特許第6688077号(P6688077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6688077
(24)【登録日】2020年4月7日
(45)【発行日】2020年4月28日
(54)【発明の名称】毛髪を泡を用いて処理する方法
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20200421BHJP
   A45D 19/00 20060101ALI20200421BHJP
   A47K 5/12 20060101ALI20200421BHJP
   A61Q 5/08 20060101ALI20200421BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20200421BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20200421BHJP
【FI】
   A45D34/04 545
   A45D34/04 560
   A45D19/00 A
   A47K5/12 A
   A61Q5/08
   A61Q5/10
   B65D83/00 G
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-556198(P2015-556198)
(86)(22)【出願日】2014年2月3日
(65)【公表番号】特表2016-515839(P2016-515839A)
(43)【公表日】2016年6月2日
(86)【国際出願番号】US2014014382
(87)【国際公開番号】WO2014123798
(87)【国際公開日】20140814
【審査請求日】2015年8月4日
【審判番号】不服2018-15839(P2018-15839/J1)
【審判請求日】2018年11月29日
(31)【優先権主張番号】61/762,120
(32)【優先日】2013年2月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/815,424
(32)【優先日】2013年4月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502355808
【氏名又は名称】ノクセル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アンドレイ セルゲイビッチ ブレイコ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ スコット カー
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー ルイス シールズ
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン スコット レーン
【合議体】
【審判長】 佐々木 芳枝
【審判官】 堀川 一郎
【審判官】 窪田 治彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−235238(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/075657(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪をより正確に処理する方法であって、
a.毛髪処理組成物を泡分配器内に与える又は得る工程であって、前記泡分配器は、
i.前記毛髪処理組成物を保持するための貯蔵器と、
ii.前記貯蔵器に流体的に接続された延長ノズルと、を備え、
前記延長ノズルは、閉じたノズル先端から離間した、1つ又は複数のノズルオリフィスを含み、
前記1つ又は複数のノズルオリフィスは、5mm〜80mmの全オリフィス面積を有し、
前記延長ノズルは、前記1つ又は複数のノズルオリフィスが貯蔵器の外輪郭から突出する距離である、突出長さを有し、
前記泡分配器は、前記貯蔵器の外輪郭から延び、かつ前記延長ノズルと交差する垂直軸と、前記垂直軸が前記延長ノズルの中心と交差する場所から前記1つ又は複数のノズルオリフィスの中心まで延びるノズル軸と、を有し、
前記延長ノズルは、前記垂直軸及び前記ノズル軸によって形成される角度である、ノズル角を有し、
前記延長ノズルは、45mm〜70mmの突出長さ及び75°〜90°のノズル角を有する、工程と、
b.前記毛髪処理組成物を前記貯蔵器から前記延長ノズル内に、及び前記1つ又は複数のノズルオリフィスから直接前記毛髪上に泡として分配する工程であって、前記毛髪処理組成物は、100cps〜1,500cpsの粘度を有し、前記泡は、4mL/g〜20mL/gの比体積を有する、工程と、
c.前記泡を前記毛髪上に5分間〜60分間、放置する工程と、
d.前記泡を前記毛髪から洗い落とす工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ又は複数のノズルオリフィスは、12mm〜60mmの全オリフィス面積を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記泡は、6mL/g〜10mL/gの比体積を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記延長ノズルは、75°〜80°のノズル角を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記毛髪処理組成物は、300cps〜600cpsの粘度を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記泡分配器は、スクイズ式泡分配器、エアゾール式泡分配器、ポンプ式泡分配器、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記貯蔵器は、剛性材料、可撓性材料、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料から構成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記毛髪処理組成物は、毛髪色組成物又は毛髪脱色組成物である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記泡を、前記毛髪上に麺状の泡として直接分配する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記麺状の泡は、5mm〜40mmの平均直径を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記延長ノズルを用いて前記毛髪を分ける工程を更に含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
a.毛髪着色組成物、毛髪脱色組成物、強調表示組成物、コンディショニング組成物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される毛髪処理組成物であって、100cps〜1,500cpsの粘度を有する、毛髪処理組成物と、
b.泡分配器であって、
i.前記毛髪処理組成物を保持するための貯蔵器と、
ii.前記貯蔵器に流体的に接続された延長ノズルと、を備え、
前記延長ノズルは、閉じたノズル先端から離間した、1つ又は複数のノズルオリフィスを含み、
前記1つ又は複数のノズルオリフィスは、5mm〜80mmの全オリフィス面積を有し、
前記延長ノズルは、前記1つ又は複数のノズルオリフィスが貯蔵器110の外輪郭から突出する距離である、突出長さを有し、
前記泡分配器は、前記貯蔵器の外輪郭から延び、かつ前記延長ノズルと交差する垂直軸と、前記垂直軸が前記延長ノズルの中心と交差する場所から前記1つ又は複数のノズルオリフィスの中心まで延びるノズル軸と、を有し、
前記延長ノズルは、前記垂直軸及び前記ノズル軸によって形成される角度である、ノズル角を有し、
前記延長ノズルは、45mm〜70mmの突出長さ及び75°〜90°のノズル角を有し、
前記毛髪処理組成物は前記貯蔵器から前記延長ノズル内に、及び前記1つ又は複数のノズルオリフィスから直接前記毛髪上に泡として分配され、前記毛髪処理組成物は、100cps〜1,500cpsの粘度を有し、前記泡は、4mL/g〜20mL/gの比体積を有する、
泡分配器と、
c.前記毛髪処理組成物を直接前記泡分配器から前記毛髪上に泡として分配するようにユーザに指示することを含む命令のセットと、を含む、毛髪処理キット。
【請求項13】
前記毛髪処理組成物は、毛髪色組成物又は毛髪脱色組成物である、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
前記命令のセットは、前記毛髪処理組成物を直接前記泡分配器から前記毛髪上に麺状の泡として分配するように前記ユーザに指示することを含む、請求項12又は13に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪をより正確に処理する方法に関する。より詳細には、本発明は、毛髪をより正確に処理する方法であって、毛髪処理組成物を、延長ノズルを有する泡分配器内に与える工程と、毛髪処理組成物を、直接毛髪上に泡として分配する工程と、を含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪を着色及び脱色するための種々の方法が知られている。これらの方法には、液体毛髪処理組成物及び泡毛髪処理組成物を加えることが含まれる。これらの組成物をそれぞれ含む既知の方法には欠点がある。
【0003】
既知の液体毛髪処理方法は汚くなる可能性があり、液体が頭皮の皮膚を流れ落ちて顔面及び頸部上に至ることが多い。液体毛髪処理方法の欠点に対処するために、泡毛髪処理方法が開発されている。液体とは違って、泡は、頭皮の皮膚を流れ落ちて顔面及び頸部に至ることはない。
【0004】
しかし、泡分配器の現在の構造では、泡を毛髪上に直接分配することを、精度及び制御を失わずに実現することは難しい。そのため、現在の泡毛髪処理方法では、泡を毛髪上に直接分配するのではなく、最初に手に分配することを消費者に指示している。泡を手に分配すると、泡を毛髪(特に毛根)に加える際の精度及び制御が十分でなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述に基づいて、泡を毛髪上に直接分配するようにデザインされた泡分配器を含む、毛髪をより正確に処理する方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態によれば、毛髪をより正確に処理する方法であって、(a)毛髪処理組成物を泡分配器内に与える又は得る工程であって、泡分配器は、(i)毛髪処理組成物を保持するための貯蔵器と、(2)貯蔵器に流体的に接続された延長ノズルと、を備え、延長ノズルは、閉じたノズル先端から離間した、1つ又は複数のノズルオリフィスを含み、1つ又は複数のノズルオリフィスは、5mm〜80mmの全オリフィス面積を有し、延長ノズルは、45mm〜70mmの突出長さ及び75°〜95°のノズル角を有する、工程と、(b)毛髪処理組成物を貯蔵器から延長ノズル内に、及び1つ又は複数のノズルオリフィスから直接毛髪上に泡として分配する工程であって、泡は、4mL/g〜20mL/gの比体積を有する、工程と、(c)泡を毛髪上に5分間〜60分間、放置する工程と、(d)泡を毛髪から洗い落とす工程と、を含む、方法が提供される。
【0007】
本発明の更に別の実施形態によれば、(a)毛髪着色組成物、毛髪脱色組成物、強調表示組成物、コンディショニング組成物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される毛髪処理組成物と、(b)泡分配器であって、(i)毛髪処理組成物を保持するための貯蔵器と、(ii)貯蔵器に流体的に接続された延長ノズルと、を備え、延長ノズルは、閉じたノズル先端から離間した、1つ又は複数のノズルオリフィスを含み、1つ又は複数のノズルオリフィスは、5mm〜80mmの全オリフィス面積を有し、延長ノズルは、45mm〜70mmの突出長さ及び75°〜95°のノズル角を有する、泡分配器と、(c)毛髪処理組成物を直接泡分配器から毛髪上に泡として分配するようにユーザに指示することを含む命令のセットと、を含む毛髪処理キットが提供される。
【0008】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、本開示を読むことによって当業者に明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書は、本発明を詳細に指摘し明確に請求する請求項をもって結論とするが、本発明は、添付の図面と併せてなされる以下の説明から、より一層よく理解されると考える。
図1】泡分配器の実施形態の正面図である。
図2図1の泡分配器の右側面図である。
図3】泡分配器の実施形態の正面図である。
図4図1の泡分配器の平面図である。
図5図1の泡分配器の正面図である。
図6図1の泡分配器の正面図である。
図7】突出長さに対する消費者選択を示す棒グラフである。
図8】ノズル角に対する消費者選択を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
後述するすべての実施形態において、全ての割合は、特に記載のない限り、組成物全体の重量によるものである。全ての比率は、特に記述のない限り、重量比である。有効数字の数は、表示された量に対する限定を表すものでも、測定値の精度に対する限定を表すものでもない。特に指示がない限り、全ての数量は、「約」という単語によって修飾されるものと理解される。特に断らないかぎり、全ての測定は25℃で周囲条件下において行われたものと理解される。但し「周囲条件」とは、約1気圧の圧力下で約50%の相対湿度における条件のことを意味する。列挙された成分に関連する重量は全て、有効濃度に基づいており、特に明記しない限り、市販の材料に含まれ得るキャリア又は副生成物を含まない。
【0011】
用語「含む」は、本明細書で使用するとき、最終的な結果に影響を及ぼさない他の工程及び他の成分を追加できることを意味する。この用語は、「からなる」及び「から本質的になる」を包含する。本発明の組成物及び方法/プロセスは、本明細書に記載の本発明の必須要素及び制限、並びに本明細書に記載のいずれの追加的、若しくは任意選択の、成分、構成要素、工程、又は制限をも含み、これらからなり、及びこれらから本質的になることができる。
【0012】
特に記載のない限り、成分又は組成物の濃度は、全て、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、このような成分又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば残留溶媒又は副生成物は、除外される。
【0013】
全ての割合及び比率は、別途記載のない限り重量で計算される。全ての割合及び比率は、別途記載のない限り組成物全体を基準にして計算される。「重量パーセント」という用語は、本明細書では「重量%」として表示し得る。
【0014】
本明細書全体を通して記載される全ての最大数値限定は、このようなより小さい数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように、全てのより小さい数値限定を包含するものと理解すべきである。本明細書全体を通して記載される全ての最小数値限定は、このようなより高い数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように、全てのより高い数値限定を含む。本明細書全体を通して記載される全ての数値範囲は、このようなより狭い数値範囲が本明細書に明示的に記載されているかのように、このようなより広い数値範囲内の全てのより狭い数値範囲を含む。
【0015】
毛髪をより正確に処理する方法は、(a)毛髪処理組成物を泡分配器内に与える工程と、b)毛髪処理組成物を直接毛髪上に泡として分配する工程と、(c)泡を毛髪上に約5分間〜約60分間、放置する工程と、(d)泡を毛髪から洗い落とす工程と、を含んでいてよい。
【0016】
泡分配器は、毛髪処理組成物を保持するための貯蔵器と、貯蔵器に流体的に接続された延長ノズルとを備えていてよい。
【0017】
A.泡分配器
図1を参照して、毛髪をより正確に処理する方法は、毛髪処理組成物120を泡分配器100内に与えることを含んでいてよい。泡分配器100は、スクイズ式泡分配器、エアゾール式泡分配器、ポンプ式泡分配器、他の機械的な泡分配器、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。実施形態では、泡分配器100は二重エアゾール泡分配器100であってよく、毛髪処理組成物120は泡として分配中に混合されてよい。
【0018】
1)貯蔵器
図1を参照して、泡分配器100は、毛髪処理組成物120を保持するための貯蔵器110を備えていてよい。貯蔵器110は、プラスチック、金属、合金、積層物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される任意の好適な材料から作製され得る。貯蔵器110は、詰め替え可能な貯蔵器110、例えば注入式又はねじ込み式の貯蔵器110であっても、又は貯蔵器110は一度だけ使用するためのものであってもよい。また貯蔵器110は、泡分配器100から取り外し可能であってもよい。代替的に、貯蔵器110は泡分配器100と一体化されてよい。実施形態では、2つ以上の貯蔵器110があってよい。
【0019】
実施形態では、貯蔵器110は、剛性材料、可撓性材料、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料から構成され得る。貯蔵器110は、内部の部分真空にさらしたときに外部の大気圧下でつぶれない場合、剛性材料から構成されていてよい。実施形態では、貯蔵器110は加圧されていてよい。
【0020】
実施形態では、貯蔵器110は毛髪処理組成物120を保持してよい。毛髪処理組成物120は液体であってよく、約1cps〜約2,000cps、代替的に約100cps〜約1,000cps、及び代替的に約300cps〜約600cpsの粘度を有し得る。
【0021】
毛髪処理組成物120の粘度は、25℃においてTA Instruments AR2000レオメーター又は同様の機器によって測定され得る。40mmの2°ステンレス鋼円錐形状を粘度測定に用いてよい。粘度は、一定のせん断速度6.6s-1において1分後に記録してよい。粘度測定を3回実行してよく、3回の平均値を計算してよい。毛髪処理組成物120を2つ以上の別個の構成成分(加える前に混合する必要がある)として供給する場合、粘度測定は、構成成分を混合した直後に開始してよい。
【0022】
毛髪処理組成物120は、溶媒、酸化染料、直接染料、酸化剤、ラジカルスカベンジャー、レオロジー調整剤、キレート剤、pH調整剤、緩衝剤、炭酸イオン源、ペルオキソ一炭酸イオン源、界面活性剤、ポリマー、芳香剤、酵素、分散剤、過酸化物安定剤、酸化防止剤、植物抽出物、コンディショニング剤、セラミド、保存剤、乳白剤、パール化剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される構成成分を含んでいてよい。
【0023】
実施形態では、毛髪処理組成物120は、毛髪色組成物であっても又は毛髪脱色組成物であってもよい。毛髪処理組成物120を、2つ以上の別個の構成成分(加える前に混合する必要があり得る)として供給してよい。毛髪色組成物120は、酸化染色用組成物及び/又は直接染色用組成物を含んでいてよい。酸化染色用組成物は、酸化剤を含み得る。
【0024】
2)延長ノズル
更に図1を参照して、泡分配器100は延長ノズル130を備えていてよい。延長ノズル130は、貯蔵器110に流体的に接続されていてよく、貯蔵器110の最外輪郭を越えて突出し得る泡分配器100の任意の部分を含んでいてよい。実施形態では、延長ノズル130は、浸漬管122によって貯蔵器110に流体的に接続されていてよい。
【0025】
延長ノズル130は、プラスチック、金属、合金、繊維性材料、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される任意の好適な材料から構成され得る。一実施形態では、延長ノズル130は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、エチルビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、熱可塑性エラストマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーから構成され得る。
【0026】
延長ノズル130は、吹込み成形、圧縮プラス焼結、圧縮成形、発泡性ビーズ成形、押出成形、発泡成形、射出成形、積層、反応射出成形、マッチド成形、マトリックス成形、プラスチック成形、圧力栓アシスト成形、回転成形、トランスファー成形、熱成形、真空形成、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるプロセスによって作製され得る。
【0027】
実施形態では、延長ノズル130は、泡分配器100から取り外し可能であってよく、かつ1つ又は複数の構成部品を含んでいてよい。代替的に、延長ノズル130は泡分配器100と一体化されていてよい。延長ノズル130は、着脱可能ノズル、伸縮式ノズル、可撓性ノズル、ヒンジ留めノズル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。
【0028】
図2を参照して、延長ノズル130は、泡分配器100の貯蔵器110から遠位に配置された1つ又は複数のノズルオリフィス140を含んでいてよい。1つ又は複数のノズルオリフィス140は、約3mm2〜約133mm2、代替的に約5mm2〜約80mm2、代替的に約12mm2〜約60mm2、及び代替的に約20mm2〜約50mm2の全オリフィス面積を有し得る。2つ以上のノズルオリフィス140を伴う実施形態では、全オリフィス面積は個々のノズルオリフィス面積の和である。
【0029】
図3を参照して、延長ノズル130は、閉じたノズル先端150を含んでいてよく、1つ又は複数のノズルオリフィス140は、閉じたノズル先端150からずれていてよい。閉じたノズル先端150は、延長ノズル130から取り外し可能であっても、又は延長ノズル130と一体化されていてもよい。
【0030】
図4及び5を参照して、延長ノズル130は突出長さ132を有し得る。突出長さ132は、1つ又は複数のノズルオリフィス140が貯蔵器110の外輪郭から突出する距離であってよい。突出長さ132は、約20mm〜約125mm、代替的に約35mm〜約110mm、代替的に約40mm〜約75mm、及び代替的に約45mm〜約70mmであってよい。
【0031】
図6を参照して、延長ノズル130はノズル角134を有し得る。ノズル角134を測定するために、泡分配器100は、貯蔵器110の外輪郭から延び、かつ延長ノズル130と交差する垂直軸250を有し得る。また泡分配器100は、垂直軸250が延長ノズル130の中心と交差する場所(1)から1つ又は複数のノズルオリフィス140の中心(2)まで延びるノズル軸350を有し得る。ノズル角134は、垂直軸250及びノズル軸350によって形成される角度であってよい。ノズル角134は、70°超かつ120°未満、代替的に約75°〜約115°、代替的に70°超かつ100°未満、及び代替的に約75°〜約95°であってよい。
【0032】
B.毛髪の処理方法
毛髪をより正確に処理する方法は、前述したように、毛髪処理組成物120を泡分配器100内に与える工程を含んでいてよい。
【0033】
毛髪をより正確に処理する方法は更に、毛髪処理組成物120を貯蔵器110から延長ノズル130内に、及び1つ又は複数のノズルオリフィス140から直接毛髪上に泡として分配する工程を含んでいてよい。
【0034】
泡は、約4mL/g〜約20mL/g、代替的に約5mL/g〜約15mL/g、及び代替的に約6mL/g〜約10mL/gの比体積を有し得る。実施形態では、比泡体積は、100mLビーカーをマスバランス上に配置し、ビーカーの質量を差し引き、そして泡分配器から100mLビーカー内に、泡の体積が100mLに等しくなるまで分配することによって測定してよい。100mLの泡から得られる、分配終了時から5秒時点の質量を記録する。体積(100)を泡の質量で割ることによって、比泡体積をmL/g単位で得る。実験を3回繰り返してよく、平均の比泡体積を計算してよい。
【0035】
泡を、毛髪上に麺状の泡として直接分配してよい。実施形態では、泡を、毛髪上に複数の麺状の泡として直接分配してよい。任意の時点で、麺状の泡は、約2mm〜約50mm、代替的に約5mm〜約40mm、及び代替的に約10mm〜約30mmの平均直径を有し得る。麺状の泡は、平坦な麺、円柱形の麺、四角形の麺、非対称の麺、対称的な麺、直線的な麺、非直線的な麺、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される任意の形状であってよい。
【0036】
毛髪をより正確に処理する方法は更に、泡を毛髪上に約5分間〜約60分間、放置する工程を含んでいてよい。
【0037】
毛髪をより正確に処理する方法は更に、泡を毛髪から洗い落とす工程を含んでいてよい。
【0038】
毛髪をより正確に処理する方法は更に、延長ノズル130を用いて毛髪を分ける工程を含んでいてよい。
【0039】
C.毛髪処理キット
毛髪処理キットは、前述したように、泡分配器を備えていてよい。また毛髪処理キットは、毛髪着色組成物、毛髪脱色組成物、強調表示組成物、コンディショニング組成物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される毛髪処理組成物を含んでいてよい。毛髪処理組成物は、泡分配器から分離して別個にパッケージしてよい。実施形態では、毛髪処理キットは、2つ以上の毛髪処理組成物(加える前に混合する必要がある)を含んでいてよい。
【0040】
毛髪処理キットは、毛髪処理組成物を直接泡分配器から毛髪上に泡として分配するようにユーザに指示することを含む命令のセットを含んでいてよい。実施形態では、命令のセットは、前述したように、毛髪処理組成物を直接泡分配器から毛髪上に麺状の泡として分配するようにユーザに指示することを含んでいてよい。
【0041】
実験データ
表1を参照して、17人の毛髪色消費者に、突出長さの異なる以下の延長ノズル泡分配器を用いて模擬実験することを依頼した。次に消費者に、泡を毛髪上に直接分配するための精度及び制御に基づいて突出長さをランク付けすることを依頼した。ランク付け1は最も好ましい突出長さに関連し、ランク付け5は最も好ましくない突出長さに関連する。表1の割合は、どのように消費者が各突出長さをランク付けしたかを、少数第2位を四捨五入して示している。表1の最後の列は、精度及び制御に対して各突出長さを最も好ましいか又は2番目に好ましいとランク付けした消費者の割合を示す。
【0042】
【表1】
【0043】
表1及び図7を参照して、29.4%、58.8%、64.7%、及び35.3%の消費者が、35mm、50mm、65mm、及び110mmの長さが、精度及び制御に対して最も好ましいか又は2番目に好ましいとランク付けした。これらの数は、5mm長さを最も好ましいか又は2番目に好ましいとランク付けした消費者の11.8%よりも著しく高かった。
【0044】
ここで表2を参照して、17人の毛髪色消費者に、ノズル角の異なる以下の延長ノズル泡分配器を用いて模擬実験することを依頼した。次に消費者に、泡を毛髪上に直接分配するための精度及び制御に基づいてノズル角をランク付けすることを依頼した。ランク付け1は最も好ましいノズル角に関連し、ランク付け5は最も好ましくないノズル角に関連する。表2の割合は、どのように消費者が各ノズル角をランク付けしたかを、少数第2位を四捨五入して示している。表2の最後の列は、精度及び制御に対して各ノズル角を最も好ましいか又は2番目に好ましいとランク付けした消費者の割合を示す。
【0045】
【表2】
【0046】
表2及び図8を参照して、76.4%及び82.3%の消費者が、80°及び90°の角度が、精度及び制御に対して最も好ましいか又は2番目に好ましいとランク付けした。これらの数は、70°、100°、及び120°角度を最も好ましいか又は2番目に好ましいとランク付けした消費者の11.8%、23.6%、及び5.9%よりも著しく高かった。
【0047】
上記調査に参加した17人の消費者のうち、9人の消費者が、毛髪を着色するために泡分配器を以前に用いたことがあると述べた。次に、毛髪を着色するために泡分配器を以前に用いた9人の消費者に、前述したような延長ノズル泡分配器を用いて毛髪を着色するように依頼した。古い泡分配器と本発明の実施形態との間で選ぶ機会を与えたときに、9人のうち8人の消費者(89%)が本発明の実施形態を選んだ。
【0048】
違う調査では、毛髪を着色するために液体分配器を以前に用いた10人の消費者に、前述したような延長ノズル泡分配器を用いて毛髪を着色するように依頼した。古い液体分配器と本発明の実施形態との間で選ぶ機会を与えたときに、10人のうち9人の消費者(90%)が本発明の実施形態を選んだ。
【0049】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0050】
任意の相互参照又は関連特許若しくは関連出願を含む本明細書に引用される文献はすべて、明らかに除外されるか又は別の方法で限定されないかぎり、それらの全容を本明細書に参照によって援用する。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示されているか若しくは「特許請求の範囲」に記載されているいずれかの発明に関する先行技術であることを認めるものではなく、あるいはそれが単独で又は他のいかなる参考文献(単数若しくは複数)とのいかなる組み合わせにおいても、かかる発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。更に、本文書内の用語のいずれかの意味又は定義が、参照によって援用される文書内の同じ用語のいずれかの意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に付与される意味又は定義が優先するものとする。
【0051】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8