(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
従来、レーザ溶接時の可視光モニタリングでは、可視光波長のほぼ全域をモニターして測定している。可視光は主にレーザ溶接中に発生するプルーム(プラズマや金属蒸気等)を捉え、溶接材料の孔空きなどの溶接不具合の検知に有効である。しかし、可視光は測定波形の振幅の変動が極めて大きいことから、可視光に基づく、正常な溶接時と異常な溶接時との峻別は、従来困難であった。
【0015】
可視光の測定波形の振幅変動の発生要因としては、照明などの外乱光の影響や、取得してモニターする波長帯が広すぎて様々なスペクトルの波形が入り乱れて相殺、相乗等することにより、モニターしている可視光全体の強度として振幅が時間変動していることが考えられる。
【0016】
レーザ溶接時に保護メガネを介して目視観察すれば理解できるが、レーザ溶接時のプルームは材料特有の発光色を示すため、プルームの測定波長は、溶接材料ごとに特定の波長に限定されることが好ましいと思われる。
【0017】
図1は、本実施形態のレーザ溶接システム1000の構成概要を説明する図である。レーザ溶接システム1000は、溶接するためのレーザ光を発生させるレーザ装置1100と、レーザ装置1100で発生させたレーザ光を光ファイバを介して溶接材1400に集光する加工ヘッド1300を備える。
【0018】
溶接材1400にレーザ光のエネルギーが集約されることにより生成された溶融池から生じる可視光は、可視光集光センサユニット1500で集光されて、光電変換される。可視光集光センサユニット1500の下端(可視光入射側)には、不図示の干渉フィルターが備えられている。干渉フィルターは、溶接材1400に対応した特定の一波長(実質的にはある程度の波長幅を有する)のみを通過させる。
【0019】
可視光集光センサユニット1500から出力された電気信号は、良否判定装置1200に入力されて、溶接の良否が判定される。レーザ溶接時において、仮に溶接不良(典型的には溶接材1400の穴あき)が生じた場合に、溶接材1400の材料に対応した特定の可視光の波長の、溶融池からの、発光が強くなることが見いだされた。
【0020】
これを利用して、レーザ溶接システム1000は、溶接材1400の材料に対応した特定の波長の可視光の強度のみを常時監視し、その光強度が所定の閾値以上となった場合には溶接不良と判断する。すなわち、良否判定装置1200は、可視光集光センサユニット1500で光電変換された電気信号の値が所定の閾値以上となったことを検出した場合に、溶接不良と判定する。
【0021】
図2(a)はアルミニウムを溶接材1400として用いた場合に、可視光全体に亘って溶融池からの発光強度を検出した検出強度の時間変化を説明する図であり、
図2(b)はアルミニウムを溶接材1400として用いた場合に、可視光の特定の一波長(400nm、但し半値幅25nm)のみについて溶融池からの発光強度を検出した検出強度の時間変化を説明する図である。
【0022】
図2(a)から理解できるように、可視光全体(400nm〜700nm)の発光強度を検出した場合には、レーザ溶接の進捗の時間経過に対する検出値の振幅が大きくなる。従って、この場合には、溶接不良を示す溶融池からの特定波長の発光が、雑音に埋没してしまい、不良を検知できないものとなる。
【0023】
一方、
図2(b)から理解できるように、半値幅25nmの400nm透過干渉フィルターを用いて特定の波長のみを検出した場合には、レーザ溶接の進捗の時間経過に対する検出値の振幅があまり大きくない。このため、時間0.03(s)付近のひときわ大きな検出値を明確に峻別可能となる。
図2(a)と
図2(b)共に、横軸の時間約0.03(s)において、溶接の不良が発生しているのであるが、
図2(b)においては溶接不良に起因する検出値の上下振れを検知可能である。
【0024】
特定波長において溶接不良発生時に、発光強度の上下振れが検出される原因は定かではないが、溶接不良時には、溶融池の煮沸や飛散等が生じており、これに伴う溶融池表面の変動等が関係していると推測される。
【0025】
図3は、
図4〜
図6に示す溶融池からの発光スペクトルを計測するために用いた実験装置の概要を説明する図である。
図3において、照射レーザの出力は800Wとし、走査速度は20mm/秒として、2枚のアルミニウム板(t=0.5mm)を重ねた溶接材料をレーザ照射の下で約1秒間走査した。
【0026】
そして、溶接材料に形成された溶融池からの発光スペクトルを45°の角度から分光器ヘッド及び分光器を介して計測した。
図3に示す計測系によるスペクトル計測結果を
図4〜
図6を用いて下記に説明する。
【0027】
図4は、アルミニウムを溶接材として用いて
図3の構成で模擬レーザ溶接を遂行し、溶接材を約1秒間走査した場合の、正常な溶接箇所と異常な溶接箇所とを説明する図である。
図4(a)が溶接材の走査箇所(紙面左から右方向に走査)の全体写真を示し、
図4(b)が溶接開始箇所の正常溶接状態のスペクトルを示し、
図4(c)が溶接の走査中程の正常溶接状態のスペクトルを示し、
図4(d)が溶接終了箇所付近の異常溶接状態のスペクトルを示す図である。
【0028】
図4から理解できるように、
図4(d)において穴あきの溶接異常が発生しているが、
図4(b)、
図4(c)の正常時と比較して、穴あきの溶接異常時には、特に350nm〜500nmにかけて顕著なスペクトル強度の増大が検出されている。このため、この現象を利用して、レーザ溶接システム1000は、アルミニウムを溶接材1400として用いる場合に、例えば400nmの特定波長で溶融池をモニターし、検出強度が閾値以上に増大した場合に、溶接不良と判定する。
【0029】
また、
図5は、アルミニウム溶接材料(A1050)を用いた正常な溶接が遂行されている状態の溶融池からの可視光の発光スペクトルを示す図である。
図5に示すように、395nmと454nmと470nmと487nmと513nmと542nmとの六つの波長それぞれに、スペクトル強度が増大するピークが見受けられる。
【0030】
そして、アルミニウムを溶接材料とした場合の、六つのピークの中でどのピーク波長を用いると、穴あき等の溶接不良発生の検知が最も確実かつ安定的に行えるかを調べた結果を説明しているのが
図6である。
【0031】
図6は、
図3の実験装置を用いて、分光器で取得するスペクトル波長を変えて約1秒間アルミニウム溶接材を走査した場合のスペクトル強度を示す図である。
図6(a)が395nmのスペクトル強度の経時変化を示し、
図6(b)が454nmのスペクトル強度の経時変化を示し、
図6(c)が470nmのスペクトル強度の経時変化を示す。また、
図6(d)が487nmのスペクトル強度の経時変化を示し、
図6(e)が513nmのスペクトル強度の経時変化を示し、
図6(f)が542nmのスペクトル強度の経時変化を示す。
【0032】
図6に説明するように、六つの波長域いずれにおいても穴あきの溶接不良発生時(約0.7秒付近)にはスペクトル強度が増大するが、増大率には波長によって有意な差異が見出される。上述の観点から、より明確に穴あき等溶接不良を峻別するための最適波長としては、アルミニウム溶接材の場合、スペクトル増大が最も顕著に表れた395nm付近を用いることが好ましい。
【0033】
図7(a)は、アルミニウムを溶接材として用いた場合の六つの波長域それぞれについて溶接正常時のピーク強度の平均値に対して穴あき欠陥発生時のピーク強度がどの程度上昇したかを比較して示すグラフである。また、
図7(b)は、六つの波長域それぞれについて標準誤差率を比較して示すグラフである。
図7(a)及び
図7(b)に示す結果からも、アルミニウムを溶接材として用いた場合は、395nm付近の波長域を用いた発光強度を検出することにより、最も適切に溶接不良を検知できることが理解できる。
【0034】
なお、
図7(b)は、正常溶接時のスペクトル強度のみを抽出して標準誤差率を算出した結果を示すものであって、算出した六つの波長域の中では、395nm域が最も安定したスペクトル強度が得られていることが理解できる。このため、当該波長域においては、正常溶接時における発光ピーク強度のばらつきが比較的小さい一方で、不良発生時には約110倍程度までピーク強度が比較的顕著に増大することから、信頼性の高いモニタリングが可能となる。
【0035】
図8は、Fe(厚さt=0.5mmの2枚重ね)を溶接材料として1秒間レーザ溶接走査を遂行中に生じた異常に関する溶融池からのスペクトル特性について説明する図である。
図8においては、走査開始後0.11秒と0.77秒とは正常なレーザ溶接が遂行されているが、走査開始後0.605秒において溶接異常(穴あき)が生じている。
【0036】
この3箇所(3時点)の溶融池からの発光スペクトル強度を比較すると、穴あき発生時には大凡全波長域に亘ってスペクトル発光強度が増大している。その中でも特に、590nm付近(
図8では典型例として589.92nmを示している)において、正常時の発光スペクトル強度と異常時の発光スペクトル強度との比率(S/N比)が4.12と他の波長のS/N比に比べて顕著に大きい。
【0037】
従って、Fe(鉄)を溶接材料とする場合には、590nm付近(565nmから615nmの間)の波長をモニター波長として監視し、レーザ溶接中に、当該波長の溶融池からの発光強度が3.5倍以上に増大した時に、異常発生と判定することが好ましい。これにより、レーザ溶接材料としてFeを用いた場合に、より安定してより確実なレーザ溶接良否判定(すなわち、溶接不良の検知)が遂行可能となる。
【0038】
また、
図9は、Ti(厚さt=0.5mmの2枚重ね)を溶接材料として1秒間レーザ溶接走査を遂行中に生じた異常に関する溶融池からのスペクトル特性について説明する図である。
図9においては、走査開始後0.11秒と0.935秒とは正常なレーザ溶接が遂行されているが、走査開始後0.66秒において溶接異常(穴あき)が生じている。
【0039】
この3箇所(3時点)の溶融池からの発光スペクトル強度を比較すると、穴あき発生時には大凡全波長域に亘ってスペクトル発光強度が増大している。その中でも特に、770nm付近(
図9では典型例として771.19nmを示している)において、正常時の発光スペクトル強度と異常時の発光スペクトル強度との比率(S/N比)が3.5と他の波長のS/N比に比べて顕著に大きい。
【0040】
従って、Tiを溶接材料とする場合には、770nm付近(745nmから795nmの間)の波長をモニター波長として監視し、レーザ溶接中に、当該波長の溶融池からの発光強度が2.5倍以上に増大した時に、異常発生と判定することが好ましい。これにより、レーザ溶接材料としてTiを用いた場合に、より安定してより確実なレーザ溶接良否判定(すなわち、溶接不良の検知)が遂行可能となる。
【0041】
また、
図10は、SUS304(厚さt=0.5mmの2枚重ね)を溶接材料として1秒間レーザ溶接走査を遂行中に生じた異常に関する溶融池からのスペクトル特性について説明する図である。
図10においては、走査開始後0.11秒と0.99秒とは正常なレーザ溶接が遂行されているが、走査開始後0.55秒において溶接異常(穴あき)が生じている。
【0042】
この3箇所(3時点)の溶融池からの発光スペクトル強度を比較すると、穴あき発生時には大凡全波長域に亘ってスペクトル発光強度が増大している。その中でも特に、770nm付近(
図10では典型例として769.94nmを示している)において、正常時の発光スペクトル強度と異常時の発光スペクトル強度との比率(S/N比)が2.09と他の波長のS/N比に比べて顕著に大きい。
【0043】
従って、SUS304を溶接材料とする場合には、770nm付近(745nmから795nmの間)の波長をモニター波長として監視し、レーザ溶接中に、当該波長の溶融池からの発光強度が2倍以上に増大した時に、異常発生と判定することが好ましい。これにより、レーザ溶接材料としてSUS304用いた場合に、より安定してより確実なレーザ溶接良否判定(すなわち、溶接不良の検知)が遂行可能となる。
【0044】
本発明のレーザ溶接監視装置は、レーザ光にて溶接される溶接材料の溶接部位について、その溶接状態を監視するレーザ溶接監視装置であって、溶接材料にレーザ光が照射されて形成された溶融池からの、溶接材料に対応して予め決定された、可視光内の特定の一波長の発光強度を検出し、検出した発光強度に基づいて溶接状態を判定することを特徴とする。
【0045】
従って、溶接材料の特性に応じた可視光領域の特定の波長をモニターすることで、より安定して確実かつ容易な溶接不良のその場検知が可能となる。また、レーザ溶接進行中に迅速な溶接不良の検知が可能となるので、レーザ溶接の一時停止やレーザ出力のフィードバック制御等の検知後の処理が迅速かつより適切に遂行可能な、レーザ溶接監視装置を実現できる。
【0046】
また、本発明のレーザ溶接監視装置は、好ましくは特定の一波長が、溶接材料の溶融池からの複数の発光スペクトルのピーク波長の中の一つであることを特徴とする。
【0047】
レーザ溶接に用いる溶接材料に対応して、当該溶接材料により形成された溶融池からの発光スペクトルのピーク波長は、当該溶接材料に固有の特徴を反映する波長である。そして、当該ピーク波長は、溶接材の穴あき等の溶接不良発生時における溶接不良に関する情報をも含む波長であると考えられる。この波長をモニター波長として用いることにより、より正確な溶接進行のその場監視が遂行できるレーザ溶接監視装置を実現できる。
【0048】
また、本発明のレーザ溶接監視装置はさらに好ましくは、溶接材料が、アルミニウムまたは鉄またはチタンまたは銅または鋼材であることを特徴とする。
【0049】
上述の実施形態では、レーザ溶接材料としてアルミニウム、Ti、Fe、SUS304の場合(各t=0.5mmの二枚重ね)を典型例として説明しているが、これに限定されるものではないことは当業者に明らかである。
【0050】
レーザ溶接材料として用いられる可能性がある銅や各種鋼材等に本発明の技術思想を適用可能であることは当業者に容易に理解される。銅や各種鋼材等においても、レーザ溶接時に生じる溶融池からは、当該材料に対応した材料特有の発光スペクトルが観察される。従って、その発光スペクトルのピーク波長のいずれかの波長領域を用いることにより、安定して確実な溶接良否判定ができるレーザ溶接監視装置となる。
【0051】
本発明のレーザ溶接監視装置は、溶接材料がアルミニウムの場合には、特定の一波長は375nm〜425nmであることを特徴とする。
【0052】
アルミニウムを溶接材料とする場合には、390nmを典型例とするピーク波長において、正常溶接時と異常溶接時との発光強度の比が最も大きくなる。このため、当該波長領域を用いて、レーザ溶接進行時にその場監視することにより、レーザ溶接の良否判定が安定して行えるレーザ溶接監視装置とできる。390nmのピーク波長については、半値幅等も考慮すれば、実質的には365nm乃至415nm程度の波長領域の発光強度を検出すればよいと思われる。この場合に、レーザ溶接監視装置は、365nm乃至415nmの波長領域全体を特定の一波長としてモニターしてもよいし、365nm乃至415nmの範囲のいずれか単波長を特定の一波長としてモニターしてもよい。
【0053】
また、本発明のレーザ溶接監視装置は、さらに好ましくは溶接材料が鉄の場合には、特定の一波長は565nm乃至615nmであり、溶接材料がSUSの場合には、特定の一波長は745nm乃至795nmであり、溶接材料がチタンの場合には、特定の一波長は745nm乃至795nmであることを特徴とする。
【0054】
鉄、SUS304、チタンをそれぞれ溶接材料とする場合には、それぞれ590nm、770nm、770nmを典型例とするピーク波長において、正常溶接時と異常溶接時との発光強度の比が最も大きくなる。
【0055】
このため、当該波長領域を用いて、レーザ溶接進行時にその場監視することにより、レーザ溶接の良否判定が安定して行えるレーザ溶接監視装置とできる。それぞれ590nm、770nm、770nmのピーク波長については、半値幅等も考慮すれば、実質的にはそれぞれ565nm乃至615nm、745nm乃至795nm、745nm乃至795nm程度の波長領域の発光強度を検出すればよいと思われる。
【0056】
この場合に、レーザ溶接監視装置は、それぞれ565nm乃至615nm、745nm乃至795nm、745nm乃至795nmの波長領域全体をそれぞれ特定の一波長としてモニターしてもよいし、565nm乃至615nm、745nm乃至795nm、745nm乃至795nmの範囲のいずれか単波長をそれぞれ特定の一波長としてモニターしてもよい。
【0057】
また、本発明のレーザ溶接監視装置は、レーザ光が1070nm〜1100nmのファイバレーザであることを特徴とする。
【0058】
これにより、レーザ溶接装置として汎用されているレーザ光波長である1070nm〜1100nmのファイバレーザを用いたレーザ溶接を監視し、溶接不良を適切に検知できるものとなる。
【0059】
また、レーザ光にて溶接される溶接材料の溶接部位について、その溶接状態を監視する本発明のレーザ溶接監視方法は、溶接材料にレーザ光が照射されて形成された溶融池からの、溶接材料に対応して予め決定された、可視光内の特定の一波長の発光強度を検出し、検出した発光強度に基づいて溶接状態を判定することを特徴とする。
【0060】
従って、溶接材料の特性に応じた可視光領域の特定の波長をモニターすることで、より安定して確実かつ容易な溶接不良のその場検知が可能となる。また、レーザ溶接進行中に迅速な溶接不良の検知が可能となるので、レーザ溶接の一時停止やレーザ出力のフィードバック制御等の検知後の処理が迅速かつより適切に遂行可能な、レーザ溶接監視方法を実現できる。
【0061】
また、本発明のレーザ溶接監視方法は、好ましくは特定の一波長が、溶接材料の溶融池からの複数の発光スペクトルのピーク波長の中の一つであることを特徴とする。
【0062】
レーザ溶接に用いる溶接材料に対応して、当該溶接材料により形成された溶融池からの発光スペクトルのピーク波長は、当該溶接材料に固有の特徴を反映する波長である。そして、当該ピーク波長は、溶接材の穴あき等の溶接不良発生時における溶接不良に関する情報をも含む波長であると考えられる。この波長をモニター波長として用いることにより、より正確な溶接進行のその場監視が遂行できるレーザ溶接監視方法を実現できる。
【0063】
また、本発明のレーザ溶接監視方法は、溶接材料が、アルミニウムまたは鉄またはチタンまたは銅または鋼材であることを特徴とする。
【0064】
上述の実施形態では、レーザ溶接材料としてアルミニウム、Ti、Fe、SUS304の場合(各t=0.5mmの二枚重ね)を典型例として説明しているが、これに限定されるものではないことは当業者に明らかである。
【0065】
レーザ溶接材料として用いられる可能性がある銅や各種鋼材等に本発明の技術思想を適用可能であることは当業者に容易に理解される。銅や各種鋼材等においても、レーザ溶接時に生じる溶融池からは、当該材料に対応した材料特有の発光スペクトルが観察される。従って、その発光スペクトルのピーク波長のいずれかの波長領域を用いることにより、安定して確実な溶接良否判定ができるレーザ溶接監視方法となる。
【0066】
また、本発明のレーザ溶接監視方法は、溶接材料がアルミニウムの場合には、特定の一波長は375nm〜425nmであることを特徴とする。
【0067】
アルミニウムを溶接材料とする場合には、390nmを典型例とするピーク波長において、正常溶接時と異常溶接時との発光強度の比が最も大きくなる。このため、当該波長領域を用いて、レーザ溶接進行時にその場監視することにより、レーザ溶接の良否判定が安定して行えるレーザ溶接監視方法とできる。390nmのピーク波長については、半値幅等も考慮すれば、実質的には365nm乃至415nm程度の波長領域の発光強度を検出すればよいと思われる。この場合に、本レーザ溶接監視方法は、365nm乃至415nmの波長領域全体を特定の一波長としてモニターしてもよいし、365nm乃至415nmの範囲のいずれか単波長を特定の一波長としてモニターしてもよい。
【0068】
また、本発明のレーザ溶接監視方法は、 溶接材料が鉄の場合には、特定の一波長は565nm〜615nmであり、溶接材料がSUSの場合には、特定の一波長は745nm〜795nmであり、溶接材料がチタンの場合には、特定の一波長は745nm〜795nmであることを特徴とする。
【0069】
鉄、SUS304、チタンをそれぞれ溶接材料とする場合には、それぞれ590nm、770nm、770nmを典型例とするピーク波長において、正常溶接時と異常溶接時との発光強度の比が最も大きくなる。このため、当該波長領域を用いて、レーザ溶接進行時にその場監視することにより、レーザ溶接の良否判定が安定して行えるレーザ溶接監視方法とできる。
【0070】
それぞれ590nm、770nm、770nmのピーク波長については、半値幅等も考慮すれば、実質的にはそれぞれ565nm乃至615nm、745nm乃至795nm、745nm乃至795nm程度の波長領域の発光強度を検出すればよいと思われる。
【0071】
この場合に、レーザ溶接監視装置は、それぞれ565nm乃至615nm、745nm乃至795nm、745nm乃至795nmの波長領域全体をそれぞれ特定の一波長としてモニターしてもよいし、565nm乃至615nm、745nm乃至795nm、745nm乃至795nmの範囲のいずれか単波長をそれぞれ特定の一波長としてモニターしてもよい。
【0072】
また、本発明のレーザ溶接監視方法は、さらに好ましくはレーザ光が1070nm〜1100nmのファイバレーザであることを特徴とする。
【0073】
これにより、レーザ溶接装置として汎用されているレーザ光波長である1070nm〜1100nmのファイバレーザを用いたレーザ溶接を監視し、溶接不良を適切に検知できるものとなる。
【0074】
本発明のレーザ溶接装置及びレーザ溶接監視方法は、上述した本実施形態の説明における構成や方法に限定されるものではなく、本発明の範囲内かつ当業者に自明な範囲で適宜自由に変更し、修正し、アレンジすることが可能である。また、従来公知の装置構成や方法と適宜組み合わせて、また適宜順序を入れ替えて使用することが可能である。