(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した撮影条件提案システムについて、図面を参照しながら詳細に説明をする。
【0012】
図1は、本発明を適用した撮影条件提案システム1の全体構成を示すブロック図である。撮影条件提案システム1は、撮像装置9と、撮像装置9に接続された条件提案装置2と、条件提案装置2に接続されたデータベース3、並びに撮影条件制御部4とを備えている。
【0013】
撮像装置9は、カメラ等のように画像を撮影可能な装置である。この撮像装置9は、いわゆるデジタルカメラ、ビデオカメラとして具現化される以外に、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末に実装されるカメラとして具現化されるものであってもよい。撮像装置9は、CTカメラ、レントゲン画像、スペクトル画像等を撮像するカメラで構成されていてもよい。
【0014】
データベース3は、撮影条件の提案を行う上で必要な様々な情報が蓄積される。撮影条件の提案を行う上で必要な情報としては、過去において撮像した参照用画像情報、参照用画像情報から算出した参照用評価値、参照用画像から判別対象について参照用対象画像領域を切り出した参照用対象画像領域等が、ユーザに対して提案する撮影条件との関係において蓄積されている。
【0015】
撮影条件制御部4は、条件提案装置2により制御され、撮像装置9による撮影条件を制御する。撮影条件制御部4は、撮像装置9による撮影範囲の拡大、縮小、撮影方向の制御、撮影タイミング、絞りやフォーカス、フラッシュ、照明等を制御する。
【0016】
条件提案装置2は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等を始めとした電子機器で構成されているが、PC以外に、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等、他のあらゆる電子機器で具現化されるものであってもよい。ユーザは、この条件提案装置2による探索解を得ることができる。ちなみに、撮像装置9、撮影条件制御部、データベース3の何れか1以上、又は全てが、この条件提案装置2内に実装されていてもよい。
【0017】
図2は、条件提案装置2の具体的な構成例を示している。この条件提案装置2は、条件提案装置2全体を制御するための制御部24と、操作ボタンやキーボード等を介して各種制御用の指令を入力するための操作部25と、有線通信又は無線通信を行うための通信部26と、各種判断を行う判別部27と、ハードディスク等に代表され、実行すべき検索を行うためのプログラムを格納するための記憶部28とが内部バス21にそれぞれ接続されている。さらに、この内部バス21には、実際に情報を表示するモニタとしての表示部23が接続されている。
【0018】
制御部24は、内部バス21を介して制御信号を送信することにより、条件提案装置2内に実装された各構成要素を制御するためのいわゆる中央制御ユニットである。また、この制御部24は、操作部25を介した操作に応じて各種制御用の指令を内部バス21を介して伝達する。
【0019】
操作部25は、キーボードやタッチパネルにより具現化され、プログラムを実行するための実行命令がユーザから入力される。この操作部25は、上記実行命令がユーザから入力された場合には、これを制御部24に通知する。この通知を受けた制御部24は、判別部27を始め、各構成要素と協調させて所望の処理動作を実行していくこととなる。この操作部25は、前述した撮像装置9として具現化されるものであってもよい。
【0020】
判別部27は、探索解を判別する。この判別部27は、判別動作を実行するに当たり、必要な情報として記憶部28に記憶されている各種情報や、データベース3に記憶されている各種情報を読み出す。この判別部27は、人工知能により制御されるものであってもよい。この人工知能はいかなる周知の人工知能技術に基づくものであってもよい。
【0021】
表示部23は、制御部24による制御に基づいて表示画像を作り出すグラフィックコントローラにより構成されている。この表示部23は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等によって実現される。
【0022】
記憶部28は、ハードディスクで構成される場合において、制御部24による制御に基づき、各アドレスに対して所定の情報が書き込まれるとともに、必要に応じてこれが読み出される。また、この記憶部28には、本発明を実行するためのプログラムが格納されている。このプログラムは制御部24により読み出されて実行されることになる。
【0023】
上述した構成からなる撮影条件提案システム1における動作について説明をする。
以下の
図3は、本発明を適用した撮影条件提案システム1の動作フローを示している。先ず撮像装置9により参照用の被写体を撮像する。この参照用の被写体とは、後述する第1の学習器31、第2の学習器32により学習済みモデルを構築する上で参照するための被写体である。撮像装置9により参照用の被写体が撮像されると、条件提案装置2に送られる。条件提案装置2は、撮像された参照用の被写体に基づいて参照用画像を生成する(ステップS11)。
【0024】
このステップS11において生成された参照用画像は、ステップS12において評価され、参照用評価値が算出される。ステップS12では、参照用画像について、輝度、エッジの強さ、エッジの傾き、類似度、明度、彩度、RGB値の距離、HSVの距離、PSNR(Peak Signal-to-Noise Ratio)、SSIM(Structural Similarity)、FSIM(Feature Similarity)等の各参照用評価値を算出する。このようにして得られた参照用評価値は第2の学習器32へと送られる。
【0025】
またステップS11において生成された参照用画像は、第1の学習器31へと送られる。この第1の学習器31では、機械学習を利用することにより、参照用画像から判別対象となる領域を抽出する。この判別対象としては、例えば建築構造物や土木構造物中に発生した亀裂、医療用の画像中に現れる癌、監視画像中に現れる人物の顔等、ユーザが判別を望むあらゆる対象を含む。
【0026】
第1の学習器31は、参照用画像の特徴量を抽出し、判別対象についての1以上の画像について予め求めておいた特徴量と比較することにより、判別対象を抽出する。例えば、判別対象が建築構造物中に発生した亀裂である場合、その亀裂の画像の特徴量を予め求めておく。そして、参照用画像から抽出した特徴量との合致度を求める。そして、この求めた合致度に基づいて参照用画像に映し出された参照用の被写体が、判別対象としての建築構造物中に発生した亀裂であるか否かを判定する。
【0027】
かかる場合において、この第1の学習器31をディープラーニングを利用して解析するようにしてもよい。
【0028】
この第1の学習器31では、例えばGrad-CAM(登録商標)に示すように、特徴部位を可視化するツールにより可視化した画像を取得するようにしてもよい。例えば
図4(a)に示すように、判別対象としての亀裂51が画像上に映し出されているものとする。この特徴部位を可視化するツールでは、
図4(b)に示すように、画像上の特徴量に応じて、ヒートマップの濃淡で表示する。これにより、画像上の特徴部位がヒートマップで強調することが可能となる。判別対象を特徴部位とするのであれば、これを可視化した画像を得ることも可能となる。
【0029】
第1の学習器31では、
図4(a)に示す判別対象としの亀裂の画像領域を切り出し、抽出してもよいし、
図4(b)画像上の特徴部位の濃淡の画像領域を抽出するようにしてもよい。また、判別対象を切り出した画像領域と、特徴部位の濃淡の画像領域の双方を抽出するようにしてもよい。
【0030】
このようにして判別対象について切り出した画像領域、又は特徴部位の濃淡の画像領域を、以下、参照用対象画像領域という。例えば、被写体としての建築構造物中に含まれる亀裂を判別対象とした場合、この判別対象としての亀裂の画像領域を切り出したものや、当該亀裂を特徴部位とした濃淡の画像領域が参照用対象画像領域になる。このような参照用対象画像領域は、第2の学習器32へ送られる。
【0031】
第2の学習器32は、送られてきた参照用評価値と、参照用対象画像領域に基づいて、学習済みモデルを構築する。
【0032】
例えば
図5に示すように、参照用評価値と、参照用対象画像領域との組み合わせが形成されていることが前提となる。
【0033】
図5の例では、例えば参照用評価値P01〜P03が、輝度○○、エッジの傾き○○等であるものとする。また参照用対象画像領域P14〜P17が、抽出した亀裂の画像領域の各画像であるものとする。
【0034】
入力データとしては、このような参照用評価値と、参照用対象画像領域が並んでいる。このような入力データとしての、参照用評価値に対して、参照用対象画像領域が組み合わさったものが、
図5に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、撮影条件A〜Eが表示されている。
【0035】
この撮影条件A〜Eには、例えばフラッシュの条件、ズームの条件、撮影方向の条件等がそれぞれ規定される。
【0036】
参照用評価値と、参照用対象画像領域との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、撮影条件A〜Eに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用評価値と、参照用対象画像領域がこの連関度を介して左側に配列し、各撮影条件が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用評価値と、参照用対象画像領域に対して、何れの撮影条件と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用評価値と、参照用対象画像領域が、いかなる撮影条件に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用評価値と、参照用対象画像領域から最も確からしい撮影条件を選択する上での的確性を示すものである。
図5の例では、連関度としてw13〜w22が示されている。このw13〜w22は以下の表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力としての撮影条件と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力としての撮影条件と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0038】
条件提案装置2は、このような
図5に示す3段階以上の連関度w13〜w22を予め取得しておく。つまり条件提案装置2は、実際の撮影条件の探索を行う上で、参照用評価値と、参照用対象画像領域、並びにその場合の撮影条件がどの程度であったかのデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図5に示す連関度を作り上げておく。
【0039】
例えば、参照用評価値P11が輝度●△、エッジの傾き×○であり、かつ参照用対象画像領域P14が亀裂の画像であるもののややぼやけたイメージである場合ものとする。このとき以前のデータにおいて、いかなる撮影条件に設定すると、判別対象の画像がより鮮明になるかを抽出する。これらのデータは、過去の撮影データから抽出するようにしてもよい。
【0040】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用評価値P01で、かつ参照用対象画像領域P14である場合に、いかなる撮影条件が好ましかったかを過去のデータから分析する。好ましい撮影条件ほど連関度をより高く設定し、好ましくない撮影条件ほど連関度をより低く設定する。例えば中間ノード61aの例では、撮影条件Aと、撮影条件Bの出力にリンクしているが、以前の事例から撮影条件Aが画像が鮮明であったため、撮影条件Aにつながるw13の連関度を7点に、撮影条件Bにつながるw14の連関度を2点に設定している。
【0041】
また、この
図5に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0042】
図5に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用評価値P01に対して、参照用対象画像領域P14の組み合わせのノードであり、撮影条件Cの連関度がw15、撮影条件Eの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用評価値P02に対して、参照用対象画像領域P15、P17の組み合わせのノードであり、撮影条件Bの連関度がw17、撮影条件Dの連関度がw18となっている。
【0043】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに撮影条件を探索する際において、上述した学習済みデータを利用して撮影条件を探索することとなる。かかる場合には、撮像装置9により、新たに撮影条件を提案する被写体を撮像する。そして、画像生成ステップS11において、この撮像装置9により撮像された被写体の画像を生成する。この画像は、ステップS12において評価され、参照用評価値が算出される。このステップS12における評価では、参照用画像と同様に、この新たに生成した画像についても輝度、エッジの強さ、エッジの傾き、類似度等の各評価値を算出する。このようにして得られた参照用評価値は第2の学習器32へと送られる。
【0044】
またステップS11において生成された画像は、第1の学習器31へと送られる。この第1の学習器31では、参照用画像と同様に、この新たに生成された画像についても特徴量を抽出し、判別対象についての1以上の画像について予め求めておいた特徴量と比較することにより、判別対象を抽出する。そして画像から抽出した特徴量と、予め判別対象に応じて求めておいた特徴量との合致度を求める。そして、この求めた合致度に基づいて画像に映し出された被写体が、判別対象が含まれているか否かを判定する。
【0045】
このようにして、判定した判別対象を、画像から切り出す。参照用対象画像領域が特徴部位の濃淡の画像領域で構成されている場合には、新たに生成された画像から同様に特徴部位の濃淡の画像領域を抽出する。この判別対象について切り出した画像領域、或いは特徴部位の濃淡の画像領域を、以下、対象画像領域という。例えば、被写体としての建築構造物中に含まれる亀裂を判別対象とした場合、この判別対象としての亀裂の画像領域を切り出したもの、或いは亀裂を特徴部位とした濃淡の画像領域が対象画像領域になる。このような対象画像領域は、第2の学習器32へ送られる。
【0046】
第2の学習器32は、新たに送られてきた評価値と、対象画像領域に基づいて、上述した学習済みモデルを参照し、最適な撮影条件を探索する。
【0047】
かかる場合には、予め取得した
図5(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した評価値が参照用評価値P02と同一かこれに類似するものである場合であって、対象画像領域が参照用対象画像領域P17と同一又は類似である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、撮影条件Cがw19、撮影条件Dが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度のもっと高い撮影条件Cを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる撮影条件Dを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0048】
また、入力から伸びている連関度w1〜w12の例を以下の表2に示す。
【0050】
この入力から伸びている連関度w1〜w12に基づいて中間ノード61が選択されていてもよい。つまり連関度w1〜w12が大きいほど、中間ノード61の選択における重みづけを重くしてもよい。しかし、この連関度w1〜w12は何れも同じ値としてもよく、中間ノード61の選択における重みづけは何れも全て同一とされていてもよい。
【0051】
条件提案装置2は、このようにして探索された撮影条件を、表示部23に出力するようにしてもよい。これにより、ユーザは、表示部23に出力された撮影条件に撮像装置9を設定し、撮像を行うことが可能となる。その結果、特に欠陥や疵、シミ等、微細な判別対象の画像解析精度を向上させることが可能となる。
【0052】
特に第2の学習器32では、エッジや輝度等といった評価値に応じて、実際の対象画像領域の画像精度が変わることから、これらを互いに説明変数とすることで、解の探索精度をより高めることができる。
【0053】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものでは無く、第1の学習器32における判別対象の判定正答率を判定精度として求め、この求めた判定精度に基づいて最適な撮影条件を探索するようにしてもよい。
【0054】
この判定正答率を求める方法としては、
図4(a)に示すように、判別対象の対象画像領域の内容や画像位置も既知であるものとする。このとき、判別対象の対象画像領域の抽出を試み、特徴量に基づいて抽出した判別対象が、既知のものと比較して、内容や画像位置共に正確に検出できているかを判定する。そして、その正確に抽出できている割合を求める。仮に画像中に亀裂が100個存在するのであれば、その亀裂の判別対象としたときの画像領域の内容と画像位置が既知であるとしたとき、これを特徴量に基づいて抽出することを試みる。その結果、90個の亀裂を正確に抽出できたのであれば、判定正答率は90%となる。
【0055】
このような判定正答率からなる判定精度について盛り込んだ、
図6に示すような学習済モデルを予め作り上げておく。
【0056】
図6は、上述した参照用評価値と、参照用対象画像領域に加えて、更に参照用判定精度との組み合わせと、当該組み合わせに対する撮影条件との3段階以上の連関度が設定されている例を示している。参照用判定精度は、上述した判定精度について予め調査、分析することで得た学習用データであり、これを構成する判定正答率の求め方は上述と同様である。
【0057】
かかる場合において、連関度は、
図6に示すように、参照用評価値と、参照用対象画像領域と、参照用判定精度との組み合わせの集合が上述と同様に中間ノードのノード61a〜61eとして表現されることとなる。
【0058】
例えば、
図6において、ノード61cは、参照用評価値P02が連関度w3で、参照用対象画像領域P15が連関度w7で、参照用判定精度P12が連関度w11で連関している。同様にノード61eは、参照用評価値P03が連関度w5で、参照用対象画像領域P15が連関度w8で、参照用判定精度P11が連関度w10で連関している。
【0059】
このような連関度が設定されている場合も同様に、新たに取得した評価値と、対象画像領域と、判定精度とに基づいて探索解を判別する。
【0060】
この探索解を判別する上で予め取得した
図6に示す連関度を参照する。例えば、取得した評価値が参照用評価値P02に同一又は類似で、取得した対象画像領域が参照用対象画像領域P15に対応し、更に取得した判定精度が参照用判定精度P12に対応する場合、その組み合わせはノード61cが関連付けられており、このノード61cは、撮影条件Bが連関度w17で、また撮影条件Dが連関度w18で関連付けられている。このような連関度の結果、w17、w18に基づいて、実際に探索解を求めていくことになる。 このようにして、第1の学習器31における判定精度を盛り込んで撮影条件を探索することにより、探索する撮影条件の探索精度を向上させることが可能となる。
【0061】
即ち、第1の学習器31では、撮像した画像から対象画像領域として切り出すべき判別対象の判定正答率からなる判定精度を求める。そして、第2の学習器32では、予め取得した参照用画像における判別対象の判定正答率からなる参照用判定精度とを有する組み合わせと、撮影条件との3段階以上の連関度を参照し、第1の学習器31により求められた判定精度とに基づき、提案すべき撮影条件を探索する。
【0062】
なお、判定精度を求める上では、判別対象の対象画像領域について、特徴部位の濃淡の画像領域が、既知の判別対象の画像位置と比較して、正確に検出できているか否かを判定するようにしてもよい。
【0063】
また、判定精度を求める上では、探索条件を探索すべき画像を撮像した場合において、当該画像について判別対象をユーザ自身が検出し、判別対象の正解データを作る。そして、この画像について、実際に、特徴量に基づいて判別対象の検出を試み、或いはGrad-CAM(登録商標)等により特徴部位を濃淡で表すことで、判別対象の検出を試みる。そして、この検出した判別対象と、予め作っておいた正解データと見比べ、判定正答率を算出するようにしてもよい。
【0064】
更にこの判定精度を求める上では、特徴量に基づいて検出した対象画像領域と、Grad-CAM(登録商標)等により検出した特徴部位の濃淡との一致度を、上述した判定正答率として求めるようにしてもよい。
【0065】
また、本発明は、この条件提案装置2により探索された撮影条件を撮影条件制御部4へ送信するようにしてもよい。撮影条件制御部4は、受信した撮影条件に基づいて撮像装置9の撮影条件を制御する。つまり、撮像装置9による撮影は、その欠陥や疵、シミ等、微細な判別対象をより高精度に解析する上で好適な撮影条件に自動的に制御された状態で撮影を行うことが可能となる。
【0066】
なお、本発明では、建築構造物に発生した欠陥や疵以外に、医療診断における癌等の患部の検出等においても適用可能である。これら以外にも学習精度を上げる画像の検査であればあらゆるケースで利用することができる。
【0067】
また、本発明によれば、第1の学習器31による判別精度を都度、表示部23に出力するようにしてもよい。第1の学習器31では、参照用画像の特徴量を抽出し、判別対象についての1以上の画像について予め求めておいた特徴量と比較し、判別対象を抽出する。このとき、実際の第1の学習器31による判定精度を百分率で表示するようにしてもよい。かかる場合には、判別対象が予め既知のサンプルとなる被写体を何種類か準備しておき、これについて実際に第1の学習器31の学習済みモデルを利用して判別対象を判別する。このとき、判別対象の判定正答率を判定精度として、これを百分率で表示してもよい。
【0068】
また、本発明によれば、3段階以上に設定されている連関度を介して最適な解探索を行う点に特徴がある。連関度は、上述した10段階以外に、例えば0〜100%までの数値で記述することができるが、これに限定されるものではなく3段階以上の数値で記述できるものであればいかなる段階で構成されていてもよい。
【0069】
このような3段階以上の数値で表される連関度に基づいて最も確からしい撮影条件を判別することで、探索解の可能性の候補として複数考えられる状況下において、当該連関度の高い順に探索して表示することも可能となる。このように連関度の高い順にユーザに表示できれば、より確からしい探索解を優先的に表示することも可能となる。
【0070】
これに加えて、本発明によれば、連関度が1%のような極めて低い出力の判別結果も見逃すことなく判断することができる。連関度が極めて低い判別結果であっても僅かな兆候として繋がっているものであり、何十回、何百回に一度は、その判別結果として役に立つ場合もあることをユーザに対して注意喚起することができる。
【0071】
更に本発明によれば、このような3段階以上の連関度に基づいて探索を行うことにより、閾値の設定の仕方で、探索方針を決めることができるメリットがある。閾値を低くすれば、上述した連関度が1%のものであっても漏れなく拾うことができる反面、より適切な判別結果を好適に検出できる可能性が低く、ノイズを沢山拾ってしまう場合もある。一方、閾値を高くすれば、最適な探索解を高確率で検出できる可能性が高い反面、通常は連関度は低くてスルーされるものの何十回、何百回に一度は出てくる好適な解を見落としてしまう場合もある。いずれに重きを置くかは、ユーザ側、システム側の考え方に基づいて決めることが可能となるが、このような重点を置くポイントを選ぶ自由度を高くすることが可能となる。
【0072】
更に本発明では、上述した連関度を更新させるようにしてもよい。この更新は、例えばインターネットを始めとした公衆通信網を介して提供された情報を反映させるようにしてもよい。また参照用評価値、参照用対象画像領域を初めとする各参照用情報を取得し、これらに対する撮影条件策に関する知見、情報、データを取得した場合、これらに応じて連関度を上昇させ、或いは下降させる。
【0073】
つまり、この更新は、人工知能でいうところの学習に相当する。新たなデータを取得し、これを学習済みデータに反映させることを行っているため、学習行為といえるものである。
【0074】
また、この連関度の更新は、公衆通信網から取得可能な情報に基づく場合以外に、専門家による研究データや論文、学会発表や、新聞記事、書籍等の内容に基づいてシステム側又はユーザ側が人為的に、又は自動的に更新するようにしてもよい。これらの更新処理においては人工知能を活用するようにしてもよい。
【0075】
また学習済モデルを最初に作り上げる過程、及び上述した更新は、教師あり学習のみならず、教師なし学習、ディープラーニング、強化学習等を用いるようにしてもよい。教師なし学習の場合には、入力データと出力データのデータセットを読み込ませて学習させる代わりに、入力データに相当する情報を読み込ませて学習させ、そこから出力データに関連する連関度を自己形成させるようにしてもよい。
【解決手段】被写体の画像の評価値を算出する評価値算出部と、被写体の画像の特徴量を抽出し、判別対象についての1以上の画像について予め求めておいた特徴量と比較することにより、画像から判別対象について対象画像領域を切り出す第1の学習器31と、予め取得した参照用画像の参照用評価値と、参照用画像の特徴量に基づいて上記判別対象について切り出した参照用対象画像領域とを有する組み合わせと、撮影条件との3段階以上の連関度を参照し、算出された評価値と、第1の学習器31により切り出された対象画像領域とに基づき、提案すべき撮影条件を探索する第2の学習器32とを有する。