特許第6687975号(P6687975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6687975-繊維布帛の加工方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6687975
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】繊維布帛の加工方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 59/04 20060101AFI20200421BHJP
   D06C 23/04 20060101ALN20200421BHJP
   B29K 75/00 20060101ALN20200421BHJP
   B29K 33/00 20060101ALN20200421BHJP
   B29K 67/00 20060101ALN20200421BHJP
   B29K 77/00 20060101ALN20200421BHJP
   B29K 23/00 20060101ALN20200421BHJP
【FI】
   B29C59/04 A
   !D06C23/04 B
   B29K75:00
   B29K33:00
   B29K67:00
   B29K77:00
   B29K23:00
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-32897(P2016-32897)
(22)【出願日】2016年2月24日
(65)【公開番号】特開2017-149014(P2017-149014A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2019年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014487
【氏名又は名称】住江織物株式会社
(72)【発明者】
【氏名】國田 敏一
(72)【発明者】
【氏名】田中 慶智
【審査官】 ▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−172857(JP,A)
【文献】 特開2008−002029(JP,A)
【文献】 特開2006−299018(JP,A)
【文献】 特開2016−017240(JP,A)
【文献】 特開2015−224403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C53/00−53/84
D06B1/00−23/30
D06C3/00−29/00
D06G1/00−5/00
D06H1/00−7/24
D06J1/00−1/12
D04D1/00−11/00
D06Q1/00−1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂繊維からなる着色された繊維布帛に、エンボスロールとヒートロールが共に100〜250℃の範囲に加熱されたエンボス加工装置でエンボス加工を行った後に、該繊維布帛の裏面から顔料を含む樹脂をプリント加工することで、押圧部の少なくとも一部に該繊維布帛の色と異なる又はより濃い、前記繊維布帛の表面から認識できる色を付与することを特徴とする繊維布帛の加工方法。
【請求項2】
前記樹脂が、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂である請求項に記載の繊維布帛の加工方法。
【請求項3】
前記顔料の平均粒子径が、0.05μm〜0.5μmである請求項1または2に記載の繊維布帛の加工方法。
【請求項4】
前記エンボスロールの加熱温度は、前記ヒートロールの加熱温度より高温で、温度差が0〜130℃である請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維布帛の加工方法。
【請求項5】
前記着色された繊維布帛が、液流染色機を用いて染色された繊維布帛である請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維布帛の加工方法。
【請求項6】
前記着色された繊維布帛が、糸染め及び/又は原着糸を用いてなる繊維布帛である請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維布帛の加工方法。
【請求項7】
前記繊維布帛の色が淡色である請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維布帛の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維布帛に意匠性を付与する加工に関するものである。
【背景技術】
【0002】
繊維布帛へ意匠性を付与する加工として、プリント加工やエンボス加工等が行われている。特許文献1では、ベルベット状布へのエンボス処理と、装飾処理または熱転写プリント処理とを同時に行うことができる技術を開示している。
【0003】
しかしながら、この方法では、装置が高価になり、加工スピードが遅くなり、加工工程も増え、コストアップにつながっていた。そこで、特許文献2で出願人は簡単な加工で、加工スピードを落とすことなく、またコストアップすることなく、意匠性を繊維布帛へ付与方法として、エンボス加工を行った後に、染色することを特徴とする繊維布帛の加工方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−195454号公報
【特許文献2】特開2015−224403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、エンボス加工による染料先着差を選定する以外の方法で、布帛に意匠を付与したいというニーズもあった。本発明は、繊維布帛へ意匠性を付与する加工として、簡単な加工で加工スピードを落とすことなく意匠性を繊維布帛へ付与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、熱可塑性樹脂繊維からなる着色された繊維布帛に、エンボスロールとヒートロールが共に100〜250℃の範囲に加熱されたエンボス加工装置でエンボス加工を行った後に、該繊維布帛の裏面から顔料を含む樹脂をプリント加工することで、押圧部の少なくとも一部に該繊維布帛の色と異なる又はより濃い、前記繊維布帛の表面から認識できる色を付与する繊維布帛の加工方法を見出し本発明に到達した。前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0007】
[1]熱可塑性樹脂繊維からなる着色された繊維布帛に、エンボスロールとヒートロールが共に100〜250℃の範囲に加熱されたエンボス加工装置でエンボス加工を行った後に、該繊維布帛の裏面から顔料を含む樹脂をプリント加工することで、押圧部の少なくとも一部に該繊維布帛の色と異なる又はより濃い、前記繊維布帛の表面から認識できる色を付与することを特徴とする繊維布帛の加工方法。
【0008】
[2]前記樹脂が、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂である前項に記載の繊維布帛の加工方法。
【0009】
[3]前記顔料の平均粒子径が、0.05μm〜0.5μmである前項1または2に記載の繊維布帛の加工方法。
【0010】
[4]前記エンボスロールの加熱温度は、前記ヒートロールの加熱温度より高温で、温度差が0〜130℃である前項1〜3のいずれか1項に記載の繊維布帛の加工方法。
【0011】
[5]前記着色された繊維布帛が、液流染色機を用いて染色された繊維布帛である前項1〜4のいずれか1項に記載の繊維布帛の加工方法。
【0012】
[6]前記着色された繊維布帛が、糸染め及び/又は原着糸を用いてなる繊維布帛である前項1〜4のいずれか1項に記載の繊維布帛の加工方法。
【0013】
[7]前記繊維布帛の色が淡色である前項1〜6のいずれか1項に記載の繊維布帛の加工方法。
【発明の効果】
【0014】
[1]の発明では、熱可塑性樹脂繊維からなる着色された繊維布帛に、エンボスロールとヒートロールが共に100〜250℃の範囲に加熱されたエンボス加工装置でエンボス加工を行った後に、該繊維布帛の裏面から顔料を含む樹脂をプリント加工することで、押圧部の少なくとも一部に該繊維布帛の色と異なる又はより濃い、前記繊維布帛の表面から認識できる色を付与するので、エンボス加工を行った後の布帛の非押圧部は繊維布帛のボリューム感を保った状態で、押圧部は繊維布帛が押し潰された状態で裏面から樹脂をプリント加工することになる。こうして、繊維布帛の表面からは押圧部に前記樹脂に含まれる顔料の色を認識することができる繊維布帛の加工方法とすることができる。また、エンボス加工後に樹脂プリントを行うためエンボス金型を汚してしまうこともない。
また、前記エンボス加工装置が、エンボスロールとヒートロールからなるので、連続でエンボス加工を行うことができ、さらには樹脂プリント加工とも連続で加工することができる。こうしてさらに生産性が高めることができる。
そして、前記エンボス加工装置のエンボスロールとヒートロールは共に加熱され、加熱温度が100〜250℃となるので、熱可塑性樹脂繊維のガラス転移点ちかくに加熱することができ、繊維布帛が押し潰された状態にセットされる。したがって、繊維布帛の押圧部において、前記樹脂に含まれる顔料の色を繊維布帛の表面から確実に認識することができる。
さらに、前記樹脂に顔料を含有しているので、多彩な色相を繊維布帛の裏面に付与できるとともに、繊維布帛の押圧部に確実に色を付与できる。
【0015】
[2]の発明では、前記樹脂が、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂であるので、繊維布帛の風合いを損なうおそれが少ないうえ、繊維布帛に確実に樹脂プリントすることができる。
【0016】
[3]の発明では、前記顔料の平均粒子径が、0.05μm〜0.5μmであるので、繊維布帛に一段と浸透させることができ、色をはっきりと見えるようにできる。
【0017】
[4]の発明では、前記エンボスロールの加熱温度は、前記ヒートロールの加熱温度より高温で、温度差が0〜130℃であるので、繊維布帛のエンボスロール側に優れた凹凸を施すことができるうえ、繊維布帛の押圧部の柄際も鮮明にすることができる。
【0018】
[5]の発明では、前記着色された繊維布帛が、液流染色機を用いて染色された繊維布帛であるので、無地の布帛を所望の色の繊維布帛とすることができる。
【0019】
[6]の発明では、前記着色された繊維布帛が、糸染め及び/又は原着糸を用いてなる繊維布帛であるので、所望の色の繊維布帛とすることができる。
【0020】
[7]の発明では、前記繊維布帛の色が淡色であるので、繊維布帛の押圧部において、前記樹脂に含まれる顔料の色を繊維布帛の表面からより一層認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の一実施形態に係るエンボス加工ラインの概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明に係る繊維布帛の加工方法は、熱可塑性樹脂繊維からなる着色された繊維布帛に、エンボスロールとヒートロールが共に100〜250℃の範囲に加熱されたエンボス加工装置でエンボス加工を行った後に、該繊維布帛の裏面から顔料を含む樹脂をプリント加工することで、押圧部の少なくとも一部に該繊維布帛の色と異なる又はより濃い、前記繊維布帛の表面から認識できる色を付与することを特徴とする。
【0023】
本発明における熱可塑性樹脂繊維としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル等の合成繊維を好適に使用することができる。また、繊維布帛としては、編布、織布、不織布、タフト(刺繍)布、電着布等いずれでもよい。また、パイルを有していてもよいし、パイルを有さなくてもよい。いずれしても、熱可塑性樹脂繊維の繊維布帛であればよい。
【0024】
また、繊維布帛はあらかじめ着色された繊維布帛であり、好ましくは意匠性の観点から淡色であっても色が付いている。なお、着色するには、繊維糸をチーズ染めなどによる糸染めや、繊維の紡糸用ペレットに顔料を混ぜ紡糸した原着糸を用いて布帛にすればよい。また、無地の布帛に着色するには、例えば液流染色機を用いて染色すればよい。
【0025】
本発明に係るエンボス加工装置は、加熱エンボス金型を押圧して凹部を形成するものであって、加熱エンボス金型は、ローラー状で、凹凸模様を彫刻した金型であり、エンボスロールとヒートロールとからなるエンボス加工装置である。この装置でエンボス加工を行うのが生産性の点で優れる
【0026】
また、好ましいエンボスロールとヒートロールは、表面がメッキ等のコーティングされた金属製で、両者ともロール内部から加熱する形式のもので、直径としては150mm〜600mmが好ましい。加熱する温度は、100〜250℃である。布帛にエンボスを施すには、図1のように、繊維布帛3は、まずヒートロール1によって加熱され、1/2〜3/4回転進んだところで加熱したエンボスロール2との間で加圧されてエンボスされる。ともに金属製であるので、模様の固定化が容易で、シャープな型押し模様を付与することができる。エンボスロール2とヒートロール1の加熱温度が100℃未満では、はっきりとした模様が形成できず、250℃を超えても、押圧部の繊維が硬くなり過ぎてしまう。好まし加熱温度は、エンボスロール2では150〜240℃であり、ヒートロール1では100〜240℃である。
【0027】
また、エンボスロールの加熱温度とヒートロールの加熱温度は、100〜250℃の範囲である。この範囲にすることで、繊維布帛のエンボスロール側に優れた凹凸を施すことができるうえ、繊維布帛の押圧部の柄際もより鮮明にすることができる。なお、エンボスロールの加熱温度とヒートロールの加熱温度は、同じ温度、またはエンボスロールの加熱温度の方がヒートロールの加熱温度より高温であるのが好ましい。すなわち、温度差が0〜130℃であるのが好ましい。
【0028】
また、エンボスロールとヒートロールとの間隔は、繊維布帛の生地の厚さ、密度によって適宜調整するが、0.05mm〜2mmの間隔が好ましい。なお、エンボスロールとヒートロールが平行に保たれなくてはならない。また、エンボスロールとヒートロールの回転軸がずれていたり、エンボスロールとヒートロールの間隔にムラがあると模様のムラとなるため好ましくない。
【0029】
また、適宜の間隔に配置したエンボスロールとヒートロールとの間を、加工スピード0.3m/分〜10m/分で押圧された状態で繊維布帛を通過させることにより、繊維布帛が十分に加熱されて、耐久性に優れた模様が付与される。加工スピードが0.3m/分未満では、押圧部の繊維が硬くなり好ましくない。また、10m/分を超えても模様を形成することができない。
【0030】
本発明におけるエンボスロールの表面の型押部は、分散状態に配置され、型押部の高さは繊維布帛の厚みによるが、0.1mm〜10mmが好ましい。型押部が繊維布帛の押圧部に相当し、模様のデザインにもよるが、型押部の合計面積は、エンボスロールの表面積の20〜60%で、分散して配置されるのが好ましい。これはエンボスロールとヒートロールの僅かな間隔を平行に保って回転させなければならず、型押部を片寄って配置すると、均一な模様がえられにくいことから、できるだけ分散して配置するのが好ましい。
【0031】
本発明における樹脂プリントは、例えば、フラットスクリーン機やローターリースクリーン機を用いて行うことができる。繊維布帛の裏面から樹脂をプリント加工することで、繊維布帛の表面からは押圧部に前記樹脂の色を認識することができる。この場合、樹脂に水や増粘剤、湿潤剤等を適宜混合し撹拌して、1,000〜20,000Pa・s(BH型粘度計、No.4号ローター、60rpm、25℃)に粘度を調整して、樹脂プリント加工するのが好ましい。さらに好ましくは、5,000〜15,000Pa・sである。
【0032】
前記樹脂に顔料を含有している。前記顔料としては、例えば、アゾ化合物やキノン化合物等の有機系顔料、金属化合物等の無機系顔料を挙げることができる。樹脂に顔料を含有しているので、多彩な色相を繊維布帛の裏面に付与でき、繊維布帛の押圧部により確実に色を付与できる。また、前記顔料の数平均粒子径は、0.05μm〜0.5μmが好ましい。この範囲とすることで、繊維布帛に一段と浸透させることができ、エンボス加工された繊維布帛の表面の凹部の色を十分視認することができる。さらに好ましくは0.05μm〜0.2μmである。
【0033】
前記樹脂としては、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂であるのが好ましいく、繊維布帛の風合いを損なうおそれが少ないうえ、繊維布帛に確実にプリントすることができる。例えば、水系ウレタン系樹脂、水系アクリル系樹脂、水系ポリエステル樹脂、水系ポリアミド樹脂、水系ポリエチレン樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は乳化型や水溶性型があるがいずれの型であってもよく、水に分散できればよい。
【実施例】
【0034】
次に、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例のものに特に限定されるものではない。
【0035】
<実施例1>
繊維布帛としては、56dtex/24f、56dtex/24f、84dtex/144fの三種類のレギュラーポリエステル糸を使用して編成したトリコット経編布帛(厚み1.2mm、目付300g/m)を用意した。次に、液流染色機を用いて、130℃、30分で淡グレー色に染色(染料レサイプ:Dianix Yellow HLA 0.19%o.w.f、Dianix Red HLA 0.08%o.w.f、Dianix Blue HLA 0.21%o.w.f)し、脱水・拡布した後、ピンテンターを用いて、温度150℃で、1.5分間セット加工を施した。次に、針布起毛機を用いてカット起毛し、続いてシャーリング機を用いて起毛面をシーリングし整え、厚さ1.2mmの繊維布帛を得た。次に、この繊維布帛に、図1に示すエンボス加工ラインにおいて、エンボスロール2の温度を215℃に設定し、ヒートロール1の温度を150℃とし、エンボスロール2とヒートロール1の間隔を0.15mmにし、布送りスピードを3.0m/分でエンボス加工を施した。エンボスロールの柄は、格子柄で型押部の合計面積は、エンボスロールの表面積の45%とした。次に、ローターリースクリーン機を用いて、繊維布帛の裏面に、下記の樹脂プリントレサイプで、プリントを施した。
(樹脂プリントレサイプ):
水系ウレタン樹脂(カーボネート系ウレタン樹脂 )60質量%
顔料(BLUE顔料、平均粒子径0.08μm)1質量%
増粘剤(アクリル系増粘剤)1質量%
水38質量%
(粘度):
(BH型粘度計、No.4号ローター、60rpm、25℃) 8,000Pa・s
【0036】
続いて、樹脂プリント後にピンテンターを用いて、温度150℃で、3分間乾燥して、表面にエンボス柄、裏面に樹脂プリントが施された繊維布帛を得た。押圧部に樹脂の色が、はっきりと現れ意匠性に優れる繊維布帛とすることができた。布帛表面のエンボス部の色評価は「◎」であった。また、磨耗試験では型押し模様がはっきり鮮明に残っており、磨耗性試験の評価は「◎」であった。エンボス加工の金型タイプ、エンボス加工温度等と、樹脂プリントの樹脂と顔料、及び評価について表1に示す。
【0037】
<実施例2>
実施例1において、プリント樹脂として水系アクリル樹脂60質量%を用いたい以外は実施例1と同様にして表面にエンボス柄、裏面に樹脂プリントが施された繊維布帛を得た。表面のエンボス部の色評価は「○」で、磨耗性試験の評価は「◎」であった。
【0038】
<実施例3>
実施例1において、エンボスロールの加熱温度を230℃とした以外は実施例1と同様にして表面にエンボス柄、裏面に樹脂プリントが施された繊維布帛を得た。表面のエンボス部の色評価は「◎」で、磨耗性試験の評価は「◎」であった。
【0039】
<実施例4>
実施例1において、エンボスロールの加熱温度とヒートロールの加熱温度を共に200℃とした以外は実施例1と同様にして表面にエンボス柄、裏面に樹脂プリントが施された繊維布帛を得た。表面のエンボス部の色評価は「◎」で、磨耗性試験の評価は「◎」であった。
【0040】
<実施例5>
実施例1において、エンボスロールの加熱温度を230℃、ヒートロールの加熱温度を100℃とし、顔料をBLUEからPINK(平均粒径0.4μm)に替えた以外は実施例1と同様にして表面にエンボス柄、裏面に樹脂プリントが施された繊維布帛を得た。表面のエンボス部の色評価は「○」で、磨耗性試験の評価は「◎」であった。
【0041】
参考例1
実施例1において、エンボス加工装置の金型タイプを、ロール状でなく平板状に替えて加熱温度を平板及び下面板とも160℃とした以外は実施例1と同様にして表面にエンボス柄、裏面に樹脂プリントが施された繊維布帛を得た。表面のエンボス部の色評価は「○」で、磨耗性試験の評価は「○」であった。
【0042】
参考例2
実施例1において、ヒートロールを樹脂ロールに替え、樹脂ロールは室温(12℃)であった以外は実施例1と同様にして表面にエンボス柄、裏面に樹脂プリントが施された繊維布帛を得た。表面のエンボス部の色評価は「◎」で、磨耗性試験の評価は「◎」であった。
【0043】

【0044】
<比較例1>
実施例1において、樹脂プリントを施さなかった以外は実施例1と同様にして表面にエンボス柄のみが施された繊維布帛を得た。表面のエンボス部の色評価はそもそも樹脂プリントがないことから、意匠上見劣りするものであったので評価は「×」とした。また、磨耗性試験の評価は「○」であった。
【0045】
<比較例2>
実施例1において、エンボス加工を施さずに樹脂プリント加工を行った以外は実施例1と同様にして裏面に樹脂プリント柄のみが施された繊維布帛を得た。表面にエンボス部がなく、樹脂プリントだけしかないことから、意匠上見劣りするものであったので評価は「×」とした。また、磨耗性試験の評価は「○」であった。
【0046】
<比較例3>
実施例1において、繊維布帛の裏面から樹脂プリント加工を施した後にエンボス加工を行った以外は実施例1と同様にして表面にエンボス柄、裏面に樹脂プリントが施された繊維布帛を得た。表面のエンボス部の色評価は「△」で、磨耗性試験の評価は「◎」であった。
【0047】
また、下記磨耗試験によって型押し模様の耐久性や鮮明性を調べた。
<磨耗性試験>
試験片は、幅100mm、長さ300mmの大きさで、縦方向、横方向からそれぞれ一枚ずつ用意する。試験片を緩みのないように平面台に固定する。次に表面に綿汎布が被覆された摩擦子を試験片に当接させて試験片上の160mm離れた2点間を60回/分の速さで10000回往復させる。この時、摩擦子にかかる荷重が9.8N±1%となるように設定する。
【0048】
前記磨耗試験を行った後の型押し模様のある繊維布帛の表面を観察し、型押し模様が依然としてはっきり鮮明であるもの(磨耗試験前後で変化のないもの)を「◎」、型押し模様の鮮明性が若干低下しているものの型押し模様が維持されているものを「○」、型押し模様の鮮明さが低減されているものの型押し模様自体は残在しているものを「△」、型押し模様が殆ど消失しているものを「×」として評価し、「○」以上を合格とした。
【0049】
<繊維布帛凹部の色評価>
繊維布帛の型押し模様のある繊維布帛の表面を観察し、裏面の樹脂プリント部の色が、はっきりと見えるものを「◎」、見えるものを「○」、うっすらとしか見えないものを「△」、全く見えないものを「×」として評価し、「○」以上を合格とした。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る繊維布帛の加工方法は、繊維布帛に意匠性を付与する優れた加工法なので、例えば、インテリアをはじめ衣料用の繊維布帛や、鉄道車両、バス、自動車等に用いられる内装材やシート表皮材用の繊維布帛の加工方法として利用できる。
【符号の説明】
【0051】
1・・・ヒートロール
2・・・エンボスロール
3・・・繊維布帛
図1