(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記ポイント付与部は、上記複数の販売対象商品を販売した販売員に対して、販売した販売対象商品のそれぞれについて上記所定のルールで定められたポイントを付与するようになされ、上記低迷商品設定部により設定された上記売行低迷商品を販売した場合に付与するポイントを、上記売行低迷商品ではない販売対象商品を販売した場合に付与するポイントよりも大きくすることを特徴とする請求項1または2に記載の販売員評価システム。
上記ポイント付与部は、上記売行低迷商品について上記指標値算出部により算出された上記指標値の大きさに応じて、異なる値のポイントを付与することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の販売員評価システム。
上記販売員ごとに、販売した販売対象商品のそれぞれについて上記ポイント付与部により付与されたポイントを総計することによって販売ポイントを算出し、当該販売ポイントを用いて上記販売員の販売成績に関する評価値を求める評価値算出部を更に備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の販売員評価システム。
上記評価値算出部は、上記販売ポイントが上記評価値に反映される割合が、上記状況ポイントが上記評価値に反映される割合と同じまたはそれ以上となるような関数に基づいて、上記評価値を算出することを特徴とする請求項6に記載の販売員評価システム。
企業が販売対象とする商品である複数の販売対象商品の販売に関する状況を表す販売状況データに基づいて算出された、上記複数の販売対象商品のそれぞれについての売れ行きに関連した所定の指標値を取得する指標値取得部と、
上記指標値取得部により取得された指標値が、売れ行きが好ましくない状況を表していることに関して設定された所定の条件を満たしているか否かを判定し、上記所定の条件を満たしている販売対象商品を売行低迷商品として設定する低迷商品設定部と、
上記販売状況データであって、販売員、当該販売員が販売した販売対象商品、および、当該販売対象商品が上記売行低迷商品か否かを示す情報を含む上記販売状況データに基づいて、上記低迷商品設定部により設定された上記売行低迷商品を販売した販売員に対して、所定のルールで定められたポイントを付与するポイント付与部と、
上記販売員ごとに、販売した販売対象商品のそれぞれについて上記ポイント付与部により付与されたポイントを総計することによって販売ポイントを算出するとともに、販売員が行った販売促進施策の実施状況に関するデータと、上記販売促進施策に対する消費者の反応状況に関するデータと、上記販売促進施策を行った販売対象商品の販売実績に関するデータとに基づいて、上記販売促進施策の実施状況、上記消費者の反応状況および上記販売促進施策を行った販売対象商品の販売実績の少なくとも1つから状況ポイントを算出し、上記販売ポイントと上記状況ポイントとを用いて、上記販売員の販売成績に関する評価値を求める評価値算出部と、
を備えたことを特徴とする販売員評価装置。
コンピュータの指標値取得部が、企業が販売対象とする商品である複数の販売対象商品の販売に関する状況を表す販売状況データに基づいて算出された、上記複数の販売対象商品のそれぞれについての売れ行きに関連した所定の指標値を取得する第1のステップと、
上記コンピュータの低迷商品設定部が、上記指標値取得部により取得された指標値が、売れ行きが好ましくない状況を表していることに関して設定された所定の条件を満たしているか否かを判定し、上記所定の条件を満たしている販売対象商品を売行低迷商品として設定する第2のステップと、
上記第1のステップおよび上記第2のステップとは非同期で、上記コンピュータのポイント付与部が、上記販売状況データであって、販売員、当該販売員が販売した販売対象商品、および、当該販売対象商品が上記売行低迷商品か否かを示す情報を含む上記販売状況データに基づいて、上記低迷商品設定部により設定された上記売行低迷商品を販売した販売員に対して、所定のルールで定められたポイントを付与する第3のステップと、
上記コンピュータの評価値算出部が、上記販売員ごとに、販売した販売対象商品のそれぞれについて上記ポイント付与部により付与されたポイントを総計することによって販売ポイントを算出するとともに、販売員が行った販売促進施策の実施状況に関するデータと、上記販売促進施策に対する消費者の反応状況に関するデータと、上記販売促進施策を行った販売対象商品の販売実績に関するデータとに基づいて、上記販売促進施策の実施状況、上記消費者の反応状況および上記販売促進施策を行った販売対象商品の販売実績の少なくとも1つから状況ポイントを算出し、上記販売ポイントと上記状況ポイントとを用いて、上記販売員の販売成績に関する評価値を求める第4のステップと、
を有することを特徴とする販売員評価方法。
企業が販売対象とする商品である複数の販売対象商品の販売に関する状況を表す販売状況データであって、上記販売対象商品を販売した時期に関するデータを含む販売状況データを取得する販売状況データ取得手段、
上記販売状況データ取得手段により取得された上記販売状況データに基づいて、上記複数の販売対象商品のそれぞれについて、販売時期に応じた重み付けを行って、売れ行きに関連した所定の指標値を算出する指標値算出手段、
上記指標値算出手段により算出された指標値が、売れ行きが好ましくない状況を表していることに関して設定された所定の条件を満たしているか否かを判定し、上記所定の条件を満たしている販売対象商品を売行低迷商品として設定する低迷商品設定手段、および
上記販売状況データ取得手段により取得された上記販売状況データであって、販売員、当該販売員が販売した販売対象商品、および、当該販売対象商品が上記売行低迷商品か否かを示す情報を含む上記販売状況データに基づいて、上記低迷商品設定手段により設定された上記売行低迷商品を販売した販売員に対して、所定のルールで定められたポイントを付与するポイント付与手段、
としてコンピュータを機能させるための販売員評価用プログラム。
企業が販売対象とする商品である複数の販売対象商品の販売に関する状況を表す販売状況データに基づいて算出された、上記複数の販売対象商品のそれぞれについての売れ行きに関連した所定の指標値を取得する指標値取得手段、
上記指標値取得手段により取得された指標値が、売れ行きが好ましくない状況を表していることに関して設定された所定の条件を満たしているか否かを判定し、上記所定の条件を満たしている販売対象商品を売行低迷商品として設定する低迷商品設定手段、
上記販売状況データであって、販売員、当該販売員が販売した販売対象商品、および、当該販売対象商品が上記売行低迷商品か否かを示す情報を含む上記販売状況データに基づいて、上記低迷商品設定手段により設定された上記売行低迷商品を販売した販売員に対して、所定のルールで定められたポイントを付与するポイント付与手段、および
上記販売員ごとに、販売した販売対象商品のそれぞれについて上記ポイント付与手段により付与されたポイントを総計することによって販売ポイントを算出するとともに、販売員が行った販売促進施策の実施状況に関するデータと、上記販売促進施策に対する消費者の反応状況に関するデータと、上記販売促進施策を行った販売対象商品の販売実績に関するデータとに基づいて、上記販売促進施策の実施状況、上記消費者の反応状況および上記販売促進施策を行った販売対象商品の販売実績の少なくとも1つから状況ポイントを算出し、上記販売ポイントと上記状況ポイントとを用いて、上記販売員の販売成績に関する評価値を求める評価値算出手段、
としてコンピュータを機能させるための販売員評価用プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1の実施形態による販売員評価システムの全体構成例を示す図である。
図1に示すように、第1の実施形態による販売員評価システムは、販売管理サーバ100、売行管理サーバ200、評価管理サーバ300、販売員端末400および消費者端末500を備えて構成されている。販売管理サーバ100、売行管理サーバ200、評価管理サーバ300、販売員端末400および消費者端末500は、インターネットおよび携帯電話網などの通信ネットワーク1000を介して互いに通信可能に接続されている。
【0014】
販売管理サーバ100は、企業が販売対象とする商品(以下、販売対象商品という)の販売に関する管理を行うものである。販売に関する管理とは、販売対象商品をECサイトに掲載して販売するために必要な各処理、販売対象商品に関して各種の販売促進施策を実施するために必要な各処理、ECサイトを通じて販売された販売対象商品の販売状況(ECサイトに掲載した販売対象商品に対する消費者の反応状況を含む)を集計するために必要な各処理である。これら各処理の詳細については、追って順次説明する。
【0015】
売行管理サーバ200は、ECサイトに掲載した販売対象商品の売れ行きをモニタリングして数値化する処理を行うものである。評価管理サーバ300は、特許請求の範囲の販売員評価装置に相当するものであり、売行管理サーバ200により数値化された販売対象商品の売れ行きと、販売管理サーバ100により管理されている販売員による販売対象商品の販売状況とに基づいて、販売員に対してポイントを付与して評価する処理を行うものである。本実施形態では、売れ行きが好ましくない販売対象商品を販売した販売員に対して所定のポイントを付与するようにしている。売行管理サーバ200および評価管理サーバ300の処理の詳細については後述する。
【0016】
販売員端末400は、販売対象商品を販売する企業の販売員が使用する端末であり、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどである。消費者端末500は、販売対象商品を購入する消費者が使用する端末であり、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどである。なお、
図1では区別しやすいように、販売員端末400がスマートフォンであり、消費者端末500がパーソナルコンピュータであるものとして図示しているが、これに限定する趣旨ではない。
【0017】
なお、
図1では、販売管理サーバ100、売行管理サーバ200および評価管理サーバ300の3つにサーバを分けて構成する例を示しているが、これに限定されるものではない。例えば、売行管理サーバ200および評価管理サーバ300を1つのサーバにまとめて構成するようにしてもよい。また、販売管理サーバ100および売行管理サーバ200を1つのサーバにまとめて構成するようにしてもよい。また、販売管理サーバ100、売行管理サーバ200および評価管理サーバ300の3つを全て1つのサーバにまとめて構成するようにしてもよい。
【0018】
図2は、第1の実施形態による販売員評価システムの機能構成、具体的には販売管理サーバ100、売行管理サーバ200および評価管理サーバ300の機能構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、販売管理サーバ100は、機能構成として、販売管理部11および販売状況記録部12を備えている。また、販売管理サーバ100は、記憶媒体として、商品マスタ記憶部101および販売状況データ記憶部102を備えている。
【0019】
上記各機能ブロック11〜12は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック11〜12は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0020】
商品マスタ記憶部101は、複数の販売対象商品に関するマスタデータを記憶する。
図3は、商品マスタ記憶部101が記憶するマスタデータの一例を示す図である。
図3に示すように、商品マスタ記憶部101は、複数の販売対象商品のそれぞれ毎に、商品名、商品コード、商品属性、販売単価、販売開始日、在庫数、低迷フラグなどのデータを記憶する。なお、ここに挙げたデータは一例であり、マスタデータがこれ以外のデータを含んでもよい。
【0021】
商品属性は、同じ商品でも異なる属性が存在する場合にその属性を特定するための情報である。本実施形態では、販売対象商品の一例として衣服を挙げて説明する。この場合、商品属性は、商品の色やサイズなどである。販売開始日は、企業が販売対象商品の販売を開始した日である。この販売開始日は、販売対象商品が販売された日までの経過日数を計数する際の起算日として用いられる。在庫数は、企業が販売する見込みとして仕入れた販売対象商品の数である。同じ販売対象商品を複数回に分けて仕入れた場合は、その仕入れの合計数が在庫数となる。
【0022】
低迷フラグは、販売対象商品が売行低迷商品に設定されているか否かを示すフラグであり、評価管理サーバ300による処理の結果に応じて、アクティブまたは非アクティブの何れかの値が記憶される。初期状態では、低迷フラグには、販売対象商品が売行低迷商品ではないことを示す非アクティブの値“0”が記憶される。その後、評価管理サーバ300の処理によって販売対象商品が売行低迷商品に設定されると、低迷フラグは、販売対象商品が売行低迷商品であることを示すアクティブの値“1”に更新される。なお、売行低迷商品については後述する。
【0023】
販売管理部11は、販売対象商品をECサイトに掲載して販売するために必要な各処理、および、販売対象商品に関して各種の販売促進施策を実施するために必要な各処理を実行する。本実施形態において、販売管理部11は、販売員が販売員端末400を操作することにより、商品マスタ記憶部101に記憶されている複数の販売対象商品の中から任意の販売対象商品を選んでECサイトに掲載する処理を実行する。この場合のECサイトは、販売員が自分で販売する商品を選んで掲載した個人のECサイトである。販売員端末400には、販売管理サーバ100にアクセスしてこのような処理を行うことを可能にした支援用のアプリケーション(以下、販売支援アプリという)がインストールされている。
【0024】
このように、販売管理部11は、販売員端末400からの要求に応じて、複数の販売員のそれぞれ毎に個人のECサイトを作成し、各販売員が選んだ販売対象商品を掲載する処理を行う。販売管理部11は、どの販売員のECサイトにどの販売対象商品を掲載しているか(言い換えると、どの販売員がどの販売対象商品を販売しているか)の情報を、販売状況データの1つとして販売状況データ記憶部102に記憶して管理する。
【0025】
なお、ここでは販売員ごとにECサイトを作成する例について説明したが、これに限定されない。例えば、ECサイトは企業により用意されるものが1つで、そのECサイトの中に販売員ごとの販売ページを作成し、個々の販売員が選んだ販売対象商品を各販売員の販売ページに掲載するようにしてもよい。
【0026】
また、販売管理部11は、販売対象商品に関して販売員が販売促進施策を実施するために必要な処理の一例として、いくつかの販売対象商品を組み合わせて構成したコーディネートをECサイトに投稿する処理、販売対象商品について販売員視点の分かりやすいポイントや特徴に関するコメントをECサイトに投稿する処理、販売対象商品およびそれに関するコメントなどを販売員個人のSNS(Instagram、facebook、LINEなど。何れも登録商標)に投稿する処理などを行う。上述の販売支援アプリには、これらのコーディネート投稿機能、コメント投稿機能、SNS投稿機能も実装されている。
【0027】
また、販売管理部11は、消費者端末500からECサイトへのアクセスを通じて行われる販売対象商品の購買に関する処理も実行する。消費者は、所望のECサイト上で複数の販売対象商品を閲覧し、その中から所望の販売対象商品を選んで購入するための一連の手続を行うことができ、この一連の手続に関する処理を販売管理部11が実行する。
【0028】
販売状況記録部12は、各販売員のECサイトを通じて販売された販売対象商品の販売状況(ECサイトに掲載した販売対象商品に対する消費者の反応状況を含む)を販売状況データ記憶部102に記録する処理を実行する。
【0029】
本実施形態では一例として、販売状況記録部12は、ECサイトに掲載した販売対象商品に対する消費者の反応状況として、販売対象商品の掲載されたページが開かれた回数(PV数)を集計し、販売状況データの1つとして販売状況データ記憶部102に記録する。例えば、複数の販売対象商品の一覧が掲載されたページにおいて、何れかの販売対象商品を選択する操作が消費者により行われたことに応じて、当該販売対象商品の詳細情報などを掲載した個別ページに遷移するようにECサイトが構成されている場合、販売状況記録部12は個別ページが開かれた回数を販売対象商品ごとに集計して販売状況データ記憶部102に記録する。
【0030】
また、販売状況記録部12は、消費者がECサイトを通じて販売対象商品を購入した場合に、どの販売員のECサイトからどの販売対象商品がいつ、いくつ売れたのかを示す情報を販売管理部11から得て、販売状況データの1つとして販売状況データ記憶部102に記録する。
【0031】
図4は、販売状況データ記憶部102に記憶される販売状況データの一例を示す図である。
図4(a)に示すように、販売状況データ記憶部102は、複数の販売員ごとおよび当該販売員が選んで販売している販売対象商品ごとに、販売員コード、商品コード、PV数を関連付けて記憶する。PV数は、販売対象商品の個別ページが開かれたことが販売管理部11により検出されるたびに随時更新(カウントアップ)されていく。
【0032】
また、
図4(b)に示すように、販売状況データ記憶部102は、販売員コード、商品コード、販売対象商品の販売日、販売数および低迷フラグを関連付けて1つのレコードに記憶する。このデータを記憶するレコードは、販売対象商品が消費者によって購入されたことが販売管理部11により検出されるたびに、1つずつ追加されていく。販売状況データとしての低迷フラグは、販売対象商品が販売された時点で、
図3のマスタデータとして記憶されている低迷フラグの値が記憶される。
【0033】
なお、
図4は、販売状況データ記憶部102に対する販売状況データの記憶方法の一例を示したものであり、これに限定されるものではない。要は、どの販売員が販売するどの販売対象商品のPV数がいくつで、どの販売員が販売するどの販売対象商品がいつ何個売れたのか、そしてその販売された販売対象商品が売行低迷商品に設定されているのか否かが把握できるような形態でデータが記憶されていればよい。
【0034】
次に、売行管理サーバ200の構成について説明する。
図2に示すように、売行管理サーバ200は、機能構成として、販売状況データ取得部21および指標値算出部22を備えている。また、売行管理サーバ200は、記憶媒体として、指標値記憶部201を備えている。
【0035】
各機能ブロック21〜22は、ハードウェア、DSP、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック21〜22は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0036】
販売状況データ取得部21は、企業が販売対象とする複数の販売対象商品の販売に関する状況を表す販売状況データ(販売状況データ記憶部102に記憶された販売状況データ)を販売管理サーバ100から取得する。販売状況データ取得部21は、販売管理サーバ100から販売状況データを取得する処理を、例えば所定の時間間隔ごとに定期的に実行する。所定の時間間隔は、例えば1日置きまたは数日置きとする。
【0037】
例えば、販売状況データ取得部21は、直近の時間間隔の間に販売状況データ記憶部102に新たに記憶された販売状況データだけでなく、それ以前に販売状況データ記憶部102に記憶された分も含めて販売状況データを取得する。なお、販売状況データ取得部21が既に取得した販売状況データを売行管理サーバ200に記憶しておくようにして、販売状況データ取得部21は、直近の時間間隔の間に販売状況データ記憶部102に記憶された販売状況データだけを取得し、売行管理サーバ200に記憶済みの過去の販売状況データと新たに取得した直近の販売状況データとを指標値算出部22にて利用するようにしてもよい。
【0038】
指標値算出部22は、販売状況データ取得部21が販売状況データを取得するたびに、以下に述べる指標値の算出処理を実行する。後述するように、評価管理サーバ300では、販売員の評価値の算出を所定の時間間隔ごとに定期的に実行するが、指標値を算出する時間間隔は、販売員の評価値を算出する時間間隔と同じまたはそれよりも短くするのが好ましい。
【0039】
指標値算出部22は、販売状況データ取得部21により取得された販売状況データに基づいて、複数の販売対象商品のそれぞれについて売れ行きに関連した所定の指標値(以下、売行指標値という)を算出する。本実施形態において、指標値算出部22が算出する売行指標値は、商品の売れ行きが良いほど値が大きくなり、売れ行きが悪いほど値が小さくなるものである。指標値算出部22は、所定の時間間隔で売行指標値を算出するごとに、最新の売行指標値を指標値記憶部201に更新して記憶する。
【0040】
例えば、指標値算出部22は、販売状況データ取得部21により取得された販売状況データに基づいて、以下の(1)〜(4)に示すパラメータの少なくとも1つを用いて販売対象商品ごとに売行指標値を算出する。
(1)販売対象商品のPV数:
図4(a)のように販売員ごとに集計されているPV数の合計
(2)販売対象商品の販売数:
図4(b)のようにレコードごとに管理されている販売数の合計
(3)販売対象商品の売上:「
図3のように商品マスタとして記憶されている販売単価」×「(2)の販売数」
(4)販売対象商品の販売率または消化率:「(2)の販売数」÷「
図3のように商品マスタとして記憶されている在庫数」
【0041】
すなわち、指標値算出部22は、上記(1)〜(4)のうち少なくとも1つを説明変数とし、売行指標値を目的変数とする所定の関数を用いて、売行指標値を算出する。(2)〜(4)は、実際の販売実績に基づいて算出されるパラメータであり、実際の売れ行きを表したものであると言える。一方、(1)は、実際の販売につながる可能性のある消費者の反応状況を示したパラメータであり、今後の売れ行きの見込みを表したものであると言える。(1)のパラメータに関しては、これに代えてまたは加えて、販売対象商品に対して消費者から行われた拍手(いいね!)の数、または、販売対象商品が掲載されたウェブページのブックマップの数を用いるようにしてもよい。
【0042】
指標値算出部22が売行指標値の算出に用いる所定の関数は、(1)〜(4)のパラメータの何れについても、その値が大きくなるほど売行指標値が大きくなるように設計されている。また、(1)〜(4)のパラメータについて優先度を設定し、優先度の高いパラメータの値が大きくなるほど売行指標値が大きくなるように関数を設計するようにしてもよい。
【0043】
なお、販売対象商品の販売開始からまだ間もない期間は、販売対象商品のPV数や販売数がそれほど多くないのが通常である。よって、販売開始からまだ間もない期間中に上記(1)〜(4)に示すパラメータに基づいて売行指標値を算出すると、その値は小さくなる可能性が高い。この場合、算出された売行指標値が販売対象商品の実際の売れ行きを必ずしも反映しているとは言えない。そこで、指標値算出部22は、販売開始日から所定期間を経過した販売対象商品だけを対象として売行指標値を算出するようにしてもよい。
【0044】
ここで、指標値算出部22は、
図4(b)のように販売状況データ記憶部102に記憶されている販売日(販売対象商品を販売した時期に関するデータ)に基づいて、販売時期に応じた重み付けを行って売行指標値を算出するようにしてもよい。例えば、
図3のようにマスタデータとして記憶されている販売対象商品の販売開始日から(販売開始日から所定期間を経過した販売対象商品だけを対象として売行指標値を算出する場合は、所定期間が経過した日からでもよい)、販売状況データ記憶部102に記憶されている販売日までの経過日数(例えば、平均値)が長くなるほど小さくなる重み値を設定し、上記(1)〜(4)のうち少なくとも1つを説明変数とする所定の関数によって算出した売行指標値に対して重み値を掛け算する。
【0045】
例えば、ある販売対象商品について、販売開始日から各販売日までの経過日数の平均値が所定日数以下の場合は基準の重み値“1.0”を設定し、所定日数を過ぎた後は“1.0”より小さい重み値を設定する。所定日数を過ぎた後の重み値は、所定日数の長さに応じて段階的に小さくなるような値としてもよい。実際に販売された販売対象商品であっても、販売開始から比較的長い日数をかけて売れている場合は、売れ行きがそれほど良いとは言えない可能性がある。そこで、このような販売対象商品については“1.0”より小さい重み値を掛け算して売行指標値を調整することにより、売行指標値の正確性をより高めることができる。
【0046】
なお、所定日数は、販売対象商品に応じて可変設定できるようにしてもよい。すなわち、販売対象商品の性質によって、販売を開始してからまもなく一気に売れる可能性が高いものや、ある程度の時間を要して少しずつ徐々に売れていく可能性が高いものなどがあり得る。また、一定の季節に着ることを想定した季節物の衣服の場合は、その季節の到来前から季節の最中には多く売れる可能性が高い一方で、該当の季節が過ぎると売れにくくなるという性質がある。こういった販売対象商品の様々な性質に応じて、売行管理サーバ200の運用管理者(企業の担当者など)が所定日数を可変値として設定できるようにしてもよい。また、重み値も可変値として設定できるようにしてもよい。
【0047】
次に、評価管理サーバ300の構成について説明する。
図2に示すように、評価管理サーバ300は、機能構成として、販売状況データ取得部31、指標値取得部32、低迷商品設定部33、低迷商品提示部34、低迷商品通知部35、ポイント付与部36および評価値算出部37を備えている。また、評価管理サーバ300は、記憶媒体として、低迷商品記憶部301および評価データ記憶部302を備えている。
【0048】
上記各機能ブロック31〜37は、ハードウェア、DSP、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック31〜37は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。このプログラムは、特許請求の範囲の販売員評価用プログラムに相当する。
【0049】
販売状況データ取得部31は、企業が販売対象とする複数の販売対象商品の販売に関する状況を表す販売状況データ(販売状況データ記憶部102に記憶された販売状況データ)を販売管理サーバ100から取得する。販売状況データ取得部31が取得する販売状況データは、
図4(b)に示すデータである。なお、販売員コードに代えてまたは加えて販売員名を用いてもよい。また、商品コードに代えてまたは加えて商品名を用いるようにしてもよい。
【0050】
販売状況データ取得部31は、販売管理サーバ100から販売状況データを取得する処理を、例えば所定の時間間隔ごとに定期的に実行する。所定の時間間隔は、例えば1ヵ月置きとする。ここで、販売状況データ取得部31は、直近の時間間隔の間(以下、評価対象期間という)に販売状況データ記憶部102に記憶された販売状況データだけを取得する。
【0051】
後述するポイント付与部36および評価値算出部37は、販売状況データ取得部31が販売状況データを取得するたびに、評価対象期間中の販売状況データに基づいて、以下に述べるポイントを付与する処理および評価値を算出する処理を実行する。ポイントの付与および評価値の算出を行うインターバル(評価対象期間の長さ)は、販売員に対して所定のインセンティブ(例えば、評価値に応じた給与やボーナス、景品など)を付与するタイミングに合わせて設定するとよい。
【0052】
指標値取得部32は、売行管理サーバ200により販売状況データに基づいて算出された、複数の販売対象商品のそれぞれについての売れ行きに関連した指標値(指標値記憶部201に記憶されている販売対象商品ごとの売行指標値)を取得する。指標値取得部32は、売行管理サーバ200から売行指標値を取得する処理を、例えば所定の時間間隔ごとに定期的に実行する。所定の時間間隔は、例えば1日置きまたは数日置きとする。
【0053】
低迷商品設定部33は、指標値取得部32が売行指標値を取得するたびに、以下に述べる売行低迷商品を設定する処理を実行する。指標値算出部22が売行指標値を算出するインターバルと、低迷商品設定部33が売行低迷商品を設定するインターバルとが必ずしも一致している必要はないが、一致させてもよい。
【0054】
低迷商品設定部33は、指標値取得部32により取得された売行指標値(指標値算出部22により算出された売行指標値)が、売れ行きが好ましくない状況を表していることに関して設定された所定の条件を満たしているか否かを判定し、当該所定の条件を満たしている販売対象商品を売行低迷商品として設定する。そして、低迷商品設定部33は、売行低迷商品として設定した販売対象商品の商品コードを低迷商品記憶部301に記憶して管理する。
【0055】
売れ行きが好ましくない状況を表していることに関して設定された所定の条件とは、例えば、同時期に販売を開始した販売対象商品と比べて売行指標値が小さいという条件である。ここでいう「同時期に販売を開始した販売対象商品」とは、商品マスタ記憶部101にマスタデータとして記憶されている販売開始日が同じ販売対象商品という意味であってもよいが、所定幅の期間内に販売開始日が入る販売対象商品という意味であってもよい。以下、このような販売対象商品を「同時期販売開始商品」という。
【0056】
上記所定の条件は、具体的には、同時期販売開始商品の売行指標値を用いて算出した偏差値が所定値より小さい販売対象商品とか、同時期販売開始商品の売行指標値の平均値より売行指標値が所定値以上小さい(平均値からの差が所定値以上の)販売対象商品とか、同時期販売開始商品の中で売行指標値が最も小さい方から所定数の販売対象商品といった条件とすることが可能である。売行指標値を比較する対象の同時期販売開始商品は、同種の商品(例えば、コートならコートの同時期販売開始商品、ズボンならズボンの同時期販売開始商品)に絞ってもよい。
【0057】
また、販売開始日から所定期間を経過した販売対象商品だけを対象として売行指標値を算出するようにした場合は、上記と同様の内容を所定の条件としてもよいし、売行指標値が所定値より小さいという条件としてもよい。
【0058】
低迷商品設定部33は、設定した売行低迷商品の商品コードを販売管理サーバ100の販売管理部11に通知する。販売管理部11は、この通知を受けて、商品マスタ記憶部101に記憶されているマスタデータのうち、売行低迷商品として設定された販売対象商品の低迷フラグ(
図3参照)を、売行低迷商品であることを示すアクティブの値“1”に更新する。このようにマスタデータの低迷フラグがアクティブに更新された後、その販売対象商品(売行低迷商品)が販売されると、
図4(b)に示す低迷フラグをアクティブの値“1”とした状態で販売状況データが販売状況データ記憶部102に記憶されるようになる。
【0059】
低迷商品提示部34および低迷商品通知部35は、特許請求の範囲の低迷商品報知部に相当する。低迷商品提示部34は、低迷商品設定部33により設定された1以上の売行低迷商品を、販売員端末400への表示を通じて販売員に提示する。例えば、低迷商品提示部34は、販売員端末400が備えるウェブブラウザからの要求に応じて、低迷商品記憶部301を参照して売行低迷商品の一覧を掲載したウェブページを作成して応答し、ウェブブラウザに表示させる。このウェブブラウザは、販売支援アプリが備えるブラウザ機能であってもよい。
【0060】
低迷商品通知部35は、低迷商品設定部33により設定された1以上の売行低迷商品を、販売員端末400を通じて販売員に通知する。例えば、低迷商品通知部35は、販売支援アプリに対するプッシュ通知または電子メールによって売行低迷商品を通知する。具体的には、低迷商品設定部33によって売行低迷商品が新たに設定される都度、その売行低迷商品を販売員端末400にプッシュ通知する。
【0061】
低迷商品提示部34による売行低迷商品の提示または低迷商品通知部35による売行低迷商品の通知により、販売員は、販売対象商品のうちどれが売行低迷商品に設定されているかを把握することができる。本実施形態では、売れ行きが好ましくない販売対象商品、つまり売行低迷商品を販売した場合に所定のポイントが販売員に付与されるので、販売員は、どれが売行低迷商品であるかを把握して、その売行低迷商品を販売するべく個人のECサイトに掲載することができる。また、販売員は、販売支援アプリのコーディネート投稿機能、コメント投稿機能、SNS投稿機能などを利用して、売行低迷商品を積極的に販売するように販売促進施策を実施することもできる。
【0062】
なお、ここでは低迷商品提示部34および低迷商品通知部35の両方を備える構成を示しているが、何れか一方のみを備える構成であってもよい。また、販売員が商品マスタから任意の販売対象商品を選択して個人のECサイトに掲載することを指定する際に、
図3のようにマスタデータとして記憶されている低迷フラグに基づいて、販売対象商品が売行低迷商品に設定されているか否かを識別可能に構成した選択画面を提示するようにしてもよい。このような選択画面を提示する機能も、特許請求の範囲の低迷商品報知部に相当する。
【0063】
ポイント付与部36は、販売状況データ取得部31により取得された販売状況データに基づいて、低迷商品設定部33により設定された売行低迷商品(
図4(b)に示す低迷フラグがアクティブの値“1”を示している販売対象商品)を販売した販売員に対して、所定のルールで定められたポイントを付与する。例えば、ポイント付与部36は、売行低迷商品を1つ販売するごとに、所定のポイントを販売員に付与する。そして、ポイント付与部36は、販売員ごとに、付与したポイントを評価データ記憶部302に記憶して管理する。
【0064】
ここで、ポイントとは、評価値算出部37において販売員の評価値を算出する際に用いる数値であり、スコアと呼び換えてもよい。所定のルールとは、例えば、売行低迷商品の販売に対して固定値のポイントを付与し、それ以外の販売対象商品に対してはポイントを付与しないといったルールである。なお、売行低迷商品を販売した場合に付与するポイントを、指標値算出部33により算出された売行指標値の大きさに応じて異なる値とするようなルールとしてもよい。例えば、売行指標値が小さくなるほど大きなポイントを付与するようにする。
【0065】
評価値算出部37は、販売員ごとに、単位期間当たりに販売した販売対象商品のそれぞれについてポイント付与部36により付与されたポイントを総計することによって販売ポイントを算出し、当該販売ポイントを用いて単位期間当たりの販売員の販売成績に関する評価値を求める。そして、評価値算出部37は、販売員ごとに、算出した評価値を評価データ記憶部302に記憶して管理する。ここで、単位期間とは、ポイント付与部36および評価値算出部37が処理を実行する所定の時間間隔の評価対象期間(例えば1ヵ月)である。また、ポイント付与部36により付与されたポイントとは、売行低迷商品を販売することによって付与されたポイントである。本実施形態では、単位期間当たりの「販売員の販売成績に関する評価値」=「販売ポイント」または「販売ポイントに応じた値」となる。
【0066】
図5〜
図7は、上記のように構成した第1の実施形態による販売員評価システムの動作例を示すフローチャートである。
図5は、売行管理サーバ200において売行指標値を算出する動作例を示す。
図6は、評価管理サーバ300において売行低迷商品を設定して販売管理サーバ100のマスタデータ内の低迷フラグを更新する動作例を示す。
図7は、評価管理サーバ300において評価値を算出する動作例を示す。
【0067】
図5に示す売行管理サーバ200の動作は、所定の時間間隔で(例えば、1日置き)繰り返し実行される。まず、販売状況データ取得部21は、複数の販売対象商品の販売状況データを販売管理サーバ100から取得する(ステップS1)。そして、指標値算出部22は、販売状況データ取得部21により取得された販売状況データに基づいて、複数の販売対象商品のそれぞれについて売行指標値を算出し(ステップS2)、算出した売行指標値を指標値記憶部201に更新して記憶する(ステップS3)。
【0068】
図6に示す評価管理サーバ300および販売管理サーバ100の動作は、所定の時間間隔で(例えば、1日置き)繰り返し実行される。まず、指標値取得部32は、売行管理サーバ200により算出された販売対象商品ごとの売行指標値を取得する(ステップS11)。次いで、低迷商品設定部33は、指標値取得部32により取得された販売対象商品ごとの売行指標値が、売れ行きが好ましくない状況を表していることに関して設定された所定の条件を満たしているか否かをそれぞれ判定し、当該所定の条件を満たしている販売対象商品を売行低迷商品として設定する(ステップS12)。
【0069】
そして、低迷商品設定部33は、設定した売行低迷商品の商品コードを低迷商品記憶部301に記憶する(ステップS13)。また、低迷商品設定部33は、設定した売行低迷商品の商品コードを販売管理サーバ100の販売管理部11に通知する(ステップS14)。販売管理部11は、この通知を受けて、商品マスタ記憶部101に記憶されているマスタデータのうち、売行低迷商品として設定された販売対象商品の低迷フラグを、売行低迷商品であることを示すアクティブの値“1”に更新する(ステップS15)。
【0070】
図7に示す評価管理サーバ300の動作は、所定の時間間隔で(例えば、1ヵ月置き)繰り返し実行される。まず、販売状況データ取得部31は、複数の販売対象商品の販売状況データ(
図4(b)に示すデータ)を販売管理サーバ100から取得する(ステップS21)。次いで、ポイント付与部36は、販売状況データ取得部31により取得された販売状況データに基づいて、低迷商品設定部33により設定された売行低迷商品を販売した販売員に対してポイントを付与し、評価データ記憶部302に記憶する(ステップS22)。
【0071】
さらに、評価値算出部37は、販売員ごとに、単位期間当たりに販売した販売対象商品のそれぞれについてポイント付与部36により付与されたポイントを総計することによって販売ポイントを算出する。そして、当該販売ポイントを用いて単位期間当たりの販売員の販売成績に関する評価値を求め、求めた評価値を評価データ記憶部302に記憶する(ステップS23)。
【0072】
以上詳しく説明したように、第1の実施形態では、複数の販売対象商品の販売に関する状況を表す販売状況データに基づいて、複数の販売対象商品のそれぞれについて売れ行きに関連した所定の売行指標値を算出する。また、当該算出された売行指標値が、売れ行きが好ましくない状況を表していることに関して設定された所定の条件を満たしているか否かを判定し、所定の条件を満たしている販売対象商品を売行低迷商品として設定した上で、当該売行低迷商品を販売した販売員に対して、所定のルールで定められたポイントを付与するようにしている。
【0073】
このように構成した第1の実施形態によれば、企業が販売対象とする複数の販売対象商品のうち、売れ行きが好ましくない状況を表している売行低迷商品を販売員が販売すると、その販売員に対してポイントが付与される。これにより、販売員が売行低迷商品を販売することに対してモチベーションを与えることができ、売行低迷商品の販売数の増加を通じて売上の向上を図ることができる。
【0074】
売行低迷商品は、何も施策をせずに放っておくと売れ残る可能性があり、在庫として保管しておく期間も長くなるため、在庫管理、返品処理、廃棄処分などによって経費が嵩む可能性がある。このような売行低迷商品が、販売員に対するモチベーションの付与によってより多く販売されると、売上向上と同時に経費削減を図ることができる。よって、第1の実施形態によれば、販売員のモチベーションを上げることによって商品の販売実績を向上させることを通じて、企業の売上向上および経費削減を同時に図って利益を増大させることができる。
【0075】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。
図8は、第2の実施形態による販売管理サーバ100、売行管理サーバ200および評価管理サーバ300の機能構成例を示すブロック図である。なお、この
図8において、
図2に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0076】
図8に示すように、第2の実施形態による販売管理サーバ100は、販売状況記録部12および販売状況データ記憶部102に代えて、販売状況記録部12’および販売状況データ記憶部102’を備えている。また、第2の実施形態による評価管理サーバ300は、販売状況データ取得部31、ポイント付与部36および評価値算出部37に代えて、販売状況データ取得部31’、ポイント付与部36’および評価値算出部37’を備えている。
【0077】
販売管理サーバ100の販売状況記録部12’は、販売状況データとして、販売員が行った販売促進施策の実施状況に関するデータと、販売促進施策に対する消費者の反応状況に関するデータと、販売対象商品の販売実績に関するデータとを販売状況データ記憶部102’に記録する。これらのデータは、例えば、
図4に示した販売状況データとは別に記憶する。
【0078】
販売員が行った販売促進施策の実施状況に関するデータ(以下、販促実施状況データという)は、販売員が販売支援アプリのコーディネート投稿機能、コメント投稿機能、SNS投稿機能を利用して実施した販売促進施策の実施状況を示すデータである。具体的には、販促実施状況データは、販売員が販売対象商品を投稿したECサイトを示す投稿サイトコード、投稿の対象とした販売対象商品を示す情報(商品コードや商品名)、販売員コードなどを含む。
【0079】
販売促進施策に対する消費者の反応状況に関するデータ(以下、販促反応状況データという)は、販売員が販売対象商品を投稿したECサイトを示す投稿サイトコード、販売員が投稿した販売対象商品の商品コード、販売員コード、PV数などの情報を含む。
【0080】
また、販売対象商品の販売実績に関するデータ(以下、販促商品販売実績データという)は、販売された販売対象商品の商品コード、販売員コード、販売日、販売数、どのECサイト(投稿サイト)へのアクセスに基づいて販売対象商品が売れたかの流入元を示す投稿サイトコードなどの情報を含む。
【0081】
販売状況データ取得部31’は、第1の実施形態で説明した販売状況データに加え、販売状況記録部12’が販売状況データ記憶部102’に記憶した販促実施状況データ、販促反応状況データおよび販促商品販売実績データを取得する。販売状況データ取得部31’は、第1の実施形態で説明した販売状況データをポイント付与部36’に供給する。また、販売状況データ取得部31’は、第2の実施形態で説明している販促実施状況データ、販促反応状況データおよび販促商品販売実績データを評価値算出部37’に供給する。
【0082】
ポイント付与部36’は、複数の販売対象商品を販売した販売員に対して、販売した販売対象商品のそれぞれについて所定のルールで定められたポイントを付与する。第2の実施形態では、売行低迷商品を販売した場合に販売員に対してポイントを付与することに加え、売行低迷商品ではない通常の販売対象商品を販売した場合にも販売員に対してポイントを付与する。ただし、低迷商品設定部33により設定された売行低迷商品を販売した場合に付与するポイントを、売行低迷商品ではない通常の販売対象商品を販売した場合に付与するポイントよりも大きくするようにしている。
【0083】
このように、全ての販売対象商品を対象として販売実績に応じたポイントを販売員の付与するようにすることで、全ての販売対象商品について販売実績を上げるようなモチベーションを販売員に与えつつ、売行低迷商品の販売実績が上がるほどより大きなポイントを付与するようにすることで、特に売行低迷商品について販売実績を上げるようなモチベーションを販売員に与えることができる。
【0084】
ここで、ポイント付与部36’は、通常の販売対象商品を販売した場合に付与するポイントを固定値とする一方、売行低迷商品を販売した場合に付与するポイントを、売行低迷商品について指標値算出部33により算出された売行指標値の大きさに応じて、異なる値のポイントを付与するようにしてもよい。例えば、売行指標値が小さくなるほど大きなポイントを付与するようにする。
【0085】
評価値算出部37’は、販売状況データ取得部31’が取得した販促実施状況データ、販促反応状況データおよび販促商品販売実績データの少なくとも何れか一のデータに基づいて、販売促進施策の実施状況、消費者の反応状況および販売対象商品の販売実績の少なくとも1つから状況ポイントを算出する。そして、ポイント付与部36’により付与されたポイントを総計することによって算出される販売ポイント(第1の実施形態で説明)と、状況ポイントとを用いて、単位期間当たりの販売員の販売成績に関する評価値を求める。
【0086】
ここで、評価値算出部37’は、例えば、以下の(A)〜(G)に示すパラメータの少なくとも1つを用いて状況ポイントを算出する。
(A)販売員の売上:単位期間中に販売員が販売した全販売対象商品の総売上
(B)コンテンツ投稿数:コーディネート投稿、コメント投稿、SNS投稿によって掲載したコンテンツの総数。コンテンツとは、複数の販売対象商品の組み合わせをコーディネートとして投稿した場合は当該コーディネートを意味し、1つの販売対象商品を投稿した場合は当該1つの販売対象商品を意味する。
(C)1コンテンツの平均売上:1つの投稿コンテンツ毎の平均売上
(D)PV数:単位期間中に販売員が投稿した全コンテンツの総PV数
(E)SNSからの集客数:単位期間中に販売員が販売した販売対象商品に関する全顧客のうち、販売員個人のSNSから集客した顧客の数
(F)SNSからの売上:単位期間中に販売員が販売した販売対象商品のうち、販売員個人のSNSから集客して販売した販売対象商品の総売上
(G)他ECサイトへの投稿経由の売上:コーディネート投稿、コメント投稿によって掲載したECサイトから集客して販売した販売対象商品の総売上
【0087】
すなわち、評価値算出部37’は、上記(A)〜(G)のうち少なくとも1つを説明変数とし、状況ポイントを目的変数とする所定の関数を用いて、状況ポイントを算出する。評価値算出部37’が状況ポイントの算出に用いる所定の関数は、(A)〜(G)のパラメータの何れについても、その値が大きくなるほど状況ポイントが大きくなるように設計されている。また、(A)〜(G)のパラメータについて優先度を設定し、優先度の高いパラメータの値が大きくなるほど状況ポイントが大きくなるように関数を設計するようにしてもよい。
【0088】
上述したように、評価値算出部37’は、以上のようにして算出される状況ポイントと、ポイント付与部36’により付与されたポイントを総計することによって算出される販売ポイントとを用いて、単位期間当たりの販売員の販売成績に関する評価値を求める。例えば、販売ポイントと状況ポイントとを足し算または掛け算することにより、販売員の評価値を求める。このようにすれば、販売対象商品の全般に関する販売員による販売促進施策の実施状況や販売実績を状況ポイントとして評価値に反映しつつ、売行低迷商品のPV数や販売実績を販売ポイントとして評価値に反映することができる。
【0089】
なお、売行低迷商品以外の通常の販売対象商品に関する販売員による販売促進施策の実施状況や販売実績が状況ポイントとして評価値に反映されているので、販売ポイントは、売行低迷商品を販売した場合にのみポイントを付与するようにした第1の実施形態による販売ポイントを用いる(つまり、ポイント付与部36’に代えてポイント付与部36を用いる)ようにしてもよい。
【0090】
評価値算出部37’は、販売ポイントと状況ポイントとから販売員の評価値を算出する際に、販売ポイントが評価値に反映される割合が、状況ポイントが評価値に反映される割合と同じまたはそれ以上となるような関数に基づいて、評価値を算出するようにしてもよい。このようにすれば、販売対象商品の全般に関する販売員による販売促進施策の実施状況や販売実績を反映しつつ、売行低迷商品のPV数や販売実績をより強く反映した状態で販売員の評価値を算出するようにすることができる。これにより、売行低迷商品を販売することに対するモチベーションを販売員に対して強く与えることができる。
【0091】
なお、上記第2の実施形態において、販売状況記録部12’、販売状況データ記憶部102’および評価値算出部37’に代えて、第1の実施形態と同様の販売状況記録部12、販売状況データ記憶部102および評価値算出部37を備えるようにし、ポイント付与部36’に関してのみ第2の実施形態の内容を適用するようにしてもよい。
【0092】
また、上記第2の実施形態において、
図9に示すように、指標値取得部32、低迷商品設定部33、低迷商品提示部34、低迷商品通知部35および低迷商品記憶部301を売行管理サーバ200が備えるようにしてもよい。これは第1の実施形態においても同様である。
【0093】
また、上記第1および第2の実施形態では、商品マスタの中から販売員が自分で販売対象商品を選んで個人のECサイトを作成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、全ての販売対象商品を掲載した1つのECサイトがあって、これとは別に販売員が販促用サイトを作成して、これをECサイトにリンクさせる構成としてもよい。
【0094】
また、上記第1および第2の実施形態では、指標値算出部22が、販売対象商品の販売時期に応じた重み付けを行って売行指標値を算出する場合の例として、販売対象商品の販売開始日から販売日までの経過日数に応じて設定される重み値を掛け算して売行指標値を算出する内容を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、キャンペーン販売を行う場合において、キャンペーン期間前、期間中、期間後によって重み値を変えるようにしてもよい。
【0095】
また、上記第1および第2の実施形態では、指標値算出部22が、販売状況データ記憶部102に記憶されている全期間の販売状況データを用いて売行指標値を算出する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、指標値算出部22は、直近の時間間隔の間に販売状況データ記憶部102に新たに記憶された販売状況データだけを対象として、所定の時間間隔ごとに売行指標値を算出するようにしてもよい。
【0096】
また、上記第1および第2の実施形態では、評価値算出部37が、単位期間当たりの評価値を評価対象期間が経過するごとに算出する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、評価対象期間が経過するごとに、販売状況データ記憶部102に記憶されている全期間の販売状況データを用いて全期間に関する販売員の評価値を算出するようにしてもよい。あるいは、評価対象期間が経過するごとに、直近の時間間隔の間に販売状況データ記憶部102に新たに記憶された販売状況データだけを対象として直近の評価値を算出し、これを過去の評価値に累算するようにしてもよい。
【0097】
また、上記第1および第2の実施形態では、ポイント付与部36,36’が付与するポイントは、評価値算出部37,37’が販売員の評価値を算出する際に用いる単なる数値である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、評価値算出部37,37’を省略し、ポイント付与部36,36’が付与するポイントを、実際の商取引で使用可能な経済的価値を有するポイントとしてもよい。
【0098】
また、上記第1および第2の実施形態では、販売対象商品が衣服である場合を例に挙げて説明したが、販売対象商品は衣服に限定されない。あらゆる商品を対象とすることが可能である。また、取り扱う商品は、物としての商品と、サービスとしての商品とのどちらであってもよい。
【0099】
また、上記第1および第2の実施形態では、ECサイトで商品を販売する場合を例に挙げて説明したが、実店舗で商品を販売する場合にも適用することが可能である。例えば、実店舗で商品を販売する場合に使用するPOS(Point of sale system)システムから商品の販売実績および担当販売員に関するデータを取得することが可能であり、POSシステムから取得したデータを用いて上記第1および第2の実施形態で説明した処理と同様の処理を実行することが可能である。ここで、担当販売員を示すデータは、例えば二次元コードの読み取りを通じて特定するようにしてもよい。
【0100】
その他、上記第1および第2の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
複数の販売対象商品の販売状況データに基づいて、複数の販売対象商品のそれぞれについて売れ行きに関連した所定の売行指標値を算出する指標値算出部22と、当該算出された売行指標値が所定の条件を満たしている販売対象商品を売行低迷商品として設定する低迷商品設定部33と、当該売行低迷商品を販売した販売員に対してポイントを付与するポイント付与部36とを備え、販売員が売行低迷商品を販売することに対してモチベーションを与え、売行低迷商品の販売数の増加を通じて売上の向上を図ると同時に、在庫管理、返品処理、廃棄処分などによって嵩む可能性がある経費の削減を図ることができるようにする。