えることができる。この場合、例えば、第二の部分(開口部)の大きさや形状が異なる受け部に取り替えることが考えられる。
【発明の効果】
【0016】
以上のような本発明によれば、大量供給時と少量供給時との両方で、粉体原料を効率よく供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】粉体原料供給装置を示す断面図である。
図2】(a)は受け部を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。
図3】(a)は大量供給時における、粉体原料供給装置の排出口周辺の状態を示す拡大断面図であり、(b)は少量供給時における、粉体原料供給装置の排出口周辺の状態を示す拡大断面図である。
図4】(a)〜(e)は受け部の変形例を示す平面図である。
図5】(a)及び(b)は受け部の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る粉体原料供給装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る粉体原料供給装置1は、容器2と、送出手段としてのスクリューフィーダ3と、受け部4とを備えている。
【0020】
容器2は、サイロなどで構成され、内部にガラス原料などの粉体原料Pを収容する。容器2の内部には、歯車などの撹拌機構(不図示)を配置してもよい。
【0021】
スクリューフィーダ3は、容器2の下部に設けられている。スクリューフィーダ3は、粉体原料Pの移送空間を区画形成する筒状の移送管31と、移送管31の内部に配置されたスクリュー32とを備えている。
【0022】
移送管31は、円筒状体である。移送管31は、中心軸が横向き(好ましくは水平)になるように配置されている。移送管31の一端部(排出口31eと反対側)の上部には容器2内の粉体原料Pが流れ込む投入口31iが設けられており、移送管31の他端部には粉体原料Pが流れ出す排出口31eが設けられている。この実施形態では、排出口31eは、移送管31の形状に準じた円形である。なお、移送管31は、楕円筒体や四角筒体などであってもよい。
【0023】
スクリュー32は、R方向への回転動作によって粉体原料Pを横向き(好ましくは水平方向)の移送方向Hの下流側に送り出す。スクリュー32の軸部は、移送管31の一端部から軸受などを介して移送管31の外側へ延び、駆動部としてのモータ33に接続されている。モータ33は、粉体原料Pを大量供給するときはスクリュー32を高速回転させ、粉体原料Pを少量供給するときはスクリュー32を低速回転させることができる。
【0024】
受け部4は、板状体であって、排出口31eの外側に接続された基端部4bと、基端部4bから移送方向Hの下流側に離れた先端部4fとを有する。この実施形態では、受け部4は、排出口31eに対して着脱可能とされている。受け部4の着脱機構は特に限定されるものではなく、例えば次の構成を採用できる。すなわち、着脱機構は、受け部4に設けられた凸部(又は凹部)と、移送管31に設けられ、受け部4の凸部(又は凹部)と嵌合する凹部(又は凸部)とを備えたものであってもよい。また、着脱機構は、受け部4を移送管31にネジなどの締結部材によって固定するものであってもよい。
【0025】
受け部4は、スクリューフィーダ3によって排出口31eから送り出された粉体原料Pを下方から支持するとともに、所定位置で粉体原料PをV方向に沿って落下供給する。
【0026】
この実施形態では、移送管31の他端部(排出口31e側)の外周部には、略直角に折れ曲がった管状のキャップ5の一端部が着脱可能に取り付けられている。受け部4は、キャップ5の内部空間に収容されている。受け部4の先端部4fとキャップ5の内壁との間には十分な隙間6がある。キャップ5の他端部は下方に向かって開口しており、粉体原料Pの落下口5eとされる。なお、キャップ5は、粉塵の飛散を防止するものであるが省略してもよい。また、キャップ5は移送管31に着脱不能に一体化されていてもよい。この場合、キャップ5の受け部5の上方位置に対応する部分に、受け部4の取り替えやキャップ5内部の観察に利用する開口部を設けると共に、その開口部を開閉する蓋部を設けておくことが好ましい。
【0027】
この実施形態では、キャップ5の落下口5eの下には、粉体原料Pを計量する計量器7が設けられている。受け部4から落下供給された粉体原料Pは、キャップ5の落下口5eから計量器7に供給される。
【0028】
計量器7は、粉体原料Pが必要量よりも少ない所定量まで計量されると、モータ33に制御信号を有線又は無線で送信し、モータ33によるスクリュー32の回転速度が高速から低速に変更される。また、計量器7は、粉体原料Pが必要量まで計量されると、モータ33に停止信号を有線又は無線で送信し、モータ33によるスクリュー32の回転が停止される。さらに、計量器7は必要量の粉体原料Pが計量された後、計量された粉体原料Pを梱包用容器(不図示)などに供給する。なお、作業者が計量器7の計量結果に基づいてモータ33によるスクリュー32の回転速度を手動で変更してもよい。
【0029】
図2(a)に示すように、受け部4は、単位時間当たり第一の供給量(大供給量)で粉体原料Pを落下供給可能な第一の部分としての先端部4fと、先端部4fの移送方向Hの上流側に、単位時間当たり第一の供給量よりも少ない第二の供給量(小供給量)で粉体原料Pを落下供給可能な第二の部分としての開口部4hとを備えている。先端部4fとキャップ5の内壁面との間に形成される隙間6の開口面積は、開口部4hの開口面積よりも大きい。なお、開口部4hの大きさや形状及び隙間6の大きさは、粉体原料Pの特性(例えば、粒度、流動性(安息角)など)によって適宜変更できる。
【0030】
開口部4hは、移送方向Hに沿って細長いスリット状(図示例では矩形状のスリット)であり、受け部4の幅方向中央部に設けられている。ここで、幅方向は、移送方向Hと水平面内で直交する方向とする。
【0031】
受け部4の水平面への投影面積は、落下口5eの開口面積の30%以上90%以下であることが好ましい。
【0032】
開口部4hの開口面積は、受け部4の全体面積(開口部4hを含む)の5%以上50%以下であることが好ましい。
【0033】
開口部4hは、先端部4fまで延び、先端部4fで移送方向Hの下流側に向かって開口しているが、基端部4bまでは延びていない。開口部4hの幅方向両側の先端部4fを含む先端部側領域4fxと、受け部4の基端部4bを含む基端部側領域(図2(a)のハッチングを付した領域)4bxは、開口部のない連続した領域である。粉体原料Pは、先端部側領域4fx内および基端部側領域4bx内では落下供給されない。なお、開口部4hは、基端部4bまで延びていてもよい。
【0034】
図2(b)に示すように、受け部4は、円筒状の移送管31の排出口31eの形状と一致する部分円筒体である。すなわち、開口部4hの幅方向両側の先端部側領域4fxと、基端部側領域4bxが部分円筒体である。この形状により、受け部4は、幅方向両端部が高位、幅方向中央部が低位とされ、幅方向両端部の各々から幅方向中央部に向うに連れて漸次下方に移行する。この受け部4の傾斜と重力によって、粉体原料Pは幅方向中央部に形成された開口部4hに集められる。なお、受け部4は、部分楕円筒体などであってもよい。
【0035】
再び図1に戻って説明すると、受け部4は移送管31と同軸上に配置されており、移送管31と受け部4とが移送方向Hにおいて滑らかに連続している。そのため、移送管31の排出口31eから送り出された粉体原料Pが、受け部4上に乗り移る際に、受け部4から大きな抵抗を受けることがない。なお、受け部4は、移送管31の排出口31eよりも下方位置に取り付けられていてもよい。また、受け部4は、移送管31に対して傾斜するように取り付けられていてもよい。
【0036】
この実施形態では、受け部4の幅方向両端部とキャップ5の内壁面との間には隙間がなく、粉体原料Pは受け部4の幅方向両側からは落下供給されない。なお、受け部4の幅方向両端部とキャップ5の内壁面との間には隙間があってもよい。
【0037】
次に、以上のように構成された粉体原料供給装置1の動作について説明する。以下では、必要量の粉体原料Pを短時間で正確に供給するために、最初のうちは粉体原料Pを大量供給しておき、必要量に達する前に小量供給に切り替える場合を例にとって説明する。なお、粉体原料Pの必要量が多い場合には、必要量の全てを大量供給のみで供給してもよいし、粉体原料Pの必要量が少ない場合には、必要量の全てを少量供給のみで供給してもよい。
【0038】
図3(a)に示すように、最初のうちは粉体原料Pを大量供給する。この粉体原料Pの大量供給時には、スクリュー32を高速回転させる。そうすると、移送管31の排出口31eから大量の粉体原料Pが、相対的に速い移送速度で移送方向Hの下流側に送り出される。送り出された粉体原料Pは受け部4に乗り移り、受け部4の上を移送方向Hの下流側に移送される。受け部4上には大量の粉体原料Pが供給されるため、ほとんどの粉体原料Pが開口部4hを乗り越えて先端部4fまで到達する。先端部4fとキャップ5の間の隙間6の開口面積は大きいので、先端部4fからは大量の粉体原料Pが落下供給される。このとき、開口部4hからも粉体原料Pが落下供給されてもよい。
【0039】
次に、図3(b)に示すように、必要量に達する前(好ましくは直前)に、粉体原料Pを小量供給に切り替える。この粉体原料Pの少量供給時には、スクリュー32を低速回転させる。そうすると、移送管31の排出口31eから少量の粉体原料Pが、相対的に遅い移送速度で移送方向Hの下流側に送り出される。送り出された粉体原料Pは受け部4に乗り移り、受け部4の上を移送方向Hの下流側に移送される。受け部4上には少量の粉体原料Pが供給されるため、ほとんどの粉体原料Pは開口部4hを乗り越えない。開口部4hの開口面積は小さいので、開口部4hからは少量の粉体原料Pが落下供給される。なお、この実施形態では、開口部4hは移送方向Hに沿って細長いスリットであるので、スクリュー32の回転速度を上げるに連れて粉体原料Pの落下供給位置が先端部4f側へと広がり、スクリュー32の回転速度を下げるに連れて粉体原料Pの落下供給位置が基端部4b側へと狭まる。そのため、スクリュー32の回転速度によって、開口部4hからの粉体原料Pの供給量を微調整することもできる。
【0040】
以上のように粉体原料供給装置1によれば、粉体原料Pの大量供給時には、受け部4の先端部4f(又は先端部4fと開口部4h)から粉体原料Pを落下供給することができ、粉体原料Pの少量供給時には、受け部4の開口部4hから粉体原料Pを落下供給することができる。したがって、粉体原料Pの供給量に応じて粉体原料Pの供給位置を変更できるので、大量供給時と少量供給時との両方で粉体原料Pを効率よく落下供給することができる。
【0041】
また、必要量の粉体原料Pが計量器7で計量され、スクリュー32の回転を停止させた後に、移送管31の排出口31eから粉体原料Pが流れ出しても、その流れ出した粉体原料Pを受け部4の基端部側領域4bxで受け止めることができる。したがって、移送管31の排出口31eから不当に流れ出た粉体原料Pが計量器7に供給され、計量オーバーになるという事態を防止することもできる。
【0042】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0043】
上記の実施形態では、図2(a)に示す形状の開口部4hを有する受け部4を説明したが、開口部4hの形状はこれに限定されない。受け部4の開口部4hは図4(a)〜(e)に示すような形状であってもよい。図4(a)に示す受け部4の開口部4hは、幅方向寸法が図2(a)の場合よりも大きい矩形状である。図4(b)に示す受け部4の開口部4hは、移送方向Hに沿って延びる細長いスリット状であり、幅方向に複数(図示例では2つ)並列に配列されている。図4(c)に示す受け部4の開口部4hは、基端部4b側から先端部4f側に向かって幅方向寸法が漸次広がる三角形状である。図4(d)に示す受け部4の開口部4hは、移送方向Hに沿って間隔を置いて設けられた複数の穴(図示例では2つの円形の穴と1つの半円形の穴)からなる。図4(e)に示す受け部4は、移送方向Hに沿って延びる細長いスリット状の開口面積の小さい開口部4hと、この開口部4hの移送方向Hの下流側に、受け部4の略全幅に亘って形成された開口面積の大きい開口部4hxとを有する。この場合、第一の部分(大供給量用部分)は先端部4fではなく開口部4hxであり、第二の部分(小供給量用部分)は開口部4hである。
【0044】
上記の実施形態では、図2(a)に示す部分円筒体からなる受け部4を説明したが、受け部4の形状はこれに限定されない。図5(a)に示すように、受け部4は、傾斜平面からなる先端部側領域4fx及び基端部側領域4bxを有するV字状体であってもよい。また、図5(b)に示すように、受け部4は、円筒体(又は楕円筒体)であってもよい。さらに、図示は省略するが、受け部4は、移送方向Hに沿って延びる平面部(好ましくは水平面部)であってもよい。
【0045】
上記の実施形態では、送出手段としてスクリューフィーダ3を説明したが、送出手段はこれに限定されない。送出手段は、移送管31に振動を加えることで、粉体原料Pを移送方向Hの下流側に送り出す振動フィーダであってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 粉体原料供給装置
2 容器
3 スクリューフィーダ
4 受け部
4b 基端部
4f 先端部(第一の部分)
4h 開口部(第二の部分)
4bx 基端部側領域
5 キャップ
5e 落下口
6 計量器
31 移送管
31i 投入口
31e 排出口
32 スクリュー
33 モータ
H 移送方向
P 粉体原料
図1
図2
図3
図4
図5