(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
両かぎ針の使用に適切な、木製又は合成樹脂製の、中間部に窪みを設けて略扁平としたグリップを提供することにより、両かぎ針の持ち易さ、使い易さを良好にし、長時間の使用における疲れを少なくした両かぎ針は特許文献1に記載されているように公知である。
かぎ針の基端部を、平たい棒形状よりなるグリップ付きかぎ針とすることにより、使用時に手の滑りを防止し、手の疲れ感と痛症を緩和させることができるグリップ付かぎ針は、特許文献2に記載されているように公知である。
【0003】
手の指で掴む軸部に、弾力性がある筒状体を離脱可能に嵌着保持してなり、そのかぎ針を手の指で掴みやすくしてなるかぎ針は特許文献3に記載されているように公知である。
手で把持する部分に対して、かぎ針を左右又は内外に向けて角度を付けて設けることにより、編み物をする際の手の回転を小さくでき、肩こりを解消できることは特許文献4に記載されているように公知である。
また、編物用針において、係合凹角部が針棒本体の外周の長手方向延長線上又はそれより外側に位置せしめ、かつ鈎部突端と屈曲基点とを結ぶ線が上記針棒本体外周の長手方向延長線と交角30°以内で交叉させることにより、手指の疲労を防止し、ひいては糸の繰りの強弱の発生を防止することは、特許文献5に記載されているように公知である。
【0004】
さらに、指先より先端鉤部が突出するように指に沿わせることができる鉤針本体と、この鉤針本体の指に沿う部位に取付けられた指に着脱可能に取付けることができる支持具とからなることを特徴とする鉤針とすることにより、指先を自由に動かせなかったり、力が入らなかったりする人でも、編み物をすることができる鈎針は、特許文献6に記載されているように公知である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の補助具は、周知のかぎ針又は編み棒を使用する際に使用できるものであり、毛糸の太さも、編み物用の毛糸として公知の太さの毛糸を編む際に使用される。また、特に子供、高齢者、及び怪我人等の手指の力が弱い人が編み物をする際に適している。
【0011】
本発明の補助具は、基本的にかぎ針又は編み棒を保持するグリップ部と毛糸繰り出し部から形成される。
補助具は、合成樹脂、木材、竹材、金属等の手指により把持され、編み物用のかぎ針又は編み棒を保持して、編み物を行うに必要な強度を有するものであれば、特に材質を問わないが、手指にて十分に把持し易いことが必要である。
そのため、補助具のグリップ部の形状は、任意の適切な太さを有すると共に、かぎ針又は編み棒を保持する箇所は、保持するに必要な強度を備えることが必要とされる。
【0012】
編み棒を用いて編み物を行う場合には、通常両手に一本ずつ編み棒を持って行うことになり、このとき両手又はいずれか一方の手に本発明の補助具にて保持された編み棒を持って編み物を進めることができる。
この両手に編み棒を持つ場合には、本発明の毛糸繰り出し部を使用することはないが、補助具を用いることによって、手指の動きを補助することができ、手指の動きが不自由であっても、円滑に編み物を進めることができる。
【0013】
例えば、かぎ針を用いて編み物を行う場合には、通常利き手によりかぎ針を保持して、他方の手から毛糸を供給しながら編み物を行うことになる。
このとき、利き手によるかぎ針の保持にあたって、本発明の補助具にかぎ針を収納し、固定したものを使用することができる。これにより利き手が不自由であっても、確実にかぎ針を保持することができ、円滑に編み物を行うことが可能となる。
本発明の補助具にかぎ針を収納し、補助具に対してかぎ針を固定する手段としては、補助具のかぎ針又は編み棒固定部の長さ方向に設けた貫通口にかぎ針を挿入して、固定用の樹脂製等のスペーサー、粘着剤等によって、貫通口内面とかぎ針外周の間の間隙を埋めることによって固定する方法、あるいは、予めかぎ針をバンドに設けた筒状部に通して一体化させておき、そのバンドを手指に巻きながら、手指と補助具、さらにかぎ針を一体化させる方法を採用することができる。
これらの手段の中でも、かぎ針を使用する際には特に、手指の向きとかぎ針のかぎの向きを任意に調整できるように、該スペーサーやバンドに設けた筒状部を利用することによって、補助具とかぎ針を着脱可能に固定させることが好ましい。
【0014】
また利き手ではないほうの手から毛糸を供給するに際し、仮に利き手ではないほうの手が毛糸を繰り出すに不自由なときには、本発明の補助具を利き手ではないほうに持ち、利き手が持つかぎ針に向けて毛糸を供給することになる。
毛糸繰り出し部は、専らかぎ針を使用して編み物を行う際に使用する部分であって、その先端に毛糸を通す穴が設けられており、本発明の補助具を、毛糸を繰り出す目的で使用する場合には、かぎ針又は編み棒を持たない方の手、通常は利き手ではないほうの手に補助具を持ち、該穴を通して毛糸を供給し、また利き手の動きも不自由であれば、利き手にもかぎ針を固定した本発明の補助具を持って編み物を行う。
【0015】
以下に本発明の補助具、及びその補助具を使用して編み物を行う方法を、図面を基に説明する。
図1は本発明の補助具の正面図であり、補助具は、かぎ針又は編み棒固定部1と毛糸繰り出し部2から構成される。なお、かぎ針又は編み棒固定部1と毛糸繰り出し部2との境界は厳密なものではなく、曖昧な境界によって分けられていてもよい。
かぎ針又は編み棒固定部1には凸部3とバンド収納口8が設けられ、バンド収納口8はかぎ針又は編み棒固定部1の内部に設けられ、かぎ針又は編み棒固定部1の長さ方向に貫通されて設けられた穴4と接続されている。
図1においてはその穴に設けられた貫通孔にかぎ針又は編み棒を貫通させ、これをバンド収納口8から収納したバンド等により固定することによって、本発明の補助具にかぎ針又は編み棒を収納し固定させることができる。
凸部3は、補助具を使用して編み物をする場合、例えば毛糸を該凸部3に引っかけながら繰り出すことで、毛糸をかぎ針又は編み棒に沿わせ易くなる。その結果、確実にかぎ針又は編み棒の先端に向けて、より簡単にかつ容易に毛糸を繰り出すことがでる。
なお、かぎ針又は編み棒固定部1の外径や長さ、毛糸繰り出し部2の長さ等は手の大きさや好み等によって変更することができる。
【0016】
毛糸繰り出し部2にはその端部に孔2aが設けられている。毛糸繰り出し部2及び孔2aを使用する場合とは、本発明の補助具にはかぎ針又は編み棒を固定せず、補助具のみを利き手でない手で持ち、同時に利き手にはかぎ針又は編み棒を必要に応じて本発明の補助具を使用しながら持って、編み物を行うときである。そのため、孔2aは毛糸を通すことができる程度の内径の孔であり、さらに毛糸の通しやすさを考慮して、毛糸の外径よりも十分に大きい内径であることが望ましい。
なお、必要に応じて孔2aに毛糸を通しやすく、また毛糸が絡まったとき等に毛糸を外しやすくするために、例えばS1〜S3のいずれかに示すような位置、またはS1〜S3のいずれかに示す位置の近くに、スリットを設けることができる。このスリットは幅1〜4mm程度の毛糸が通る幅であることが必要である。S1〜S3のなかでも、毛糸が不用意に外れないような位置、S1又はS3にスリットを設けることが望ましい。
【0017】
図1からもわかるように、毛糸繰り出し部2はかぎ針又は編み棒固定部1に対して若干曲げられて形成されている。そのため、
図1においては凸部3と穴4を結ぶ線の延長線上に孔2aは形成されておらず、
図1において毛糸繰り出し部2は下方に向けて曲げられた形状を有している。
これは本発明の編み物補助具にかぎ針又は編み棒を固定し、これを利き手でもって編み物を行う際に、該毛糸繰り出し部2はちょうど手首近くに位置することになり、手首に当接されることによって、使用者の指、掌、及び手首によってかぎ針又は編み棒を安定的に固定させることに寄与できる。
もちろん、利き手や使用性に応じて、凸部3と穴4を結ぶ線の延長線上に孔2aを形成してもよく、
図1において毛糸繰り出し部2は下方ではなく上方に向けて曲げられた形状を有していてもよい。
【0018】
図2は本発明の補助具の側面図であり、
図2でいえば毛糸繰り出し部2は湾曲した形状を備えている。
この湾曲した形状は、本発明の補助具を利き手で持ったときに、利き手の手首に沿って当接できるように形成されたものである。加えて、利き手ではない手で持ってかぎ針又は編み棒に対して毛糸を繰り出して供給する際に、かぎ針又は編み棒の先端に向けて、より自然に毛糸を供給できるようにするための湾曲した形状である。
【0019】
また
図2に示された穴4は、
図2には図示されないが、かぎ針又は編み棒固定部1の内部に、その長さ方向に沿って貫通されて設けられた穴の一部でありその開口部である。
本発明の補助具にかぎ針又は編み棒を固定する際には、この貫通されて設けられた穴4にかぎ針又は編み棒を収納した状態において、後記に示すバンドや固定具により固定することになる。
そのため穴4は、固定するかぎ針又は編み棒の径よりも十分に大きい径を有することが求められる。
【0020】
さらに
図2に示された凸部3は、
図2の通りの先端が膨出した形状や大きさでなくても良く、筒形の凸部であってもよい。毛糸を掛けて編み物をすることができればよいものである。
【0021】
図3は、本発明の補助具の穴4内にかぎ針5を収納し、さらに、バンド収納口8に収納したバンド7の端部の筒部にかぎ針5を通すことによって、バンド7とかぎ針5を一体化させ、ひいてはかぎ針5と補助具とを一体化させたときを示す図である。
先にバンド収納口8内にバンド7の端部の筒部を収納しておき、さらに穴4内にかぎ針を収納しながら、同時に該バンド7の端部の筒部内にも通すことによって、一体化させる。このとき、編み物時の作業性を考慮して、あるいは使用者の好みを反映できるように、かぎ針のかぎの向きは図示したとおりではなく、
図3における手前方向や奥に向けることができる。その結果補助具を介してかぎ針を持ったときに、微妙なかぎの向きをより好ましい向きとすることができる。
また必要により、固定具SPを用いることもできる。固定具SPは穴4の内周とかぎ針5の外周との間隙に、穴4の開口部から収納することにより、楔のようにして間隙を埋めることができる。その結果、かぎ針5が穴4に対して確実に固定されることができる。
このような固定具SPはかぎ針5の外周全部にわたって設けることができるし、又はかぎ針5の外周の一部にのみ設けることもできる。
固定部4の形状としては、外径が円筒状もしくは円錐状のチューブ状、もしくは直方体状、高角錐状であってもよい。
【0022】
図4は、本発明の補助具にかぎ針を一体化し、さらに手に固定した状態を示す。この状態において、かぎ針のかぎの向きが使用者によって適切な向きであり、かつ手に特段力をいれることなく、手にかぎ針を固定させることができる。
バンド7は
図3において、補助具と一体化されたものであり、これを補助具と共に指に巻き付け、図示はしないが
図3に示されたベルクロファスナー6によって固定されたものである。
このように固定できる範囲において、バンドの材質は厚さ、幅等は任意のものにすることができる。中でもバンドは伸縮性を有する方が、補助具をより指に固定させる点において好ましい。
またベルクロファスナー6に代えて、バンドを固定させるに必要な部材、例えばボタンやバックル、磁石、ホック等を採用してもよい。使用者は手指の動きが不自由な場合があるので、そのような不自由な手指であっても、指に対して補助具を装着したり、脱着したりすることが容易なものであれば好ましい。
図4に示す状態から、編み物が終了してかぎ針を指から外す際には、ベルクロファスナー6を剥がし、指の回りに巻回されていたバンドを外すという簡単な動作によって、指から補助具と一体化された状態のかぎ針を外すことができる。場合によっては、かぎ針が補助具と一体化された
図3に示す状態のまま一旦収納し、例えば翌日に再度指にバンドを巻回してベルクロファスナーによって固定することで、編み物を再開することが可能である。
【0023】
図5は編み物を行っている状態の例であり、右手に本発明の補助具により固定されたかぎ針5をもち、左手に本発明の補助具をもって毛糸繰り出し部の孔2aに通した毛糸を順に繰り出しながら編み物を行う際の図である。毛糸繰り出し部の孔2aを使用することにより、右手側のかぎ針に毛糸を掛けやすく、かつかぎ針の先端が毛糸により死角になることがないように、適切な角度で毛糸を編み物を進めやすい方向から供給することができる。
なお、左手に持っている補助具にもかぎ針5が付けられているが、毛糸繰り出し部2aのみを使用するのであれば、かぎ針5は必ずしも必要ではない。
両手とも手指が不自由な場合には、
図5に示すように両手に本発明の補助具を持って編み物を行うことができるが、片手の手指が不自由な場合には、その不自由な側の手のみが本発明の補助具を使用することもできる。
指先を用いて毛糸を繰り出す動作には、細かい指先の動きと、それに伴うある程度の指先の力を要するので、その手指が不自由であると毛糸を円滑に繰り出すことが困難になる。
そのため、特に本発明の補助具を使用して、毛糸繰り出し部2を使用して毛糸を繰り出すことによって、編み物を進めることが可能となる。
また、凸部3に毛糸を引っかけた状態で、例えば親指にて該凸部3を押さえることによって、凸部3がない場合よりも、さらに弱い力によってかぎ針又は編み棒に毛糸を押さえつける動作をすることが可能になる。特に、親指、中指及び小指が曲げにくくなったときでも、かぎ針を手に固定して毛糸を編むことが可能となる。
【0024】
図6は本発明の補助具の別の例である。
図3において、かぎ針又は編み棒固定部に貫通した穴4を設けることに代えて、穴4を溝9の形状とした例である。溝9とすることによって、かぎ針又は編み棒を穴4に通すという動作は不要となり、より簡単な溝9に入れるという動作に代えて、かぎ針又は編み棒固定部を溝9内に収納することができる。加えて、バンド7の端部の筒部内にかぎ針又は編み棒を貫通させる工程を、穴4内で行う必要はなく、補助具とは別にまずかぎ針又は編み棒と端部に筒部が形成されたバンドを用意し、その筒部内により簡単にかぎ針又は編み棒を収納しておくことができる。ついでそのバンドをバンド収納口に入れることによって指に固定するまでの準備が簡単に完了する。
【0025】
このときの溝9の大きさとしては、かぎ針又は編み棒を入れることを考慮するとその幅が大であるほうがよく、また溝9を形成する溝9の内壁は、溝9が形成されたかぎ針又は編み棒固定部の表面に垂直に形成されていてもよいが、やはりかぎ針又は編み棒を収納するときの作業性を考慮すると、かぎ針又は編み棒固定部の表面の溝の開口部がより拡がった形状のほうが好ましい。
このときバンド収納口の大きさは十分にバンドの断面よりも大であるほうが、バンドをバンド収納口内に収納する動作をより円滑にすることができる。