(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6687979
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】建設機械におけるエンジン支持構造
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20200421BHJP
E02F 9/08 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
E02F9/00 D
E02F9/08 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-140449(P2016-140449)
(22)【出願日】2016年7月15日
(65)【公開番号】特開2018-9415(P2018-9415A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】505236469
【氏名又は名称】キャタピラー エス エー アール エル
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100206106
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】岩本 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】恒吉 剛
(72)【発明者】
【氏名】中井 暁人
【審査官】
佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−092281(JP,A)
【文献】
特開2011−179165(JP,A)
【文献】
特開2013−028915(JP,A)
【文献】
実開昭59−103832(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0026795(US,A1)
【文献】
特開2016−008442(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0376866(US,A1)
【文献】
特開2007−198031(JP,A)
【文献】
特開平11−013084(JP,A)
【文献】
特開2008−075445(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0073938(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
E02F 9/08
B60K 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部旋回体の旋回フレームの左右方向中央部に、前後方向に延びる左右一対のセンターフレームを備えるとともに、該センターフレームの左右外方側にエンジンを搭載してなる建設機械において、前記エンジンを、防振機能を有した複数のエンジンマウントと、該エンジンマウントが取付けられるエンジン支持部材とを介して旋回フレームに支持せしめるにあたり、前記エンジン支持部材を、左右方向に延びる前後複数の梁状のエンジン支持部材とするとともに、これら前後複数のエンジン支持部材は、上面部と、該上面部の前後両側から垂下される上下方向を向く脚片とを備え、前記上面部の左部および右部に、エンジンマウントを取付けるための取付けボルトが挿入されるエンジンマウント取付孔を形成する一方、前記脚片の左右内方側端部を上面部の左右内方側端部よりもセンターフレーム側に突出させ、エンジン支持部材の三次元の位置調整がなされた状態で前記センターフレーム側に突出する脚片の左右内方側端部をセンターフレームに溶接することで、エンジン支持部材を位置調整された状態でセンターフレームに固定する構成にしたことを特徴とする建設機械におけるエンジン支持構造。
【請求項2】
請求項1において、エンジン支持部材の左右方向中央部に、エンジン下部との干渉を回避するための切欠き部を設けたことを特徴とする建設機械におけるエンジン支持構造。
【請求項3】
請求項1または2において、旋回フレームは、左右外縁部にセンターフレームと平行状に配される左右のサイドフレームを備えるとともに、エンジン支持部材は、その左右外方側端部が前記サイドフレームに固定されることを特徴とする建設機械におけるエンジン支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械におけるエンジン支持構造の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の建設機械のなかには、下部走行体の上方に上部旋回体を旋回自在に設け、該上部旋回体のベースとなる旋回フレームに、運転室やエンジン等の各種機器装置を搭載するとともに、旋回フレームの左右方向中央部に前後方向に延びる左右一対のセンターフレームを設け、該左右のセンターフレームに、掘削等の作業を行う作業装置の基端部を支持せしめるようにした構成したものがある。このものにおいて、左右のセンターフレームは、旋回フレームの左右方向中央部を形成する強固な部材であって、旋回フレームの主たる強度部材となる。
このように構成された建設機械において、前記旋回フレームにエンジンを搭載するにあたり、該エンジンは重量物であるため重心バランスを考慮して旋回フレームの後方左右中央部に配置される場合が多く、このように配置する場合には、従来、エンジンを防振支持する複数のエンジンマウント(通常四つ)に対応する数のエンジン支持部材(台座)を設け、これらエンジン支持部材を前記左右のセンターフレームにそれぞれ固定し、該センターフレームに固定された複数のエンジン支持部材によってエンジンを支持するようにしていた(例えば、特許文献1の
図13参照)。この場合、複数のエンジン支持部材はそれぞれ個別に左右のセンターフレームに位置調整された状態で固定(溶接)されるが、左右のセンターフレームは前述したように旋回フレームの左右方向中央部に設けられた主たる強度部材であって、荷重による歪や溶接歪による位置誤差は小さく、従って、この左右のセンターフレームに固定されるエンジン支持部材の位置調整は比較的容易に行うことができる。
一方、近年、排ガス規制に対応するべく還元剤を用いた排ガス浄化装置を設けた建設機械や、エンジン騒音を低減するべくエンジンを他の機器装置と別置きにして遮蔽用エンクロージャで囲繞するように構成した建設機械が提供されている。このような建設機械においては、レイアウト上、エンジンを旋回フレームの後方左右中央部に配設することが困難な場合があり、そこで、エンジンを、前記左右のセンターフレームの左右外方側に配設するように構成したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−179165号公報
【特許文献2】特開2007−198031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献2のように、エンジンを左右のセンターフレームの左右外方側に配設するものにおいて、特許文献1のように、複数のエンジンマウントに対応する数のエンジン支持部材(台座)を設け、該エンジン支持部材によってエンジンを支持する構成にしようとした場合、エンジンの左右外方側を支持するエンジン支持部材は、旋回フレームの左右外縁部近傍に位置しているため、センターフレームには取付けできないことになる。このため、エンジンの左右外方側を支持するエンジン支持部材については、旋回フレームの左右外縁部に設けられる左右のサイドフレームや、該サイドフレーム近傍のフレーム部材に取付けることになるが、サイドフレームや該サイドフレーム近傍のフレーム部材は、板厚が薄いため溶接歪がセンターフレームに比して大きく、このため、サイドフレームや該サイドフレーム近傍のフレーム部材を基準にしての位置調整ではエンジン支持部材の正確な位置調整は困難であり、よって、一つ一つのエンジン支持部材を治具を用いて三次元的に位置調整する必要があって、面倒且つ時間がかかって作業効率に劣るという問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、上部旋回体の旋回フレームの左右方向中央部に、前後方向に延びる左右一対のセンターフレームを備えるとともに、該センターフレームの左右外方側にエンジンを搭載してなる建設機械において、前記エンジンを、防振機能を有した複数のエンジンマウントと、該エンジンマウントが取付けられるエンジン支持部材とを介して旋回フレームに支持せしめるにあたり、前記エンジン支持部材を、左右方向に延び
る前後複数の梁状のエンジン支持部材とするとともに、これら前後複数のエンジン支持部材は、
上面部と、該上面部の前後両側から垂下される上下方向を向く脚片とを備え、前記上面部の左部および右部に、エンジンマウントを取付けるための取付けボルトが挿入されるエンジンマウント取付孔を形成する一方、前記脚片の左右内方側端部を上面部の左右内方側端部よりもセンターフレーム側に突出させ、エンジン支持部材の三次元の位置調整がなされた状態で前記センターフレーム側に突出する脚片の左右内方側端部をセンターフレームに溶接することで、エンジン支持部材を位置調整された状態でセンターフレームに固定する構成にしたことを特徴とする建設機械におけるエンジン支持構造である。
請求項2の発明は、請求項1において、エンジン支持部材の左右方向中央部に、エンジン下部との干渉を回避するための切欠き部を設けたことを特徴とする建設機械におけるエンジン支持構造である。
請求項3の発明は、請求項1または2において、旋回フレームは、左右外縁部にセンターフレームと平行状に配される左右のサイドフレームを備えるとともに、エンジン支持部材は、その左右外方側端部が前記サイドフレームに固定されることを特徴とする建設機械におけるエンジン支持構造である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、一つのエンジン支持部材の位置調整を行うことで、該エンジン支持部材に形成された左右二つのエンジンマウント取付孔の位置調整を行えることになって、位置調整作業を軽減できるとともに、エンジン支持部材の位置調整はセンターフレームに対して行えばよいから、位置調整作業が容易となり、作業効率が大幅に向上する。
請求項2の発明とすることにより、エンジンや該エンジンに接続されるエンジン周辺機器の設置高さを低く抑えることができる。
請求項3の発明とすることにより、エンジン支持部材は、センターフレームとサイドフレームとの間に支架固定された強固な構造となり、重量物であるエンジンを支持するための強度を確実に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】(A)はエンジン支持部材を示す平面図、(B)は(A)のX部の拡大図である。
【
図5】エンジンが取付けられたエンジン支持部材を示す平面図である。
【
図6】エンジンが取付けられたエンジン支持部材を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図において、1はショベル系建設機械の一例である油圧ショベルであって、該油圧ショベル1は、クローラ式の下部走行体2の上方に旋回ベアリング3を介して上部旋回体4が旋回自在に支持されている。該上部旋回体4には、運転室5やエンジン6等の各種機器装置が搭載されるとともに、上部旋回体4の前部には掘削等の各種作業を行う作業装置7が装着され、また、上部旋回体4の後部には作業時における機体バランスをとるためのカウンタウエイト8が装着されている。
【0009】
9は前記上部旋回体4のベースとなる旋回フレームであって、該旋回フレーム9は、左右方向中央部を形成するセンター部9Sと、該センター部9Sの左右外側に設けられる左右のサイドデッキ部9L、9Rとから構成されている。前記センター部9Sは、旋回ベアリング3が取付けられる底面板10、該底面板10に立設される左右一対のセンターフレーム11L、11R等を備えて構成されているが、該左右一対のセンターフレーム11L、11Rは、前後方向に延び、その前部には作業装置7の基端部が取付けられる作業装置取付座11La、11Raが設けられている。また、前記左右のサイドデッキ部9L、9Rは、旋回フレーム9の左右外縁部に前記左右のセンターフレーム11L、11Rと平行状に配される左右のサイドフレーム12L、12R、センターフレーム11L、11Rとサイドフレーム12L、12Rとを連結する複数の梁部材13等を備えて構成されている。そして旋回フレーム9は、これらセンター部9Sおよび左右のサイドデッキ部9L、9Rを構成する各部材を溶接により一体的に組付けて形成されている。
【0010】
前記旋回フレーム9には、運転室5やエンジン6等の各種機器装置が搭載されるが、本実施の形態では、センター部9Sには、作業装置取付座11La、11Raの後方に図示しない旋回駆動装置やコントロールバルブが搭載され、その後方には図示しない作動油タンクが搭載され、さらにその後方にはカウンタウエイト8が装着される。また、左サイドデッキ部9Lには、前側に運転室5が搭載され、その後方には図示しないバッテリや燃料タンク、還元剤タンク(尿素タンク)等が搭載される。さらに、右サイドデッキ部9Rには、前側に図示しないラジエータやオイルクーラー等の冷却装置が搭載され、その後方にはエンジン6が搭載される構成になっている。
【0011】
前記エンジン6は、クランク軸の軸方向が旋回フレーム9の前後方向を向く所謂縦置き状態で配されるが、該エンジン6の外殻をなすエンジンケース15は、オイルパン15aやフライホイールハウジング15bを含んで構成されるとともに、エンジンケース15の下部には、エンジンマウント取付用の第一〜第四支持ステー16A〜16Dが一体的に固定されている。これら第一〜第四支持ステー16A〜16Dには、エンジン6を前側左右二箇所、後側左右二箇所の計四箇所で防振支持するための防振機能を有した第一〜第四エンジンマウント17A〜17Dがそれぞれ取付けられている。これら第一〜第四エンジンマウント17A〜17Dは、該第一〜第四エンジンマウント17A〜17Dを構成する図示しない上下一対の防振体により第一〜第四支持ステー16A〜16Dを防振挟持するとともに、後述する前後一対のエンジン支持部材18X、18Yに形成の第一〜第四エンジンマウント取付孔18Aa〜18Daに挿入される取付ボルト17Aa〜17Daによってエンジン支持部材18X、18Yに固定されるように構成されており、これによりエンジン6は、第一〜第四エンジンマウント17A〜17Dおよび前後一対のエンジン支持部材18X、18Yを介して、前記右サイドデッキ部9Rに支持されるようになっている。
【0012】
ここで、前記第一〜第四エンジンマウント17A〜17Dの取付高さ位置は、エンジン6の下部に設けられるオイルパン15aやフライホイールハウジング15bの下端位置よりも上位となるように設定されており、これにより、エンジン6や、該エンジン6の排ガス経路に設けられる微粒子捕集装置(DPF)19や選択還元型触媒装置(SCR)20の設置高さをなるべく低く抑えることができるようになっている。
【0013】
一方、前記前後一対のエンジン支持部材18X、18Yは、左右方向に延びる梁状の部材であって、後述するように、その左右内方側端部(本実施の形態では左側端部)は右センターフレーム11Rに位置調整された状態で固定され、左右外方側端部は右サイドフレーム12Rに固定されるが、前側のエンジン支持部材18Xの左部および右部には、第一、第二エンジンマウント取付部18A、18Bがそれぞれ形成され、また、後側のエンジン支持部材18Yの左部および右部には第三、第四エンジンマウント取付部18C、18Dがそれぞれ形成されている。これら前後のエンジン支持部材18X、18Yに形成される第一〜第四エンジンマウント取付部18A〜18Dは、上面部18Ab〜18Dbと、該上面部18Ab〜18Dbの前後両側から垂下される前後の脚片18Ac、18Ad〜18Dc、18Ddとから略冂形状に形成されているとともに、上面部18Ab〜18Dbには、前記第一〜第四エンジンマウント17A〜17Dを取付けるための取付けボルト17Aa〜17Daが挿入される第一〜第四エンジンマウント取付孔18Aa〜18Daが形成されている。
【0014】
さらに、前側エンジン支持部材18Xの左右方向中間部は、第一エンジンマウント取付部18Aと第二エンジンマウント取付部18Bとを連結する連結部18Eになっているが、該前側エンジン支持部材18Xの連結部18Eは、第一、第二エンジンマウント取付部18A、18Bの前側脚片18Ac、18Bcの下半部同士を連結するように設けられていて、上面部18Ab、18Bb同士を連結する部分、後側脚片18Ad、18Bd同士を連結する部分、前側脚片18Ac、18Bcの上半部同士を連結する部分は切欠かれた状態(切欠き部18Ea)になっている。また、後側エンジン支持部材18Yの左右方向中間部は、第三エンジンマウント取付部18Cと第四エンジンマウント取付部18Dとを連結する連結部18Fとなっているが、該後側エンジン支持部材18Yの連結部18Fは、第三、第四エンジンマウント取付部18C、18Dの前側脚片18Cc、18Dcの下半部同士および後側脚片18Cd、18Ddの下半部同士を連結するように設けられていて、上面部18Cb、18Db同士を連結する部分、前側脚片18Cc、18Dcの上半部同士および後側脚片18Cd、18Ddの上半部同士を連結する部分は切欠かれた状態(切欠き部18Fa)になっている。そして、これら前側、後側エンジン支持部材18X、18Yの左右方向中間部に形成された切欠き部18Ea、18Faによって、第一〜第四エンジンマウント17A〜17Dの取付高さ位置よりも下位に位置するオイルパン15aやフライホイールハウジング15bの下部が前側、後側エンジン支持部材18X、18Yに干渉してしまうことを回避できるようになっている。
【0015】
次いで、前記前後のエンジン支持部材18X、18Yを右センターフレーム11Rおよび右サイドフレーム12Rに固定する手順について説明するが、前後のエンジン支持部材18X、18Yは同様の手順で固定されるため、前側のエンジン支持部材18Xを例にとって説明する。
まず、治具を用いてエンジン支持部材18Xを保持した状態で、該エンジン支持部材18Xが既定位置となるように上下前後左右方向の三次元の位置調整をする。この状態で、エンジン支持部材18Xの左右内方側端部、つまり、本実施の形態では、エンジン支持部材18Xの左部に設けられた第一エンジンマウント取付部18Aの前後の脚片18Ac、18Adの左側端部を、溶接により右センターフレーム11Rに固定する。この場合、
図3(B)に示す如く、
前後の脚片18Ac、18Adの左側端部(左右内方側端部)は、上面部18Abの左側端部(左右内方側端部)よりも右センターフレーム11R側に突出しており、該右センターフレーム11側に突出する脚片18Ac、18Adの前後に、脚片18Ac、18Adの前後面および右センターフレーム11Rの右面に当接する細長い角柱(四角柱あるいは三角柱)の当て部材21を沿わせ、該当て部材21と右センターフレーム11Rおよび当て部材21と脚片18Ac、18Adとを溶接することにより、脚片18Ac、18Adの左側端部と右センターフレーム11Rとの間に隙間があっても確実に溶着できる。次いで、右センターフレーム11Rに位置調整された状態で固定されたエンジン支持部材18Xの右側端部、つまり、本実施の形態では、エンジン支持部材18Xの右部に設けられた第二エンジンマウント取付部18Bの前後の脚片18Bc、18Bdの右側端部を、溶接により右サイドフレーム12Rに固定する。この場合も、前述した右センターフレーム11Rに固定する場合と同様に、当て部材21を用いた溶接を行う。このようにして、エンジン支持部材18Xは、その左右内方側端部が右センターフレーム11Rに位置調整された状態で固定され、該右センターフレーム11Rに固定されたエンジン支持部材18Xの左右外方側端部が右サイドフレーム12Rに固定されるようになっている。
尚、前後のエンジン支持部材18X、18Yの左右方向の長さは、該エンジン支持部材18X、18Yの左右方向の位置調整ができるように、右センターフレーム11Rと右サイドフレーム12Rの間の間隔よりも短く設定されている。
【0016】
叙述の如く構成された本形態において、油圧ショベル1は、上部旋回体4の旋回フレーム9の左右方向中央部に、前後方向に延びる左右一対のセンターフレーム11L、11Rを備えるとともに、該センターフレーム11L、11Rの左右外方側(本実施の形態では右センターフレーム11Rの右側)にエンジン6が搭載されている。そして、エンジン6は、防振機能を有した第一〜第四エンジンマウント17A〜17Dと、これら第一〜第四エンジンマウント17A〜17Dが取付けられる前後のエンジン支持部材18X、18Yとを介して旋回フレーム9に支持されるが、この場合に、前後のエンジン支持部材18X、18Yは、左右方向に延びる梁状のものであって、前側エンジン支持部材18Xは、左部に第一エンジンマウント取付孔18Aaが右部に第二エンジンマウント取付孔18Baがそれぞ形成され、また、後側エンジン支持部材18Yは、左部に第三エンジンマウント取付孔18Caが右部に第四エンジンマウント取付孔18Daがそれぞれ形成されている。そして、これら前後のエンジン支持部材18X、18Yは、その左右内方側端部(本実施の形態では左側端部)がセンターフレーム11L、11R(本実施の形態では右センターフレーム11R)に位置調整された状態で固定されることになる。
【0017】
この結果、一つのエンジン支持部材18X、18Yの位置調整を行うことで、該エンジン支持部材18X、18Yに形成された左右二つのエンジンマウント取付孔18Aa〜18Daの位置調整を行えることになって、エンジンマウント取付孔の数に対応した数のエンジン支持部材を設ける場合と比して、三次元的な位置調整が必要で手間と時間とがかかるエンジン支持部材18、18Yの位置調整作業を半減できる。しかも、前記エンジン支持部材18X、18Yは、センターフレーム11Rに対して位置調整された状態で固定されるが、該センターフレーム11Rは旋回フレーム9の左右中央部を構成するフレーム部材であって、溶接歪や荷重による歪が少なく、よって、エンジン支持部材18X、18Yの位置調整作業も容易となり、作業効率が大幅に向上する。。
【0018】
さらに、前記エンジン支持部材18X、18Yの左右方向中央部には、エンジン6の下部(例えば、オイルパン15aやフライホイールハウジング15bの下部)との干渉を回避するための切欠き部18Ea、18Faが設けられている。而して、エンジン6の下端位置を、エンジン支持部材18X、18Yの左部およ−び右部に取付けられるエンジンマウント17A〜17Dの取付高さ位置よりも低くしても、上記切欠き部18Ea、18Faによってエンジン支持部材18X、18Yの左右方向中央部とエンジン6下部との干渉を回避できることになって、エンジン6や該エンジン6に接続されるエンジン周辺機器(例えば、微粒子捕集装置19や選択還元型触媒装置20)の設置高さを低く抑えることができる。
【0019】
また、旋回フレーム9は、左右外縁部にセンターフレーム11L、11Rと平行状に配される左右のサイドフレーム12L、12Rを備えているが、前記エンジン支持部材18X、18Yは、その左右外方側端部(本実施の形態では右側端部)がサイドフレーム12L、12R(本実施の形態では右サイドフレーム12R)に固定されている。而して、エンジン支持部材18X、18Yは、センターフレーム11L、11Rとサイドフレーム12L、12Rとの間に支架固定された強固な構造となり、重量物であるエンジン6を支持するための強度を確実に確保できる。
【0020】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されないことは勿論であって、上記実施の形態では、エンジンが右センターフレームの右側に設けられる右サイドデッキ部に配されているが、エンジンが左センターフレームの左側に設けられる左サイドデッキ部に配される場合であっても本発明を実施でき、その場合には、前後複数のエンジン支持部材の左右内方側端部は左センターフレームに位置調整された状態で固定され、左右外方側端部は左サイドフレームに固定される。
また、上記実施の形態では、前後一対のエンジン支持部材が設けられているが、大型のエンジンである場合等には、前後3つ以上のエンジン支持部材を設けることもできる。この場合には、エンジンマウントの数も増加する。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械において、上部旋回体のベースとなる旋回フレームにエンジンを搭載する場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0022】
4 上部旋回体
6 エンジン
9 旋回フレーム
11L、11R 左右のセンターフレーム
12L、12R 左右のサイドフレーム
17A〜17D 第一〜第四エンジンマウント
18X、18Y 前後のエンジン支持部材
18Aa〜18Da 第一〜第四エンジンマウント取付孔
18Ea、18Fa 切欠き部