(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
本発明の繊維構造物は、ポリマージオールおよびジイソシアネートを出発物質とするポリウレタンからなる弾性糸を含み、かつ、アルキルジフェニルエーテル系化合物を少なくとも1つ含むものである。
【0012】
本発明において繊維構造物は、いかなる構造、形状のものであってもよく、例えば、布帛状物、帯状物、紐状物、糸状物などが挙げられる。好ましくは布帛状の織編物や不織布を含む物が使用され、かかる繊維構造物を含む複合材料を含む物であってもよい。
【0013】
本発明の繊維構造物は、後述するポリウレタンからなる弾性糸を含んでおり、ポリウレタンからなる弾性糸以外の繊維として、合成繊維、再生繊維、半合成繊維、天然繊維などを含んでいてもよい。繊維構造物に含まれるポリウレタンからなる弾性糸は、1%以上含まれるのが好ましく、10%以上がより好ましい。好ましくは90%以下含まれているものであるが、ポリウレタンからなる弾性糸のみが含まれそれ以外の繊維が含まれていない繊維構造物であってもよい。
【0014】
合成繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアクリルニトリル系繊維などが挙げられる。ポリエステル系繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどが挙げられ、これらにイソフタル酸などの第三成分が共重合されてたものが挙げられる。再生繊維や半合成繊維としては、レーヨン、アセテートなどが挙げられ、天然繊維としては綿、麻、羊毛、絹などが挙げられる。これらの繊維は短繊維、長繊維のいずれでもよく、単独あるいは2種以上を混繊、混紡や複合加工糸などとして使用することができる。またこれらの合成繊維や天然繊維とポリウレタンからなる弾性糸とのカバリング、エアー交絡、合撚、複合仮撚やコアスパンヤーンなどの複合加工糸として使用することができる。
【0015】
本発明の繊維構造物は、アルキルジフェニルエーテル系化合物を少なくとも1つ含むものである。アルキルジフェニルエーテル系化合物は一般式(1)で示されるものが好ましく用いられる。
【0017】
(式中の、R
1、R
2はそれぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基である。R
3、R
4はそれぞれ独立してH、Na、K、Mg及びCaから選ばれるMを有する−SO
3Mである。m、nは0〜5の整数であり、nまたはmのいずれかは1以上である。pは0〜(5−m)の整数であり、qは0〜(5−n)の整数である。)
一般式(1)において、R
1、R
2はそれぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基である。ここで、「それぞれ独立して」とは、m+nが2以上である場合において、それぞれのアルキル基の炭素数が全て異なってもよいことを示す。アルキル基の炭素数が20以下であると水に対する溶解性が良好であるため好ましい。
【0018】
また、一般式(1)において、R
3、R
4はそれぞれ独立してH、Na、K、Mg及びCaから選ばれるMを有する−SO
3Mである。ここで、−SO
3Mとは、SO
3−と対イオンMの組み合わせを示し、MがHである場合スルホン酸を、MがNa、K、Mg及びCaの何れかである場合スルホン酸塩であることを示す。また、「それぞれ独立して」とは、p+qが2以上である場合において、それぞれの−SO
3MについてH、Na、K、Mg及びCaから選ばれるMが全て異なってもよいことを示す。
【0019】
一般式(1)において、アルキル基R
1、アルキル基R
2は直鎖状あるいは枝分かれ状のいずれであってもよく、アルキル基R
1、アルキル基R
2はベンゼン環の水素が置換可能な条件を満たす限り、任意の場所に位置することができる。
【0020】
アルキルジフェニルエーテル系化合物としては、ベンゼン環の任意の場所にスルホン酸またはスルホン酸塩が置換している(すなわち一般式(1)においてp+qが1以上である)ことが好ましい。スルホン酸基が存在することによって、より高い消臭効果を得ることが期待できる。R
3、R
4は、R
1、R
2について上記したのと同様、ベンゼン環の水素が置換可能な条件を満たす限り、任意の場所に位置することができる。また、p、qの合計は生産効率の観点から3以下であることがより好ましい。
【0021】
本発明のアルキルジフェニルエーテル系化合物は、少なくとも1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
本発明の繊維構造物に含まれるアルキルジフェニルエーテル系化合物の質量の比率は、
消臭効果と風合いの両者を満足させる観点から、ポリウレタンからなる弾性糸の質量に対して
10〜
50質量%の範囲であることが好ましい。ここで、アルキルジフェニルエーテル系化合物が含まれる場所については、繊維構造物全体にわたって付着していてもよいし、ポリウレタンからなる弾性糸に局在して付着していてもよい。
10質量%未満では十分な消臭効果を発揮することができ
にくくなり、
50質量%を超えると繊維構造物の風合いを阻害する
ようになり好ましくない。
【0023】
本発明において、弾性糸を構成するポリウレタンに使用されるポリウレタンは、出発物質がポリマージオールおよびジイソシアネートである構造を含むポリウレタンであれば任意のものであってよく、特に限定されるものではない。また、その合成法も特に限定されるものではない。すなわち、例えば、ポリマージオールとジイソシアネートと低分子量ジアミンとを原料とするポリウレタンウレアであってもよく、また、ポリマージオールとジイソシアネートと低分子量ジオールとを原料とするポリウレタンウレタンであってもよい。
【0024】
なお、本発明においては、ポリマージオール化合物とはジオール化合物のうち数平均分子量(以降、分子量と略すこともある)が200以上のものをいい、分子量200未満のものを低分子ジオール化合物という。また、ポリマージオールの分子量としては、分子量が1000以上8000以下が好ましく、1500以上6000以下の範囲にあることがさらに好ましい。
また、鎖伸長剤として水酸基とアミノ基を分子内に有する化合物を使用したポリウレタンウレアであってもよい。本発明の効果を妨げない範囲で3官能性以上の多官能性のグリコールやイソシアネート等が使用されることも好ましい。
【0025】
ポリマージオールとしては、ポリエーテル系グリコール、ポリエステル系グリコール、ポリカーボネートジオール等が好ましい。そして、特に柔軟性、伸度を糸に付与する観点からポリエーテル系グリコールが使用されることが好ましい。
【0026】
ポリエーテル系グリコールとしては、具体的には、ポリエチレングリコール、変性ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、PTMGと略す)、テトラヒドロフラン(以下、THFと略す)および3−メチル−THFの共重合体である変性PTMG、THFおよび2,3−ジメチル−THFの共重合体である変性PTMG、THF及びネオペンチルグリコールの共重合体である変性PTMG、THFとエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドが不規則に配列したランダム共重合体等が挙げられる。これらポリエーテル系グリコール類の1種を使用してもよいし、また2種以上を使用してもよい。中でもPTMGまたは変性PTMGが好ましい。
【0027】
次にジイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略す)、トリレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートベンゼン、キシリレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートが、特に耐熱性や強度の高いポリウレタンからなる弾性糸を得ることができるため好適である。さらに脂環族ジイソシアネートとして、例えば、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロキシリレンジイソシアネート、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、オクタヒドロ−1,5−ナフタレンジイソシアネートなどが好ましい。脂肪族ジイソシアネートは、特にポリウレタンからなる弾性糸の黄変を抑制する際に有効に使用できる。そして、これらのジイソシアネートは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
次にポリウレタンに用いられる鎖伸長剤は、低分子量ジアミンおよび低分子量ジオールのうちの少なくとも1種を使用するのが好ましい。なお、エタノールアミンのような水酸基とアミノ基を分子中に有するものであってもよい。
【0029】
低分子量ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p,p’−メチレンジアニリン、1,3−シクロヘキシルジアミン、ヘキサヒドロメタフェニレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)ホスフィンオキサイドなどが挙げられる。これらの中から1種または2種以上が使用されることが好ましい。特に好ましくはエチレンジアミンである。エチレンジアミンを用いることにより伸度および弾性回復性、さらに耐熱性に優れた糸を容易に得ることができる。これらの鎖伸長剤に架橋構造を形成することのできるトリアミン化合物、例えば、ジエチレントリアミン等を効果が失わない程度に加えてもよい
また、低分子量ジオールとしては、エチレングリコール、1,3プロパンジオール、1,4ブタンジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート、1−メチル−1,2−エタンジオールなどが代表的なものである。これらの中から1種または2種以上が使用されることが好ましい。特に好ましくはエチレングリコール、1,3プロパンジオール、1,4ブタンジオールである。これらを用いると、ジオール伸長のポリウレタンとしては耐熱性がより高くなり、また、より強度の高いポリウレタンからなる弾性糸を得ることができる。
【0030】
ポリウレタンには、末端封鎖剤が1種または2種以上混合使用されることも好ましい。末端封鎖剤としては、ジメチルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、イソプロピルメチルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルメチルアミン、イソブチルメチルアミン、イソペンチルメチルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミンなどのモノアミン、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、シクロペンタノールなどのモノオール、フェニルイソシアネートなどのモノイソシアネートなどが好ましい。
【0031】
本発明の繊維構造物はポリウレタンからなる弾性糸に金属リン酸塩を含有させることが好ましい。金属リン酸塩を含有させることによって、汗臭、加齢臭の主要成分であるアンモニア、酢酸などに対して消臭性をさらに向上させることが可能となる。
【0032】
本発明における金属リン酸塩は、消臭性という観点から、層状構造を有するリン酸ジルコニウムやリン酸チタン等の4価金属の酸性リン酸塩、および、トリポリリン酸二水素アルミニウム等が好ましい。より好ましくは、リン酸チタン、及び/または、リン酸ジルコニウムである。これらは、単独で使用しても良いし、2種以上を混合しても良い。
【0033】
金属リン酸塩の含有量は、ポリウレタンからなる弾性糸の全質量に対して0.5質量%以上10質量%以下の範囲であることが好ましい。金属リン酸塩の含有量が0.5質量%以上とすることにより、布帛とした際にさらに高いアンモニアガスの消臭性が得られるので、好ましい。より好ましくは1.0質量%以上である。一方、含有量が10質量%を越えると、伸縮特性の悪化やコスト面で好ましくない。より好ましくは7.0質量%以下である。消臭性と物性面、コスト面というバランスを考慮すると、1.5質量%以上5.0質量%以下の範囲が特に好ましい。
【0034】
金属リン酸塩は、紡糸原液の紡糸口金への詰まりを抑えるという観点から、平均一次粒子径が3.0μm以下のものが好ましい。より好ましくは1.5μm以下である。また、分散性の観点から平均一次粒子径が0.05μmより小さい場合、凝集力が高まり紡糸原液中に均一に混合することが困難になるため、平均一次粒子径が0.05μm以上のものが好ましい。より好ましくは0.15μm以上である。
【0035】
さらに、ポリウレタンからなる弾性糸には、各種安定剤や顔料などが含有されていてもよい。例えば、耐光剤、酸化防止剤などにBHTや住友化学工業株式会社製の“スミライザー”(登録商標)GA−80などのヒンダードフェノール系薬剤、各種のチバガイギー社製“チヌビン”(登録商標)などのベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系薬剤、住友化学工業株式会社製の“スミライザー”(登録商標)P−16などのリン系薬剤、各種のヒンダードアミン系薬剤、酸化鉄、酸化チタンなどの各種顔料、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カーボンブラックなどの無機物、フッ素系またはシリコーン系樹脂粉体、ステアリン酸マグネシウムなどの金属石鹸、また、シリコーン、鉱物油などの滑剤、酸化セリウム、ベタインやリン酸系などの各種の帯電防止剤などが含まれることも好ましく、またこれらがポリウレタンと結合を有することも好ましい。そして、特に光や各種の酸化窒素などへの耐久性をさらに高めるには、例えば、日本ヒドラジン株式会社製のHN−150などの酸化窒素補足剤、住友化学工業株式会社製の“スミライザー”(登録商標)GA−80などの熱酸化安定剤、住友化学工業株式会社製の“スミソーブ”(登録商標)300♯622などの光安定剤を含有することも好ましい。
【0036】
次に本発明の繊維構造物の製造方法について詳細に説明する。
【0037】
本発明の繊維構造物は、ポリマージオールおよびジイソシアネートを出発物質とするポリウレタンからなる弾性糸を含む繊維構造物を染色と同時に、または染色した後にアルキルジフェニルエーテル系化合物の少なくとも1つを用いて浴中処理することによって得ることができる。
【0038】
染色と同時に浴中処理する場合は、通常の染色で用いられる染料、均染剤などの助剤とともに、アルキルジフェニルエーテル系化合物を混合して染色液を作成し、通常の染色温度、時間で染色処理すればよい。
【0039】
また染色した後に、一旦、染色液を排出し、再度、アルキルジフェニルエーテル系化合物を含む水溶液を作成し浴中処理する場合は、別途温度や時間を設定して浴中処理すればよい。かかる場合の浴中処理の温度は、50〜130℃の範囲が好ましい。50℃より低いと洗濯耐久性が不十分になり、130℃を越えると繊維構造物の風合いを阻害する恐れがある。処理時間は、10〜60分の範囲が好ましい。
【0040】
アルキルジフェニルエーテル系化合物を含む染色液や水溶液を作成する場合、液のpHは2.0〜5.0の範囲で調整することが好ましい。pH調整は、染色・仕上げ加工で通常使用される酸であればよく、酢酸、ギ酸、クエン酸、リンゴ酸などが挙げられるがいずれを用いてもよい。
【0041】
浴中処理で用いられる装置としては、液流染色機、気流染色機、ジッガー染色機、ビーム染色機、ウインスなどいずれを用いてもよい。
【0042】
別の製造方法として、ポリマージオールおよびジイソシアネートを出発物質とするポリウレタンからなる弾性糸を含む繊維構造物をアルキルジフェニルエーテル系化合物の少なくとも1つを用いてパディング処理することによって得ることができる。すなわち、アルキルジフェニルエーテル系化合物を含む処理液を、繊維構造物に含浸させた後、マングルロールで絞り、熱処理するパッド・ドライ・キュア法により処理することができる。熱処理として乾燥温度は、100〜150℃の範囲が好ましく、仕上げセット温度は、150〜200℃の範囲が好ましい。アルキルジフェニルエーテル系化合物を含む処理液を作成する場合、液のpHは2.0〜5.0の範囲で調整することが好ましい。pH調整は、染色・仕上げ加工で通常使用される酸であればよく、酢酸、ギ酸、クエン酸、リンゴ酸などが挙げられるがいずれを用いてもよい。パディング処理で用いられる装置としては、一般的な樹脂加工機の他、グラビアロール、ナイフコーターなどでもよく、マングルロールを有する乾燥機、ヒートセッターなどいずれを用いてもよい。
【0043】
また、アルキルジフェニルエーテル系化合物を含む処理液を捺染糊と混合して作成し、捺染と同時に繊維構造物に付与することも可能である。
【0044】
糸段階での製造方法として、ポリウレタンからなる弾性糸の乾式紡糸または溶融紡糸における油剤付与において、油剤付与ロールなどを用い、アルキルジフェニルエーテル系化合物を単独または油剤と混合して付与することも可能である。また、合成繊維や天然繊維とポリウレタンからなる弾性糸とのカバリング、エアー交絡、合撚、仮撚、コアスパンヤーンなどの複合加工糸を作成するときに、油剤付与ロールなどを用いアルキルジフェニルエーテル系化合物を単独または油剤と複合して付与することも可能である。
【実施例】
【0045】
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0046】
<洗濯方法>
SEKマーク繊維製品の洗濯方法(制定者:一般社団法人繊維評価技術協議会 製品認証部、改訂日:平成26年4月1日)に記載の標準洗濯法に準拠し、JIS L 0217:1995.「繊維製品の取扱いに関する表示記号及びその表示方法」に記載の洗い方103に規定される家庭電気洗濯機を使用し、40℃の水30Lに対し40mLの割合でJAFET標準配合洗剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びアルファオレフィンスルホン酸ナトリウムを配合)を添加して洗濯液とし、浴比が1:30になるよう試料および必要に応じて負荷布を投入して、5分間洗濯、脱水、2分間すすぎ洗い、脱水、2分間すすぎ洗い、脱水の工程を1回とし、これを10回繰り返した後、吊り干しで乾燥した。
<消臭性の評価方法>
SEKマーク繊維製品認証基準(制定者:一般社団法人繊維評価技術協議会 製品認証部、改訂日:平成26年4月1日)に記載の消臭性試験に準拠し、検知管法により臭気成分の消臭性評価を行なった。臭気成分としては、アンモニア、酢酸、イソ吉草酸、ノネナールを用いた。
【0047】
臭気成分の初発濃度は、アンモニア100ppm、酢酸30ppm、イソ吉草酸38ppm、ノネナール14ppmとする。空試験として、5Lサンプルバック(フィルム製)に臭気成分のみを成分毎に充填、密封し、2時間放置後、残存ガス濃度を各成分対応のガス検知管を用いて測定し、これを空試験濃度とする。次に測定に用いる試料(10cm×10cm)をサンプルバック(フィルム製)に入れ、前記した所定の濃度の臭気成分を充填、密封し、2時間後の残存ガス濃度を各成分対応のガス検知管で測定し、これを測定濃度とする。測定は3回行い、その平均値を用いて、下記式により、残存ガス濃度の減少率を算出し、消臭率として表記する。
【0048】
各消臭成分の消臭率(%)=((空試験濃度−各試料の測定濃度)/空試験濃度))×100
消臭率の評価基準は、アンモニア70%以上、酢酸70%以上、イソ吉草酸85%以上、ノネナール75%以上を目標とした。
<繊維構造物中の各繊維の単位当たり質量の算出方法>
編地作製時の(各繊維の比率)設定値と、編地の単位当たり質量の実測値から求めた。
【0049】
(実施例1)
28ゲージの丸編機を用い、84dtex72フィラメントのカチオン可染型ポリエステルとポリウレタンからなる弾性糸(東レ・オペロンテックス(株)製 ライクラ T−127C)44dtexを配してベア天竺編地とした。ポリウレタンからなる弾性糸と、カチオン可染型ポリエステルとの単位当たり質量は表1の通りであった。
【0050】
得られた編地を下記条件で染色液を作成し染色と同時に浴中処理を120℃、30分間行い、次いで、通常通り、ソーピングし、湯水洗し、その後、130℃で乾燥し、180℃、1分で仕上げセットを行った。
染料:カヤクリル ブラック BS−ED(日本化薬製)
下記式(2)に示すブチルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム
【0051】
【化2】
【0052】
pH調整剤:90%酢酸 1g/L
得られた繊維構造物の詳細を表1に、洗濯前の原布と洗濯10回後の消臭性を評価した結果を表2に示す。
【0053】
(実施例2)
ポリウレタンからなる弾性糸と、カチオン可染型ポリエステルとの単位当たり質量を表1の通りとした他は実施例1と同じ編地を用い、カヤクリル ブラック BS−ED(日本化薬製)で染色した後、一旦、排液し下記条件の処理液にて浴中処理を80℃、20分間行い、次いで、通常通り、ソーピングし、湯水洗し、その後、130℃で乾燥し、180℃、1分で仕上げセットを行った。
下記式(3)に示すドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム
【0054】
【化3】
【0055】
pH調整剤:90%酢酸 1g/L
得られた繊維構造物の詳細を表1に、洗濯前の原布と洗濯10回後の消臭性を評価した結果を表2に示す。
【0056】
(実施例3)
ポリウレタンからなる弾性糸と、カチオン可染型ポリエステルとの単位当たり質量を表1の通りとした他は実施例1と同じ編地を用い、カヤクリル ブラック BS−ED(日本化薬製)で染色した後、通常通り、ソーピングし、湯水洗し、130℃で乾燥した後、下記条件にて調整した処理液を用い、浸漬後、マングルで絞り率70%でディップ/ニップした後、130℃で乾燥し、180℃、1分で仕上げセットを行った。
下記式(4)に示すジドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム 30g/Lの水溶液
【0057】
【化4】
【0058】
pH調整剤:クエン酸 2g/L
得られた編地の詳細を表1に、洗濯前の原布と洗濯10回後の消臭性を評価した結果を表2に示す。
【0059】
(実施例4)
28ゲージの丸編機を用い、84dtex72フィラメントのカチオン可染型ポリエステルと金属リン酸塩としてリン酸チタンを3質量%含むポリウレタンからなる弾性糸44dtexを配してベア天竺編地とした。ポリウレタンからなる弾性糸と、カチオン可染型ポリエステルとの単位当たり質量は表1の通りであった。得られた編地を用いた以外は実施例3と同様の方法で染色以降の加工を実施した。
【0060】
得られた編地の詳細を表1に、洗濯前の原布と洗濯10回後の消臭性を評価した結果を表2に示す。
【0061】
(比較例1)
ポリウレタンからなる弾性糸と、カチオン可染型ポリエステルとの単位当たり質量を表1の通りとした他は実施例4と同じ編地を用い、式(4)に示すジドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムを用いなかった以外は同様の加工を実施した。
【0062】
得られた編地の詳細を表1に、洗濯前の原布と洗濯10回後の消臭性を評価した結果を表2に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】