特許第6687991号(P6687991)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6687991
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】油圧作業機械
(51)【国際特許分類】
   F02D 29/04 20060101AFI20200421BHJP
   F02D 29/00 20060101ALI20200421BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   F02D29/04 H
   F02D29/00 B
   E02F9/20 Q
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-508088(P2019-508088)
(86)(22)【出願日】2017年3月31日
(86)【国際出願番号】JP2017013531
(87)【国際公開番号】WO2018179313
(87)【国際公開日】20181004
【審査請求日】2019年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星野 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】高橋 究
(72)【発明者】
【氏名】土方 聖二
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−140877(JP,A)
【文献】 特開平05−312082(JP,A)
【文献】 特開2014−031747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 29/00 − 29/04
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
このエンジンにより駆動される油圧ポンプ及びパイロットポンプと、
前記油圧ポンプから吐出される圧油によって駆動され、それぞれの作業要素を駆動する複数のアクチュエータと、
前記油圧ポンプから前記複数のアクチュエータに供給され圧油の流れをそれぞれ制御する複数の流量制御弁と、
前記パイロットポンプの吐出油に基づいて前記複数の作業要素の動作を指令する操作パイロット圧を生成し、前記複数の流量制御弁を切り換える複数の操作装置と、
運転席の入口を制限しかつ前記複数の操作装置の操作パイロット圧の生成を有効とする第1位置と前記運転席の入口を開放しかつ前記複数の操作装置の操作パイロット圧の生成を無効とする第2位置とに選択的に操作されるゲートロックレバーと、
前記パイロットポンプを含み、前記エンジンによって駆動される前記油圧ポンプ以外の複数のエンジン負荷と、
前記エンジンの目標回転数としての回転数を設定するエンジン回転数設定装置と、
前記エンジンの目標回転数を前記エンジン回転数設定装置によって設定された回転数として前記エンジンの回転数を制御するとともに、前記複数の操作装置を操作しない状態が所定時間継続したとき又は前記ゲートロックレバーが前記第2位置に操作されたときは前記エンジンの目標回転数を予め設定したオートアイドル回転数に低下させ、前記操作装置が操作されて作業が再開されたときは、前記エンジンの目標回転数を前記オートアイドル回転数から前記エンジン回転数設定装置によって設定された回転数に復帰させるオートアイドル制御を行うエンジン制御装置とを備えた油圧作業機械において、
前記パイロットポンプの吐出油が前記複数の操作装置に導かれる油路と、この油路に接続されたアンロード弁を備え、前記アンロード弁をアンロード位置に切り換えると前記油路がタンクに接続されて前記パイロットポンプがアンロードされ、前記アンロード弁をロード位置に切り換えると前記油路とタンクの接続が解除されて前記パイロットポンプがロードするパイロット圧回路を更に備え、
前記エンジン制御装置は、
前記操作装置が操作されても前記アクチュエータが動き始めない範囲の前記操作装置の操作量を閾値として予め設定しておき、
前記オートアイドル制御において、作業の再開のために前記操作装置が操作されて前記操作装置の操作量が前記閾値に達した時点で、前記エンジンの目標回転数を前記オートアイドル回転数から前記エンジン回転数設定装置によって設定された回転数に切り換えると共に、前記アンロード弁をアンロード位置に切り換えることで前記パイロットポンプとしてのエンジン負荷を解除し、前記エンジンの回転数が所定回転数に上昇した後か、前記エンジンの回転数が所定回転数に上昇しなくても前記エンジンの目標回転数を切り換えてから所定時間が経過したとき、前記アンロード弁をロード位置に復帰させることで前記パイロットポンプとしてのエンジン負荷を再投入するエンジン回転数早期復帰制御を行うことを特徴とする油圧作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の油圧作業機械において、
運転室に設置されたエアコンと、
クラッチを有し、前記クラッチを解放することで前記エンジンとの接続を断ち、前記クラッチを締結することで前記エンジンと接続され、前記エンジンによって駆動される前記エアコンのコンプレッサを更に備え、
前記油圧ポンプ以外の複数のエンジン負荷は、更に、前記エアコンのコンプレッサを含み、
前記エンジン制御装置は、前記エンジン回転数早期復帰制御において、前記パイロットポンプとしてのエンジン負荷の解除に加えて前記コンプレッサの電磁クラッチを解放することで前記コンプレッサとしてのエンジン負荷を解除し、前記コンプレッサの電磁クラッチを締結することで前記コンプレッサとしてのエンジン負荷を再投入することを特徴とする油圧作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油圧ショベル等の油圧作業機械に係わり、特に、作業を中断するとエンジンの回転数が低下し、作業を再開すると自動的にエンジンの回転数が上昇するようエンジンの回転数を制御する機能を備えた油圧作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルなど油圧作業機械の動作は、掘削、旋回および走行などと、それらの間の待ち時間からなるのが普通である。従来、騒音や燃費・排気を改善するため、一定時間以上オペレータの操作レバー(操作装置)の操作がなければ待ち時間と判断して、自動的にエンジンの回転数を低下させ、オペレータが操作レバーを操作して作業が再開されれば、作業に適した回転数まで自動的に復帰させる、いわゆるオートアイドルやオートデセル(以下、オートアイドルと言う)の機能が搭載され、オペレータが選択すればその機能が有効になる機械が多い。オペレータがオートアイドルを選択し、騒音や燃費・排気の改善を享受するには、オートアイドルから復帰するときに、エンジンの回転数の復帰が早く、なめらかに違和感なく作業が再開できることが大切である。
【0003】
これらを実現するため、特許文献1ではオートアイドルから復帰するためにエンジンが加速しているときは、エンジンにとって負荷となる油圧ポンプの設定トルクを最小値にし、加速時間すなわち作業の再開までの時間を短縮する技術が記載されている。
【0004】
特許文献2では、特許文献1を改良して、エンジンが加速しているときも一定の作業ができるように、油圧ポンプの設定トルクを、エンジンのトルク性能や過給圧から適切な値にする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−312082号公報
【特許文献2】特開2014−169675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
オートアイドルの機能への要求は、騒音や燃費の観点から待ち時間のエンジン回転数がなるべく小さく、オペレータが作業を再開してからはなるべく短時間で負荷の大きな作業ができることにあるので、エンジンが低回転から速やかに十分なトルクが得られる回転数まで加速することが重要である。
【0007】
このような観点からオペレータが作業を再開したとき、特許文献1よりさらに速やかにエンジンを加速し、短時間で負荷の高い作業を可能とすることが望まれている。
【0008】
特許文献2ではエンジンの加速中にもポンプからトルクを取り出すので、特許文献1より加速時間が増加し、またそのときにできる作業は低負荷のものに限定される。このため、オペレータや作業の内容または待ち時間の長さ・頻度によっては、オートアイドルを選択せずに、回転数の高いままで待ち時間を過ごすことで、油圧作業機械内外の騒音が上昇し、燃費にも悪影響を与えることになる。
【0009】
本発明の目的は、オートアイドルの使用頻度を高めるため、オペレータが作業を再開しエンジンの回転数を復帰させるとき、従来よりもさらに速やかにエンジンが加速され、短時間で負荷の高い作業を可能にする油圧作業機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を解決するため、本発明は、エンジンと、このエンジンにより駆動される油圧ポンプ及びパイロットポンプと、前記油圧ポンプから吐出される圧油によって駆動され、それぞれの作業要素を駆動する複数のアクチュエータと、前記油圧ポンプから前記複数のアクチュエータに供給され圧油の流れをそれぞれ制御する複数の流量制御弁と、前記パイロットポンプの吐出油に基づいて前記複数の作業要素の動作を指令する操作パイロット圧を生成し、前記複数の流量制御弁を切り換える複数の操作装置と、運転席の入口を制限しかつ前記複数の操作装置の操作パイロット圧の生成を有効とする第1位置と前記運転席の入口を開放しかつ前記複数の操作装置の操作パイロット圧の生成を無効とする第2位置とに選択的に操作されるゲートロックレバーと、前記パイロットポンプを含み、前記エンジンによって駆動される前記油圧ポンプ以外の複数のエンジン負荷と、前記エンジンの目標回転数としての回転数を設定するエンジン回転数設定装置と、前記エンジンの目標回転数を前記エンジン回転数設定装置によって設定された回転数として前記エンジンの回転数を制御するとともに、前記複数の操作装置を操作しない状態が所定時間継続したとき又は前記ゲートロックレバーが前記第2位置に操作されたときは前記エンジンの目標回転数を予め設定したオートアイドル回転数に低下させ、前記操作装置が操作されて作業が再開されたときは、前記エンジンの目標回転数を前記オートアイドル回転数から前記エンジン回転数設定装置によって設定された回転数に復帰させるオートアイドル制御を行うエンジン制御装置とを備えた油圧作業機械において、前記パイロットポンプの吐出油が前記複数の操作装置に導かれる油路と、この油路に接続されたアンロード弁を備え、前記アンロード弁をアンロード位置に切り換えると前記油路がタンクに接続されて前記パイロットポンプがアンロードされ、前記アンロード弁をロード位置に切り換えると前記油路とタンクの接続が解除されて前記パイロットポンプがロードするパイロット圧回路を更に備え、前記エンジン制御装置は、前記操作装置が操作されても前記アクチュエータが動き始めない範囲の前記操作装置の操作量を閾値として予め設定しておき、前記オートアイドル制御において、作業の再開のために前記操作装置が操作されて前記操作装置の操作量が前記閾値に達した時点で、前記エンジンの目標回転数を前記オートアイドル回転数から前記エンジン回転数設定装置によって設定された回転数に切り換えると共に、前記アンロード弁をアンロード位置に切り換えることで前記パイロットポンプとしてのエンジン負荷を解除し、前記エンジンの回転数が所定回転数に上昇した後か、前記エンジンの回転数が所定回転数に上昇しなくても前記エンジンの目標回転数を切り換えてから所定時間が経過したとき、前記アンロード弁をロード位置に復帰させることで前記パイロットポンプとしてのエンジン負荷を再投入するエンジン回転数早期復帰制御を行うものとする。
【0011】
このようにオートアイドル制御において操作装置が操作されて作業が再開され、エンジンの回転数をエンジン回転数設定装置によって設定した目標回転数に応じた回転数に復帰させるとき、油圧ポンプ以外の複数のエンジン負荷の少なくとも1つを解除してエンジンの負荷を低減することで、従来よりもさらに速やかにエンジンが加速され、短時間で負荷の高い作業を行うことが可能になる。また、オートアイドル制御の操作性が改善するため、オートアイドル制御の使用頻度を高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、オペレータが作業を再開しエンジンの回転数を復帰させるとき、従来よりもさらに速やかにエンジンが加速され、短時間で負荷の高い作業を行うことが可能になる。また、オートアイドル制御の操作性が改善するため、オートアイドル制御の使用頻度が高まり、油圧作業機械内外の騒音の低減や、燃費改善の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態に係わる油圧ショベルの外観を示す図である。
図2】油圧ショベルに搭載される油圧駆動装置とエンジン制御装置及びその周辺機器を示すシステム構成図である
図3】車体コントローラにおけるオートアイドル制御の処理機能を示すフローチャートである。
図4】オートアイドル制御の一部であるエンジン回転数早期復帰制御の処理内容を示すフローチャートである。
図5】エンジン回転数早期復帰制御による各部の時間的な挙動の変化を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、油圧作業機械が油圧ショベルである場合について図面を用いて説明する。
【0015】
〜構成〜
図1は油圧ショベルの外観を示す図である。
【0016】
油圧ショベルは、垂直方向にそれぞれ回動するブーム101a、アーム101b及びバケット101cからなる多関節型のフロント装置101Aと、上部旋回体101d及び下部走行体101eからなる車体101Bとで構成され、フロント装置101Aのブーム101aの基端は上部旋回体101dの前部に垂直方向に回動可能に支持されている。ブーム101a、アーム101b、バケット101c、上部旋回体101d及び下部走行体101eはそれぞれブームシリンダ103a、アームシリンダ103b、バケットシリンダ103c、旋回モータ103d及び左右の走行モータ103e,103fによりそれぞれ駆動される。ブーム101a、アーム101b、バケット101c、上部旋回体101dの動作は操作レバー装置4a,4b(図2参照)の油圧操作信号である操作パイロット圧により指示され、下部走行体101eの動作は図示しない走行用の操作ペダル装置の油圧操作信号である操作パイロット圧により指示される。
【0017】
上部旋回体101dはキャビン101hを備え、キャビン101h内には運転席101sが位置する運転室が形成されている。また、運転室には操作レバー装置4a,4b(図2参照)や走行用の操作ペダル装置などの複数の操作装置やゲートロックレバー34(図2参照)などが配置されている。
【0018】
図2は、油圧ショベルに搭載される油圧駆動装置とエンジン制御装置及びその周辺機器を示すシステム構成図である。
【0019】
図2において、油圧駆動装置はエンジン1(ディーゼルエンジン)と、それぞれの回転軸がエンジン1の回転軸と連結され、エンジン1によって駆動されるメインの油圧ポンプ2及びパイロットポンプ3と、油圧ポンプ2から吐出される圧油によって駆動され、それぞれの作業要素101a〜101eを駆動する複数のアクチュエータ103a〜103fと、油圧ポンプ2から複数のアクチュエータ103a〜103fに供給され圧油の流れ(圧油が供給される方向と流量)をそれぞれ制御する複数の流量制御弁5a〜5fと、パイロットポンプ3の吐出油に基づいて複数の作業要素101a〜101eの動作(方向と速度)を指示する操作パイロット圧を生成し、複数の流量制御弁5a〜5fを切り換える上述した操作レバー装置4a,4bを含む複数の操作装置とを備えている。
【0020】
複数の作業要素101a〜101eはそれぞれ図1に示したブーム、アーム、バケット、上部旋回体及び下部走行体であり、複数のアクチュエータ103a〜103fはそれぞれ図1に示したブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダ、旋回モータ及び左右の走行モータである。図2では、操作レバー装置4a,4b以外の操作装置は図示を省略している。
【0021】
パイロットポンプ3の吐出油が操作レバー装置4a,4bに導かれる油路21にはパイロットリリーフ弁7が接続され、このパイロットリリーフ弁7により一定の一次パイロット圧を生成するパイロット圧回路22が形成されている。操作レバー装置4a,4bはそれぞれ1対のパイロット弁(減圧弁)を内蔵しており、パイロット圧回路22の一次パイロット圧を元圧として操作レバー装置4a,4bの操作レバーの操作量(操作装置の操作量)に応じてその一次パイロット圧を減圧し、操作レバーの操作方向と操作量に応じた操作パイロット圧を生成する。図示しないその他の操作装置も同様である。操作レバー装置4a,4b及び図示しないその他の操作装置によって生成された操作パイロット圧はそれぞれ信号制御弁6を経由して流量制御弁5a〜5fに導かれ、流量制御弁5a〜5fのスプールを駆動することで油圧アクチュエータ103a〜103fの動作方向と動作速度が制御される。
【0022】
油圧ポンプ2は可変容量型であり、油圧ポンプ2の押しのけ容積可変部材(例えば斜板)2aと、この押しのけ容積可変部材2aを駆動し、油圧ポンプの容量を変化させるレギュレータ2bを有している。レギュレータ2bはレギュレータピストン8を備え、レギュレータピストン8は大径受圧部8aと小径受圧部8bを有している。
【0023】
信号制御弁6は複数のシャトル弁を内蔵しており、操作レバー装置4a,4b及びその他の操作装置によって生成された操作パイロット圧を流量制御弁5a〜5fに出力するとともに、生成された操作パイロット圧のうちの最も高い圧力を選択して制御圧を生成し、この制御圧を出力する機能を有している。信号制御弁6から出力された制御圧はレギュレータピストン8の大径受圧部8aに導かれる。レギュレータピストン8の小径受圧部8bにはパイロット圧回路22で生成された油路21の一次パイロット圧が導かれる。
【0024】
操作レバー装置4a,4b及びその他の操作装置の操作レバー或いは操作ペダル(以下「操作レバー」で代表する)の全てが中立位置にあるとき、操作レバー装置4a,4b及びその他の操作装置によって生成される操作パイロット圧はタンク圧であり、信号制御弁6から出力される制御圧もタンク圧である。このときレギュレータピストン8のピストン本体はパイロット圧回路22の一次パイロット圧により図示左方向に押され、押しのけ容積可変部材2aは最小傾転位置にあり、油圧ポンプ2の吐出流量は最少である。操作レバー装置4a,4b及びその他の操作装置の操作レバーいずれかが操作されると、その操作量に応じた操作パイロット圧が生成され、その操作パイロット圧が信号制御弁6から制御圧としてレギュレータピストン8の大径受圧部8aに出力される。このとき、レギュレータピストン8のピストン本体は大径受圧部8aと小径受圧部8bの受圧面積差と制御圧の大きさに応じて図示右方向に押され、押しのけ容積可変部材2aの傾転角は増大し、油圧ポンプ2の吐出流量も増大する。このようにレギュレータピストン8は操作レバー装置4a,4b及びその他の操作装置の操作レバーの操作量に応じて駆動され、操作レバーの操作量に応じた流量となるよう油圧ポンプ2の吐出流量を制御する(ポジコン制御)。
【0025】
また、信号制御弁6は生成した制御圧を検出する圧力センサ17を備え、この圧力センサ17の検出信号は車体コントローラ10に入力される。信号制御弁6によって生成される制御圧は操作レバー装置4a,4b及びその他の操作装置の操作レバーに応じてパイロット一次圧を減圧した圧力であることから、車体コントローラ10は圧力センサ17の検出信号を用いて操作レバーの操作量を検知することができる。
【0026】
パイロット圧回路22の油路21には、車体コントローラ10からの電気信号により作動するアンロード電磁弁9が接続されている。アンロード電磁弁9は油路21をタンク11に連通する開位置(アンロード位置)と油路21とタンク11との連通を遮断する閉位置(ロード位置)とを有し、車体コントローラ10から出力される電気信号がOFFであるときは閉位置にあり、パイロットポンプ3はロードしており(パイロット圧回路22に一定の一次パイロット圧を生成する負荷状態にあり)、電気信号がONになると開位置に切り換わり、油路21の圧油をタンク11に導くことでパイロットポンプ3をアンロードする(パイロット圧回路22に一定の一次パイロット圧が生成されない負荷解除状態にある)。
【0027】
アンロード電磁弁9は油圧切換式のアンロード弁であってもよい。その場合は、車体コントローラ10とアンロード弁の間に電気油圧変換弁を配置し、電気油圧変換弁から出力された圧力によりアンロード弁を切り換えればよい。
【0028】
運転席の前側の左側部(キャビン101hの入り口側)には、運転席101sの入り口を制限する下げ位置である第1位置Aと運転席101sの入り口を開放する上げ位置である第2位置Bとに選択的に操作可能であるゲートロックレバー34が設けられている。ゲートロックレバー34の基端部にはゲートロックレバー34の操作位置を検出する位置センサ35が設けられており、位置センサ35の検出信号は車体コントローラ10に入力される。パイロット圧回路22の油路21の下流側には、ゲートロックレバー34の開閉状況によってON/OFF制御される電磁切換弁36が配置されている。ゲートロックレバー34が第1位置Aにあるとき、車体コントローラ10はON信号を出力し、電磁切換弁36のソレノイドを励磁して電磁切換弁36を図示の位置に切り換える。このとき、パイロット圧回路22の圧力は信号制御弁6を介して操作レバー装置4a,4b及びその他の操作装置に導かれ、操作レバー装置4a,4b及びその他の操作装置による操作パイロット圧の生成が可能となる.その結果、その操作パイロット圧による流量制御弁5a〜5fの操作が可能となる。ゲートロックレバー34が第2位置Bに上げ操作されると、車体コントローラ10はOFF信号を出力し、電磁切換弁36のソレノイドを励磁を解除して電磁切換弁36を図示の位置から切り換え、パイロット圧回路22と操作レバー装置4a,4b及びその他の操作装置の連通を遮断する。これにより操作レバー装置4a,4b及びその他の操作装置による操作パイロット圧の生成が不能となり、その操作パイロット圧による流量制御弁5a〜5fの操作が不能となる。すなわち、ゲートロックレバー34が第2位置Bに上げ操作されると操作レバー装置4a,4b及びその他の操作装置に対してロック入りの状態となる。
【0029】
エンジン1はエンジンコントローラ1aにより所定の回転数で回転するように制御される。エンジン1には回転数センサ1bが取り付けられており、回転数センサ1bの検出信号はエンジンコントローラ1aに入力される。また、車体コントローラ10から目標回転数がエンジンコントローラ1aに入力される。エンジンコントローラ1aは回転数センサ1bの検出信号から演算したエンジン1の回転数と車体コントローラ10から入力した目標回転数とに基づいてエンジン1の回転数を目標回転数に一致させる燃料噴射量の目標値を計算し、エンジン1に備えられた燃料噴射装置1cに制御信号を出力する。燃料噴射装置1cはその制御信号に基づいてエンジンコントローラ1aで計算された目標値に相当する量の燃料を噴射する。油圧ショベルの運転席101sの近くに、エンジン1の目標回転数を設定するエンジン回転数設定装置であるエンジンコントロールダイヤル12が配置され、エンジンコントロールダイヤル12の操作信号は車体コントローラ10に入力される。エンジン1の目標回転数はオペレータがエンジンコントロールダイヤル12を操作して調整することができる。
【0030】
また、運転席101sの近くにはオートアイドルスイッチ16が配置されており、その信号も車体コントローラ10に入力される。オペレータがオートアイドルスイッチ16でオートアイドルモードを選択したとき、操作レバー装置4a,4b及びその他の操作装置の操作レバーが中立位置になってから所定時間が経過すると、エンジンコントロールダイヤル12で高負荷に対応する高い目標回転数を設定していても、車体コントローラ10は、エンジンコントロールダイヤル12による目標回転数ではなく、予め設定したオートアイドル回転数を目標回転数としてエンジンコントローラ1aに出力する。ここで、オートアイドル回転数は待ち時間に騒音が小さく、かつ作業を再開するときは速やかに復帰できる回転数とする。したがって、オペレータが作業を中断してから所定時間経過後に自動的にエンジン1の回転数が低下するので、騒音が低減し、燃費が向上する。オペレータが作業を再開したときは、操作レバー装置4a,4b及びその他の操作装置のいずれかの操作レバーが中立位置から移動するのを車体コントローラ10が圧力センサ17の検出信号によって検知し、エンジンコントローラ1aに入力する目標回転数を、オートアイドル回転数からエンジンコントロールダイヤル12で設定された回転数に切り換え、オペレータが指示した目標回転数で作業できるようにする。
【0031】
なお、上記の説明では、操作レバー装置4a,4b及びその他の操作装置の操作レバーが中立位置になってから所定時間が経過した場合に、エンジン1の回転数を自動的にオートアイドル回転数へと低下させたが、ゲートロックレバー34が第1位置A(操作レバー装置4a,4b及びその他の操作装置の操作パイロット圧の生成を有効とする位置)から第2位置B(操作レバー装置4a,4b及びその他の操作装置の操作パイロット圧の生成を無効とする位置)に操作された場合に、エンジン1の回転数が自動的にオートアイドル回転数へと低下するようにしてもよい。この場合も、オペレータが作業を中断するためゲートロックレバー34を第2位置Bに操作すると、自動的にエンジン1の回転数が低下するので、騒音が低減し、燃費が向上する。オペレータが作業を再開するときは、ゲートロックレバー34を第1位置Aに戻し、操作レバー装置4a,4b及びその他の操作装置のいずれかの操作レバーが操作されると、上述したようにエンジンの目標回転数はエンジンコントロールダイヤル12で設定された回転数に切り換えられ、オペレータが指示した目標回転数で作業することができる。
【0032】
キャビン101h内の運転席101sが位置する運転室にはエアコン13が設置されており、エンジン1がコンプレッサ14を回転駆動し、圧縮された冷媒をコンデンサやエバポレータを含むエアコン13に供給する。オペレータは運転室内のエアコン操作ダイヤル15を操作して、運転室内の温度を調節する。エアコン操作ダイヤル15の信号は車体コントローラ10に入力され、車体コントローラ10は図示しないディスプレイ上に設定温度や風量などを表示するとともに、運転室内が設定された温度になるように、コンプレッサ14に内蔵される電磁クラッチ14aの締結と解放を制御する。電磁クラッチ14aが締結されるとコンプレッサ14の回転部がエンジン1によって回され、冷媒を圧縮するので、エンジン1の負荷は増大する。電磁クラッチ14aが解放されると、コンプレッサ14は冷媒を圧縮しないのでエンジン1のコンプレッサ14による負荷はほぼ0まで減少する。
【0033】
この場合も電磁クラッチ14aは油圧切換式のクラッチであってもよく、その場合は、車体コントローラ10とクラッチの間に電気油圧変換弁を配置し、電気油圧変換弁から出力された圧力によりクラッチを切り換えればよい。
【0034】
図3は車体コントローラ10におけるオートアイドル制御の機能を示すフローチャートである。車体コントローラ10の図3に示すオートアイドル制御の機能とエンジンコントローラ1aとで本発明のオートアイドル制御を行うエンジン制御装置が構成される。
【0035】
まず、車体コントローラ10は、オートアイドルスイッチ16の操作信号に基づいてオートアイドルモードが選択されているかどうかを判定する(ステップS100)。オートアイドルモードが選択されていない場合、車体コントローラ10はその判定処理を繰り返す。
【0036】
ステップS100において、オートアイドルモードが選択されていると判定した場合、車体コントローラ10は、圧力センサ17の検出信号に基づいて操作レバー装置4a,4b及びその他の操作装置の操作レバーの操作の有無を判定する(ステップS110)。より詳しくは、車体コントローラ10は圧力センサ17の検出信号から操作パイロット圧を演算し、この操作パイロット圧が不感帯を超えたとき超えたとき、操作レバーが操作されたと判断し、それ以外のときは操作レバーが操作されていない(中立位置にある)と判断する。操作レバーが操作されていると判断した場合(操作レバーが中立位置にないと判断した場合)、車体コントローラ10はその判定処理を繰り返す。
【0037】
ステップS110において、操作レバーが操作されていない(中立位置にある)と判断した場合、車体コントローラ10は、次に、操作レバーが中立位置になってから所定時間が経過したかどうかを判定する(ステップS120)。操作レバーが中立位置になってから所定時間が経過していない場合、車体コントローラ10はその判定処理を繰り返す。
【0038】
ステップS100,S110,S120においてそれぞれの判定処理を繰り返すとき、車体コントローラ10はエンジンコントロールダイヤル12で設定された目標回転数をエンジンコントローラ1aに出力し、エンジン1はエンジンコントロールダイヤル12の目標回転数に基づいて回転数が制御される。
【0039】
ステップS120において、操作レバーが中立位置になってから所定時間が経過した判断した場合、車体コントローラ10は、エンジンコントロールダイヤル12で高負荷に対応する高い目標回転数を設定していても、エンジンコントロールダイヤル12による目標回転数ではなく、予め設定したオートアイドル回転数を目標回転数としてエンジンコントローラ1aに出力する(ステップS130)。これにより操作レバーが中立位置になってから所定時間が経過すると、エンジン1の回転数は自動的にオートアイドル回転数に低下する。
【0040】
次に、車体コントローラ10は、圧力センサ17の検出信号に基づいて操作レバー装置4a,4b及びその他の操作装置の操作レバーが操作され、操作パイロット圧が閾値Pithを超えたかどうかを判定する(ステップS140)。このとき、圧力センサ17の検出信号から求めた操作パイロット圧が閾値Pithを超えていないと判断した場合、車体コントローラ10はその判定処理を繰り返す。操作パイロット圧が閾値Pithを超えたと判断した場合、車体コントローラ10は本発明の特徴であるエンジン回転数早期復帰制御を実行する(ステップS150)。
【0041】
図4はエンジン回転数早期復帰制御の処理内容を示すフローチャートである。
【0042】
図3のステップS140において、操作パイロット圧が閾値Pithを超えたと判断した場合、車体コントローラ10は、エンジン1の目標回転数をアイドル回転数からエンジンコントロールダイヤル12で設定された目標回転数に切り換え(ステップS200)、エンジン1を加速する。
【0043】
同時に車体コントローラ10は、エアコン13のコンプレッサ14に出力する制御信号をOFFにしてコンプレッサ14の電磁クラッチ14aを解放し、コンプレッサ14を停止(OFF)させる(ステップS210)。また、車体コントローラ10は、アンロード電磁弁9に出力する制御信号をONにしてアンロード電磁弁9をアンロード位置に切り換え、パイロットポンプ3をアンロードする(ステップS220)。これによりエンジン1の負荷は低減され、エンジン1の回転数が早期にエンジンコントロールダイヤル12で設定した目標回転数に応じた回転数に復帰することが可能となる。ここで、ステップS200,S210,S220の処理は、いずれも操作パイロット圧が閾値Pithを超えたことをトリガ―として始まるものなので、これらの処理の順番は入れ換えてもよい。
【0044】
次に、車体コントローラ10は、エンジンコントローラ1aから入力したエンジン1の実回転数が所定回転数、例えばエンジンコントロールダイヤル12で設定した目標回転数の90%の回転数に上昇したかどうかと、エンジンコントロールダイヤル12で設定された目標回転数に切り換えた後、所定時間が経過したかどうかを判定し(ステップS230)、いずれも否定された場合はその処理を繰り返す。それらのいずれかが肯定された場合(実回転数が所定回転数に上昇する条件と目標回転数を切り換えた後所定時間が経過する条件の一方が成立した場合)は、車体コントローラ10は、アンロード電磁弁9へ出力する制御信号をOFFにしてアンロード電磁弁9をロード位置に復帰させてパイロットポンプ3を再びロードする(ステップS240)。同時に車体コントローラ10は、エアコン13のコンプレッサ14に出力する制御信号をONにしコンプレッサ14の電磁クラッチ14aを締結する(ステップS250)。
【0045】
ここで、閾値Pithは、操作レバー装置4a,4b及びその他の操作装置の操作レバーが操作された後、複数のアクチュエータ103a〜103fが動き始めない範囲の操作レバー装置の操作レバーの操作量(操作装置の操作量)、例えばその操作量の上限の値に対応する操作パイロット圧であり、車体コントローラ10にその値が閾値Pithとして予め設定されている。
【0046】
〜動作〜
図5は、エンジン回転数早期復帰制御による各部の時間的な挙動の変化を示すタイムチャートである。このタイムチャートを用いて、エンジン回転数早期復帰制御による各部の時間的な挙動の変化を説明する。
【0047】
図5において、(a)は操作レバーの操作量を表す図である。オペレータがオートアイドルモードを選択し、作業を中断してエンジン1の回転数が低下している状態から、作業を再開するため時刻t0で操作レバーを中立位置からフルストロークまで動かしたとき、それに応じて操作パイロット圧(信号制御弁6が発生する制御圧)が増加する状況を示している。このとき、オートアイドル状態から復帰し作業を再開するまでのエアコン13のコンプレッサ14、パイロットポンプ3、エンジン1及び油圧ポンプ2の動作は以下のようである。
【0048】
(b)はコンプレッサ14の電磁クラッチ14aの締結状態を示しており、(a)の操作量が中立位置から変化し、時刻t1で操作パイロット圧が閾値のPithを超えて増加したら、車体コントローラ10はコンプレッサ14の電磁クラッチ14aを解放し、エンジン1の負荷を低減する。時刻t1以前はエアコン13の設定温度を運転室内の温度との差に応じて、締結と解放を繰り返しているが、時刻t1から後述する時刻t3までは、温度に関わらず電磁クラッチ14aを解放する。
【0049】
(c)はパイロットポンプの吐出圧の変化を示す。上記時刻t1で車体コントローラ10がアンロード電磁弁9をアンロード位置に切り換え、パイロットポンプ3をアンロードする。このとき、アンロード電磁弁9の応答など若干の遅れを伴ってパイロットポンプ3の吐出圧(一次パイロット圧)は低下し、時刻t2でほぼ0になる。このとき以降は、操作レバーを動かしても作業はできないが、エンジン1の負荷が低減するのでエンジン1の回転数はより短時間で上昇する。パイロットポンプ3は後述する時刻t3で再びロードし、作業ができるようになる。
【0050】
また、時刻t1で既にアクチュエータが動き始めていると、パイロットポンプ3をアンロードすることで、一度動き始めたアクチュエータが停止することになり、操作性が悪化する。本実施の形態では、上述したように閾値Pithとして、操作レバー装置4a,4b及びその他の操作装置の操作レバーが操作された後、複数のアクチュエータ103a〜103fが動き始めない範囲の操作レバー装置の操作レバーの操作量(操作装置の操作量)、例えばその操作量の上限の値に対応する操作パイロット圧を設定してある。そして、操作パイロット圧が閾値Pithに達する時刻t1でアンロード電磁弁9をアンロード位置に切り換え、パイロットポンプ3をアンロードする。これによりパイロットポンプ3をアンロードすることで、一度動き始めたアクチュエータが停止するような事態は起こらず、操作性の悪化を生じることなくエンジン回転数の早期復帰制御が可能となる。
【0051】
(d)はエンジン1の回転数を示している。上記時刻t1で、目標回転数をオートアイドルの回転数N0から、エンジンコントロールダイヤル12によってオペレータが設定した回転数Npに切り換える。エンジン1の実回転数は目標回転数にやや遅れて追従するが定常状態では目標回転数Npに一致する。実回転数が目標回転数の例えば90%に達する時刻をt3とすると、時刻t3でほぼエンジン1の加速が完了し、オートアイドルから復帰することになる。この時刻t3で、コンプレッサ14の電磁クラッチ14aを再び締結し、エアコン13は通常の制御に戻る。パイロットポンプ3も時刻t3で、再びロードする。エンジン1の回転数は既にオペレータが設定した回転数Npに近いので、作業を中断してオートアイドルで回転数が低下する前に行っていた作業を違和感なく再開することができる。
【0052】
また、前述したように、車体コントローラ10は、エンジンコントロールダイヤル12で設定された目標回転数Npに切り換えた後、所定時間が経過したかどうかも判定している。これによりエンジン1の不調或いは故障などでエンジン1の回転数が上昇せず、実回転数が目標回転数の90%に達しなくても、所定時間が経過すればパイロットポンプ3をロードするので、油圧ショベルを動かして安全を確保することができる。
【0053】
(e)は上記の制御の結果、油圧ポンプ2が吸収するトルクを示している。時刻t1までは操作レバーが中立位置であるため、また、時刻t1から時刻t3までは、パイロットポンプ3はアンロードされているため、油圧ポンプ2が吸収するトルクは最も低くなっている。時刻t3以降は、パイロットポンプ3がロードされるため操作レバーの操作量の増加にしたがって油圧ポンプ2の吸収トルクが増加している。
【0054】
〜効果〜
以上のように本実施の形態によれば、オートアイドル制御において操作レバー装置4a,4bが操作されて作業が再開され、エンジン1の回転数をオートアイドル回転数からエンジンコントロールダイヤル12(エンジン回転数設定装置)によって設定した目標回転数に応じた回転数に復帰させるとき、アンロード電磁弁9をアンロード位置に切り換えかつコンプレッサ14の電磁クラッチ14aを解放してエンジン1の負荷を低減することで、従来よりも速やかにエンジン1が加速され、短時間で負荷の高い作業を行うことが可能になる。
【0055】
また、オートアイドル制御の操作性が改善するため、オートアイドル制御の使用頻度を高まり、油圧作業機械である油圧ショベル内外の騒音を低減しかつ燃費を改善することができる。
【0056】
また、本実施の形態によれば、閾値Pithとして、操作レバー装置4a,4b及びその他の操作装置の操作レバーが操作された後、複数のアクチュエータ103a〜103fが動き始めない範囲の操作装置の操作量の上限の値に対応する操作パイロット圧を設定し、操作パイロット圧が閾値Pithに達する時刻t1でアンロード電磁弁9をアンロード位置に切り換え、パイロットポンプ3をアンロードする。これによりパイロットポンプ3をアンロードすることで、一度動き始めたアクチュエータが停止するような事態は起こらず、操作性の悪化を生じることなくエンジン回転数の早期復帰制御が可能となる。
【0057】
更に、本実施の形態によれば、エンジン回転数早期復帰制御でエンジン1の回転数を復帰させるとき、エンジン1の目標回転数をエンジンコントロールダイヤル12で設定された目標回転数に切り換えた後、所定時間が経過したときは、エンジン1の回転数が所定回転数に上昇しなくてもアンロード電磁弁9をロード位置に復帰させる。これによりエンジン1の不調或いは故障などでエンジン1の回転数が上昇せず、実回転数が目標回転数の90%に達しなくても、所定時間が経過すればパイロットポンプ3をロードするので、油圧ショベルを動かして安全を確保することができる。
【0058】
〜その他〜
なお、上記の実施の形態においては、作業が再開され、エンジン回転数早期復帰制御を行うとき、パイロット圧回路のアンロード電磁弁9を切り換えパイロットポンプ3をアンロードする制御とコンプレッサ14の電磁クラッチ14aを切り換えコンプレッサをエンジンから切り離す制御の両方を行ってエンジン負荷を低減したが、その一方(例えばパイロット圧回路のアンロード電磁弁9を切り換えパイロットポンプ3をアンロードする制御)だけを行ってもよい。この場合も従来よりも速やかにエンジン1が加速され、短時間で負荷の高い作業を行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0059】
1 エンジン
1a エンジンコントローラ(エンジン制御装置)
1b 回転数センサ
1c 燃料噴射装置
2 油圧ポンプ
2a 押しのけ容積可変部材
2b レギュレータ
3 パイロットポンプ
4a,4b 操作レバー装置
5a〜5f 流量制御弁
6 信号制御弁
7 パイロットリリーフ弁
8 レギュレータピストン
9 アンロード電磁弁
10 車体コントローラ(エンジン制御装置)
11 タンク
12 エンジンコントロールダイヤル(エンジン回転数設定装置)
13 エアコン
14 コンプレッサ
14a 電磁クラッチ
15 エアコン操作ダイヤル
16 オートアイドルスイッチ
17 圧力センサ
21 油路
22 パイロット圧回路
34 ゲートロックレバー
103a〜103f アクチュエータ
図1
図2
図3
図4
図5