特許第6687956号(P6687956)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6687956レンジフードの排煙ダクトの汚染防止方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6687956
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】レンジフードの排煙ダクトの汚染防止方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20200421BHJP
【FI】
   F24F7/06 101Z
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-129132(P2019-129132)
(22)【出願日】2019年7月11日
【審査請求日】2019年7月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518350749
【氏名又は名称】山口 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100196313
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100076082
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 康文
(74)【代理人】
【識別番号】100192496
【弁理士】
【氏名又は名称】西平 守秀
(72)【発明者】
【氏名】山口 明彦
【審査官】 奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−026334(JP,A)
【文献】 実開平03−111840(JP,U)
【文献】 特開2017−110830(JP,A)
【文献】 特開平03−031634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00−13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排煙ファンから出た圧風を絞って風速を早くした状態で排煙ダクトの内壁に送り、厨房から出た汚染物を伴った排気は排煙ダクトの中央を通って排出されるようにした排煙ダクトの汚染防止方法であって、
前記排煙ダクトの下方に有底の排気チャンバーを設けておき、
前記排煙ファンで発生した圧風は片方のルートから排煙ダクトに送り、残りはもう一方のルートから整流ルートに送り、整流ルートを二つに分けて、片方は整流板の底板の下層に送り、もう一方は整流板の中板と前記底板との間の補助層に送り、この補助層から出た圧風はレンジフード外周の増速隙間から前記中板の上面を経て前記排気チャンバーの側部に供給することを特徴とする排煙ダクトの汚染防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厨房で発生した油煙を収集し排出するレンジフードの排煙ダクトの汚染を防止する技術に関する。
【0002】
安価なレンジフードは、厨房で発生した油煙をファンで集めて排出するだけであるから、フィルターを設けて油や埃などを付着させ、清浄にした空気のみを排出する構成が普及している。しかしながら、油煙がファンにも付着してファンも汚れることは避けられないから、特願2019-46078号のように、廃煙がファンを通過しない構造を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2019-46078号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成によると、ファンが汚れるのを防止できるが、排煙ダクトの内壁にも汚れが付着するので、人手による清掃が欠かせない。
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、油や埃が排煙ダクトの内壁にも付着せず、人手による清掃を皆無とする方法を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、排煙ファンから出た圧風を絞って風速を早くした状態で排煙ダクトの内壁に送り、厨房から出た汚染物を伴った排気は排煙ダクトの中央を通って排出されることを特徴とする排煙ダクトの汚染防止方法である。
【0006】
請求項2は、前記排煙ダクトの下方に有底の排気チャンバーを設けて、この排気チャンバーの底側に、排気ファンから出た圧風を送り、厨房から出た汚染物を伴った排気を前記排気チャンバー中に横から送風し、前記排煙ダクトより小径のガイドを通して前記排煙ダクトの中央に送風することを特徴とする請求項1記載の排煙ダクトの汚染防止方法である。
【0007】
請求項3は、前記排煙ファンで発生した圧風は片方のルートから排煙ダクトに送り、残りはもう一方のルートから整流ルートに送り、整流ルートを二つに分けて、片方は整流板の底板の下層に送り、もう一方は整流板の中板と前記底板との間の補助層に送り、この補助層から出た圧風はレンジフード外周の隙間から前記中板の上面を経て前記排気チャンバーの側部に供給することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の排煙ダクトの汚染防止方法である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1のように、排煙ファンから出た圧風を絞って風速を早くした状態で排煙ダクトの内壁に送り、厨房から出た汚染物を伴った排気は排煙ダクトの中央を通って排出されるため、厨房から発生した油煙で排煙ダクトが汚れることは無く、人手による清掃が省ける。
【0009】
請求項2のように、前記排煙ダクトの下方に有底の排気チャンバーを設けてこの排気チャンバーの底側に、排気ファンから出た圧風を送り、厨房から出た汚染物を伴った排気を前記排気チャンバー中に横から送風し、前記排煙ダクトより小径のガイドを通して前記排煙ダクトの中央に厨房から出た汚染物を伴った排気を送風するので、厨房から出た汚染物で排煙ダクトの壁面が汚れることは無い。
【0010】
請求項3のように、前記排煙ファンで発生した圧風は片方のルートから排煙ダクトに送り、残りはもう一方のルートから整流ルートに送り、整流ルートを二つに分けて、片方は整流板の底板の下層に負圧の状態で送り、もう一方は整流板の中板と前記底板との間の補助層に送り、この補助層から出た圧風はレンジフード外周の隙間から前記中板の上面を経て前記排気チャンバー中に横から供給するので、厨房から出た汚染物を伴った排気は排煙ダクトから円滑に排煙出される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明によるレンジフードの要部を示す正面断面図である。
図2】本発明のレンジフードの全容を示す正面断面図である。
図3】排煙ダクトの下端を示す正面断面図である。
図4】排煙ダクト内の空気の流れを示す斜視図である。
図5】整流板の全容を示す上方斜視図である。
図6図5の整流板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明によるレンジフードの排煙ダクトの汚染防止方法が実際上どのように具体化されるか実施形態で説明する。図1は本発明によるレンジフードの要部を示す正面断面図であり、排気ファンFの回転羽根と直角の排煙ファン16が現れている。この排煙ファン16が回転して出る圧風は、排煙ダクトDS側に噴出する排煙圧風Aのルートと整流側に噴出するBルートに分岐する。
【0013】
前記排気ファンFはケーシングCで囲まれ、出口Wから出た圧風はすべて圧風筒11から整流板中央部の排気チャンバー17 に送られ、蓄積された圧風は、排煙ダクトDSより小径のガイドGで排煙ダクトDSの中央に案内されて排煙15となり、最後は排気口4から排出される。図2は本発明のレンジフードの全容を示す正面断面図で、排気ファンFの下側に、天井壁1、底板3及び中板5から成る整流板を備えている。
【0014】
前記Bルートの圧風は、コネクション部10、10、圧風筒12、12を通過して整流室Rに内に入り、図3のように整流板の下面中央に設けた中央吹出隙間6から四方八方に高速で噴出し、厨房の油煙を含んだ周りの空気を引き込み、中板5上面を経由して排気ダクトDへ運ばれ、最後に排気口4から外部へ排出される。すなわち、図2のように整流板の外周縁に設けた外周吹き出し隙間7から中央向きに高速で噴出し、排気ダクトDに収束する。前記の中央吹出口6のガイド蓋と整流底板3とは平行である。なお、吹出口6の隙間は1.0 mm〜 1.5mmである。
【0015】
前記底板3の外周が上向きに湾曲し、その先端8が水平に内向きに曲がって、整流板中板5の外周との間に互いに平行な隙間7が形成されている。この隙間7も1.0 mm〜1.5mmである。隙間6、7から噴出される風量は小さいが、風速が速いので、回りの油煙などの汚れを引き込んで、排気ダクトDに送出する。このような増速が円滑となるように整流が行われる。
【0016】
また、底板3下面の負圧の風は油煙を迅速に吸引してフード外周開口9へ運び、中板5上面と水平端8間の水平隙間7で発生した負圧の風が油煙などの汚れを迅速に中央の排気ダクトDへ運ぶ。なお、底板3の下面や中板5の上面に空気の膜が介在するため、油煙などの汚れが付着することはない。
【0017】
次に、図4のように、分岐した排煙圧風Aは、増速のために風量を絞ってから排気ダクトDから排煙ダクトDSの内面に高速で噴出し、負圧となって排煙ダクトDSの内面に密着状態で流出する。前記の小径のガイドGで排煙ダクトDSの中央に案内された排煙15は、前記高速流14のために排煙ダクトDSに接すること無しに流出するので、排煙ダクトDSか汚れることは無い。
【0018】
図5は、整流装置の全容を示す上方斜視図、図6は平面図であり、右側に2本の圧風筒11、11が立ち、排気ファンFの回転で発生した圧風が出口Wから排気チャンバー17 に供給される。排煙ファン16の下では、左側に2本の圧風筒12、12が立ち、底板3下面に噴出した風速で吸引された油煙は、レンジフード外周の隙間7から矢印のように圧風筒11、11間、12、12間の空間から中央の排気13として送風され、次いで排煙15となって排出される。
なお、排煙ダクトDSの終端にフィルターを設けて、排出された油煙を捕獲し、廃棄することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
以上のように、厨房で発生し油煙や汚れを集めて排出するレンジフードにおいて、排煙ダクトの内壁だけを、高速にした負圧の空気層が通り、厨房で発生した油煙を収集し排出する排気は、排煙ダクトの中央を通るので、排煙ダクトの壁面が汚れることは無く、人手で清掃する負担が開放される。
【符号の説明】
【0020】
1 排気用ファン
1 フード天板
2 整流板
3 整流底板下
4 油煙の排出口
5 整流板中板
6 整流板下面吹出口
7 整流板外周縁吹出口
8 湾曲先端
9 フード外周開口部
10 コネクション部
11 排気側圧風筒
12 整流板側圧風筒
13 排気圧風
14 筒状粘性噴流
15 油煙
16 排煙ファン
17 排気チャンバー
A 排煙圧風
B 整流板用圧風
D 排気ダクト
DS 排煙ダクト
【要約】
【課題】油や埃が排煙ダクトの内壁にも付着せず、人手による清掃を皆無とする方法を実現する。
【解決手段】排煙ファンから出た圧風を絞って風速を早くした状態で排煙ダクトの内壁に送り、厨房から出た汚染物を伴った排気は排煙ダクトの中央を通って排出させるので、厨房から発生した油煙で排煙ダクトが汚れることは無く、人手による清掃が省ける。また、前記排煙ダクトの下方に有底の排気チャンバーを設けて、この排気チャンバーの底側に、排気ファンから出た圧風を送り、厨房から出た汚染物を伴った排気を前記排気チャンバー中に横から送風し、前記排煙ダクトより小径のガイドを通して前記排煙ダクトの中央に送風するので、厨房から出た汚染物で排煙ダクトの壁面が汚れることは無い。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6