特許第6687977号(P6687977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6687977
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】根菜掘り取り機
(51)【国際特許分類】
   A01D 25/04 20060101AFI20200421BHJP
【FI】
   A01D25/04
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-78533(P2016-78533)
(22)【出願日】2016年4月11日
(65)【公開番号】特開2017-189116(P2017-189116A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2019年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】天間 修一
【審査官】 小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭42−020688(JP,Y1)
【文献】 特開平04−084816(JP,A)
【文献】 特開平04−084815(JP,A)
【文献】 特開平04−084814(JP,A)
【文献】 実開昭60−116827(JP,U)
【文献】 特開2008−029230(JP,A)
【文献】 特開2014−212786(JP,A)
【文献】 特開2015−084767(JP,A)
【文献】 特開2015−139451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D13/00−33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜面を有する掘り取り体を長いも等の根菜の下方部に通過させて長いも等の根菜を浮き上がらせて掘り上げる長いも等の根菜掘り取り機であって、
前記掘り取り体は、前部に備えられた後ろ上がり傾斜の刃部と、該刃部後端部から後方側に延びて上面は前方から後方に至るに従って上昇する傾斜面を有する掘り取り体本体と、
該掘り取り体本体後端部に、進行方向と直交する左右方向の上下に揺動する揺動板を設け
該揺動板の揺動は、前記揺動板の揺動中心軸より側方側の位置に設けた偏心回転する揺動カムによって行う、ことを特徴とした長いも等の根菜掘り取り機。
【請求項2】
揺動板は、平面視後端縁略左右方向中央部が、後方に向かって開口する切欠き部を有することを特徴とした請求項1記載の長いも等の根菜掘り取り機。
【請求項3】
揺動板の左右端部の上下揺動角は、前記揺動カムを回転させるモータの取付位置を変更することによって、変更可能であることを特徴とした請求項1又は請求項2の何れかに記載の長いも等の根菜掘り取り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタに装着されて使用される農作業機であり、牽引される機枠に取付けられ、前端部に後部が上方へ傾斜した刃部を有し、該刃部の後部に駆動される無端コンベアベルトを設けた掘り取り体を、植えつけられた長いも等の下方部を通過させ長いも等の根菜を浮き上がらせて掘り取る長いも等の根菜の掘り取り機の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
長いも等の根菜の掘り取り機は、根菜を損傷することが無く効率よくスムーズに掘り取ることが要求されている。従来、このような掘り取り機械として、特許第5750606号公報(特許文献1)の「トラクタに連結する長いも収穫装置」、特開2008−29230号公報(特許文献2)の「長いも堀取り装置」が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された「トラクタに連結する長いも収穫装置」は、「・・・・長いもの両側部を掘削する掘削チェンの下端に掘取り刃体の刃部を接近させて配置し、前記掘削チェンを支承するブームに長さ調整手段を具備して、掘削チェン上下の長さを調整して掘削チェンの下端部と掘り取り刃体との近接高さを調整可能とするとともに掘り取り刃体の後端には掘り取り刃体と同一面上で微振動する落下補助板を設けたトラクタに連結する長いも収穫装置。」である。また、特許文献2に開示された「長いも堀取り装置」は、「トラクタの後部に連結されて牽引される基枠の下部に取り付けられ、前部が刃部を形成し、後部が上方に傾斜した無端パワーベルトコンベアから成る掘り取り刃体を有する長いも堀取り装置において、前記無端パワーベルトコンベアの後部に振動板を上下に揺動する振動板揺動機構を連設して成り、前記掘り取り刃体により掘り起こした長いもに付着する栽培土を振り落とすようにしたことを特徴とする長いも堀取り装置。」である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5750606号公報
【特許文献2】特開2008−29230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
刃部の後部に駆動される傾斜した無端コンベアベルトを設けた掘り取り体を、植えつけられた長いも等の下方部を通過させ長いも等の根菜を浮き上がらせて掘り取る長いも等の根菜の掘り取り機は、根菜を損傷することが無くスムーズに掘り取ることが要求される。また、掘り取り体によって上昇させた根菜をスムーズに補助作業者が抜き取れるようにすることにより作業効率が向上する。このため、特許文献1の長いも収穫装置又は特許文献2の長いも堀取り装置は、掘り取り刃体と同一面上で微振動する落下補助板や、無端パワーベルトコンベアの後部に振動板を上下に揺動する振動板揺動機構を設けて、長いもに付着した栽培土ブロックを振り落とすように構成されている。これらはいずれも振動する板の前方部に左右方向の水平回動支点を設け、後端側を上下に回動する構造のものである。しかし、振動する板の後端を過ぎると、持ち上げられた栽培土が掘り取り体後方部と振動板下方部に進行によって形成される空洞部に急激に落ち込むので、持ち上げられた位置で素早く長いも等の根菜を作業者が掴んで抜き取らないと、空洞部に落ち込む栽培土とともに根菜が落ちて埋め込まれてしまい、折損や損傷といったダメージが根菜に発生することがある。
【0006】
このことから本発明の目的は、抜取りミスをなくして、スムーズに掘り取り作業を行うことができる長いも等の根菜掘り取り機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、傾斜面を有する掘り取り体を長いも等の根菜の下方部に通過させて長いも等の根菜を浮き上がらせて掘り上げる長いも等の根菜掘り取り機であって、前記掘り取り体は、前部に備えられた後ろ上がり傾斜の刃部と、該刃部後端部から後方側に延びて上面は前方から後方に至るに従って上昇する傾斜面を有する掘り取り体本体と、該掘り取り体本体後端部に、進行方向と直交する左右方向の上下に揺動する揺動板を設け、揺動板の揺動は、揺動板の揺動中心軸より側方側の位置に設けた偏心回転する揺動カムによって行う、ことを特徴とした長いも等の根菜掘り取り機である。
【0008】
また、上記課題を解決するために、請求項2に係る発明は、揺動板は、平面視後端縁略左右方向中央部が、後方に向かって開口する切欠き部を有することを特徴とした請求項1記載の長いも等の根菜掘り取り機である。
【0009】
さらに、上記課題を解決するために、請求項3に係る発明は、揺動板の左右端部の上下揺動角は、揺動カムを回転させるモータの取付位置を変更することによって、変更可能であることを特徴とした請求項1又は請求項2の何れかに記載の長いも等の根菜掘り取り機である。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、掘り取り体本体後端部に、進行方向と直交する左右方向の上下に揺動する揺動板を設けたことによって、揺動板の上方に位置する長いも等の根菜に付着した栽培土ブロック部は、揺動板の後端に至る前に振動によって徐々に左右方向から下方の空洞部に栽培土が振り落とされ、後端に至っても急激に空洞部に落ち込むことがないため、持ち上げられた根菜を抜き損なうことがない。また、揺動板は、平面視後端縁略左右中央部が、後方に向かって開口する切欠き部を有していると、根菜と一緒に持ち上げられた土壌が徐々に揺動板下方の空間部に落ちやすくなるため、根菜上部が露出しやすく、また、空洞部が徐々に埋まっていき、急激に空洞部に持ち上げられた土壌が落ち込むことがない。さらに、揺動板の左右端部の上下揺動角は変更可能である構成であることにより、土質による土壌の崩れやすさ等の異なる場合の対応が容易にできる根菜掘り取り機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例の根菜掘り取り機の作業状態の左側面図である。
図2】本発明の実施例の根菜掘り取り機の作業状態の前方正面図である。
図3】本発明の実施例の根菜掘り取り機の後面図である。
図4】本発明の実施例の根菜掘り取り機の平面図である。
図5】本発明の揺動板部の要部後面図である。
図6】本発明の揺動板部の要部後面図である。
図7】本発明の揺動板部の要部後面図である。
図8】本発明の揺動板部の断面した要部左側面図である。
図9】本発明の揺動板と掘り取り体本体部の駆動部を示した平面断面図である。
図10】本発明の掘り取り体と揺動板の作用を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の一形態を、図1乃至図10に基づいて説明する。図1乃至図4は本発明の根菜掘り取り機の作業姿勢の状態の外観を示した左側面図と前方正面図と後面図及び平面図を示したものである。走行作業車両であるトラクタ(図示せず)の後部には昇降リンクである3点リンク機構が設けられていて、本発明の根菜掘り取り機前方部の装着部と昇降自在に連結されるとともに、トラクタ側から出力される動力によって駆動される。本例の説明においては、図1に示す左側を進行方向前方側として説明する。
【0013】
1は、機枠である。機枠1は、板状体を相互に左右対向させた状態に形成する。そして、機枠1の前方先端には板状体相互間に固定され左右先端部にロアリンクピン1fを設けた丸棒状フレームが板状体を連結固定し、更に機枠1の後端にはブラケット1bを上方へ向け突設する。このように機枠1は、根菜掘り取り機のメインフレームを構成する。
【0014】
機枠1の前方部には、マストフレーム1aが設けられている。マストフレーム1aは板状体からなり、左右対向させた状態に機枠1に連結されている。マストフレーム1aの下端である基部は、機枠1の前記ロアリンクピン1fを設けた丸棒状フレーム近傍に前後回動自在に回動軸1cによって保持されていて、マストフレーム1aの上部先端前方にはトップリンクピン1eを左右方向水平に設けている。また、マストフレーム1aの後方は油圧シリンダ1dの一端と連結され、油圧シリンダ1dの他端は機枠1の後部に設けたブラケット1bと連結される。そして、トップリンクピン1eと前記機枠1に設けたロアリンクピン1fによってトラクタの昇降リンクである3点リンク機構に取付けられる。従って、油圧シリンダ1dを伸縮させることで、前記回動軸1cを中心に機枠1を上下に回動することが可能となる。油圧シリンダ1dを縮めると掘削部2が後方に回動して上昇し移動状態となる。
【0015】
機枠1には、掘削部2とビーム1gが下方に延設され左右一組ずつ設けられている。掘削部2は、ビーム1gの前方側に位置し、掘り上げる長いも等の根菜の左右側方の土壌を掘削するものである。ビーム1gの下方端部には後述する掘り取り体3が備えられている。
【0016】
掘削部2は、機枠1に下方へ向けて設けられる。掘削部2は、根菜掘り取り機を掘り取り作業状態にした時に、土中に位置し、掘り上げる長いも等の根菜の左右側方の土壌を掘削し根菜を引き抜きやすくする。掘削部2は、ブーム2aとその周囲に巻架された掘削チェーン20からなる。掘削チェーン20は、ローラーチェーン2eとその外周に複数取付けられた掘削刃2fによって構成されている。掘削チェーン20は、ブーム2aの機枠1側の基部に設けた駆動スプロケット2bと他端部に設けたテンションスプロケット2cとブーム2aの中間部の前方に張り出して設けたアイドラスプロケット2dに側面視三角状に巻架されている。ブーム2aは進行方向左右に対向して夫々上端を機枠1に固定される。従って、掘削チェーン20は対向する各ブーム2aに設けられ、掘り取り作業時には、対向するブーム2a間に掘り取り対象である長いも等の根菜を位置させて、掛け渡された掘削チェーン20を上下に駆動することで、掘起し対象である根菜の左右側方の土壌を上下にかき分け膨軟にすることができる。ブーム2a先端側は長さ方向に伸縮可能で、掘削チェーン20の張り調整が行える。また、掘り取り作業中に土中から露出する掘削部2の上方部は、掘削部カバー7によって覆われている。さらに、左右側方と後方に丸パイプで成型されたサイドガード7aとリヤガード7bが設けられていて、掘削部2の可動部への接触や巻き込まれによる事故の安全上の防止がされている。
【0017】
掘削部2の掘削チェーン20後方には、掘削チェーン20に近接してビーム1gが機枠1から下方に延設され左右に対向して設けられ、前方視において掘削チェーン20後方に重合した位置に設けられる。ビーム1gの下端部は掘削チェーン20下端部近傍まで延設されている。ビーム1gは、上下に長い帯板状で板厚端縁が進行方向を向いた状態で機枠1に上方部を固定されている。すなわち、前記ブーム2aとビーム1gは位置関係が固定されている。
【0018】
ビーム1gの下端部には、掘り取り体3が取付けられている。掘り取り体3は、前部に後ろ上がり傾斜の刃部3dを備え、該刃部後端部から後方側に延びて上面は前方から後方に至るに従って上昇する傾斜面を有する掘り取り体本体であるベルトコンベア3aと、該ベルトコンベア3a後端部に設けられ、ベルトコンベア3aの幅と約同一の平面部を有した前記傾斜面を延長するように作用する揺動板4を備えている。
【0019】
掘り取り体3は、前記左右に位置するビーム1gの間に設けられ、ビーム1gに刃部3d近傍を固着して取り付けられている。掘り取り作業時の掘り取り体3は、掘り取り対象である長いも等の根菜の下方部を通過して、掘削部2によって掘削され左右側部の土が膨軟になった内側の根菜周辺の土壌と根菜をベルトコンベア3aの傾斜面に載せて移動させ、根菜を上方に浮き上がらせるものである。本例においては、掘り取り体3の掘り取り体本体部である傾斜面をベルトコンベアとしたが、樹脂材等の板材で固定された傾斜面を構成してもよい。
【0020】
刃部3dは、鋼板製でベルトコンベア3aの幅と略同じに設けられ、根菜の下方部の土中をトラクタの進行によって切削していく。ベルトコンベア3aは、後方端側に側面視径が大きい駆動ローラ3bを位置させ、刃部3d側の前端部から後方側に駆動ローラ3bより径が小さいサポートローラ3cを複数配置して、ベルトを巻付けベルコンベア3aの上面が後ろ上がりの傾斜となるように構成されている。ベルトコンベア3aは、駆動ローラ3bを掘り取り体3内に設けた油圧モータ3eによって回転駆動され、ベルトコンベア3aの上面の傾斜面が前方側から後方側に移動するように駆動される。ベルトコンベア3aの駆動ローラ3bとコンベアベルトを支えるサポートローラは、ベルトコンベア3aの左右に立設しているコンベア側板3fにより回転自在に保持されている。
【0021】
ベルトコンベア3a後端部の駆動ローラ3b後方には、ベルトコンベア3aの幅と約同一の平面部を有したベルトコンベア3aの傾斜面を延長するように作用する前記揺動板4が設けられている。揺動板4は、前記コンベア側板3f後方部左右に架け渡され取り付けられている揺動板保持ブラケット4fに左右方向揺動自在に保持されている。揺動板保持ブラケット4fの略中央部に、進行方向と平行のパイプ状のボスである揺動ボス4gが設けられ、該揺動ボス4gに揺動中心軸4aが挿入され揺動板4が左右揺動自在に取付けられる。
【0022】
揺動板保持ブラケット4fの揺動ボス4gより側方側位置には、モータ4eが固着して設けられ、進行方向と平行の後方に向けて設けられたモータ4eの出力軸には丸板状の揺動カム4bが固着されている。揺動カム4bはモータ4eが回転すると上下左右に偏心して回転する。一方、揺動板4には、揺動カム4bの上下に近接させて後方視矩形状のガイド枠4hが揺動カム4bを囲むように設けられていて、揺動カム4bが上下に偏心して回転するとガイド枠4hが上下に移動され、揺動板4が揺動中心軸4aを中心に揺動する。揺動板4が左右方向の上下に揺動することにより、ベルトコンベア3aの斜面によって根菜と共に持ち上げられた土壌を徐々に左右端側から下方に逃がして、揺動板4後端に至った土壌が急激に崩れ落ちない様にする。また、持ち上げられた土壌の上方部を振動によって崩して根菜の頭部を露出させ掴みやすい状態とすることによって抜き取りミスを軽減する。
【0023】
モータ4eは、揺動板保持ブラケット4fに対する左右方向の取付位置を変更可能に設けられていて、本例においては、左右方向にモータ4eの取り付けボルト孔を同ピッチで3カ所設け、モータ4eを左右方向2カ所で取付変更ができるように構成している。揺動中心軸4aに近い側に取付ける(図7)と、揺動板4の揺動角が大きくなり、離れた側に取付ける(図5図6)と、揺動角度が小さくなる。根菜が栽培されている土質条件に合った揺動角を選択できる。通常は、崩れにくい土質の場合は大きく揺動させ、崩れやすい土質の場合は小さい揺動角とする。使用していない側のモータ4eの取付孔はカバー4cによって塞がれる。モータ4eは油圧等で駆動するモータでもよい。
【0024】
揺動板4は、ベルトコンベア3aの傾斜面に対し平面部の角度を上下に変更して取り付け可能で、コンベア側板3fに対する揺動板保持ブラケット4fのボルト取り付け孔部が長穴となっていて角度を変更して固定可能となっている。
【0025】
揺動板4には、図4に示すように後端部中央部が後方に向けた凹状の切欠き部4dが設けられる。切欠き部4dは、ベルトコンベア3aの斜面によって根菜と共に持ち上げられた土壌を徐々に下方に逃がして、揺動板4後端に至った土壌が急激に崩れ落ちない様にする。切欠き部4dの大きさは、崩れやすい土質の場合は設けないか小さくし、崩れにくい土質のときは大きめに設ける。土質によって大きさを変化させることで逃がす量を調整することができる。
【0026】
図10の(a)は従来の掘り取り体の作業状態の場合を示したもので、(b)は本発明の掘り取り状態を示したものである。(a)の従来例では、掘り取り体3′の後方部に進行により大きな空洞部B′が形成されるため、揺動板4′後端に至った土壌は急激に下方の空洞部B′に流れ込み、場合によっては掴み損ねた根菜Aが土壌と共に再び埋め込まれる場合がある。(b)の本発明の状態では、揺動板4が左右方向の上下に揺動するため、揺動板4の部分に至った土壌は、左右端部又は後端中央側に設けた切欠き部4dから徐々に下方に流れ込むため、揺動板4の後端部に至った土壌は、急激に下方に流れ込むことがなく、補助作業者は確実に根菜Aを掴み収穫することができる。
【0027】
左右のビーム1gの中間位置の上方部の後方側には、土崩し手段8が設けられている。土崩し手段8は、掘り取り体3によって上昇してきた根菜と土砂から土砂を左右に払い崩して根菜の上端部を露出させるためのものである。土崩し手段8は、進行方向に複数の丸棒状のかき分け棒が間隔を置いて直線状に並べられ、上方部を中心に下方部が進行方向と直交する方向に揺動して、土砂を払い崩す。
【0028】
図1に示す状態は、掘り取り作業状態の姿勢を示したもので、本例の場合、掘り取り体3は地下1.2mくらいの深さに位置する。トラクタによって掘り取り機を移動等させる場合は、油圧シリンダ1を縮ませることによって、回動軸1cを中心に機枠1が図1の状態から反時計方向に回動する。これによって、機枠1に固定された掘削部2下方部と掘り取り体3は回動して上昇する。さらに、トラクタの昇降リンクである3点リンク機構を上昇させると、掘削部2の下方部及び掘り取り体が地上より上に位置してトラクタ等によって移動させることができる。
【0029】
図9において本発明の掘り取り体3のベルトコンベア3aの駆動部を説明する。掘り取り体3の左右のコンベア側板3fの中央部には油圧モータ3eが設けられてベルトコンベア3aを駆動する。ベルトコンベア3aの後端部に位置するベルトコンベア3aを駆動する駆動ローラ3bが左右に2個設けられ、その中間部にギヤケースが前記油圧モータ3eを取付け設けられていて、油圧モータ3eが駆動されるとベルトコンベア3aが駆動する。
【0030】
機枠1中央部にはトラクタからの動力が入力される入力ギヤケース5bが設けられている。入力ギヤケース5b前方には入力軸5cが前方に向け突設されていて、トラクタのPTO軸(図示せず)と入力軸5cをユニバーサルジョイント等で連結してトラクタからの動力が入力される。入力ギヤケース5bには、入力軸5cと直交する方向の左右に出力軸が突設されていて、駆動スプロケット2bがそれぞれ固着されている。駆動スプロケット2bには、掘削部2の掘削チェーン20が巻架されていて、入力軸5cに入力された動力によって掘削チェーン20が駆動される。また、入力ギヤケース5bの上部には、油圧ポンプ5aが設けられ、入力軸5cに固着したスプロケットと油圧ポンプ5aの入力軸に固着したスプロケットとにローラーチェーンが巻架され油圧ポンプ5aが駆動される。油圧ポンプ5aで発生した油圧は、配管を通じて掘り取り体3の油圧モータ3eに送られ油圧モータ3eを駆動する。油圧モータ3eが駆動されると、掘り取り体3のベルトコンベア3aの駆動ローラ3bが回転してベルトコンベア3aが作動する。入力ギヤケース5bの後方には土崩し手段8を駆動する出力部が設けられ、土崩し手段8を駆動する。機枠1を回動させる油圧シリンダ1dはトラクタ側にバルブを設けトラクタ側の油圧によって作動させる。
【0031】
本発明の実施例の長いも等の根菜掘り取り機によって掘り取り作業を行う方法を説明する。機枠1の前方左右に設けたロアリンクピン1fをトラクタの3点リンク機構のロアリンクに連結し、機枠1前方上方部に設けたマストフレーム1aの前方側に位置するトップリンクピン1eをトラクタの3点リンク機構のトップリンクに連結して掘り取り機をトラクタに装着する。トラクタのPTO軸と入力ギヤケース5bの入力軸5cにユニバーサルジョイント等の動力伝達軸を連結してトラクタからの動力を入力できる状態にする。
【0032】
掘り取りする長いも等の根菜Aが植えられている畝をトラクタを跨がせた状態に位置させ、すなわち、掘削部2の左右の掘削チェーン20の中央部に根菜が位置するように位置させて、掘削部2及び掘り取り体3のベルトコンベア3aを駆動させる。そして、トラクタ側に設けたバルブを操作して油圧シリンダ1dを伸ばしていくと、機枠1が図1に示す状態の時計方向に回動して、これに固定された掘削部2と掘り取り体3が地中に入り込んでいく。掘り取り体3の前方の刃部3dを所定の掘り取り根菜の下方部に位置させたら、トラクタを前進させて掘り取り作業を開始する。
【0033】
トラクタが前進することにより、掘削部2によって根菜の左右側方を掘削して土壌を膨軟にしていく、そして、その後方に位置する掘り取り体3のベルトコンベア3aの傾斜面に、左右の掘削チェーン20の内側に位置する土壌が載せられ根菜Aとともに後方に移動する。移動することにより根菜と土壌はベルトコンベア3aの傾斜面に沿って上方に浮き上げられる。浮き上がった土壌が掘り取り体3後端の揺動板4部に移動すると、揺動板4下方部と掘り取り体3下方部の空間部に根菜周辺の土壌の一部が流れ込み、振動により土壌が崩れ根菜の上方の先端部が圃場面から露出する。露出した根菜の先端部を補助作業者が把持して抜き取ることによって掘り取りができる。揺動板4の後端部を通過した土壌は急激に下方に流れ落ちることがなく、補助作業者は確実に根菜Aを把持して収穫が行える。
【0034】
本例の場合、掘り取り体3の前方に掘削部2を設けているが、必ずしも掘削部2を設けた掘り取り機でなくても本発明は実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
この発明は、トラクタ等の走行機後方に装着されて長いも等の根菜を掘り取るための掘り取り機に適用できる。
【符号の説明】
【0036】
1 機枠
1a マストフレーム
1b ブラケット
1c 回動軸
1d 油圧シリンダ
1e トップリンクピン
1f ロアリンクピン
1g ビーム
2 掘削部
20 掘削チェーン
2a ブーム
2b 駆動スプロケット
2c テンションスプロケット
2d アイドラスプロケット
2e ローラーチェーン
2f 掘削刃
3 掘り取り体
3a ベルトコンベア
3b 駆動ローラ
3d 刃部
3e 油圧モータ
3f コンベア側板
4 揺動板
4a 揺動中心軸
4b 揺動カム
4c カバー
4d 切欠き部
4e モータ
4f 揺動板保持ブラケット
4g 揺動ボス
4h ガイド枠
5a 油圧ポンプ
5b 入力ギヤケース
5c 入力軸
7 掘削部カバー
7a サイドガード
7b リヤガード
8 土崩し手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10